JP2007262179A - 染料層用インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 染料の耐熱滑性層への移行を防止し、印画の際の地汚れもなく、熱転写時における染料の転写感度、転写効率が高く、充分に満足できる高濃度の印画物が得られるための、染料層を形成するための染料層用インキ組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも染料、バインダー樹脂及び溶媒を含有する染料層用インキ組成物において、熱移行性添加剤が、さらに含有されていて、該熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、前記染料が熱移行性添加剤に溶解するものであり、熱移行性添加剤が下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であることを特徴とする。
(R1CONH)2−(CH2n (I) 但し、式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。

Description

本発明は、少なくとも染料、バインダー樹脂、熱移行性添加剤及び溶媒を含有する染料層用インキ組成物に関し、特にその染料層用インキ組成物から形成される染料層を、基材シート上に有した熱転写シートを用いて、染料を受像シートに熱転写して、高濃度の印画物が得られ、また染料の耐熱滑性層への移行を防止し、印画の際の地汚れもない染料層用インキ組成物に関するものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られており、感熱昇華型転写方式と感熱溶融型転写方式が広く用いられている。このうち、感熱昇華型転写方式は、昇華転写用染料を記録材とし、これをポリエステルフィルム等の基材上に適当なバインダーで担持させた染料層を有する熱転写シートを用いて、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に染料受容層を形成した熱転写受像シート上に昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法である。この方法は、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドによる加熱を採用し、極めて短時間の加熱によってドット単位で染料の移行量を制御できる。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、極めて高精細な画像を得ることができる。このため、フルカラー銀塩写真に匹敵する高品質の画像を得ることができる。
このような昇華転写による熱転写記録方式で、熱転写プリンターの印画速度の高速化が進むに従って、今までの熱転写シートでは十分な印画濃度が得られないという問題が生じてきた。さらに近年、熱転写による画像の印画物に対し、より高濃度で鮮明なものが要求されてきており、熱転写シート及びその熱転写シートから転写される昇華染料を受容して画像が形成される熱転写受像シートを改良する試みが多くなされている。
例えば、特許文献1にあるように、熱転写シートの薄膜化により印画における転写濃度の向上を試みることが行われているが、熱転写シートの製造時や熱転写記録の際における熱ダメージによる熱転写シートにシワが発生することを防止する点で、未だ十分なものではない。
また、特許文献2にあるように、熱転写シートの染料層における染料/樹脂バインダー(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度の向上を試みることも行われているが、巻き取り保管中に熱転写シートの裏面側の耐熱滑性層へ染料が移行し、その移行した染料が巻き返した時に、他の色の染料層等へ再転移(キックバック)し、この汚染された層を受像シートへ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、印画の際に未印画部(サーマルヘッドからの加熱がない領域)が着色する地汚れが生じたりする。
また、熱転写シート側ではなく、熱転写プリンターにおいて、画像形成時の熱転写の際、高エネルギーをかける試みも行われているが、染料層と受容層とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。その異常転写を防止するため、染料層や染料受容層に多量の離型剤を添加すると、画像のにじみ、地汚れ等の支障が生じてしまう。
熱転写画像の高濃度化、高品質化の要求に対応して、熱転写プリンター側の調節や使用する熱転写シート及び受像シートの熱転写記録材料の改良も行われているが、充分な印画濃度が得られなかったり、熱転写記録の際に異常転写が生じたりするなど充分に満足できる品質の印画物が得られていないのが現状である。
特開2000−272251号公報 特開昭63−151484号公報
したがって、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、染料の耐熱滑性層への移行を防止し、印画の際の地汚れもなく、熱転写時における染料の転写感度、転写効率が高く、充分に満足できる高濃度の印画物が得られるための、染料層を形成するための染料層用インキ組成物を提供するものである。
請求項1に記載の発明は、少なくとも染料、バインダー樹脂及び溶媒を含有する染料層用インキ組成物において、熱移行性添加剤が、さらに含有されていて、該熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、前記染料が熱移行性添加剤に溶解するものであり、熱移行性添加剤が下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であることを特徴とする。
(R1CONH)2−(CH2n (I)
但し、式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。
請求項2に記載の発明は、前記の熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり10〜48質量部の割合で含まれることを特徴とする。
本発明の染料層用インキ組成物は、少なくとも染料、バインダー樹脂及び溶媒を含有する染料層用インキ組成物において、熱移行性添加剤が、さらに含有されていて、該熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、前記染料が熱移行性添加剤に溶解するものであり、熱移行性添加剤が下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であることにより、その染料層用インキ組成物から形成される染料層を、基材シート上に有した熱転写シートを用いて、染料を受像シートに熱転写すると、染料の転写感度、転写効率が高く、印画物における高い転写濃度を達成しながら、耐熱滑性層への染料移行や、印画の際の地汚れを抑制でき、印画適性に非常に優れたものである。
(R1CONH)2−(CH2n (I)
但し、式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。
以下に、本発明の染料層用インキ組成物を構成する材料について、詳述する。
(染料層用インキ組成物)
本発明の染料層用インキ組成物は、少なくとも染料、バインダー樹脂及び溶媒を含有する構成で、熱移行性添加剤が、さらに含有されていて、該熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、前記染料が熱移行性添加剤に溶解するものであり、熱移行性添加剤が下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物である。
(R1CONH)2−(CH2n (I)
但し、式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。
使用する染料としては、昇華性染料であり、例えば、ジアリールメタン系;トリアリールメタン系;チアゾール系;メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系;インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系;キサンテン系;オキサジン系;ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノメチレン系;チアジン系;アジン系;アクリジン系;ベンゼンアゾ系;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ,ジスアゾ等のアゾ系;スピロピラン系;インドリノスピロピラン系;フルオラン系;ローダミンラクタム系;ナフトキノン系;アントラキノン系;キノフタロン系;等が挙げられる。
これらの染料の中から、色相、印画濃度、耐光性、保存性、バインダー樹脂及び熱移行性添加剤への溶解性等の特性を考慮して適宜染料が選択使用される。尚、上記特性に応じて、1つの染料層に1種類の染料を含有させるだけでなく、2種類以上の染料を混合して使用することができる。上記染料は、染料層中で合計した染料が5〜90質量%の量で存在するのが好ましく、10〜70質量%の量で存在するのがより好ましい。また、染料層におけるバインダー樹脂に対する染料の含有する質量比(Dye/Binder)が、0.3〜3.0程度が好ましい。上記の染料層における染料の含有する割合が少なすぎると、印字濃度、転写感度が低下する等好ましくなく、一方で染料の含有する割合が多すぎると、基材シートと染料層との密着性や染料層の保存性が低下し、好ましくない。
染料層用インキ組成物におけるバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、なかでも、耐熱性、染料の移行性等の点で、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好ましく用いられる。
また、染料層における熱移行性添加剤の特徴としては、熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、染料が熱移行性添加剤に溶解するものであり、熱移行性添加剤は上記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物である。したがって、その熱移行性添加剤は、熱転写時におけるサーマルヘッド等からの加熱により、染料層が瞬間的には200℃近くまで加熱され、すなわち染料層が熱移行性添加剤の融点以上の温度下に加熱されて、染料層に含有する染料が熱移行性添加剤に溶解された状態となる。上記の状態において、熱転写受像シートの受容層への染料の転移が円滑に行なわれ、結果として、染料の転写感度、転写効率が高く、高濃度の印画物が得られると考えられる。
また、上記のアミド化合物の熱移行性添加剤は、その融点が105℃以上120℃以下の熱的物性が特定されているために、高温、高湿下等に熱転写シートの巻取りを長期保管しても、染料の耐熱滑性層への移行を防止でき、また上記一般式(I)で表されるアミド化合物を用いることで、印画の際の地汚れも防止できる。この融点の範囲は、実施例等に示す実験を行なった結果と、また熱転写時のサーマルヘッド等の加熱手段により、熱転写シートの染料層自体の加熱される温度を考慮して、導き出されたものである。その融点が105℃未満であると、染料の転写感度が高くなるが、熱転写シートの巻取り保存中に耐熱滑性層への染料移行が生じやすく、また一方で、熱移行性添加剤の融点が120℃より高くなると、染料の転写感度が低くなってくる。但し、本発明で規定される融点は、全てJIS K0064(1992)に従ったものである。
本発明の染料層用インキ組成物に含有する熱移行性添加剤は、下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であるが、具体的にはエチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アマイド、メチレンビスエルカ酸アマイド等の飽和または不飽和脂肪酸アマイドが挙げられる。
(R1CONH)2−(CH2n (I)
但し、上記の式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。尚、nは1〜8程度である。nが大きくなると、染料の転写感度が低くなってきて、好ましくない。また、R1の炭素数が5未満であると、耐熱滑性層への染料移行が生じやすくなり、R1の炭素数が30より大きくなると、染料の転写感度が低くなってきて、好ましくない。
以上のような熱移行性添加剤は、インキ組成物中に、バインダー樹脂100質量部当たり10〜48質量部の割合で含まれることが好ましく、さらに15〜48質量部の割合で含まれることがより好ましい。尚、熱移行性添加剤は、染料層に1種類の熱移行性添加剤を添加させるだけでなく、2種類以上の熱移行性添加剤を混合して添加することも可能である。熱移行性添加剤の含有割合が、バインダー樹脂に対して少なすぎると、熱転写時における染料の転写感度、転写効率が高い機能が発揮しにくくなる。また。一方で熱移行性添加剤の含有割合が、バインダー樹脂に対して多すぎると、熱転写シートの巻取り保存中に耐熱滑性層への染料移行や印画物における地汚れが生じやすくなる。
以上説明してきた昇華性染料、バインダー樹脂、熱移行性添加剤と、その他必要に応じて、従来公知の各種の添加剤を加え、各成分を溶媒に溶解または分散させて、染料層用インキ組成物を調整する。溶媒中に昇華性染料、バインダー樹脂、熱移行性添加剤等を均一に溶解または分散させるため、攪拌を充分に行なう。上記の溶媒としては、アルコール系溶剤として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等、ケトン系溶剤として、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、芳香族系溶剤として、トルエン、キシレン等や、水等が挙げられる。
本発明の染料層用インキ組成物は、後述する各種の染料層の塗布して形成する方法があるが、いずれの場合でも、溶媒としては、染料、バインダー樹脂の溶解性が高く、またインキ粘度の安定性をもたせるために、メチルエチルケトンとトルエンを混合した溶剤が好ましく用いられる。染料層用インキ組成物の上記の従来公知の各種の添加剤としては、例えば、熱転写受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子、無機微粒子、シリコーンオイルなどが挙げられる。
次に、上記に説明した染料層用インキ組成物を使用して、基材シートの一方の面に染料層を形成した熱転写シートについて、説明する。
(基材シート)
熱転写シートにおける基材シートとしては、画像形成時の加熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有する各種の樹脂等からなるものを用いることができる。また、上記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリサルホン、アラミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ナイロン(商標)、ポリイミド等が挙げられ、なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又は、その混合物からなるポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
基材シートは、枚葉状であってもよいし、連続フィルム状であってもよい。上記基材シートの厚みは、一般に0.5〜50μmであればよいが、好ましくは1〜10μm程度である。基材シートに接着処理を施すことが好ましく行われる。上記接着処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記接着処理は、1種のみ行ってもよいし、2種以上行ってもよい。上記のプライマー処理として、例えば基材シートのプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、延伸する前のフィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことが挙げられる。
(プライマー層)
熱転写シートにおいて、基材シートの染料層を設ける側、基材シートの他方の耐熱滑性層を設ける側のいずれか、あるいは両側に、プライマー層を設けることができる。このプライマー層は、基材シートとプライマー層を介して積層される層との接着性を向上させるものである。プライマー層は、従来公知の接着性を有する材料をいずれも用いることができ、異常転写抑制のために基材シートと染料層の接着力が強く、かつ印画濃度の低下を抑制するために染料がプライマー層へ染着しにくいものが好ましく、そのようなものとしてポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂あるいはポリビニルピロリドン樹脂等のビニル系樹脂や、ポリビニルアセトアセタールあるいはポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
プライマー層は、適当な溶剤により溶解又は分散させてプライマー層用塗工液を調製し、これを例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。プライマー層は、乾燥時の膜厚が0.01〜2.0g/m2程度となるように塗工するようにする。
(染料層)
熱転写シートの基材シートに設ける染料層は、上記に説明した染料層用インキ組成物を使用して、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段にて塗布して形成することができる。染料層は、所望の画像がモノカラーである場合は、1色の染料を選択し、該染料を含有する層を1層形成することより作製することができ、所望の画像がフルカラーである場合は、例えば、適当なシアン、マゼンタ及びイエロー(更に必要に応じてブラック)等の各色素を選択して、各色素のうち何れか1つを含有する層をそれぞれ形成させることにより作製することができる。上記染料層の厚みは、乾燥後塗工量が約0.1〜6g/m2であることが好ましく、約0.2〜2g/m2であることが印画適性上、より好ましい。
(耐熱滑性層)
熱転写シートにおいて、基材シートの染料層を設けた側と反対面に耐熱滑性層を設けることが好ましい。耐熱滑性層は、サーマルヘッドの熱によるスティッキングや印画しわ等の悪影響を防止するために設けられるもので、樹脂、滑り性付与剤や、所望により充填剤からなるものである。
耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のもの、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
滑り性付与剤は、耐熱滑性層に添加あるいは上塗りして使用され、例えば高級脂肪酸金属塩、ナイロン系フィラー、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体等が挙げられる。耐熱滑性層はポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加してなるものが好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記の樹脂、滑り性付与剤、所望により充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層は乾燥時の膜厚が、0.1g/m2〜3.0g/m2となるように塗工するようにする。
(熱転写受像シート)
上記に説明した熱転写シートと、基材の少なくとも一方の面に受容層を備えた熱転写受像シートとを用いて、前記染料層と前記受容層とを重ね合わせ加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写して、熱転写画像を形成する。以下、熱転写受像シートについて、説明する。
(基材)
熱転写受像シートにおける基材としては、紙類、プラスチックフィルム等が使用でき、紙類では、各種紙単体もしくは加工紙等いずれも使用可能で、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等の他、樹脂エマルジョンや合成ゴムラテックス等の含浸紙、合成樹脂内添紙などが挙げられ、合成紙では、ポリスチレン系合成紙やポリオレフィン系合成紙等が良好に使用できる。
また、プラスチックフィルムでは、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系樹脂フィルム、硬質ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリアリレートフィルムなどが使用できる。これらのプラスチックフィルムでは透明なフィルムだけでなく、白色顔料や、充填剤等を加えて成膜した白色不透明のフィルム、或いは発泡させたフィルムも使用できる。尚、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
熱転写受像シートの基材の厚みは、通常3〜300μm程度であり、機械的適性等を考慮し、75〜175μmの基材を用いるのが好ましい。また、基材とその上に設ける層との密着性が乏しい場合には、その表面に易接着処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
(受容層)
熱転写受像シートで用いる受容層は、基材の上に形成するもので、加熱により熱転写シートから転写される色材を受容する働きを有するもので、染料を受容し、発色させると同時に、一旦受容した染料を再昇華させないことが望まれる。受容層は、一般に熱可塑性樹脂を主体として構成される。受容層を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。また、上記の基材と受容層との間には、接着性や白色度等を高めるために、中間層を設けてもよい。
但し、本発明では、少なくとも染料、バインダー樹脂、熱移行性添加剤及び溶媒を含有する染料層用インキ組成物において、該熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、前記染料が熱移行性添加剤に溶解し、熱移行性添加剤が前記の一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物である条件であり、この染料層用インキ組成物により基材シートに染料層を形成した熱転写シートと、組み合わせて使用する熱転写受像シートの受容層の構成樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選ばれる樹脂を少なくとも1種を用いることが好ましい。この受容層の構成樹脂を用いることで、本発明の染料層用インキ組成物を用いて作製した熱転写シートにおける、熱転写時における染料の転写感度、転写効率が高く、充分に満足できる高濃度の印画物が得られる効果が、より発揮しやすくなる。
熱転写の画像形成時において、染料層を有する熱転写シートと、熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、受容層に離型剤を混合することができる。混合して使用する好ましい離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、中でもシリコーンオイルが望ましい。そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、ビニル変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は受容層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写シートと熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を受容層に添加することによって、受容層の表面に離型剤がブリードアウトして離型層が形成される。
また、これらの離型剤は受容層に添加せず、受容層上に別途塗工してもよい。受容層は、基材上に、上記の如き樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、上記染料層で説明したような適当な塗布方法で塗布及び乾燥することによって形成される。上記受容層の形成に際しては、受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高めたりする目的で、白色顔料や蛍光増白剤等を添加することができる。以上のように形成される受容層は任意の厚さでよいが、一般的には乾燥状態で1〜50g/m2の厚さである。また、このような受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エマルジョン若しくは水溶性樹脂や樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として形成してもよい。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、文中、部または%とあるのは特に断りのない限り質量基準とする。
実施例1〜3及び比較例1〜8
<熱転写シートの作製>
基材シートとして、厚さ6μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、K203E)を用い、その基材シートの易接着処理面に、染料層用インキ組成物である下記組成の染料層組成液Aを、ミヤバーコート法により乾燥時0.7g/m2になる割合で塗布、乾燥して染料層を形成し、熱転写シートを作成した。尚、上記基材シートの他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層組成液(i)をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。但し、実施例1〜3及び比較例1〜8の各例に対応した熱転写シートは、染料層組成液に関し、熱移行性添加剤の種類が表1に示すものを使用した。また比較例1は、熱移行性添加剤を使用せずに、メチルエチルケトン、トルエンの量をそれぞれ44.95部とした。
<染料層組成液A>
C.I.Disperse Red 60(アントラキノン系染料、分子量331)
2.6部
C.I.Disperse Violet 26(アントラキノン系染料、分子量422) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
熱移行性添加剤(表1) 1.5部
メチルエチルケトン 44.2部
トルエン 44.2部
<耐熱滑性層組成液(i)>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
実施例4〜6及び比較例9〜16
<熱転写シートの作製>
上記の実施例1〜3及び比較例1〜8で、作製した条件の中で染料層組成液Aから、下記組成の染料層組成液Bに変更した以外は、全て上記の作製条件と同様にして、熱転写シートを作製した。尚、この例は、上記の実施例1〜3及び比較例1〜8における例が、熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり43質量部であったものを、バインダー樹脂100質量部当たり15質量部の割合になるように変更したものである。
<染料層組成液B>
C.I.Disperse Red 60(アントラキノン系染料、分子量331)
2.6部
C.I.Disperse Violet 26(アントラキノン系染料、分子量422) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.35部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
熱移行性添加剤(表2) 0.65部
メチルエチルケトン 44.2部
トルエン 44.2部
実施例7〜9及び比較例17〜24
<熱転写シートの作製>
上記の実施例1〜3及び比較例1〜8で、作製した条件の中で染料層組成液Aから、下記組成の染料層組成液Cに変更した以外は、全て上記の作製条件と同様にして、熱転写シートを作製した。尚、この例は、上記の実施例1〜3及び比較例1〜8における例が、熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり43質量部であったものを、バインダー樹脂100質量部当たり10質量部(下限値)の割合になるように変更したものである。
<染料層組成液C>
C.I.Disperse Red 60(アントラキノン系染料、分子量331)
2.6部
C.I.Disperse Violet 26(アントラキノン系染料、分子量422) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.545部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
熱移行性添加剤(表3) 0.455部
メチルエチルケトン 44.2部
トルエン 44.2部
実施例10〜12及び比較例25〜32
<熱転写シートの作製>
上記の実施例1〜3及び比較例1〜8で、作製した条件の中で染料層組成液Aから、下記組成の染料層組成液Dに変更した以外は、全て上記の作製条件と同様にして、熱転写シートを作製した。尚、この例は、上記の実施例1〜3及び比較例1〜8における例が、熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり43質量部であったものを、バインダー樹脂100質量部当たり2質量部の割合になるように変更したものである。
<染料層組成液D>
C.I.Disperse Red 60(アントラキノン系染料、分子量331)
2.6部
C.I.Disperse Violet 26(アントラキノン系染料、分子量422) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.90部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
熱移行性添加剤(表4) 0.10部
メチルエチルケトン 44.2部
トルエン 44.2部
実施例13〜15及び比較例33〜40
<熱転写シートの作製>
上記の実施例1〜3及び比較例1〜8で、作製した条件の中で染料層組成液Aから、下記組成の染料層組成液Eに変更した以外は、全て上記の作製条件と同様にして、熱転写シートを作製した。尚、この例は、上記の実施例1〜3及び比較例1〜8における例が、熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり43質量部であったものを、バインダー樹脂100質量部当たり48質量部(上限値)の割合になるように変更したものである。
<染料層組成液E>
C.I.Disperse Red 60(アントラキノン系染料、分子量331)
2.6部
C.I.Disperse Violet 26(アントラキノン系染料、分子量422) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.38部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
熱移行性添加剤(表5) 1.62部
メチルエチルケトン 44.2部
トルエン 44.2部
実施例16〜18
<熱転写シートの作製>
上記の実施例1〜3で、作製した条件の中で染料層組成液Aから、下記組成の染料層組成液Fに変更した以外は、全て上記の作製条件と同様にして、熱転写シートを作製した。尚、この例は、上記の実施例1〜3における例が、熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり43質量部であったものを、バインダー樹脂100質量部当たり55質量部の割合になるように変更したものである。
<染料層組成液F>
C.I.Disperse Red 60(アントラキノン系染料、分子量331)
2.6部
C.I.Disperse Violet 26(アントラキノン系染料、分子量422) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.22部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
熱移行性添加剤(表6) 1.78部
メチルエチルケトン 44.2部
トルエン 44.2部
<評価>
各実施例及び比較例で作製した熱転写シートを用いて、印画濃度と、溶解性、地汚れ及び染料移行性の評価を以下に示す方法で行い、表1〜6の結果を得た。
<印画条件>
上記の各実施例及び比較例で得られた熱転写シートについて、下記条件の熱転写受像シートと組み合わせて、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とを互いに対向させて重ね合わせ、熱転写シートをその裏面側からサーマルヘッドで加熱して、グラデーション画像の熱転写記録を行った。熱転写記録の条件は、下記の通りである。
<熱転写受像シートの作製>
基材として合成紙(ユポ−FPG−150、厚さ150μm,ユポ・コーポレーション製)を用い、この一方の面に下記組成の中間層組成をバーコーターにより、乾燥時2.0g/m2になる割合で塗布、乾燥し、さらに中間層の上に、下記組成の受容層組成液をバーコーターにより乾燥時4.0g/m2になる割合で塗布、乾燥して、受容層を形成したものである。
<中間層組成液>
ポリエステル樹脂(WR−905、日本ポリウレタン(株)製) 13.1部
酸化チタン(TCA888、トーケムプロダクツ(株)製) 26.2部
蛍光増白剤 0.39部
(ユビテックスBAC、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
水 60.0部
水/IPA=質量比l/l 32.0部
<受容層組成液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 12.0部
(ソルバインC、日信化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 0.8部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 0.24部
(X−22−1660B−3、信越化学工業(株)製)
トルエン/MEK=質量比l/1 60.0部
<熱転写記録条件>
下記の条件にてグラデーション画像を形成した。
・サーマルヘッド:京セラ(株)製
・発熱体平均抵抗値:2945Ω(オーム)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印加電圧:15.0V(ボルト)
・1ライン周期:10msec.
・印字開始温度:40°C
・プリントサイズ:50mm×150mm
・階調プリント:1ライン周期中に、1ライン周期を256等分したパルス長を持つ分割パルス数を0〜255個の間で変更可能なマルチパルス方式のテストプリンタを用い、各分割パルスのデューティー比を65%に固定し、1ライン周期当たりのパルス数を1ステップでは0個、2ステップでは17個、3ステップでは34個といったように、0から255個まで17個ずつ段階的に増加させて1ステップから16ステップまでの16階調を制御した。
<印画濃度>
上記の各実施例及び比較例における印画物について、255階調目の反射濃度を測定し、比較例1(比較例9、比較例17、比較例25、比較例33)の濃度を基準として、各印画物の濃度の比率を調べ、以下のようにランク付けした。
A:濃度が115%より大きい
B:濃度が110%より大きく、115%以下
C:濃度が102%より大きく、110%以下
D:濃度が基準のものと同等(濃度が98%〜102%)
E:濃度が98%未満
<溶解性>
上記の各実施例及び比較例で使用する染料層用インキ組成物で、そのインキ組成物を構成する染料と熱移行性添加剤(バインダー樹脂と溶媒を除いたもの)を用いて、熱移行性添加剤の融点以上の温度に加熱し、加熱後3分後の染料の熱移行性添加剤への溶解状態を目視にて調べた。その評価は、以下の基準で行なった。
○:染料が熱移行性添加剤に溶解し、染料粉末は認められない。
×:染料が熱移行性添加剤に溶解せず、染料粉末と熱移行性添加剤が分離している。
<地汚れ>
以下の条件にて印画を行い、地汚れを評価した。
印画濃度評価の際と同様の熱転写シート、受像シートを用いた。印画パターンは白ベタ(階調値0/255、印字加熱なし)とし、印画を行った。
<地汚れ評価基準>
A:印画前の受像紙と、白ベタ印画部の色差ΔE*abが2.0未満
B:印画前の受像紙と、白ベタ印画部の色差ΔE*abが2.0以上2.5未満
C:印画前の受像紙と、白ベタ印画部の色差ΔE*abが2.5以上3.0未満
E:印画前の受像紙と、白ベタ印画部の色差ΔE*abが3.0以上
色相はX−Rite社製X−Rite938(D65光源、視野角2°)にて測定し、値は下記式に従い算出した。
ΔE*ab=((印画前の受像紙と白ベタ印画部のL値の差)2+(印画前の受像紙と白ベタ印画部のa値の差)2+(印画前の受像紙と白ベタ印画部のb値の差)21/2
<染料移行性>
以下の条件にて、耐熱滑性層への染料移行性を評価した。
各実施例及び比較例で作製した熱転写シートの染料層と耐熱滑性層を対向させ、20kg/cm2荷重をかけて50℃80%環境下で100時間保管した。耐熱滑性層は実施例で用いたPET基材に、耐熱滑性層組成液(i)を塗工・乾燥したものを用いた(染料層の
形成は行わなかった)。
<耐熱滑性層への染料移行性評価基準>
A:染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abと、基準リボンの染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abの比が1.1未満
B:染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abと、基準リボンの染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abの比が1.1以上1.2未満
C:染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abと、基準リボンの染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abの比が1.2以上1.3未満
E:染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abと、基準リボンの染料層と対向させる前と後の耐熱滑性層の色差ΔE*abの比が1.3以上
色相はX−Rite社製X−rite938(D65光源、視野角2°)にて測定し、値は下記式に従い算出した。
ΔE*ab=((染料層と対向させる前と後のL値の差)2+(染料層と対向させる前と後のa値の差)2+(染料層と対向させる前と後のb値の差)21/2
上記の評価の結果及び各例の染料層に添加した熱移行性添加剤の種類、化学式、分子量、融点などのデータを表1〜6に示す。
Figure 2007262179
Figure 2007262179
Figure 2007262179
Figure 2007262179
Figure 2007262179
Figure 2007262179
上記の表1、5、6から、熱移行性添加剤が下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であり、その熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり48質量部の割合で含まれることが、その熱移行性添加剤の上限値と判断出来る。熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり48質量部よりも多くなると、エチレンビスオレイン酸アミド及びヘキサメチレンビスオレイン酸アミドの場合、印画濃度が低下し、またエチレンビスイソステアリン酸アミドでは、地汚れ及び染料移行性の評価が悪化してくる。
(R1CONH)2−(CH2n (I)
但し、式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。
上記の表2、3、4から、熱移行性添加剤が上記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であり、その熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり10質量部の割合で含まれることが、その熱移行性添加剤の下限値と判断出来る。熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり10質量部よりも少ないと、印画濃度が低下してくる。
上記一般式(I)で表されるアミド化合物ではなく、すなわち(CH2nを中央にして、左右に(R1CONH)を結合させたアミド化合物ではなく、R1CONH2で示されるラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸の各アミド化合物では、比較的分子量が小さく、また融点も比較的低く、染料の転写感度が高めであるが、バインダー樹脂100質量部当たり10〜48質量部の割合で含まれても、地汚れ、染料移行性の評価が悪い。
また、上記の結果より、エチレンビスイソステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの各化合物は、分子量が同一であるが、互いに構造異性体であり、エチレンビスイソステアリン酸アミドのイソ体では、融点が113.3℃であり105℃以上120℃以下に入るが、エチレンビスステアリン酸アミドのノルマル体では、融点が138〜143℃であり、120℃より大きく、染料の転写感度が低くなっている。
上記の結果より、実施例1〜9及び実施例13〜15は、本発明の特許請求の範囲の請求項2を満足するものであり、染料の耐熱滑性層への移行と、印画の際の地汚れも少なく、熱転写時における染料の転写感度、転写効率が高く、また高濃度の印画物が得られるものであり、特に優れたものであった。上記の印画濃度、地汚れ及び染料移行性の評価において、実施例1〜9及び実施例13〜15は、「D」または「E」が全く無く非常に良好である。
また、熱移行性添加剤が上記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であり、その熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり2質量部の割合で含まれる場合(実施例10〜12)、染料の耐熱滑性層への移行と、印画の際の地汚れに関し、良好であるが、印画濃度は熱移行性添加剤を含有しないものと比べ、同程度であった。しかし、上記一般式(I)で表されるアミド化合物ではなく、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸の各アミド化合物等を含有する比較例26〜32と比べ、上記一般式(I)で表されるアミド化合物をバインダー樹脂100質量部当たり2質量部の割合で含有する実施例10〜12は、印画濃度、地汚れ及び染料移行性の評価を総合的に見て、良いものである。
さらに、熱移行性添加剤が上記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であり、その熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり55質量部の割合で含まれる場合(実施例16〜18)、エチレンビスイソステアリン酸アミド(実施例17)では、印画濃度は向上するが、染料の耐熱滑性層への移行と、印画の際の地汚れに関して、不良であった。エチレンビスオレイン酸アミドとヘキサメチレンビスオレイン酸アミドが、その熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部当たり55質量部の割合で含まれる場合(実施例16、18)、染料の耐熱滑性層への移行と、印画の際の地汚れに関して、良好であるが、印画濃度は熱移行性添加剤を含有しないものと比べ、同程度であった。これは、上記一般式(I)で表されるアミド化合物の染料層における含有割合が、バインダー樹脂に対して多すぎて、該アミド化合物が染料層表面にブリードするためか、印画濃度の向上を阻害していることが考えられる。

Claims (2)

  1. 少なくとも染料、バインダー樹脂及び溶媒を含有する染料層用インキ組成物において、熱移行性添加剤が、さらに含有されていて、該熱移行性添加剤の融点以上の温度下で、前記染料が熱移行性添加剤に溶解するものであり、熱移行性添加剤が下記一般式(I)で表されるアミド化合物であり、かつアミド化合物は、融点が105℃以上120℃以下の化合物であることを特徴とする染料層用インキ組成物。
    (R1CONH)2−(CH2n (I)
    但し、式中R1は炭素数5〜30の分岐アルキル基またはアルケニル基を示し、nは1以上の整数を示す。
  2. 前記の熱移行性添加剤がバインダー樹脂100質量部あたり10〜48質量部の割合で含まれることを特徴とする請求項1に記載する染料層用インキ組成物。
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