JP2023122336A - 熱転写シート - Google Patents

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大介 福井
Daisuke Fukui
祥文 鳥越
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Abstract

【課題】熱転写時における耐スティッキング性及び保管時における耐ブロッキング性に優れ、熱転写時においてサーマルヘッドの摩耗を低減できる熱転写シートを提供する。【解決手段】第1の面及び第2の面を有する基材と、第1の面上に設けられた背面層と、第2の面上に設けられた、色材層及び転写性保護層の少なくとも一方とを備える熱転写シートであって、背面層が、メラミンシアヌレート粒子を含有する、熱転写シート。【選択図】図1

Description

本開示は、熱転写シートに関する。
従来、簡便な印刷方法として熱転写方法が使用されている。熱転写方法は、基材上に色材層が設けられた熱転写シートと、熱転写受像シートとを重ね合わせ、熱転写プリンタが備えるサーマルヘッドにより熱転写シートの背面を画像状に加熱して、熱転写受像シート上に画像(熱転写画像)を形成する方法である。
熱転写方法は、主として溶融転写方式と昇華転写方式とに分けられる。
溶融転写方式により形成される画像は、高濃度で鮮鋭性に優れる。したがって、溶融転写方式は、文字等の2値画像の記録に適している。昇華転写方式は、印加されるエネルギー量に応じて昇華性染料の移行量を制御できることから、サーマルヘッドのドット毎に画像濃度を制御した階調画像を形成できる。昇華転写方式は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等の異なる色の色材層を備える熱転写シートを用いて、熱転写受像シート上に各色染料を重ねて転写することにより、中間色の再現性に優れた高画質な写真調フルカラー画像の形成が可能である。
従来の熱転写シートにおいて、印画時に基材がサーマルヘッドに融着することや、得られる印画物において印画シワが生することを抑制するために、基材における色材層が設けられた面とは反対側の面上に、背面層(一般に耐熱滑性層とも呼ばれる)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-156110号公報
背面層、基材及び色材層を備える熱転写シートを用いてサーマルヘッドにより画像形成を行うに際して、サーマルヘッドが熱転写シートの背面層に融着してスティッキングといわれる走行不良が生じることがある。この場合、背面層に無機フィラー又は有機フィラーを添加して背面層の表面を粗面化し、背面層とサーマルヘッドとの接触面積を下げることにより、滑り性を安定化させることが行われている。
しかしながら、本開示者らは、上記フィラーの硬度が高いと、例えばサーマルヘッドが磨耗してサーマルヘッドの印画寿命が短くなることや、上記フィラーの硬度が低いと、例えば保管時に熱転写シート同士のブロッキングが生じることを見出した。
本開示の課題は、熱転写時における耐スティッキング性及び保管時における耐ブロッキング性に優れ、熱転写時においてサーマルヘッドの摩耗を低減できる熱転写シートを提供することにある。
本開示の熱転写シートは、第1の面及び第2の面を有する基材と、第1の面上に設けられた背面層と、第2の面上に設けられた、色材層及び転写性保護層の少なくとも一方とを備え、背面層が、メラミンシアヌレート粒子を含有する。
本開示によれば、熱転写時における耐スティッキング性及び保管時における耐ブロッキング性に優れ、熱転写時においてサーマルヘッドの摩耗を低減できる熱転写シートを提供できる。
図1は、本開示の熱転写シートの一実施形態の模式断面図である。 図2は、本開示の熱転写シートの一実施形態の模式断面図である。
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施でき、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さ及び形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
[熱転写シート]
本開示の熱転写シートは、
第1の面及び第2の面を有する基材と、
上記第1の面上に設けられた背面層と、
上記第2の面上に設けられた、色材層及び転写性保護層の少なくとも一方と
を備える。
「転写性保護層」とは、熱転写シートの背面層に熱エネルギー等のエネルギーを印加することにより、基材から剥離して被転写体上に転写される保護層を意味する。すなわち転写性保護層は、熱転写シートにおいて、エネルギーの印加により剥離しえる転写層を構成する。以下、転写性保護層を単に「保護層」ともいう。
図1に示す実施形態の熱転写シート1は、基材10と、基材10の第1の面12上に設けられた背面層20と、基材10の第2の面14上に設けられた色材層30とを備える。図2に示す実施形態の熱転写シート1は、基材10と、基材10の第1の面12上に設けられた背面層20と、基材10の第2の面14上に面順次に設けられた、色材層30及び保護層40とを備える。図1において、色材層30が基材10上に設けられている態様を示したが、保護層40が基材10上に設けられていてもよい。図1及び図2に示す実施形態の熱転写シート1は、基材10と背面層20との間に位置する、図示せぬ背面プライマー層をさらに備えてもよい。図2に示す実施形態の熱転写シート1は、基材10と保護層40との間に位置する、図示せぬ離型層をさらに備えてもよい。
<基材>
基材としては、熱転写シートから色材層や保護層を被転写体上に転写する際に加えられる熱エネルギーに耐え得る耐熱性を有し、色材層や保護層を支持できる機械的強度及び耐溶剤性を有していれば、特に制限なく使用できる。
基材は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有する。図1及び図2において、第1の面の符号を12とし、第2の面の符号を14とした。
基材としては、例えば、樹脂材料により構成される樹脂フィルムが挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体及びテレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体などのポリエステル;ナイロン6及びナイロン6,6などのポリアミド;ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などのビニル樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリング樹脂;ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体などのスチレン樹脂;セルロースアセテート及びニトロセルロースなどのセルロース樹脂が挙げられる。樹脂フィルムの中でも、PET及びPENなどのポリエステルにより構成される樹脂フィルムは、耐熱性及び機械的強度に優れるという観点から好ましい。
樹脂フィルムは、樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
本開示において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を包含し、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」との両方を包含する。
基材は、例えば、グラシン紙、コンデンサ紙及びパラフイン紙等の紙基材でもよい。
基材は、複数層を備える積層体でもよい。基材として、例えば、樹脂フィルムの積層体を使用してもよい。樹脂フィルムの積層体は、例えば、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法又はエクストリュージョン法を利用することにより作製できる。基材は、延伸フィルムでもよく、未延伸フィルムでもよく、強度を向上させるという観点から、一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムでもよい。
基材は、一実施形態において、長尺状である。
基材の厚さは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。これにより、例えば、機械的強度と色材層や保護層の転写性とのバランスをより向上できる。基材の厚さは、例えば0.5μm以上50μm以下である。
<背面層>
本開示の熱転写シートは、基材の第1の面上に背面層(又は耐熱滑性層ともいう)を備える。背面層は、メラミンシアヌレート粒子を含有する。このような背面層を設けることにより、例えば、熱転写時におけるスティッキングの発生、保管時におけるブロッキングの発生、及び熱転写時におけるサーマルヘッドの摩耗を抑制できる。メラミンシアヌレート粒子は、有機系フィラーであるものの、耐熱温度が例えば250℃以上と高い。メラミンシアヌレート粒子は、グラファイト構造を有すると推定され、よって有機系フィラーであるものの、劈開性を有する。メラミンシアヌレート粒子は、例えばタルクほど硬質ではなく、適度な硬さを有する。このような理由から、耐熱性、滑り性(走行性)及び耐ブロッキング性に優れ、またサーマルヘッドの摩耗を抑制できる背面層を形成できたと推測される。
メラミンシアヌレート粒子は、メラミンシアヌレートを含有する。
メラミンシアヌレートは、例えば、下記式で表される化合物である。
Figure 2023122336000002
メラミンシアヌレート粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。平均粒子径が下限値以上であると、耐ブロッキング性により優れる傾向にある。平均粒子径が上限値以下であると、滑り性(走行性)により優れる傾向にある。メラミンシアヌレート粒子の平均粒子径は、例えば1μm以上10μm以下である。
メラミンシアヌレート粒子の平均粒子径は、背面層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選択した100個の粒子の非凝集体について測定した粒子径の長軸長さの平均値(算術平均径)を意味する。
メラミンシアヌレート粒子の形状は、例えば、球状、針状、多角形状及び不定形状等のいずれでもよい。
背面層は、メラミンシアヌレート粒子を1種又は2種以上含有できる。
背面層におけるメラミンシアヌレート粒子の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。メラミンシアヌレート粒子の含有割合が下限値以上であると、例えば、背面層の摩擦係数が下がり耐スティッキング性により優れる傾向にあり、また耐ブロッキング性により優れる傾向にある。メラミンシアヌレート粒子の含有量が上限値以下であると、例えば、粒子の脱落を抑制でき、また、印画時における滑り性の低下を抑制できる傾向にある。背面層中のメラミンシアヌレート粒子の含有割合は、例えば1質量%以上30質量%以下である。
メラミンシアヌレート粒子としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日産化学(株)製のMC-4000、MC-4500及びMC-6000、並びに堺化学工業(株)製のMC-20S及びMC-2010Nが挙げられる。
背面層は、一実施形態において、樹脂材料を含有する。樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン及びアクリロニトリル-スチレン共重合体等のスチレン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール及びポリビニルピロリドン等のビニル樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート及びテレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロース樹脂;ポリアミド;ポリイミド;ポリカーボネート;並びにアイオノマー樹脂が挙げられる。
樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性等の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。Tgは、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により得られる。樹脂材料のTgは、例えば80℃以上200℃以下である。
樹脂材料は、水酸基含有樹脂をイソシアネート硬化剤により硬化させて形成された硬化樹脂でもよい。これにより、例えば、熱転写時におけるスティッキングの発生をより抑制できる。水酸基含有樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール及び(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。水酸基含有樹脂は1種又は2種以上用いることができる。イソシアネート硬化剤としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート及びトリス(イソシアネートフェニル)チオフェスフェートが挙げられる。イソシアネート硬化剤は1種又は2種以上用いることができる。
イソシアネート硬化剤が有するイソシアネート基(-NCO)と水酸基含有樹脂が有する水酸基(-OH)とのモル当量比(-NCO/-OH)は、好ましくは1.5以上である。これにより、例えば、背面層の耐熱性を向上でき、基材へ伝達される熱エネルギーを低減できることから、印画性をより向上できる。
背面層は、樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
背面層における樹脂材料の含有割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。これにより、例えば、印画性をより向上できる。樹脂材料の含有割合は、例えば30質量%以上90質量%以下である。
背面層は、滑剤をさらに含有してもよい。これにより、例えば、熱転写シートの印画時における滑り性を向上でき、スティッキング及び印画シワの発生をより抑制できる。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、アルコキシ化アルコール変性ワックス及び酸変性ワックス等のワックス;ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、脂肪酸アミド、リン酸エステル並びにシリコーンオイルが挙げられる。これらの中でも、ワックスが好ましく、炭化水素系ワックスがより好ましい。例えば、エトキシ化アルコール変性ワックス等のアルコキシ化アルコール変性ワックス及び無水マレイン酸変性ワックス等の酸変性ワックスが好ましく、エトキシ化アルコール変性炭化水素系ワックス及び無水マレイン酸変性炭化水素系ワックスがより好ましい。また、カルナバワックスも好ましい。
滑剤としては、その他、ポリテトラフルオロエチレン、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、カーボンブラック、グラファイト、二硫化モリブデン、有機モリブデン、窒化ホウ素、窒化シラン、タルク及びカオリンも挙げられる。
滑剤としては、滑り性、耐スティッキング性及び耐熱性等の観点から、70℃以上150℃以下の融点を有する滑剤が好ましく、70℃以上150℃以下の融点を有する炭化水素系ワックスがより好ましい。上記融点は、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。融点は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
炭化水素系ワックスの分子量は、機械的強度、硬度及び耐スティッキング性等の観点から、好ましくは500以上10,000以下、より好ましくは800以上5,000以下である。
背面層は、滑剤を1種又は2種以上含有できる。
背面層における滑剤の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。これにより、例えば、熱転写シートの滑り性をより向上できる。滑剤の含有割合は、例えば1質量%以上50質量%以下である。
背面層は、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、離型剤及び分散剤等の添加剤を含有してもよい。背面層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有できる。
背面層の厚さは、耐熱性及び滑り性等の向上という観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。背面層の厚さは、例えば0.1μm以上5μm以下である。
背面層は、例えば、上述した材料を含有する塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコートなどの公知の手段により、基材に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
本開示の熱転写シートにおける背面層表面の静摩擦係数は、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.38以下、さらに好ましくは0.37以下である。静摩擦係数の下限値は、特に限定されず、例えば0.10でもよく、0.20でもよい。静摩擦係数が上限値以下であると、例えば、印画時におけるスティッキングをより抑制できる傾向にある。
本開示の熱転写シートにおける背面層表面の動摩擦係数は、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.17以下、さらに好ましくは0.15以下である。動摩擦係数の下限値は、特に限定されず、例えば0.01でもよく、0.05でもよい。動摩擦係数が上限値以下であると、例えば、印画時におけるスティッキングをより抑制できる傾向にある。
本開示の熱転写シートにおいて、背面層表面の静摩擦係数と動摩擦係数との差(静摩擦係数-動摩擦係数)は、好ましくは0.28未満、より好ましくは0.24未満、さらに好ましくは0.23以下である。
静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K7125:1999「プラスチック-フィルム及びシート-摩擦係数試験方法」に準拠して測定される。摩擦係数の測定条件は、滑り片の荷重:1.96N、滑り片の接触面積:40cm2、試験速度:100mm/minとする。詳細は実施例欄に記載する。
<背面プライマー層>
本開示の熱転写シートは、基材と背面層との間に、背面プライマー層を備えてもよい。これにより、例えば、基材と背面層との密着性を向上できる。背面プライマー層は、例えば、熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂などの、接着性を示す従来公知の樹脂を適宜選択して使用可能である。
<色材層>
本開示の熱転写シートは、一実施形態において、基材の第2の面上に色材層を備える。
図1に示す実施形態の熱転写シート1では、基材10の第2の面14上に、単一の色材層30が設けられている。基材の第2の面上に、複数の色材層、例えば、イエロー層、マゼンタ層、シアン層、必要に応じてブラック層を、例えば基材の長手方向に面順次に設けてもよい。
熱転写シートは、基材の第2の面上に面順次に設けられた、色材層及び保護層を備えてもよい。このような実施形態の熱転写シートを用いて、被転写体に該熱転写シートの色材層を熱転写して画像を形成し、該画像上に、該熱転写シートから保護層を少なくとも印画された部分を覆うように熱転写することにより、耐久性に優れる印画物を作製できる。
少なくとも一つの色材層と、該色材層に対して面順次に設けられた保護層との組合せを「ユニット」(U)と称する。本開示の熱転写シートは、長尺状の基材の第2の面上に、1ユニットを繰り返し、すなわち複数のユニットを、基材の長手方向に面順次に備えてもよい。
1ユニットに含まれる色材層は、単一でもよく、複数でもよい。1ユニットに含まれる色材層が複数である場合、すなわち色材層群である場合、それぞれの色材層は面順次に設けられている。1ユニットは、一実施形態において、イエロー層(Y)、マゼンタ層(M)、シアン層(C)、ブラック層(BK)及び保護層(OP)からなる。1ユニットは、一実施形態において、ブラック層(BK)及び保護層(OP)からなる。
色材層は、例えば、昇華性染料をバインダー中に溶解又は分散させた昇華転写型色材層でよく、顔料及び染料などの色材を熱溶融性バインダー中に分散させた溶融転写型色材層でもよい。熱転写シートは、昇華転写型色材層及び溶融転写型色材層の両者を備えてもよく、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンの色材層を昇華転写型色材層とし、ブラックの色材層を溶融転写型色材層として、これらの色材層を基材の第2の面上に面順次に設けてもよい。例えば、階調画像部を昇華転写型記録方式で形成し、文字部分を溶融転写型記録方式で形成してもよい。
色材層は、一実施形態において、バインダーと、色材とを含有する。
バインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、スチレン樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂及びアイオノマー樹脂などの樹脂材料が挙げられる。溶融転写型色材層におけるバインダーとしては、上記樹脂材料のほか、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドなどのワックスを使用してもよい。溶融転写型色材層は、樹脂材料及びワックスの両者を含有してもよい。
色材層は、バインダーを1種又は2種以上含有できる。
色材は、有機顔料及び無機顔料などの顔料でもよく、染料でもよい。染料は、昇華性染料でもよい。色材としては、具体的には、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒煙、鉄黒、アニリンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カドミウムレッド、カドモポンレッド、クロムレッド、バーミリオン、ベンガラ、アゾ系顔料、アリザリンレーキ、キナクリドン、コチニールレーキペリレン、イエローオーカー、オーレオリン、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、クロムイエロー、ジンクイエロー、ネイプルスイエロー、ニッケルイエロー、グリニッシュイエロー、ウルトラマリン、岩群青、コバルト、フタロシアニン、アントラキノン、インジコイド、シナバーグリーン、カドミウムグリーン、クロムグリーン、フタロシアニン、アゾメチン、ペリレン、アルミニウム顔料;並びに、ジアリールメタン染料、トリアリールメタン染料、チアゾール染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン染料、インドアニリン染料、アセトフェノンアゾメチン染料、ピラゾロアゾメチン染料、キサンテン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アジン染料、アクリジン染料、アゾ染料、スピロピラン染料、インドリノスピロピラン染料、フルオラン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料及びキノフタロン染料などの昇華性染料が挙げられる。色材の色相は、例えば、マゼンタ、イエロー、シアン及びブラックが挙げられる。
色材層は、色材を1種又は2種以上含有できる。
色材層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
色材層は、一実施形態において、昇華転写型色材層である。
昇華転写型色材層におけるバインダーの含有割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。バインダーの含有割合は、例えば20質量%以上95質量%以下である。
昇華転写型色材層における昇華性染料の含有割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。これにより、例えば、印画濃度及び保存性を向上できる。昇華性染料の含有割合は、例えば5質量%以上80質量%以下である。
昇華転写型色材層は、硬化剤により硬化されていてもよい。硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート及びカルボジイミドが挙げられる。硬化剤は1種又は2種以上用いることができる。
基材と昇華転写型色材層との間に、染料プライマー層を設けてもよい。
色材層は、一実施形態において、溶融転写型色材層である。
溶融転写型色材層におけるバインダーの含有割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。バインダーの含有割合は、例えば20質量%以上90質量%以下である。
溶融転写型色材層における色材の含有割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。色材の含有割合は、例えば10質量%以上60質量%以下である。
基材と溶融転写型色材層との間に、離型層を設けてもよい。
色材層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。色材層の厚さは、例えば0.1μm以上20μm以下である。
色材層は、例えば、上記材料を含有する塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコートなどの公知の手段により、基材に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
<転写性保護層>
本開示の熱転写シートは、一実施形態において、基材の第2の面上に保護層を備える。保護層は、熱転写シートから被転写体上に転写された後は、被転写体の表面の保護を担う層である。
保護層は、一実施形態において、基材側から剥離層と接着層とを備える。すなわち保護層は、一実施形態において、剥離層と、剥離層における基材とは反対側の面上に設けられた接着層とを備える。接着層は、一実施形態において、保護層を被転写体上に転写したときに、被転写体と接する。剥離層は、一実施形態において、保護層を被転写体上に転写したときに、得られる印画物の表面層を構成する。
本開示の熱転写シートは、一実施形態において、基材の第2の面上に、色材層及び保護層を備え、色材層及び保護層は、基材の第2の面上に面順次に設けられている。色材層及び保護層は、例えば、基材の長手方向に、面順次に設けられている。基材上に色材層及び保護層を設けることにより、例えば、同一の熱転写シートを用いて、被転写体上への熱転写画像の形成と、形成された熱転写画像上への保護層の転写とを行うことができる。
(剥離層)
保護層は、一実施形態において、保護層を構成する層のうち、基材の最も近くに位置する層として剥離層を備える。剥離層を設けることにより、保護層の転写性をより向上できる。剥離層は、熱転写時に保護層の一部として転写され、最後の保護層転写後は熱転写画像の表面層となり、熱転写画像の耐擦過性を向上させる作用をする。
剥離層は、一実施形態において、バインダーを含有する。
バインダーとしては、例えば、樹脂材料が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂;スチレン樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール及びポリビニルピロリドンなどのビニル樹脂;ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、メチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース樹脂;ポリアミド;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂;これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、紫外線吸収性樹脂、並びに電離放射線硬化樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化樹脂としては、例えば、ラジカル重合性ポリマー又はラジカル重合性オリゴマーを電離放射線照射により架橋及び硬化させて得られた樹脂が挙げられ、具体的には、ラジカル重合性ポリマー又はラジカル重合性オリゴマーに必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線又は紫外線照射によって重合架橋させた樹脂が挙げられる。
剥離層は、バインダーを1種又は2種以上含有できる。
剥離層におけるバインダーの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。これにより、例えば、剥離層に充分な耐久性を付与できる。
剥離層は、滑剤を含有してもよい。これにより、例えば、動摩擦係数をより低く設定することができ、熱転写シートの走行性を良好に保つことができ、得られる印画物におけるシワの発生を抑制できる。
滑剤としては、例えば、ワックス;高級脂肪酸の金属塩;(メタ)アクリル樹脂、架橋ポリスチレン及びフッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の有機粒子;シリカ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム及び硫酸バリウム等の無機粒子が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、シリコーンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、ポリエステルワックス及びポリエチレンワックス等の合成ワックス;蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス及びモンタンワックス等の天然ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸及びベヘニン酸等の高級飽和脂肪酸;ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等の高級飽和一価アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル;ステアリン酸アミド及びオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミドが挙げられる。高級脂肪酸の金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
剥離層は、滑剤を1種又は2種以上含有できる。
剥離層における滑剤の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。これにより、例えば、滑剤による効果を発揮させつつ、透明性を確保できる。滑剤の含有割合は、例えば1質量%以上20質量%以下である。
剥離層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、酸化チタン及び酸化亜鉛などの紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤及びNiキレート系光安定剤などの光安定剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤などの酸化防止剤が挙げられる。
剥離層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
剥離層における添加剤の含有割合は、例えば、20質量%以下でもよく、15質量%以下でもよい。
剥離層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。これにより、例えば、保護層の転写不良などの発生を抑制できるとともに、充分な保護機能を被転写体に付与できる。剥離層の厚さは、例えば0.1μm以上20μm以下である。
剥離層は、例えば、上記材料を含有する塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコートなどの公知の手段により、基材又は離型層に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
(接着層)
保護層は、一実施形態において、剥離層における基材とは反対側の面上に設けられた接着層を備える。接着層は、保護層と被転写体との密着性を向上させる層である。接着層は、例えば、従来公知の感圧接着剤又は感熱接着剤により形成できる。
接着層は、一実施形態において、樹脂材料を含有する。
樹脂材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体等の酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、セルロース樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂、シリコーン又はフッ素で変性された各種樹脂が挙げられる。これらの中でも、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル及び(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
接着層に含まれる樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは75℃以下である。これにより、例えば、印画性能をより向上できる。Tgは、例えば40℃以上90℃以下である。
接着層は、樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
接着層における樹脂材料の含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
接着層は、滑剤を含有してもよい。これにより、例えば、熱転写シートの走行性を良好に保つことができ、得られる印画物におけるシワの発生を抑制できる。
滑剤の詳細は上述したとおりであり、ここでの記載は省略する。
接着層は、滑剤を1種又は2種以上含有できる。
接着層における滑剤の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。これにより、例えば、滑剤による効果を発揮させつつ、透明性を確保できる。滑剤の含有割合は、例えば1質量%以上20質量%以下である。
接着層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
接着層の厚さは、好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。接着層の厚さは、例えば0.5μm以上10μm以下である。
接着層は、例えば、上記材料を含有する塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコートなどの公知の手段により、剥離層に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
<離型層>
本開示の熱転写シートは、一実施形態において、基材と保護層との間に位置する離型層を備える。離型層は、熱転写時に保護層を基材から容易に剥離できるように所望により設けられる層であり、熱転写時に基材側に留まる層である。
離型層は、一実施形態において、バインダーと、離型剤とを含有する。
バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、メラミン樹脂、ポリオール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂及びセルロース樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
離型層は、バインダーを1種又は2種以上含有できる。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、シリコーンオイル、フッ素化合物、リン酸エステル、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、カルナバワックス及びパラフィンワックス等のワックスが挙げられる。
離型層は、離型剤を1種又は2種以上含有できる。
離型層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
離型層の厚さは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは1.5μm以下である。これにより、例えば、熱転写シートにおける保護層の転写性を向上できる。離型層の厚さは、例えば0.5μm以上3μm以下である。
離型層は、例えば、上記材料を含有する塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコートなどの公知の手段により、基材に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
[印画物の製造方法]
本開示の印画物の製造方法は、本開示の熱転写シート及び被転写体を準備する工程(準備工程)と、画像形成工程及び転写工程の少なくとも一方とを含む。本開示の製造方法により、一実施形態において、文字、線画、模様、記号及びこれらの組合せ等から構成される画像と、画像上に設けられた保護層と、を備える印画物が得られる。
<準備工程>
準備工程では、本開示の熱転写シート及び被転写体を準備する。
被転写体としては、例えば、熱転写シートにおける基材として説明した上記樹脂フィルム、ガラス基材、金属基材、セラミック基材、布基材及び紙基材、並びにこれらの積層基材が挙げられる。被転写体は、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体又はポリカーボネートを主体として構成されるカード基材でもよい。布基材としては、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維及びポリ塩化ビニリデン繊維等の人造繊維;綿、絹、麻及び羊毛等の天然繊維等の繊維から形成された基材が挙げられる。紙基材としては、例えば、上質紙、普通紙、アート紙、コート紙、レジンコート紙、キャストコート紙、板紙、合成紙及び含浸紙が挙げられる。被転写体としては、例えば、基材と、基材の一方の面上に設けられた受容層とを備える熱転写受像シートでもよい。被転写体は、画像を有してもよく、着色されていてもよく、透明性を有してもよい。
<画像形成工程>
本開示の熱転写シートが色材層を備える場合は、画像形成工程において、該熱転写シートの色材層により、被転写体上に画像を形成する。例えば、熱転写シートの色材層と被転写体の表面とを接触させ、次いで、熱転写シートにおいて、所望の領域に熱を印加し、被転写体上に画像を形成する。
例えば、サーマルヘッドを有する熱転写プリンタを用いて画像を形成できる。一実施形態において、熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、熱転写プリンタが備えるサーマルヘッドとプラテンロールとの間を通過させると共に、サーマルヘッドを用いて熱転写シートを加熱することにより、画像を形成する。被転写体へ画像を形成する熱転写記録方式は、昇華転写型でもよく、溶融転写型でもよく、これらの組合せでもよい。昇華転写型と溶融転写型とを組み合わせて、例えば、階調画像部を昇華転写型記録方式で形成し、文字部分を溶融転写型記録方式で形成してもよい。
<転写工程>
本開示の熱転写シートが保護層を備える場合は、転写工程において、被転写体上に形成された画像を少なくとも覆うように、熱転写シートが備える保護層の少なくとも一部を転写する。なお、上記画像は、色材層及び転写層を備える本開示の熱転写シートを用いて形成された画像でもよく、従来公知の熱転写シートを用いて形成された画像でもよい。
例えば、サーマルヘッドを有する熱転写プリンタを用いて保護層を転写できる。一実施形態において、熱転写シートと画像が形成された被転写体とを重ね合わせ、熱転写プリンタが備えるサーマルヘッドとプラテンロールとの間を通過させると共に、サーマルヘッドを用いて熱転写シートを加熱することにより、被転写体上に形成された画像を覆うように保護層を転写する。保護層の転写は、ヒートロール方式を用いて行ってもよい。保護層の転写は、熱転写シートと画像が形成された被転写体とを、それぞれ加熱した平板と平板とで挟み込み、又はそれぞれ加熱した平板とロールとで挟み込み、熱プレスして行ってもよい。
保護層の熱転写手段としてサーマルヘッドを用いる場合、画像形成時に用いたサーマルヘッドと同一のものを使用してもよく、別のサーマルヘッドを用いてもよい。本開示において、画像形成の熱転写手段と保護層の熱転写手段とを、一つの熱転写プリンタを用いてインラインで行うことができる。
本開示は、例えば以下の[1]~[6]に関する。
[1]第1の面及び第2の面を有する基材と、第1の面上に設けられた背面層と、第2の面上に設けられた、色材層及び転写性保護層の少なくとも一方とを備える熱転写シートであって、背面層が、メラミンシアヌレート粒子を含有する、熱転写シート。
[2]メラミンシアヌレート粒子の平均粒子径が、1μm以上10μm以下である、上記[1]に記載の熱転写シート。
[3]背面層におけるメラミンシアヌレート粒子の含有割合が、1質量%以上30質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載の熱転写シート。
[4]背面層が、滑剤として、70℃以上150℃以下の融点を有する炭化水素系ワックスをさらに含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱転写シート。
[5]背面層が、滑剤として、無水マレイン酸変性ワックス、エトキシ化アルコール変性ワックス、及びカルナバワックスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱転写シート。
[6]背面層表面の静摩擦係数が、0.45以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の熱転写シート。
以下、実施例に基づき本開示の熱転写シートについて説明するが、本開示の熱転写シートは実施例に何ら限定されない。以下の記載において、「質量部」は単に「部」と記載する。以下に記載の塗工液の含有成分の量は、固形分量である。
[実施例1]
基材として、厚さ5μm以下のPETフィルム(ルミラー(登録商標)#5A-F53、東レ(株))を準備した。PETフィルムの一方の面に下記背面層用塗工液を塗布し、100℃で2分間乾燥して、厚さ1.2μmの背面層を形成した。PETフィルムにおける背面層が設けられた面とは反対の面に、下記イエロー染料層用塗工液、下記マゼンタ染料層用塗工液、及び下記シアン染料層用塗工液を面順次に塗布し、80℃で1分間乾燥して、厚さ1μmのイエロー染料層、厚さ1μmのマゼンタ染料層、及び厚さ1μmのシアン染料層をPETフィルム上に面順次に形成した。
以上のようにして、熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・樹脂材料 58部
(アクリロニトリル-スチレン共重合体、
商品名:セビアン(登録商標)NA、(株)ダイセル)
・滑剤A 14部
(エトキシ化アルコール変性ワックス、融点:106℃、
商品名:ユニトックス750、トーヨーケム(株))
・滑剤B 14部
(無水マレイン酸変性ワックス、融点:96℃、
商品名:セラマー67、トーヨーケム(株))
・フィラー 14部
(メラミンシアヌレート粒子、平均粒子径:3μm、
商品名:MC-2010N、堺化学工業(株))
・メチルエチルケトン(MEK) 200部
・トルエン 100部
<イエロー染料層用塗工液>
・ソルベントイエロー93 6部
・ポリビニルアセタール 5部
(商品名:エスレック(登録商標)KS-5、積水化学工業(株))
・MEK 50部
・トルエン 50部
<マゼンタ染料層用塗工液>
・ディスパースレッド60 3部
・ディスパースバイオレット26 4部
・ポリビニルアセタール 5部
(商品名:エスレック(登録商標)KS-5、積水化学工業(株))
・MEK 50部
・トルエン 50部
<シアン染料層用塗工液>
・ソルベントブルー63 4部
・ディスパースブルー354 4部
・ポリビニルアセタール 5部
(商品名:エスレック(登録商標)KS-5、積水化学工業(株))
・MEK 50部
・トルエン 50部
[実施例2~5及び比較例1~3]
背面層における固形分成分を表1に記載した成分に変更したこと以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを得た。表1に記載した樹脂材料、フィラーの詳細は以下のとおりである。
・アクリル樹脂
(商品名:ダイヤナール(登録商標)BR-85、三菱ケミカル(株))
・セルロースアセテートブチレート樹脂
(商品名:CAB-551-0.2、イーストマンケミカルジャパン(株))
・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子
(平均粒子径:0.2μm、商品名:エポスター(登録商標)S、(株)日本触媒)
・ポリテトラフルオロエチレン粒子
(平均粒子径:5~7μm、商品名:ポリフロン(登録商標)PTFE L-5F、
ダイキン工業(株))
・タルク
(平均粒子径:5.1μm、商品名:ミクロエース(登録商標)P-3、
日本タルク(株))
[摩擦係数]
JIS K7125:1999「プラスチック-フィルム及びシート-摩擦係数試験方法」に準拠して、熱転写シートにおける背面層表面と、ポリカーボネート板(厚さ2mm、商品名:PC-1600 ポリカーボネートプレート/透明、タキロンシーアイ(株))と、の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定条件は、滑り片の荷重:1.96N、滑り片の接触面積:40cm2、試験速度:100mm/minとした。測定は5回行い、得られた測定値の平均値をそれぞれの摩擦係数とした。
[耐ブロッキング性]
実施例及び比較例において得られた熱転写シートを準備し、5cm×5cmの大きさにカットした試験片を2枚作製した。一方の試験片の染料層(色材層)と、他方の試験片の背面層とが接するように、この試験片を重ね合わせ、1.57MPaの荷重をかけながら、50℃のオーブンで24時間保存した。保存後の試験片同士を手で剥がし、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
A:ブロッキングが全く発生していない。
B:ブロッキングがわずかに発生している。
C:ブロッキングが部分的に発生している。
D:ブロッキングが全面に発生している。
[サーマルヘッド摩耗]
実施例及び比較例において得られた熱転写シートを、温度23℃、相対湿度50%の環境下において2週間静置した。静置後の熱転写シート及び熱転写プリンタ(大日本印刷(株)製、DS620)を用い、該熱転写プリンタの純正受像紙上に、黒ベタ画像(0/255画像階調)を以下の条件にて形成した印画物を2000枚作製した。
(印画条件)
・解像度:300×300dpi(高速モード)
・プリントサイズ:PCサイズ
使用後の熱転写プリンタが備えるサーマルヘッドを、電子顕微鏡(キーエンス(株)製、デジタルマイクロスコープVHX-6000)を用いて観察し、下記評価基準に基づき、評価した。評価結果を表1に示す。
A:サーマルヘッドの摩耗がほとんど発生していない。
B:サーマルヘッドの摩耗がわずかに発生している。
C:サーマルヘッドの摩耗が著しく発生している。
[耐スティッキング性]
上記[サーマルヘッド摩耗]の評価において得られた印画物と印画後の熱転写シートとを目視観察し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
A:スティッキングが全く発生していない。
B:スティッキングがわずかに発生している。
C:スティッキングが部分的に発生している。
D:スティッキングが全面に発生している。
Figure 2023122336000003
比較例1では、フィラーとしてメラミン・ホルムアルデヒド粒子を用いている。しかしながら、メラミン・ホルムアルデヒド粒子は静摩擦係数が高いことから、耐スティッキング性が充分ではなかった。比較例2では、フィラーとしてポリテトラフルオロエチレン粒子を用いている。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン粒子は軟質であることから、耐ブロッキング性が充分ではなかった。比較例3では、フィラーとしてタルクを用いている。しかしながら、タルクは硬質であることから、サーマルヘッドの摩耗が観察された。
実施例では、フィラーとしてメラミンシアヌレート粒子を用いている。このため、耐スティッキング性、耐ブロッキング性に優れ、またサーマルヘッドの摩耗を低減できる熱転写シートが得られた。
1 …熱転写シート
10…基材
12…基材の第1の面
14…基材の第2の面
20…背面層
30…色材層
40…転写性保護層

Claims (6)

  1. 第1の面及び第2の面を有する基材と、
    前記第1の面上に設けられた背面層と、
    前記第2の面上に設けられた、色材層及び転写性保護層の少なくとも一方と
    を備える熱転写シートであって、
    前記背面層が、メラミンシアヌレート粒子を含有する、
    熱転写シート。
  2. 前記メラミンシアヌレート粒子の平均粒子径が、1μm以上10μm以下である、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記背面層における前記メラミンシアヌレート粒子の含有割合が、1質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の熱転写シート。
  4. 前記背面層が、滑剤として、70℃以上150℃以下の融点を有する炭化水素系ワックスをさらに含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  5. 前記背面層が、滑剤として、無水マレイン酸変性ワックス、エトキシ化アルコール変性ワックス、及びカルナバワックスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  6. 前記背面層表面の静摩擦係数が、0.45以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱転写シート。
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