JP2019064108A - 熱転写シート及びこれを用いた印画物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、該熱転写シートによれば、被転写体上への転写層の熱転写時、受容層上への画像形成時の加熱によって、発泡層に含まれる発泡粒子が発泡しないため、受容層への染料の染着性を維持することができると共に、かすれや割れなどの発生を防止することができるとの知見を得た。
本発明による熱転写シート10は、図1に表すように、基材11と、転写層12とを備え、該転写層12が、受容層13及び発泡層14をこの順に備える。
また、一実施形態において、転写層12は、図2に表すように、発泡層14上に、接着層15を備える。
また、一実施形態において、本発明による熱転写シート10は、図3に表すように、転写層12と面順次となるように、染料層16、17及び18を備える。
また、一実施形態において、本発明による熱転写シート10は、図3に表すように、基材11と、染料層16、17、18との間に、プライマー層19を備える。
また、一実施形態において、本発明による熱転写シート10は、図3に表すように、転写層12
及び/又は染料層16、17、18と面順次となるように、着色層20を備える。
また、一実施形態において、本発明による熱転写シート10は、図3に表すように、基材11と、着色層20との間に、剥離層21を備える。
さらに、一実施形態において、本発明による熱転写シート10は、図1乃至3に表すように、基材11の転写層12を備える面とは反対の面に背面層22を備える。
基材は、熱転写時に加えられる熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドによる熱)に耐え得る耐熱性を有し、基材上に設けられる受容層等を支持できる機械的強度や耐溶剤性を有するものであれば、特に制限なく使用できる。
上記した樹脂の中でも、耐熱性及び機械的強度という観点から、PET及びPEN等のポリエステル系樹脂が好ましく、PETが特に好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を包含することを意味する。
樹脂フィルムの積層体は、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法及びエクストリュージョン法等を利用することにより作製できる。
基材表面への凹凸形成手段としては、例えば、マット材練り込み加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、マットコーティング加工及びケミカルエッチング加工等が挙げられる。マット材練り込み加工は、無機物又は有機物を練り込んだ樹脂により、基材を形成する加工法である。マットコーティング加工は、基材表面に、有機物又は無機物を含むコート材をコーティングし、基材表面に凹凸を付与する加工法である。
本発明の熱転写シートが備える転写層は、熱転写シートの加熱により、被転写体上へ転写する層であり、上記したように、少なくとも受容層及び発泡層を備える。また、発泡層上に接着層を備えていてもよい。
受容層を形成するための材料としては、昇華性染料の熱移行性染料を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用でき、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、発泡層に含まれる発泡粒子の発泡を妨げず、より良好な凹凸感を付与できるため、ビニル系樹脂が好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
また、受容層は、剥離層としての機能、すなわち、発泡層と、基材との剥離力を調整する機能を有していることが好ましく、この点から塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を使用することが好ましい。
なお、受容層は、上記樹脂材料を2種以上含んでいてもよい。
発泡層は、発泡粒子を含み、発泡粒子の発泡温度は、140℃以上、200℃以下であることが好ましく、145℃以上、200℃以下であることがより好ましく、150℃以上、200℃以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子の発泡温度を上記数値範囲内とすることにより、被転写体上への転写層の熱転写時、受容層上への画像形成時の加熱による発泡粒子の発泡を抑制でき、受容層への染料の染着性を改善でき、かすれや割れが生じていない高品質の画像が形成された印画物を提供できる。
また、発泡工程において、過度に高い熱を加える必要がなく、画像形成に使用した昇華性染料の再昇華を防止できる。
本発明の熱転写シートが備える発泡層は、体積平均粒子径の異なる発泡粒子を2種以上含んでいてもよい。なお、本発明において、体積平均粒子径は、JIS K 5600−9−3に準拠し、レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して決定できる。
なお、発泡後の発泡粒子の体積平均粒子径は、30μm以上、500μm以下であることが好ましく、40μm以上、450μm以下であることがより好ましく、45μm以上、400μm以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性微粒子に封入する発泡剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、イソペンタン等の低沸点の炭化水素や、これら炭化水素と非水溶性石油エーテルとの混合物等を使用できる。
熱可塑性樹脂としては、軟化点が、40℃以上、120℃以下のものであれば、特に限定なく使用できる。
なお、発泡層は、上記した発泡粒子を2種以上含んでいてもよい。
発泡粒子は、マイクロカプセル型発泡粒子である場合、溶媒によるマイクロカプセルへの影響を考慮し、上記材料を水に分散又は溶解させ、塗布、乾燥することにより形成させた水系塗布膜であることが好ましい。
一実施形態において、転写層は、接着層を備える。接着層を備えることにより、転写層の被転写体に対する接着性を向上させることができる。
接着層の厚さを上記数値範囲内とすることにより、転写層の転写性を維持しつつ、被転写体に対する接着性を良好なものにできる。
一実施形態において、本発明による熱転写シートは、染料層を備える。
染料層は、昇華性染料を含有する層であり、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層等を挙げることができ、熱転写シートはこれら染料層の1種又は2種以上を面順次備えることができる。
一実施形態において、本発明による熱転写シートは、染料層と、基材との間にプライマー層を備える。プライマー層は、基材と染料層等の密着性を向上させ、転写時において染料層全体が取られる、いわゆる異常転写を防止するため設けられる。
一実施形態において、本発明による熱転写シートは、着色層を備え、該着色層は、転写時に被転写体上に転写する。
一実施形態において、本発明による熱転写シートは、着色層と、基材との間に剥離層を備える。
剥離層は、基材上に設けられる層であり、基材から剥離し、転写され、転写後は、保護層の最外面に位置する。
一実施形態において、本発明の熱転写シートは、基材の転写層が設けられた面とは反対の面に、背面層を備える。熱転写シートが背面層を備えることにより、熱転写時の加熱によるスティッキングやシワ等の発生を防止できる。
これらの中でも、シリコーン樹脂、具体的には、アクリル変性シリコーン樹脂がサーマルヘッドと背面層の焼き付き、カスの発生防止の観点から好ましい。
イソシアネート化合物としては、特に制限なく従来公知のイソシアネート化合物を使用できるが、その中でも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートが挙げられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
有機微粒子としては、(メタ)アクリル系樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、シリコーン系樹脂、ラウロイル系樹脂、フェノール系樹脂、アセタール系樹脂、スチレン系樹脂及びポリアミド系樹脂等からなる有機樹脂微粒子、又はこれらを架橋材と反応させた架橋樹脂微粒子等が挙げられる。
本発明による印画物の製造方法は、上記した熱転写シートと、被転写体とを重ね合わせ、熱転写シートの転写層が設けられた面とは反対の面から、加熱することにより、転写層を被転写体上に、転写する工程(以下、単に転写工程という。)と、
転写層が備える受容層上に、画像を形成する工程(以下、単に画像形成工程という。)と、
被転写体を加熱し、発泡層に含まれる発泡粒子を発泡させる工程(以下、単に発泡工程という。)と、を含むことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
本発明による方法が含む転写工程により、被転写体上に、熱転写シートが備える転写層が転写される。
該転写工程において、熱転写シートは、転写層が設けられた面とは反対の面からサーマルヘッド等により加熱される。この時の加熱温度は、140℃未満であることがより好ましく、これにより、発泡層に含まれる発泡粒子の発泡を抑えることができ、転写後、受容層上に高品質の画像を形成できる。
本発明による方法は、被転写体上に転写させた受容層上に画像を形成する工程を含む。この時の加熱温度は、140℃未満であることがより好ましい。加熱温度を上記数値範囲内とすることにより、発泡層に含まれる発泡粒子の発泡を抑えることができ、受容層上に高品質の画像を形成できる。
また、発泡工程の前に画像形成を行うことにより、受容層への染料の染着性を改善することがきでき、かすれや割れ等のない高品質の画像を形成できる。
本発明による方法は、画像形成後に、被転写体を加熱し、発泡層に含まれる発泡粒子を発泡させる工程を含む。この時の加熱温度は、140℃以上、250℃以下であることが好ましい。加熱温度を上記数値範囲内とすることにより、受容層上に形成された画像からの昇華性染料の再昇華を防止しつつ、発泡層に含まれる発泡粒子を良好に発泡でき、受容層に良好な凹凸感を付与できる。
厚さ5μmのPETフィルムの一方の面に、下記組成の背面層形成用塗工液を塗布し、乾燥させることにより、厚さ1μmの背面層を形成させた。
<背面層形成用塗工液>
・ポリビニルアセタール 36質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレック(登録商標)KS−1)
・イソシアネート化合物 25質量部
(DIC(株)製、商品名:バーノック(登録商標)D750)
・シリコーン樹脂微粒子 1質量部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、商品名:トスパール(登録商標)240)
・ステアリルリン酸亜鉛 10質量部
(堺化学工業(株)製、商品名:LBT1830精製)
・ステアリン酸亜鉛 10質量部
(堺化学工業(株)製、商品名:SZ−PF)
・ポリエチレンワックス 3質量部
(東洋アドレ(株)製、ポリワックス3000)
・エトキシ化アルコール変性ワックス 7質量部
(東洋アドレ(株)製、ユニトックス750)
・メチルエチルケトン(MEK) 200質量部
・トルエン 100質量部
<受容層形成用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 17質量部
(日信化学工業(株)製、商品名:ソルバイン(登録商標)CNL、Tg:76℃、Mn:12,000)
・エポキシ変性シリコーンオイル 3質量部
(信越化学工業(株)製、商品名:KP−1800U)
・MEK 40質量部
・トルエン 40質量部
<発泡層形成用塗工液>
・発泡粒子A 15質量部
(松本油脂製薬(株)製、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−100MD、発泡温度170℃、平均粒子径:20μm)
・ポリエステル系樹脂 40質量部
(東洋紡(株)製、商品名:バイロナール(登録商標)1245、固形分:30%)
・水 20質量部
<接着層形成用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20質量部
(日信化学工業(株)製、商品名:ソルバイン(登録商標)CNL)
・MEK 40質量部
・トルエン 40質量部
<プライマー層形成用塗工液>
・PVP 1.5質量部
(アイエスピー・ジャパン(株)製、商品名:K−90)
・アルミナゾル(固形分:10%) 35質量部
・水 30質量部
・イソプロピルアルコール(IPA) 33.5質量部
<イエロー染料層形成用塗工液>
・ソルベントイエロー93 6質量部
・ポリビニルアセタール 5質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレック(登録商標)KS−5)
・MEK 50質量部
・トルエン 50質量部
<マゼンタ染料層形成用塗工液>
・ディスパースレッド60 3質量部
・ディスパースバイオレット26 4質量部
・ポリビニルアセタール 5質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレック(登録商標)KS−5)
・MEK 50質量部
・トルエン 50質量部
<シアン染料層形成用塗工液>
・ソルベントブルー63 4質量部
・ディスパースブルー354 4質量部
・ポリビニルアセタール 5質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレック(登録商標)KS−5)
・MEK 50質量部
・トルエン 50質量部
発泡層形成用塗工液に含まれる発泡粒子Aを、発泡粒子B(松本油脂製薬(株)製、マツモトマイクロスフェアーFN−180、発泡温度175℃、平均粒子径:35μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
受容層形成用塗工液に含まれる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を、(メタ)アクリル系樹脂(三菱ケミカル(株)製、商品名:ダイヤナール(登録商標)BR−83)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
発泡層形成用塗工液に含まれる発泡粒子Aを、発泡粒子C(松本油脂製薬(株)製、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−80GS、発泡温度130℃、平均粒子径:6μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
発泡層形成用塗工液に含まれる発泡粒子Aを、発泡粒子D(松本油脂製薬(株)製、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)F−36、発泡温度115℃、平均粒子径:10μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
発泡層形成用塗工液に含まれる発泡粒子Aを、発泡粒子Cに変更した以外は、実施例3と同様にして、熱転写シートを作製した。
上記実施例1において得られた熱転写シート及び被転写体としてPVCカードを用いて、被転写体上に、接着層、発泡層及び受容層を熱転写すると共に、該熱転写シートが備える染料層に含まれる昇華性染料を、被転写体に形成した受容層上に昇華させることで画像を形成し、印画物を得た。
なお、接着層、発泡層及び受容層の熱転写及び画像形成には、熱転写プリンタを下記条件にて使用した。
(熱転写条件)
・プリンタ:カードプリンタ
・印圧:2.2kg/inch
・印画速度:3msec./line
・サーマルヘッド解像度:300dpi
・印画エネルギー:0.26mJ/dot
その他の実施例及び比較例において得られた熱転写シートについても同様の評価を行い、結果を表1にまとめた。
<<印画適正>>
(評価基準)
A:発泡層を転写後、画像の形成時に発泡層が全く発泡せず、画像の形成を良好に行うことができた。
B:発泡層を転写後、画像の形成時に発泡層が発泡してしまい、形成した画像が割れてしまったが、実使用上問題ない程度であった。
NG:発泡層を転写後、画像形成時に発泡層が完全に発泡してしまい、画像を形成できなかった。
上記印画適性試験により得られた印画物の受容層側表面を目視により観察し、付与された凹凸感の程度を下記評価基準に従い評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:受容層表面に良好な凹凸感が付与されており、意匠性の極めて高い印画物が得られた。
B:受容層表面に凹凸感が付与されており、意匠性の高い印画物が得られた。
C:受容層表面の凹凸感が多少付与されていた。
NG:受容層表面に凹凸感を観察できなかった。
11:基材
12:転写層
13:受容層
14:発泡層
15:接着層
16、17、18:染料層
19:プライマー層
20:着色層
21:剥離層
22:背面層
Claims (11)
- 基材と、転写層とを備える熱転写シートであって、
前記転写層が、受容層および発泡層をこの順に備え、
前記発泡層が、発泡温度が140℃以上、200℃以下の発泡粒子を含むことを特徴とする、熱転写シート。 - 前記発泡粒子の体積平均粒子径が、10μm以上、50μm以下である、請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記発泡層における前記発泡粒子の含有量が、30質量%以上、80質量%以下である、請求項1又は2に記載の熱転写シート。
- 前記受容層が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 前記受容層の厚さが、1μm以上、5μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 前記発泡層上に、接着層をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 前記発泡層が、水系塗布膜である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 前記転写層と面順次となるように、染料層をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱転写シートと、被転写体とを重ね合わせ、前記熱転写シートの前記転写層が設けられた面とは反対の面から、前記熱転写シートを加熱することにより、前記被転写体上に前記転写層を転写する工程と、
前記転写層が備える前記受容層上に、画像を形成する工程と、
前記被転写体を加熱し、前記発泡層に含まれる前記発泡粒子を発泡させる工程と、を含むことを特徴とする、印画物の製造方法。 - 前記転写工程における加熱温度が、140℃未満である、請求項9に記載の印画物の製造方法。
- 前記発泡工程における加熱温度が、140℃以上、250℃以下である、請求項9又は10に記載の印画物の製造方法。
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