JP2017087688A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱転写の印画速度の高速化や、熱転写画像の高濃度、高品質の要求に対応し、画像のにじみや地汚れなどなく、熱転写時に剥離線や異常転写、印画シワの発生を防止できる感熱転写記録媒体を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る感熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層を備え、前記基材の他方の面に下引き層、染料層をこの順に備えた感熱転写記録媒体において、前記耐熱滑性層の充填剤や、染料層に添加する離型剤等を調整することにより、所望の感熱転写記録媒体を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関する。
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に感熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けたものである。ここで感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化、また得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では基材シートの同じ側に印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けられた複数の感熱転写層をもつ感熱転写記録媒体がかなり普及してきている。
そのような中、用途の多様化と普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進むに従って、従来の感熱転写記録媒体では十分な印画濃度が得られないという問題が生じてきた。そこで転写感度を上げるべく、感熱転写記録媒体の薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行われてきたが、感熱転写記録媒体の製造時や印画の際に熱や圧力等により印画シワが発生するなどの問題や、場合によっては破断が発生するという問題を抱えている。
また、感熱転写記録媒体の染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることが行われているが、染料を増やすことでコストアップとなるばかりではなく、製造工程における巻き取り状態時に感熱転写記録媒体の耐熱滑性層へ染料の一部が移行し(裏移り)、その後の巻き返し時に、その移行した染料が他の色の染料層、あるいは保護層に再転移し(裏裏移り)、この汚染された層を被転写体へ熱転写すると、指定された色と異なる色相となってしまう場合や、いわゆる地汚れが発生する場合などがある。
また、感熱転写記録媒体側ではなく、プリンタ側で画像形成時のエネルギーをアップする試みも行われているが、消費電力が増えるばかりではなく、プリンタのサーマルヘッドの寿命を短くする他、印画時に染料層と被転写体とが融着し、染料層と被転写体とが連続的に剥離しない為に発生する剥離線や、染料層が被転写体に転写する、いわゆる異常転写が生じやすくなる。
染料層と被転写体との融着防止に対して、シリコーン化合物やフッ素化合物などの離型剤を用いる方法が提案されている。この方法の一つとして、これら離型剤を被転写体側に導入する方法が提案されているが、昨今の昇華型熱転写記録方式では、印画物の耐擦過性、耐アルコール性や耐光性などの保護耐性向上の観点から、印画後の被転写体に保護層として透明な樹脂を積層させる場合が多い。この時に被転写体に離型剤が存在すると、保護層が転写されにくくなり、積層に不利になる場合がある。
別の方法として、離型剤を染料層への導入することも提案されている。
例えば、特許文献1には、少なくとも昇華性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含有する染料層インキにおいて、該バインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、前記離型剤がポリシロキサンとアセタール樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする染料層インキが提案されている。
また、特許文献2では染料層にフッ素系界面活性剤を含有する感熱転写記録媒体が開示されている。
この特許文献1、2に提案されている感熱転写記録媒体にて昨今の昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行ったところ、十分な印字濃度が得られない場合や、熱転写の際に剥離線や異常転写が発生するなどの他にも問題が発生することがあり、十分に満足できる品質の印画物が得られなかった。また、上記実施例において剥離線や異常転写を防ぐ為に、染料層への離型剤添加量を増量しても、剥離線や異常転写の解決には至らないばかりか、画像のにじみや地汚れやインキ染料として泡立ちなど塗工上の問題が生じ、さらに熱圧を印加したことによる感熱転写記録媒体の伸びの影響で印画シワが発生してしまった。
このような問題に対して特許文献3では、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物からなる離型剤を含む染料層と、粒子径D50が膜厚以上である充填剤を含んだ耐熱滑性層を備え、MD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合のMD方向の伸び率が1%になる温度が205℃以上となる感熱転写記録媒体を提案している。
この特許文献3の感熱転写記録媒体を用いて、前述の昇華転写方式の高速プリンタで印画を行った結果、画像のにじみや地汚れなどなく、熱転写時に剥離線や異常転写、印画シワの発生を抑制できた。
特開2007−84670号公報 特開平7―101166号公報 特願2015−028473号公報
しかしながら、特許文献3の感熱転写記録媒体で印画を繰り返し実施したところ、プリンタのサーマルヘッドが磨耗し、サーマルヘッドの交換が必要な事態が発生してしまった。
そこで、本発明は、プリンタのサーマルヘッドの磨耗を抑制しつつ、画像のにじみや地汚れなどがなく、熱転写時に剥離線や異常転写、印画シワの発生を防止できる感熱転写記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を備え、前記基材の他方の面に下引き層、染料層をこの順に備えた感熱転写記録媒体において、
前記耐熱滑性層の80℃以上160℃以下におけるSiC、Si34、SiONの各々に対する動摩擦係数が0.18以下であり、
前記染料層は、少なくとも、熱移行性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含み、前記離型剤は、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物からなり、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物の割合が重量比で9:1〜6:4であり、前記耐熱滑性層は、少なくともバインダー樹脂と充填剤からなり、前記充填剤は、粒子径D50が耐熱滑性層の膜厚以上であり、かつ耐熱滑性層に対して20重
量%未満であることを特徴とする感熱転写記録媒体である。
上記課題を解決するための請求項2に係る発明は、前記感熱転写記録媒体を、上記基材のMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合のMD方向の伸び率が1%になる温度が205℃以上となることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体である。
上記課題を解決するための請求項3に係る発明は、前記離型剤の含有量は、染料層のバインダー樹脂に対して、0.5〜3.0質量%である事を特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の感熱転写記録媒体である。
上記課題を解決するための請求項4に係る発明は、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは分子量8000以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の感熱転写記録媒体である。
本発明の一態様に係る感熱転写記録媒体であれば、印画の際のプリンタのサーマルヘッドの磨耗を抑制しつつ、画像のにじみや地汚れなどなく、熱転写時に剥離線や異常転写、印画シワの発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係る感熱転写記録媒体の構造を示す概略断面図である。 本発明の感熱転写記録媒体を用いたプリンタの例示す概念図である。 本発明の実施形態に係る感熱転写記録媒体の耐熱滑性層の構造例を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。また、以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置については、その記載を省略している。
(感熱転写記録媒体100)
本発明の一実施例の感熱転写記録媒体100は、図1に示すように、基材110の一方の面にサーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層140設け、基材110の他方の面に、下引き層120、染料層130を順次形成した構成である。
この感熱転写記録媒体100は、図2に示すようにプリンタ内において、感熱転写記録媒体100の染料層130面と被転写体の受像層面とを対向設置され、サーマルヘッドによる熱エネルギーによって、印字が行われる。
この際、感熱転写記録媒体100は、熱転写における熱圧で変形すると印画時にシワが発生しやすいため、熱圧がかかった際の伸びが小さいことが好ましい。特にサンプルをMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上なると印画時のシワが発生しにくい。なお、前述の温度TはSII社製TMA/SS6100を用い、室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際のサンプルの変位を測定することにより導出した。
(基材110)
基材110は、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度とが要求される。そのため、基材110としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、及びコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体が使用可能である。これらの中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、基材110は、操作性、加工性を考慮し、その厚さが2μm以上50μm以下の範囲内のものが使用可能である。その範囲内のものでも、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下の範囲内のものが好ましい。
更に、基材110において、耐熱滑性層140及び下引き層120を形成する面の少なくとも一方に、接着処理を施すことも可能である。この接着処理としては、例えば、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等を適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。この接着処理を施すことで、基板110に対する耐熱滑性層140や下引き層120の接着性を高めることができる。
(下引き層120)
次に、下引き層120には、基材と染料層の両方に良好な接着性を有するバインダーを主体として形成する。上記バインダーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂等が挙げられる。
下引き層120の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、固形分の塗工量で、0.02g/m2〜2.0g/m2である。この膜厚が0.02g/m2よりも薄い場合は、下引き層の塗布抜けによる異常転写などの不安があり、また2.0g/m2よりも厚いと、染料層へのサーマルヘッドからの熱伝達が悪くなり、印字濃度が低くなるという欠点を生じる。
ここで、下引き層120の乾燥後の塗布量とは、下引き層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいう。また、後述する染料層130の乾燥後の塗布量及び耐熱滑性層140の乾燥後の塗布量も、同様に、各塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいうものとする。
また下引き層120には、コロイド状無機顔料超微粒子、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤を使用することができる。なお、コロイド状無機顔料超微粒子としては、従来公知のもので例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。
(染料層130)
染料層130は、例えば、熱移行性染料、バインダー樹脂、離型剤、溶剤などを配合して染料層形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成されたものである。染料層130の乾燥後の塗布量は、1.0g/m2程度が適当である。なお、染料層130は、
1色の単一層で構成しても良く、また色相の異なる染料を含む複数の層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することもできる。
染料層130に含まれる熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であれば使用可能であり、特に限定されるものではなない。この熱移行性染料のうち、イエロー成分としては、例えば、ソルベントイエロー56、16、30、93、33、ディスパースイエロー201、231、33等を挙げることができる。また、マゼンタ成分としては、例えば、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19等を挙げることができる。また、シアン成分としては、例えば、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、あるいはC.I.ディスパースブルー24等を挙げることができる。なお、墨の染料としては、前述の各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
染料層130に含まれるバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
ここで、染料層130の染料とバインダーとの配合比率は、質量基準で、(染料)/(バインダー)=10/100〜300/100が好ましい。これは、(染料)/(バインダー)の比率が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られないためである。また、この比率が300/100を超えると、バインダーに対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体を形成した際に保存安定性が悪くなり染料が析出し易くなってしまうためである。また、染料層130には、性能を損なわない範囲で、例えば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の添加剤が含まれていてもよい。
染料層130に添加する離型剤は、本発明においてはポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物からなる。上記2種類の離型剤を添加する事により、染料層と被転写体との融着を効率よく防ぐ事ができる。ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物はそれぞれ単独でも染料層と被転写体との融着を防止する効果を発揮するものの、昨今の昇華転写方式の高速プリンタでは熱転写時に剥離線や異常転写が発生し、十分に満足する性能を得られない。
また、離型剤の添加量を増量しても、画像のにじみ、地汚れ、インキ染料として泡立ちの発生や染料層内部や下引き層と染料層との界面にも離型剤が存在してしまい、耐熱性の低下による印画シワや異常転写が発生する。
これに対し、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物を混合することによって、染料層の表面に離型剤成分を局在化する事ができ、わずかな添加量で染料層と被転写体との融着を防ぐ事ができる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物を比較した場合、染料層と被転写体との融着を防ぐ能力はポリエーテル変性シリコーンオイルの方が優れているが、該離型剤は染料層表面だけでなく染料層内部にも存在しやすいため、下引き層と染料層間との密着性が低下する危険性をはらんでいる。一方でパーフルオロアルキル化合物は、ポリエーテル変性シリコーンオイルと比べ、染料層と被転写体との融着を防ぐ能力は
劣るが、染料層表面に局在化しやすい。これはフッ素系離型剤に含まれるパーフルオロアルキル基の表面張力が低く、空気と高い親和性を有する為である。
そこで、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物を混合することによって、少ない添加量で染料層の表面に離型剤成分を局在化する事が可能となる。
シリコーンオイルとしてはポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンなどがあげられるが染料層と被転写体との融着を防ぐという点からポリエーテル変性シリコーンがよい。
このポリエーテル変性シリコーンは、シロキサン結合からなるポリマーであるシリコーンオイル(ポリシロキサン)の中で、側鎖および/または末端に親水基であるポリエーテルを導入したものである。シロキサン鎖は、直鎖状、分岐状、および架橋型のいずれの形状でもよい。一般的なシリコーンオイルは、水には全く溶解せず、撥水性を示すが、ポリエーテル変性とすることで水系、非水系でも優れた相溶性があり、ごく少量で従来の有機系界面活性剤では得られない数々の優れた効果を発揮する。
また、ポリエーテル鎖と同時にアルキル基、反応性のアミノ基やエポキシ基などを同時に導入させた異種官能基変性シリコーンオイル等も、材料構成や目的に合わせて使用することができる。
本発明のポリエーテル変性シリコーンは一般名称で商業的に入手可能であり、例えば下記の製品を使用することができる。
信越シリコーン株式会社製のKF-351、KF-352、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-644、KF-6020、KF-6204、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017、KF-6004、X-22-4952、X-22-4272、KF-6123、東レダウコーニング社製SH8700、SF8410、SH8400、 L-7002、FZ-2104、FZ-77、L-7604 、FZ-2203、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4460(いずれも商品名)があげられる。
分子量の小さい離型剤は、染料層表面に局在化しやすいが、地汚れや染料保存性が低下しやすい傾向にある為、分子量8000以上であることが好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化合物は公知のものを用いることができ、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基・( 親水性基及び親油性基) 含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基・親油性基含有ウレタン、パーフルオロアルキル燐酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルアミン化合物、パーフルオロアルキル第四級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン、非解離性パーフルオロアルキル化合物等が挙げられる。
発明のパーフルオロアルキル化合物は一般名称で商業的に入手可能であり、例えば下記の製品を使用することができる。フッ素系界面活性剤としては、大日本インキ化学工業株式会社製のメガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−472SF、メガファックF−474、メガファックF-475、メガファックF−477、メガファックF−478、メガファックF−479、メガファックF−480SF、メガフ
ァックF-472、メガファックF−483、メガファックF−484、メガファックF−486、メガファックF−487、メガファックF−489、メガファックF-172D、メガファックF−178K、メガファックF−178RM、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242、S-243,S-420、S-386、S-611、S-651、日油株式会社のモディパーF206 、F606 、F3636、住友スリーエム株式会社製のノベックTMFC−4430、FC−4432(いずれも製品名)などがあげられるが、特に限定されるものではない。
上記離型剤は、染料層30のバインダー樹脂に対して、0.5〜3.0質量%の範囲であることが好ましく、特に1.0〜2.0質量%の範囲がより好ましい。1.0質量%を下回る場合、離型剤量の絶対量が少ない為、印画時の染料層30と被転写体との間で融着が生じ、剥離線や異常転写が発生しやすくなる。
一方、3.0質量%を超える場合、地汚れやにじみ、異常転写、インキ染料として泡立ち、染料析出等の不具合が生じやすくなる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物の混合比は質量基準で、(ポリエーテル変性シリコーンオイル)/(パーフルオロアルキル化合物)=9/1〜6/4の範囲であることが好ましく、特に9/1〜8/2の範囲が好ましい。
9/1を下回ると(パーフルオロアルキル化合物が少なくなると)、染料層表面に離型剤が局在化しにくくなり、染料層と被転写体と融着しやすくなる。この比率が6/4を越える場合は、ポリエーテル変性シリコーンオイルの割合が少なくなる為、染料層と被転写体と融着しやすくなる。
染料層は、上記染料、バインダー樹脂と、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物を必須成分とし、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。
(耐熱滑性層140)
次に、耐熱滑性層140は、基材110の一方の側に形成した層であり、感熱転写記録媒体100に対し、サーマルヘッドとの滑り性を付与する層である。本発明における耐熱滑性層140は80℃以上160℃以下におけるSiC、Si34、SiONの各々に対する動摩擦係数が0.18以下である必要がある。これにより、印画時の感熱転写記録媒体100との接触によるサーマルヘッドの磨耗が抑制され、サーマルヘッドの長寿命化につながる。一方、80℃以上160℃以下における動摩擦係数が0.18を超えると耐熱滑性層140による磨耗によりサーマルヘッドの寿命が短くなる。なお、SiC、Si34、SiONは一般的なサーマルヘッドの材質である。
なお、動摩擦係数は新東科学製HEIDONトライボギア14を用い、SiC、Si34、SiONを80℃以上160℃以下に加熱した状態で感熱転写記録媒体1の耐熱滑性層40との動摩擦係数を荷重100g、走査速度100mm/minで測定する。
また、耐熱滑性層140は熱圧による感熱転写記録媒体100の伸びを抑える効果を持つことが好ましい。感熱転写記録媒体100は、熱転写における熱圧で変形すると印画時にシワが発生しやすいため、特にサンプルをMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合のMD方向の伸び率が1%になる温度Tが205℃以上になることが望ましいが、基材110の一方の面に下引き層120、染料層130を積層した状態では前記温度Tが205℃未満になることもある。この場合は熱圧での変形の小さい耐熱滑性層140を用いることで、感熱転写記録媒体1全体の熱圧による変形を抑えて、感熱転写記録媒体100の温度Tが205℃以上になるようにする必要がある。
なお、前述の温度TはSII社製TMA/SS6100を用い、室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際のサンプルの変位を測定することにより導出した。
耐熱滑性層140は、例えば、バインダーとなる樹脂、機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して耐熱滑性層形成用の塗布液を適宜調製し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層140の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下程度が適当である。
耐熱滑性層140の一例を挙げると、膜を形成するための必須成分であるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
耐熱滑性層140の表面に滑り性を付与し、プリンタヘッドとの摩擦を低減させる機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができる。
上記機能性添加剤とは逆に、プリンタヘッドとの摩擦を付与することでヘッドクリーニング性の機能を担う充填剤としては、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
ここで充填剤はバインダー樹脂の間に入り込み、バインダー樹脂同士の接近を妨げることで熱圧印加時の耐熱滑性層140の伸びを抑制する効果もある。特に、充填剤の粒子径については、図3に示すように粒子径D50が耐熱滑性層140を形成するバインダー樹脂ほか141の膜厚以上であることが好ましく、かつ耐熱滑性層140に対して20重量%未満とすることで、高い伸びの抑制効果を得ることができる。一方、耐熱滑性層140に対して20重量%以上とした場合、耐熱滑性層140の膜自体の強度が低下し、温度に対する伸び率を制御できないことを、本検討より見出した。また、充填剤の粒子径D50については、粒度分布計によって測定することができる。
耐熱滑性層140に強度を付与する硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、およびその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
以上のことから、本実施形態に係わる作用効果について、以下に示す。
(1)本実施形態に係る感熱転写記録媒体100では、基材110の一方の面に耐熱滑性層140を備え、基材110の他方の面に下引き層120、染料層130をこの順に備
えており、染料層130を、少なくとも、熱移行性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含んだものとし、前記離型剤は、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物であり、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物の割合が重量比で9:1〜6:4であるとしている。
これにより画像のにじみや地汚れなどなく、熱転写時に剥離線や異常転写の発生を防止できる。
(2)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、該離型剤の含有量は染料層30に含まれるバインダー樹脂に対して0.5〜3.0質量%であるとしている。
これにより、画像のにじみや地汚れなどなく、熱転写時に剥離線や異常転写の発生を防止できる。
(3)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの分子量8000以上のであるとしている。
これにより、画像のにじみや地汚れなどがより発生しにくくなり、且つ、熱転写時に剥離線や異常転写の発生を防止できる。
(4)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、耐熱滑性層40の80℃以上160℃以下におけるSiC、Si34、SiONの各々に対する動摩擦係数が0.18以下であるとしている。
これにより、繰り返し印画を実施した際のプリンタのサーマルヘッドの磨耗が抑制される。
(5)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、耐熱滑性層40が、少なくともバインダー樹脂と充填剤からなり、前記充填剤は、粒子径D50が耐熱滑性層40の膜厚以上であり、かつ耐熱滑性層40に対して20重量%未満であるとしている。
これにより、耐熱滑性層40に熱圧がかかった際に伸びにくくなることによって感熱転写記録媒体1の熱転写時における伸びが抑制され、印画シワの発生を防止できる。
(6)また、本実施形態に係る感熱転写記録媒体1では、前記感熱転写記録媒体1をMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合のMD方向の伸び率が1%になる温度が205℃以上となるとしている。
これにより、感熱転写記録媒体1の熱転写時における伸びが抑制され、印画シワの発生を防止できる。
以下に、本発明の各実施例及び各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<耐熱滑性層付き基材の作製>
基材として、4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に、下記組成の耐熱滑性層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2(膜厚0.60μm)になるように塗布し、100℃1分間乾燥した。その後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層付き基材を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−1>
・アクリルポリオール樹脂 16.02部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 2.35部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.13部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
耐熱滑性層付き基材の耐熱滑性層が塗布されていない面に、下記組成の下引き層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/m2になるように塗布し、100℃で2分間乾燥することで、下引き層を形成した。引き続き、その下引き層の上に、下記組成の染料層用塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/m2になるように塗布し、90℃で1分間乾燥することで、染料層を形成した。こうして、実施例1の感熱転写記録媒体を得た。
<下引き層用塗布液−1>
ポリビニルアルコール 2.50部
ポリビニルピロリドン 2.50部
純水 57.0部
イソプロピルアルコール 38.0部
<染料層用塗布液−1>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272信越シリコーン社製 分子量10000) 0.054部
・パーフルオロアルキル化合物 0.006部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(実施例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を下記組成の染料層用塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−2>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.048部
・パーフルオロアルキル化合物 0.012部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(実施例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を下記組成の染料層用塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−3>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.042部
・パーフルオロアルキル化合物 0.018部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を下記組成の染料層用塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−4>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.036部
・パーフルオロアルキル化合物 0.024部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(実施例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を下記組成の染料層用塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−5>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.096部
・パーフルオロアルキル化合物 0.024部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(実施例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を下記組成の染料層用塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−6>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.016部
・パーフルオロアルキル化合物 0.004部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.98部
(実施例7)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を下記組成の染料層用塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−7>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4957 信越シリコーン社製 分子量5000) 0.048部
・パーフルオロアルキル化合物 0.012部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(実施例8)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例8の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−2>
・アクリルポリオール樹脂 17.63部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 0.24部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.64部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(実施例9)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−3>
・アクリルポリオール樹脂 16.91部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 1.18部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.41部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(実施例10)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例10の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−4>
・アクリルポリオール樹脂 14.60部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 4.23部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.67部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(実施例11)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例11の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−5>
・アクリルポリオール樹脂 16.36部
・ステアリン酸亜鉛 1.00部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 2.40部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.24部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(実施例12)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、実施例12の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−6>
・アクリルポリオール樹脂 15.68部
・ステアリン酸亜鉛 2.00部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 2.30部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.02部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(実施例13)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、実施例13の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−7>
・アクリルポリオール樹脂 15.34部
・ステアリン酸亜鉛 2.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 2.25部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.91部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(比較例1)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−8>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.120部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.88部
(比較例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−9にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−9>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4957 信越シリコーン社製 分子量5000) 0.120部
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.88部
(比較例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−10にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−10>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4957 信越シリコーン社製 分子量5000) 0.280部
・トルエン 44.86部
・メチルエチルケトン 44.86部
(比較例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−11にした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−11>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.030部
・パーフルオロアルキル化合物 0.030部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(比較例5)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−12にした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−12>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.060部
・パーフルオロアルキル化合物 0.060部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.88部
(比較例6)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−13にした以外は、実施例1と同様にして、比較例6の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−13>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.018部
・パーフルオロアルキル化合物 0.042部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.94部
(比較例7)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−14にした以外は、実施例1と同様にして、比較例7の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−14>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル
(X−22−4272 信越シリコーン社製 分子量10000) 0.036部
・パーフルオロアルキル化合物 0.084部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.88部
(比較例8)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−15にした以外は、実施例1と同様にして、比較例8の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−15>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・パーフルオロアルキル化合物 0.120部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 45.00部
・メチルエチルケトン 44.88部
(比較例9)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−16にした以外は、実施例1と同様にして、比較例9の感熱転写記録媒体を得た。
<染料層用塗布液−16>
・C.I.ソルベントブルー63 6.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
・パーフルオロアルキル化合物 0.280部
(メガファックF−569 DIC株式会社)
・トルエン 44.86部
・メチルエチルケトン 44.86部
(比較例10)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、比較例10の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−8>
・アクリルポリオール樹脂 13.89部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 5.17部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.44部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(比較例11)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−9にした以外は、実施例1と同様にして、比較例11の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−9>
・アクリルポリオール樹脂 12.46部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 7.05部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 3.99部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(比較例12)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−10した以外は、実施例1と同様にして、比較例12の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−10>
・アクリルポリオール樹脂 16.02部
・ステアリン酸亜鉛 1.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.40μm) 2.35部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.13部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(比較例13)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−11にした以外は、実施例1と同様にして、比較例13の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−11>
・アクリルポリオール樹脂 16.88部
・ステアリン酸亜鉛 0.25部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 2.48部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.40部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
(比較例14)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、基材に塗布する染料層用塗布液を前述の染料層用塗布液−5に、耐熱滑性層塗布液を下記組成の耐熱滑性層塗布液−12にした以外は、実施例1と同様にして、比較例14の感熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層用塗布液−12>
・アクリルポリオール樹脂 16.70部
・ステアリン酸亜鉛 0.50部
・タルク(粒子径(D50) 0.80μm) 2.45部
・2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 5.35部
・トルエン 50.00部
・メチルエチルケトン 20.00部
・酢酸エチル 5.00部
<被転写体の作製>
基材として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように塗布、乾燥した。こうして、感熱転写用の被転写体を作製した。
<受像層用塗布液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
・アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
・トルエン 40.0部
・メチルエチルケトン 40.0部
<にじみ・地汚れ印画評価>
実施例1〜13、比較例1〜14に感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物のにじみ、地汚れを評価した。その結果を表1、2に示す。
にじみは自然画(人物画像)、地汚れは白ベタ画像を評価画像として用いた。
なお、印画条件は以下の通りである。
・印画環境:23℃50%RH
・印加電圧:29V
・ライン周期:0.9msec
・印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
にじみ・地汚れの評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
○ :にじみ・地汚れが、認められない
△ :にじみ・地汚れが、ごく僅かに認められる
△×:印画物のにじみ・地汚れが、部分的に認められる
× :にじみ・地汚れが、全面で認められる
<剥離線・異常転写評価>
実施例1〜13、比較例1〜14に感熱転写記録媒体に関して、常温にて養生された感
熱転写記録媒体と被転写体とを使用し、48℃5%環境下、サーマルシミュレーターにて黒グラデーション印画を30枚行い、剥離跡や異常転写の有無を評価した。その結果を表1、2に示す。
剥離線・異常転写の評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。なお、異常転写が×のものは、染料層が被写体へ転移したことにより、剥離線の評価ができなかった為、評価不可とした。
○ :被転写体への剥離線・異常転写が、認められない
△ :被転写体への剥離線・異常転写が、ごく僅かに認められる
△×:被転写体への剥離線・異常転写が、部分的に認められる
× :被転写体への剥離線・異常転写が、全面で認められる
<表面Si量(Si/C)の測定>
本発明では、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物を混合することによって、染料層の表面に離型剤成分を局在化させる事ができる。その効果確認の為、ポリエーテル変性シリコーンオイルに含まれるSi原子に着目し、染料層表面のSi量を測定した。Si量が多ければ表面に存在するポリエーテル変性シリコーンオイルの量が多いということになる。
Si量は、X 線電子分光法による測定されるものである。X線光電子分光法の測定原理は、元素にX 線を照射し、原子から放出された特有の自由電子の運動エネルギーを定量的かつ定性的に検出するものである。測定原理の特性上、固体表面から約10nm程度の表面を構成する元素を測定する方法であり、測定対象の厚さ方向全てを測定するものではない。
染料層表面のSi量 は、X 線光電子分光法装置( 商品名:ESCA1600 アルバック・ファイ社製) により評価した。使用X 線源はMgKα、X 線源の加速電圧15kV測定範囲10〜1100evに結合エネルギーをもつ元素のうち、C、Si、N、Oについて定性、定量を行い、各元素の定量値からSi/Cを計算して、染料層表面の離型剤量を定量した。測定範囲は約0.8mmφで実施した。その結果を表1、2に示す。
なお、本発明では、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物は双方とも被転写体と離型性を有する為、表面Si量だけで、剥離線や異常転写などの性能面は議論できない。
<動摩擦係数評価>
実施例1〜13、比較例1〜14の感熱転写記録媒体の耐熱滑成層の80℃、120℃、160℃におけるSiC、Si34、SiONに対する動摩擦係数を測定した結果を表1、2に示す。なお、動摩擦係数は新東科学製HEIDONトライボギア14を用い、荷重100g、走査速度100mm/minで測定した。
<サーマルヘッド磨耗評価>
実施例1〜13、比較例1〜14の感熱転写記録媒体を使用し、SiC、Si34、SiONの3種類それぞれの未使用のサーマルヘッドを用い、サーマルシミュレーターにて下記の条件でベタ印画を連続して10000枚実施した。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.9msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
そして、使用後のサーマルヘッドの断面形状をNikon NEXIV VMRで観察して耐熱滑性層と擦れたことによる磨耗を確認した。磨耗の評価結果を表1、2に示す。なお、磨耗の評価は以下の基準とした。
〇:最大磨耗が1μm未満のもの。サーマルヘッドの寿命は実用上問題ないレベルを保てる。
×:最大磨耗が1μmを超えるもの。サーマルヘッドの寿命が短くなる。
<伸び率が1%になる温度の測定>
シートに荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合の伸び率が1%になる温度を温度Tとした際の実施例1〜13、比較例1〜14の感熱転写記録媒体の温度Tの測定結果を表1、2に示す。また、実施例1〜14、比較例1〜14の感熱転写記録媒体の構成において、耐熱滑性層を設けずに作成したシートの温度Tの測定結果を表1、2に示す。
なお、温度TはSII社製TMA/SS6100を用いて、サンプルをMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら室温から0℃に−5℃/minで冷却後、260℃まで5℃/minで加熱した際のサンプルの変位を測定することにより導出した。
<印画シワ評価>
実施例1〜13、比較例1〜14の感熱転写記録媒体を使用し、サーマルヘッドの保護膜としてSiC、Si34、SiONを用い、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、印画シワを評価した。シワの評価として、24V、27Vと印画エネルギーを変えた2パターンに関して10inch/secの速さで印画評価を行った。
なお、シワによる印画不良の評価は以下の基準にて行った。24Vの電圧においてシワが発生しなければ実用上において問題ない。
〇:印画物にシワによる印画不良無し
×:印画物にシワによる印画不良あり
Figure 2017087688
Figure 2017087688
表1、2に示す結果から、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物を混合した実施例1〜7は、それぞれ単独で使用した比較例1〜3、8、9と比較して、剥離線・にじみ・地汚れ・異常転写が発生しないことがわかった。
また、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物比率を5/5とした比較例4、5、また、混合比率を3/7とした比較例6、7では、剥離線発生が確認され、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物比率としては、重量比で9:1〜6:4の範囲内であることが有効であると確認された。
離型剤添加量が3%である実施例5ではにじみ・地汚れに不安が残り、添加量が0.5%である実施例6では剥離線発生に不安が残り、添加量としては0.5〜3.0%の範囲内が好ましい事が確認された。
また、ポリエーテル変性シリコーンオイルの分子量が8000以上の実施例2と8000未満である実施例7の比較から、ポリエーテル変性シリコーンオイルの分子量が大きい方が、にじみ・地汚れに対して効果的である事が確認された。
また、表面Si量と剥離線・にじみ・地汚れ・異常転写の関連性は判断できないが、実施例1、比較例1のSi量の比較から、パーフルオロアルキル化合物を混合する事で、染料層表面へポリエーテル変性シリコーンオイルが局在化しやすい事が確認された。
表1、2に示す結果から、耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対SiCの動摩擦係数が0.18以下である実施例1〜13及び比較例1〜12の感熱転写記録媒体は耐熱滑性層と擦れたことによるSiCのサーマルヘッドの磨耗に問題はない。一方で、耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対SiCの動摩擦係数が0.18を超える比較例13、14ではサーマルヘッドの耐熱滑性層と擦れたことによる磨耗は最大磨耗が1μmを超えて寿命が短くなっていることが確認された。
また、表1、2に示す結果から、耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対Si34の動摩擦係数が0.18以下である実施例1〜13及び比較例1〜12の感熱転写記録媒体はSi34のサーマルヘッドの耐熱滑性層と擦れたことによる磨耗に問題はない。一方で、耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対Si34の動摩擦係数が0.18を超える比較例13、14ではサーマルヘッドの耐熱滑性層と擦れたことによる磨耗は最大磨耗が1μmを超えて寿命が短くなっていることが確認された。
また、表1、2に示す結果から、耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対SiONの動摩擦係数が0.18以下である実施例1〜13及び比較例1〜12の感熱転写記録媒体はSiONのサーマルヘッドの耐熱滑性層と擦れたことによる磨耗に問題はない。一方で、耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対SiONの動摩擦係数が0.18を超える比較例13、14ではサーマルヘッドの耐熱滑性層と擦れたことによる磨耗は最大磨耗が1μmを超えて寿命が短くなっていることが確認された。
このように、SiC、Si34、SiONのいずれのサーマルヘッドも耐熱滑性層の80℃以上160℃以下における対ヘッド材質の動摩擦係数が0.18以下の場合に、サーマルヘッドの寿命が実用上問題ないレベルを保てることが確認された。印画時に高温となるサーマルヘッドとそれにより加熱された耐熱滑性層との摩擦が低くなることにより、サーマルヘッドの磨耗が抑制されるものとみられる。
表1、2に示す結果から、シートをMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合のMD方向の伸び率が1%になる温度を温度Tとした際の、感熱転写記録媒体の温度Tが205℃以上である実施例1〜13、比較例1、2、4、6、7、8、13、14では印画シワが発生していないことが確認された。一方で、温度Tが205℃未満である比較例3、5、9〜12では印画シワが発生している。このことから、温度Tが205℃以上であれば印画シワが発生しないことが確認された。これは、温度Tが205℃以上であれば熱圧がかかった時の感熱転写記録媒体の伸びが十分に小さいためとみられる。
また、表1、2の実施例2、5、6より染料層用塗布液への離型剤添加量が多いほど耐熱滑性層を設けていない感熱転写記録媒体の温度Tは低くなり、それにともなって感熱転写記録媒体の温度Tも低下してしまっていることが確認された。このことから、離型剤添加量が増えると熱圧印加時の感熱転写記録媒体の伸び率が高くなっているとみられる。
また、表1、2の実施例1〜13、比較例1〜9、13、14より、耐熱滑性層が20重量%以下の充填剤であるタルクを含むことにより、耐熱滑性層の温度Tが205℃以上になり、印画シワが発生していないことが確認された。一方、タルク(充填剤)が20重量%以上含まれている比較例10、11では、耐熱滑性層の温度Tが205℃未満となり、印画シワが発生してしまっていることが確認された。このことより、耐熱滑性層に20重量%以下の充填剤が含まれている場合は、感熱転写記録媒体の熱圧による伸びが抑制されて印画シワが起こらないが、20重量%以上の充填剤が耐熱滑性層に含まれると感熱転写記録媒体の熱圧による伸びが抑制しきれずに印画シワが発生してしまうことがわかった。
また、表1、2の実施例5と比較例12より、耐熱滑性層に含まれる充填剤の粒子径D50が耐熱滑性層の膜厚(0.60μm)以上であれば、前述の感熱転写記録媒体の熱圧による伸びが抑制される効果が現れて印画シワが発生しないが、充填剤の粒子径D50が耐熱滑性層の膜厚(0.60μm)より小さければ熱転写記録媒体の熱圧による伸びが抑制できずに印画シワが発生してしまうことが確認された。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
本発明により得られる感熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できる。このため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
100:感熱転写記録媒体
110:基材
120:下引き層
130:染料層
140:耐熱滑性層
141:バインダー樹脂ほか
142:充填剤
210:巻出部
220:巻取部
300:被転写体
400:サーマルヘッド
500:プラテンローラ

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に耐熱滑性層を備え、前記基材の他方の面に下引き層、染料層をこの順に備えた感熱転写記録媒体において、前記耐熱滑性層の80℃以上160℃以下におけるSiC、Si34、SiONの各々に対する動摩擦係数が0.18以下であり、前記染料層は、少なくとも、熱移行性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含み、前記離型剤は、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物からなり、ポリエーテル変性シリコーンオイルとパーフルオロアルキル化合物の割合が重量比で9:1〜6:4であり、前記耐熱滑性層は、少なくともバインダー樹脂と充填剤からなり、前記充填剤は、粒子径D50が耐熱滑性層の膜厚以上であり、かつ耐熱滑性層に対して20重量%未満であることを特徴とする感熱転写記録媒体。
  2. 前記感熱転写記録媒体を、上記基材のMD方向に5000N/m2の荷重をかけて引っ張りながら加熱した場合のMD方向の伸び率が1%になる温度が205℃以上となることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
  3. 前記離型剤の含有量は、染料層のバインダー樹脂に対して、0.5〜3.0質量%である事を特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の感熱転写記録媒体。
  4. 前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは分子量8000以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の感熱転写記録媒体。
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