JP2020015255A - 熱転写リボンと熱転写受像紙のセット - Google Patents

熱転写リボンと熱転写受像紙のセット Download PDF

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【課題】印画後の見当ズレを抑制する熱転写リボンと熱転写受像紙のセットを提供する。【解決手段】熱転写リボン10と熱転写受像紙のセットであって、熱転写リボン10は、基材11と、基材11の一方の面上に設けられた染料層12と、基材11の他方の面上に設けられた耐熱滑性層13とを、少なくとも備え、染料層12の表面におけるSiの元素比率、すなわち表面Si量%が、4.0%以上7.0%未満であり、熱転写受像紙は、支持体の一方の面上に、接着層、プラスチックフィルム層、プライマ層及び受像層をこの順に備え、且つ、支持体の他方の面上に、グリップ層を有し、グリップ層が、結晶化度55%以上のポリエチレン樹脂からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写リボンと熱転写受像紙のセットに関する。
従来から、文字又は画像等を被転写体に形成する印刷方式として、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式等が採用されている。
昇華型熱転写方式は、熱転写リボンにおける染料層と、熱転写受像紙における受像層とを互いに重ね合わせ、次いで、電気信号により発熱が制御されるサーマルヘッドによって熱転写リボンを加熱することで、染料層中の染料を昇華させて受像層へ移行させ、受像層上に所望の文字、画像等を形成させる。
昇華型熱転写方式は、昇華型の染料を用いて濃度階調を自由に調整できることから、自然画を比較的忠実に再現することができる。
上述のような昇華型熱転写方式や溶融型熱転写方式などの熱転写方式では、種々の問題が存在している。
例えば、熱転写で印画する場合に、面順次に各色を重ね合わせる方式で印画されるが、この方式では、画面毎にカラー画像を形成するため、熱転写受像シートが往復運動して、順次一方向に巻き取られる熱転写リボンから一色ごとに画像が転写され、各色が重ねあわされる。
この方式の長所は、印画スピードが速く、シリアル方式で見られる行間の重なりが無いため、位置精度さえ出れば、綺麗な画像を形成することができる。
しかし、一方でこの方式の短所として、熱転写受像紙が往復運動するため、紙の位置決め精度に乏しく、いわゆる見当ズレが起こりやすいこと、及び印画プリンタの小型軽量化や低価格化を図りにくいことの問題を挙げることができる。
また、これらの搬送性を決めるグリップローラは経時劣化等で、錆付きなどが生じることがあり、このような経時劣化が起きた時には、搬送性能が悪化し見当ズレを起こす場合がある。このような環境下においても正常に印画する性能が必要である。
特開平11−115328号公報
しかしながら、特許文献1では、背面層のグリップ層の軟化点を指定し、見当ズレを抑制する効果が記載されているが、メディア全体でみた場合に印画時の熱転写リボン側の効果の記載がなく、見当ズレを抑制する点に関しては対策が不十分である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、熱転写受像紙の搬送性を向上させ、見当ズレを防ぐことができる熱転写リボン及び熱転写受像紙のセットを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、すなわち請求項1に記載の発明は、熱転写リボンと熱転写受像紙のセットであって、前記熱転写リボンは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた染料層と、前記基材の他方の面上に設けられた耐熱滑性層とを、少なくとも備え、前記染料層の表面におけるSiの元素比率、すなわちSi量%が、4.0%以上7.0%未満であり、前記熱転写受像紙は、支持体の一方の面上に、接着層、プラスチックフィルム層、プライマ層及び受像層をこの順に備え、且つ、支持体の他方の面上に、グリップ層を有し、前記グリップ層が、結晶化度55%以上のポリエチレン樹脂からなることを特徴とする熱転写リボンと熱転写受像紙のセットである。
請求項2に記載の発明は、前記染料層が、シリコーン系離型剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写リボンと熱転写受像紙のセットである。
本発明に係る熱転写と熱転写受像紙をセットとして用いることで、見当ズレを抑制し、プリンタの動作性不良を発生させず、熱転写受像紙の搬送性を向上させることができる。
熱転写リボンの一実施形態を示す模式断面図である。 熱転写受像紙の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<熱転写リボン>
図1は、熱転写リボンの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、熱転写リボン(10)は、基材(11)と、基材(11)の一方の面上に設けられた染料層(12)と、基材(11)の他方の面上に設けられた耐熱滑性層(13)と、を備える。
染料層(12)は、例えば、イエロー染料層(14)、マゼンタ染料層(15)及びシアン染料層(16)がこの順に繰り返して配列されていても良い。
また、図1に示すように、上述のような染料層(12)に並んで、オーバーコート剥離層(17)及びオーバーコート接着層(18)からなるオーバーコート層(19)が、順次に設けられていても良い。
このように染料層(12)、オーバーコート層(19)が設けられた熱転写リボンを用いた場合、後述する熱転写受像紙に印画画像を形成する際には、印画画像を形成する一つの領域に対して、イエロー染料層(14)、マゼンタ染料層(15)及びシアン染料層(16)、オーバーコート層(19)が、この順に接し、任意のパターン状に染料の移行ないし転写がなされることで、各染料の画像パターンが重ねて転写され、印画画像における色が表現される。
基材(11)としては、熱転写リボンの基材として使用できるものであれば、特に制限はないが、機械的強度が高く、表面が平滑であるものが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、
ポリスチレンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムを好ましく用いることができる。特にポリエステルフィルムに分類されるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、比較的安価であり、更に強度が高く、薄いフィルムを形成できることから、より好ましい。
このような基材(11)の厚さは、特に制限はなく、例えば1〜50μmである。機械的強度を確保しつつ、熱に対する印字感度を良好に保つ観点から、3〜10μmが好ましい。
染料層(12)は、耐熱性、染料堅牢性、染料の染着性能等の性能バランスの観点から、バインダ樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂やセルロース系樹脂などが望ましい。ポリビニルアセタール樹脂とは、ポリビニルアルコールにアルデヒド類などを反応させてアセタール化した樹脂であり、ポリビニルホルマール樹脂やポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などを例示することができる。これらの樹脂は、単独あるいは混合物などとして用いることができる。
このようなバインダ樹脂には、必要に応じて架橋構造が形成されていても良い。例えば、水酸基を含むバインダ樹脂などに、イソシアネート架橋剤などを添加し、反応させることで、ウレタン構造からなる架橋構造を形成することができる。
イソシアネート架橋剤としては、イソシアネート基を分子内に少なくとも1つ以上有する化合物で構成されており、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)系、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)系、キシリレンジイソシアネート(XDI)系等が挙げられる。
上述のようなバインダ樹脂中に添加される染料としては、熱転写リボンに用いられる昇華性染料を特に制限なく使用することができ、例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等が挙げられる。
より具体的には、イエロー染料層(14) に用いられるイエロー染料としては、C.1.ソルベントイエロー14 ,C.1.ソルベントイエロー16,C.1.ソルベントイエロー29,C.1.ソルベントイエロー30,C.1.ソルベントイエロー33,C.1.ソルベントイエロー56,C.1.ソルベントイエロー93等、C.I.デイスパースイエロー7,C.I.デイスパースイエロー33,C.I.デイスパースイエロー60,C.I.デイスパースイエロー141,C.I.デイスパースイエロー201,C.I.デイスパースイエロー231等が挙げられる。
マゼンダ染料層(15) に用いられるマゼンダ染料としては、C.I.ソルベントレッド18,C.I.ソルベントレッド19,C.I.ソルベントレッド27,C.I.ソルベントレッド143,C.I.ソルベントレッド182等、C.I.デイスパースレッド60,C.I.デイスパースレッド73,C.I.デイスパースレッド135,C.I.デイスパースレッド167等、C.I.デイスパースバイオレット13,C.I.デイスパースバイオレット26,C.I.デイスパースバイオレット31,C.I.デイスパースバイオレット56等が挙げられる。
また、シアン染料層7に用いられるシアン染料としては、C.I.ソルベントブル−11,C.I.ソルベントブル−36,C.I.ソルベントブル−63,C.I.ソルベントブル−105等、C.I.デイスパースブルー24,C.I.デイスパースブルー72,C.I.デイスパースブルー154,C.I.デイスパースブルー354等が挙げられる。
染料の含有量は、バインダ樹脂全質量を基準として、例えば、1〜10質量%であっても良く、更には3〜8質量%であっても良い。
本発明の効果を得るためには、染料層(12)に対して、Si元素を有する化合物であるシリコーン系離型剤の添加が必要である。
シリコーン系離型剤としては、従来公知の変性シリコーンオイルを例示することができ、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーンなどの反応性シリコーンオイルや、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどのような非反応性シリコーンオイルなどを挙げることができる。
また、本発明の効果を得るためには、さらにX線光電子分光分析法によって計測される表面Si量%(表面におけるSiの元素比率)が、4.0%以上7.0%未満であることが重要である。
これを達成するためには、適切な含有量と乾燥温度条件等によってコントロールができる。例えば表面Si量を高くしたい場合にはシリコーンオイルを多く含有させ、さらに乾燥温度を高く設定させることで可能である。また、表面Si量を低く設定する場合には、シリコーンオイルを少なく含有させ、乾燥温度を低温とすることで実現が可能である。
表面Si量が4.0%未満の場合には、熱転写時のリボン3と受像層15との界面における剥離性能が悪化し、見当ズレが発生する。一方で、表面Si量が7.0%以上の場合には、昇華型プリンタのイニシャライズ動作にて、リボン帯電が発生しやすくなり、帯電によってプリンタ内部のプラスチック樹脂との貼り付きが生じる。
その結果、イニシャライズ動作が終了できずに停止してしまう現象が発生する。これは、表面Si量が多くなることによってプリンタ内部で使用されるリボン直下に設置されたプラスチックカバー等との摩擦帯電によって帯電が大きくなることによって発生していると考えられる。
染料層(12)を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、溶剤中に上述した各成分を添加して染料層塗布液を作製し、得られた染料層塗布液を上述した基材(11)の一方の面上にグラピアコート法等により塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
溶剤としては、特に制限されないが、例えばメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
染料層(12)の厚さは、特に制限はなく、例えば0.5〜2.0μmである。印刷面の外観に不具合がないレベルで厚みを決定することができる。
図1に示したオーバーコート層(19)は、オーバーコート剥離層(17)ならびにオーバーコート接着層(18)とからなり、オーバーコート剥離層(17)は、印画物の保護をするためのコート層として用いられ、基材からの熱時剥離が軽いものが使用される。
オーバーコート剥離層(17)としては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール系樹脂をはじめ、いわゆるアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂などの各種樹脂を単独あるいは混合物などとして用いることができる。
オーバーコート接着層(18)は、オーバーコート剥離層(17)と、後述する熱転写受像紙の受像層と、を接着するための層であり、用いる材料としては、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、セルロース系樹脂等の各種合成樹脂や天然樹脂、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムなどのゴム類や塩素化ポリオレフィンなどを例示することができ、これらの各種材料を単独あるいは混合物などとして用いることができる。
また、オーバーコート層(19)は、オーバーコート剥離層(17)あるいはオーバーコート接着層(18)の少なくともいずれかの層に、紫外線吸収剤やワックス類などの添加剤が添加されていても良い。
紫外線吸収剤としては、従来公知の紫外線吸収剤をいずれも用いることができ、例えば、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系、トリアジン系などを挙げることができ、これらの各種紫外線吸収剤を単独あるいは2以上の混合物として用いることができる。
耐熱滑性層(13)は、サーマルヘッドと熱転写リボン(10)との間の熱による固着を防ぐために設けられるものであり、例えば、バインダ樹脂、滑剤、研磨剤等を含んでいる。
耐熱滑性層(13)のバインダ樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル系樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などを例示することができ、中でも水酸基を含む熱可塑性樹脂、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ウレタンポリオール等の熱可塑性樹脂と、イソシアネート架橋剤との反応生成物を用いることができる。
水酸基を含む熱可塑性樹脂としては、アクリルポリオールを用いることが好ましく、この時のアクリルポリオールとしては、できるだけ高分子量であることがより好ましい。イソシアネート架橋剤としては、先に染料層(12)のところで例示したイソシアネート架橋剤をいずれも用いることができ、多価イソシアネートを用いても良い。
滑剤としては、例えば、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、α−オレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステル類などを例示することができる。
中でも、リン酸エステル類を好ましく用いることができ、リン酸エステルは、例えばリン酸1分子当たり3箇所のリン酸基のうち、エステル化が1箇所又は2箇所なされている構造を有していても良い。
リン酸エステルとしては、飽和アルコール(例えば、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等)又は不飽和アルコール(例えば、オレイルアルコール等) のアルキレンオキサイド付加物とリン酸とのモノエステル又はジエステルが好ましく、該アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドが好ましく、付加数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましい。
研磨剤は、熱転写プリンタのサーマルヘッドと接する耐熱滑性層又は他の層から発生する印画カスを除去する役割を有する。研磨剤としては、例えば酸化マグネシウムが挙げられる。酸化マグネシウムは公知の方法により製造されたものを用いることができ、例えば、マグネシウムの炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を焼成して加水分解する方法、マグネシウムを気相酸化する方法などが挙げられる。
研磨剤としては、上記酸化マグネシウムのほかに、シリカ等の酸化物、タルク、カオリン等の粘土鉱物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、硫酸カルシウム等の硫酸塩、グラファイト、硝石、窒化ホウ素等の無機微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂等の有機樹脂微粒子、これらを架橋剤と反応させた架橋樹脂微粒子などが挙げられる。
耐熱滑性層(13)を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、上述した各成分を含む混合物を作製し、上述した基材(11)の一方の面上に塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
耐熱滑性層(13)の厚さは、特に制限はなく、例えば1.0〜1.5μmである。
本実施形態に係る熱転写リボンは、上述した基材、染料層及び耐熱滑性層のほかに、必要に応じて離型層を設けてもよい。この場合の熱転写リボンは、例えば、基材の一方の面上に、染料層(12)と、離型層とがこの順に繰り返して配列され、この離型層の上に、例えば、オーバーコート層などが形成されていても良い。
<熱転写受像紙>
図2は、熱転写受像紙の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示すように、熱転写受像紙(20)は、支持体(21)の一方の面上に、接着剤層(22) 、プラスチックフィルム層(23)、プライマ層(24)及び受像層(25)をこの順に備え、且つ、支持体(21)の他方の面上に、グリップ層(26)をこの順に備える。
支持体(21)としては、熱転写受像紙の支持体として使用できるものであれば特に制限はないが、熱転写において、加熱された状態でも取扱い上支障のない程度の機械的強度を有するものが好ましい。
このような支持体(21)としては、例えばコンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系など)、上質紙、アート紙、コート紙、レジンコート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルム等が挙げられる。中でも、紙、上質紙、クレーコート紙等を好適に用いることができる。
支持体(21)の厚さは、特に制限はなく、例えば50〜150μmである。
接着剤層(22)としては、特に制限されないが、例えば低密度ポリエチレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂、あるいはこれらの混合物などにより構成されていてもよい。接着剤層(22)は、紙との接着性の観点から、低密度ポリエチレンが望ましい。厚さは、特に制限されるものではなく、例えば1μm〜30μmであっても良い。
プラスチックフィルム層(23)としては、印画濃度を高く保つために例えばミクロボイドを含むフィルムであることが望ましい。例えば、発泡延伸ポリプロピレン(発泡OPP)、発泡ポリエチレンテレフタレート(発泡PET)などが挙げられる。
プラスチックフィルム層(23)の厚さは、特に制限されるものではなく、例えば12μm〜50μmであることが望ましい。
プライマ層(24)としては、特に制限はないが、受像層(25)と、プラスチックフィルム層(23)との接着性を付与するために用いられる。
プライマ層(24)は、水系溶剤に水溶性樹脂や水溶性高分子を溶解あるいは分散した水系コーティング剤、あるいは水性エマルジョンなどから構成される水系コーティング剤などをコーティングすることによって形成することができる。
水溶性樹脂または水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸などの水溶性のアクリル樹脂、ゼラチン、澱粉、カゼインおよびこれらの変性物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、水性エマルジョンの例としては、ポリオレフィンエマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョンなどの塩化ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョンなどを挙げることができる。
これらの各種樹脂あるいは高分子は、それぞれ単独で用いられても良いし、混合物などとして用いられても良い。
これらの中で、例えば、ウレタン系樹脂エマルジョン、ゼラチン等をメインのバインダ組成物として構成されても良い。
また、プライマ層(24)には、必要に応じて、架橋剤や酸化防止剤、蛍光染料や、公知添加剤を含有していても良い。
架橋剤を添加する場合、一般的な架橋剤としては、水系塗料で使用できる材料が用いら
れ、アジリジン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等が用いられる。
プライマ層(24)の厚さも特に制限されるものではなく、例えば0.5〜10μmであってもよい。
受像層(25)は、上述の熱転写リボン(10)から放出される昇華性染料を受容して染着させる機能を有し、有機溶剤を溶媒または分散媒とする溶剤系コーティング剤をコーティングして形成することも可能であるが、環境問題等を考慮すると有機溶剤を低減することが望ましく、また熱転写受像シートを開梱して使用する際の溶剤臭を低減するという観点からも水系溶剤を溶媒または分散媒とする水系コーティング剤をコーティングして形成することが望ましい。
水系コーティング剤としては、水性の樹脂エマルジョンを好ましく用いることができ、ポリエステル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、塩化ビニル系樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョンなどの塩化ビニル系樹脂エマルジョン等を単独、あるいは混合物として用いることができる。
受像層(25)は、必要に応じて離型剤を含んでいてもよい。離型剤としては、例えば、変性シリコーンオイルを例示することができる。
変性シリコーンオイルは、従来公知のものをいずれも用いることができ、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーンなどの反応性シリコーンオイルや、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどのような非反応性シリコーンオイルなどを挙げることができるが、中でもポリエーテル変性シリコーンを好適に用いることができる。
ポリエーテル変性シリコーンの具体的な例としては、信越化学工業(株)製のKF−351A、KF−352A、KF353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945等が挙げられる。
受像層(25)には、上記の各成分のほか、必要に応じて架橋剤を含んでいても良い。架橋剤としては、上記樹脂骨格に存在するカルボン酸との架橋構造を形成させるものであれば適宜用いられる。架橋構造を形成できるものとしては、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、オキサゾリン系化合物等が挙げられる。
カルボジイミドの具体的な例としては、日清紡ケミカル(株)製のカルボジライトE−05、V−02などが挙げられる。アジリジンの具体的な例としては(株)日本触媒製のケミタイトPZ−33、オキサゾリンの具体的な例としては、(株)日本触媒製のエポクロスWSシリーズが挙げられる。
受像層(25)を形成する方法としては、従来公知のコーティング法を用いることができ、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等により塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
溶剤としては、水系であることが望ましいが、必要に応じてエタノールやイソプロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどに代表される造膜助剤等を本発明に影響のない範囲で添加することができる。
受像層(25)の厚さは、特に制限はなく、例えば0.1μm〜5.0μm程度であることが望ましい。
0.1μm以下の場合には所望する濃度が得られず、5.0μmより厚い場合には、受像層(25)に応力集中が生じ、ヒビやクラックなどが入り外観が悪化することがある。
グリップ層(26)は、プリンタ内で、グリップローラすなわち金属ローラのスパイクを食い込ませ、熱転写受像紙(20)の搬送精度を向上させるためのもので、ポリエチレン樹脂から成り、結晶化度55%以上であることが重要である。ポリエチレンを用いる理由は、紙等の支持体(21)との接着性に優れるためである。
ポリエチレンは、エクストルーダー成形によって膜を得ることができ、製膜条件を調整することで結晶化度はコントロールできる。グリップ層の結晶化度のコントロールは、樹脂密度の選択、また、押出条件によって制御が可能である。
結晶化度を高めたい場合には、比較的密度の高い樹脂を選定し、押出後の冷却ロール温度を高めることで、除冷却させることで結晶化度を高くすることができる。一方で結晶化度を低くしたい場合には、比較的低密度の樹脂を選定し、押出後の冷却ロール温度を低くし、急冷却させることで結晶化度を低く設定することができる。
結晶化度はラマン分光法、示差走査熱量計によるピーク面積、X線回折法等で結晶化度を測定することができる。
グリップ層(26)の結晶化度が55%未満の場合、グリップ層が粘性を持つためにグリップローラとグリップ層とのグリップ性能(スパイクの食い込みやすさ)が悪くなる。その結果、イエロー、マゼンダ、シアン、オーバーコートと面々に順次印画を重ねるごとに、搬送精度が低下し見当ズレの発生につながる。
一方で、グリップ層(26)の結晶化度が55%以上の場合には、グリップ層が適度な弾性力を持つことで、グリップローラとグリップ層とのグリップ性能(スパイクの食い込みやすさ)が向上する。
その結果、搬送精度が上がり、見当ズレの抑制をすることができる。上述の熱転写リボン(10)における染料層(12)の表面Si量%のコントロールと併用をすることで、この抑制効果はさらに高まり見当ズレを確実に防ぐことが出来る。
このようなグリップ層(26)の厚さは、特に制限されるものではなく、例えば1μm〜30μmであっても良い。
本実施形態においては、上述した熱転写リボンと熱転写受像紙をセットとして用いることにより、見当ズレを抑制し、昇華型熱転写プリンタ正常動作可能なメディアを提供できる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
〔熱転写リボンの作製〕
基材として厚さ4.5μmのPETフィルム(東レ(株)製)の一方の面上に、耐熱滑性層を、グラビアコート法により乾燥時の厚さが1.3μmとなるように塗布した。
続いて基材の他方の面上に、染料層イエローインキ、染料層マゼンダインキ、染料層シアンインキ、オーバーコート剥離剤、オーバーコート接着剤を順次面々に印刷して形成させ、ドライ塗布量が0.8g/mとなるように塗布し、乾燥時の厚さが0.8μmとなるように染料層を形成して、熱転写リボンを得た染料層処方、オーバーコート層処方は下記の通りとした。また、このときの染料層表層の表面Si量%を4.0%となるように乾燥条件を調整し熱転写リボンを得た。
<染料層イエローインキ>
[メインバインダー成分]
KS−5: ポリピニルプチラール樹脂、積水化学工業株式会社製 5.0部
[染料]
HSY2701 : 三菱ケミカル株式会社製 2.5部
P Y L 3 G : 三菱ケミカル株式会社製 2.4部
[シリコーンオイル]
KF393:信越化学工業株式会社製 0.2部
EFKA3030:BASF社製 0.1部
[溶剤]
MEK:メチルエチルケトン 58部
TOL:トルエン 29部
ANON:シクロヘキサノン 2.7部
<染料層マゼンタインキ>
[メインバインダー成分]
KS−5:ポリビニルブチラール樹脂、積水化学工業株式会社製 5.0部
[染料]
FSRedl367:有本化学業株式会社製 2.6部
HSR2174:三菱ケミカル業株式会社製 2.3部
[シリコーンオイル]
KF393:信越化学工業株式会社製 0.2部
EFKA3030:BASF社製 0.1部
[溶剤]
MEK:メチルエチルケトン 58部
TOL:トルエン 29部
ANON:シクロヘキサノン 2.7部
<染料層シアンインキ>
[メインバインダー成分]
KS−5:ポリビニルブチラール樹脂、積水化学工業株式会社製 5.0部
[染料]
HSB2651:三菱ケミカル株式会社製 2.45部
HSB2194:三菱ケミカル株式会社製 2.45部
[シリコーンオイル]
KF393:信越化学工業株式会社製 0.2部
EFKA3030:BASF社製 0.1部
[溶剤]
MEK:メチルエチルケトン 58部
TOL:トルエン 29部
ANON:シクロヘキサノン 2.7部
<オーバーコート剥離剤>
BR−52:三菱ケミカル株式会社製 10部
MEK:メチルエチルケトン 45部
TOL:トルエン 45部
<オーバーコート接着剤>
MB−2389:三菱ケミカル株式会社製 10部
MEK:メチルエチルケトン 90部
〔熱転写受像紙の作製〕
熱転写受像紙は、エクストルーダーラミネートにより作製した。まずグリップ層を形成させるため支持体である紙の上に、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテック HJ580N)がl6μmとなるように押し出しコーティングで形成した。ここで押し出した膜の結晶化度は56%となるように押出温度を調整した。
さらに紙の一方の面上に接着層として低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製ノバテック HLC600A)を10μmとなるように押し出し、ミクロボイドを含む42μmのプラスチックフィルム(東洋紡株式会社製 カミシャインKS100)をラミネートした。更にミクロボイドを有するプラスチックフィルム上にプライマインキを用いて、プライマ層として乾燥時の厚さが1μmとなるように形成した。
その後、該プライマ層上に受像層インキをリバースグラビアコートにてドライ塗布量3.0g/m、乾燥時の厚さが2.8μmとなるように受像層を形成し、熱転写受像紙を作製した。
<プライマインキ>
スーパーフレックス170:ウレタンコート剤、第一工業製薬株式会社製 50部
純水: 50部
<受像層インキ>
ビニブラン690:塩ビアクリルエマルジョン、日信化学工業株式会社製 50部
KF352A:ポリエーテルシリコーン離型剤、信越化学工業株式会社製 5部
純水: 30部
イソプロパノール: 15部
(実施例2)
実施例1の表面Si量%が6.9%となるように乾燥条件を調整し、その他は実施例1と同様に熱転写リボン、熱転写受像紙を作製した。
(比較例1)
実施例1の表面Si量%が3.5%となるように乾燥条件を調整し、その他は実施例1と同様に熱転写リボン、熱転写受像紙を作製した。
(比較例2)
実施例1の表面Si量%が7.5%となるように乾燥条件を調整し、その他は実施例1と同様に熱転写リボン、熱転写受像紙を作製した。
(比較例3)
実施例1の表面Si量%が5.0%となるように乾燥条件を調整し、グリップ層を形成させるため紙の上に、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテックHJ580N)と低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテックLC600A)を1:1でドライブレンドしたものを用い16μmとなるように押し出しコーティングで形成した。ここで押し出した膜の結晶化度は40%となるように押出温度を調整した。その他は実施例1と同様に熱転写リボン、熱転写受像紙を作製した。
(比較例4)
実施例1の表面Si量%が7.5%となるように乾燥条件を調整し、グリップ層を形成させるため紙の上に、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテックHJ580N)と低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテックLC600A)を1:1でドライブレンドしたものを用い16μmとなるように押し出しコーティングで形成した。ここで押し出した膜の結晶化度は40%となるように押出温度を調整した。その他は実施例1と同様に熱転写リボン、熱転写受像紙を作製した。
[プリンタ動作評価]
プリンタのイニシャライズ動作確認として富士フィルム株式会社製の昇華型熱転写プリンターASK300を用いて評価を行った。
イニシャライズ動作は、熱転写リボンと熱転写受像紙をセットし、イニシャライズ動作が完了した場合を○、イニシャライズ動作が完了せずに熱転写リボン貼り付きが生じて完了できなかった場合を×とした。
[イニシャライズ後の帯電測定]
プリンタのイニシャライズ動作後の熱転写リボンの帯電量を測定した。熱転写リボンの帯電は、デジタル静電電位測定器(春日電機株式会社製KSD−1000)を用いて測定した。
熱転写リボンの帯電量が5KV以下の場合は比較的帯電が少なく熱転写リボン同士の貼り付きがないために○とした。一方で熱転写リボンの帯電が20KV以上の場合には熱転写リボン同士の貼り付きがおき、イニシャライズ動作が出来なくなり正常動作ができなくなるために×とした。
[見当ズレ]
見当ズレの評価として、プリンタ内部のグリップローラを錆付かせた状態のものを使用し、十字模様つきのグレーベタ画像を使用した。上記の昇華型熱転写プリンターを用いて印画し、十字模様がイエロー、マゼンタ、シアンと順々に印画した際に、イエロー、マゼンタ、シアンの印画時の十字画像のいずれかが、0.05mm以上ずれた場合を×とし、0.02mm〜0.05mm未満の場合は△、0.02mm未満の場合には○とした。ズレ量が少ないほど見当ズレが抑制できたと判断できる。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2020015255
実施例1ならびに実施例2より、染料層表面のSi量%が、4%以上7%未満であり、且つグリップ層の結晶化度が55%以上の場合には、プリンタ動作においても、また見当ズレにおいても何の問題もなく、印字可能であることが判る。
これに対して、比較例1では、グリップ層の結晶化度は変わらず、染料層表面のSi量%が、4.0%未満の値となった場合を示しており、この場合はプリンタ動作に問題は見出せないものの、見当ズレが発生している。
これは、変性シリコーンオイルの添加量が少ないことにより、熱転写リボンの帯電が抑制され、プリンタ内での帯電による動作不具合は発生しないが、サーマルヘッドを用いて転写した際に、熱転写受像紙の受像層と熱転写リボンの染料層との界面における剥離性が低下し、これにより見当ズレが発生したと考えることができる。
また、比較例2では、グリップ層の結晶化度は変わらず、染料層表面のSi量%を7.0%以上とした場合を示しており、この場合はプリンタ動作のイニシャライズ動作で張り付きが発生している。
これは、変性シリコーンオイルの添加量が多いことにより、受像層と染料層との剥離性は良好だが、熱転写リボン表面の帯電量が20KV以上と高い値を示しており、このためにプリンタ内で熱転写リボンの静電気による張り付きが発生していると考えることができる。
比較例3では、染料層表面のSi量%は適性範囲内であるが、グリップ層の結晶化度が55%未満の場合を示しており、この場合はプリンタ動作には問題が見出せないものの、見当ズレが発生している。
これは、グリップ層の結晶化度が低いことにより、粘性が生じ、プリンタに設置された錆付いたグリップローラのスパイクが、ブリップ層に対して食い込みあるいは抜き取りがスムーズに行われず、見当ズレが発生したと考えることができる。
比較例4では、染料層表面のSi量%が7.0%以上であり、且つグリップ層の結晶化度が55%未満の場合を示しており、この場合にはプリンタ動作ならびに見当ズレの双方において、不具合が発生していることが判る。
以上の結果より、本発明の実施形態に係る熱転写リボンと熱転写受像紙のセットを用いることにより、見当ズレを抑制し、プリンタの動作性不良を発生させず、熱転写受像紙の搬送性を向上させることができることが判る。
10 … 熱転写リボン
11 … 基材
12 … 染料層
13 … 耐熱滑性層
14 … イエロー染料層
15 … マゼンタ染料層
16 … シアン染料層
17 … オーバーコート剥離層
18 … オーバーコート接着層
19 … オーバーコート層
20 … 熱転写受像紙
21 … 支持体
22 … 接着剤層
23 … プラスチックフィルム層
24 … プライマ層
25 … 受像層
26 … グリップ層

Claims (2)

  1. 熱転写リボンと熱転写受像紙のセットであって、前記熱転写リボンは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた染料層と、前記基材の他方の面上に設けられた耐熱滑性層とを、少なくとも備え、前記染料層の表面におけるSiの元素比率、すなわち表面Si量%が、4.0%以上7.0%未満であり、
    前記熱転写受像紙は、支持体の一方の面上に、接着層、プラスチックフィルム層、プライマ層及び受像層をこの順に備え、且つ、支持体の他方の面上に、グリップ層を有し、前記グリップ層が、結晶化度55%以上のポリエチレン樹脂からなることを特徴とする熱転写リボンと熱転写受像紙のセット。
  2. 前記染料層が、シリコーン系離型剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写リボンと熱転写受像紙のセット。
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