JP2010234702A - 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

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卓雄 乙丸
Toru Takahashi
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Abstract

【課題】比較的高い温度環境の下で長時間保存された後であっても白抜けの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートを提供することを主な目的とする。
【解決手段】基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、上記基材シートが、パルプ紙、あるいはパルプ紙表面に樹脂コート層が設けられた支持体であって、該支持体の少なくとも断熱層積層面側に樹脂フィルム層が設けられていない支持体であり、且つ、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.35%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内であり、上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.0μm以下であるものを用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、昇華型熱転写方式による印画に用いられる熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法に関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の中紙に樹脂層が形成された所謂RCコート紙を基材シートし、その上に受容層等を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。この方法は、熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用され、銀塩写真に匹敵する高品質な画像が得られている。
上記熱転写受像シートは、基材シート上に複数の層が積層された構成を有するものであるが、このような熱転写受像シートを製造する方法として、例えば、グラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が知られている。しかしながら、この方法は各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるといった問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを得るため、例えば、各層を構成する塗工液を上下方向に重ねた状態で基材シート上に塗布するスライドコート法等を用いて、基材シート上に同時に複数の層を形成する方法(同時多層塗工法)が注目を浴びている(例えば、特許文献1)。このような方法は、複数の層を同時に形成することにより、製造効率を著しく向上させることができ、製造コストの削減に資する点等において非常に有利である。また、同時多層塗工法であれば、各層の形成用塗工液を基材シート上に塗工した後の乾燥工程は、一回実施すればよい。したがって、断熱層や受容層を単層ずつ塗工形成する方法に比べて、乾燥時の熱による基材への負担を著しく減少させることができる点でも望ましい。
ところで、熱転写シートを用いた昇華型熱転写方式にて印画物を熱転写受像シートに形成することに関し、「白抜け」現象が発生するという問題点がある。「白抜け」とは、熱転写受像シートを用いて印画物を作成する際に、熱転写受像シートにおいて印画されるべき領域内に部分的に印画されてない領域が発生することをいう。「白抜け」発生の主要な要因として熱転写受像シート表面に凹凸形状が形成されることが挙げられる。すなわち、昇華型熱転写方式にて熱転写受像シートに印画する際、サーマルヘッド等の加熱手段による加熱にて熱転写シートの染料が熱転写受像シートの所定領域へ転写される際に、熱転写受像シートの表面に凹凸形状が存在すると、その凹凸形状により、熱転写シートとサーマルヘッドとの密着性(追従性)が阻害されて、サーマルヘッドから十分に熱が伝えられない領域が熱転写シートや熱転写受像シートに部分的に発生する。その結果、サーマルヘッドによる熱が十分に伝わらなかった領域に「白抜け」が生じて、印画された画像全体を、「ざらつき」(粒状感)のある画像にしてしまう。
上記「白抜け」あるいは、これによる「ざらつき」の問題に対し、種々の改良技術が提案されている。たとえば、下記特許文献2には、多孔質層の中空粒子の含有率を制御して高濃度の印画特性を有し、かつ印画均一性を保つ熱転写受像シートの発明が開示されている。また、特許文献3には、多孔質層の中空粒子の粒子系を制御してざらつきを防止する熱転写受像シートの発明が開示されている。
特開2008−162155号公報 特開2006−88691号公報 特開2007−98693号公報
しかしながら、白抜け、あるいはざらつきの問題は、未だ充分に解決されておらず、より高品質な熱転写による画像の提供が望まれていた。とりわけ、熱転写受像シート製造後、速やかに該熱転写受像シートに印画した際には、形成される画像の白抜けはそれほど顕著ではない場合であっても、熱転写受像シート製造後、未印画状態で該熱転写受像シートを比較的長期間、保管した後に印画を行った場合には、顕著に白抜けが発生してしまうことがあり問題であった。例えば、未印画状態で熱転写受像シートを長期間保管後、該熱転写受像シートを用いて単色均一柄を印画した際、数本〜数十本/10mmの長ピッチでランダムに白抜けが発生し、より具合的には、黒ベタ柄を印画した際、5〜20本/10mm程度の周期でランダムに発生する、黒ベタ柄の中に見られるランダム形状の白い抜け柄模様(白抜け)が生じてしまい問題であった。また上記白抜けの問題は、スライドコート法により同時多層塗工法にて形成された熱転写受像シートにおいて特に生じ易い傾向にあった。
本発明者らは、上記問題について鋭意検討した結果、上記白抜け、あるいはざらつきの問題は、基材シートの繊維の目の粗さや表面の平滑性の欠如が、受容層表面に現れることによって発生するという知見を得た。
特に、スライドコート法などによる同時多層塗工法では、基材シート上に形成される各層は、同時に形成される複数の塗工膜にて構成され、その厚みがいずれも薄いため、基材シートの表面形状の凹凸状態がそのまま最表面(受容層表面)に露出し、シートの表面形状の凹凸状態を決定する傾向があることがわかった。
また製造された熱転写受像シートを、比較的高い温度環境下で一定期間以上保存した場合には、基材シートが収縮して基材面の平滑性が損なわれ、表面に有意な凹凸が発生し、該凹凸が、熱転写受像シートの最表面(受容層表面)に露出してしまい、結果として熱転写受像シートの表面に凹凸形状が形成されることがわかった。
本発明は、上記問題を鑑みなされたものであり、白抜け、あるいはこれによりざらつきの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートの提供、特には、比較的高い温度環境の下で一定期間保存された後であっても白抜け、あるいはこれによるざらつきの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートを提供することを主な目的とするものである。
本発明は、基材シートとして、特定条件下での保存前後の伸縮性が少なく、表面平滑性の優れた支持体を備える熱転写受像シートによれば、当該基材シートの少なくとも断熱層積層面側において、樹脂フィルム層を設けた基材シートを用いることなく、上記目的を達成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、上記基材シートが、パルプ紙、あるいはパルプ紙表面に樹脂コート層が設けられた支持体であって、該支持体の少なくとも断熱層積層面側に樹脂フィルム層が設けられていない支持体であり、且つ、該基材シートは、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.35%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内であり、上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.0μm以下であることを特徴とする熱転写受像シート、
(2)上記基材シートが、上質コート紙、もしくは、キャストコート紙であることを特徴とする、上記(1)に記載の熱転写受像シート、
(3)上記基材シートと上記断熱層との間、及び/または上記段熱層と上記受容層との間に、さらにクッション層を有することを特徴とする上記(1)または(2)のいずれか1つに記載の熱転写受像シート、
(4)上記基材シートの厚みが、100μm以上300μm以下であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の熱転写受像シート、
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載される基材シート上に、同時多層塗工法により、水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を少なくとも同時に塗工して複数の塗膜を同時に形成する塗膜形成工程と、上記塗膜形成工程において積層された塗膜を冷却し、続いて乾燥させる冷却乾燥工程と、を備える、熱転写受像シートの製造方法、
を要旨とするものである。
尚、本発明に用いられる基材シートにおいて、パルプ紙表面に設けられている「樹脂コート層」とは、該パルプ紙表面に塗工液をコーティングすることにより形成された樹脂コート層を意味し、一方、該支持体の少なくとも断熱層積層面側に設けられていない「樹脂フィルム層」とは、支持体表面に溶融樹脂を押出すことによって形成された樹脂層のことを意味する。すなわち、熱転写受像シートの基材シートとしては、従来、中紙の少なくとも断熱層積層面側に、さらに押出し成形により樹脂層が積層形成された、所謂レジンコート紙が用いられてきたが、本発明では、当該レジンコート紙ではなく、従来のレジンコート紙の中紙として用いられてきた支持体自体、もしくは、「樹脂コート」された支持体を基材シートとして用いることを特定するものである。
本発明は、熱転写受像シートを構成する基材シートとは、特定条件下での保存前後における伸縮率及び平均粗さが一定値以下であることが特定される。これにより、当該基材シートを用いて形成される熱転写受像シートでは、熱転写して形成される画像の「白抜け」、あるいはこれにより発生する「ざらつき」を抑制することが可能になる。
すなわち、特定条件下での保存(温度60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存、以下、「特定条件下での保存」ということがある。)前後の基材シートのMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率が±0.35%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率が±0.5%以内であり、且つ、上記特定条件下での保存前後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.0μm以下である基材シートを用いて熱転写受像シートを構成する。その結果、比較的高温で且つ長期間、当該熱転写受像シートを保管した場合であっても、熱転写受像シートにおける基材シートの物理的形状の変化を抑制することができ、しかして熱転写受像シート自体の表面変化も抑制することができるのである。かかる効果は、特定条件下での保存期間中における伸縮率が少なく、表面が充分に平滑な基材シートを使用することによって、例えば、基材シートにおける硬度の変化、パルプ繊維間空隙の変化、表面凹凸の変化、表面粗さの変化等が抑えられ、これを用いて構成される熱転写受像シート表面における同様の変化も抑制することを可能とするものである。
尚、上記「特定条件下での保存」における上記条件は、実際の基材シートの保存時における条件を考慮して想定したものであり、該「特定条件下での保存」において、基材シートのMDとCD方向の伸縮率が本発明の範囲にあれば、実用上、熱転写受像シートに熱転写して形成される画像の「白抜け」、及びこれによる「ざらつき」の発生が効果的に抑制可能になるという知見に基づく条件である。
また、後述するように、上記特定条件下での保存期間中における熱転写受像シートの転写面に長ピッチの凹凸(うねり)、カール等の発生が観察される。このようなピッチ長さが数十μm〜数mm程度の長ピッチの凹凸(うねり)は、熱転写受像シートを構成する基材シートの前記MDの伸縮率、及び/又はCDの伸縮率が大きくなる場合に発生し易いので、前記MDの伸縮率、及びCDの伸縮率を本発明の範囲以内とすることによりこのような長ピッチの凹凸(うねり)、カール等の発生を効果的に抑制することが可能になる。さらに基材シートが有する数μm程度の表面粗さの測定に直接影響する低ピッチ(数μm〜数十μm程度)の凹凸の変化が小さいとき、長ピッチ(数十μm〜数mm程度)の凹凸の変化も少なく、保存後においても画質の劣化(「白抜け」、「ざらつき」の発生)が抑えられるものである。
また、本発明における基材シートは、パルプ紙、あるいはパルプ紙表面に樹脂コート層が設けられた支持体であって、該支持体の少なくとも断熱層積層面側に樹脂フィルム層が設けられていない支持体であって、即ち、所謂、レジンコート(RC)紙ではない。従来、熱転写受像シートの基材シートとしてRC紙を使用した熱転写受像シートが知られているが、当該基材シートは、中紙の表面に樹脂を押出し形成することによって樹脂フィルム層を積層する工程を要し、材料費、設備費の両面からみてコストが高くなるという問題があった。これに対し、本発明における基材シートは、従来のRC紙における押出し成形により形成された樹脂フィルム層を設けることなく、充分に本発明の所期の問題を解決することができる点で優れており、コスト的にも有利である。
また本発明の熱転写受像シートでは、少なくとも中空粒子とバインダーとを含む断熱層が基材シートと受容層との間に設けられているため、下記の効果を発揮する。即ち、上記断熱層では、中空粒子の存在により良好にクッション性が発揮されるので、基材シートの表面にピッチ間隔が数μm程度の短ピッチの凹凸形状が多少存在していても、重なり合う熱転写シートと熱転写受像シートに対してサーマルヘッドが押し当てられた際に、サーマルヘッドの押し圧力で熱転写受像シートの凹凸形状はある程度吸収される。したがって、本発明の熱転写受像シートは、比較的低い湿度下、又は比較的高い温度環境の下で長時間保存された後であっても、熱転写により、「ざらつき」の発生が低減された画像を提供することが可能である。
またさらに、基材シートと断熱層との間、及び/または断熱層と受容層との間に、さらにクッション層が設けられる本発明であれば、熱転写時の転写圧力を当該クッション層で吸収することができるため、熱転写受像シートの凹凸形状の吸収効果が増大し、より望ましく「ざらつき」の発生が低減された画像を提供することができる。
[熱転写受像シートについて]
本発明の熱転写受像シートは、基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、上記基材シートが、特定条件下での保存前後における伸縮率及び平均粗さが一定値以下であるものである。本発明は、上述のとおり基材シート上に、少なくとも断熱層と受容層とをこの順で積層することにより構成されるが、基材シートと断熱層との間、あるいは断熱層と受容層との間には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、任意の層をさらに設けることができる。以下に、本発明の熱転写受像シートについて、基材シート、および各層について順に説明する。
(基材シート)
本発明に用いられる基材シートは、断熱層および受容層、あるいはさらに追加される任意の層を支持する機能を有するものであり、パルプ紙、あるいはパルプ紙表面に樹脂コート層が設けられた支持体であって、該支持体の少なくとも断熱層積層面側に樹脂フィルム層が設けられていない支持体自体である。従来は、一般的に熱転写受像シートの基材シートとしては、中紙の少なくとも断熱層積層側面にポリエチレンまたはポリプロピレンなどが押出し成形されてなる所謂RC紙が用いられていたが、本発明の基材シートとしては、上記RC紙は使用せず、表面に樹脂フィルム層のない支持体であって、後述する特定の伸縮率と表面粗さを示すものを用いるものである。
尚、コーティングにより形成された上記樹脂コート層であるか、押出しにより形成された上記樹脂フィルム層であるかは、基材シートを垂直方向に切断した際の断面をSEMで観察することによって判断することが可能である。即ち、クレーや炭酸カルシウムなどの顔料、ラテックスバインダーや水溶性バインダー等の樹脂、並びに各種添加剤を用いて作成された塗工カラーを天然パルプ紙に塗布して作製される樹脂コート層は、たとえカレンダー処理された後であっても塗工内部は緻密ではなく、不均一な亀裂を有する「多孔空隙構造」となっている。これに対し、いわゆる押出し成型法により、各種樹脂を天然パルプ紙上に押出し成型することで作製される樹脂フィルム層では、その塗工内部は緻密な「均一層」を形成している。また、パルプ紙あるいはパルプ紙上に設けられた樹脂コート層に樹脂フィルム層が設けられた場合においても、断面SEMを観察すると同様な違いが観察され、樹脂フィルム層と樹脂コート層の違いは明瞭である。
上記基材シートの具体的な例示としては、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、中でも樹皮を取り除いた木材の幹を小片(チップ)化したものを機械的、半化学的、化学的に処理して製造される化学パルプ(硫酸塩パルプ、又は亜硫酸塩パルプ)を主成分とする支持体を用いることができる。上記支持体には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤;スターチ等の紙力増強剤;炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料;蛍光増白剤、柔軟化剤、水分保持剤、分散剤等を適宜添加することができる。又、漂白処理を行なうことにより、白色度を向上させることもできる。更に上記基材シートとしては、上質紙、中質紙に限らず、写真印画紙用支持体(RC紙の中紙)を使用することができる。また、表面に機能層を塗布し印刷適性、見栄えを改善したコート紙、アート紙、キャスト紙、のほか、アイボリー、コートアイボリーといわれる白板紙、高級白板紙を使用することもできる。
中でも、本発明における基材シートとして、上質コート紙あるいはキャストコート紙を用いることが望ましい。
上記基材シートは、公知の方法によって作製することができるが、中でもカレンダー処理されたものが好ましい。カレンダー処理を行うことによって基材シート表面の平滑度が向上するので、本発明において特定される、望まし平均粗さが得られやすい。また基材シートの密度及び剛度は、特には、限定されないが、通常0.7〜1.2g/cm(JIS P 8118)程度であることが好ましく、また剛度は200〜3000mg(JIS P 8143)程度であることが好ましい。また、基材シートの秤量は、70〜300g/mが好ましく、120〜240g/mがより好ましい。
本発明における基材シートは、特定条件下における保存前後において、伸縮率が一定値以下である。より詳しくは、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存前後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.35%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内であると特定される。本発明において、基材シートの伸縮率の測定方法は、基材シートを15cm×15〜20cmのサイズに切り出し、中央部において、上記MD方向及びCD方向に平行なそれぞれ10cmの2辺からなる十字を記載して、60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存前後に十字の長さを測定して、MD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)を求める方法を採用する。保存前後の測定環境、23±2℃、相対湿度(RH)50±5%、保存環境から測定環境へ移動後、1時間以内に測定を行うものとする。このような低伸縮率の基材シートを用いて作製される熱転写受像シートは、受容層表面に「白抜け」や「ざらつき」の少ない画像を形成することが可能になる。
また上記基材シートは、上述する特定条件下での保存前後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される、表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2μm以下である。このような低伸縮率の基材シートを用いて作製される熱転写受像シートは、受容層表面に「白抜け」や、これによる「ざらつき」の少ない画像を形成することが可能になる。
上記基材シートの厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは100μm以上300μm以下の厚み、より好ましくは125μm以上250μm以下160μm以上210μm以下の厚みが選択される。厚みが100μm未満では、熱転写受像シートとしての剛度が不足し、「こし」のある高級感をもった受像シートとすることが難しく、また本発明において特定する表面粗さが充分に得られない虞がある。逆に、厚みを300μm以上としたときコストアップにつながり、また、厚みアップが原因となった「ざらつき」を発生しやすくなる。ただし、厚みアップによる「ざらつき」発生に関しては、メカニカルな調整により回避可能となるため、コストアップが主な要因となる。このような厚み範囲にある基材シートでは、本発明において特定される上記伸縮率及び上記表面粗さが発揮され易く、また、所謂RCコートのように、表面に樹脂をコーティングしない支持体であっても、本発明の所期の目的を達成され易く好ましい。
尚、上述において基材シートの具体的な例として列挙する、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、アイボリー、コートアイボリーといわれる白板紙、高級白板紙などは、一般的に、4〜10重量%程度の水分を含有している。このようなシート(紙)を、例えば相対湿度が0〜10%程度の低湿度雰囲気中に放置すると、種類によってはシート(紙)の水分濃度が低下して、表面に凹凸やカールを生ずる場合がある。また外見上は、表面に凹凸やカールが発生していないように見えても、伸縮していることがしばしば観察される。一般的には乾燥によるMD方向とCD方向の収縮率は異なっており、通常はMD方向に比べ、CD方向の収縮率が大きくなる傾向がある。また、低湿環境における水分濃度の低下は、硬度の増大、微視的な表面凹凸の増減として観察される場合もある。
また中紙の表面に樹脂コートした樹脂コート紙(RC紙)においては、低湿雰囲気中に放置されることによる中紙の収縮率はポリエチレンなどのコート樹脂の収縮率に比べて大きいため、中紙とコート樹脂の収縮率の違いが原因となる中紙/コート樹脂界面に発生する応力を緩和するように、コート樹脂表面凹凸は微視的に変動するとともに、長ピッチの凹凸(うねり)が発生したり、カールが発生したりする。
これに対し、本発明では、基材シートとして、所謂、RC紙を使用することなく、特定条件下における保存前後の伸縮率及び表面粗さが特定の範囲の値を示すものを選択的に使用することによって、上述のような不都合が発生することなく、また、白抜けが発生していない優れた画質を形成可能な熱転写受像シートを提供することができる。
(断熱層)
本発明における断熱層は、上述する基材シートと受容層との間に形成されるものであり、少なくともバインダー樹脂及び中空粒子を含んで構成され、好ましくは冷却ゲル化剤を含んで構成されるものである。上記断熱層は、本発明の熱転写受像シートを用いて画像を印画する際に、サーマルヘッドから受容層に加えられた熱が、基材シート等へ伝熱することにより基材シートが損傷することを防止するための断熱性を有する層である。また、サーマルヘッドからの熱が、印画時の染料の昇華に効率よく使用されるための高効率な熱利用の観点からも、断熱層を設けることが望ましい。更に、断熱層に中空粒子を含有させることによりクッション性を発揮させることが可能となるので、中空粒子が含有された断熱層が設けられた熱転写受像シートは、画像形成時における濃度ムラやハイライト部の白抜けが抑制されて、印画特性が向上する。
断熱層が備える断熱性は、断熱層の厚み、あるいは断熱層内に含有される中空粒子の量に主として起因する断熱層の空隙率などによって、任意に調整することができる。この断熱層の断熱性は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができる。
断熱層に充分な断熱性の付与と「白抜け」の発生を低減するという観点から、断熱層の厚みは、10〜40μmの範囲内であることが好ましい。またこのとき、上記断熱層の密度は、0.1〜0.8g/cmが好ましく、0.2〜0.7g/cmがより好ましい。
また、断熱層に充分な断熱性を与えるという観点から、断熱層の空隙率は、15〜80%の範囲内であることが好ましい。尚、該空隙率は、「(中空粒子の空隙率)×(断熱層における中空粒子の含有率)重量比」で示される値である。
本発明に用いられる断熱層は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。ここで、複数の層が積層された構成を有する断熱層としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。本発明に用いられる断熱層は、組成の異なる2層が積層された構成を有するものを使用することができる。このような構成とすることにより、さらに機能的な断熱層を得ることができるからである。
本発明に用いられる断熱層が2層構造である場合の一例としては、上記断熱層が、基材シート側から、中空粒子を含有する断熱層と、及び上記中空粒子よりも中空率の小さな中空粒子を含有する断熱層とが積層された構成を有するものを挙げることができる。断熱層としてこのような2層構造よりなるものを用いることにより、印画時における濃度ムラやハイライト部の白抜け防止といった印画特性の向上効果がさらに発揮される。
上記断熱層中に含まれる中空粒子は、上述のとおり断熱層に断熱性及びクッション性を付与する機能を有するものである。したがって、上記中空粒子としては、断熱層に所望の断熱性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、発泡粒子を用いてもよく、あるいは、非発泡粒子を用いることもできる。また、中空粒子として用いられる上記発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、本発明に用いられる中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。中空粒子自体の特性として、断熱性とともに、クッション性を有するものは好ましく、また、中空粒子単独としてはクッション性をそれほど有していなくても、この断熱層に使用するバインダーを含めた層としてクッション性を有しているものは、好ましく使用される。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて、断熱層に所望の断熱性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な断熱層を形成することが困難になるからである。
本発明において、断熱層に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性を有する断熱層を得ることができれば特に限定されるものではないが、断熱層に含まれる全固形分を100重量%としたときに、断熱層を構成する中空粒子とバインダー樹脂の割合[(中空粒子/バインダー樹脂)の重量比]が60/40〜90/10であることが好ましく、なかでも65/35〜80/20であることが好ましい。中空粒子の含有量が少なすぎると、断熱層における空隙が少なくなり、充分な断熱性が得られない場合があり、中空粒子の含有量が多すぎて後述する断熱層形成用バインダー樹脂の重量比が小さくなりすぎると、断熱層が脆くなり層の成形性が悪くなる虞があるからである。
次に、本発明における断熱層に含有されるバインダー樹脂について述べる。上記バインダー樹脂としては、通常、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な所謂、水系樹脂が用いられる。
このような水系溶媒に分散可能な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
また、通常、水系溶媒に溶解可能な樹脂としては、たとえば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び特開平7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。
また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。とりわけ、水系溶媒に分散可能な樹脂と、水系溶媒に溶解可能な樹脂を合わせて使用することで、例えば、分散性と造膜性を両立できる等のメリットがあり好ましい。また、クッション性、密着性をあげるために、これらの特性に優れたバインダー、すなわち、比較的低融点、低Tgの材料を混合することが好ましい。また、上記バインダー樹脂として、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン等の材料を用いる場合には、これらバインダー樹脂は、冷却ゲル化機能も発揮し得るため、別途、後述する冷却ゲル化剤を用いずとも、同時多層塗布方法において良好に製造可能である。
次に、断熱層に用いられる冷却ゲル化剤について説明する。本発明に用いられる冷却ゲル化剤は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものである。断熱層への添加は任意であるが、熱転写受像シートを同時多層塗布方法により成形する際には、後述する受容層に冷却ゲル化剤を含有させると共に、断熱層にも冷却ゲル化剤を含有させる必要がある。尚、断熱層に用いられる冷却ゲル化剤の種類については、後述する受容層に用いられる冷却ゲル化剤と同様であるため本段落では割愛する。
本発明において、断熱層中に含有される中空粒子と、冷却ゲル化剤との割合は、所望の断熱性を有する断熱層を形成することができれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、冷却ゲル化剤が、断熱層形成用塗工液中の固形分100重量部に対して、重量換算で5〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に10〜40重量部の範囲内であることが好ましく、さらに12〜40重量部の範囲内であることが好ましい。中空粒子と冷却ゲル化剤の含有比が上記範囲内であることにより、断熱性に優れた断熱層を形成することができるからである。
本発明に用いられる断熱層は、上述する中空粒子、およびバインダー樹脂、あるいはさらに冷却ゲル化剤を含み、これに加えて、必要に応じて任意の添加成分を含むものであってよい。上記任意の添加成分として断熱層に含有させることができるものとしては、ノニオン系シリコーン等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
(受容層)
本発明における受容層は、染料染着性を備える樹脂材料(受容層形成用樹脂)を含む層であり、熱転写にて転写受像シートが印画される際に、熱転写シートに担持される染料が熱転写受像シートの所定領域に転写され、その染料が熱転写受像シートに担持された状態となり(すなわち、熱転写受像シートが染着され)、熱転写受像シートに画像を形成する機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
上記受容層形成用樹脂としては、染料染着性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる上記受容層形成用樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であるものが好ましく、30℃以上であるものがより好ましく、40℃以上であるものがさらに好ましい。また、上記受容層形成用樹脂はガラス転移温度が120℃以下であるものが好ましい。このような範囲のガラス転移温度を有する受容層形成用樹脂を用いることにより、特に耐熱性や離型性に優れた熱転写受像シートを得ることができるからである。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)については剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)を用いて、DMA法による弾性率測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
受容層形成用樹脂は、水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂(水性樹脂)、有機溶媒に分散・溶解可能な樹脂(溶剤系樹脂)のいずれでも使用可能であるが、水性樹脂であることが好ましい。上記受容層形成用樹脂が上記水性樹脂であることにより、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、断熱層と上記受容層とを水系溶媒のみを用いて、基材シート上に同時に塗布することが可能になるからである。
ここで、本明細書において、「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等、水との共存下で容易に相分離しないものを例示することができる。また、「有機溶媒」は、水との共存下で相分離する有機化合物でなる液体を挙げることができる。
受容層形成用樹脂を構成する水性樹脂としては、所望の水系溶媒に所定量を分散・溶解可能な水性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができるが、中でも、染料染着性、耐熱性、耐光(候)性、離型性等の点から塩化ポリビニル系樹脂又はスチレン−アクリル系共重合体を用いることが好ましい。尚、受容層形成用樹脂としては、上記にて挙げたような各種樹脂を1種のみ用いてもよく、単量体組成、平均分子量等を異にする樹脂を2種以上用いてもよい。
上記塩化ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体等を、好ましいものとして挙げることができる。
なお、上記塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニルと酢酸ビニルとからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよび酢酸ビニルに加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体を少量重合したものであってもよい。
上記塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体は、塩化ビニルとアクリル系化合物とからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよびアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体をも少量共重合したものであってもよい。なお、本明細書において、「アクリル系化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
また上記スチレン−アクリル系共重合体は、少なくともスチレン、及びアクリル系化合物を原料モノマーとして共重合反応により形成される共重合体であれば特に限定されず、スチレンとアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能なモノマーをも少量共重合させたものであってもよい。尚、「アクリル系化合物」とは、上記した通りである。
スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は60〜80/40〜20が好ましい。スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位が60モル%以上で比較的高いガラス転移温度(Tg)となるので、このような共重合体を含有する受容層は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上する。
上述する受容層には、受容層形成用樹脂以外にも任意の添加剤を含有させることができる。任意の添加剤の例としては、冷却ゲル化剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質などを挙げることができる。
上記冷却ゲル化剤としては、冷却されることによりゲル化する性質を有するもので、上記染料受容層形成用塗工膜に粘度特性を付与できるものであればよい。このような冷却ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等が挙げられるが、中でもゼラチンを使用することが好ましい。
上記ゼラチンは、上述したように三重へリックス構造を有するコラーゲンを変性させることによって得られるペプチド鎖からなるものであり、冷却されることにより部分的に上記三重へリックス構造を回復し、回復された三重へリックス構造を起点として三次元ネットワークを形成することにより、冷却ゲル化特性を示すものである。受容層に含まれる冷却ゲル化剤は、ゼラチンに上記に例示したものから1種類又は2種類以上を組み合わせて用いられてもよい。
受容層に冷却ゲル化剤が含まれる場合、受容層における冷却ゲル化剤の含有量は、熱転写受像シートを製造する際に、受容層を構成する樹脂を含む受容層形成用の塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば、特に限定されるものではない。具体的には、冷却ゲル化剤は、受容層形成用樹脂100重量部に対して、1〜70重量部の範囲内であることが好ましく、特に1〜40重量部の範囲内であることが好ましく、更に2〜15重量部の範囲内であることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有量が1重量部未満であると、例えば、熱転写受像シートを同時多層塗工方法にて製造する場合において、断熱層を形成するための断熱層形成用塗工膜と受容層を形成するための受容層形成用塗工膜とが基材シート上に重なり合うように塗布形成された際に、断熱層形成用塗工膜でなる層と受容層形成用塗工膜でなる層の両層が混合してしまうおそれがあるからである。また、冷却ゲル化剤の含有量が70重量部を超えると、受容層形成用塗工膜を基材シート上に塗布形成する際に、受容層形成用塗工膜を形成するための塗工液の粘性により、受容層形成用塗工膜表面に塗りスジや塗りムラなどが生じやすくなる場合がある。
また上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特に、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが好ましい。上記離型剤は、上述の受容層形成用樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部の範囲内となるように添加されることが好ましく、1.0〜20重量部となるよう添加されることがさらに好ましい。
以上に説明する受容層としては、特にスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を少なくとも含有することが好ましい。またその受容層の厚みは、特に限定されないが、所望の画像濃度を発現させるためには、一般的に2〜15μm程度であることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。特に、スチレン−アクリル系樹脂では、塩ビ系樹脂に比べ熱特性を比較的容易に設計可能であるため、受容層を構成する樹脂の熱応答性を改良すること可能である。このように受容層構成樹脂の熱応答性を改良することによれば、熱転写によって形成される印画画像のざらつきの悪化を抑制することが可能であり、本発明の所期の問題を解決するために良好に作用するため好ましい。
尚、受容層は、JIS B 0601で定義される表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で1μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下、また、最大高さ(Rmax)が10μm以下、さらに好ましくは、8μm以下が好ましい。
(クッション層)
本発明に熱転写受像シートでは、上述する基材シートの上面に、断熱層と受容層を設けるだけでなく、上記基材シートと上記断熱層との間、及び/または上記断熱層と上記受容層との間にさらにクッション層を設けてもよい。また、後述する下地層が基材シート上面に設けられるときは、該下地層と上記段熱層との間に形成することができる。したがって、本発明においてクッション層が形成される態様としては、基材シートおよび断熱層の間のみに形成される態様、断熱層および受容層の間のみに形成される態様、基材シートおよび断熱層の間と、断熱層および受容層の間とにともに形成される態様とを挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの態様であっても好適に実施されるが、なかでも基材シートおよび段熱層の間のみに形成される態様が好ましい。これにより本発明の熱転写受像シートの印画感度を損なうことなく、本発明の所期の問題を解決するために良好に作用し、白抜けの発生がより良好に防止されるからである。
ここでクッション層とは、基材シートに弾力性を付し、熱転写時における転写圧力が基材シートにかかった際に、当該圧力を良好に吸収することによって、基材シート表面上の微細な凹凸が受容層の表面に表出することを防止する作用を発揮する層のことを意味する。かかる作用発揮するクッション層を備えることによって、本発明の所期の問題をより良好に解決することができる。また上記クッション層を設けることにより、熱転写受像シートの表面を平坦化する機能も発揮される。以上のような、クッション層の機能は、SBR樹脂等の弾性を有する樹脂、およびゼラチンを含有して該クッション層が構成されることにより発揮される。
上記SBR樹脂に代表されるクッション性を有する樹脂としては、後述するゼラチンとの作用により、所望の弾性を示すクッション層を形成できるものであれば特に限定されるものではない。また、本発明においては所望の弾性を達成するためにSBR樹脂を2種類以上組み合わせて用いてもよい。
上記SBR樹脂に代表されるクッション性を有する樹脂は、Tgが−80℃〜30℃の範囲内であることが好ましく、特に−60℃〜20℃の範囲内であることが好ましく、さらに−40℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。Tgが上記範囲よりも高いと、クッション層に所望の弾性を付与することが困難になる場合があるからである。また、上記範囲よりも低いと、クッション層に隣接する層との混合が生じてしまう虞があるからである。より具体的には、上記SBR樹脂としては、例えば、乳化重合スチレン・ブタジエンゴム、溶液重合スチレン・ブタジエンゴム、非油展スチレン・ブタジエンゴム、油展スチレン・ブタジエンゴム等を挙げることができる。
また、上記クッション層に含有されるSBR樹脂の量としては、後述するゼラチンの種類や含有量に応じて、所望の弾性を備えるクッション層を得ることができる範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも、クッション層固形分100重量部に対して、重量換算で50〜90重量部の範囲であることが好ましく、特に60〜90重量部の範囲内であること好ましく、さらに70〜90重量部の範囲内であることが好ましい。SBR樹脂の含有量が上記範囲よりも多いと、クッション層の成膜性が損なわれ、あるいは、例えば本発明の熱転写受像シートをスライドコート法を用いて作製する際に、クッション層に隣接する層との混合が生じてしまう虞があるからである。また、上記範囲よりも少ないとクッション層に所望の弾性を付与することが困難になる場合があるからである。
一方、上記クッション層中に含有されるゼラチンの量としては、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、クッション層を形成するために用いられるクッション層形成用塗工液の粘度特性を所定の範囲に調整できる範囲であれば特に限定されるものではないが、なかでもクッション層形成用塗工液において10重量%〜50重量%の範囲であることが好ましく、10重量%〜40重量%の範囲内であること好ましく、さらに10重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。ゼラチンの含有量が上記範囲よりも多いと、例えば、本発明の熱転写受像シートを製造するために、ゼラチンを含有するクッション層形成用塗工液を基材シート上に塗布した際に、塗膜にスジやムラが生じてしまう可能性があるからである。また、ゼラチンの含有量が上記範囲よりも少ないと、例えば、本発明の熱転写受像シートを製造するために、クッション層を含む複数の層を同時に基材シート上に塗工した際に、各層が互いに混合しやすくなる可能性があるからである。
尚、上記クッション層には、上述したSBR樹脂等およびゼラチン以外に他の任意の化合物が含まれていてもよい。このような任意の化合物としては、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および分散剤等を挙げることができる。
本発明に用いられるクッション層において発揮される弾性(クッション性)の程度は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて、適宜決定されるものであり特に限定されるものではない。また、本発明に用いられるクッション層の厚みとしては、上述したSBR樹脂材料の種類等に応じて、所望のクッション性を達成することができ、かつ、後述する受容層の表面を所望の程度に平坦化できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるクッション層の厚みは、0.5μm〜20μmの範囲であることが好ましく、1μm〜10μmの範囲であることがより好ましく、2μm〜10μmであることがさらに好ましい。クッション層の厚みが上記範囲よりも少ないと所望のクッション性を達成することができないからである。また、クッション層厚みが上記範囲よりも多いとカール発生やコスト高となる可能性があるためである。
(任意の層構成)
本発明の熱転写受像シートは、基材シート、断熱層、及び受容層を、少なくともこの順で備えて構成されるが、必要に応じて他の任意の層をさらに有していてもよい。このような他の構成としては、従来、熱転写受像シートにおいて採用される任意の層であれば適宜選択して設けることができるが、例えば、断熱層と基材シートとの間に形成される下引き層、断熱層と受容層との間に形成されるプライマー層などを挙げることができる。
上記プライマー層は、断熱層と受容層との間に形成されるものであり、本発明の熱転写受像シートの高温高湿度環境下における、染料の断熱層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。上記プライマー層は、プライマー層を形成する熱可塑性樹脂(以下、「プライマー層形成樹脂」ということがある)を主体として形成され、任意で冷却ゲル化剤を含有させることもできる。特に、スライドコート法などの同時多層塗工法により熱転写受像シートを形成する場合には、ポリビニリアルコール(PVA)等の水系溶媒に分散あるいは溶解可能な樹脂をプライマー層形成樹脂として用い、且つ、冷却ゲル化剤を含有させることが一般的である。尚、プライマー層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤は、上述する受容層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤と同様であるためここでは記載を割愛する。
上記プライマー層形成樹脂の例としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、またはポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
また上記プライマー層には、上記プライマー層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等が含まれていてもよい。上記プライマー層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.1〜40μmであることが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、0.3〜10μmが更に好ましい。
また上記下引き層は、基材シートと断熱層との間に形成され、基材シートと断熱層との接着性を向上させる機能を有するものである。下引き層の構成材料は、基材シートと断熱層との密着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではないが、下引き層を形成する熱可塑性樹脂(以下、「下引き層形成樹脂」ということがある)を主体として形成され、任意で冷却ゲル化剤を含有させることもできる。特に、スライドコート法などの同時多層塗工法により熱転写受像シートを形成する場合には、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な樹脂を下引き層形成樹脂として用い、且つ、冷却ゲル化剤を含有させることが一般的である。上記下引き層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.5μm〜10μm程度であることが好ましい。
尚、下引き層形成用樹脂としては、上述する断熱層を構成するバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。また、下引き層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤は、上述する受容層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤と同様であるためここでは記載を割愛する。
上記下引き層には、上述する、下引き層形成樹脂および冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を含有させることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。また、上記下引き層を形成する塗工液(以下、「下引き層形成用塗工液」ということがある)には、中空粒子を含有させることもできる。
以上に説明する本発明の熱転写受像シートは、基材シート、断熱層、及び受容層がこの順に少なくとも積層されて構成されるものである。熱転写受像シートの厚みは、特に限定されず、各層の厚みを勘案し適宜設計することができるが、一般的には150〜350μm程度であって、190〜270μmがより好ましい厚みといえる。
上記熱転写受像シートは、昇華型転写方式による画像形成において、熱転写シートから昇華される染料を受容することにより受容層に画像を形成するために用いられる。即ち、昇華型転写方法において、あわせて使用される上記熱転写シートには、その染料層にイエロー、マゼンタ及びシアンなど、更に必要に応じてブラックの昇華性染料がバインダー樹脂によって担持されており、必要に応じて背面に耐熱滑性層が設けられている。そして、本発明の熱転写受像シートと、上記熱転写シートとを用い、たとえばプリンタのサーマルヘッドで印字することによって、濃淡自在で任意の階調性フルカラーの染料画像が熱転写受像シートにおける受容層に形成される。尚、上記熱転写シート及び昇華型転写方式自体は、従来公知のものを適宜選択して使用することが出来る。
[熱転写受像シートの製造について]
上記熱転写受像シートは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、従来公知の熱転写受像シートの製造方法を適宜選択して製造することができる。
例えば基材シート上に断熱層、及び受容層、あるいはさらに任意の層を形成するために、これらの層を基材シート側から1層ずつ順に、グラビアロール法、コンマコート法、あるいはバーコート法等などの公知の方法により形成することができる。尚、有機溶媒を使用した塗工液により塗膜を形成する場合には、基材シート状に塗工液を塗布して塗膜を形成した後、該有機溶媒を除去することにより各層が形成されて熱転写受容シートが形成される。
また、断熱層、受容層等などの熱転写受像シートを構成する層の形成用塗工液を、それぞれ水系の断熱層形成用塗工液、受容層形成用塗工液などとして調製し、スライドコート法などにより、基材シート上に同時に多層を塗工して塗膜を形成し(塗膜形成工程)、次いで、多層に塗工形成された塗膜を、0〜30℃程度の温度で冷却し、次に30〜90℃程度の温度で乾燥して(冷却乾燥工程)熱転写受像シートを形成することもできる。
あるいはまた、熱転写受像シートを構成する層のうち、少なくとも連続する2層以上については上述のとおりスライドコート法などにより同時に多層塗工して塗膜を形成し、その他の層を、単層ずつ形成することもできる。
特に、上述する基材シートを用い、塗膜形成工程及び冷却乾燥工程を含む同時多層塗工法により熱転写受像シートを製造する本発明の製造方法によれば、同時に形成される複数の層の厚みがいずれも薄い場合であっても、製造される熱転写受像シートにおいて、基材シートの表面形状の凹凸が最表面(受容層表面)に露出し、結果としてシートの表面に顕著な凹凸が発生する恐れがない。したがって本製造方法により提供される熱転写受像シートを用いて熱転写により画像を形成した場合には、白抜けのない高品質な画像が形成される。即ち、本発明の製造方法によれば、スライドコート法などの同時多層塗工法の、製造方法上に簡易性や基材シートに対する乾燥工程時の付加を極力少なくするなどの有利な点を享受することができ、且つ、形成画像の白抜けの問題が解消された優れた熱転写受像シートを提供することができる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法において、基材シート上に形成される各層は、上述する熱転写受像シートにおける各層と同様の内容で構成することができるが、特に厚みに関しては、断熱層は1μm以上100μm以下、好ましくは、5μm以上50μm以下、さらに好ましくは10μm以上30μm以下、受容層は0.5μm以上20μm以下、好ましくは、1μm以上10μm以下、さらに好ましくは2μm以上8μm以下の範囲内に形成することができる。
以下に、本発明の実施例を評価することによってより詳細に本発明を説明する。まずは、実施例及び比較例に用いた材料について説明する。
(イ)受容層形成用塗工液1
下記に示すスチレン−アクリル共重合体エマルジョン、ゼラチン(RR、新田ゼラチン社製)(固形分として10重量部)、シリコーン系離型剤(KF615A、信越化学工業社製)(固形分として10重量部)を用い、受容層形成用溶液中で上記成分が総固形分として25重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として2重量部)を添加し、受容層形成用塗工液1とした。
上記スチレン−アクリル系共重合体のエマルジョンは、下記のとおり合成した。
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン126g、エチルアクリレート24g、ラウリルアクリレート44g、アクリル酸2g及びアクリルアミド2gと、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製、1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどのモノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#100メッシュ(日本織物)にてろ過し、受容層形成用塗工液1に使用するスチレン−アクリル系共重合体のエマルジョン(分子量:190000、Tg:60℃)を得た。また、スチレン、エチルアクリレート、ラウリルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は70%、14%、12%となる。反応時間については、薄層クロマトグラフィー(TLC)にてモノマーの存在が確認できなくなる、あるいは存在量が減少しなくなるまで行った。
尚、上記共重合体の分子量、およびガラス転移温度の測定(Tg)は、それぞれ以下の方法によって測定した。
分子量(Mn):GPC(HLC−8020;東ソー株式会社製 展開溶媒;THF 流量;1.0mL/分 カラム;G2000HXL+G3000HXL+G5000HXL)により測定したポリスチレン換算による数平均分子量を上記分子量とした。
ガラス転移温度(Tg):剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)により測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
(ロ)受容層形成用塗工液2
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(電気化学工業(株)製、#1000A)(固形分として100重量部)、エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−393)(固形分として5重量部)、アミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−343)(固形分として5重量部)を用い、受容層形成用組成物中で上記成分が総固形分として20重量%となるように、メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1)にて調整し、受容層形成用塗工液2とした。
(ハ)断熱層形成用塗工液
中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP−91)(固形分として70重量部)及びゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として30重量部)を用い、断熱層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として17重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として0.5重量部)を添加し、断熱層形成用塗工液とした。
(ニ)クッション層形成用塗工液
SBR(スチレンブタジエンゴム、JSR社、商品名:JSR0696)(固形分として20重量部)、及びゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として70重量部)を用い、クッション層形成用塗工液中で、上記成分が総固形分として20重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として0.2重量部)を添加し、クッション層形成用塗工液を作成した。
(ホ)基材シート
後述する実施例および比較例に用いる基材シートとして、上質コート紙、キャスト紙、白色紙及び高級白色紙を使用した。製造者、商品名、厚みについては表1または表2に示す。
(へ)基材シートの伸縮率の評価
上記基材シートについて、予め、60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存前及び保存後のMD(マシン方向又は縦方向)とCD(クロスマシン方向又は横方向)伸縮率(%)を以下のとおり測定した。すなわち、伸縮率(%)の測定方法は、基材シートを15cm×15〜20cmのサイズに切り出し、中央部において、上記MD方向と上記CD方向に並行となる10cm×10cmの十字を記載して、前記保存前後のMDとCD方向のそれぞれ伸縮率を下記式より求めた。尚、評価結果は、表1または表2にまとめて示す。
伸縮率(%)=[(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100
(ト)基材シートの表面粗さの測定
基材シートの表面粗さは、JIS B0601:2001に準拠して、前記条件下における保存前後の算術平均粗さ(Ra)を求めた。また参考に、保存前のRaと保存後のRaも算出した。結果については表1または表2にまとめて示す
[実施例1]
基材シートとして、キャストコート紙 ミラコートプラチナ(王子製紙(株)製)を用いた。そして上記断熱層形成用塗工液、および水系の受容層形成用塗工液1をそれぞれ40℃に調整し、スライドコート装置を用いて、上記基材シートの一方の面側に同時多層塗工した。尚、塗工量は、乾燥時における断熱層および受容層の厚みが、それぞれ20μm、5μmとなる量とした。上記塗工による塗膜形成後、多層塗膜を5℃にて1分間冷却し、ゲル化を行った後、続いて50℃にて10分間乾燥し、熱転写受像シートを得て、これを実施例1とした。尚、実施例1及び後述するその他の実施例及び比較例に用いられる基材シートは、いずれも基材シート自体において60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存する前のものを用いた。
[実施例2乃至9]
表1または表2に示す基材シート、断熱層、受容層の内容で、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製し、それぞれ実施例2乃至9とした。
[実施例10または11]
表2に示す基材シートをそれぞれ準備した。そして、各実施例における基材シートに、上記断熱層形成用塗工液を用いて、乾燥状態で20μmの厚みとなるようにグラビアコータにて塗工して断熱層を形成した。次いで、上記断熱層面側に上記受容層形成用塗工液2を用いて、乾燥状態で5μmの厚みとなるようにグラビアコータにて塗工して受容層を形成して熱転写受像シートを形成し、実施例10、または実施例11とした。
[実施例12]
上記クッション層形成用塗工液を用い、基材シートと断熱層との間にさらにクッション層を設けたこと以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、これを実施例12とした。即ち、実施例12における上記クッション層は、断熱層形成用塗工液および受容層形成用塗工液と同様に、40℃に調整し、スライドコート装置にて、同時多層塗布により形成した。
[実施例13]
上記クッション層形成用塗工液を用い、基材シートと断熱層との間にさらにクッション層を設けたこと以外は実施例10と同様に熱転写受像シートを作成し、これを実施例13とした。尚、実施例13における上記クッション層は、断熱層および受容層と同様に、グラビアコータにて塗工することにより形成した。
[比較例1乃至3]
基材シートを表2に記載するものを用いた以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作成し比較例1乃至3とした。
[実施例及び比較例の評価]
まず、上述のとおり形成された実施例及び比較例それぞれについて、保存前のサンプルと、60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存の条件下で保存したサンプルを準備した。そして、以下のとおり保存前及び保存後の熱転写受像シートを用いて熱転写を実施し、これにより受容層側に形成された印画画像の「ざらつき」、及び「画像濃度」の評価を行った。これらの評価結果は、表1または表2に示す。
画質(白抜け)の評価:
実施例および比較例について、上述のとおり、それぞれの保存前のサンプルと保存後のサンプルを準備し、また印画される所定画像には、ブラックの18ステップに分割された画像(以下、「18階調グラデーション画像」ともいう)を選択した。そして、ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIIIプリンタ用の専用の熱転写シートを用い、下記条件にて、昇華型熱転写法により熱転写記録を行い、18階調グラデーション画像を実施例1及び保存後実施例1の受容層側に印画した。
そして、それぞれの階調の濃度を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )にて測定し、それぞれ1〜18階調の印画濃度のうち、低濃度側から3階調目及び4階調目(画像濃度において0.1〜0.3程度に相当する領域)における画質についてハイライト部分の白抜けを目視にて観察し、以下のとおり評価した。
◎:優良(白く抜けた部分がなく均一な灰色の画像が観察された)
○:良好(わずかに繊維目に沿った白抜け部分が発見されたが、これによるざらつきは、肉眼では観察されなかった)
△:可 (わずかではあるが繊維目に沿った白抜け部分があり、これによってざらつきが若干観察されたが、画像の質を著しく低下させる程度ではなかった)
×:不良(明らかに繊維目に沿った白抜けがあり、これによってざらつき感が顕著に確認された)
(ロ)画像濃度評価
実施例1及び保存後実施例1をそれぞれ用いて、上記画質(白抜け)の評価と同様に、18階調グラデーション画像を印画し、低濃度側から18階調目の濃度を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )にて測定し、画像濃度が1.9以上を○(良好)、1.9未満を△(可)として示した。ただし、RGB値が高い階調ほど、高濃度の画像を得ることができる条件に相当する。
表1または2に示すとおり、保存前及び保存後のいずれの実施例を用いて、形成された印画画像においても、ざらつきが少なく画質が良好であり、また優れた画像濃度が得られることが確認された。
一方、特定条件下における保存前後の伸縮率が高く、あるいは表面粗さの大きいことが確認された基材シートを用いて形成された比較例1乃至3は、保存前の比較例1を用いて形成された印画画像を除き、保存前及び保存後のいずれのサンプルを用いた場合であっても、印画された画像のざらつき感が顕著であり、優れた画質は得られないことが確認された。
Figure 2010234702
Figure 2010234702

Claims (5)

  1. 基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、
    上記基材シートが、パルプ紙、あるいはパルプ紙表面に樹脂コート層が設けられた支持体であって、該支持体の少なくとも断熱層積層面側に樹脂フィルム層が設けられていない支持体であり、且つ、
    該基材シートは、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.35%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内であり、
    上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.0μm以下であることを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 上記基材シートが、上質コート紙、もしくは、キャストコート紙であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 上記基材シートと上記断熱層との間、及び/または上記段熱層と上記受容層との間に、さらにクッション層を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
  4. 上記基材シートの厚みが、100μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載される基材シート上に、同時多層塗工法により、水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を少なくとも同時に塗工して複数の塗膜を同時に形成する塗膜形成工程と、
    上記塗膜形成工程において積層された塗膜を冷却し、続いて乾燥させる冷却乾燥工程と、を備える、
    熱転写受像シートの製造方法。
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