JP2014198420A - 熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ブロッキング性を維持しつつ、高温多湿環境下における印画時の離型性を改善するとともに、印画物の色相を調節できる、熱転写受像シートおよびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明による熱転写受像シートは、基材と、該基材上に受容層とを有してなり、該受容層が、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に対して1〜10質量%のトリアジン系硬膜剤と、ゼラチンまたはアクリル樹脂と、を含んでなるものである。本発明の組成を満たす熱転写受像シートを用いることで、耐ブロッキング性を維持しつつ、高温多湿環境下における印画時の離型性を改善するとともに、印画物の色相を調節して青味付けすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写受像シートおよびその製造方法に関し、より詳細には、基材と、基材上に受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートおよびその製造方法に関する。
従来、種々の印字方法が知られているが、その中でも熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)は、昇華性染料を色材としているため、濃度階調を自由に調節でき、中間色や階調の再現性にも優れ、銀塩写真に匹敵する高品質の画像を形成することができる。
この熱拡散型転写方式とは、色素(昇華性染料)を含有する熱転写インクシートと熱転写受像シートとを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の色素を受像シートに転写して画像情報の記録を行うものである。このような熱拡散型転写方式が普及するなかで、印画速度の高速化が進んでおり、従来の熱転写インクシートと熱転写受像シートを用いて従来の熱エネルギーを印画しても十分な発色濃度を得られない等の問題が生じている。
さらに、熱拡散型転写方式では、その他の種々の問題も存在している。例えば、受像シートの離型性不足に起因して、印画の際にインクシートが受像シートの受容層表面に貼り付き、印画後にインクシートを画像受容層から剥離する際に、剥離音の発生、走行不良、および画像上の剥離線の発生等の問題が生じている。
一般的に、離型性を向上させるためには、樹脂のガラス転移温度(Tg)を上げる等の方法が存在するが、併せて濃度および/または耐光性が低下するという問題が存在する。そこで、少なくとも1種のパラフィンワックス分散物および塩化ビニル系ラテックスを含有させた受容層を有する熱転写受像シートを用いることが提案されているが、高温多湿環境下での印画においては、剥離音が激しく、組成変更によっては剥離線が発生するなどの課題があった(例えば、特許文献1を参照)。
熱転写方式を含めたハードコピーにおいては、シャドー部の画像濃度をできるだけ高く、逆に、ハイライト部画像濃度を増大させるためには、少なくとも1種のパラフィンワックス分散物および塩化ビニル系ラテックスを含有させた受容層を有する熱転写受像シートを用いることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
また、光沢性向上や滲み防止のために、最表面層に一次粒子径が20nm以下のシリカ微粒子を含有させたインクジェット記録媒体が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2008−6789号公報 特開2011−073340号公報 特許第4357403号
しかしながら、特許文献2で提案されているように、単に塩化ビニル系ラテックスにパラフィンワックスを添加しただけでは、ハイライト部の画像濃度も増加し、軟調な自然画を仕上げることはできなかった。また、特許文献3では、受容層の成分を調節して、印画物の色相を調節することは行われていない。したがって、今尚、高温多湿環境下における印画時の離型性を改善し、作製した印画物の濃度を向上させるとともに、印画物の色相を調節できる、熱転写受像シートの開発が切望されている。
本発明は上記の背景技術および新たに知見した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐ブロッキング性を維持しつつ、高温多湿環境下における印画時の離型性を改善するとともに、印画物の色相を調節できる、熱転写受像シートおよびその製造方法を提供することにもある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の層構成を有する熱転写受像シートにおいて、受容層に、特定のバインダー樹脂と、特定のポリエステル樹脂とを組み合わせて含有させることで、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
基材と、該基材上に受容層とを有してなる、熱転写受像シートであって、
該受容層が、
バインダー樹脂と、
該バインダー樹脂に対して1〜10質量%のトリアジン系硬膜剤と、
ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂と、
を含んでなる、熱転写受像シートが提供される。
本発明の態様においては、上記のバインダー樹脂が、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、および塩酢ビ系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の態様においては、上記のゼラチンの含有量が、上記のバインダー樹脂に対して、1〜10質量%であることが好ましい。
本発明の態様においては、上記のアクリル樹脂の含有量が、上記のバインダー樹脂に対して、10〜50質量%であることが好ましい。
本発明の態様においては、上記の基材と上記の受容層の間に、中空層をさらに有してなることが好ましい。
本発明の他の態様によれば、
基材と、該基材上に受容層とを有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、
バインダー樹脂と、該バインダー樹脂に対して、1〜10質量%のトリアジン系硬膜剤と、ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂とを含んでなる水系分散塗布液を用いて、受容層を形成する工程
を含んでなる、熱転写受像シートの製造方法が提供される。
本発明の熱転写受像シートによれば、耐ブロッキング性を維持しつつ、高温多湿環境下における印画時の離型性を改善するとともに、印画物の色相を調節して青味付けすることができる。
本発明による熱転写受像シートの一実施形態を示した模式断面図である。 本発明による熱転写受像シートの他の実施形態を示した模式断面図である。
熱転写受像シート
本発明の熱転写受像シートは、基材と、基材上に受容層とを有してなり、受容層が、特定のバインダー樹脂と、特定のポリエステル樹脂とを含んでなるものである。好ましい態様では、熱転写受像シートは、基材と受容層の間に中空層をさらに有してもよく、中空層と受容層の間にプライマー層や中間層をさらに有してもよく、受容層と反対側の面に裏面層をさらに有してもよい。以下、本発明の熱転写受像シートの構成を、図面を参照しながら説明する。
本発明の一態様によれば、基材上に受容層を有してなる熱転写受像シートが提供される。また、本発明の他の態様によれば、基材上に、2層の中空層と、プライマー層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートが提供される。具体的に、本発明による熱転写受像シートの一実施形態の模式断面図を図1および図2に示す。図1に示される熱転写受像シート1は、基材2と、基材2上に形成された受容層3とを有してなるものである。図2に示される熱転写受像シート10は、基材11と、該基材11上に、中空層A(下層)12と、中空層B(上層)13と、プライマー層14と、受容層15とをこの順に有してなるものである。以下、本発明の熱転写受像シートを構成する各層について説明する。
基材
本発明における基材は、中空層と、受容層とを保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
このような基材の材料としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、レジンコート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルション含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用でき、特に限定されない。また、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。本発明においては、市販の基材を用いることもでき、例えば、RCペーパー(三菱製紙(株)製、商品名)等が好ましい。なお、基材厚みは、熱転写受像シートに要求される強度や耐熱性等や、基材として採用した素材の材質に応じて、適宜変更可能であり、具体的に、基材の厚みは、50μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
受容層
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。受容層は、バインダー樹脂と、特定量の特定の硬膜剤と、ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂とを含むものである。本発明においては、バインダー樹脂と、特定量の特定の硬膜剤と、ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂とを組み合わせて含むことで、イエロー色素の染着を妨げて、色相を調節して青味付けすることができる。また、受容層は、ゼラチンを含むことで耐ブロッキング性を向上させることができ、アクリル樹脂を含むことで離型性をより向上させることができる。好ましい態様によれば、受容層は、シリコーン離型剤、ウレタン会合型増粘剤、およびワックス添加剤をさらに含んでもよく、界面活性剤等を各種目的に応じてさらに含んでもよい。
受容層に含有されるバインダー樹脂としては、塩ビ系樹脂が好ましく、塩ビ系樹脂の中では、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、および塩酢ビ系樹脂からなる群から選択される1種以上が好ましく、特に好ましくは、塩酢ビ系樹脂である。
受容層に含有される硬膜剤としては、トリアジン系硬膜剤が用いられる。このような硬膜剤としては、クロロトリアジン系硬膜剤を用いることが好ましい。具体的には、特開平1−216340に例示される下記一般式(II)と(III)の化合物が好ましく用いられる。
{一般式(II)中、RおよびRは、それぞれ独立して、塩素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、−OM’基(ここで、M’は1価の金属原子である)、−NR基(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基である)、または−NHCOR基(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、またはアリール基である)を表す。ただし、RおよびRが同時に塩素原子となることはない。}
{一般式(III)中、RおよびRは、それぞれ独立して、塩素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、または−OM’基(ここで、M’は1価の金属原子である)を表す。Q’およびQ’’は、それぞれ独立して、−O−、−S−、または−NH−を示す置換基を表し、Lはアルキレン基またはアリーレン基を表す。pおよびqは、それぞれ独立して、0または1を表す。}
一般式(II)中、RおよびRの表すアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等であり、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等である。さらに、RおよびRの表す−OM’基のM’は、例えば、ナトリウム原子またはカリウム原子である。また、一般式(II)で示されるクロロトリアジン系硬膜剤(シアヌルクロライド系硬膜剤)については、米国特許3645743号、特公昭47−6151号、特公昭47−33380号、特公昭51−9607号、特開昭48−19220号、特開昭51−78788号、特開昭52−60612号、特開昭52−128130号、特開昭52−130326号、特開昭56−1043号に記載があり、その中の前記基準に照らして使用することができる。
一般式(III)中、RおよびRの表すアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等であり、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等である。さらに、RおよびRの表す−OM’基のM’は、例えば、ナトリウム原子またはカリウム原子である。また、Lの表すアルキレン基は、例えば、−CH−、−(CH−、または−(CH−を示す置換基等であり、またアリーレン基は、例えば、p−、o−、あるいはm−フェニレン基等である。また、一般式(III)で示されるクロロトリアジン系硬膜剤(シアヌルクロライド系硬膜剤)については、カナダ特許895808号、特公昭58−33542号、特開昭57−40244号に記載があり、その中の前記基準に照らして使用することができる。
トリアジン系硬膜剤の含有量は、受容層のバインダー樹脂の固形分質量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。トリアジン系硬膜剤の含有量が上記範囲内であれば、色相を調節してより青味付けすることができる。また、塗工液の物性を安定させることができる。
ゼラチンの含有量は、受容層のバインダー樹脂の固形分質量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。ゼラチンの含有量が上記範囲内であれば、色相を調節してより青味付けすることができる。
アクリル樹脂の含有量は、受容層のバインダー樹脂の固形分質量に対して、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは30〜50質量%である。アクリル樹脂の含有量が上記範囲内であれば、色相を調節してより青味付けすることができる。
本発明で用いられるアクリル樹脂は、アクリル酸、及び/又はメタクリル酸を含む。これによって、トリアジン構造を有する硬膜剤と反応することができ、青味の好ましい受像シートを得ることができる。
共重合可能なモノマーは、スチレン系化合物、アクリル系化合物等を挙げることができる。アクリル系化合物としては、必須成分であるアクリル酸、及び/又はメタクリル酸の他、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート等が好ましいが、モノマーとして長鎖のアクリル系化合物が使用されている場合、耐光性が向上する傾向がある。
アクリル酸、及び/又はメタクリル酸の共重合組成は、アクリル樹脂中にモル比で好ましくは0.1〜10%であり、より好ましくは0.5〜5%である。アクリル樹脂は、スチレン系化合物とアクリル系化合物の共重合体であることが好ましい。アクリル樹脂は、スチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])が好ましくは60〜80/40〜20である。アクリル樹脂のスチレン単位が60モル%以上で比較的高いガラス転移温度(Tg)となるので、このような共重合体を含有する受容層は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上する。一方、前記スチレン単位が80モル%以下であれば、アクリル系化合物単位の減少により染料染着性が低下するのを防いで、画像濃度が低下するのを抑制することができる。このため、前記モル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は60〜70/40〜30であることがより好ましい。
アクリル樹脂が平滑透明な連続塗膜を形成するための最低温度(最低造膜温度(MFT))は30℃〜90℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、45℃〜75℃が更に好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加することもできる。アクリル樹脂はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。前記アクリル樹脂は数平均分子量(ポリスチレン換算)150,000以上が好ましい。前記分子量が150,000以上では、熱転写時に離型性が低下するのを抑制するという効果が得られる。尚、アクリル樹脂の数平均分子量(ポリスチレン換算)の上限は、重合条件等から実用上500,000程度である。
なお、本発明はいかなる理論にも拘束されるものではないが、印画物の色味を調節できるメカニズムとしては、およそ以下のようなものではないかと推察される。もっとも、本発明が以下の説明によって限定されることがあってはならないことは言うまでもない。本発明においては、受容層がある程度硬化していることによって、低濃度のイエロー染料が受容層に移行し難くなり、白ベタ印画物の黄色味が抑えられると考えられる。本発明者らは、硬化樹脂を含む受容層であればこの傾向が見られるが、ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂と、トリアジン系硬膜剤との組み合わせにより、濃度の低下を抑えながら色味を調整できるという驚くべき効果を知見した。このような本発明によれば、濃度の低下を抑えながら、白ベタ印画物の色味を青味付けすることができる。
受容層に含有されるシリコーン離型剤としては、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、およびアミド変性シリコーン等のシリコーンオイルが挙げられる。本発明においては、これらを混合したり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。このようなシリコーン離型剤を用いることで、印画時に熱転写インクシートと熱転写受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、エポキシ変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが特に好ましい。
本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンは、粘度が、好ましくは100〜10000mm/s、より好ましくは300〜9000mm/s、さらに好ましくは500〜6000mm/s、さらにより好ましくは、1000〜3000mm/sである。また、エポキシ変性シリコーンは、エポキシ当量が、好ましくは50〜2000、より好ましくは80〜1800、さらに好ましくは100〜1000である。なお、粘度は、JIS Z 8803:液体の粘度−測定方法の各種方法により測定することできる。また、エポキシ当量(g/eq)とは、官能基一個当たりのエポキシ変性シリコーンの分子量の値のことである。粘度が上記範囲内にあり、および/またはエポキシ当量が上記範囲内にあるエポキシ変性シリコーンを用いることで、印画時の離型性や印画物の耐熱・耐湿性をより向上させることができる。
シリコーン離型剤の含有量は、受容層のバインダー樹脂の固形分質量に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%である。シリコーン離型剤の含有量が上記範囲内であれば、印画時の離型性や印画物の耐熱・耐湿性をより向上させることができる。本発明においては、市販の離型剤を用いることもでき、X22−3000TおよびKF410(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。このようなエポキシ変性シリコーンを用いることが、上記のバインダー樹脂との組み合わせの観点から好ましい。また、使用可能な市販のポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、KF351、KF352、KF354、KF615、X−22−6008、KF−6004(以上信越化学)等があげられる。
受容層に含有されるウレタン会合型増粘剤は、固形分濃度が30%の際に、B型粘度計を用いて、JIS Z8803に準拠して、液温25℃で測定した時の粘度が、好ましくは1000〜100000mPa・sであり、より好ましくは2000〜60000mPa・sであることが好ましい。さらに、粘度比が、下記式(1):
粘度比=V30,6/V30,60 (1)
(式中、V30,6はB型粘度計を用いて、JIS Z8803に準拠して、液温25℃で回転数6rpmの時の粘度(mPa.s)を示し、V30,60はB型粘度計を用いて、JIS Z8803に準拠して、液温25℃で回転数60rpmの時の粘度(mPa.s)を示す)
で表され、好ましくは2.0〜5.0であり、より好ましくは2.0〜4.5であることが好ましい。なお、この粘度比は、一般に、チキソトロピーインデックス(TI)と呼ばれ、タレ難さと相関する指標である。粘度および粘度比が上記範囲程度のウレタン会合型増粘剤を用いることで、受容層用塗布液にレベリング性の粘性を与え、面質を向上させるのと同時に、粒子の状態で存在しているバインダー同士を結着させ、膜を形成しているのに近い状態となり、画像印画時の熱融着を抑えることができる。
ウレタン会合型増粘剤の含有量は、受容層のバインダー樹脂の固形分質量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。ウレタン会合型増粘剤の含有量が上記範囲内であれば、受容層の膜形成を十分にでき、画像印画時の熱融着を抑えることができる。本発明においては、市販のウレタン会合型増粘剤を用いることもでき、例えば、UH−450、UH−526、UH−530、UH−540、UH−550(以上、ADEKA(株)製)、SNシックナーA812(サンノプコ(株)製)等が好ましい。
受容層に含有されるワックス添加剤としては、カルナバワックスやパラフィンワックスが挙げられ、これらを単独で用いても、混合して用いてもよい。本発明において、カルナバワックスとは、天然のカルナバワックスならびにその精製物および誘導体を含み、添加剤等により改質されたものも含むものである。好ましい態様によれば、カルナバワックスの融点は80〜90℃であり、酸価は10mg・KOH/g以下であり、けん化価は78〜88mg・KOH/gである。また、パラフィンワックスとは、天然のパラフィンワックスならびにその精製物および誘導体を含み、添加剤等により改質されたものも含むものである。パラフィンワックスの融点は、好ましくは40〜105℃であり、より好ましくは40〜90℃であり、さらに好ましくは40〜75℃である。
受容層に含有されるエポキシ架橋剤としては、エポキシ当量が、好ましくは300以下、より好ましくは100以上200以下であり、官能基数が、好ましくは2以上、より好ましくは4以上10以下であるものが用いられる。このようなエポキシ架橋剤を用いることで、熱転写受像シートの離型性や滲み耐性をより向上させるとともに、印画物の色相をより調節し易くなる。
また、2種以上のエポキシ架橋剤を併用して用いることも好ましい。この様なものとしては、例えば、官能基数が4以上10以下であるエポキシ架橋剤と、官能基数が2以上4未満であるエポキシ架橋剤とを併用することができる。また、例えば、エポキシ当量が100以上200以下であるエポキシ架橋剤と、エポキシ当量が200以上300以下であるエポキシ架橋剤とを併用することができる。これらのようなエポキシ架橋剤を併用することにより、熱転写受像シートの離型性や滲み耐性をさらに向上させることができる。
なお、エポキシ当量(g/eq)とは、官能基一個当たりのエポキシ架橋剤の分子量の値のことである。また、官能基数とは、エポキシ架橋剤1分子中のエポキシ基の数のことである。つまり、エポキシ当量が小さく、官能基数が多いものほど架橋剤としての架橋効果が高いといえる。
エポキシ架橋剤架橋剤の含有量は、受容層のバインダー樹脂の固形分質量に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜15質量%であり、さらにより好ましくは1〜10質量%である。架橋剤の含有量が上記範囲程度であれば、熱転写受像シートの離型性や滲み耐性をより向上させるとともに、印画物の色相をより調節し易くなる。本発明においては、市販のエポキシ架橋剤を用いることもでき、例えば、EX512、EX521、EX851、EX832(以上、ナガセケムテックス(株))、およびCR5L(DIC(株))等が挙げられる。
その他の層
本発明の熱転写受像シートは、受容層以外の他の層をさらに有してもよい。好ましい態様では、熱転写受像シートは、受容層側に、中空層、プライマー層、および中間層等のその他の層をさらに有することができる。また、受容層と反対側に、裏面層をさらに有することができる。
中空層
本発明における中空層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。好ましい態様では、中空層は、中空粒子を含むものであり、親水性バインダーやその他の添加剤をさらに含んでもよい。好ましい態様によれば、中空層は2層以上からなるものであってもよい。中空層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備える。ここで、中空層のクッション性の程度は、熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、中空層のクッション性の程度についても、例えば、中空層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。中空層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、中空層の密度は、例えば0.1g/cm〜0.8g/cmの範囲内、なかでも0.2g/cm〜0.7g/cmの範囲内であることが好ましい。
本発明で用いる中空粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の平均粒子径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を中空層に与えることができる。本発明において、中空粒子の体積平均粒子径は、コールター法(Sysmex FPIA−3000 マルバーン社製)等の従来公知の方法により測定することができる。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を中空層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、ローペイクHP−1055、ローペイクHP−91、ローペイクOP−84J、ローペイクウルトラおよびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、二ポールMH−5055(日本ゼオン(株))、SX8782、SX866(JSR(株))等が好ましい。
プライマー層
本発明におけるプライマー層は、中空層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の中空層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。好ましい態様では、プライマー層は、中空粒子、樹脂、および親水性バインダーを含むものであり、樹脂としては、アクリル系樹脂を含むものが好ましい。プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明において、アクリル系樹脂とは、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体、およびアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を含むものである。
本発明の好ましい態様によれば、アクリル系樹脂は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体であるのが好ましい。アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーとしては、例えば、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート等、好ましくは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、およびラウリルメタクリレート等を挙げることができる。他のモノマーとしては、例えば、芳香族炭化水素、アリール基含有化合物、アミド基含有化合物、および塩化ビニル等、好ましくは、スチレン、ベンジルスチレン、フェノキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、およびメタクリルアミド等を挙げることができる。本発明においては、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートと、芳香族炭化水素、アリール基含有化合物、およびアミド基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を用いることが特に好ましい。上記のようなモノマーを共重合させることで、濃度および離型性を向上させることができる。なお、2種以上のアクリル系樹脂を混合して用いてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、上記の中空層やプライマー層等に含まれる親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、CLV、およびN1236(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
中間層
本発明においては、中空層とプライマー層の間やプライマー層と受容層の間に少なくとも1層の中間層を設けてもよい。中間層を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、層間接着、白色付与、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。中間層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、中間層に、蛍光増白剤、無機微粒子、中空微粒子、および導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
裏面層
本発明における裏面層は、インクジェット方式やドットインパクト方式、筆記具等で使用するインキの定着性を有しており、記録部のにじみが生じ難く速乾性に優れたバックプリントを可能とする(バックプリント適性を向上させる)ものである。さらに、以下に示す受像紙裏面としての基本特性を有するものでもある。
1.受容層面と重ね合わせた際に、温度や加重をかけて保存しても貼り付き(ブロッキング)を生じない。
2.誤って受像紙の表裏面を逆にしてプリンターに装着し、熱転写シートと重ね合わせて熱転写を行った場合であっても、熱転写シートと貼り付いてプリンター内で詰まる事が無く、印字物が排出される(裏面離型性を有している)。
3.受容層面と擦れても受容層面を傷付けず、また、裏面層からの粒子成分の脱落(粉落ち)を生じない。
また、裏面層は、バインダー樹脂および無機微粒子を含むことが好ましく、その他の添加剤、例えば、消泡剤や帯電防止剤等を裏面層に適宜添加することができる。近年では環境配慮の観点から水系塗布方式が好まれているが、本発明の裏面層は、 水系塗布方式で受容層を形成した受像紙の裏面として特に好適に用いることができる。
裏面層に含有されるバインダー樹脂は、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このようなバインダー樹脂を用いることで、基材への接着性が良好であり、かつ、良好なバックプリント適性を持たせることが可能になる。本発明においては、市販のバインダー樹脂を用いることもでき、バイロナールMD1500(東洋紡績(株)製)、プラスコートZ690(以上、互応化学工業(株)製)、スーパーフレックス130(第一工業製薬(株)製)等が好ましい。
裏面層に含有される無機微粒子は、コロイダルアルミナ、コロイダルシリカ、およびシリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種である。このような無機微粒子を用いることで、バックプリント適性を向上させ、ブロッキングを防止することができる。
本発明において、裏面層の塗布量は特に限定されるものではないが、塗布量は乾燥後0.1g/m〜3.0g/mの範囲内であることが好ましく、0.3g/m〜1.5g/mの範囲内であることがより好ましい。塗布量が上記範囲程度であれば、十分なバックプリント適性が得られる。
熱転写受像シートの製造方法
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材と、該基材上に受容層とを有してなる熱転写受像シートの製造方法であって、 バインダー樹脂と、バインダー樹脂に対して、1〜10質量%のトリアジン系硬膜剤と、ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂とを含んでなる水系分散塗布液を用いて、受容層を形成する工程を含んでなるものである。
本発明においては、受容層を有する面側を構成する全ての層を、水系塗布により、好ましくは水系塗布かつ同時重層塗布方式により形成することが好ましい。熱転写受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、受容層を有する面側においてはスライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。このような製造方法により、熱転写受像シートの各層の層間接着性の向上やコスト改善等の効果が得られる。
水系分散塗布液
本発明において受容層の形成に用いる水系分散塗布液は、バインダー樹脂と、ポリエステル樹脂と、シリコーン離型剤とを公知の方法により、水中に分散(乳化)させて得ることができる。例えば、水系分散塗布液は、水系分散液の状態のワックス添加剤と、他の水系分散液とを混合して調製できる。水系分散液は、まず、水系溶液と溶剤系溶液を別々に調製する。水系溶液は、上記の乳化剤と水とを混合して得られる。一方、溶剤系溶液は、ワックス添加剤と、公知の有機溶媒(溶剤)とを混合して得られる。また、溶剤系溶液はワックスを加熱溶融させることによっても得ることができる。ワックス添加剤を調製する際に有機溶媒を除去する必要がないという点では、ワックスを加熱溶融させて有機系溶液とすることが好ましい。より低温で有機系溶液を調製できるという点では、(少量の)有機溶媒を用いることが好ましい。この水系溶液と溶剤系溶液とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製する。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で脱溶剤し、脱溶剤分の体積変化を純水の追添加により補正し、固形分を調製することで、水系分散液が得られる。
なお、本発明において、「水系溶液」とは、水を媒体とする溶液であり、「溶剤系溶液」とは、有機溶媒を媒体とする溶液である。溶剤系溶液の調製に用いる有機溶媒としては、染料を溶解させるものであれば良く、酢酸エチル、トルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。このような有機溶媒を用いることで、分散性を上げ、また水との適度な分散状態を維持する事ができる。これによって受容層用の水系分散塗布液を得ることができる。本発明においては、分散後、または分散と同時に、加熱および/または減圧などの手段によって有機溶媒を除去する工程を入れても良い。
熱転写インクシート
本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられており、基材シートの他方の面に耐熱滑性層が設けられている層構成を有するものがよい。以下、熱転写インクシートを構成する各層について説明する。
基材シート
本発明に用いられる熱転写インクシートを構成する基材シートの材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材シートの厚さは、強度、耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は0.5〜50μm程度が好ましく、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
基材シートは、隣接する層との接着性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、およびグラフト化処理等の、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ施されてもよいし、2種以上施されてもよい。
さらに、上記基材シートの接着処理として、基材シート上に接着層を塗工して形成することも可能である。接着層は、例えば、以下の有機材料および無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドンおよびその変性体等のビニル系樹脂、ならびにポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物またはその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、および酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
また、上記の表面処理として、プラスチックフィルムを延伸処理して製造する場合、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うこともできる(プライマー処理)。
熱転写性色材層
本発明に用いられる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられている。熱転写インクシートが昇華型熱転写インクシートの場合には、熱転写性色材層として昇華性染料を含有する層を形成し、熱溶融型熱転写インクシートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層を形成する。なお、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域と、を連続した1枚の基材シート上に面順次に設けてもよい。
熱転写性色材層の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましく、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。具体的には、赤色染料としては、MS Red G(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等が挙げられる。黄色染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)、等が挙げられる。青色染料としては、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等が挙げられる。その他、市販されている昇華型熱転写方式で使用されるインクリボンに含まれる染料も使用できる。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。
熱転写性色材層の形成方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。上記染料およびバインダー樹脂に、必要に応じて離型剤等の添加剤を加え、トルエン、メチルエチルケトン等の適当な有機溶媒に溶解させ、あるいは、水に分散させ、得られた熱転写性色材層用塗布液(溶解液または分散液)を、例えば、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等の形成手段により、基材シートの一方の面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。熱転写性色材層は、厚みが0.2〜5.0μm程度であり、また、熱転写性色材層中の昇華性染料の含有量は、5〜90質量%、好ましくは5〜70質量%であることが好ましい。
保護層
本発明に用いられる熱転写インクシートは、熱転写性色材層と同一面側に面順次で保護層を設けてもよい。熱転写受像シートに色材を転写した後、この保護層を転写して画像を被覆することにより、画像を光、ガス、液体、擦過等から保護することができる。保護層として接着層、剥離層、または、下引き層等のその他の層を設けてなるものであってもよい。
耐熱滑性層
耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
耐熱滑性層は、上記耐熱性樹脂に加え、滑り性付与剤、架橋剤、離型剤、有機粉末、無機粉末等の添加剤を配合してなるものであってもよい。
耐熱滑性層は、一般に、上述の耐熱性樹脂、並びに、所望により添加する上記滑り性付与剤および添加剤を溶剤中に加えて、各成分を溶解または分散させて耐熱滑性層塗布液を調製した後、該耐熱滑性層塗布液を基材の上に塗工し、乾燥させて形成することができる。上記耐熱滑性層塗布液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
耐熱滑性層塗布液の塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられるが、なかでもグラビアコーティングが好ましい。耐熱滑性層塗布液は、乾燥塗布量が好ましくは0.1〜3g/m、より好ましくは1.5g/m以下となるよう塗布すればよい。
画像形成方法
本発明の熱転写受像シートを用いる画像形成方法においては、熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することできる。
このような画像形成方法で用いることのできる熱転写記録装置としては、公知のものを用いることができ、特に限定されない。本発明においては、市販の熱転写記録装置を用いることができ、例えば、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製(型式:MEGAPIXELIII)、DNPフォトルシオ社製(型式:DS40))が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。なお、表記の質量部は固形分で記載し、必要に応じて純水にて希釈した。
実施例1
熱転写受像シート1の作製
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、下記組成の中空層A用塗布液1、中空層B用塗布液1、プライマー層用塗布液1、および受容層用塗布液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥後の塗布量がそれぞれ2.0g/m、3.0g/m、3.0g/m、3.0g/mとなるように同時重層塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、熱転写受像シート1(層構成:基材/中空層A/中空層B/プライマー層/受容層)を得た。なお、塗布速度は、毎分20mであった。この熱転写受像シートは、図2に示されるような層構成を有していた。
中空層A用塗布液1(下層用)の組成
・中空粒子(体積平均粒径:0.5μm、平均中空率:45%、ロームアンドハース(株)製、商品名:ローペイクST) 55質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 26質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、新中村化学工業(株)製、商品名:ニューコートB−13) 8質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、BASFジャパン(株)製、商品名:ションクリル62J) 8質量部
中空層B用塗布液1(上層用)の組成
・中空粒子(体積平均粒径:0.5μm、平均中空率:45%、ロームアンドハース(株)製、商品名:ローペイクST) 59質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 28質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、新中村化学工業(株)製、商品名:ニューコートB−13) 5質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、BASFジャパン(株)製、商品名:ションクリル62J) 8質量部
プライマー層用塗布液1の組成
・中空粒子(架橋中空粒子、体積平均粒径:0.4μm、平均中空率:39%、ロームアンドハース(株)製、商品名:OA−39) 70質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 16質量部
・蛍光増白剤(昭和化学工業(株)製、商品名:WN−1) 4質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、新中村化学工業(株)製、商品名:ニューコートB−13) 2質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、BASFジャパン(株)製、商品名:ションクリル62J) 2質量部
受容層用塗布液1の組成
・バインダー樹脂(下記の塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 2.5質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 2.5質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)10質量部
・離型剤の水分散体(下記のシリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
受容層用塗布液は、公知の方法により上記の成分を水中に分散させた水系分散塗布液である。
塩酢ビ系エマルションの調製
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水600g、塩化ビニル単量体438.8g(全仕込み単量体に対して97.5質量%)と酢酸ビニル11.2g(全仕込み単量体に対して2.5質量%)からなる単量混合体、過硫酸カリウム2.25gを仕込んだ。この反応混合物を攪拌翼で回転数120rpmを維持するように攪拌し、反応混合物の温度を60℃に上げて重合を開始した。5質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液180g(全仕込み単量体に対して2質量%)を重合開始〜4hr後まで連続添加し、重合圧が60℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時に重合を停止した後、残存の単量体を回収して、塩酢ビ系エマルションを得た。
離型剤の水分散体の調製
酢酸エチル85gにエポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−22−3000T)16gとアラルキル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−24−510)8gを溶解した。次にトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム塩(固形分10%)14gを純水110gに溶解した。上記2液を混合・攪拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製した。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で酢酸エチルを除去し、シリコーンの水分散体を得た。
熱転写インクシート1の作製
基材シートとして厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の耐熱滑性層用塗布液を乾燥時0.8g/mになるように塗布し、耐熱滑性層を形成した。
耐熱滑性層用塗布液1の組成
・ポリビニルアセタール(積水化学工業(株)、商品名:エスレックKS−1)
60.6質量部
・ポリイソシアネート(大日本インキ化学工業(株)、商品名:バーノックD750)
8.4質量部
・シリコーン樹脂微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、商品名:トスパール240、平均粒子径:4μm、多角形状) 1質量部
・ステアリルリン酸亜鉛(LBT−1830精製、堺化学工業(株)製) 10質量部
・ステアリン酸亜鉛(SZ−PF 堺化学工業(株)製) 10質量部
・ポリエチレンワックス(ポリワックス3000、東洋ペトロライト(株)製) 3質量部
・エトキシ化アルコール変性ワックス(東洋アドレ(株)製、商品名:ユニトックス750) 7質量部
・メチルエチルケトン 200質量部
・トルエン 100質量部
次いで、前記基材の耐熱滑性層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成のプライマー層用塗布液を、乾燥塗布量が0.10g/mになるように塗布、乾燥してプライマー層を形成した。続いて、プライマー層上に、下記組成のイエロー色材層用塗布液、マゼンタ色材層用塗布液、シアン色材層用塗布液を、乾燥時0.6g/mになるように、この順で面順次に繰り返して塗布、乾燥してイエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層を形成した。
プライマー層用塗布液
・コロイダルシリカ(粒子径4〜6nm、固形分10%、日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスOXS) 30質量部
・バインダー樹脂(ポリビニルピロリドン樹脂、K−90、ISP社製) 3質量部
・水 50質量部
・イソプロピルアルコール 17質量部
イエロー色材層用塗布液の組成
・分散染料(ディスパースイエロー201) 2.5質量部
・分散染料(下記化学式で示されるイエロー染料) 2.5質量部
・バインダー樹脂(ポリビニルアセタール樹脂、KS−5、積水化学工業(株)製)
4.5質量部
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45.0質量部
・トルエン 45.0質量部
マゼンタ色材層用塗布液の組成
・下記化学式に示される染料 2.0質量部
・バインダー樹脂(ポリビニルアセタール樹脂、KS−5、積水化学工業(株)製)
4.5質量部
・アルキル変性シリコーンオイル (KF−412、信越シリコーン(株)製)
0.1質量部
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45.0質量部
・トルエン 45.0質量部
シアン色材層用塗布液の組成
・下記化学式に示される染料 2.0質量部
・バインダー樹脂(ポリビニルアセタール樹脂、KS−5、積水化学工業(株)製)
4.5質量部
・アルキル変性シリコーンオイル (KF−412、信越シリコーン(株)製)
0.1質量部
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45.0質量部
・トルエン 45.0質量部
また、基材シートの耐熱滑性層を設けた側とは他方の面の他の一部に、下記組成の保護層用塗布液を、乾燥時1.5g/mになるように塗布、乾燥して形成した。これにより、基材の一方の面に耐熱滑性層が設けられ、基材の他方の面の一部にプライマー層、熱転写性色材層(Y,M,C)がこの順で積層され、基材の他方の面の他の一部に保護層が設けられた熱転写インクシート1を得た。
保護層用塗布液の組成
・アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−83)
69.6質量部
・反応性紫外線吸収剤を反応結合したアクリル共重合体(BASFジャパン製、商品名:UVA635L) 17.4質量部
・シリカ(富士シリシア(株)製、商品名:サイリシア310) 25質量部
・メチルエチルケトン 100質量部
・トルエン 100質量部
実施例2
熱転写受像シート2の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート2を作製した。
受容層用塗布液2の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 5質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 5質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
10質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製)3.1質量部
実施例3
熱転写受像シート3の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート3を作製した。
受容層用塗布液3の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 7.1質量部
・スチレン−アクリル系共重合体のエマルション1 42.9質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524) 14.3質量部
・ウレタン会合型増粘剤(粘度:2000、粘度比:3.0、ADEKA(株)製、商品名:UH−526) 1.4質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 17.1質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
7.1質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製)4.1質量部
スチレン−アクリル系共重合体のエマルション1の合成
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、アクリル酸を、モル比で、スチレン:エチルアクリレート:ラウリルアクリレート:ダイアセトンアクリルアミド:アクリル酸=68:11;18:1:2となる様に添加した。モノマーは合計で300gであった。そこに乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製)1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、前記モノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに8時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#100メッシュ(日本織物)にてろ過し、スチレン−アクリル系共重合体のエマルションを得た。
実施例4
熱転写受像シート4の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート4を作製した。
受容層用塗布液4の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン
モノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 6質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 2.5質量部
・スチレン−アクリル系共重合体のエマルション1 20質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524) 10質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
比較例1
熱転写受像シート5の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート5を作製した。
受容層用塗布液5の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 2.5質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
10質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
比較例2
熱転写受像シート7の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート7を作製した。
受容層用塗布液7の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 0.5質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 2.5質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
10質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
比較例3
熱転写受像シート8の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート8を作製した。
受容層用塗布液8の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 15質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:N1236) 15質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
10質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
比較例4
熱転写受像シート9の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート9を作製した。
受容層用塗布液9の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 0.5質量部
・スチレン−アクリル系共重合体のエマルション1 0.5質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
10質量部
・ウレタン会合型増粘剤(粘度:2000、粘度比:3.0、ADEKA(株)製、商品名:UH−526) 12質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
比較例5
熱転写受像シート10の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート10を作製した。
受容層用塗布液10の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系エマルション:塩ビ/酢ビ=97.5/2.5)
100質量部
・トリアジン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩、コニカミノルタケミカル(株)製) 15質量部
・スチレン−アクリル系共重合体のエマルション1 60質量部
・ワックス添加剤(カルナバワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
10質量部
・ウレタン会合型増粘剤(粘度:2000、粘度比:3.0、ADEKA(株)製、商品名:UH−526) 12質量部
・離型剤の水分散体(シリコーン分散液) 12質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸Na塩、第一工業製薬(株)製) 3質量部
熱転写受像シートの評価
上記で作製した熱転写受像シートについて、(1)耐ブロッキング性評価、(2)離型性評価、(3)色相評価を行った。
(1)耐ブロッキング性評価
上記で作製した熱転写受像シートを10cm×15cmの大きさにカットし、表裏面を重ね合わせたサンプルを作成した。このサンプルに20kgの荷重をかけ、50℃のオーブンに96時間保存した。保存後のサンプルについて、受像シートを手で剥がし、下記の基準で評価した。
評価基準
3:受像シート同士を軽く剥がすことができた。
2:やや重みを感じたが、受像シート同士を剥がすことができた。
1:受像シート同士を剥がすことができなかった。
(2)離型性評価
上記で作製した熱転写受像シートと、上記で作製した熱転写シート1のイエローパネルを使用して、受容層と染料層が接触するように重ね合わせ、下記条件のプリンターで印画して印画物を作成した。印画後3分以内に熱転写シートのイエローパネルを熱転写受像シートから180°剥離する時の剥離力を下記装置にて測定した。
(印画条件)
サーマルヘッド:KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値:2994(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印加電力:0.10(w/dot)
1ライン周期:2(msec.)
印字開始温度:40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を70%に固定し、ライン周期あたりのパルス数を136に固定した。
(剥離力測定装置)
剥離装置:インストロン社製 万能型材料試験機 5565
剥離速度:300mm/分
評価基準
5:剥離力が50g未満であった。
4:剥離力が50g以上、60g未満であった。
3:剥離力が60g以上、70g未満であった。
2:剥離力が70g以上、80g未満であった。
1:剥離力が80g以上であった。
(3)色相評価
上記で作製した熱転写受像シートと、上記で作製した熱転写インクシート1と、昇華型熱転写プリンター(DNPフォトルシオ社製、型式:DS40)とを使用して、RGB値が135(15×n、n=9)で中間濃度グレーベタ画像を印画して、色相を目視評価した。
評価基準
3:印画物の色相が、青味付けされていた。
2:印画物の色相が、多少青味付けされていた。
1:印画物の色相が、青味付けされていなかった。
上記の各評価の結果を表1に示す。各評価結果は、数値が大きいほど良好であることを示す。本発明の組成を満たす実施例の熱転写受像シートは、比較例の熱転写受像シートと比較して、耐ブロッキング性を維持しつつ、高温多湿環境下における印画時の離型性を改善するとともに、印画物の色相を調節して青味付けすることができた。
1 熱転写受像シート
2 基材
3 受容層
10 熱転写受像シート
11 基材
12 中空層A(下層)
13 中空層B(上層)
14 プライマー層
15 受容層

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材上に受容層とを有してなる、熱転写受像シートであって、
    前記受容層が、
    バインダー樹脂と、
    前記バインダー樹脂に対して1〜10質量%のトリアジン系硬膜剤と、
    ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂と、
    を含んでなる、熱転写受像シート。
  2. 前記受容層に含まれるバインダー樹脂が、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、および塩酢ビ系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記ゼラチンの含有量が、前記バインダー樹脂に対して、1〜10質量%である、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
  4. 前記アクリル樹脂の含有量が、前記バインダー樹脂に対して、10〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
  5. 前記基材と前記受容層の間に、中空層をさらに有してなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
  6. 基材と、前記基材上に受容層とを有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、
    バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に対して、1〜10質量%のトリアジン系硬膜剤と、ゼラチンおよび/またはアクリル樹脂とを含んでなる水系分散塗布液を用いて、受容層を形成する工程
    を含んでなる、熱転写受像シートの製造方法。
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