JP2006306087A - 保護層転写シート及び印画物 - Google Patents

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Abstract

【課題】被転写体への転写時において静電気の発生が極めて少なく、転写性が良い保護層転写シートと、帯電防止性、耐可塑剤性及び透明性に優れた印画物を提供する。
【解決手段】基材シートの表面の少なくとも一部に剥離可能に保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体は、コロイド状無機顔料超微粒子を用いて形成してなる導電層を含むことを特徴とする保護層転写シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護層転写シート及び該保護層転写シートから得られる印画物に関する。
簡便な印刷方法として、種々の熱転写方法が広く使用されるようになっている。カラー画像を得る場合には、連続した基材シート上に、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアン、更に必要に応じてブラックの着色熱転写層を面順次に、繰り返し多数設けた熱転写シートを用いる熱転写方法が行われている。着色熱転写層としては、(1)加熱によって軟化し、画像を被転写体上に熱転写により形成する熱溶融型色材層と、(2)加熱によって染料が昇華(熱移行)して染料のみが被転写体上に熱転写して画像を形成する昇華性染料層とに大別される。
熱溶融型色材層による画像は、耐久性、特に耐摩擦性に劣るという欠点がある。昇華性染料層による画像は、通常の印刷インキによるものとは異なり、ビヒクルが無いため、耐光性、耐候性、耐摩擦性等の耐久性に劣るという欠点がある。その一方、熱転写方式が広く利用されている昨今、銀塩写真並みの耐久性が要求されるようになっている。
熱転写方式により得られた画像に耐久性を付与することを主目的として、画像上に保護層を設けるべく、予め保護層を設けた熱転写シートを用い、感熱プリンターにより画像を形成した上に該保護層を転写することが行われている。しかしながら、熱転写シートから該保護層を剥離する時に静電気が多量に発生し、これが原因となって感熱プリンター内での被転写体や熱転写シートの搬送不良が生じる問題があった。
この問題を解決するために、上記のように転写するべく予め熱転写シートに設けた保護層(保護転写層)中に、帯電防止剤を含有する帯電防止層を備えること、また、帯電防止剤は保護転写層を構成する保護層又は接着層に含有させてもよいこと、及び、帯電防止剤としては、四級アンモニウム塩である界面活性剤、アンチモン酸亜鉛等の導電性金属酸化物等を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、導電剤が四級アンモニウム塩系界面活性剤等である場合、経時的に保護転写層の最表面にブリードアウトしてしまい、印画時の転写性(接着性)が損なわれる問題、また、耐可塑剤性が悪化する問題等がある。
四級アンモニウム塩系界面活性剤の問題を解決することを目的として、針状結晶の導電性無機物質を含む導電性保護層を設けてなる保護層熱転写シートが提案されている。針状結晶の導電性無機物質としては、チタン酸カリウム等の針状結晶をSnO/Sb系等の導電剤で処理したものを用いることができるとされる(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、導電剤が金属酸化物等の無機粒子である場合、添加量が多すぎると保護層の透明性が失われてしまい、白濁等を生じる問題がある。
以上の帯電防止剤(導電剤)は、何れもバインダー樹脂とともに層を形成する必要がある。しかしながら、バインダー樹脂を用いた導電剤からなる帯電防止層は、(1)基材シートや他の層との接着性を考慮しながら配合比を設定しなければならず、導電剤の添加量に制限があるので、所望の帯電防止能を得るためにはある程度のコート量が必要となる問題、(2)導電剤とバインダーの相溶性も考慮しなければならず組み合わせに制約がある問題等がある。
保護層転写フィルムとして、基材フィルム側から順次、透明性樹脂層、耐可塑剤性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成されている熱転写性樹脂層を設けてなるものが提案されている。このうち耐可塑剤性樹脂層は、熱転写画像上に存在することにより、外部から可塑剤や薬品等がしみ込み、画像に悪影響を与えるのを防ぐものとされ、アクリル系共重合樹脂に極性基としてアンモニウム塩、スルホン酸塩、酢酸塩等を導入した樹脂を用いた場合には、帯電防止性にも優れるとされる(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、アクリル系共重合樹脂に極性基を導入することにより得られる帯電防止性は、場合により帯電防止性が不充分である問題がある。
特開平11−105437号公報 特開2003−145946号公報 特開平11−156567号公報(請求項1、〔0031〕)
本発明の目的は、上記現状に鑑み、被転写体への転写時において静電気の発生が極めて少なく、転写性が良い保護層転写シートと、帯電防止性、耐可塑剤性及び透明性に優れた印画物を提供することにある。
本発明は、基材シートの表面の少なくとも一部に剥離可能に保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体は、コロイド状無機顔料超微粒子を用いて形成してなる導電層を含むことを特徴とする保護層転写シートである。
本発明は、基材シートの表面の少なくとも一部に剥離可能に保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体は、無機顔料超微粒子を用いて形成してなる導電層を含み、前記導電層は、バインダー樹脂を含有しないことを特徴とする保護層転写シートである。
本発明は、上述の本発明の保護層転写シートを用いて、画像面の少なくとも一部を覆うように保護転写積層体が転写形成されていることを特徴とする印画物である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の保護層転写シートは、その1つの態様として、例えば図1に示すように、基材シート1の一方の面に保護転写積層体3を備え、また、基材シート1の他方の面には耐熱滑性層7が設けられている。図1に示す態様では、上記保護転写積層体3は、基材シート側から順次、保護層4、導電層5及び接着層6の順に積層してなるものである。
本発明の保護層転写シートにおいて、上記保護転写積層体3は、例えば図2に示すように、離型層2を介して上記基材シート1に設けられたものであってもよい。
なお、基材シート1と保護転写積層体3との離型性が良好である場合には上記離型層2の形成は必須ではない。
次に本発明の保護層転写シートを構成する各層の説明を行う。
(基材シート)
本発明の保護層転写シートにおける基材シートとしては、従来の熱転写シートに使用されているものと同様の基材シートをそのまま用いることができる。上記基材シートは、特に限定されないが、易接着処理等、各種表面処理を行ったものであってもよい。
上記基材シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート〔PET〕等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等のプラスチックフィルム;グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類;セロファン等が好ましい。
また、上記基材シートは、上記プラスチックフィルム、紙類及びセロファンのうち2種以上を積層した複合フィルムであってもよい。
上記基材シートの厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができるが、2.5〜100μm程度であることが好ましい。
(離型層)
本発明の保護層転写シートは、保護転写積層体の転写性を好適にする目的で、基材シートの表面のうち保護転写積層体を形成する領域に離型層を設けることが好ましい。
上記離型層を形成する樹脂としては、従来公知の離型性樹脂であれば何れであってもよく、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。
本発明において、上記離型層は、1種の樹脂からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。
上記離型層は、上記離型性樹脂に加え、イソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成したものであってもよい。
上記離型層は、例えば、上記離型性樹脂を溶剤に溶解させた離型層塗工液を、基材シートの表面のうち保護転写積層体を形成する領域に、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコートなどの方法にて、厚み(乾燥基準)0.5〜5μm程度になるように塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記離型層塗工液は、上記離型性樹脂、及び、必要に応じて配合する架橋剤又は触媒を、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール等の適当な溶剤に溶解させることにより調製することができる。上記離型層塗工液は、固形分濃度が約5〜50質量%であることが好ましい。
上記離型層は、(1)熱転写時に被転写体に移行するもの、(2)基材シート側に残るもの(非転写性のもの)、(3)凝集破壊するもの等を適宜選択することができるが、表面光沢性、保護転写積層体の転写安定性等の点で、(2)非転写性のものが好ましい。
本発明の保護層転写シートにおいて、保護転写積層体が非転写性の離型層を介して基材シートに備えたものである場合、熱転写に際し、保護転写積層体は被転写体上に形成された画像上に転写されて該画像の保護層となるが、離型層は基材シート側に残存するので、得られる印画物の帯電防止性及び透明性を向上することができる。
また、転写後に艶消しの保護層が望ましい場合には、離型層中にシリカ、ポリエチレンワックス、メラミンなどの各種の粒子を包含させるか、あるいは離型層の保護層側の表面をマット処理することにより、転写後の保護層表面をマット状にすることもできる。
(保護転写積層体)
本発明の保護層転写シートは、基材シートの表面の少なくとも一部に剥離可能に保護転写積層体を備えているものである。
上記保護転写積層体は、一般に、基材シートの一方の表面に、基材シート側から順次、(I)保護層、(II)導電層及び(III)接着層の順に積層してなるものである。
上記(I)保護層は、通常、被転写体に形成された画像を保護するために該画像上に転写させるべく、耐久性及び透明性に優れた樹脂であれば、従来公知の何れの樹脂も使用可能である。
上記(I)保護層における樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記(I)保護層は、例えば、適当な溶剤又は分散液に上述の樹脂を溶解又は分散させた保護層塗工液を、基材シート又は離型層の表面に、上述の従来公知の方法にて厚み(乾燥基準)0.5〜5g/m程度になるように塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記保護層塗工液における溶剤としては、離型層塗工液に関し例示したものが挙げられる。
上記保護層塗工液は、上述の離型層塗工液と同様に調製することができる。上記保護層は、転写性の点で、四級アンモニウム塩系界面活性剤は含有しないものであることが好ましい。
本明細書において、各塗工液の乾燥後塗布量は、測定対象となる塗工液を塗布する前と該塗工液を塗布、乾燥した後の各シートの質量を分析天びん(AUX220、島津製作所社製)を用いて測定し、その質量差を塗布部分の面積で除して求めたものである。
上記(II)導電層は、本発明の保護層転写シートの第1の態様において、コロイド状無機顔料超微粒子を用いて形成してなるものである。
本発明の保護層転写シートは、上記(II)導電層がコロイド状無機顔料超微粒子を用いて形成してなるものであるので、保護転写積層体のバリア性及び転写性が高く且つ耐可塑剤性が良い。
上記コロイド状無機顔料超微粒子としては、例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、導電性コロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられるが、なかでも、導電性コロイド状無機顔料超微粒子が好ましい。
上記導電性コロイド状無機顔料超微粒子としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸金属塩;アルミナ又はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物類;炭酸マグネシウム等の炭酸塩;等、従来公知の化合物を使用することができるが、金属酸化物類、炭酸塩が好ましく、金属酸化物類がより好ましく、アルミナ又はアルミナ水和物が更に好ましく、特に、アルミナゾルが好ましい。
本発明の保護層転写シートの第1の態様において、(II)導電層は、コロイド状無機顔料超微粒子を用いて形成してなるものであるので、バインダー樹脂を含有する必要がなく、導電層用塗工液の塗布量を低減し得る点で、バインダー樹脂を含有しないものであることが好ましい。
本発明において、上記コロイド状無機顔料超微粒子は、水系溶媒にゾル状に分散しやすくする目的で、塩酸、酢酸等の分散安定剤を配合して酸性タイプに処理したものであってもよいし、微粒子電荷をカチオンにしたものであってもよいし、表面処理したものであってもよい。
本発明におけるコロイド状無機顔料超微粒子は、例えば、アルミナゾル100(日産化学工業社製)、アルミナゾル200(日産化学工業社製)等、市販品であってもよい。
本発明の保護層転写シートにおいて、(II)導電層は、第2の態様として、無機顔料超微粒子を用いて形成してなり、バインダー樹脂を含有しないものとすることができる。
上記無機顔料超微粒子としては、上述のコロイド状無機顔料超微粒子の他、特開2003−145946号公報に記載の針状結晶導電性無機物質等であってもよいが、バインダー樹脂を用いなくても造膜性に優れる点で、コロイド状無機顔料超微粒子が好ましく、また、導電性に優れる点で、導電性無機顔料超微粒子が好ましく、導電性コロイド状無機顔料超微粒子がより好ましい。
本発明の保護層転写シートにおいて、上記(II)導電層は、第1の態様として、上記コロイド状無機顔料超微粒子を1種又は2種以上用いて形成してなるものであってよいし、第2の態様として、上記無機顔料超微粒子を1種又は2種以上用いて形成してなるものであってよい。
上記コロイド状無機顔料超微粒子等の無機顔料超微粒子の平均粒径は、通常100nm以下、好ましくは50nm以下、特に好ましくは3〜30nmである。
上記コロイド状無機顔料超微粒子等の無機顔料超微粒子は、平均粒径が上記範囲内にある場合、帯電防止性に非常に優れた保護層転写シートを得ることができる。
尚、ここでいう平均粒径は電子顕微鏡観察等の測定を元に算出したものである。
本明細書において、(II)導電層について、本発明の保護層転写シートにおける第1の態様又は第2の態様の何れであるかを明記しないときは、(II)導電層として、本発明の保護層転写シートにおける第1の態様及び第2の態様に共通する事項についての説明である。
上記(II)導電層は、白色度、隠蔽性の付与、調色等の目的に応じて、種々の顔料、染料、蛍光増白剤、その他添加剤を導電性を損なわない範囲で有するものであってもよい。
上記(II)導電層は、例えば、水性媒体に無機顔料超微粒子をゾル状に分散させてなる導電層用塗工液を用いて上記(I)保護層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記導電層用塗工液における水性媒体としては、水、イソプロピルアルコール等の水溶性アルコール、水と水溶性アルコールとの混合液等が挙げられる。
上記導電層用塗工液は、無機顔料超微粒子が水性媒体100質量部に対し1〜300質量部であることが好ましい。
上記(II)導電層は、バインダー樹脂を含有しないものとすることができるので、導電剤をバインダー樹脂に分散させてなる従来の導電層用塗工液を用いてなる導電層に比べ、少ない塗工量で所望の導電性を得ることができる。本発明の保護層転写シートは、少ない塗工量にて形成可能である(II)導電層を有するものであるので、透明性が高い保護層を被転写体に転写することができる。
上記導電層用塗工液は、乾燥後の塗布量が0.1〜10g/mの範囲で塗布することが可能であるが、優れた帯電防止性を付与する点で、上記塗布量が好ましくは0.15g/m以上、より好ましくは0.2g/m以上の量で塗布することができ、また、帯電防止性が充分である点で、上記塗布量が好ましくは5g/m以下、より好ましくは3g/m以下の量で塗布することができる。
上記乾燥は、通常、無機顔料超微粒子がゾル状から乾燥ゲル状になるように熱風乾燥等により行えばよい。
上記(III)接着層は、上記(II)導電層の基材シートと反対側の面に形成させるものであって、転写後における保護転写積層体と被転写体との密着性を向上させる機能を有するものである。
上記(III)接着層は、従来公知の感熱接着剤の何れであっても形成することができるが、ガラス転移温度が50〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
上記(III)接着層は、上述の離型層と同様に形成することができる。
本発明の保護層転写シートにおいて、保護転写積層体は、23℃、相対湿度60%である環境下に1×10〜1×1010Ω/□、好ましくは1×10〜5×10Ω/□の範囲の表面抵抗率を示す。
本明細書において、上記保護転写積層体の表面抵抗率は、JIS K 6911:1995に準拠して、温度23℃で相対湿度60%の環境下で、高抵抗率測定機(Hiresta IP MCP−HT250、ダイアインスツルメンツ社製)にて画像形成前における保護転写積層体表面を測定して得た値である。
本発明の保護層転写シートは、上記範囲内の表面抵抗率を示す保護転写積層体を有するので、帯電防止性に優れており、被転写体への転写時において静電気発生等のトラブルが殆ど生じない。
(耐熱滑性層)
本発明の保護層転写シートにおける耐熱滑性層は、耐熱性、印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させる目的で、上記基材シートの保護転写積層体と反対側の面上に熱可塑性樹脂を用いて形成されるものである。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸エステル系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;スチレンアクリレート系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエーテル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアクリルアミド樹脂;ポリビニルクロリド樹脂;ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂;等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が好ましく、耐熱性等の点で、ポリアミドイミド系樹脂又はそのシリコーン変性物等がより好ましい。
上記耐熱滑性層は、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、エステル、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の熱離型剤;フッ素樹脂等の有機粉末;シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子;等の各種添加剤を配合してなるものであってもよい。
上記耐熱滑性層は、耐熱滑性層塗工液を調製し、この塗工液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記耐熱滑性層塗工液は、上記熱可塑性樹脂のみを溶媒に分散又は溶解させたものであってもよいし、上記熱可塑性樹脂に加え、所望により配合する添加剤を添加して溶媒に分散又は溶解させたものであってもよい。
上記溶媒としては、例えば、離型層塗工液に関し例示したものが挙げられる。
上記耐熱滑性層の厚みは、耐熱性等に優れた保護層転写シートが得られる点で、固形分基準で2g/m以下にするのが好ましく、より好ましくは0.1〜1g/mである。
(着色熱転写層)
本発明の保護層転写シートは、基材シート上に上述の保護転写積層体のみを設けたものであってもよいが、上述の保護転写積層体と着色熱転写層とを基材シートの同一面上に面順次に設けたものであってもよい。
本発明の保護層転写シートは、すなわち、上記保護転写積層体が基材シート又は離型層等の表面(以下、該表面を「基材シート等の表面」ということがある。)の一部に備えられ、上記基材シート等表面に上記保護転写積層体と面順次に1色以上の昇華性染料層又は1色以上の熱溶融型色材層である着色熱転写層を有するものであってもよい。
本発明の保護層転写シートは、基材シート上に上記保護転写積層体と面順次に着色熱転写層をも設けたものである場合、感熱プリンターを用いて、被転写材に所望の画像を形成するとともに、所望の画像領域に保護転写積層体を転写することができる。
上記昇華性染料層は、昇華性染料を任意のバインダーにより担持してなる層であり、従来公知の方法にて、公知の昇華性染料と公知のバインダー樹脂とから形成することができる。
上記昇華性染料としては、熱により、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料であれば、いずれも本発明に使用可能であり、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。
上記熱溶融型色材層は、従来公知の方法にて、公知の顔料と公知のワックス等の熱溶融性物質とから形成することができる。
上記顔料としては、例えば、酸化鉄系無機顔料、酸化亜鉛、カーボンブラック等の無機顔料;アゾ系顔料、多環式系顔料等の有機顔料等が挙げられる。
上記ワックスとしては、特に限定されないが、モンタンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
本発明の保護層転写シートとして、保護転写積層体が基材シートの表面の一部に備えられ、前記基材シートの表面に前記保護転写積層体と面順次に1色以上の昇華性染料層又は1色以上の熱溶融型色材層である着色熱転写層を有してなるものであって、前記保護転写積層体は、導電層と保護層とを含むものであり、前記基材シートの一方の表面の一部に前記保護層を設けてなる積層体の前記保護層を設けた側の表面全体に前記導電層が設けられ、該導電層上且つ前記保護層が下に位置していない領域に前記着色熱転写層を設けてなるものも挙げられる。
上記保護層転写シートにおける基材、導電層及び着色熱転写層等の各層の構成は、上述の保護層転写シートと同様である。
上記保護層転写シートは、上記導電層を有するものなので、基材と着色熱転写層との接着性が良く、高速で熱転写することが可能であり、受像シートへ着色熱転写層が異常転写することがない。
上述の保護層転写シートの好ましい実施形態は、例えば、図3に示すように、基材2bの片面に、保護層4bを部分的に設け、その保護層4bの上と、保護層4bの設けられていない基材2b上に、導電層3bを全面に設けている。そして、保護層4bが下に位置して設けられている領域の導電層3bの上に、接着層7bを設けてもよく、この場合は保護層4b、導電層3b、接着層7bの3層が保護転写積層体6bとして、被転写体に転写される。また、基材2bの保護層4bの設けられている面と反対面に耐熱滑性層10bを設けてもよく、該耐熱滑性層を設けると、サーマルヘッドとの融着防止、走行性の改良等を図ることができる。
また、保護転写積層体6bの最表面層に接着層7bを設けると、被転写体への転写性、接着性が向上する。そして、保護転写積層体6bの形成領域と異なる部分で、保護転写積層体6bと次の保護転写積層体6bとの間に、着色熱転写層、好ましくは着色熱転写層5bのイエロー染料層(Y)、マゼンタ染料層(M)、シアン染料層(C)が面順次に設けられていて、3色の着色熱転写層5bと保護転写積層体6bとからなる単位9b(図示しない。)が、保護層転写シートの長さ方向に繰り返し形成されていることが好ましい。更に、イエロー染料層(Y)とマゼンタ染料層(M)との間、マゼンタ染料層(M)とシアン染料層(C)との間、及びシアン染料層(C)と保護転写積層体6bとの間、及び、保護転写積層体6bとイエロー染料層(Y)との間に検知マーク8bを設けてもよい。
上記保護層4b、導電層3b及び接着層7bは、それぞれ上述の(I)〜(III)の各層に相当するものである。上記検知マーク8bは、従来公知の組成とすることができ、例えば特開2003−312151号公報と同様にすることができる。
(転写等)
本発明の保護層転写シートは、熱転写プリンター等の装置を用いて、耐熱滑性層側から加熱することにより保護転写積層体を転写することができる。
本発明において、上記保護転写積層体は、形成された画像の全面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写してもよい。
上記保護層転写シートは、上述の着色熱転写層をも設けたものである場合、例えば熱転写受像シート等の被転写体に画像を形成し、更に保護転写積層体を転写することができる。
本発明の保護層転写シートを用いて、画像面の少なくとも一部を覆うように保護転写積層体が転写形成されていることを特徴とする印画物もまた、本発明の一つである。
本発明の印画物における保護転写積層体は、本発明の保護層転写シートを用いて形成されるものであり、無機顔料超微粒子を用いて形成してなる導電層(II)を有するので、バリア性が高く且つ耐可塑剤性が良い。このため、本発明の印画物は、ポリ塩化ビニル等の可塑剤を含有する樹脂と長時間接触させても、染料受容層中の染料を殆ど移行させることなく、画像を維持することができる。
上記保護層転写シートの転写に使用可能な熱転写受像シートとしては、特に限定されず、例えば、従来公知の基材上に染料受容性を有する受容層を設けたもの等を挙げることができる。
上記熱転写受像シートにおける基材としては、例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム等を挙げることができ、特に限定されない。
上記熱転写受像シートにおける受容層は、コーティング法、サーマルヘッドや熱ロール等による形成法等にて形成することができる。なお、上記熱転写受像シートは、基材自体が染料受容性を有していれば、受容層を設ける必要がない。
上記熱転写受像シートは、カード、葉書、パスポート、便箋、レポート用紙、ノート、カタログ等の何れの形状であってもよい。
本発明の保護層転写シートを用いて、IDカード、身分証明書、免許証等のカード類を、本発明の印画物として作成することもできる。
上記カード類は、写真等の画像情報に加え、文字情報を含むものであってもよい。本発明において、上記カード類に文字情報を形成する場合、該文字情報形成は熱溶融転写方式により行い、写真等の画像形成は昇華転写方式で行うこともできる。
上記カード類には、更に、エンボス、サイン、ICメモリー、磁気層、ホログラム、その他の印刷等を設けることもでき、保護転写積層体の転写後にエンボス、サイン、磁気層等を設けることもできる。
本発明の保護層転写シートを用いて画像形成及び保護転写積層体転写を行う場合、染料転写と保護転写積層体転写とを、それぞれ別の熱転写プリンターにて適宜転写条件を設定して行ってもよいし、同一のプリンターにて各転写における印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。
本発明の保護層転写シートは、熱転写プリンターに限定されず、熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロン等にて転写することもできる。
本発明の保護層転写シートは、上記構成よりなるので、転写性及び帯電防止性に優れており、被転写体への転写時において静電気等のトラブルがほぼ生じない。このため、本発明の保護層転写シートは、透明性、耐可塑剤性及び帯電防止性に優れたものを得ることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
なお、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り、質量基準であり、基材の厚みは、マイクロメーター(MFC−191、Nikon社製)にて10枚重ねのものを測定した値から算出したものである。
実施例1
基材シート(ポリエチレンテレフタレートフィルム〔PET〕、東レ社製、厚さ4.5μm)上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液を乾燥後塗布量が0.5g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して耐熱滑性層を形成した。
<耐熱滑性層用塗工液>
・ポリアミドイミド樹脂(HR−15ET、東洋紡績社製) 50.0部
・ポリアミドイミドシリコーン樹脂(HR−14ET、東洋紡績社製)50.0部
・ステアリルリン酸亜鉛(LBT−1830精製、堺化学社製) 10.0部
・ステアリン酸亜鉛(GF−200、日本油脂社製) 10.0部
・ポリエステル樹脂(バイロン220、東洋紡績社製) 3.0部
・無機フィラー(タルク、平均粒径4.2μm) 10.0部
次に、基材シートの耐熱滑性層と反対側の面に、下記組成の保護層用塗工液Aを、乾燥後塗布量が1.0g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して保護層を形成した。
<保護層用塗工液A>
・アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン社製) 50部
・メチルエチルケトン 25部
・トルエン 25部
次に、上記保護層上に、下記組成の導電層用塗工液Aを乾燥後塗布量が0.2g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して導電層を形成した。
<導電層用塗工液A>
・アルミナゾル(アルミナゾル100、塩酸安定型;日産化学工業社製) 50部
・水 25部
・イソプロピルアルコール 25部
更に、上記導電層の上に、下記組成の接着層用塗工液を、乾燥後塗布量が1.5g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して、実施例1の保護層転写シートを得た。
<接着層用塗工液>
・ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績社製) 69.6部
・反応性紫外線吸収剤を反応結合したアクリル共重合体
・UVA635L(BASFジャパン製) 17.4部
・シリカ(サイリシア310、富士シリシア社製) 25部
・トルエン 20部
・MEK(メチルエチルケトン) 20部
実施例2
実施例1で用いた導電層用塗工液Aを、下記組成の導電層用塗工液Bに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の保護層転写シートを得た。
<導電層用塗工液B>
・アルミナゾル(アルミナゾル200、酢酸安定型、日産化学工業社製)50.0部
・水 25.0部
・イソプロピルアルコール 25.0部
実施例3
実施例1で作製した保護層転写シートにおいて、基材シートと保護層の間に、下記組成の離型層用塗工液を乾燥後塗布量が1.0g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して、離型層を設けた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の保護層転写シートを得た。
<離型層用塗工液>
・シリコーン変性アクリル系樹脂(セルトップ226、ダイセル化学社製)45.7部
・アルミ触媒(セルトップCAT−A、ダイセル化学社製) 8.5部
・メチルエチルケトン 22.9部
・トルエン 22.9部
実施例4
基材シート(ポリエチレンテレフタレートフィルム〔PET〕、東レ社製、厚さ4.5μm)上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液を乾燥後塗布量が0.5g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して耐熱滑性層を形成した。
<耐熱滑性層用塗工液>
・ポリアミドイミド樹脂(HR−15ET、東洋紡績社製) 50.0部
・ポリアミドイミドシリコーン樹脂(HR−14ET、東洋紡績社製) 50.0部
・ステアリルリン酸亜鉛(LBT−1830精製、堺化学社製) 10.0部
・ステアリン酸亜鉛(GF−200、日本油脂社製) 10.0部
・ポリエステル樹脂(バイロン220、東洋紡績社製) 3.0部
・無機フィラー(タルク、平均粒径4.2μm) 10.0部
次に、基材シートの耐熱滑性層と反対側の面に、下記組成の保護層用塗工液Aを、乾燥後塗布量が1.0g/mになるようにグラビアコーティングにてパターンニングで部分的に塗布し(図3、4bのように)、乾燥して保護層を形成した。
<保護層用塗工液A>
・アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン社製) 50部
・メチルエチルケトン 25部
・トルエン 25部
次に、上記保護層上と基材シート上の保護層を設けなかった部分に、下記組成の導電層用塗工液Aを乾燥後塗布量が0.2g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して導電層を形成した。
<導電層用塗工液A>
・アルミナゾル(アルミナゾル100、塩酸安定型;日産化学工業社製) 50部
・水 25部
・イソプロピルアルコール 25部
更に、上記保護層/導電層とを設けた部分の上には、下記組成の接着層塗工液を、乾燥後塗布量が1.5g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥し保護層転写積層部を形成した。
<接着層用塗工液>
・ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績社製) 69.6部
・反応性紫外線吸収剤を反応結合したアクリル共重合体
・UVA635L(BASFジャパン製) 17.4部
・シリカ(サイリシア310、富士シリシア社製) 25部
・トルエン 20部
・MEK(メチルエチルケトン) 20部
また、上記により保護層/導電層/接着層からなる保護転写積層体を形成した部分以外の基材シートの上に導電層を設けた部分には、下記組成の染料層を、図3、5bの如く、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、保護層の順になるように形成し、昇華染料層部と保護転写積層体部分とが面順次に形成された熱転写シートを形成した。
<イエロー染料インキ>
・イエロー染料(下記構造式) 3.5部
Figure 2006306087
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学社製) 1.5部
・トルエン 45部
・MEK(メチルエチルケトン) 45部
<マゼンタ染料インキ>
・C.I.Disperse Red 60 1.6部
・C.I.Disperse Violet 26 2.5部
・ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学社製) 1.6部
・トルエン 45部
・MEK 45部
<シアン染料インキ>
・シアン染料1(下記構造式) 1.6部
Figure 2006306087
・C.I.Solvent Blue 63 1.6部
・ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学社製) 1.6部
・トルエン 45部
・MEK 45部
比較例1
実施例1で作製した保護層転写シートにおいて、導電層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の保護層転写シートを得た。
比較例2
実施例1で用いた保護層用塗工液Aを、下記組成の保護層用塗工液Bに代えて、さらに導電層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の保護層転写シートを得た。
<保護層用塗工液B>
・アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン社製) 50部
・針状導電性無機物質(FSS−10M、石原テクノ社製) 25部
・メチルエチルケトン 37.5部
・トルエン 37.5部
(FSS−10Mは、酸化スズ(アンチモンドープ)からなる導電性物質。固形分30%、アスペクト比20〜30。)
比較例3
実施例1で用いた保護層用塗工液Aを、下記組成の保護層用塗工液Cに代えて、さらに導電層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例3の保護層転写シートを得た。
<保護層用塗工液C>
・アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン社製) 50部
・四級アンモニウム塩系界面活性剤(スタティサイド、ACL社製) 25部
・メチルエチルケトン 37.5部
・トルエン 37.5部
実施例1〜4及び比較例1〜3の保護層転写シートについて下記の試験を行った。
1.印画物濃度
昇華型熱転写プリンター(メガピクセルIII、アルテック社製)と、上記プリンタの専用インクリボンと専用受像紙を用いて黒ベタ画像を印画した印画物に、各実施例1〜3又は比較例2〜3の保護層転写シートを用いて上記プリンターにて保護転写積層体を転写した場合と、比較例1の保護層転写シートから得た印画物濃度の差を確認し、下記評価基準に基づき評価した。実施例4で形成した転写シートはそのまま上記プリンターに搭載して評価を行った。なお、上記印画物濃度は、O.D.値2.0付近について色度計(マクベス濃度計RD−918、マクベス社製)にて測定した。
(評価基準)
○:比較例1から得た印画物より低いが、印画物濃度差が5%未満。
△:比較例1から得た印画物との印画物濃度差が5%以上、10%未満の範囲で低い。
×:比較例1から得た印画物との印画物濃度差が10%以上低い。
2.転写性
上記1.と同様のプリンター及び専用受像紙を用い、上記1.と同様の条件下にて保護転写積層体の転写を行うことにより得られた印画物について、目視にて、下記基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:保護転写積層体が完全に転写されている。
×:保護転写積層体の一部がかすれている。
3.耐可塑剤性
上記1.の方法にて保護転写積層体を転写した各印画物について、可塑剤入り軟質ポリ塩化ビニルシート(三菱化学社製アルトロン、#480、厚み400μm)と上記各印画物を重ね合わせ、単位平方センチメートルあたり40gの荷重をかけ、50℃環境下に60時間保存し、可塑剤による印画物のダメージ(染料移行)を目視にて、下記評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:染料移行が確認されなかった。
△:軟質ポリ塩化ビニルシートへの染料移行が少ない。
×:軟質ポリ塩化ビニルシートへの染料移行が多い。
4.表面抵抗率
高抵抗率測定機(Hiresta IP MCP−HT250、ダイアインスツルメンツ社製)にて、画像形成前の保護層転写シートにおける保護転写積層体の表面抵抗率を、JIS K 6911:1995に準拠して、温度23℃で相対湿度60%の環境下で、100Vの電圧を印加し、印加開始から10秒後の表面抵抗率を測定した。また、保護転写積層体が画像上に転写形成された印画物の表面抵抗率を同様の方法で測定した。
各評価結果を表1に示す。
Figure 2006306087
各実施例の保護層転写シートは、転写性が良好で且つ表面抵抗率が低く、また、得られる印画物は透明性及び耐可塑剤性に優れ、表面抵抗率も低かった。
一方、各比較例の保護層転写シートは、表面抵抗率が高く、得られる印画物の耐可塑剤性が良くないことが確認された。特に、比較例2及び比較例3から得られる印画物は透明性にも劣り、比較例3から得られた保護層転写シートは転写性にも劣ることが確認された。
本発明の保護層転写シートは、上記構成よりなるので、転写性及び帯電防止性に優れており、被転写体への転写時において静電気等のトラブルがほぼ生じない。このため、本発明の保護層転写シートは、透明性、耐可塑剤性及び帯電防止性に優れた印画物を得ることができる。
本発明の保護層転写シートの一例を示した図である。 離型層を備えた本発明の保護層転写シートの一例を示した図である。 着色熱転写層を備えた本発明の保護層転写シートの一例を示す断面図である。
符号の説明
1.基材シート
2.離型層
3.保護転写積層体
4.保護層
5.導電層
6.接着層
7.耐熱滑性層
2b.基材
3b.導電層
4b.保護層
5b.着色熱転写層
6b.保護転写積層体
7b.接着層
8b.検知マーク
10b.耐熱滑性層

Claims (9)

  1. 基材シートの表面の少なくとも一部に剥離可能に保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体は、コロイド状無機顔料超微粒子を用いて形成してなる導電層を含むことを特徴とする保護層転写シート。
  2. 前記コロイド状無機顔料超微粒子は、アルミナゾルである請求項1記載の保護層転写シート。
  3. 基材シートの表面の少なくとも一部に剥離可能に保護転写積層体を備え、前記保護転写積層体は、無機顔料超微粒子を用いて形成してなる導電層を含み、前記導電層は、バインダー樹脂を含有しないことを特徴とする保護層転写シート。
  4. 前記無機顔料超微粒子は、アルミナゾルである請求項3記載の保護層転写シート。
  5. 保護転写積層体は、非転写性の離型層を介して基材シートに備えたものである請求項1〜4の何れか1項に記載の保護層転写シート。
  6. 保護転写積層体は、基材シート側から順次、保護層、導電層及び接着層の順に積層してなるものである請求項1〜5の何れか1項に記載の保護層転写シート。
  7. 保護転写積層体が基材シートの表面の一部に備えられ、前記基材シートの表面に前記保護転写積層体と面順次に1色以上の昇華性染料層又は1色以上の熱溶融型色材層である着色熱転写層を有する請求項1〜6の何れか1項に記載の保護層転写シート。
  8. 保護転写積層体が基材シートの表面の一部に備えられ、前記基材シートの表面に前記保護転写積層体と面順次に1色以上の昇華性染料層又は1色以上の熱溶融型色材層である着色熱転写層を有する保護層転写シートであって、
    前記保護転写積層体は、導電層と保護層とを含むものであり、基材シートの一方の表面の一部に前記保護層を設けてなる積層体の前記保護層を設けた側の表面全体に前記導電層が設けられ、該導電層上且つ前記保護層が下に位置していない領域に前記着色熱転写層を設けてなる請求項1〜6の何れか1項に記載の保護層転写シート。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の保護層転写シートを用いて、画像面の少なくとも一部を覆うように保護転写積層体が転写形成されていることを特徴とする印画物。
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