JP2014237289A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールメディア用途の感熱転写記録媒体を提供する。
【解決手段】基材の一面に下引き層及び染料層が順次積層され、下引き層及び染料層の積層体と面順次となるように保護層が形成された熱転写リボンと、基材の一面に受像層が形成され、他方の面に粘着層及び離型シートが順次積層された熱転写受像シートとの組み合わせで、下引き層が抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを含み、染料層が熱移行性染料としてアントラキノン系化合物と、バインダー樹脂としてTgが100℃以上のポリビニルアセタール及びTgが75℃以下のポリビニルブチラールとを含み、熱移行性染料/バインダー樹脂(質量比)=10/90〜75/25であり、保護層の乾燥後の塗布量が0.05〜7.00g/mである、感熱転写記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、シールメディア用途の感熱転写記録媒体に関するもので、基材に下引き層、染料層及び保護層が順次形成された熱転写リボンと、基材の一面に染料を固着させる染料受像層が形成され、他方の面に粘着層と離型シートとが順次積層された熱転写受像シートとが組み合わされた感熱転写記録媒体に関するものである。さらに詳しくは、高速印画時における反射濃度が低濃度領域及び高濃度領域ともに高く、染料層に使用する染料が低減されてコストダウンの効果が大きく、さらに染料の析出が防止され、また印画における異常転写と、印画時の熱や圧力等によるシワの発生との防止も可能で、そのうえ、転写後の熱転写受像シートの折り曲げ時に折り曲げシワの発生も防止することができる、シールメディア用途の感熱転写記録媒体に関するものである。
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に感熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けたものである。ここで感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは熱溶融(熱溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。こういった用途の多様化と普及拡大に伴い、小型化、高速化、低コスト化、また得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では印画物への耐久性を付与する保護層等を各々重ならないように設けた複数の感熱転写層を有する熱転写リボンといった感熱転写記録媒体が相当普及している。現在では、基材に粘着層と離型シートとを設けた剥離可能な構成の被転写体(シールメディア)用途のアミューズメント用出力物である感熱転写記録媒体の開発が進められている。
このようなシールメディア用途の感熱転写記録媒体では、プリンタの印画速度の高速化が進むに連れて、充分な印画濃度が得られないという問題が生じてきた。そこで、従来は熱転写リボンの薄膜化により印画濃度を向上させる試みが行われてきたが、薄膜化したことで、製造時や、印画時の熱や圧力等により、熱転写リボンにシワが発生するといった問題が生じている。
また、熱転写リボンの染料層において、バインダー樹脂に対する染料の配合比率を高くすることにより印画濃度を向上させる試みも行われてきたが、染料層中の染料の配合量を多くしたことで、溶解し得なかった染料が析出するといった問題が生じている。
このような問題点を解決するために、いくつかの方法が提案されている。例えば、特許文献1には、基材と染料層との間に、ポリビニルピロリドン樹脂と変性ポリビニルピロリドン樹脂とからなる接着層が形成された熱転写リボンが提案されている。
また、特許文献2には、基材と染料層との間に、ポリビニルピロリドン樹脂又はポリビニルアルコール樹脂である熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子とからなる接着層が形成された熱転写リボンが提案されている。
また、特許文献3には、基材と染料層との間に、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体とコロイド状無機顔料超微粒子とからなる下地層が形成された熱転写リボンが提案されている。
特開2005−231354号公報 特開2006−150956号公報 特開2008−155612号公報
しかしながら、特許文献1に提案されている感熱転写記録媒体を用い、昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行った場合、印画における反射濃度が低濃度領域及び高濃度領域ともに低く、充分なレベルにまでは至っていない。
一方、特許文献2及び3に提案されている感熱転写記録媒体を用いて同様に印画を行った場合、特許文献1に記載の感熱転写記録媒体と比較して、コロイド状無機顔料超微粒子の添加による高濃度領域における反射濃度の上昇は認められるものの、ポリビニルピロリドン樹脂を接着層として使用している感熱転写記録媒体については、充分に満足できるレベルにまでは至っていない。また、ポリビニルアルコール樹脂を接着層として使用している感熱転写記録媒体については、高濃度領域における反射濃度は高く、充分なレベルであるものの、低濃度領域における反射濃度が充分なレベルにまでは至っておらず、また、染料層との密着性が不充分であり、異常転写の発生が認められる。さらに、コロイド状無機顔料超微粒子は非常に高価であり、コスト面からも市場の要求に逆行するものである。
このように、従来は、印画における高い反射濃度の実現が可能で、さらに染料層との密着性に問題がなく高速プリンタに対応することができ、しかもコスト的に優位なシールメディア用途の感熱転写記録媒体が見出されていないのが現状である。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、高速印画時における反射濃度が低濃度領域及び高濃度領域(最高反射濃度)ともに高く、染料層に使用する染料が低減されてコストダウンの効果が大きく、さらに染料の析出が防止され、また印画における異常転写と、印画時の熱や圧力等によるシワの発生の防止も可能で、そのうえ、転写後の熱転写受像シートの折り曲げ時に折り曲げシワの発生も防止される、シールメディア用途の感熱転写記録媒体を提供することを目的とするものである。
本発明者は、染料層にアントラキノン系熱移行性染料、下引き層にJIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールを用いた場合、染料が基材側に拡散、移行せず、受像紙側に移行しやすくなり、結果的に高濃度領域における反射濃度が高くなることを見出した。しかしながら、高濃度領域における反射濃度は充分なものの、染料層との密着性が充分ではなかったため、印画時の異常転写の抑制が不充分であった。そこで鋭意検討した結果、染料層との密着性を向上させるために、ポリビニルピロリドンを、抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールに添加することにより、高濃度領域における反射濃度が充分であり、さらに異常転写の抑制が充分となることを見出した。一方、抗張力が8kg/mm未満のポリビニルアルコールを用いた場合、ポリビニルピロリドンを添加することにより、異常転写の抑制は充分なものの、高濃度領域における反射濃度が低下することを見出した。しかしながら、下引き層の導入による反射濃度の向上は高濃度領域ほど顕著となるため、低濃度領域での上昇は充分ではなかった。よって、低濃度領域での反射濃度を上昇させるため、ガラス転移温度が75℃以下と低いポリビニルブチラールを染料層に使用したところ、低濃度領域の反射濃度は充分なレベルまで増加した。しかしながら、耐熱性が不足しており、印画物にシワが発生した。そこでさらに鋭意検討した結果、ガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとを併用することで、シワも発生せず、さらには低濃度領域及び高濃度領域ともに反射濃度の向上が可能となる組成を見出すに至った。
また、本発明者は、保護層の乾燥後の塗布量が0.05g/mを下回ると、印画時に熱転写リボンと熱転写受像シートとが貼り付いてしまい、転写不可となることを見出した。一方、乾燥後の塗布量が7.00g/mを上回る保護層を用いた感熱転写記録媒体では、転写後の熱転写受像シートを、基材と離型シートとを粘着層から剥離させる目的で折り曲げた結果、折り曲げシワが発生することを確認した。よって、保護層の乾燥後の塗布量を0.05〜7.00g/mとすることにより、保護層の転写が可能となるだけでなく、折り曲げシワの発生を防ぐことも可能となることを見出すに至った。
本発明に係わる感熱転写記録媒体は、
基材の一面に、少なくとも染料層と保護層とが面基材の一面に下引き層が形成され、該下引き層上に、熱移行性染料及びバインダー樹脂を含む染料層が積層され、該下引き層及び該染料層からなる積層体と面順次となるように保護層が形成された熱転写リボンと、
基材の一面に、前記熱転写リボンの染料を固着させる受像層が形成され、該基材の他方の面に、粘着層と離型シートとが順次積層された熱転写受像シートと
の組み合わせからなり、
前記下引き層が、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールと、ポリビニルピロリドンとを含む下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥して形成されたものであり、
前記染料層が、熱移行性染料としてアントラキノン系化合物を含み、かつ、バインダー樹脂としてガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの混合物を含む染料層形成用塗布液を塗布し、乾燥して形成されたものであり、
前記染料層形成用塗布液中の熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率が、熱移行性染料/バインダー樹脂=10/90〜75/25であり、
保護層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量で表される、前記保護層の乾燥後の塗布量が、0.05〜7.00g/mである
ことを特徴とする。
また、本発明に係わる感熱転写記録媒体においては、前記下引き層中のポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドン=40/60〜70/30であることが好ましい。
また、本発明に係わる感熱転写記録媒体においては、前記下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量で表される、前記下引き層の乾燥後の塗布量が、0.05〜0.30g/mであることが好ましい。
また、本発明に係わる感熱転写記録媒体においては、前記染料層中のガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=50/50〜97/3であることが好ましい。
本発明の感熱転写記録媒体は、高速印画時における反射濃度が低濃度領域及び高濃度領域ともに高く、染料層に使用する染料が低減されてコストダウンの効果が大きく、さらに染料の析出が防止され、また印画における異常転写と、印画時の熱や圧力等によるシワの発生との防止も可能で、そのうえ、転写後の熱転写受像シートの折り曲げ時に折り曲げシワの発生も防止することができる。
本発明に基づく実施形態に係る感熱転写記録媒体を構成する熱転写リボンの一例を示す側断面図 本発明に基づく実施形態に係る感熱転写記録媒体を構成する熱転写受像シートの一例を示す側断面図 本発明に基づく実施形態に係る感熱転写記録媒体における、熱転写リボンを転写後の熱転写受像シートの側断面図
図1は、本発明の感熱転写記録媒体を構成する熱転写リボンの一例を示す側断面図である。図1に示すように、熱転写リボンは、基材10の一方の面に、サーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層50を設け、他方の面に、下引き層20及び染料層30を順次積層形成し、さらに保護層40を面順次に形成した構成である。
図2は、本発明の感熱転写記録媒体を構成する熱転写受像シートの一例を示す側断面図である。図2に示すように、熱転写受像シートは、熱転写受像シート基材60の一方の面に、昇華転写により移行された染料を受容する受像層70を設け、他方の面に、粘着層80を形成し、該粘着層80を介して離型シート90が貼り合わされた構成である。
本発明の感熱転写記録媒体は、熱転写リボンと熱転写受像シートとが組み合わされたものである。
まず、熱転写リボンの各部について説明する。
熱転写リボンの基材10としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が必要とされ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で、又は組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm以上、50μm以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上、9μm以下程度のものが好ましい。
また、基材10においては、耐熱滑性層50又は/及び下引き層20、保護層40を形成する面に、接着処理を施すことも可能である。接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することができ、それらの処理を2種以上併用することもできる。
次に、下引き層20は、JIS K 7113「プラスチックの引張試験方法」に記載の方法に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上であるポリビニルアルコールと、ポリビニルピロリドンとを含む下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥して形成される。
ポリビニルアルコールとしては、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上であることが必須である。抗張力が8kg/mm未満であると、印画時に高い転写感度を付与することが難しい。抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールとしては、例えば、クラレポバールPVA−124((株)クラレ製)やクラレポバールPVA−145((株)クラレ製)等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、メタノール中で酢酸ビニルを重合させてポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た後、水酸化ナトリウム等でケン化して得たケン化物を中和するといった、通常の方法で調製すればよい。また、得られたポリビニルアルコールは、上述のごとく、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上であればよく、そのケン化度や平均重合度には特に限定がないが、例えば、ケン化度が90〜99モル%程度、平均重合度が2000〜4500程度のものを好適に使用することができる。
ポリビニルピロリドンとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体(ホモポリマー)又はこれらの共重合体が挙げられる。さらには変性ポリビニルピロリドン樹脂などがあげられる。変性ポリビニルピロリドン樹脂は、N−ビニルピロリドン系モノマーと他のモノマーとの共重合体である。なお、共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等特に限定されるものではない。上記のN−ビニルピロリドン系モノマーとは、N−ビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等)及びその誘導体をいうものであり、誘導体としては、例えばN−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものが挙げられる。
N−ビニルピロリドン系モノマーと共重合するモノマー成分は、下記のようなビニル重合性モノマーが挙げられる。例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、塩化ビニリデン、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
下引き層20中のポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの質量基準での含有比率は、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドン=40/60〜70/30であることが好ましく、さらには50/50〜60/40であることがより好ましい。ポリビニルアルコールは水溶性高分子化合物の中でも優れた染料バリア性能を有しているが、単独で積層すると、染料層との密着性が不充分であり、異常転写の懸念がある。その反面、ポリビニルピロリドンはポリビニルアルコールに比べて染料バリア性は劣るものの、染料層との密着性が良好であり、上記含有比率にて高い反射濃度と異常転写の防止の双方の性能を充分に満足することが可能となる。
下引き層20の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.05g/m以上、0.30g/m以下の範囲内であることが好ましく、さらには0.10g/m以上、0.20g/m以下の範囲内であることがより好ましい。0.05g/m未満では、染料層積層時の劣化により、高速印画時における反射濃度が不足し、基材あるいは染料層との密着性が低下する恐れがある。一方、0.30g/mを超えると、感熱転写記録媒体自体の感度低下に影響し、高速印画時における反射濃度が低下する恐れがある。
ここで、下引き層20の乾燥後の塗布量とは、下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。また、後述する染料層30の乾燥後の塗布量、保護層40の乾燥後の塗布量及び耐熱滑性層50の乾燥後の塗布量も、同様に、後述する染料層形成用塗布液、保護層形成用塗布液及び耐熱滑性層形成用塗布液を各々塗布し、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。
また、下引き層には、前記性能を損なわない範囲で、無機顔料微粒子、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤を使用することができる。
次に、染料層30は、熱移行性染料及びバインダー樹脂の他に、例えば溶剤等を配合して染料層形成用塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。なお、染料層は、1色の単一層で構成することもでき、色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することもできる。
前記染料層30に用いられる熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料である。例えば、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56、16、30、93、33、あるいはディスパースイエロー201、231、33等を挙げることができる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ディスパースバイオレット38、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19等を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、C.I.ディスパースバイオレット38等に代表されるアントラキノン系化合物を熱移行性染料として用いることが必須である。シアン成分としては、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー266、C.I.ディスパースブルー257、あるいはC.I.ディスパースブルー24等を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、あるいはC.I.ディスパースブルー24等に代表されるアントラキノン系化合物を熱移行性染料として用いることが必須である。その理由は、基材−染料層間に下引き層を導入した場合、アントラキノン系化合物から成る染料は、他の染料よりも受像層への転写効率に優れているため、高い反射濃度を与え、すなわち、染料層に使用する染料を低減することができるからである。
染料層30に用いられるバインダー樹脂としては、ガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの混合物が含まれている限り特に限定がなく、従来公知のバインダー樹脂をいずれも使用することができる。
ガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールは、高耐熱性を有するが、低濃度領域等サーマルヘッドに与えられるエネルギーが小さい場合、染料が昇華し難く、低濃度領域における充分な反射濃度を得ることができなくなる。一方、ガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールを用いることで、染料は昇華し易くなり、特に低濃度領域における反射濃度が高くなるという利点があるが、耐熱性が充分ではなく、受像紙側にシワが発生するという問題点がある。したがって、これら2種類の樹脂を組み合わせることにより、低濃度領域の反射濃度を向上させることができるとともに、印画時に発生するシワを抑えることもできる。
ガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとしては、例えば、デンカブチラール#5000−D(電気化学工業(株)製)やデンカブチラール#6000−AS(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。また、ガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとしては、例えば、デンカブチラール#3000−1(電気化学工業(株)製)やデンカブチラール#3000−2(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
染料層30中のガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの質量基準での含有比率は、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=50/50〜97/3であることが好ましく、さらには60/40〜90/10であることがより好ましい。ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラールの含有比率が97/3を上回ると、高速印画時における低濃度領域での反射濃度が不足する恐れがある。一方、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラールの含有比率が50/50を下回ると、ポリビニルブチラールはポリビニルアセタールと比べて染料の昇華を促進するので、低濃度領域における反射濃度の上昇を実現することができるが、耐熱性が充分ではなく、印画の際にシワが発生する恐れがある。よって、上記含有比率にてポリビニルアセタールとポリビニルブチラールとを樹脂バインダーとして用いることにより、低濃度領域及び高濃度領域での反射濃度を高くすることができるとともに、印画時に発生するシワを防止することもできる。
ガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタール及びガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラール以外に染料層30に用いることができるバインダー樹脂としては、特に限定がないが、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂や、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂や、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を挙げることができる。
ここで、染料層30を形成する際の、染料層形成用塗布液中の熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率は、熱移行性染料/バインダー樹脂=10/90〜75/25であり、50/50〜70/30であることが好ましい。これは、熱移行性染料/樹脂バインダーの配合比率が10/90を下回ると、染料が非常に少なくなるため、階調全体にて反射濃度が低下する恐れがある。一方、この配合比率が75/25を越えると、バインダー樹脂に対する染料の溶解性が極端に低下するため、溶解しきれない染料が析出してしまい、この染料を用いた感熱転写記録媒体で転写を行った場合、転写後の画像上に析出した染料が付着するという異常が発生し、アミューズメント用出力物であるシールメディア用途の感熱転写記録媒体とすることが困難になる恐れがある。よって、このような熱移行性染料とバインダー樹脂との配合比率にて染料層30を形成することにより、反射濃度の低下を抑えるとともに、染料の析出も防止することが可能となる。
また、染料層には、前記性能を損なわない範囲でイソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
染料層30の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、印画時の異常転写やシワの発生を抑え、またコストの上昇も抑えるという点から、0.3g/m以上、1.5g/m以下程度が適当である。
次に、保護層40は、染料を転写した後の画像の色褪せや、画像に水分、指紋といった汚れが付着することを防ぐ目的で形成される。そのため、保護層40は、防汚性とともに、被転写体に対して充分な接着性を有することが必要であるが、これらの要求を満足する限り特に限定はなく、従来公知のもので対応することができる。なお、保護層は、単一層で構成することもでき、異なる複数の層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することもでき、複数の層の積層体を用いることもできる。
保護層40の材質としては、従来公知のもので対応することができ、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂;ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体;カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂やセルロース誘導体が好適である。
また、保護層40には、離型性や滑り性を付与する添加剤として、例えば、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物に代表される離型剤、ワックス、樹脂フィラー等の滑り剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
保護層40は、例えば前記合成樹脂、天然樹脂、合成ゴムの誘導体、ワックス類等のなかから適宜選択した成分、添加剤等を配合して保護層形成用塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。この保護層40の乾燥後の塗布量は、0.05g/m以上、7.00g/m以下の範囲内であり、0.50g/m以上、5.00g/m以下の範囲内であることが好ましい。0.05g/m未満では、保護層の転写時に熱転写リボンと熱転写受像シートとが貼り付いてしまい、保護層の転写が不可となる恐れがある。一方、7.00g/mを超えると、保護層の転写後の熱転写受像シートを、基材と離型シートとを粘着層から剥離させる目的で折り曲げた際に、折り曲げシワが発生する恐れがある。
次に、耐熱滑性層50は、従来公知のもので対応することができ、例えば、バインダーとなる樹脂、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して耐熱滑性層形成用塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成することができる。
耐熱滑性層50の一例を挙げると、バインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂及びこれらの変性体等を挙げることができる。
耐熱滑性層50の乾燥後の塗布量は、特に限定がないが、0.1〜2.0g/m程度が適当である。
なお、下引き層20、染料層30、保護層40及び耐熱滑性層50は、いずれも、各々下引き層形成用塗布液、染料層形成用塗布液、保護層形成用塗布液及び耐熱滑性層形成用塗布液を、従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。塗布方法の一例として、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。
次に、熱転写リボンの被転写体となる熱転写受像シートの各部について説明する。
熱転写受像シート基材60としては、熱転写における圧力により変形しない耐熱性と強度が要求され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド等からなる合成樹脂フイルムやコート紙、アート紙、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、グラシン紙等のセルロースパルプを主成分とする紙類が挙げられる。ただし、後述する粘着層80や離型シート90を設けたシール用熱転写受像シートの場合、加工性や折り曲げ等の動作性が容易であることが望まれるので、ポリエチレンテレフタレートからなるフイルムが好ましい。
前記熱転写受像シート基材60上に形成される受像層70には、染着性樹脂が使用される。該染着性樹脂としては、染料に対する親和性が高く、染料染着性の良好な熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。例えば、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル雅号物モノマーとベンゾトリアゾール骨格及び/又はベンゾフェノン骨格を有するモノマーとの共重合樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの熱可塑性樹脂を単独で又は2種以上を併用することができる。
熱転写方式の印画においては、熱転写受像シート基材60上の受像層70と、熱転写リボンの染料層30とを重ね合わせてサーマルヘッドで加熱した後、熱転写リボンを剥離する工程があるので、受像層70には、熱転写リボンとの離型性も要求される。このため、受像層70には、熱転写リボンとの融着を防止し、印画走行性を向上する目的で離型剤を添加することが好ましい。添加する離型剤としては、例えば、シリコーンオイル、ポリシロキサングラフトアクリル樹脂、ワックス類、フッ素化合物等が挙げられる。また、熱転写方式の場合、受像層70には高い耐熱性が望まれるので、架橋剤を添加して耐熱性を向上させることが好ましい。架橋剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、有機チタンキレート化合物等が好ましい。さらに、このような受像層70の形成に際しては、意匠性をもたせる目的で、染料の染着性を損なわない程度に紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等、着色染料等の添加剤を加えることも可能である。
受像層70は、受像層形成用塗布液を調製し、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の従来公知の塗工法を用いて受像層形成用塗布液を塗布した後、乾燥することにより形成することができる。受像層70の乾燥後の塗布量は、特に限定がないが、1.0〜10.0g/m程度が適当である。
ここで、受像層70の乾燥後の塗布量とは、受像層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。また、後述する粘着層80の乾燥後の塗布量も、同様に、後述する粘着層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。
粘着層80の材質としては、従来公知のもので対応することができ、溶剤系及び水系の粘着剤を用いて形成することができる。このような粘着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。
粘着層80は、粘着層形成用塗布液を調製し、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の従来公知の塗工法を用いて粘着層形成用塗布液を塗布した後、乾燥することにより形成することができる。粘着層80の厚みは特に規定されないが、特に、熱転写受像シート基材60と、後述する離型シート90との粘着性かつ容易な剥離性が求められるので、乾燥後の塗布量が約8〜30g/mとなるようにすることが好ましい。
離型シート90の材質としては、粘着層80を介して、熱転写受像シート基材60との粘着性かつ容易な剥離性が達成できるものであれば、従来公知のもので対応することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド等からなる合成樹脂フイルム等のフイルムや、表面に離型処理を施したポリラミ紙等が挙げられる。
離型シート90と熱転写受像シート基材60とを、粘着層80を介して貼り合せる方法としては、従来公知のもので対応することができ、例えば、ドライラミネート、ノンソルベルト(ホットメルト)ラミネート、ECラミネート等が挙げられる。
図3は、本発明の感熱転写記録媒体における、熱転写リボンを転写後の熱転写受像シートの側断面図であり、図2に示す熱転写受像シートの受像層70上に、図1に示す感熱転写記録媒体の染料層30による画像が転写され、これは保護層40にて保護されている。
以下に、本発明の各実施例及び各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準であり。また、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<耐熱滑性層付き基材の作製>
基材として、厚さ4.5μmの片面易接着処理済ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に、下記組成の耐熱滑性層形成用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.50g/mになるように塗布し、100℃で1分間乾燥することで耐熱滑性層付き基材を得た。
<耐熱滑性層形成用塗布液>
・シリコン変性アクリル樹脂 50.00部
・メチルエチルケトン 50.00部
<ポリビニルアルコールの調製>
攪拌機、温度計、窒素導入菅、還流冷却器を備えた反応容器中に、酢酸ビニル100.00部及びメタノール10.00部を仕込み、窒素ガスをバブリング、脱気し、還流状態になるまで昇温した後、20分間還流させてから、対酢酸ビニルでアゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%添加した。次いで、20時間重合させた後、冷却して重合を停止し、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。重合率は95%であった。次いで、連続脱モノマー塔で該メタノール溶液中の残存モノマー量が0.06%になるまでモノマーを追い出し、メタノールを添加してポリ酢酸ビニル濃度を50%に調整してから、対酢酸ビニルモノマー単位で5ミリモルの水酸化ナトリウムをメタノール溶液で加えて、40℃で90分間ケン化を行った。析出したケン化物を酢酸により中和した後、生成したポリビニルアルコール系樹脂組成物を濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的のポリビニルアルコールを得た。得られたポリビニルアルコールは、ケン化度94モル%、平均重合度2200であった。また、ケン化の途中で溶液を抜き取ることにより、ケン化度88モル%、平均重合度2200のポリビニルアルコールを得た。
<ポリビニルアルコールフィルムの抗張力測定>
得られた各ポリビニルアルコール15.00部を90℃の熱水85.00部中に溶解させ、ガラスシャーレ上に流延し、室温にて24時間乾燥後の厚さが0.06mmのフィルムを得た。得られた各フィルムをJIS K 7113に基づいて2号ダンベル形状に切り抜き、引張速度200mm/分で引張試験を行い、抗張力を測定した。その結果、ケン化度94モル%、平均重合度2200のポリビニルアルコールが8.2kg/mm、また、ケン化度88モル%、平均重合度2200のポリビニルアルコールが6.8kg/mmの値を示した。さらに、市販品であるクラレポバールPVA−117((株)クラレ製)を用いて上記と同様にフィルムを作製し、抗張力を測定したところ、7.4kg/mmであった。
(実施例1)
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の下引き層形成用塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/mになるように塗布し、100℃で2分間乾燥することで、下引き層を形成した。この時、下引き層は、後述する染料層が形成される位置にのみ設けられ、後述する保護層が形成される位置には設けられていない。引き続き、その下引き層の上に、下記組成の染料層形成用塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/mになるように塗布し、90℃で1分間乾燥することで染料層を形成した。次に、下引き層が設けられていない位置に、下記組成の保護層形成用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が2.00g/mになるように塗布し、90℃で1分間乾燥することで保護層を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−1>
・ポリビニルアルコール(抗張力8.2kg/mm) 3.00部
・ポリビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー)2.00部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
<染料層形成用塗布液−1>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 3.60部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.40部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
<保護層形成用塗布液>
・アクリル系樹脂 20.00部
・トルエン 40.00部
・メチルエチルケトン 40.00部
(実施例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層形成用塗布液−2にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−2>
・ポリビニルアルコール(抗張力8.2kg/mm) 4.00部
・ポリビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー)1.00部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
(実施例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層形成用塗布液−3にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−3>
・ポリビニルアルコール(抗張力8.2kg/mm) 1.50部
・ポリビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー)3.50部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層の乾燥後の塗布量が0.03g/mになるようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱転写記録媒体を得た。
(実施例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層の乾燥後の塗布量が0.40g/mになるようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱転写記録媒体を得た。
(実施例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−2にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−2>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 3.80部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.20部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(実施例7)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−3にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−3>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 3.92部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.18部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(実施例8)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−4にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−4>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 2.00部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 2.00部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(実施例9)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−5にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−5>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 1.60部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 2.40部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(実施例10)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−6にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−6>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 1.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 8.10部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.90部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(実施例11)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−7にて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−7>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 7.50部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 2.25部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.25部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(比較例1)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱転写記録媒体を得た。
(比較例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層形成用塗布液−4にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−4>
・ポリビニルアルコール(抗張力6.8kg/mm) 3.00部
・ポリビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー)2.00部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
(比較例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−8にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−8>
・C.I.ソルベントブルー266(アゾ系染料) 3.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 2.00部
・トルエン 47.50部
・メチルエチルケトン 47.50部
(比較例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を前記下引き層形成用塗布液−4にて形成し、染料層を前記染料層形成用塗布液−8にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱転写記録媒体を得た。
(比較例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層形成用塗布液−5にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−5>
・ポリビニルアルコール(抗張力8.2kg/mm) 5.00部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
(比較例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層形成用塗布液−6にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−6>
・ポリビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー)5.00部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
(比較例7)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層形成用塗布液−7にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例7の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層形成用塗布液−7>
・ポリビニルアルコール
((株)クラレ製PVA−117、抗張力7.4kg/mm) 3.00部
・ポリビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー)2.00部
・純水 57.00部
・イソプロピルアルコール 38.00部
(比較例8)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−9にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−9>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 4.00部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(比較例9)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−10にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例9の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−10>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 6.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 4.00部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(比較例10)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、保護層の乾燥後の塗布量が0.03g/mになるようにした以外は、実施例1と同様にして、比較例10の感熱転写記録媒体を得た。
(比較例11)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、保護層の乾燥後の塗布量が7.50g/mになるようにした以外は、実施例1と同様にして、比較例11の感熱転写記録媒体を得た。
(比較例12)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−11にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例12の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−11>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 0.50部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 8.55部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.95部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
(比較例13)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層形成用塗布液−12にて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例13の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層形成用塗布液−12>
・C.I.ソルベントブルー63(アントラキノン系染料) 8.00部
・ポリビニルアセタール(ガラス転移温度110℃) 1.80部
・ポリビニルブチラール(ガラス転移温度68℃) 0.20部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 45.00部
なお、実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、組成等は後の表1に纏めて示す。
<熱転写受像シートの作製>
熱転写受像シート基材として、厚さ100μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフイルムを使用し、その一方の面に、下記組成の受像層形成用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.00g/mになるように塗布して乾燥させ、受像層を形成した。さらに、他方の面に、下記組成の粘着層形成用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が10.00g/mになるように塗布して乾燥させ、粘着層を形成した。その後、離型シートとして、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを、粘着層を介してドライラミネート法を用いて貼り合せることにより、熱転写受像シートを得た。
<受像層形成用塗布液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.50部
・アミノ変性シリコーンオイル 0.50部
・トルエン 40.00部
・メチルエチルケトン 40.00部
<粘着層形成用塗布液>
・アクリル共重合体 49.00部
・酢酸エチル 51.00部
<染料層の密着性評価>
実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、感熱転写記録媒体の染料層の上に、幅24mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層の付着の有無を調べることにより、染料層の密着性を評価した。その結果を表2に示す。
染料層の密着性評価は、以下の基準にて行った。
○:染料層の付着が、認められない
×:染料層の付着が、少なくとも一部で認められる
なお、○であれば実用上問題ないレベルである。
<異常転写評価>
実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、サーマルシミュレーターを用いて、最高反射濃度である255階調を11分割した階調ごとの画像を印画した。その後、転写後の熱転写受像シートを目視確認し、染料層自体が転写されることによる異常転写の発生の有無を調べた。さらに、転写後の熱転写リボンを目視確認し、熱転写リボンで異常転写が発生した痕跡の有無を調べた。その結果を表2に示す。
異常転写評価は、以下の基準にて行った。
○:熱転写受像シートへの異常転写が、認められない
△:転写後の熱転写リボンで異常転写が発生した痕跡が認められるが、熱転写受像シートへの異常転写が認められない
×:熱転写受像シートへの異常転写が、認められる
なお、△以上であれば実用上問題ないレベルである。
<シワ評価>
実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、サーマルシミュレーターを用いて、最高反射濃度である255階調の画像を印画した。その後、転写後の熱転写受像シートを目視確認し、シワの発生の有無を調べた。さらに、転写後の熱転写リボンを目視確認し、変形や伸びの有無を調べた。その結果を表2に示す。
シワ評価は、以下の基準にて行った。
○:熱転写受像シートでのシワが、認められない
△:転写後の熱転写リボンで変形や伸びが認められるが、熱転写受像シートでのシワが認められない
×:熱転写受像シートでのシワが、認められる
なお、△以上であれば実用上問題ないレベルである。
<析出染料の画像付着評価>
実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、熱転写リボンの染料層を透過光にて目視観察し、染料の析出の有無を調べた。さらに、サーマルシミュレーターを用いて、最高反射濃度である255階調の画像を印画した。その後、転写後の熱転写受像シートを目視確認し、析出染料の画像上への付着の有無を調べた。その結果を表2に示す。
析出染料の画像付着評価は、以下の基準にて行った。
○:熱転写リボンでの染料の析出が、認められない
△:熱転写リボンでの染料の析出が認められるが、転写後の熱転写受像シートでの析出染料の付着が認められない
×:転写後の熱転写受像シートでの析出染料の付着が、認められる
なお、△以上であれば実用上問題ないレベルである。
<熱転写受像シートの折り曲げシワ評価>
実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、サーマルシミュレーターを用いて保護層を転写させた。その後、熱転写受像シートを折り曲げ、熱転写受像シート基材と離型シートとを粘着層から剥離させた。剥離後の熱転写受像シートを目視確認し、折り曲げシワの発生の有無を調べた。その結果を表2に示す。
熱転写受像シートの折り曲げシワ評価は、以下の基準にて行った。
○:折り曲げシワが、認められない
×:折り曲げシワが、認められる
なお、○であれば実用上問題ないレベルである。
<印画評価>
実施例1〜11、比較例1〜13の感熱転写記録媒体について、サーマルシミュレーターを用いて、最高反射濃度である255階調を11分割した階調ごとの画像を印画した。その後、低濃度領域である46階調における反射濃度と、最高反射濃度である255階調における反射濃度を、X−Rite社製の分光濃度計「X−Rite528」にて測定した。その結果を表2に示す。
なお、各評価における印画条件は以下の通りである。
印画環境:23℃、50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi、副走査300dpi
表2に示す結果から、実施例1〜11の感熱転写記録媒体は、下引き層が設けられていない比較例1の感熱転写記録媒体と比較して、明らかに高速印画時における最高反射濃度が高く、染料層に使用する染料を低減することができ、コストダウンの効果が大きいことがわかった。また、染料層との密着性、及び印画における異常転写も実用上問題ないことがわかった。
実施例2の感熱転写記録媒体は、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドン=80/20であり、ポリビニルピロリドン比率が低いためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して染料層との密着性が若干低下し、転写後の熱転写リボンで異常転写が発生した痕跡が認められることがわかった。
実施例3の感熱転写記録媒体は、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドン=30/70であり、ポリビニルアルコール比率が低いためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して反射濃度が若干低下していることがわかった。
実施例4の感熱転写記録媒体は、下引き層の塗布量が0.05g/m未満であるためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して染料層との密着性が若干低下し、転写後の熱転写リボンで異常転写が発生した痕跡が認められることがわかった。
実施例5の感熱転写記録媒体は、下引き層の塗布量が0.30g/m超であるためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して最高反射濃度が若干低下していることがわかった。
実施例6の感熱転写記録媒体は、染料層に含まれるバインダー樹脂であるガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=95/5であり、ポリビニルブチラール比率が若干低いためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して低濃度領域の反射濃度が若干低下していることがわかった。また実施例7の感熱転写記録媒体は、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=98/2であり、ポリビニルブチラール比率が実施例6の感熱転写記録媒体よりも低いためか、実施例6の感熱転写記録媒体と比較して低濃度領域の反射濃度が若干低下していることがわかった。
実施例8の感熱転写記録媒体は、染料層に含まれるバインダー樹脂であるガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=50/50であり、ポリビニルブチラール比率が若干高いためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して低濃度領域の反射濃度が若干高いことがわかった。また実施例9の感熱転写記録媒体は、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=40/60であり、ポリビニルブチラール比率が実施例8の感熱転写記録媒体よりも高いためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して低濃度領域の反射濃度は若干高いが、転写後の熱転写リボンで変形や伸びが認められることがわかった。
実施例10の感熱転写記録媒体は、熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率が、熱移行性染料/バインダー樹脂=10/90であり、熱移行性染料比率が若干低いためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して低濃度領域の反射濃度及び最高反射濃度が、何れも若干低いことがわかった。
実施例11の感熱転写記録媒体は、熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率が、熱移行性染料/バインダー樹脂=75/25であり、熱移行性染料比率が若干高いためか、熱転写リボンでの染料の析出が認められることがわかった。
これに対して、比較例2の感熱転写記録媒体は、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm未満であるポリビニルアルコールを用いた結果、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して最高反射濃度が著しく低下していることがわかった。
染料層がアントラキノン系化合物を含まない染料からなる比較例3の感熱転写記録媒体は、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して最高反射濃度が著しく低下していることがわかった。
JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm未満であるポリビニルアルコールを用い、かつ、染料層がアントラキノン系化合物を含まない染料からなる比較例4の感熱転写記録媒体は、比較例2や3の感熱転写記録媒体と比較してさらに最高反射濃度が低下していることがわかった。ここで、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールを用いている比較例3と、抗張力が8kg/mm未満のポリビニルアルコールを用いている比較例4とで、最高反射濃度を比較すると、その差は僅かであり、染料層がアントラキノン系化合物を含まない染料からなる場合は、ポリビニルアルコールの抗張力が反射濃度に与える効果は小さいことがわかった。このことから、JIS K 7113に基づいて測定したポリビニルアルコールの抗張力が8kg/mm以上であり、かつ、染料層にアントラキノン系化合物を含む熱移行性染料を用いることで、飛躍的に高い反射濃度が得られることがわかった。
比較例5の感熱転写記録媒体では、ポリビニルアルコールのみを含む下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥して下引き層を形成させた結果、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して、染料層との密着性が低下し、熱転写受像シートへの異常転写が認められることがわかった。
比較例6の感熱転写記録媒体では、ポリビニルピロリドンのみを含む下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥して下引き層を形成させた結果、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して、染料層との密着性は問題ないものの、最高反射濃度は著しく低下することがわかった。
比較例7の感熱転写記録媒体は、下引き層用のポリビニルアルコールの、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm未満であるため、抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールを用いた実施例1〜5の感熱転写記録媒体と比較すると、最高反射濃度が低下することがわかった。
比較例8の感熱転写記録媒体では、ガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールのみをバインダー樹脂として含む染料層形成用塗布液を塗布し、乾燥して染料層を形成させた結果、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して、低濃度領域の反射濃度は高くなるものの、熱転写受像シートでのシワの発生及び転写後の熱転写受像シートでの析出染料の付着が認められ、保護層転写後の熱転写受像シートを折り曲げた際に、折り曲げシワの発生も認められることがわかった。
比較例9の感熱転写記録媒体では、ガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールのみをバインダー樹脂として含む染料層形成用塗布液を塗布し、乾燥して染料層を形成させた結果、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して、低濃度領域の反射濃度が著しく低下することがわかった。
比較例10の感熱転写記録媒体は、保護層の塗布量が0.05g/m未満であるためか、保護層転写時に熱転写リボンと熱転写受像シートとが貼り付くことがわかった。
比較例11の感熱転写記録媒体は、保護層の塗布量が7.00g/m超であるためか、保護層転写後の熱転写受像シートを折り曲げた際に、折り曲げシワの発生が認められることがわかった。
比較例12の感熱転写記録媒体は、熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率が、熱移行性染料/バインダー樹脂=5/95と10/90を下回るためか、実施例1の感熱転写記録媒体と比較して、低濃度領域の反射濃度及び最高反射濃度が、何れも著しく低下することがわかった。
比較例13の感熱転写記録媒体は、熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率が、熱移行性染料/バインダー樹脂=80/20と75/25を上回るためか、転写後の熱転写受像シートでの析出染料の付着が認められることがわかった。
本発明の感熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、高速印画時における反射濃度が低濃度領域及び高濃度領域ともに高く、染料層に使用する染料が低減されてコストダウンの効果が大きく、さらに染料の析出が防止され、また印画における異常転写と、印画時の熱や圧力等によるシワの発生との防止も可能で、そのうえ、転写後の熱転写受像シートの折り曲げ時に折り曲げシワの発生も防止することができるので、例えばシールメディア用途の感熱転写記録媒体として好適に利用される。
10 基材
20 下引き層
30 染料層
40 保護層
50 耐熱滑性層
60 熱転写受像シート基材
70 受像層
80 粘着層
90 離型シート

Claims (4)

  1. 基材の一面に下引き層が形成され、該下引き層上に、熱移行性染料及びバインダー樹脂を含む染料層が積層され、該下引き層及び該染料層からなる積層体と面順次となるように保護層が形成された熱転写リボンと、
    基材の一面に、前記熱転写リボンの染料を固着させる受像層が形成され、該基材の他方の面に、粘着層と離型シートとが順次積層された熱転写受像シートと
    の組み合わせからなり、
    前記下引き層が、JIS K 7113に基づいて測定した抗張力が8kg/mm以上のポリビニルアルコールと、ポリビニルピロリドンとを含む下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥して形成されたものであり、
    前記染料層が、熱移行性染料としてアントラキノン系化合物を含み、かつ、バインダー樹脂としてガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの混合物を含む染料層形成用塗布液を塗布し、乾燥して形成されたものであり、
    前記染料層形成用塗布液中の熱移行性染料とバインダー樹脂との質量基準での配合比率が、熱移行性染料/バインダー樹脂=10/90〜75/25であり、
    保護層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量で表される、前記保護層の乾燥後の塗布量が、0.05〜7.00g/mであることを特徴とする、感熱転写記録媒体。
  2. 前記下引き層中のポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドン=40/60〜70/30であることを特徴とする、請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
  3. 前記下引き層形成用塗布液を塗布し、乾燥した後に残った固形分量で表される、前記下引き層の乾燥後の塗布量が、0.05〜0.30g/mであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の感熱転写記録媒体。
  4. 前記染料層中のガラス転移温度が100℃以上のポリビニルアセタールとガラス転移温度が75℃以下のポリビニルブチラールとの質量基準での含有比率が、ポリビニルアセタール/ポリビニルブチラール=50/50〜97/3であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の感熱転写記録媒体。
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