JP3545788B2 - 熱転写媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、熱転写シートに関し、特に熱溶融性インキ層を備えた熱転写フィルム(インク供給体)と受像シート(被転写体)とが予め仮接着されている一体型の熱転写媒体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、サーマルプリンター、ファクシミリ等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの一方の面に熱溶融性インキ層を設けた熱転写フィルム(インクフィルム)が使用されている。これらの熱転写フィルムを用いて被転写紙に印字する場合には、熱転写フィルムを巻いたロールからこれを供給し、一方、連続または枚葉の受像シートを別に供給し、両者をプラテン上で重ねこの状態で熱転写媒体の背面からサーマルヘッドで熱を印加し、インキ層を溶融転写させて所望の画像を形成している。
【0003】
しかしながら、これらの熱転写媒体を、例えば、従来の感熱発色紙を用いるファクシミリプリンターに転用しようとしても、従来のファクシミリプリンターでは、記録紙自体を熱発色させて印字を行う方法を採用し、熱転写フィルム(インクフィルム)と受像シートとを、各々別途に搬送するための機構を具備していないため、使用することができない。
【0004】
上記の如き問題を解決する方法として、熱転写フィルムと受像シートとを予め仮接着してロール状に巻いてファクシミリプリンター等に適用させる等の方法が考案されている。
【0005】
しかしながら、このような熱転写フィルムと受像シートが一体となった共巻き熱転写媒体の場合、熱転写フィルムと受像シートとを接着し、熱転写後には両者が容易に剥離することを可能にする接着剤層を備えているが、従来使用しているインキでは、主に粘着剤等の軟化温度が低い材料を使用していたため、経時や高温保存時において、クリープや軟化、溶融等によって初期の接着状態が変化し、転写フィルムと受像シートを剥離する時に、熱溶融性インキ層の受像シートへの異常転写等の不具合が発生しやすかった。また、従来の両者の接着状態は面状であるため、接着性の樹脂等の接着力の強い材料を使用した場合その不具合はさらに顕著となり、特に保存時および剥離時における問題が生じる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の目的は、用途に応じて熱転写フィルムと受像シートとの間の仮接着力を容易に制御することができ、長期にわたり品質を保持できる共巻き型(一体型)熱転写媒体を提供することである。
【0007】
上記目的は以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された熱溶融性インキ層とからなる熱転写フィルムと、該熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側に、仮接着剤層を介して剥離可能に接着された受像シートとからなり、前記仮接着剤層が、接着性を有する粒子とバインダーとからなり、前記熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側と前記受像シートとが点接着状態で接着してなることを特徴とする熱転写媒体である。
【0008】
このように、熱転写フィルムと受像シートが接着性を有する粒子にて仮接着されることにより、熱転写フィルムと受像シートとを点状に接着することができ、その接着力の制御を良好な状態で行うことが可能となり、かつ、保存性の優れた熱転写媒体を提供できる。
【0009】
さらに、参考発明1は、基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された熱溶融性インキ層とからなる熱転写フィルムと、該熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側に、剥離可能に接着された受像シートとからなり、前記熱溶融性インキ層が、接着性を有する粒子を含有し、前記熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側と前記受像材とが点接着状態で接着してなることを特徴とする熱転写媒体である。
【0010】
このように、熱溶融性インキ層中に接着性を有する粒子を添加することによって、熱溶融性インキ層自体が仮接着性を有し、別途に仮接着剤層を形成する必要がなくなるため、印字感度の向上を図ることができるとともに、製造工程を簡略化することができる点においても有利である。また、熱転写フィルムと受像シートとを点状に接着することができるので、接着力の制御を良好な状態で行うことが可能であり、しかも、保存中においても接着性粒子の粒径が保持され、点接着状態が維持されるので保存性の向上においてもすぐれている。
【0011】
参考発明2は、基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された熱溶融性インキ層とからなる熱転写フィルムと、該熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側に、剥離可能に接着された受像シートとからなり、前記熱溶融性インキ層が、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーを含有してなることを特徴とする熱転写媒体である。
【0012】
このように、熱溶融性インキ層中にゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーを添加することによって、熱溶融インキ層自体が仮接着性を有し、かつ、熱溶融性インキ層の凝集力を高めることができる。したがって、逆転写や尾引き等の印字不良を防止することができる。また、インキ層上に接着剤層を設けることによって、よりシワの発生しにくい熱転写媒体を提供することができる。
【0013】
以下、好ましい実施態様を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
本発明に係る熱転写媒体の好ましい1例の断面図を図1、図2に示す。
【0015】
本発明の熱転写媒体は、通常、図1に示す通り、熱転写フィルム1と、受像シート2が剥離可能に接着してなる共巻き熱転写媒体である。上記熱転写フィルム1は、フィルム10上に顔料とバインダーよりなるインキ層20が形成され、インキ層20と受像シート2の間には接着性を有した粒子とバインダーよりなり、熱転写フィルムと受像シートを点接着状態で保持する仮接着剤層30が形成されたものである。また、図2に示す例は、本発明の熱転写媒体の応用例であり、基材フィルム10とインキ層20の間には剥離層および/またはマット層40が形成されている。さらに背面にはスリップ層50が形成されてもよい。
【0016】
本発明の熱転写媒体で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写媒体に使用されているものと同じ基材フィルムをそのまま用いることができると共に、その他のものも使用することができ、特に制限されない。
【0017】
好ましい基材フィルムの具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、また、これらを複合した基材フィルムであってもよい。
【0018】
この基材フィルムの厚さは、その強度および熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更することができるが、その厚さは、好ましくは、例えば、2〜25μmである。
【0019】
また、該基材フィルムの背面には、サーマルヘッドの粘着を防止し、かつ、滑り性を良くするスリップ層を設けることも可能である。このような、スリップ層を形成する材料は、耐熱性のある樹脂と熱離型剤または滑剤の働きをする物質とを基本的構成成分とする。この場合の耐熱性のある樹脂としては、ガラス転移点が60℃以上の合成樹脂、あるいは−OH基または−COOH基を有する熱過塑性樹脂にアミノ基を2個以上有する化合物、またはジイソシアネートもしくはトリイソシアネートを加えて架橋硬化を起こさせたものが好適である。また、熱離型剤または滑剤としては、ワックス類や高級脂肪酸のアミド、エステルおよび塩のような、加熱によって溶融してその作用が発現するもの、あるいはフッ素樹脂や無機粉末のように固体状態のままで役立つものとがある。
【0020】
上記基材フィルム上に設ける熱溶融性インキ層は、顔料とバインダーからなり、さらに必要に応じて種々の添加剤を加えたものでもよい。顔料は、ブラック単色印字用には勿論カーボンブラックが好ましく、多色印字用には、シアン、マゼンタ、イエロー等の有彩色顔料を使用する。これらの顔料の使用量はインキ層中で約5〜70重量%を占める割合が一般的に好ましい。
【0021】
バインダーとしては、ワックスを主成分とし、その他ワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロースおよびゴムの誘導体等との混合物が用いられる。
【0022】
ワックスの代表例としては、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。さらに、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体等熱可塑性樹脂を1種または2種以上含有してもよい。
【0023】
基材フィルム上に熱溶融性インキ層を形成する方法としては、上記のワックスを主体とするバインダーを他の必要成分と共に、加熱溶融して塗工するホットメルトコート法の他、上記のワックスを主体とするバインダーを他の必要成分と共に溶融混練して溶融液を作成し、これをホットラッカーコートする一般的方法で行うことができるまた、ワックスを主体とするバインダーをアルコール等を含んでもよい水性媒体中に乳化または分散させたエマルジョンと、顔料および熱可塑性エラストマーの水性分散体を混合したエマルジョンインキを塗工および乾燥して形成する方法も可能である。このようにして形成するインキ層は通常は1〜20μm程度の厚みに形成することが好ましい。
【0024】
また、上記熱溶融性インキ層の形成に際しては、基材フィルム面に厚さ0.1〜20μm程度のマット層を形成して、印字物にマット感を与えることができる。このようなマット層は、適当なバインダー、カーボンブラックおよび有機または無機粒子を含有する塗工液を基材フィルム表面に塗工して形成することができる。この場合のバインダーとしては、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などが用いられ得る。また、カーボンブラックとしては、導電性プラスチックや通常のプラスチックの帯電防止のために従来使用されている導電性カーボンが用いられ得る。特に好ましいものは、多孔性導電性カーボンであり、たとえばDBP吸油量が400ml/100g以上、好ましくは450〜600ml/100gのものであり、具体的には、ケッチェンブラックEC600JD等の名称で市場から入手できるものが挙げられる。これらの多孔性導電性カーボンを使用することによって、少量で高い帯電防止特性を付与することが可能となる。、このような導電性カーボンは、本発明においては、マット層の重量に対して60重量%以下の量で使用するが、上記のような多孔性導電カーボンを使用する場合は、さらに少ない含有量で良好な効果を得ることができる。また、マット剤として使用する粒子は、上記カーボンブラックの他にシリカ、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等の無機粒子やアクリル樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等のプラスチックピグメントが任意に用いられ得る。
【0025】
上記のマット剤はマット層の30重量%以下、好ましくは5ないし25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%の量で使用され得る。
【0026】
上記のような導電性マット層を形成するには上記のような材料をアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の適当な溶剤中に溶解または分散させ、必要に応じてポリイソシアネート等の架橋剤を加えて塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工手段により塗工し乾燥することによって形成され得る。
【0027】
上記の帯電防止のためのマット層の表面電気抵抗値は、25℃、湿度50%の環境下において1×109Ω以下となることが好ましい。この表面電気抵抗値の範囲であれば、印字後、熱転写フィルムを剥離する際に、静電気による貼り付きを防止することができる。さらに、熱転写シートと受像シートとを貼り合わせるラミネート工程において、帯電の問題を解消することができる。
【0028】
また、本発明においては、基材フィルム表面またはマット層表面に、予めワックスからなる剥離層を形成しておき、剥離層が転写後に転写画像の表面保護層とすることもできる。剥離層の形成はホットメルトコート、ホットラッカーコート或いはエマルジョンコート法でもよい。かかる剥離層は一般的には0.1〜5μm程度の厚みである。
【0029】
受像シートとしては通常の上質紙、普通紙、コート紙、合成紙、プラスチックフィルム等、熱転写可能なシートまたはフィルムであればよく、従来の熱転写用受像シートとして使用されているものであればよい。また、これらの受像シートのサイズはA版、B版等の枚葉紙でもよいが、好ましくは任意の幅の連続シートである。
【0030】
本発明の熱転写媒体は、上記熱溶融性インキ層上に接着性を有する粒子とバインダーよりなり、熱転写フィルムと受像シートとを点接着させる仮接着剤層を形成する。
【0031】
本発明で使用する接着性を有する粒子としては最低成膜温度50℃以上150℃以下の熱可塑性樹脂の粒子が用いられ、例えば、EVA、アイオノマー、ポリエチレンワックス、ポリオレフィン等の中で粒径1〜100μm、好ましくは粒径2〜20μmのものが用いられる。仮接着剤層の厚さより大きい粒径を有する樹脂を用いることによって、転写フィルムと受像シートとを確実に点接着することが可能である。また上記接着性を有する粒子の最低成膜温度50℃以上であることにより、50℃の保存環境下においても上記接着性を有する粒子はその粒径を保持しているため保存性が向上する。接着性粒子の最低成膜温度が50℃以下のものを用いた場合、仮接着剤層を塗工する際、50℃以上の乾燥条件では粒子の粒形が保たれず、点接着ではなく従来の面接着になり、熱転写における印字感度を低下させる。また、最低成膜温度が150℃以上のものを用いた場合、熱転写性を著しく阻害する。
【0032】
本発明においては、熱転写フィルムと受像シートとの間の点接着密度(1mm2 当たりの接着点の個数)が10個/mm2 〜100,000個/mm2 の範囲にあることが好ましい。点接着密度が10個/mm2 未満では、接着力が十分ではなく、一方、100,000個/mm2 を超えると逆に接着力が向上し、インキ層が被転写体にとられる地汚れが発生するため好ましくない。
【0033】
さらに、本発明の仮接着剤層は、上記のような接着特性を有する粒子を保持し、仮接着剤層を形成するバインダーとして、ワックス、Tg50℃以上150℃以下の樹脂を少なくとも1種以上含有し、Tg50℃以下のものは含まないことが好ましい。さらに好ましくは、ポリエステル、アクリル、パラフィンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス等のワックスエマルジョン、あるいは溶剤ディスパージョンが用いられ得る。
【0034】
Tgが50℃以下の熱可塑性樹脂を用いた場合、保存時にブロッキング等の問題が生じる傾向が増大し、Tgが150℃以上の熱可塑性樹脂を用いると熱転写性を著しく阻害される可能性が生じる。
【0035】
上記接着性を有する粒子は、バインダー100重量部に対し5〜100重量部含有し、受像シートの表面状態により含有量を選択することが可能である。
【0036】
接着性を有する粒子が5重量部より少ないと接着性に劣り、100重量部以上含有されている場合成膜性において好ましくない。
【0037】
さらに、バインダーとしてワックス10重量部に対してポリエステル1〜100重量部を併用すると、受像シートへの印字性向上とともに、インキ層との接着性が向上するので受像シートの地汚れが防止される。
【0038】
上記仮接着剤層のせん断接着力(g)は、25mm(幅)×55mm(長さ)のサンプルを切り取り、表面性摩擦測定機(HEIDON−14、新東科学製)にて1,800mm/min.の引っ張り速度で測定した際に300〜2,000gの範囲が好ましい。接着力が上記範囲未満である場合には、熱転写媒体と受像シートの接着力が低過ぎ、両者が剥離し易く、熱転写媒体が皺になり易い。また、接着力が上記範囲を越えると、接着力が十分であるが、非印字部においてもインキ層が受像シートに転写され易く、受像シートの地汚れが発生する。
【0039】
仮接着剤層は、上記接着性を有する粒子、バインダーよりなる溶液をグラビアコート法、リバースコート法等で塗工し、厚さ0.05〜10μmの仮接着剤層を形成する。
【0040】
熱転写フィルムと受像シートとの接着は、熱転写フィルムの仮接着剤層に付与された接着性を利用しつつ連続的に受像シートを接着し、これをロール状に巻き取ることによって行われ、巻き取る際には受像シートを外側にしても、熱転写フィルムを外側にしてもよく、さらにこれらを枚葉に裁断したものであってもよい。
【0041】
次に、参考発明1に係る熱転写媒体について、その好ましい実施態様を挙げて説明する。
【0042】
参考発明1の熱転写媒体は、第3図に示す通り熱転写フィルム1と、受像シート2が剥離可能に接着してなる共巻き熱転写媒体である。上記熱転写フィルム1は、フィルム10上に顔料とバインダーおよび接着性を有する粒子を含有したインキ層20が形成されたものである。
【0043】
参考発明1の熱転写媒体で用いられる基材フィルムは、上述した本発明の場合と同様である。
【0044】
又、該基材フィルムの背面には、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良くするために、前述したと同様のスリップ層を設けることも可能である。
【0045】
上記基材フィルム上に設ける熱溶融性インキ層は、顔料とバインダーと接着性を有する粒子とからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものでもよい。顔料は、ブラック単色印字用には勿論カーボンブラックが好ましく、多色印字用には、シアン、マゼンタ、イエロー等の有彩色顔料を使用する。これらの顔料の使用量はインキ層中で約5〜70重量%を占める割合が一般的に好ましい。
【0046】
バインダーとしては、ワックスを主成分とし、その他ワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロース及びゴムの誘導体等との混合物が用いられる。
【0047】
ワックスの代表例としては、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。又、エチレン−酢酸ビニル共重合体等熱可塑性樹脂を1種又は2種以上含有してもよい。
【0048】
参考発明1では更に上記インキ層内に接着性を有する粒子を含有することを特徴とする。
【0049】
参考発明1で使用する接着性を有する粒子としては、最低成膜温度50℃以上150℃以下の熱可塑性樹脂で、例えば、EVA、アイオノマー、ポリエチレンワックス、ポリオレフィン等が挙げられる。最低成膜温度50℃以下の樹脂を用いた場合、熱溶融性インキ層を形成する際接着性を有する粒子の粒径が保たれず、点接着効果が発揮されない、等の問題が発生する。又、最低成膜温度が150℃以上のものを用いた場合、熱転写性を著しく阻害する等の問題が生じる。又、接着性を有する粒子の粒径は0.1μm以上100μm以下のものが用いられ、粒径0.1μm以下の粒子を用いた場合、熱転写媒体と受像シートとを点接着することが困難であり、粒径100μm以上の粒子を用いた場合印字感度が低下する。ただし、接着性を有する粒子はその粒径の大きさそのものより、粒子がインキ層表面から突出し、転写フィルムと受像シートとを点接着させることが重要である。
【0050】
接着性を有する粒子は、バインダー100重量部に対し、5〜100重量部含有してあればその効果を示すが、受像シートの表面状態により含有量を選択することが可能であり、インク層表面より接着性を有する粒子が突出していることにより、熱転写フィルムと受像シートとを良好な状態で点接着することが可能である。
【0051】
参考発明1においては、熱転写フィルムと受像シートとの間の点接着密度(1mm2 当たりの接着点の個数)が10個/mm2 〜100,000個/mm2 の範囲にあることが好ましい。点接着密度が10個/mm2 未満では、接着力が十分ではなく、一方、100,000個/mm2 を超えると接着力が向上し、その結果地汚れを生じ好ましくない。
【0052】
接着性粒子の含有量が少ないと、十分な接着性を示さず、熱転写媒体にしわが発生しやすい。一方多すぎると、印字濃度を低下させる地汚れを生じる等の問題が生じる。
【0053】
基材フィルム上に熱溶融性インキ層を形成する方法としては、上記のバインダーを他の必要成分と共に溶融混練して溶融液を作成し、これをホットラッカーコートする一般的方法で行うことが出来るが、より好ましい方法はバインダーをアルコール等を含んでもよい水性媒体中に乳化又は分散させたエマルジョンと、顔料及び接着性を有する粒子の水性分散体を混合したエマルジョンインキを塗工及び乾燥して形成する方法である。この様にして形成するインキ層は通常は0.5〜20μm程度の厚みに形成することが好ましい。
【0054】
又、上記熱溶融性インキ層の形成に際しては、基材フィルム面に厚さ0.1〜20μm程度のマット層を形成して、印字物にマット感を与えることが出来る。この場合のマット層は、前記の本発明の場合と同様である。又、基材フィルム表面又はマット層表面に、予めワックスからなる剥離層を形成しておき、剥離層が転写後に転写画像の表面保護層とすることも出来る。剥離層の形成はホットメルトコート、ホットラッカーコート或いはエマルジョンコート法でもよい。かかる剥離層は一般的には0.1〜5μm程度の厚みである。
【0055】
上記インキ層に付与されるせん断接着力(g)は、25mm(幅)×55mm(長さ)のサンプルを切り取り、表面性摩擦測定機(HEIDON−14、新東科学製)にて1,800mm/min.の引っ張り速度で測定した際に300〜2,000gの範囲が好ましい。接着力が上記範囲未満である場合には、熱転写媒体と受像シートの接着力が低過ぎ、両者が剥離し易く、熱転写媒体が皺になり易い。又、接着力が上記範囲を越えると、接着力は十分であるが、非印字部においてもインキ層が受像シートに転写され易く、受像シートの地汚れが発生する。
【0056】
受像シートとしては、前記本発明の場合と同様のものが使用可能である。
【0057】
熱転写フィルムと受像シートとの接着は、熱転写フィルムのインキ層に付与された接着性を利用しつつ連続的に受像シートを接着し、これをロール状に巻き取ることによって行われ、巻き取る際には受像シートを外側にしても、熱転写フィルムを外側にしてもよく、更にこれらを枚葉に裁断したものであってもよい。
【0058】
次に、参考発明2の実施態様について説明する。
【0059】
参考発明2の熱転写シートの好ましい1例の断面図を図4、図5及び図6に示す。
【0060】
参考発明2の熱転写シートは、第4図に示す通り熱転写フィルム1と、受像シート2が剥離可能に接着してなる共巻き熱転写シートである。上記熱転写フィルム1は、フィルム10上に顔料とバインダーおよびゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーを含有した接着性を有するインキ層20が形成されたものである。図5に示すものは、参考発明2の熱転写シートの応用例であり、インキ層20と受像シート2の間には仮接着剤層30が形成されたものである。又、第6図に示すものは応用例であり、基材フィルム10とインキ層20の間には剥離層及び/又はマット層40が形成されている。更に背面にはスリップ層50が形成されてもよい。
【0061】
参考発明2の熱転写シートで用いられる基材フィルムは、前記した本発明の場合と同様である。
【0062】
又、該基材フィルムの背面には、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良くするスリップ層を設けることも可能であるが、このスリップ層は前述した本発明の場合と同様である。
【0063】
上記基材フィルム上に設ける熱溶融性インキ層は、顔料とバインダーとゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーとからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものでもよい。顔料は、ブラック単色印字用には勿論カーボンブラックが好ましく、多色印字用には、シアン、マゼンタ、イエロー等の有彩色顔料を使用する。これらの顔料の使用量はインキ層中で約5〜70重量%を占める割合が一般的に好ましい。
【0064】
バインダーとしては、ワックスを主成分とし、その他ワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロース及びゴムの誘導体等との混合物が用いられる。
【0065】
ワックスの代表例としては、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。又、エチレン−酢酸ビニル共重合体等熱可塑性樹脂を1種又は2種以上含有してもよい。参考発明2では更に上記インキ層内にゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする。
【0066】
参考発明2で使用するゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等の合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。これらは、1重量%〜50重量%含有してあればその効果を示すが、特に5〜40重量%の時が良好な結果を示す。熱可塑性エラストマーの含有量が少ないと、十分な接着性を示さず、又印字不良が発生しやすい。一方多すぎると、印字濃度を低下させる等の問題が生じる可能性がある。
【0067】
上記ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーは、その引張強度(JIS K6301)が1kg/cm2 以上100kg/cm2 未満が好ましい。熱可塑性エラストマーの引張強度が1kg/cm2 以下及び100kg/cm2 以上では印字品質の低下を招く。
【0068】
さらに、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーのTgは−10℃から40℃の範囲のものが好ましく、Tgが−10℃以下のものを用いると基材との密着性が高く印字後印字部分が剥離しにくい。又、Tgが40℃以上のものを用いると被膜強度が弱くなり非印字部においてインキ層が受像シートにとられるといった地汚れを生じる等の問題が発生する。
【0069】
また、参考発明2においては、熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側と前記受像シートとの間の、接着面積2.5×5.5cmにおける剪断接着力が、300〜2000gの範囲であり、かつ、印字後における印字部分の90℃剥離力が、0.1〜50g/2.5cmの範囲であることが重要である。剪断接着力が300g未満もしくは剥離力が0.1g/2.5cm未満の場合、印字後の熱転写フィルムの剥離は容易に行われるがインクフィルムと受像紙の接着力が低く、印字時熱転写媒体にしわが起きやすい。一方、剪断接着力が2000gを超えるか、もしくは剥離力が50g/2.5cmを超えると、印字後の剥離が困難となり、あるいは転写部分が受像シート表面と一緒に剥離されて白抜け(ドロップアウト)が生じやすくなるので好ましくない。
【0070】
上記の熱可塑性エラストマーを含有したインキ層と受像シーとを剥離可能に貼り合わせることができる。さらに、必要に応じて、仮接着剤層を別途設けてもよい。
【0071】
基材フィルム上に熱溶融性インキ層を形成する方法としては、上記のワックスを主体とするバインダーを他の必要成分と共に溶融加熱し、混合して塗工するホットメルト法及び溶融混練して溶融液を作成し、これをホットラッカーコートする一般的方法で行うことが出来るが、より好ましい方法はワックスを主体とするバインダーをアルコール等を含んでもよい水性媒体中に乳化又は分散させたエマルジョンと、顔料及び熱可塑性エラストマーの水性分散体を混合したエマルジョンインキを塗工及び乾燥して形成する方法である。この様にして形成するインキ層は通常は1〜20μm程度の厚みに形成することが好ましい。
【0072】
又、上記熱溶融性インキ層の形成に際しては、基材フィルム面に厚さ0.1〜20μm程度のマット層を形成して、印字物にマット感を与えることが出来る。
【0073】
マット層の形成はホットメルトコート、ホットラッカーコート或いはエマルジョンコート法でもよい。
【0074】
受像シートとしては厚さ25〜500μmが好ましく、通常の上質紙、普通紙、合成紙、布、プラスチックフィルム等、熱転写可能なシート又はフィルムであればよく、従来の熱転写用受像シートとして使用されているものであればよい。又、これらの受像シートのサイズはA版、B版等の枚葉紙でもよいが、好ましくは任意の幅の連続シートである。
【0075】
また、上記合成紙としては、具体的には、下記のようなものが使用できる。
王子油化合成紙(株)製 「ユポ(R) 」
日清紡績(株)製 「ピーチコート(R) 」
王子油化合成紙(株)製 「ユポコート(R) 」
Dupont社製 「タイベック(R) 」
三井ゼラパック(株)製 「SWP(R) 」
東洋紡績(株)製 「トヨパール(R) 」、「クリスパー(R) 」
阿波製紙(株)製 「アルト(R) 」、「ピュアリー(R) 」
タツノ化学(株)製 「タフパー(R) 」
東海パルプ(株)製 「イレブン(R) 」
【0076】
なお、参考発明2においては、上記のような受像シートのインキ受容性を向上させるために、厚さ0.1μm〜50μmの受容層を設けることもできる。受容層は耐水性にすぐれ、受像シートと熱溶融性インキとの相溶性を増加させる。たとえば、線状ポリエステル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンワックス、マレイン酸変性ロジン誘導体、エステルガム等熱溶融性インキの受理性を考慮して適宜選択されるもので、特にこれらには限定されない。特に静電気、粉塵付着を防止するために界面活性剤などの添加剤や、表面光沢を改善する無機充填剤(たとえば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン)や有機充填剤(たとえばアクリル酸エステル系微粒子)、あるいは蛍光増白剤を使用することもできる。
【0077】
これら受容層の塗布形成は、その塗布液の種類、状態、塗布量と、受像シートの物性によって、通常の方法から選択することができる。そして、グラビアコート、ロールコート、ナイフコート、スライドコートなどの方法が用いられ得る。また、塗布量は、単なる接着の場合は塗布できる最低量で足りるが、螢光性などの特性を持たせる場合は、必要に応じた量を塗布する。通常は、0.5〜50μmの範囲に塗布することが望ましい。
【0078】
さらに、参考発明2においては、必要に応じて、受像シートの貼り合わせ面およびその裏面に帯電防止層を設けてもよい。この場合の帯電防止剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤などが用いられ得る。
【0079】
参考発明2において必要に応じて設けられ、上記熱転写フィルムと受像シートとを仮接着させる仮接着剤層は、従来公知のいずれの接着剤でもよいが、好ましい接着剤はガラス転移温度の低い粘着性樹脂とワックスとからなる。かかる接着層の接着力(g)は、25mm(幅)×55mm(長さ)のサンプルを切り取り、表面性摩擦測定機(HEIDON−17、新東科学製)にて1,800mm/min.の引っ張り速度で測定した際に300〜2,000gの範囲が好ましい。
【0080】
接着力が上記範囲未満である場合には、熱転写シートと受像シートの接着力が低過ぎ、両者が剥離し易く、熱転写シートが皺になり易い。又、接着力が上記範囲を越えると、接着力は十分であるが、非印字部においてもインキ層が受像シートに転写され易く、受像シートの地汚れが発生する。
【0081】
上記粘着性樹脂のガラス転移温度は−90℃〜−50℃の範囲であるのが好ましく、この様な粘着性樹脂の例としてはゴム系の粘着性樹脂、アクリル系の粘着性樹脂及びシリコーン系の粘着性樹脂等があり、形態的には溶剤溶液型、水溶液型、ホットメルト型、水性又は油性エマルジョン型等、いずれも使用することが出来る。
【0082】
上記粘着性樹脂を単独で使用する場合には、優れた粘着性が得られるが、受像シートの剥離性が不十分且つ不均一であり、製造、保管、輸送時等、熱転写前に不意の力が加わった場合、熱転写シートのインキ層が受像シートに転写され地汚れを生じるという問題がある。又、熱転写時にはインキ層の箔切れが劣り、例えば、サーマルヘッドによる熱印加領域の周囲までインキ層が転写し、転写画像の解像性が劣る。
【0083】
これらの問題は、上記エマルジョン粘着性樹脂に、インキ層の形成に使用した様なワックスのエマルジョンを添加することにより、粘着性が好ましい範囲に調整出来、上記地汚れの問題が解決され、転写画像の解像性が向上する。
【0084】
上記粘着性樹脂とワックスとの重量比は1:0.5〜4であるのが好ましく、この範囲を外れると上記の如き種々の問題が発生し易く好ましくない。
【0085】
上記の成分からなる仮接着剤層は、受像シートの表面に設けてもよいが、この場合には印字物に粘着性が残る為、熱転写フィルムのインキ層の表面に設けることが好ましく、この場合、粘着性樹脂を水性のエマルジョンとして使用するのでインキ層を損なうこともなく好ましい。エマルジョンの塗工方法や乾燥方法は特に限定されない。上記仮接着剤層は、0.1〜10μm(固形分塗工量として0.05〜5g/m2 )の厚みが好ましい。
【0086】
熱転写フィルムと受像シートとの接着は、熱転写フィルムのインキ層もしくは仮接着剤層に付与された接着性を利用しつつ連続的に受像シートを接着し、これをロール状に巻き取ることによって行われ、巻き取る際には受像シートを外側にしても、熱転写フィルムを外側にしてもよく、更にこれらを枚葉に裁断したものであってもよい。
【0087】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中、部または%とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0088】
実施例A1
裏面にスリップ層が設けられている厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材フィルムとし、その一方の面に下記組成物よりなるマット層を形成し、その上に下記のインキ組成物1を固形分で3g/m2 となる割合でグラビアコーティングを行い、80〜90℃で乾燥してインキ層を形成し、さらにその上に下記組成の仮接着剤層をグラビアコート法で、乾燥時の塗工量が0.3g/m2 とある割合で塗工して本発明における熱転写フィルムを得た。
マット層用塗工液
カーボンブラック 50部
ポリエステル樹脂 50部
イソシアネート 3部
MEK/トルエン(1/1) 60部
インキ組成物1
カーボンブラック 13部
カルナバワックス 9部
パラフィンワックス 60部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 24部
マイクロクリスタリンワックス 3部
仮接着剤層組成物1
カルナバワックスエマルジョン 70部
マイクロクリスタリンワックスエマルジョン 10部
EVA粒子(平均粒径10μm) 20部
さらに上記熱転写フィルム形成後、コート紙(受像シート)と、ニップ温度50℃、ニップ圧5Kg/cm2 で貼り合わせ、本発明の熱転写媒体を得た。
【0089】
実施例A2
仮接着剤層組成物1の代わりに仮接着剤層組成物2を用いた以外は実施例A1と同様の熱転写媒体を得た。
仮接着剤層組成物2
カルナバワックスエマルジョン 40部
ポリエステルワックスエマルジョン 40部
EVA粒子(平均粒径10μm) 20部
比較例A1
仮接着剤層組成物1の代わりに仮接着剤層組成物3を用いた以外は実施例A1と同様の方法で熱転写媒体を得た。
仮接着剤層組成物3
アクリル樹脂エマルジョン 10部
カルナバワックスエマルジョン 20部
イソプロパノール 60部
水 30部
比較例A2
仮接着剤層組成物1の代わりに仮接着剤層組成物4を用いた以外は実施例A1と同様の方法で熱転写媒体を得た。
仮接着剤層組成物4
シリコーン変性アクリル樹脂エマルジョン 10部
カルナバワックスエマルジョン 20部
イソプロパノール 60部
水 30部
これらの熱転写媒体をファクシミリプリンターにセットして、25℃、50%の環境下で0.3mJ/dotのエネルギーをサーマルヘッドに与えて印字後、被転写材を剥離することによって被転写材上に所望の画像を形成し、シワ、接着力、印字感度を評価し、その後巻き取り状態で50℃の環境下で2週間放置した後剥がして被転写材地汚れ状態を評価した。
【0090】
実施例A3
インキ組成物1の代わりに下記のインキ組成物を用いた以外は実施例A1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物
銅フタロシアニングリーン 13部
カルナバワックス 9部
パラフィンワックス 60部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 24部
マイクロクリスタリンワックス 3部
【0091】
実施例A4
インキ組成物1の代わりに下記のインキ組成物を用いた以外は実施例A1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物
ピグメントレッド 13部
カルナバワックス 9部
パラフィンワックス 60部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 24部
マイクロクリスタリンワックス 3部
【0092】
実施例A5
インキ組成物1の代わりに下記のインキ組成物を用いた以外は実施例A1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物
フタロシアニンブルー 13部
カルナバワックス 9部
パラフィンワックス 60部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 24部
マイクロクリスタリンワックス 3部
評価基準は以下の通りである。
以上の如き本発明によれば、インキ層と受像シートの間に接着性を有する粒子を含有する仮接着剤層を形成することにより、熱転写フィルムと受像シートとを点状に接着し、その接着力の制御を良好な状態で行うことが可能となる。また、接着性を有する粒子の最低成膜温度が50℃以上であることにより、50℃の保存環境下においても、接着性を有する粒子の粒径が保持されることにより、保存性の優れた熱転写媒体を提供できる。
【0093】
参考例B1
裏面にスリップ層が設けられている厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材フィルムとし、その一方の面に、下記組成のマット層用塗工液を0.5g/m2 の割合で塗工し、80〜90℃で乾燥してマット層を形成し、更にその表面に下記のインキ組成物を固形分で4g/m2 となる割合でグラビアコーティングを行い、80〜90℃で乾燥してインキ層を形成した。
マット層用塗工液
カーボンブラック 24部
ポリエステル樹脂 16部
分散剤 1.5部
硬化剤 3部
MEK/トルエン(1/1) 60部
インキ組成物1
カーボンブラック 10部
カルナバワックスエマルジョン 30部
パラフィンワックスエマルジョン 20部
EVA粒子(最低成膜温度70℃、平均粒径10μm) 10部
水 30部
更に上記インキ層を形成後、コート紙(受像シート)とニップ温度50℃、ニップ圧5kg/cm2 で貼り合わせ、参考発明1の熱転写媒体を得た。
【0094】
参考例B2
インキ組成物1の代わりにインキ組成物2を用いた以外は参考例B1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物2
銅フタロシアニングリーン 10部
カルナバワックスエマルジョン 30部
ポリエステルワックスエマルジョン 10部
アイオノマー粒子(最低成膜温度80℃、平均粒径0.2μm) 20部
水 20部
比較例B1
インキ組成物1の代わりにインキ組成物3を用いた以外は参考例B1と同様にして比較の熱転写媒体を得た。
インキ組成物3
カーボンブラック 10部
カルナバワックス 40部
パラフィンワックス 10部
マイクロクリスタリンワックス 10部
水 30部
比較例B2
インキ組成物1の代わりにインキ組成物4を用い、その上に下記組成の仮接着剤をグラビアコート法で、乾燥時の塗工量が0.5g/m2 となる割合で塗工して仮接着剤層を設けた熱転写媒体を得た。
インキ組成物4
カーボンブラック 10部
カルナバワックス 40部
ポリエチレンワックス 10部
パラフィンワックス 5部
水 40部
仮接着剤組成物
アクリル樹脂エマルジョン 10部
カルナバワックスエマルジョン 20部
イソプロパノール 60部
水 30部
【0095】
参考例B3
インキ組成物1の代わりに下記のインキ組成物を用いた以外は参考例B1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物
フタロシアニン 10部
カルナバワックス 50部
マイクロクリスタリンワックス 30部
EVA粒子(最低成膜温度0℃、平均粒径20μm) 10部
【0096】
参考例B4
インキ組成物1の代わりに下記のインキ組成物を用いた以外は参考例B1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物
カーボンブラック 15部
パラフィンワックス 50部
マイクロクリスタリンワックス 30部
EVA粒子(最低成膜温度70℃、平均粒径40μm) 2部
【0097】
参考例B5
インキ組成物1の代わりに下記のインキ組成物を用いた以外は参考例B1と同様の熱転写媒体を得た。
インキ組成物
カーボンブラック 10部
カルナバワックスエマルジョン 30部
パラフィンワックスエマルジョン 10部
アイオノマー粒子(最低成膜温度90℃、平均粒径0.1μm) 40部
水 10部
これらの熱転写媒体をファクシミリプリンターにセットして、25℃、50%の環境下で0.3mJ/dotのエネルギーをサーマルヘッドに与えて印字後、被転写材を剥離することによって被転写材上に所望の画像を形成して、印字感度を評価し、その後巻きとり状態で50℃の環境下で2週間放置した後、剥がして被転写材の地汚れ状態を評価した。
以上の如き参考発明1によれば、インキ層に接着性を有する粒子を添加することで、インキ層内に接着性を付与し、仮接着剤層をなくすことによる印字感度の向上が可能であるとともに、熱転写フィルムと被転写材を点状に接着することが可能となり、接着力を良好な状態で調節できるとともに、保存後も接着性粒子の粒径が保たれていることにより保存性が向上する。
【0098】
参考例C1
裏面にスリップ層が設けられている厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材フィルムとし、その一方の面に、下記組成のマット層用塗工液を0.5g/m2 の割合で塗工し、80〜90℃で乾燥してマット層を形成し、更にその表面に下記のインキ組成物を固形分で4g/m2 となる割合でグラビアコーティングを行い、80〜90℃で乾燥してインキ層を形成した。
マット層用塗工液
カーボンブラック 24部
ポリエステルワックス 16部
分散剤 1.5部
硬化剤 3部
MEK/トルエン(1/1) 60部
インキ組成物1
カーボンブラック 10部
カルナバワックス 40部
アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン、Tg4℃)10部
エチレン−酢酸ビニルゴムラテックス 10部
水 30部
更に上記インキ層塗工後、ポリエステル不織布とニップ温度50℃、ニップ圧5kg/cm2 で貼り合わせ、参考発明2の熱転写媒体を得た。
【0099】
参考例C2
インキ組成物1の代わりにインキ組成物2を用いた以外は参考例C1と同様の方法で熱転写媒体を得た。
インキ組成物2
カーボンブラック 10部
カルナバワックス 40部
スチレン−ブタジエンゴムラテックス(Tg20℃) 10部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10部
水 30部
【0100】
参考例C3
インキ組成物1の代わりにインキ組成物3を用い、その上に下記組成の仮接着剤をグラビアコート法で、乾燥時の塗工量が0.5g/m2 となる割合で塗工して仮接着剤層を設けた熱転写媒体を得た。
インキ組成物3
カーボンブラック 10部
カルナバワックス 40部
アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス
(日本ゼオン、Tg−30℃) 10部
エチレン−酢酸ビニルゴムラテックス 5部
水 40部
仮接着剤組成物
アクリル樹脂エマルジョン 10部
カルナバワックスエマルジョン 20部
イソプロパノール 60部
水 30部
【0101】
参考例C4
インキ組成物3の代わりにインキ組成物4を用い、受像シートとしてピーチコート紙(R) と貼り合わせた以外は参考例C3と同様の方法で熱転写媒体を得た。
インキ組成物4
カーボンブラック 10部
カルナバワックス 40部
スチレン−ブタジエンゴムラテックス(Tg20℃) 10部
エチレン−酢酸ビニルゴムラテックス 5部
水 40部
【0102】
参考例C5
インキ組成物3の代わりにインキ組成物5を用い、受像シートとしてユポ(R) と貼り合わせた以外は参考例C3と同様の方法で熱転写媒体を得た。
インキ組成物5
カーボンブラック 15部
カルナバワックス 40部
スチレン−ブタジエンゴムラテックス(Tg50℃) 20部
水 15部
【0103】
参考例C6
インキ組成物3の代わりにインキ組成物5を用いた以外は参考例C3と同様の方法で熱転写媒体を得た。
インキ組成物6
カーボンブラック 15部
カルナバワックス 40部
スチレン−ブタジエン共重合体(Tg−12℃) 20部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10部
水 15部
比較例C1
インキ組成物3の代わりにインキ組成物7を用いた以外は参考例C3と同様の方法で熱転写媒体を得た。
インキ組成物7
カーボンブラック 15部
カルナバワックス 40部
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10部
水 35部
比較例C2
インキ組成物1の代わりにインキ組成物7を用いた以外は参考例C1と同様の方法で熱転写媒体を得たが、一体型とすることはできなかった。
これらの熱転写媒体をファクシミリプリンターにセットして、25℃、50%の環境下で0.3mJ/dotのエネルギーをサーマルヘッドに与えて印字後、被転写材を剥離することによって被転写材上に所望の画像を形成して、表C1に示すような評価を行った。
シワ評価方法
印字中に媒体に発生する状態変化(シワ発生)を目視で観察した。
接着力評価方法
25mm(幅)×55mm(長さ)のサンプルを切り取り、表面性摩擦測定機(HEIDON17 新東科学製)にて1800mm/min の引張速度で接着力を測定した。 剥離力評価方法
JIS K6854に基づき、試験片を25mm幅に切取り表面性摩擦測定機(HEIDON17 新東科学製)にて1800mm/min の引張速度で印字部の90°剥離力を測定した。
その結果、印字後剥離する際の90°剥離力が50g/25mm以下であれば問題ないが、それ以上の場合白筋等の印字不良の原因となる。
印字品質評価方法
25℃、50%の環境下でファクシミリプリンターで印字後、評価した。
地汚れ評価方法
インクシートと受像紙を貼合せて1ヵ月後にインクシートを剥がして評価した。
【0104】
以上の如き参考発明2によれば、インキ層にゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーを添加することで、インキ層内に接着性を付与し、且つ、熱溶融性インキ層の凝集力を高めることが可能となり、逆転写及び尾引きを防止する熱転写媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱転写媒体の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明による熱転写媒体の実施例を示す断面図である。
【図3】参考発明1による熱転写媒体の実施例を示す断面図である。
【図4】参考発明2による熱転写媒体の実施例を示す断面図である。
【図5】参考発明2による熱転写媒体の実施例を示す断面図である。
【図6】参考発明2による熱転写媒体の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,10 熱転写フィルム
2 受像シート
20 インキ層
30 仮接着剤層
40 マット層
50 スリップ層
Claims (2)
- 基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成された熱溶融性インキ層とからなる熱転写フィルムと、
該熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側に仮接着剤層を介して剥離可能に接着された受像シート、
とからなり、
前記仮接着剤層が、
最低成膜温度50℃〜150℃の樹脂からなる接着性を有する粒子と、
バインダー(ただし、Tg50℃以下のものは含まない)
とからなり、
前記熱転写フィルムの熱溶融性インキ層側と前記受像シートとが点接着密度(1mm2 当たりの接着点の個数)10個/mm2 〜100,000個/mm2 の範囲の点接着状態で接着してなることを特徴とする、熱転写媒体。 - 前記仮接着剤層が、バインダーとして、ワックスおよびTg50℃〜150℃の樹脂を少なくとも1種含有する、請求項1に記載の熱転写媒体。
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