JP2007296745A - 熱転写受容シートおよびその製造方法 - Google Patents

熱転写受容シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中空粒子を含有する中間層を設けた受容シートにおいて、染料熱転写プリンターに適し、カールが良好でブリスターがなく、濃淡ムラや白抜け等が改善され、高感度、高画質な受容シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともセルロースパルプを主成分とするシート状支持体と、前記支持体の一面上に順次設けられた、中空粒子を含有する中間層と、画像受容層とを有する熱転写受容シートにおいて、前記シート状支持体の他方の面上に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂により形成された微細孔を有するカール防止層を有する熱転写受容シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱転写シート(「インクリボン」とも称される。)と重ね合わせ、サーマルヘッドにより、インクリボンの染料を熱転写して画像を形成する熱転写受容シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、特に染料熱転写プリンターに適し、シート状支持体と画像受容層の間に、中空粒子を含む中間層を有する熱転写受容シート(以下、単に「受容シート」と称する。)およびその製造方法に関するものである。
染料熱転写プリンターは、インクリボンの染料を含む染料層と、受容シートの染料染着性樹脂を含む画像受容層(以下、単に「受容層」と称する。)とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。インクリボンは、イエロー、マゼンタおよびシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色の染料層領域を順次有する。フルカラー画像は、インクリボンの各色の染料を受容シートに順に繰り返し転写することによって得られる。
染料熱転写方式は、コンピューターによるデジタル画像処理技術等の発達により、記録画像の画質等が格段に向上し、その市場を拡大している。一般に、高画質、高濃度の画像を効率良く形成するために、支持体上に染料染着性樹脂を主成分とする受容層を設けた受容シートが用いられるが、支持体用基材として、通常のフィルムを使用すると、平滑性は優れるが、サーマルヘッドからの熱が基材に逃げて記録感度の不足を生じることや、またフィルムでは十分なクッション性がないことがあり、インクリボンと受容シートとの密着性が不足して、濃度ムラ等が発生することがある。
この様な問題を解決するために、支持体として、発泡フィルムを紙類等の芯材層と貼り合わせた支持体(例えば、特開昭61−197282号公報(特許文献1)参照。)、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を主成分とし、ボイド(空隙)構造を含む2軸延伸フィルム(合成紙)を紙類等の芯材層と貼り合わせた支持体等が提案されている(例えば、特開昭62−198497号公報(特許文献)2参照。)。これらの支持体を使用した受容シートは断熱性、平滑性に優れるが、紙のような質感が無いことやコスト高になる等の欠点がある。
また、紙類を受容シートの支持体として使用すると、フィルム同様に記録感度が不足し、フィルムよりクッション性は若干よいが、紙の繊維の疎密ムラに起因するインクリボンと受容層との密着ムラによって、印画の濃淡ムラが発生する傾向がある。そこで、転写濃度等の改善のために、紙支持体と受容層との間に中空粒子を含有する中間層を設けた受容シートが開示されている(例えば、特開昭63−87286号公報(特許文献3)、特開平1−27996号公報(特許文献4)参照。)。この受容シートは、中空粒子含有層の断熱性やクッション性の向上効果により感度は改善されるが、中空粒子の影響を受けて受容シート表面に凹凸を生じる傾向がある。
これらの紙類を支持体とし、中空粒子を含有する中間層と、受容層とを有する受容シートは、得られる受容シートの風合いが紙に近く良好であるが、環境変化によるカールをコントロールすることが難しく、例えばプリンターでの給紙、排紙が困難になる等の問題があった。紙類は高湿度側では伸長、低湿度側では収縮というように、湿度による可逆的な伸縮挙動がみられるため、紙類に塗工やラミネートによって層を設ける場合は、表裏の弾性率や厚みのバランスがくずれると、湿度変化によりよるカールを発生することになる。この様な問題を解決するために、例えば、紙支持体裏面に塗工層を設けることも考えられるが、塗料中の水の浸透による紙支持体の波打ちが発生して、支持体が凹凸となり画質が低下することや、また水分により受容層中の架橋成分の硬化が十分に進行せず、受容シート印画時に剥離性が不安定となることがあり、改善が求められている。
また中空粒子を含有する中間層を設けた基紙の反対側の面に、押出ラミネート法で熱可塑性樹脂層を設けた受容シートも提案されているが(例えば、特開平08−25811号公報(特許文献5)参照)、中間層を塗工する際に中間層塗料の溶媒が裏面から抜けることができず、塗工面悪化やブリスターを生じてしまうという問題があった。基材と中間層の間に防水層を設けることも記載されているが、同様に防水層塗工面が悪化する問題があった。
また塗工することにより裏面側に引っ張り伸び率が低い樹脂層を設けた受容シートも提案されているが(例えば、特開2002−166660号公報(特許文献6)参照)、樹脂層の厚さが薄い場合は受容シートの耐水性が悪く、水滴が付いたり、水に浸された場合に紙層が水を吸収して著しく品位を落としてしまう。一方、樹脂層の厚さが厚い場合は柔軟性が悪いため、曲げ応力によりひび割れをおこしてしまうという問題があった。
特開昭61−197282号公報(第1頁) 特開昭62−198497号公報(第1頁) 特開昭63−87286号公報(第1−2頁) 特開平1−27996号公報(第1頁) 特開平8−25811号公報(第2頁) 特開2002−166660号公報(第2頁)
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の受容シートが有する前述の問題点を解消し、染料熱転写プリンターに適し、中空粒子を含有する中間層を設けた受容シートにおいて、カールが良好でブリスターがなく、濃淡ムラや白抜け等が改善され、高感度、高画質な受容シートおよびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)少なくともセルロースパルプを主成分とするシート状支持体と、前記支持体の一面上に順次設けられた、中空粒子を含有する中間層と、画像受容層とを有する熱転写受容シートにおいて、前記シート状支持体の他の面上に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂により形成された微細孔を有するカール防止層を有することを特徴とする熱転写受容シート。
(2)前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびポリエステル系樹脂から選択される少なくとも1種である(1)項に記載の熱転写受容シート。
(3)前記カール防止層の厚さが、2〜50μmである(1)項または(2)項に記載の熱転写受容シート。
(4)前記中間層と画像受容層との間に、さらに接着剤樹脂を主成分とするバリア層が形成された(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
(5)少なくともセルロースパルプを主成分とするシート状支持体と、前記支持体の一面上に順次設けられた、中空粒子を含有する中間層と、画像受容層とを有する熱転写受容シートの製造方法において、前記シート状支持体の一面上に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂の押出しラミネート法により、微細孔を有するカール防止層を形成した後、前記支持体の他の面上に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次設けることを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。
本発明により、染料熱転写プリンターに適し、カールが良好で、中間層等の塗工面が均一でブリスターを生じることもなく、濃淡ムラや白抜け等が改善され、高感度、高画質な受容シートおよびその製造方法を提供することが可能となる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明の受容シートは、少なくともセルロースパルプを主成分とするシート状支持体と、この支持体の一面上に順次形成された、中空粒子を含有する中間層と、受容層と、この支持体の他の面上に形成されたカール防止層とを有しており、多層構成である。以下これらの各層について詳細に説明する。
(カール防止層)
本発明のカール防止層は、シート状基材の裏面側に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂を用いて形成され、発泡剤が発泡することによる微細孔を有することにより、中間層形成時における塗工面が均一でブリスター発生等も防止される。
本発明の受容シートは多層構成を有しており、例えば湿度変化に対して、中間層は、断熱性やクッション性のために中空粒子を含有することから、伸縮や弾性率変化は小さく、嵩高く、層が比較的厚いことから中間層自体の変形は少ないが、一方セルロースを主成分とする紙支持体が伸縮するため、受容シート全体としてのカール変動が生じる。このようなカール変動を防止するために、押出しラミネート法により形成された熱可塑性樹脂を主成分とするカール防止層を、紙支持体の中間層と反対面に形成することが有効である。カール防止層用樹脂としては、湿度による弾性率変化が少ない熱可塑性樹脂が好ましく、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好ましく用いられる。
また、中間層形成のために水系塗工液を塗工する場合、塗工層の収縮によってカールを生じ易く、また紙支持体の塗工面側は、水分の吸収時に伸長し、乾燥時に収縮するが、伸長量に比べて収縮量が多いため、塗工後は塗工層側にカールする。本発明の受容シートは多層構成を有しており、特に中間層は中空粒子を含有し、厚く嵩高い層を塗工することが必要になり、塗工時に紙支持体表面で吸収される水の量は多くなるため、カールも大きくなり易い。この様な塗工前後におけるカール変動を防止する手段としても、本発明のカール防止層は効果的である。
カール防止層用熱可塑性樹脂に含まれる発泡剤は、熱により分解してガスを発生させるものであり、熱可塑性樹脂と混合されて加熱され、溶融樹脂がダイから押し出された際に圧力が開放されて発泡剤が発泡する。発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、N,N―ジニトロペンタメチレンテトラミン、4,4―オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などの有機発泡剤、または炭酸水素ナトリウムなどの無機発泡剤などが使用されるが、加熱によりガスを発生させる物質であればこの限りではない。発泡剤は熱可塑性樹脂に対して0.5〜20質量%混合させることが好ましく、さらに好ましくは1〜10質量%である。
熱可塑性樹脂中への発泡剤の混入に関しては、粉末状の発泡剤と樹脂ペレットをブレンダーで混合し、押し出しラミネートのスクリューに投入する方法や、発泡剤と樹脂ペレットを一度混練してマスターバッチを作製する方法などがあるが、これらに限定されることはない。発泡剤を均一に混合するにはマスターバッチを作製する方法が好ましい。マスターバッチを作製するためには、発泡剤の発泡温度よりも低い温度で混練する必要があり、200℃以下が好ましい。
発泡剤配合量が少ない場合は、微細孔の数が少なく、樹脂層の通気性が悪くなることにより、中間層塗工時の塗工面悪化やブリスターを生じることとなる。一方、発泡剤配合量が多い場合は、微細孔が多すぎるために耐水性が悪くなり、水滴が付着したり、水に浸された場合に紙層が水を吸収し著しく品位を落としてしまうこととなる。発泡剤は粉末状であり、その粒子径が微細孔の大きさに一定の影響を与える。発泡剤の粒子径は10μm以下が好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。発泡剤によって得られる微細孔の径は1〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜25μmである。微細孔の径が50μmを超えると、表面の平滑性が不十分となり、プリンター内での搬送性が劣るため、紙詰まりを生じることや、風合いも劣ることがある。
また、カール防止層の厚さは、2〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは15〜40μmである。カール防止層の厚さが2μm未満では、カール防止層の弾性力が不十分となり、受容層側にカールが大きくなることがある。一方カール防止層の厚さが50μmを超えると、カール防止層側にカールが大きくなることがあり、また経済的にも不利である。
本発明のカール防止層は、中空粒子を含有する中間層を設ける前に形成することが好ましく、例えば、シート状支持体の一面上に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂の押出しラミネート法により、微細孔を有するカール防止層を形成した後、前記支持体の他の面上に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次設けるのが好ましい。カール防止層は、熱可塑性樹脂を300℃前後に加熱溶融して、支持体上に押出しラミネートして形成されるため、中間層が設けられた後の場合には、中間層に含まれる中空粒子が熱で潰れて、表面の均一性が悪化することや、断熱性を損なうといった弊害を生じることがある。
(シート状支持体)
本発明に用いられるシート状支持体としては、例えば上質紙(酸性紙、中性紙等)、中質紙、コート紙、アート紙、グラシン紙、キャスト塗被紙、少なくとも一方にポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙、合成樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、熱膨張性粒子を含有する発泡紙、板紙等のセルロースパルプを主成分とする紙類等が適宜用いられる。
上記の各種シート状支持体の中でも、セルロースパルプを主成分とする紙類は断熱性が良好であり、紙ライクの受容シートとして風合いが良好であり、更に価格も安価であることから好ましく使用される。紙類は、フィルム類と比較して熱収縮性が低いため、塗工乾燥の熱によるカール安定性には優れる。
本発明で使用されるシート状支持体は100〜300μmの厚さを有することが好ましい。因みに、厚さが100μm未満では、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度が小さく、変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分に防止できない場合がある。また厚さが300μmを超えると、得られる受容シートの厚さが過大となるため、プリンターにおける受容シートの収容枚数の低下を招くことや、或いは所定の収容枚数を収容しようとすると、プリンターの容積増大を招き、プリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生ずることがある。
本発明のシート状支持体としては、受容層が形成される第1の基材層、粘着剤層、離型剤層、第2の基材層を順次積層した構成でもよく、いわゆるラベルタイプ(ステッカー、あるいはシールタイプとも称される。)の構造を有するシート状支持体も勿論使用可能である。
(中間層)
本発明においては、シート状支持体の少なくとも片面に中間層を形成する。中間層は、接着剤樹脂と中空粒子とを主成分として多孔質構造を有し、クッション性が高いため、シート状支持体として紙を使用した場合にも高感度の受容シートが得られる。中間層に中空粒子を含有させることにより、受容シートに適度の変形自由度を与え、プリンターヘッド形状及びインクリボン形状に対する受容シートの追従性及び密着性が向上するので、低エネルギー状態でも受容層に対するプリンターヘッドの熱効率が向上し、印画濃度を高め、画質を改善することができる。また高速プリンターの高エネルギー印加操作において、インクリボンに発生するリボンしわに起因する印画不良も同時に防止することができる。
中間層に中空粒子を含有させることにより、受容シートの断熱性が向上し、それにより受容層に対するサーマルヘッドの熱効率が向上するので印画濃度が上昇し、画質も改善される。また受容シートがプリンターのサーマルヘッド及び搬送ロールによる高い圧力を受けても、受容シート内部でこの応力を吸収することが可能となる為、搬送ロールによる、受容シート印画面のスパイク痕や凹みの形成等が改善される。
本発明の中間層において使用される中空粒子は、重合体材料により形成されたシェルと、それにより包囲されている1個以上の中空部とからなるものであり、中空粒子の製造方法については格別の制限はないが、例えば下記(イ)、(ロ)のようにして製造されたものの中から選ぶことができる。
(イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料からなる粒子(発泡性粒子)を熱膨張させて製造された発泡中空粒子。
(ロ)重合体形成性材料をシェル形成性用材料として用い、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用いて、マイクロカプセル重合方法により製造されたマイクロカプセルから、前記気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子。
発泡中空粒子(イ)は、熱膨張性物質を内包し、熱可塑性重合体材料をカプセルシェル(壁)材として用いて得られた発泡性中空粒子を用いて、加熱等の処理を施すことにより、所定の粒子径に熱膨張させ、発泡中空粒子としたものである。熱膨張性物質として、例えばn−ブタン、i−ブタン、ペンタン、及び/又はネオペンタンのような揮発性低沸点炭化水素が好ましく用いられる。また、カプセルシェル(壁)材として塩化ビニリデン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等の単独重合体或いは共重合体等の熱可塑性重合体材料が好ましく使用される。
発泡中空粒子含有層の形成方法としては、受容シートの製造工程中の加熱により発泡性中空粒子中の熱膨張性物質を発泡させる方法等が挙げられる。例えば、未発泡の発泡性粒子を含む塗工液を調製して、シート状支持体上に塗布し、乾燥工程等の熱により発泡させて、発泡中空粒子含有層を形成する方法が示される。しかし、製造工程中での加熱では、均一な粒子径に発泡させることが難しく、熱膨張後の粒子径を厳密に管理できないため、発泡中空粒子含有層の表面は凹凸が大きくなり、平滑性が劣ることがある。従って得られる受容シートの受容層表面の凹凸も大きくなり、熱転写された画像の均一性が低下して画質が劣ることがある。
本発明においては、熱膨張性物質を含有する熱可塑性物質からなる粒子を、予め熱膨張させて製造された発泡中空粒子(以下「既発泡中空粒子」とも称する場合がある。)が好ましく用いられる。既発泡中空粒子を形成する熱可塑性重合体材料としては、得られる中空粒子の耐熱性、安定性の面からアクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル系モノマーを主成分として用いた重合体がより好ましく用いられる。
既発泡中空粒子は、一般に比重が小さい為、その取扱い作業性及び分散性を更に向上させることを目的として、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等の無機粉体を、熱融着によりこの既発泡中空粒子表面に付着させ、表面が無機粉体により被覆されている発泡複合中空粒子も本発明に使用できる。
また、本発明で使用可能なマイクロカプセル状の中空粒子(ロ)としては、重合体材料、例えばスチレン−アクリル系共重合体あるいはメラミン樹脂等の硬い樹脂をシェル(殻)として、芯部に揮発性液体、例えば水を含有するマイクロカプセルを乾燥して、水を揮発逃散させて中空芯部を形成させたものである。このマイクロカプセルは、重合体形成性材料(シェル形成材料)、及び揮発性液体(気孔形成用材料)からマイクロカプセル形成重合法により得られる。
本発明に使用する中空粒子の平均粒子径は0.2〜30μmであり、好ましくは0.5〜10μmであり、より好ましくは0.8〜8μmである。中空粒子の平均粒子径が0.2μm未満の場合には、得られる中空粒子の体積中空率が低い為、断熱性、クッション性が概して低くなる為に、感度及び画質向上効果が十分に得られないことがある。また平均粒子径が30μmを超えると、得られる中間層表面の平滑性が低下し、受容シート表面の凹凸が増加して、熱転写画像の均一性が不十分で、画質が劣ることがある。
なお、本明細書記載の中空粒子の粒子径は、一般的な粒径測定装置を使用して測定可能であり、レーザー回折式粒度分布測定器(商品名:SALD2000、島津製作所製)を用いて測定した値である。
本発明において使用する中空粒子の体積中空率は40〜95%が好ましく、より好ましくは75〜95%である。体積中空率が40%未満では、画質が低下することがある。また体積中空率が95%を超えると、塗工層の強度が劣り、塗工、乾燥時に中空粒子が破壊されて表面平滑度の低下を招くことがある。
なお、中空粒子の体積中空率とは、粒子全体積に対する中空部分の体積の割合を示したものであり、具体的には中空粒子と貧溶媒からなる中空粒子分散液の比重、前記分散液における中空粒子の質量分率及び中空粒子のシェル(壁)を形成する重合体樹脂の真比重、及び貧溶媒の比重から求めることができる。
また中空粒子の平均粒子径や体積中空率については、中空粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による断面写真観察から求めることも可能である。
中間層における中空粒子の配合量は、中間層全体の全固形分質量に対する中空粒子質量の比率で30〜75質量%の範囲が好ましく、35〜70質量%の範囲がより好ましい。中間層全体の全固形分質量に対する中空粒子の質量比率が30質量%未満では、中間層の断熱性や、クッション性が不十分となり、感度及び画質向上効果が十分に得られないことがある。また中空粒子の質量比率が75質量%を超えると、得られる中間層用塗料の塗工性が低下して、塗膜強度が不十分となることがあり、所望の効果が得られないことがある。
中間層が、所望の断熱性、クッション性等の性能を発揮する為には、中間層の膜厚は20〜90μmが好ましく、さらに好ましくは25〜85μmである。中間層の膜厚が20μm未満では断熱性やクッション性が不足し、感度及び画質向上効果が不十分なことがある。また膜厚が90μmを超えると、断熱性やクッション性の効果が飽和し、それ以上の性能が得られないばかりか、経済的にも不利となることがある。
本発明の中間層は中空粒子と接着剤樹脂を含有する。本発明の中間層用塗料は、中空粒子の耐溶剤性を考慮すると、水性系塗料であることが好ましい。従って、接着剤樹脂は水性、有機溶剤性の両者が使用可能であるが、水性系樹脂であることがより好ましい。使用される接着剤樹脂としては特に限定されず、例えばポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂及びその誘導体、カゼイン、デンプン誘導体等の親水性高分子樹脂が成膜性、耐熱性、可撓性の観点から好ましく使用される。また(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の各種樹脂のエマルジョンが、低粘度高固形分の水系樹脂として使用される。なお中間層の塗膜強度、接着性、塗工性の面から中間層に使用される接着剤樹脂は、上記の親水性高分子樹脂と各種樹脂のエマルジョンを併用することが好ましい。
中間層には、必要に応じて各種の添加剤、例えば帯電防止剤、無機顔料、有機顔料、樹脂の架橋剤、消泡剤、分散剤、有色染料、離型剤、滑剤等の1種或いは2種以上を適宜選択して使用してもよい。
(バリア層)
本発明においては、中間層上にバリア層を設けるのが好ましく、バリア層上に受容層が設けられる。バリア層は、受容層用塗料の溶媒が概してトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤であり、有機溶剤浸透による中間層の中空粒子の膨潤、溶解による破壊を防ぐための障壁として有効である。
バリア層に使用される樹脂としては、フィルム形成能に優れ、有機溶剤の浸透を防止し、弾力性、柔軟性のある樹脂が使用される。具体的には、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系樹脂、デンプン、変性デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂等の水溶性高分子樹脂が水溶液として使用される。
またスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル樹脂系ラテックス、メタアクリル酸エステル系共重合樹脂ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス、ポリエステルポリウレタンアイオノマー、ポリエーテルポリウレタンアイオノマーなどの水分散性樹脂も使用することができる。上記の樹脂の中でも、水溶性高分子樹脂が好ましく使用され、上記の樹脂は単独で使用しても、あるいは2種以上を併用してもよい。水溶性高分子樹脂の中でも、耐有機溶剤性が優れていることからポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましく使用される。
また前記の中間層及びバリア層中には隠蔽性や白色性の付与、受容シートの質感を改良するために、無機顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、タルク、カオリン、珪藻土、サチンホワイト等の白色無機顔料や蛍光染料等を含有させてもよい。無機顔料として、好ましくは膨潤性無機層状化合物が使用され、塗工用溶剤の浸透防止ばかりでなく、熱転写染着画像のニジミ防止等においても優れた効果が得られる。膨潤性無機層状化合物の具体例としては、粘土系鉱物(例えば合成マイカ、合成スメクタイト、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等)等を挙げることができる。
本発明のバリア層は、好ましくは水系塗工液を用いて形成される。水系塗工液は中空粒子の膨潤及び溶解を防ぐために、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、DMF、セロソルブ等の高沸点高極性系溶剤等の有機溶剤を過剰に含有しないことが好ましい。
バリア層の固形分塗工量は0.5〜10g/mの範囲が好ましく、更に好ましくは1〜8g/mの範囲である。因みにバリア層固形分塗工量が0.5g/m未満ではバリア層が中間層表面を完全に覆うことができない場合があり、有機溶剤の浸透防止効果が不十分である場合がある。一方、バリア層固形分塗工量が10g/mを超えると、塗工効果が飽和し、不経済であるばかりでなく、バリア層の厚さが過大となることによって中間層の断熱効果やクッション性が十分に発揮されず、画像濃度の低下を招くことがある。
(受容層)
本発明の受容シートにおいて、中空粒子含有中間層(もしくは、バリア層)上に受容層が設けられる。受容層それ自体は既知の染料熱転写受容層であってもよい。受容層を形成する樹脂としては、インクリボンから移行する染料に対する親和性が高く、従って染料染着性の良い樹脂が使用される。このような染料染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基)を有していることが好ましい。
またプリントの際にサーマルヘッドでの加熱によって、受容層とインクリボンとが融着することを防止する為に、受容層中に、架橋剤、離型剤、滑り剤等の1種以上が添加剤として配合されていることが好ましい。また必要に応じて、上記の受容層中に蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、紫外線吸収剤等、帯電防止剤等の1種以上を添加してもよい。これらの添加剤は塗工前に受容層の形成成分と混合されてもよいし、また受容層とは別の塗被層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
受容層の固形分塗工量は1〜12g/mが好ましく、より好ましくは3〜10g/mの範囲である。因みに受容層の固形分塗工量が1g/m未満では、受容層が中間層(もしくは、バリア層)表面を完全に覆うことができない場合があり、画質の低下を招くことや、サーマルヘッドの加熱により、受容層とインクリボンとが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方、固形分塗工量が12g/mを超えると、効果が飽和して不経済であるばかりでなく、受容層の塗膜強度が不足することや、塗膜厚さが過大になることにより、シート状支持体の断熱効果が十分に発揮されず画像濃度の低下を招くことがある。
(裏面塗工層)
本発明の受容シートは、シート状支持体裏面のカール防止層(受容層が設けられる側とは反対側の面)上に、さらに裏面塗工層が設けられていてもよい。裏面塗工層は接着剤として有効な樹脂を主成分とし、架橋剤、導電剤、融着防止剤、無機及び/又は有機顔料等を含んでいてもよい。
本発明の裏面塗工層には、接着剤として有効な裏面塗工層形成用樹脂が用いられ、受容シートのプリント搬送性、受容層面の傷付き防止、受容層面と接触する裏面塗工層への染料の移行防止に有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。
本発明の裏面塗工層には、カール防止層等との接着性を向上させるため、適宜ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を裏面塗工層塗料中に配合してもよい。
本発明の裏面塗工層には、プリント搬送性の向上、静電気防止の為に導電性高分子や導電性無機顔料等の導電剤が添加されていてもよい。導電性高分子としてはカチオン型、アニオン型、ノニオン型の導電性高分子化合物があり、カチオン型高分子化合物としては、例えばポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等が挙げられる。またアニオン型高分子化合物としてはポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。導電剤の配合比率は一般に裏面塗工層の全固形分に対して5〜50質量%程度が好ましい。
また導電性無機顔料としては、酸化物及び/又は硫化物などの化合物半導体顔料および前記化合物半導体顔料を被覆した無機顔料等が挙げられる。化合物半導体としては酸化銅(I)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭化珪素などが例示される。また化合物半導体を被覆した無機顔料としては、半導体酸化錫を被覆した酸化チタン及びチタン酸カリウム等があり、形状として針状、球状の導電性無機顔料が市販されている。
本発明の裏面塗工層には必要に応じて、有機または無機フィラーを摩擦係数調整剤として配合することができる。有機フィラーとしては、ナイロンフィラー、セルロースフィラー、尿素樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル樹脂フィラー等を使用することができる。無機フィラーとしては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。例えばナイロンフィラーの場合、平均粒子径は1〜25μm程度が好ましく、その配合量は粒子径にもよるが、裏面塗工層全固形分に対して2〜30質量%程度が好ましい。
裏面塗工層には必要に応じて、滑剤、離型剤等の融着防止剤を含有することも可能である。例えば、融着防止剤としては、非変性及び変性シリコーンオイル、シリコーンブロック共重合体及びシリコーンゴム等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。また従来公知の消泡剤、分散剤、有色顔料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用してもよい。
裏面塗工層の固形分塗工量は0.3〜10g/mの範囲内にあることが好ましい。更に好ましくは1〜8g/mである。裏面塗工層固形分塗工量が0.3g/m未満であると、受容シートが擦れた時の傷付き防止性が十分に発揮されず、また塗工欠陥が発生し、表面電気抵抗値が上がる場合がある。一方固形分塗工量が10g/mを超えると、効果が飽和して不経済である。
(下塗層)
本発明の受容シートにおいては、シート状支持体と中間層との間に、高分子樹脂を主成分とする下塗層を設けてもよい。この下塗層上に、中間層用塗工液を塗工しても、塗工液がシート状支持体中に浸透することがなく、中間層を所望の厚さに形成することができる。この下塗層に使用される高分子樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びその変性樹脂等が挙げられる。
本発明において、中間層、受容層、裏面塗工層、あるいはバリア層等の他の塗工層は、常法に従って形成され、各々、所要成分を含む塗工液を調製し、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコーター、及びスライドビードコーター等の公知のコーターを使用して、シート状支持体の所定の面上に塗工し、乾燥後、必要に応じて加熱キュアーして、形成することができる。
本発明の受容シートは、受容層表面の平滑性を向上させるため、中間層の形成後および/または受容層の形成後に、加熱金属ロールと弾性ロールでニップ処理をするカレンダーによる平滑化処理を行うことが好ましい。
平滑化処理の好ましいニップ圧力条件としては、0.2〜150MPaが好ましく、より好ましくは0.3〜100MPaであり、特に好ましくは2〜50MPaである。また、ニップ時間は、弾性ロールの硬さ、ニップ面圧等の影響が大であるが、5〜500m秒の範囲が好ましい。金属加熱ロールの温度条件としては、室温から、平滑化処理を行う塗工層に含まれる接着剤の融点以下の温度範囲が好ましく、例えば30〜100℃、更に好ましくは40〜100℃である。また加熱ロールの表面粗さは、JIS B 0601に基づくRa値が、0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜1.0μmの範囲である。Raが0.01μ未満では得られる製品の光沢度が高くなり、光沢ムラが発生することがある。一方、Raが1.0μを超えると、得られる製品の印刷平滑度Rpが大きくなり、画像均一性が不良となることがある。
また、本発明においては、受容層表面の、JIS Z 8741に準じて測定された20°光沢度(入射光角度20°における光沢度)が、80%以下が好ましく、より好ましくは30〜70%である。中空粒子を含有する中間層はクッション性が良好な反面、一般に表面が傷つき易く、光沢度が80%を超えると傷が目立つ傾向があり、例えば受容シート同士を重ね合わせて保管した場合、受容層表面に受容シート裏面が接触して、受容層面に部分的に微小な傷がついて光沢ムラが発生し、外観上商品価値を低下させることがある。受容層面の光沢度が30%未満では、熱転写プリンターで印画した画像の画像光沢が劣ることがある。
下記実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」は、すべて「質量%」及び「質量部」を示し、溶剤に関するものを除き固形分量である。
実施例1
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、174.4g/m、王子製紙製)を使用し、下記組成のカール防止層配合−1を、厚さが10μmになるように押し出しラミネートして裏面塗工層を形成した。
カール防止層配合−1
ポリエチレン樹脂(商品名:ニポロンハード5400、東ソー製) 92部
発泡剤(商品名:ネオセルボンN#1000M、永和化成製、メジアン径4μm、
4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)) 8部
「中間層の形成」
その片面に下記組成の中間層用塗工液−1を、乾燥後の膜厚が43μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した。
中間層用塗工液−1
ポリ塩化ビニリデン系発泡中空粒子
(体積中空率93%、平均粒子径4μm、最大粒子径20μm) 35部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 200部
「バリア層の形成」
次に上記中間層上に、下記組成のバリア層用塗工液−1を固形分塗工量が2g/mになるように塗工、乾燥してバリア層を形成した。このバリア層上に、下記組成の受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成した。
バリア層用塗工液−1
完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ製) 100部
水 1000部
「受容層の形成」
次に上記バリア層上に、下記組成の受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成した後、50℃で48時間キュアーを行った。
さらに金属加熱ロールと弾性ロールよりなるカレンダー装置を用い、金属加熱ロール温度70℃、ニップ時間50m秒、面圧10MPaの条件で平滑化を行い、受容シートを作成した。
受容層用塗工液−1
ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡製) 100部
シリコーンオイル(商品名:KF393、信越化学工業製) 3部
ポリイソシアネート(商品名:タケネートD−140N、
三井化学ポリウレタン製) 5部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 400部
実施例2
カール防止層の厚さを45μmにした以外は、実施例1と同様に受容シートを形成した。
実施例3
カール防止層配合−1の代わりに、下記組成のカール防止層配合−2を用いて厚さ20μmのカール防止層を形成した以外は、実施例1と同様に受容シートを形成した。
カール防止層配合−2
ポリエチレン樹脂(商品名:ニポロンハード5400、東ソー製) 95部
発泡剤(商品名:ビニホールAC#3C−K2、永和化成製、メジアン径5μm、
アゾジカルボンアミド) 5部
実施例4
カール防止層配合−1の代わりに、下記組成のカール防止層配合−3を用いて厚さ10μmのカール防止層を形成した以外は、実施例1と同様に受容シートを形成した。
カール防止層配合−3
ポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FL03H、
日本ポリプロ製) 97部
発泡剤(商品名:ビニホールAC#3C−K2、永和化成製、メジアン径5μm、
アゾジカルボンアミド) 3部
比較例1
カール防止層を設けない以外は、実施例1と同様に受容シートを形成した。
比較例2
カール防止層配合−1の代わりに、ポリエチレン樹脂(商品名:ニポロンハード5400、東ソー製)のみを用いて厚さ10μmのカール防止層を形成した以外は、実施例1と同様に受容シートを形成した。
評価
上記の各実施例、及び比較例で得られた受容シートについて、それぞれ下記の方法により評価を行い、得られた結果を表1に示す。
「カール測定」
評価用の受容シートとして、幅方向(クロス方向)がA6サイズの長手方向になるように切り出した。この受容シートを23℃、80%RHに設定した環境に受容層面を上と、受容層面下で置き、3時間後に4角のカール高さを測定し、平均値をカール高さとした。
なお、受容層面を上向きに置いたときのカールを受容層側カール(F)、受容層面を下向きに置いたときのカールを裏面側カール(B)とした。
カール高さが、10mm以下のものを○、10mmを超えるものを×と表示した。
「ブリスター有無」
受容シートの受容層側の面について、塗工、乾燥時のブリスター発生による表面欠陥の有無を目視で官能評価し、以下の基準で良否を判定した。
○:ブリスター等による表面欠陥がなく、良好。
×:ブリスターによる表面欠陥があり、外観不良で実用上問題となる。
「印画品質」(画像均一性)
市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:UP−DR100、ソニー社製)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアン3色それぞれの昇華性染料を接着剤と共に含むインク層を設けたインクシートの各色インク層を、順次に、受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。印画品質として、光学濃度(黒)が0.3に相当する階調部分における、記録画像の均一性について、濃淡むら及び白抜けの有無等について目視観察した。
濃淡むら及び白抜けがなく評価結果の良好なものを○、濃淡むら及び白抜けの欠陥の著しいものを×と表示した。
Figure 2007296745
表1から明らかなように、本発明の各実施例で得られた受容シートは、カールが良好でブリスターも認められず、且つ画像均一性等の印画品質が良好であった。一方、比較例1の受容シートはカール防止層がないため、カールが受容層側に過大となり、比較例2はカール防止層に発泡剤がないためブリスターが発生し、画像均一性に劣る。
本発明により、特に染料熱転写プリンターに適し、中空粒子を含有する中間層を有し、カールが良好でブリスターがなく、濃淡ムラや白抜け等が改善され、高感度、高画質な受容シートを提供することが可能となり、実用的に価値のあるものである。

Claims (5)

  1. 少なくともセルロースパルプを主成分とするシート状支持体と、前記支持体の一面上に順次設けられた、中空粒子を含有する中間層と、画像受容層とを有する熱転写受容シートにおいて、前記シート状支持体の他の面上に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂により形成された微細孔を有するカール防止層を有することを特徴とする熱転写受容シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびポリエステル系樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の熱転写受容シート。
  3. 前記カール防止層の厚さが、2〜50μmである請求項1または2に記載の熱転写受容シート。
  4. 前記中間層と画像受容層との間に、さらに接着剤樹脂を主成分とするバリア層が形成された請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写受容シート。
  5. 少なくともセルロースパルプを主成分とするシート状支持体と、前記支持体の一面上に順次設けられた、中空粒子を含有する中間層と、画像受容層とを有する熱転写受容シートの製造方法において、前記シート状支持体の一面上に、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂の押出しラミネート法により、微細孔を有するカール防止層を形成した後、前記支持体の他の面上に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次設けることを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。


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