JP5234276B2 - 熱転写受像シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写方式による印画に用いられる熱転写受像シートに関するものである。
近年、カラーハードコピーとして種々の熱転写方法が広く普及している。これらの熱転写方法の中で、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に担持させた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせて、熱転写により熱転写受像シート上にフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式が知られている。この方法は、加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によって3色又は4色の多数の色ドットを受像シートに転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラー画像を再現するものであり、熱移行性染料を色材としているためドット単位で画像濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に再現できるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
熱転写受像シートを得る手段として、例えばグラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が知られている。しかしながら、この方法は、各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるという問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを得るため、同時に複数の層を形成する方法等が注目を浴びている。
近年、このような染料拡散を利用した熱転写記録方式において、印画速度が高速化される一方、高い染料染着性を維持して、熱転写時に熱転写シートとの離型性にも優れ、かつ紫外線照射下での色彩変化の少ない耐光性にも優れる熱転写受像シートの製造が検討されている。
特許文献1には、水系バインダーと中空粒子を主成分として含有する水性中間層と水系バインダーと離型剤を主成分とする水性受像層を同時塗布する熱転写受像シートの製造方法が開示されている。
特許文献2には、基材上に、多孔質層及び受像層を有する熱転写受像シートにおいて、該多孔質層が中空粒子を含有し、該中空粒子の含有率が65質量%以上であって、かつ該多孔質層とそれに隣接する受像層側の層とが、同時重層塗布により形成されたことを特徴とする熱転写受像シートが開示されている。
特許文献3には、水溶性樹脂を最表層に有するインクジェット記録媒体が開示されており、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を主成分とする受容層用塗布液と、空隙率30%以上の中空粒子を含有する最下層塗布液とを同時塗布することについて記載されている。
特許文献4には、支持体上に、ポリマーラテックスを含有する受容層と中空ポリマーを含有する多孔質層が塗設された感熱転写受像シートが開示されている。該受容層には水溶性ポリマーの固形分含有率が0.2質量%〜30質量%であり、またポリマーラテックスの中でも塩化ビニル類が好ましいこと、およびこのような感熱転写受像シートは転写画像の経時変化が小さい記録画像を形成することができると記載されている。
特開平6−171240号公報 特開2006−88691号公報 特開2006−103040号公報 特開2007−190912号公報
本発明は、基材シート上に少なくとも受容層と多孔質層とが形成され、該受容層が水系塗工液から形成される、印画物の高感度性を満足して離型性及び耐光性が改良され、熱転写を連続して行った場合においてもこれらの性能が維持可能である熱転写受像シートを提供することを目的とする。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、基材シート上に、多孔質層とその上に受容層が形成された熱転写受像シートにおいて、少なくともスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチンを含む冷却ゲル化剤、及び離型剤からなる受容層中のスチレン−アクリル系共重合体に、スチレン、ダイアセトンアクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物を含むモノマー成分を共重合反応させた後の造膜の際に、ジヒドラジド化合物を存在させてダイアセトンアクリルアミド単位由来のケトン基同士が、前記ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された架橋構造を形成させることにより上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)ないし(6)に記載する発明を要旨とする。
(1)基材シート(A)上に、少なくとも多孔質層(B)と、加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)がこの順に形成された熱転写受像シートであって、
受容層(C)が少なくともスチレン、ダイアセトンアクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物を含むモノマー成分を共重合反応させた後、造膜の際にジヒドラジド化合物を存在させることにより形成された架橋構造を含むスチレン−アクリル系共重合体(a)、ゼラチンを含む冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)を含有しており、
該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレンに由来する単位が55〜80モル%であり、ダイアセトンアクリルアミドに由来する単位が2〜10モル%であり、
かつ受容層(C)における前記架橋構造が、該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基同士が、前記ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された構造であることを特徴とする、
熱転写受像シート。
(2)前記ジヒドラジド化合物がイソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、及び1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジドから選択された1種又は2種以上から選択されたヒドラジド化合物であることを特徴とする、前記(1)に記載の熱転写受像シート。
(3)前記スチレン−アクリル系共重合体(a)を形成する際に、共重合反応溶液に添加されるジヒドラジド化合物量がダイアセトンアクリルアミドの0.3〜1.5モル倍であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の熱転写受像シート。
(4)前記受容層(C)に含有される冷却ゲル化剤(b)がゼラチンである、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
(5)前記多孔質層(B)が少なくとも中空粒子(d)と冷却ゲル化剤(e)とを含有していることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
(6)前記受容層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(b)2〜30重量%、及び離型剤(c)2〜30重量%含有していることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
本発明の熱転写受像シートは、印画物の高感度性を満足して離型性及び耐光性が改良され、転写を連続的して行った場合においてもこれらの性能が維持可能である。また、本発明の熱転写受像シートは、例えば、基材シート(A)上に水系の受容層(C)と多孔質層(B)を形成する塗工液の同時重層塗布後、冷却、乾燥するスライドコート法により製造することができる。本発明の熱転写受像シートの製造に該スライドコート法を採用すると、本発明の熱転写受像シート製造が極めて容易となり、工程数削減によるコスト低減効果も期待できる。
以下、本発明の熱転写受像シートについて説明する。
上述したように本発明の熱転写受像シートは、
基材シート(A)上に、少なくとも多孔質層(B)と、加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)がこの順に形成された熱転写受像シートであって、
受容層(C)が少なくともスチレン、ダイアセトンアクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物を含むモノマー成分を共重合反応させた後、造膜の際にジヒドラジド化合物を存在させることにより形成された架橋構造を含むスチレン−アクリル系共重合体(a)、ゼラチンを含む冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)を含有しており、
該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレンに由来する単位が55〜80モル%であり、ダイアセトンアクリルアミドに由来する単位が2〜10モル%であり、
かつ受容層(C)における前記架橋構造が、該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基同士が、前記ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された構造であることを特徴とする。
このような本発明の熱転写受像シートは、基材シート(A)上に多孔質層(B)とその上に受容層(C)とが形成された層構造を有するが、受容層(C)と多孔質層(B)間にクリア層、プライマー層、帯電防止層、接着層等を形成することが可能である。また、多孔質層(B)と基材(A)間に下引き層を形成することができる。
〔1〕本発明の熱転写受像シートについて
以下本発明の熱転写受像シートを構成する各層について説明する。
(1)受容層(C)
受容層(C)は、加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する層であり、
受容層(C)が少なくともスチレン、ダイアセトンアクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物を含むモノマー成分を共重合反応させた後、造膜の際にジヒドラジド化合物を存在させることにより形成された架橋構造を含むスチレン−アクリル系共重合体(a)、ゼラチンを含む冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)を含有しており、
該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレンに由来する単位が55〜80モル%であり、ダイアセトンアクリルアミドに由来する単位が2〜10モル%であり、
かつ受容層(C)における前記架橋構造が、該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基同士が、前記ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された構造であることを特徴とする。
また、該受容層(C)を形成する塗工液(以下、受容層形成用塗工液ということがある)は、該多孔質層(B)を形成する塗工液(以下、多孔質層形成用塗工液ということがある)とともにスライドコート法により基材シート(A)上に塗布することが可能である。
本発明において受容層形成用塗工液は、水系溶媒中に少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)を含有させて得られるので、スチレン−アクリル系共重合体(a)はポリマーラテックスとして該水系溶媒に分散させたものを使用することが望ましい。
ここで、上記「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を例示することができる。
(1−1)スチレン−アクリル系共重合体(a)
本発明に用いられる受容層(C)を形成する樹脂(以下、受容層形成樹脂ということがある)であるスチレン−アクリル系共重合体(a)は、染料染着性を有するものであり、かつ上記したようにポリマーラテックスとして受容層形成用塗工液に添加されることが望ましい。
上記スチレン−アクリル系共重合体(a)は、スチレンと、アクリルアミド及びアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物とを含むモノマー成分を共重合反応させて得られる共重合体であれば特に限定されず、これらの必須モノマーと共重合可能なモノマーをも少量共重合させたものであってもよい。なお、本明細書において、「アクリル系化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル系化合物としては、必須成分であるアクリルアミドの他、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート等が好ましいが、モノマーとして長鎖のアクリル系化合物が使用されている場合、耐光性が向上する傾向がある。
スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は55〜80/45〜20である。スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレン単位が55モル%以上で比較的高いガラス転移温度(Tg)となるので、このような共重合体を含有する受容層(C)は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上する。一方、前記スチレン単位が80モル%を超えるとTgが上昇して耐熱性には優れるものの、アクリル系化合物単位が減少するので、染料染着性が低下し画像濃度が低下する虞がある。このような事情から、前記モル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は55〜70/45〜30が好ましい。
スチレン−アクリル系共重合体(a)が平滑透明な連続塗膜を形成するための最低温度(最低造膜温度(MFT))は30℃〜90℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、45℃〜75℃が更に好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加することもできる。
スチレン−アクリル系共重合体(a)はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。前記スチレン−アクリル系共重合体(a)は数平均分子量(ポリスチレン換算)150,000以上が好ましい。前記分子量が150,000以上では、熱転写時に離型性が低下するのを抑制するという効果が得られる。尚、スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)の上限は、重合条件等から実用上500,000程度である。
本発明において、該スチレン−アクリル系共重合体(a)は、少なくともスチレン、ダイアセトンアクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物を含むモノマー成分を共重合反応させた後、造膜の際にジヒドラジド化合物を存在させることにより形成された架橋構造を含み、該架橋構造が、該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基同士が、前記ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された構造である。
スチレン−アクリル系共重合体(a)において、熱転写時の高い画像濃度を維持するために、スチレン−アクリル系共重合体(a)製造の際にアクリル系化合物をモノマー原料として使用するが、アクリル系化合物モノマーの使用により、熱転写を連続的に実施してヘッド温度が40℃程度、又は40℃を超える温度になると離型性が低下して、熱転写受像シートの一部が熱転写シートに融着して、離型性が低下して、熱転写の継続が困難になる場合がある。スチレン−アクリル系共重合体(a)中に前記架橋構造を形成することにより、上記したような離型性の低下を抑制することが可能になる。このような共重合体のモノマー成分としてのダイアセトンアクリルアミドと、造膜時に存在させるジヒドラジド化合物から形成される架橋構造を存在させることによる離型性向上の効果は、そのメカニズムは十分に解明されてはいないものの、共重合反応溶液中のモノマー成分中にダイアセトンアクリルアミドを配合すると、共重合反応により、スチレン−アクリル系共重合体(a)中にダイアセトンアクリルアミド由来の単位が存在して、受容層(C)を造膜する際の脱水乾燥時に、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)中のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基同士が、ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された架橋構造が受容層(C)中に形成されるためと推定される。
尚、ジヒドラジド化合物は造膜する際に存在していればよく、その添加時期は特に制限されるものではないが、前記共重合反応終了後に添加することが副反応を抑制する点からも好ましいと言える。
上記した架橋構造が形成される際に使用可能なジヒドラジド化合物としては、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、及び1,1,1',1,'-テトラメチル-4,4'-(メチレン-ジ-パラ-フェニレン)ジセミカルバジド等を挙げることができるが、これらのジヒドラジド化合物を2種以上使用することもできる。上記ジヒドラジド化合物のなかでも、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、及びドデカン二酸ジヒドラジドがより好ましく、セバチン酸ジヒドラジド、及びドデカン二酸ジヒドラジドが更に好ましい。
前述した、架橋構造形成により離型性を向上させるためには、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)を共重合反応で得る際の、共重合反応溶液中のモノマー成分中にダイアセトンアクリルアミドを2〜10モル%、好ましくは4〜8モル%の濃度になるように配合する。
また、1分子のジヒドラジド化合物は、2分子のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基と脱水反応を起して架橋するので、共重合反応溶液中へのジヒドラジド化合物の添加量はダイアセトンアクリルアミドの0.3〜1.5モル倍が好ましく、0.5〜1.0モル倍がより好ましい。
ジヒドラジド化合物の添加量が前記0.3モル倍未満では、離型性の向上が十分でなく、一方、1.5モル倍を超える量添加しても、添加効果の向上は期待できず、未反応のジヒドラジド化合物の残存量が増加してかえって離型性を低下する虞がある。
スチレン−アクリル系共重合体(a)は、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、イオン重合法等により製造することができるが、受容層形成用塗工液は水系溶媒中で形成されるので、ラテックスとして添加することが好ましく、ラテックスとして得られる乳化重合法が最も好ましい。
乳化重合法は、水、又は水及び水と均一に混和し得る上記有機溶媒との混合溶液を分散媒とし、分散媒100部に対し、例えば10〜150重量部のスチレンとアクリル系モノマー、乳化剤と重合開始剤等を用い、20〜100℃の温度で、1〜20時間程度、攪拌下に重合させる重合法である。重合開始剤としては無機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル剤を用いることができる。重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対して0.2〜3.0重量部使用されることが好ましい。
重合乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。重合乳化剤の添加量は、モノマー100重量部に対して0.2〜10.0重量部使用されることが好ましい。また、乳化重合法には、連鎖移動剤やキレート剤を使用することができる。また、受容層(C)における染料の染着性、耐熱性、耐光性等の観点から、スチレン−アクリル系共重合体(a)は、受容層(C)中に50〜95重量%含有されていることが好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%が更に好ましい。なお、本発明においては、上記受容層形成樹脂は1種のみを用いてもよく、平均分子量等が異なる2種以上を用いてもよい。
(1−2)冷却ゲル化剤(b)
本発明に用いられる冷却ゲル化剤(b)は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、本発明の熱転写受像シートは、基材シート(A)上に、冷却ゲル化剤を含む水系の受容層(C)を含む複数の水系の層を同時に形成する、例えばスライドコート法により製造することができるので、高効率で製造することが可能となる。
冷却ゲル化剤(b)としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等を挙げることができるが、ゼラチンが好ましい。冷却ゲル化剤(b)は、水に溶解した状態での15℃における粘度が80℃における粘度に対して、3倍以上、特に5倍以上、さらには10倍以上であるものが好ましい。
ここで、上記ゼラチンは、三重へリックス構造を有するコラーゲンを変性させることによって得られるペプチド鎖からなるものであり、冷却されることにより部分的に上記三重へリックス構造を回復し、回復された三重へリックス構造を起点として三次元ネットワークを形成することにより、冷却ゲル化特性を示すものである。ゼラチンの原料としては、豚皮、豚骨、牛皮、牛骨、魚鱗・魚皮等を原料とするコラーゲンより得られるゼラチンを用いることができる。さらに、ゼラチンの種類としては特に制限が無いが、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチンのアミノ基を全てまたは部分的に封鎖したいわゆる誘導体ゼラチンも使用することができる。
本発明に用いるゼラチンは、分子量10,000〜1,000,000のものを用いることができる。尚、ゼラチンにはアミノ基が存在することは広く知られており、本発明に用いるゼラチンは、Cl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいてもよい。ゼラチンは温水に溶かして添加することが好ましい。
ゼラチンとしては、新田ゼラチン(株)製ゼラチン(商品名:MJ、R、APH-200等)、(株)ニッピ製ゼラチン(商品名:DP、DG、DB、MAX-F等)、ゼライス(株)製ゼラチン(商品名:A-U、AU-P、AU-G、AU-S等)などがある。
本発明の受容層(C)における冷却ゲル化剤(b)の含有量は、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、受容層(C)を形成するために用いられる受容層形成用塗工液に所望の、表面張力、粘度特性等を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。このような理由から冷却ゲル化剤(b)は、受容層(C)中に2〜30質量%含有されることが好ましく、2〜25質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。冷却ゲル化剤(b)の含有比が2質量%未満であると、例えば、受容層形成用塗工液を基材シート(A)上に塗布・乾燥する際に、ムラなどが生じやすくなる場合があり、一方、30質量%を超えると、画像形成の際に染料の染着性を低下させ、画像濃度が低下する場合がある。
(1−3)離型剤(c)
受容層(C)には、上記のスチレン−アクリル系共重合体(a)と冷却ゲル化剤(b)に離型剤(c)を含有させる。受容層(C)に離型剤(c)を添加することにより、熱転写受像シートを熱転写させる際に、熱転写シートとの融着を防ぐ効果がある。受容層(C)に用いられる離型剤(c)としては、従来公知の離型剤、例えば、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤(c)は変性シリコーンであり、具体的には、下記(イ)ないし(ヘ)に示すもの等が挙げられる。
(イ)変性シリコーンオイル側鎖型
(ロ)変性シリコーンオイル両末端型
(ハ)変性シリコーンオイル片末端型
(ニ)変性シリコーンオイル側鎖両末端型
(ホ)シリコーングラフトアクリル樹脂
(ヘ)メチルフェニルシリコーンオイル
変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。
離型剤(c)は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤(c)は、受容層(C)中に2〜30質量%含有されることが好ましく、2〜25質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。離型剤(c)の含有量が2質量%未満であると、熱転写受像シートを用いて印画物を作成する際に、熱転写シートと熱転写受像シートとが融着し、正常に印画できない虞があり、一方、30質量%を超えると、本発明の熱転写受像シートを用いて印画物を作成する際に、印画感度が低下する虞がある。
(1−4)その他の添加剤
上記以外に、本発明における受容層(C)に添加することができる任意の添加剤としては、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等を挙げることができる。
界面活性剤は、受容層(C)をスライドコート法等により形成する際に、疎水性化合物の分散性を向上する作用を有する。このような界面活性剤としては、リン酸エステル型界面活性剤等種々の界面活性剤を使用することができる。尚、界面活性剤の添加量は,上記作用を効果的に発揮させるために、固形分ベースで受容層(C)中に0.5〜3質量%程度含有されていることが望ましい。
(1−5)受容層(C)の成分、及び厚み
上記したように、受容層(C)には少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(b)2〜30重量%、及び離型剤(c)2〜30重量%含有されていることが好ましい。本発明に用いられる受容層(C)の厚みは、受容層形成樹脂の種類に応じて所望の画像濃度を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜15μmが更に好ましい。
(2)多孔質層(B)
本発明に用いられる多孔質層(B)は、基材シート(A)上に形成されるものであり、少なくとも中空粒子(d)および冷却ゲル化剤(e)を含み、本発明の熱転写受像シートを用いて熱転写シートから熱転写により画像を形成する際に、サーマルヘッドから受容層(C)に加えられた熱が、基材シート(A)側へ伝熱するのを抑制する断熱性とクッション性を有するものである。
本発明の熱転写受像シートに、このような多孔質層(B)を用いることにより、熱転写受像シートの印画特性をより優れたものとすることができる。
(2−1)中空粒子(d)
本発明に用いる中空粒子(d)は多孔質層(B)に断熱性とクッション性を付与する機能を有するものである。本発明に用いられる中空粒子(d)としては、多孔質層(B)に所望の断熱性およびクッション性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。従って、本発明に用いる中空粒子(d)は発泡粒子もしくは非発泡粒子であってもよく、また、独立発泡粒子もしくは連続発泡粒子であってもよい。更に、多孔質層(B)に用いる中空粒子(d)は、樹脂等から構成される有機系中空粒子もしくはガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよく、また、架橋中空粒子であってもよい。
中空粒子(d)を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
中空粒子(d)の平均粒径は、中空粒子(d)を構成する樹脂の種類等に応じて、多孔質層(B)に所望の断熱性およびクッション性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜15μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子(d)の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な多孔質層(B)を形成することが困難になる場合がある。これらの中空ポリマーは、中空率が30〜80%程度のものが好ましく、また中空率が2種以上のものを混合して使用することもできる。
本発明において、多孔質層(B)に含有される中空粒子(d)の量は、所望の断熱性およびクッション性を有する多孔質層を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば50質量%〜90質量%が好ましく、60質量%〜85質量%がより好ましい。前記中空粒子(d)の含有量が少なすぎると、多孔質層(B)における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、一方、含有量が多すぎると、接着性が低下するという不都合を生じる。
(2−2)冷却ゲル化剤(e)
多孔質層(B)に用いられる冷却ゲル化剤(e)は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、本発明の熱転写受像シートを、基材シート(A)上に冷却ゲル化剤を含有する水系の受容層(C)と多孔質層(B)とを含む複数の層を同時に形成できるので、例えばスライドコート法により高効率で製造するが可能になる。このような冷却ゲル化剤(e)としては、冷却ゲル化特性を備えるものであれば特に限定されるものではない。
多孔質層(B)に用いられる冷却ゲル化剤(e)は、前記受容層(C)に例示した冷却ゲル化剤(b)と本質的に同様であり、上記冷却ゲル化剤(b)の説明の項で記載したいずれであっても好適に用いることができる。また、多孔質層(B)に用いられる冷却ゲル化剤(e)としては、1種類の冷却ゲル化剤のみを用いてもよく、あるいは、2種類以上の冷却ゲル化剤を用いてもよい。
多孔質層(B)中に含有される冷却ゲル化剤(e)と中空粒子(d)との割合は、所望の断熱性とクッション性を有する多孔質層を形成し、多孔質層(B)に形成するために用いられる多孔質層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも、多孔質層(B)においては、冷却ゲル化剤(e)が、多孔質層(B)中で10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。冷却ゲル化剤(e)の含有量が10質量%未満であると、例えば、上記受容層形成用塗工液を上記基材シート(A)上に塗布・乾燥する際に、ムラなどが生じやすくなる場合があり、一方、50質量%を超えると、例えば、断熱性とクッション性が低下する虞がある。
(2−3)他の添加剤
本発明に用いられる多孔質層(B)は、少なくとも上記冷却ゲル化剤(e)および中空粒子(d)を含有するものであるが、必要に応じて任意の添加剤を含有させることができる。上記任意の添加剤として多孔質層(B)に含有させることができるものとしては、例えば、多孔質層形成用バインダー、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、分散剤等を挙げることができる。
上記多孔質層形成用バインダーとしては、通常、水系樹脂が用いられる。このような水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、又は特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。
(2−4)多孔質層(B)の空隙率、厚み等
本発明の熱転写受像シートを用いて画像を形成する際に、多孔質層(B)は、サーマルヘッドから受容層(C)に加えられた熱が、基材シート(A)側に伝熱される熱量を少なくする断熱性を有するものである。本発明に用いられる多孔質層(B)が備える断熱性は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。ここで、多孔質層(B)の断熱性は、例えば、多孔質層(B)の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。
また、上記多孔質層(B)の断熱性は、多孔質層(B)の空隙率によっても制御することができる。ここで、本発明に用いられる多孔質層(B)の空隙率は、15〜80%の範囲内であることが好ましい。なお、上記空隙率は、(中空粒子の空隙率)×(多孔質層(B)における中空粒子の含有率)で表される値を指すものとする。
本発明に用いられる多孔質層(B)の厚みは10μm〜100μmの範囲内が好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。また、上記多孔質層(B)の密度は、例えば0.1g/cm〜0.8g/cmが好ましく、0.2g/cm〜0.7g/cmがより好ましい。
本発明に用いられる多孔質層(B)は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。ここで、複数の層が積層された構成を有する多孔質層(B)としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。なかでも本発明に用いられる多孔質層(B)は、組成の異なる2層が積層された構成を有するものであることが好ましい。このような構成とすることにより、さらに機能的な多孔質層(B)を得ることが可能となる。
本発明に用いられる多孔質層(B)が2層構造である場合の一例としては、上記多孔質層(B)が、基材シート(A)側から、中空粒子(d1)を含有する多孔質層(B1)と、および上記中空粒子(d1)よりも中空率の小さな中空粒子(d2)を含有する多孔質層(B2)とが積層された構成を有するものを挙げることができる。上記多孔質層(B)としてこのような構成を有するものを用いることにより、印画時に、画像濃度ムラやハイライト部の白抜けを防止することができるという利点がある。
(3)基材シート(A)
本発明に用いられる基材シート(A)は、多孔質層(B)と受容層(C)を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、受容層(C)を保持するという役割を有するとともに、画像形成時に加えられる熱に耐え得るものであり、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材シートの材料は、熱転写受像シートの種類等に応じて適宜選択され、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを使用することができる。
また上記のプラスチックフィルムまたはシートやこれらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色フィルム、あるいは基材内部にミクロボイドを有するシート、他にコンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等も用いることができる。また、上記のシート等を任意に組み合わせた積層体も使用できる。代表的な例として、セルロース繊維紙と合成紙、セルロース繊維紙とプラスチックフィルムとの積層体があげられる。
また、上記の基材シートの表面および/または裏面に易接着処理した基材も使用できる。また上記基材シートの厚みは、上記紙製基材の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば80μm〜400μmが例示でき、この中でも100μm〜300μmが好ましく、100μm〜210μmがより好ましい。また、基材シートとその上に設けられる多孔質層(B)との密着性が乏しい場合には、その表面に易接着処理やコロナ放電処理が施されたものであることが好ましい。
(4)任意の層構成
本発明の熱転写受像シートは、少なくとも基材シート(A)、多孔質層(B)、及び受容層(C)がこの順に積層された積層シートであるが、必要に応じて他の任意の構成を有するものであってもよい。このような他の構成としては、例えば、多孔質層(B)と基材シート(A)との間に形成される下引き層(D)、多孔質層(B)と受容層(C)との間に形成されるプライマー層(E)を挙げることができる。以下、本発明に用いられるこれらの各層について説明する。
(4−1)プライマー層(E)
本発明に用いることのできるプライマー層(E)は、断熱層(B)と受容層(C)との間に形成されるものであり、本発明の熱転写受像シートの高温高湿度環境下における、染料の断熱層(B)側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。プライマー層(E)はプライマー層(E)を形成する熱可塑性樹脂(以下、プライマー層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤を主体とする層、及びポリビニリアルコール(PVA)等の水溶性ポリマーを主体とする層から形成することも可能である。プライマー層(E)を形成する水系の塗工液(以下、プライマー層形成塗工液ということがある。)には、上記プライマー層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等が含まれていてもよい。上記プライマー層(E)の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmが更に好ましい。
(4−2)下引き層(D)
本発明に用いることのできる下引き層(D)は、基材シート(A)と断熱層(B)との間に形成され、基材シート(A)と断熱層(B)との接着性を向上させる機能を有するものである。
下引き層(D)としては、基材シート(A)と断熱層(B)との密着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではないが、(i)下引き層を形成する樹脂(以下、下引き層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤と主体とする層から形成されるのが好ましいが、(ii)水溶性ポリマー等を用いることも可能である。
尚、下引き層(D)における(i)下引き層形成樹脂と冷却ゲル化剤、及び(ii)水溶性ポリマー等は、前記プライマー層(E)に記載した、プライマー層形成樹脂、冷却ゲル化剤、水溶性ポリマーとそれぞれ同様であるので、記載は省略する。
また、下引き層(D)には、上記下引き層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を配合することができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。また、上記下引き層(D)を形成する塗工液(以下、下引き層形成用塗工液ということがある)には、中空粒子を含有させることもできる。
〔2〕熱転写受像シートの製造方法
本発明の熱転写受像シートは、グラビア方式、カーテン方式、スライド方式などにより製造することが可能である。
本発明の熱転写受像シートは、上記したように、少なくとも多孔質層(B)、受容層(C)等をそれぞれ水系の多孔質層形成用塗工液、受容層形成用塗工液として、基材シート(A)上に同時に形成することができるので、上記製造法の中でもスライドコート法により製造することが好ましい。スライドコート法を採用することにより、製造が極めて容易で、高効率の製造が可能となる。以下に熱転写受像シートの製造方法の具体例として、スライドコート法について説明するが、スライドコート法の記載は、グラビア方式、カーテン方式にも応用することが可能である。
以下に本発明の熱転写受像シートの製造方法の具体例として、スライドコート法について説明する。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、(i)少なくとも多孔質層形成用塗工液、及び受容層形成用塗工液を含む複数の層を基材シート(A)上に同時に塗布する同時多層塗布工程、(ii)該基材シート(A)上に形成された複数の層からなる塗膜を冷却する冷却処理工程、及び(iii)該冷却処理工程において冷却され塗膜を、乾燥する乾燥工程、により製造することができる。
以下、上記の各工程について順に説明する。
(1)同時多層塗布工程
同時多層塗布工程は、上記したように、基材シート(A)上に少なくとも多孔質層形成用塗工液、及び受容層形成用塗工液を含む複数の層を同時に塗布する工程である。
(1−1)受容層形成用塗工液
同時多層塗布工程に用いられる受容層形成用塗工液は、少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)を含有するものである。ここで、同時多層塗布工程に用いられるスチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)については、上記「〔1〕熱転写受像シート、(1)受容層(C)」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程に用いられる受容層形成用塗工液は水系のものであることから、水系溶媒を用いる。ここで、同時多層塗布工程に用いられる「水系溶媒」とは、前記した通りである。
同時多層塗布工程に用いられる上記受容層形成用塗工液の粘度としては、該工程において基材シート(A)上に同時に塗布される他の塗工液と混合しない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも該工程においては、40℃において、1mPa・s〜50mPa・sの範囲内が好ましく、5mPa・s〜50mPa・sがより好ましく、7mPa・s〜40mPa・sが更に好ましい。
尚、本発明において、受容層形成用塗工液等の粘度は、例えば、小型振動式粘度計(VIBRO VISCOMETER CJV5000, A&D社製)を用いて測定することができる。同時多層塗布工程に用いられる受容層形成用塗工液の固形分濃度としては、粘度を所望の程度にできる範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも10質量%〜50質量%の範囲内、なかでも10質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶液の粘度が低下し、また乾燥時間が長くなり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇して塗工に不都合を生ずる。
また、上記受容層形成用塗工液中に含まれるスチレン−アクリル系共重合体(a)、冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)は、上記したように、乾燥後の受容層(C)中の成分がスチレン−アクリル系共重合体(a)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(b)2〜30重量%、及び離型剤(c)2〜30重量%含有されるように配合することが望ましい。冷却ゲル化剤(b)の含有比が2重量%未満では、例えば、上記受容層形成用塗工液を上記基材シート(A)上に塗布・乾燥する際に、ムラなどが生じやすくなる場合があり、また、30重量%を超えると、例えば、画像形成の際に染料の染着性を低下させ、画像濃度が低下する場合があるからである。
上記受容層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤(b)以外に、上記受容層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質、および界面活性剤等を挙げることができる。このような添加剤については、上記「〔1〕熱転写受像シート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(1−2)多孔質層形成用塗工液
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液は、少なくとも中空粒子(d)および冷却ゲル化剤(e)を含み、これらが水系溶媒に分散・溶解されたものである。
なお、上記多孔質層形成用塗工液に用いられる中空粒子(d)と冷却ゲル化剤(e)、及びこれらの配合割合については、上記「〔1〕熱転写受像シート、(2)多孔質層(B)」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。また、上記水系溶媒についても上記受容層形成用塗工液に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液の粘度は、同時多層塗布工程において基材シート(A)上に同時に塗布される他の塗工液と混合しない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも同時多層塗布工程においては、40℃において1mPa・s〜50mPa・sが好ましく、5mPa・s〜40mPa・sがより好ましい。また、20℃における粘度が0.5Pa・s以上であることが好ましく、1Pa・s以上であることが特に好ましい。
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液の固形分濃度は、粘度を上記した範囲内の調整できれば特に限定されるものではないが、10質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。前記固形分濃度が10質量%未満では、溶液粘度が低くなって塗工の際に不都合を生じ、また乾燥に時間がかかる、一方、50質量%を越えると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇して塗工の際に不都合が生ずる可能性がある。
さらに、上記多孔質層形成用塗工液に含まれる中空粒子(d)の固形分全体における割合は「〔1〕熱転写受像シート、(2)多孔質層(B)」の項に記載したと同様である
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液には、上記中空粒子(d)および冷却ゲル化剤(e)以外の他の添加剤が含まれていてもよい。このような他の添加剤としては、多孔質層形成用バインダー、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
ここで、これらの添加剤については上記「〔1〕熱転写受像シート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(1−3)基材シート(A)
同時多層塗布工程に用いられる基材シート(A)は、該工程おいて形成される塗膜を支持する機能を有するものである。同時多層塗布工程に用いられる基材シート(A)については、上記「〔1〕熱転写受像シート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(1−4)その他の層
同時多層塗布工程において、上記基材シート(A)上に、多孔質層形成用塗工液と受容層形成用塗工液に加えて、プライマー層形成用塗工液、及び/又は下引き層形成用塗工液を同時に塗布する場合、これらの塗工液が塗布時に互いに混合しないように、通常、隣接する塗工液間の表面張力の差が一定の範囲内となるように調整される。
(1−5)同時多層塗布方法
次に、基材シート(A)上に、多孔質層形成用塗工液、受容層形成用塗工液等を同時に塗布する方法について説明する。
同時多層塗布工程において上記基材シート(A)上に、受容層(C)を含む複数の層を同時に形成する方法としては、各層の塗工液の表面張力と粘度を調製して、各層が交じり合うことなく、均一な厚みで各層を形成する塗工液を上下に重ねた状態のままスライドさせて塗布するスライドコート法により行うことが出来る。
平滑透明な連続塗膜を形成するための造膜温度は30℃〜90℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、45℃〜75℃が更に好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加することもできる。
スライドコート法とは、例えば、熱転写受像シートの各層を構成する複数の塗工液を上下に重ねた状態のまま、バックロールに巻きつけた基材シート(A)に塗布する方法である。塗工品質の観点から見ると、スライドコート法は、膜厚均一性に優れ、回転部がないため塗工液の飛散による品質不良が発生しにくく、摩擦部がないため塗布部での原反切れの発生によるロスが発生しにくいという利点を有する。また、塗工液のハンドリング性の観点から見ると、スライドコート法は、塗工液の濃度、粘度、組成が変化しにくく、反応性が高く経時的に変化する塗工液を用いることができ、さらに塗工液を使い切ることができることから無駄が生じにくく、また、高固形分塗工液を用いることができるため、溶媒使用量を削減することができるという利点を有する。
同時多層塗布工程において、上記基材シート(A)上に複数の層を同時に塗布する態様としては、(i)基材シート(A)上に多孔質層(B)、受容層(C)、(ii)基材シート(A)上に下引き層(D)、多孔質層(B)、受容層(C)、(iii)基材シート(A)上に多孔質層(B)、プライマー層(E)、受容層(C)、(iv)基材シート(A)上に下引き層(D)、多孔質層(B)、プライマー層(E)、受容層(C)をそれぞれ同時に塗布する態様を挙げることができる。
同時多層塗布工程においては、上述した態様のなかでも、前記(iv)基材シート(A)上に下引き層(D)、多孔質層(B)、プライマー層(E)、受容層(C)をそれぞれ同時に塗布する態様が好ましい。このような態様によれば各層の密着性に優れ、印画感度に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
(2)冷却処理工程
次に、本発明に用いられる冷却処理工程について説明する。該工程は、上記同時多層塗布工程において基材シート(A)上に形成された複数の塗膜を冷却する工程である。
冷却処理工程において基材シート(A)上に形成された複数の塗膜を冷却する方法としては、上記塗膜を所望の温度に冷却できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、冷却された基材シート(A)上に、上記塗膜を塗布する方法、上記基材シート(A)を搬送するロールの表面を冷却し、基材シート(A)を介して上記塗膜を冷却する方法、上記塗膜に冷風を吹き付ける方法、上記塗膜が形成された基材シート(A)を所望の温度以下の室温に調整された冷却ゾーンを通過させる方法等を挙げることができる。なかでも該工程においては冷却された基材シート(A)上に、上記塗膜を塗布する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば上記基材シート(A)上に上記塗膜が塗布された直後に、当該塗膜を強制冷却することができるため、上記塗膜を構成する複数の層が混合することを防止できる。
冷却処理工程において、上記塗膜を冷却する温度としては、上記塗膜を構成する各層の粘度を、各層が互いに混合しない程度に向上させることができる範囲であれば特に限定されるものではない。また、冷却処理工程における冷却温度は、上述した冷却ゲル化剤の種類にも依存するものである。なかでも該工程においては、冷却温度は0℃〜30℃が好ましく、0℃〜25℃がより好ましく、さらに3℃〜20℃が特に好ましい。
(3)乾燥工程
次に、本発明に用いられる乾燥工程について説明する。該工程は上記冷却処理工程において冷却された複数の塗膜を、乾燥する工程である。該工程で、上記塗膜が乾燥されることにより、これらの塗膜を硬化させ、離型性に優れる受容層(C)を得ることができる。
乾燥工程において、上記冷却処理工程において冷却された塗膜を乾燥する温度は、30℃〜90℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。なお、該工程において上記塗膜を乾燥する方法としては、上記塗膜中に残留する水系溶媒を所定の時間内に所定量以下にできる方法であれば特に限定されるものではない。このような乾燥方法については、一般的に塗膜を乾燥する方法として公知の方法を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
試料の調製、及び受像シート等の評価方法について以下に記載する。尚、表記の重量部は固形分で記載し、必要に応じて純水にて希釈した。
(1)試料の調製方法
スチレン−アクリル系共重合体の調製方法
実施例1、比較例1で使用した共重合体はエマルジョン1として、実施例2〜6、比較例2〜3でそれぞれ使用した共重合体は表1に示す通りエマルジョン2〜4として、下記の方法により調製した。
(イ)スチレン−アクリル系共重合体のエマルジョン1の合成
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン129g、エチルアクリレート24g、ラウリルアクリレート93g、ダイアセトンアクリルアミド6g、アクリル酸1.8g及び乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製)1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、前記モノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに8時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#100メッシュ(日本織物)にてろ過し、エマルジョンを得た。ガラス転移温度(Tg)は59℃であった。このエマルジョンに、アジピン酸ジヒドラジド3.5gを添加し、実施例1のエマルジョン1とした。尚、表1中の「共重合体のモノマー割合(モル%)」における「その他」にはアクリル酸と乳化剤の添加量を示す。
また、スチレン、エチルアクリレートおよびラウリルアクリレート、及びダイアセトンアクリルアミドの分子量と反応に使用した量から、それぞれのモル%は、62モル%、12モル%、22モル%、および2モル%となる。
(ロ)エマルジョン2〜4の合成
表1に示す共重合体形成モノマー配合割合とした以外は、上記エマルジョン1と同様に共重合反応を行い、アジピン酸ヒドラジドを添加し、エマルジョン2〜4を合成した。尚、比較例1〜3で使用した際には、ジヒドラジド化合物を添加しなかった。
(2)共重合体の物性評価方法
表1に記載の樹脂のガラス転移温度の測定(Tg)は、それぞれ以下の方法によって測定した。
下記のFoxの式から、各共重合成分の重量分率Wに対応するTgを求めて、計算からTgを求めた。
<Foxの式>
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・
(W1+W2+W3+・・・=1)
(3)熱転写受像シートの評価
作製した熱転写受像シートの評価方法は、以下の方法によった。
(イ)異常転写有無の評価方法
あらかじめ異常転写が起こらない条件下で連続に熱転写を行い、印画前のヘッド温度が40℃になるまで温められた昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)を用いて、作製した熱転写受像シートに、黒ベタ画像を印画し、異常転写(熱転写シートと熱転写受像シートとが剥がれないことによる印画不良)の発生の有無を確認した。
<評価基準>
○:異常転写が発生しない。
×:異常転写が発生する。
(ロ)画像濃度評価方法
作製した熱転写受像シートを昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)にて、RGB値が15*n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画し、光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )による光学反射濃度が最大となる値を測定した。
(ハ)耐光性評価方法
上記の印画条件で得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性の評価を行った。
(i)耐光性評価の条件
・照射試験器:アトラス社製Ci4000
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA
外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:300(kJ/m2)−420(nm)での積算値
(ii)耐光性評価
次に、上記の耐光性条件の照射前後の光学反射濃度の変化を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino)により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、L、a,bを算出し、下記の色相変化式により色相変化(△E)を算出した。
(色相変化式)
△a=保存後のa−保存前のa
△b=保存後のb−保存前のb
としたとき、
△E=(△aの2乗+△bの2乗)の平方根
(ニ)剥離力評価方法
昇華型熱転写テストプリンター(システムズ・インテリジェンス・プロダクツ社製)を用いて、作製した熱転写受像シートに幅3インチの255階調のイエローベタ画像を印画し、イエローリボンと受像紙を密着させたまま、テンシロン万能試験機(型番:RTG−1250)にて、下記条件にて剥離試験を行い、その剥離力の積分平均加重を求めた。同様に、レッドベタ画像(剥がすリボンはマゼンタ)、黒ベタ画像(剥がすリボンはシアン)も同様に測定した。
(i)印画条件
サーマルヘッド:抵抗5048Ω、画素密度300dpi
印画速度:1.5ms/line
印加電圧:24V
パルスデューティ:95%
(ii)剥離試験条件
温度:室温(23℃60%RH)
ロードセル:500N
剥離角度:180°
測定点:10mm〜50mm
剥離速度:200mm/min
[実施例1]
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート1作製方法
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙(株)製、商品名:STF−150)を用い、下記組成の多孔質層形成用塗工液1、受容層形成用塗工液1を50℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ25μm、5μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却・ゲル化させ、50℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート1を得た。
(i)多孔質層形成用塗工液1
・中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP−91)(固形分として) 70重量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として) 30重量部
・ 界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440) 0.15重量部
多孔質層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として17質量%となるように水にて希釈した。
(ii)受容層形成用塗工液1
・エマルジョン1(固形分として) 90重量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として) 10重量部
・シリコーン系離型剤(信越化学工業(株)製、商品名:KF615A) 10重量部
・界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440) 3重量部
受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として28質量%となるように水にて希釈した。
(2)熱転写受像シートの評価
上記で作製した熱転写受像シートに付いて、(i)離型性評価、(ii)画像濃度評価、及び(iii)耐光性評価を行った。
評価結果をまとめて表1に示す。
[実施例2〜6]
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート2〜6の作製
実施例2〜6において、実施例1の受容層形成用塗工液1で使用したエマルジョン1から得られた共重合体の代わりに、表1に示す前記エマルジョン2〜4から得られる共重合体をそれぞれ使用した以外は実施例1に記載したと同様に受容層形成用塗工液2〜6を調製した。
次に、実施例1の受容層形成用塗工液1の代わりに、実施例2〜6において受容層形成用塗工液2〜6を使用した以外は実施例1と同様にして熱転写受像シート2〜6を作製した。
(2)熱転写受像シート2〜6の評価
実施例1で熱転写受像シート1について行ったと同様に熱転写受像シート2〜6について評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
[比較例1〜3]
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート7〜9の作製
比較例1〜3において、アジピン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例1〜3の受容層形成用塗工液1〜3で使用したエマルジョン1〜3の合成と同様にしてそれぞれエマルジョン5〜7を得た。該エマルジョン5〜7から得られる共重合体をそれぞれ使用した以外は実施例1〜3に記載したと同様に受容層形成用塗工液7〜9を調製した。
次に、実施例1〜3の受容層形成用塗工液1〜3の代わりに、比較例1〜3において受容層形成用塗工液7〜9をそれぞれ使用した以外は実施例1〜3と同様にして熱転写受像シート7〜9を作製した。
(2)熱転写受像シート7〜9の評価
実施例1で熱転写受像シート1について行ったと同様に熱転写受像シート7〜9について評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 0005234276

Claims (6)

  1. 基材シート(A)上に、少なくとも多孔質層(B)と、加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)がこの順に形成された熱転写受像シートであって、
    受容層(C)が少なくともスチレン、ダイアセトンアクリルアミド、及びダイアセトンアクリルアミド以外の1種又は2種以上のアクリル系化合物を含むモノマー成分を共重合反応させた後、造膜の際にジヒドラジド化合物を存在させることにより形成された架橋構造を含むスチレン−アクリル系共重合体(a)、ゼラチンを含む冷却ゲル化剤(b)、及び離型剤(c)を含有しており、
    該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレンに由来する単位が55〜80モル%であり、ダイアセトンアクリルアミドに由来する単位が2〜10モル%であり、
    かつ受容層(C)における前記架橋構造が、該スチレン−アクリル系共重合体(a)中のダイアセトンアクリルアミド由来の単位中のケトン基同士が、前記ジヒドラジド化合物構造中の2つのアミノ基とそれぞれ脱水反応で架橋された構造であることを特徴とする、
    熱転写受像シート。
  2. 前記ジヒドラジド化合物がイソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、及び1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジドから選択された1種又は2種以上から選択されたヒドラジド化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記スチレン−アクリル系共重合体(a)を形成する際に、共重合反応溶液に添加されるジヒドラジド化合物量がダイアセトンアクリルアミドの0.3〜1.5モル倍であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
  4. 前記受容層(C)に含有される冷却ゲル化剤(b)がゼラチンである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
  5. 前記多孔質層(B)が少なくとも中空粒子(d)と冷却ゲル化剤(e)とを含有していることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
  6. 前記受容層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(b)2〜30重量%、及び離型剤(c)2〜30重量%含有していることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
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