JPH0723029B2 - 感熱転写材 - Google Patents

感熱転写材

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JPH0723029B2
JPH0723029B2 JP26100587A JP26100587A JPH0723029B2 JP H0723029 B2 JPH0723029 B2 JP H0723029B2 JP 26100587 A JP26100587 A JP 26100587A JP 26100587 A JP26100587 A JP 26100587A JP H0723029 B2 JPH0723029 B2 JP H0723029B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、普通紙等からなる被記録体に2色の記録像を
転写する2色感熱転写材に関する。
〔背景技術〕
感熱転写記録方法は、使用する装置が軽量且つコンパク
トで騒音がなく、操作性、保存性に優れるという感熱記
録方法の一般的特徴に加えて、発色型の加工紙が不要で
あり,又、記録像の耐久性にも優れると云う特徴を有し
ており、最近、広く使用されている。
又、上記感熱転写記録方法の長所を生かしつつ2色印字
を得たいという市場要求も強く、2色印字を得る為の技
術も種々提案されている。
従来、普通紙上に感熱転写記録方法を用いて2色印字す
る方法として、特開昭58-148591号には、基材上に互い
に異なる着色剤が含有されてなる2つの熱溶融性高融点
インク層A及び低融点インク層Bが基材側から順次積層
され、低熱印加エネルギーの場合には低融点インク層B
のみが普通紙上に転写し、高熱印加エネルギーの場合に
は熱溶融性インク層A,Bともに転写することにより、2
色記録像を与えるという2色型感熱転写記録要素が開示
されている。
又、特開昭59-64389号には、基材上に、加熱により溶融
浸出するインクと、前記溶融浸出する温度より高い温度
で溶融剥離するインクとから成るインク層を設けた2色
感熱転写インクシートが開示されている。
これらの方法においては、サーマルヘツドに印加するエ
ネルギーを2段階に変化させることにより、インク層の
温度を変化させて2色の印字を行っている。しかしなが
ら、高いエネルギーを与えてインク層を高い温度にした
場合、熱の拡散によって高温の部分の周辺には比較的低
温の部分が生じ、そのため、高温で印字した部分の周辺
に、低温で印字される色のふちどりが生じてしまう。更
に、サーマルヘツドに高いエネルギーを与えると、その
温度が低下するのに比較的長い時間を要するため、高温
で印字した部分に低温で印字される色の尾びきが生じ易
い。
又、いずれの方法においても低温で印字されるインクの
材料として、比較的低融点の材料を使用しなければなら
ない制約があり、地汚れ、保存性の低下等の問題が生じ
ていた。
この欠点を解消するための技術として、本出願人は、先
に特開昭59-260403号の記録方法を提案した。
この記録方法は、支持体上に少なくとも第1および第2
インク層を設けてなる感熱転写材を用い、該感熱転写材
に熱印加した後、感熱転写材と被記録体とを剥離する時
間をコントロールすることにより、第2インク層のみ、
あるいは、第1および第2インク層の両層を被記録体に
転写して2色記録する方法である。
この記録方法は前述した印字の「ふちどり」、「尾び
き」等の種々の問題点の解決を可能としたものである
が、このような新しい2色記録方法においても、より一
層の印字品質の向上が望まれている。この印字品質の向
上は、2層分離性の向上(すなわち、剥離時間が短いと
きに、第1インク層と第2インク層との明確な分離によ
る鮮明な第2インク層の転写像を得ること、および剥離
時間が長いときに、第1インク層及び第2インク層の両
層の転写を得ること)および、各色の印字の品位(すな
わちキレ等)の向上との2種類あるが、この両者を充分
満足させることは必ずしも容易ではなかった。
〔本発明の目的〕
本発明の目的は上記の2種類の印字品位を向上させた2
色感熱転写材を得ることである。
〔発明の概要〕
本発明の感熱転写材は、支持体上に、該支持体側から、
少なくとも第1接着層,第1インク層及び第2インク層
とを順次設けてなり、且つ、上記支持体及び第1インク
層間と接着力(F1)(これは支持体と第1接着層との接
着力、第1接着層内の凝集力、第1接着層と第1インク
層との接着力によって決定されているが、これらの各々
の力にでわけて考えられているが、これらの各々の力に
までわけて考える必要はなく、支持体と第1インク層と
の接着力としてとらえれば充分である)と、第1インク
層及び第2インク層間の接着力(F2)が、90℃において
はF1>F2で、40℃においてはF1<F2であり、前記第1イ
ンク層のバインダーのガラス転移点が0℃以下で、前記
第1インク層中の顔料量が25〜85重量%であるものであ
る。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を更に詳
細に説明する。以下の記載において、量比を表わす
「%」及び「部」は特に断らない限り重量基準とする。
〔発明の具体的説明〕
第1図は、本発明の感熱転写材の基本的な態様を示す厚
さ方向模式断面図である。第1図に示す本発明の感熱転
写材1は、支持体2上に第1接着層5と、ガラス転移点
が0℃以下の樹脂と顔料を有する第1インク層3と、第
2インク層4とを順次設けてなる。
本発明の感熱転写材においては、第1インク層3−第2
インク層4間の接着力(F2)と、第1インク層3−支持
体2間の接着力(F1)との大小関係が、高温(例えば90
℃)においてF1>F2であり、且つ低温(例えば40℃)に
おいてF1<F2となるように調整してある。
ここに、上記接着力F1、F2の上記温度における大小関係
は、具体的には、例えば以下のような手段により簡便に
確認される。
すなわち、感熱転写材1と、(例えば、ベツク平滑度20
0秒の)普通紙からなる被記録体とを、感熱転写材1の
第1インク層4が該被記録体に接触するように重ね合
せ、支持体2面側から感熱転写材1に通常の熱転写記録
方法と同様に熱ヘツドでパターン状(例えば、ベタ印字
状)に熱を印加する。熱印加後、感熱転写材1と普通紙
は剥離させず、そのまま、−60〜+270℃の温度コント
ロールが可能な恒温槽を備えた引張強度試験機(テンシ
ロンRTM-100、東洋ボールドウイン社製)に剥離角度が1
80度になるように装填する。上記試験機を用い剥離速度
300mm/secで感熱転写材1と普通紙を剥離する際、環境
温度(恒温槽内部)を90度とした場合、被記録体である
普通紙には第2インク4が選択的に転写し(F1>F2の確
認、第2図(a))、一方、環境温度40℃の場合、第1
インク層3と第2インク層4の両層とも転写する(F1
F2の確認、第2図(b))。この際、第1インク層、第
2インク層に含有させる着色剤の色調をかえておけば、
環境温度90℃で第2インクの色調の画像が、環境温度40
℃の第1インクの色調の画像が得られることで、上記接
着力F1、F2の大小関係は、容易に確認される。
なお本発明において、第2インク層と第1インク層との
接着力(F2)、および第1インク層と支持体との接着力
(F1)の上述したような大小の評価に当たっては、各イ
ンク層が被記録体に転写する際における第2インク層−
第1インク層間の分離と、第1インク層−支持体間の分
離との相対的容易性のみを考慮するものとし、インク層
間の剥離の形態(例えば、剥離の位置が第2インク層と
第1インク層の厳密な境界面であるかどうか、あるいは
第1接着層および後述するような接着層が、転写後どの
程度各インク層および支持体に残留しているかどうかな
ど)は接着力の評価について考慮しないものとする。
これらの90℃ないし40℃という温度は、感熱転写材1自
体の特性を規定するためにのみ用いられる温度であり、
該感熱転写材の実際の使用(感熱転写記録)条件を規定
するものではない。
本発明では、第1インク層3と支持体2間の接着力F1
制御する為に、第1インク層3と支持体2との間に第1
接着層5を設け、この接着層5により、熱印加前後で接
着力F1が不可逆に低下するようにしている。
以上の各層間の特性を第3図を用いて説明する。
サーマルヘツドにより熱印加され温度が上昇すると、第
1インク層3と第2インク層3間の接着力は、第1イン
ク層3と支持体2間の接着力に比べ急激に低下する。そ
の為、熱印加された直後の温度が低下する以前の状態で
は、第1インク層3と第2インク層4間の接着力が、第
1インク層3と支持体2間の接着力よりも弱くなる。そ
こで、熱印加により第2インク層4が被記録体に付着し
た直後に、つまり第3図の時間t1において被記録体と感
熱転写材とを分離すれば、第2インク層4のみが転写さ
れる。
また加熱後時間が経過してインク層温度を低下すると、
第1インク層3と第2インク層4間の接着力が、熱印加
前と同等位に回復する。しかし、第1インク層3と支持
体2間の接着力は、第1接着層2により熱印加前後で不
可逆に低下する様構成されているので、熱印加前の状態
には戻らない。このため、第1インク層3と支持体2間
の接着力は第1インク層3と第2インク層4の接着力よ
りも小さくなる。この時、つまり時間t2において分離す
れば、第2インク層4と共に第1インク層3も転写され
る。ここで、第1インク層3と第2インク層4の色調を
変えておけば、2色記録が得られる。
以上の説明から明らかなように第1インク層,第2イン
ク層がともに転写する場合には第2インク層のみが転写
する場合に比べて、比較的低温で本発明の感熱転写材と
を分離することになる。
このとき、第2インク層の熱印加された部分は被記録体
と接着し、第2インク層の熱印加されていない部分は被
記録体と接着していない。このため第2インク層の切れ
は、熱印加された部分と熱印加されていない部分の境界
で、ある程度明確になる。
したがって、この場合に印字のキレを向上させるために
は第1インク層として常温で引張り強度、引張り伸度が
小さいインク層を用いることが必要である。しかしなが
ら、第2インク層のみを転写させる場合には第1インク
層があまりにもろくなると、第2インク層の転写像上に
第1インク層が一部転写してしまい良好な色分離が得ら
れなくなる。したがって第1インク層にはある程度以上
の凝集力が要求される。
しかしながら、本発明の第1インク層として要求される
物性をすべて満足した上で、単一の物質でこれらの条件
を充分満足することは困難であった。
本発明の第1インク層は0℃以下、好ましくは−10℃以
下のガラス転移点をもち、好ましくは比較的大きな引張
り伸度(300%以上、望ましくは500%以上)をもつ樹脂
をバインダーとし、このバインダーに比較的大量の顔料
を加えることにより引張り伸度と引張り強度をおさえて
なるものである。
第1インク層に用いるバインダーのガラス転移点を0℃
以下とすることにより、印字および保存時に常に第1イ
ンク層のバインダーは一種の過冷却液体の状態にあり、
また、比較的大きな引張り伸度のためもあってもろさを
示さない。したがって第2インク層のみを転写する場合
に第1インク層の一部が転写してしまうことがなくな
る。引張り伸度が300%よりも小さいともろさを示す場
合がある。
第1インク層に用いるバインダーとしては前述の条件を
みたすものとしてアクリル酸アルキルエステル共重合
体,アクリロニトリル・アクリル酸アルキルエステル共
重合体,スチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合
体,メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキ
ルエステル共重合体等のアクリル酸エステル共重合体,
スチレン−ブタジエン系ラテツクス,ニトリル−ブタジ
エン系ラテツクス,アクリル系ラテツクス,酢酸ビニル
系ラテツクス等の合成ゴム,ポリエステル系ウレタン,
ポリエーテル系ウレタン等のポリウレタン等が単独ある
いは適宜混合して用いられる。
また第1インク層に要求される比較的小さな引張り強度
と引張り伸度はこのバインダーに比較的大量の顔料を加
えることによりより実現される。
第1インク層中の顔料の比率は第1接着層、第2インク
層、および必要に応じて設けられる第2,3接着層の性質
により変化させて最適の比率とすることが望ましいが、
第1インク層の重量に対して25〜85%、さらには35〜70
%が好ましい。これよりも少ないとバインダーの引張り
伸度の低下が充分でなく、またこれよりも多くなること
第1インク層がもろくなり、第2インク層のみ転写させ
る場合の色分離が充分でなくなる。
第1インク層に加える顔料としてはカーボンブラツクを
はじめ、ランプ黒,スーダンブラツクSM,アルカリブル
ー,フアーストイエローG,ベンジン・エロー,ピグメン
ト・エロー,インドフアースト・オレンジ,イルガジン
・レツド,カーミンFB,パーマネント・ボルドーFRR,ヒ
グメント・オレンジR,リソール・レツド20,レーキ・レ
ツドC,ローダミンFB,ローダミンBレーキ,メチル・バ
イオレツトBレーキ,フタロシアニンブルー,ピグメン
トブルー,ブリリヤント・グリーンB,フタロシアニング
リーン等が使用できる。
本発明の感熱転写材は、第1接着層5を設けることによ
り、第1インク層3と支持体2間の接着力F1を、熱印加
前後で不可逆的に低下させている。このような第1接着
層5は、微粒子状のワツクス成分Aと接着成分Bで構成
するのが好ましい。
第1接着層5と上記のように構成した場合、熱印加前の
第1接着層5の状態は、微粒子状のワツクスの回りに接
着成分が結着剤として存在しており、この状態で支持体
2と第1インク層3間を接着していると推定される。
第1接着層5内の微粒子状ワツクス成分は1度熱印加さ
れると軟化し、その後冷却するにつれ、皮膜化してく
る。これによって、第1接着層5は皮膜化したワツクス
に支配され、柔軟性が低下し、接着成分の接着力より
も、剥離性の方が強くなる。
これにより、第1接着層5の接着力は熱印加前の初期接
着力から熱印加後の接着力に低下し、さらに初期状態に
完全に回復しない、不可逆な挙動を示すものが構成出来
る。
これらワツクス成分としては、例えば以下の様なものが
使用出来る。鯨ロウ,ミツロウ,ラノリン,カルナバワ
ツクス,キヤンデリラワツクス,モンタンワツクス,セ
レシンワツクス等の天然ワツクス、パラフインワツク
ス,マイクロクリスタリンワツクス等の石油ワツクス、
エステルワツクス,低分子量ポリエチレン,フイツシヤ
ートロプシユワツクス等の合成ワツクス,ラウリン酸,
ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,ベヘニン
酸等の高級脂肪酸、ステアリルアルコール,ベヘニルア
ルコール等の高級アルコール、シヨ糖の脂肪酸エステ
ル,ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類、オレ
イルアミド等のアミド類を、単独或いは適宜混合して用
いることができる。
また接着成分Bとしては、ポリアミド系樹脂,ポリエス
テル系樹脂,極めて高分子量のエポキシ樹脂,ポリアク
リル系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート,ポリア
クリルアマイド),ポリビニルピロリドン等を始めとす
るビニル系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂(例えば塩化ビ
ニル−塩化ビニリレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体等),セルロース系樹脂(例えばメチルセル
ロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロー
ス等),ポリビニルアルコール系樹脂(例えばポリビニ
ルアルコール,部分ケン化ポリビニルアルコール等),
石油系樹脂,ロジン誘導体,クマロン−インデン樹脂,
テルペン系樹脂,ノポラツク型フエノール系樹脂,ポリ
スチレン系樹脂,ポリオレフイン系樹脂(例えば,ポリ
エチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,エチレン酢酸
ビニル共重合体等),ポリビニルエーテル系樹脂,ポリ
エチレングリコール樹脂,およびエラストマー類,天然
ゴム,スチレンブタジエンゴム,イソプレンゴム等を単
独或いは、適宜混合して使用出来る。中でもエチレン酢
酸ビニル共重合体,酢酸ビニルエチレン共重合体,アク
リル酸アルキルエステル共重合体が好適に使用できる。
本発明の感熱転写剤を用いて記録を行う場合、第1イン
ク層3と第2インク層4間の接着力と、第1インク層3
と支持体1間の接着力とが熱印加後の時間t1とt2とで、
その強度の逆転が明確に行なわれなければならない。こ
の為、必要に応じて第4図に示す様に、第1インク層3
と第2インク層4間の間に、接着力の制御が容易にでき
る様に、第2接着層6を設けても良い。こうすれば、第
1インク層3と第2インク層4間の接着力は第2接着層
6に支配される為、第1インク層3および第2インク層
4の材料選択や顔料含有量を選択する自由度が広がる。
更に、第5図の如く、第2インク層4の上(被記録体対
向面)に第3接着層7を設けてもよい。この第3接着層
7は、第2インク層4の被記録体に対する接着力を向上
させるものである。第2インク層4中には、通常、ある
程度の量の着色剤が含有されているため、第2インク層
4の被記録体に対する接着力を著しく大きくすることが
難かしい。したがって、この第3接着層7を設けること
は、例えば、表面平滑度の低い被記録体に対し2色印字
する場合に、特に有利である。
上述した第2接着層6および第3接着層7は、必要に応
じて、適宜組合せて設けることができる。
第1インク層3、第2インク層4が隣接する場合は、互
いに相溶しない材料をそれぞれのバインダーとして構成
することが好ましく、第1インク層3が樹脂類の場合、
第2インク層4にはワツクス類が、バインダー100部中
に50部以上含有されることが望ましい。
一方、第1インク層3と第2インク層6図(第4図)を
設ける場合、第2インク層4とが隣接しない場合、すな
わち第2接着層4にワツクス類を用いることが好ましい
という制約は除かれる。ただし、この場合、第2接着層
6は、ワツクス類を50%以上含有することが望ましい。
すなわち、このような構成で第2インク層のみの記録像
を得たい場合には、第6図に示した如く、第2接着層6
中で分断され、第2インク層4が選択的に転写すること
となる。したがって、この第4図の構成は、第2接着層
6を設けない場合に比べ、第2インク層4中で分断する
ことがないため、印字濃度のばらつきがなく、有利であ
る。
本発明の感熱転写材の支持体2としては、厚みが3μm
ないし12μm程度のポリエステル,アラミド,ナイロ
ン,ポリカーボネイト等のプラスチツクフイルム、ある
いはコンデンサ紙等の紙が使用しうる。過度に厚いもの
は熱伝導性が劣るので好ましくない。耐熱性及び強度の
高いものであれば、厚さ3μm以下の薄いフイルムを使
用する事も可能である。
本発明の感熱転写材1においては、支持体2上のインク
層および接着層全体で、20μm以下とすることが望まし
い。また、第1インク層3、第2インク層4、第1の接
着層5、第2の接着層6、第3の接着層7の厚みは、各
々0.5〜10μmの範囲が好ましい。
その他、支持体2の裏面(インク層形勢面と反対側の
面)に耐熱性を補うための層を設ける事も有効である。
また、本発明の感熱転写材1を用いて熱転写記録方法を
行う際に、加熱手段としては、サーマルヘツドの他、赤
外線、レーザービームなど一般に用いられている加熱手
段も用いられる。また、通電加熱による場合には、必要
に応じて、支持体2と第1接着層5との間にアルミニウ
ムなどの薄膜からなる導電層を設けて帰路電極とする
か、あるいはインクを導電性とすればよい。
前記支持体2上の熱転写層を構成する第1インク層3は
第1の色調の着色材をバインダー中に分散(溶解してい
る状態を排除する趣旨ではない)させてなり、第2イン
ク層4は第2の色調の着色材をバインダー中に分散させ
てなる。第1、第2および第3接着層は、主にバインダ
ーから構成されるが、必要に応じて着色剤を含有してい
てもよい。
本発明の感熱転写材1において、第1インク層3の色調
と第2インク層4の色調をそれぞれ得たい場合には、第
1インク層3に黒色等の暗色を、第2インク層4には黄
色等の明色を配置するのが良い。また、第1インク層3
の色調、及び第1インク層3の色調と第2インク層4の
色調の混色が得たい場合には、例えば第1インク層3を
イエロー、第2インク層4をマゼンタに配色しておけば
マゼンタ色と赤色が得られる。その他、各層の顔料濃度
或いは層厚比率を変えることにより、濃淡2色の記録や
様々な互いに異なる2色の記録を得ることが出来る。
第2インク層4に含有する着色材としては、カーボンブ
ラツク、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラツク
SM、アルカリブルー、フアーストイエローG、ベンジジ
ン・エロー、ピグメント・エロー、インドフアースト・
オレンジ・イルガジン・レツド、パラニトロアニリン・
レツド、トルイジン・レツド、パラニトロアニリン・レ
ツド、トルイジン・レツド、カーミンFB、パーマネント
・ボルトーFRR、ヒグメント・オレンジR、リソール・
レツド20、レーキ・レツドC、ローダミンFB、ローダミ
ンBレーキ、メチル・バイオレツトBレーキ、フタロシ
アニンブルー、ピグメントブルー、ブリリヤント・グリ
ーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、
ザポン・フアーストエローCGG、カヤセツトY963、カヤ
セツトYG、スミブラスト・エローGC、ザポンフアースト
オレンジRR、オイル・スカーレツト、スミブラストオレ
ンジG、オラゾール・ブラウンB、ザボンフアーストス
カーレツトCG、アイゼンスピロン・レツドBEH、オイル
ピンクOP、ビクトリアブルーF4R、フアーストゲンブル
ー5007、スーダンブルー、オイルビーコツクブルーな
ど、公知の染、顔料を全て(必要に応じて2種以上組合
せて)使用することができる。その他、銅粉、アルミニ
ウム粉等の金属粉、マイカ等の鉱物粉等を使用する事が
できる。更に、その他の添加物として、各インク層ない
し各接着層に、界面活性剤、可塑剤、鉱油、植物油フイ
ラー等を適宜添加しても良い。第2インク層中の着色剤
の含有量は1〜90%、更には2〜80%の範囲が好まし
い。
第2インク層に用いるバインダー及び第1、第2、第3
接着層に用いる材料としては、鯨ロウ,ミツロウ,ラノ
リン,カルナバワツクス,キヤンデリラワツクス,モン
タンワツクス,サレシンワツクス等の天然ワツクス,パ
ラフインワツクス、マイクロクリスタリンワツクス等の
石油ワツクス、酸化ワツクス,エステルワツクス,低分
子量ポリエチレン,フイツシヤートロブシユワツクス等
の合成ワツクス,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチ
ン酸,ステアリン酸,ベヘニン酸糖の高級樹脂酸、ステ
アリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコ
ール、シヨ等脂肪酸エステル,ソルビタンの脂肪酸エス
テル等のエステル類、オイルアミド等のアミド類等のワ
ツクス類;あるいはポリオレフイン系樹脂、ポリアミド
系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹
脂、石油系樹脂、フエノール系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、酢酸ビニル系樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン
ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、等のエラス
トマー類、ポリイソブチレン、ポリブテン等の樹脂類等
を単独、又は必要に応じて2種以上組合せ使用される。
上記した材料の分子量、結晶化度等を適宜調節したり、
あるいは複数の上記材料を混合して、前記した特性を有
するインク層あるいは接着層を得ることができる。
第2インク層4については、第2インク層4の軟化温度
より30℃高い温度における溶融粘度(回転粘度計によ
る)が1,000,000cps以下、10cps以上になる様にするの
が良い。特に紙への接着力を考慮すれば溶融粘度が200c
ps以上とするのが良い。
なお、本発明で云う、軟化温度とは、島津フローテスタ
CFT-500型を用い、荷重10Kg、昇温速度2℃/分の条件
で試料インクの見かけ粘度−温度曲線を求めた時に、流
出開始温度として求められるものである。
本発明の感熱転写剤を製造するにあたっては、前述の各
層を構成する材料と、例えばメチルエチルケトン、キシ
レン、テトラヒドロフラン等のバインダーを溶解しうる
有機用材を混合して塗工液をつくり、各層を順次塗工す
れば良い。
又、各層を構成する材料を混合した後、加熱溶融状態
で、いわゆるホツトメルトコーテイングを行なっても良
い。
更に、各層を構成する材料を、界面活性剤等の分散剤を
加えて水系エマルジヨンとして、各々混合して塗工して
も良い。又、これらの方法を用いて層ごとに異なる方法
で塗工する事も可能である。
次に、本発明の感熱転写材を用いる場合の2色印字方法
について説明する。
具体的には、第7図の如き装置が好ましく用いられる。
第7図を参照して、本発明の感熱転写材1をサーマルヘ
ツド8により(第2インク層が被記録体に対向するよう
に)被記録体9に圧接させると同時に、サーマルヘツド
8から感熱転写材1にパターン状の熱を印加する。11は
プラテンを示す。この熱印加の直後、サーマルヘツド8
の終端部8aで被記録体9と感熱転写材1を剥離すると、
(F1>F2のため)第2インク層のみが被記録体9に転写
する。一方、剥離コントロール部材10を矢印A芳香に移
動させて10a(点線部)の位置に配置し、上記と同様に
被記録体9と感熱転写材1を圧接させ、サーマルヘツド
8によりパターン状の熱を印加した後、剥離コントロー
ル部材10の位置(10a)において剥離すると(F1<F2
ため)第1インク、第2インク両層とも被記録体に転写
する。
尚、引張り伸度とは伸びた量を元の長さで割った値をい
い、本発明では厚さ50μ,幅6mmのダンプルを用い、引
張強度試験機(テンシロンRTM-100、東洋ボールドウイ
ン社製)を用いて引張速度300mm/s,室温(25℃)で測定
したときの値とする。
ガラス転移点(Tg)の測定は示差走査熱量計(DSC7、パ
ーキンエルマー社製)により昇降測定1℃/分で行なっ
たものである。
以下、実施例をあげ、本発明を具体的に説明する。以下
の実施例の中で酸化ポリエチレンの数平均分子量は、下
記の測定法によって測定した。
〔分子量測定法〕
VPO(Vapor Pressure Osmometry Method)法により、例
えばベンゼンを溶媒として酸化ポリエチレンを0.2〜1.0
g/100mlベンゼンに濃度(C)を数点変えて溶解し、各
々の浸透圧(π/C)を測定し、濃度C−浸透圧π/Cをプ
ロツトする。無限希釈時の浸透圧(π/C)。をこのプロ
ツトから読み取り、(π/C)。RT/Mnの計算式より数平
均分子量Mnを求める。
実施例1. 第1接着層 上記処方の各成分を十分混合し、これを厚さ6μmのポ
リエチレンエレフタレートフイルム支持体(以下PETを
賞する)上に塗工し、50℃で乾燥して厚み1μmの第1
接着層を設けた。
第1インク層 上記処方の各成分を十分混合し、これを先に設けた第1
接着層上に塗工し、70℃で乾燥して厚み2μmの第1イ
ンク層を設けた。
第2接着層 カルナバワツクス水分散液 (120℃での溶融粘度20cps) 100部 上記処方の各成分を十分混合し、これを先に設けた第1
インク層上に塗工し、50℃で乾燥して厚み1μmの第2
接着層を設けた。
第2インク層 上記処方の各成分を十分混合し、これを先に設けた第2
接着層上に塗工し、70℃で乾燥して厚さ2μmの第2イ
ンク層を設け、感熱転写材(I)を得た。
実施例2 実施例1の第1インク層で使用したアクリル酸アルカリ
エステル共重合体水分散液を、ウレタン樹脂水分散液
(固形分のTg=−50℃,引張り伸度1500%、商品名:ス
ーパーフレツクスH8923E、第1工業製薬)にかえて、そ
の他は実施例1と同様にして、感熱転写材(II)を得
た。
実施例3 実施例1の第1インク層で使用したアクリル酸アルカリ
エステル共重合体水分散液を、アクリル酸エステル共重
合体水分散液(固形分のTg=−18℃,引張り伸℃400
%,商品名:ニツポールLX811,日本ゼオン(株)製)に
かえて、その他は実施例1と同様にして感熱転写材(II
I)を得た。
実施例4 実施例1で使用した第1インク層を、以下の成分の第1
インク層にかえて、その他は実施例1と同様にして感熱
転写材(IV)を得た。
実施例5 実施例1で使用した第1インク層を、以下の成分の第1
インク層にかえて、その他は実施例1と同様にして感熱
転写材(V)を得た。
比較例1 実施例1の第1インク層で使用したアクリル酸アルキル
エステル共重合体水分散液をアクリル酸アルキルエステ
ル共重合体水分散液(固形分のTg=20℃,アナロナール
295DN,三菱油化バーデイシエ)にかえて、その他は実施
例1と同様にして感熱転写材(VI)を得た。
比較例2 実施例1の第1インク層で使用したカーボンブラツク水
分散液の量を10部にかえて(アクリル酸アルカリエステ
ル共重合体水分散液の量はそのまま)、その他は実施例
1と同様にして感熱転写材(VII)を得た。
比較例3 実施例1で使用した第1インク層の成分混合比は以下の
ようにかえて、その他は実施例1と同様にして感熱転写
材(VIII)を得た。
以上のように作成した感熱転写材(I)〜(VIII)をキ
ヤノン(株)製タイプスター6に装着して印字を行っ
た。
サーマルヘツド8にはローム(株)製ヘツドを用いた。
このサーマルヘツドは、発熱部の中心からサーマルヘツ
ド終端8aまでの距離が350μmであった。サーマルヘツ
ドおよび感熱転写材を搭載したキヤリツジ13は、矢印B
の方向に移動し、そのときの移動速度は50mm/秒であっ
た。したがって、感熱転写材を急速に被記録体から剥離
する時、剥離までの時間は約7msecである。また時間を
遅らせて剥離するための剥離コントロール部材10はアー
マルヘツド8の終端8aからの距離lが約5mmのところに
取り付けた。したがって、時間を遅らせて剥離する時、
剥離までの時間は約100msecである。剥離コントロール
部材10の位置をサーマルヘツド8の終端8aから2mmない
し20mmまで変化させても印字の結果にはほとんど変化が
なかった。
感熱転写材(I)から(V)を用いて普通紙に印字した
ところ、急速に剥離した時、青色の印字が得られた。ま
た時間を遅らせて剥離した時は黒色の印字が得られた。
感熱転写材(I)及び(II)の青印字は実用上十分良好
であった。黒印字は印字のふちのキレも安定しており良
好なものであった。
感熱転写材(III)及び(V)の青印字は感熱転写材
(I)と同等で、実用上十分良好であった。黒印字は感
熱転写材(I)よりも若干太り、印字のふちが少しぎざ
ぎざになったが実用上十分良好であった。
感熱転写材(IV)の青印字は感熱転写材(I)と同等
で、実用上十分良好であった。黒印字は感熱転写材
(I)よりも若干細ったシヤープな良好な印字となっ
た。
比較例1の感熱転写材(VI)の印字は、青印字に黒色の
混ざったものであった。
比較例2の感熱転写材(VII)は、黒印字のキレが悪
く、熱印加されていない部分まで転写するものであっ
た。
比較例3の感熱転写材(VIII)の印字は、青印字に黒色
の細かい斑点が混入し、見づらいものであった。
また、感熱転写材(VIII)の黒印字は感熱転写材(II
I)の黒印字よりも更に太り、印字のふちが更にぎざぎ
ざになり、見づらいものでった。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の感熱転写材は、第1イン
ク層を構成するバインダーが、0℃以下のガラス転移温
度を有するため、第1インク層の引張り伸度が適度に大
きく、第1インク層にはもろさがない。
このため、本発明の感熱転写材による印字は、第2イン
ク層のみを転写させる場合でも、第2インク層に第1イ
ンク層が混入することがない。
一方、第1インク層には顔料が25〜85重量%含まれいる
ため、第1インク層の引張り伸度が過度に大きくなるこ
とはない。このため、本発明の感熱転写材による印字
は、エツジの切れがよい。
【図面の簡単な説明】
第1図、第4図、第5図は、本発明の感熱転写材の層構
成例を示す側面図、第2図および第6図は、本発明の感
熱転写材における転写時の態様の例を示す側面図、第3
図は時間経過と各層間の接着力の変化を示すグラフ、第
7図は本発明の感熱転写材を用いて2色記録を行う場合
に用いる感熱転写材記録装置の一態様を示す平面図であ
る。 1……感熱転写材 2……支持体 3……第1インク層 4……第2インク層 5……第1接着層 6……第2接着層 7……第3接着層 8……サーマルヘツド 9……被記録体 10……剥離コントロール部材 11……プラテン 12a……巻き出しコア 12b……巻き取りコア 13……キヤリツジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 當麻 弘一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 剛行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−236788(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、該支持体側から、少なくとも
    第1接着層,第1インク層及び第2インク層を順次設け
    てなり、且つ、 上記支持体及び第1インク層間の接着力(F1)と、第1
    インク層及び第2インク層間の接着力(F2)が、90℃に
    おいてはF1>F2で、40℃においてはF1<F2であり、 前記第1インク層のバインダーのガラス転移点(Tg)が
    0℃以下で、 前記第1インク層中の顔料量が25〜85重量%であること
    を特徴とする感熱転写材。
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