JP4233274B2 - 熱転写受容シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写受容シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、熱転写画像を、高い鮮明度及び色濃度をもって受容シート部に記録することができ、かつこの受容シート部が剥離シート部に剥離可能に積層されていて、画像を記録した後、受容シート部を剥離シート部から剥離して、種々の物品に貼付することが可能な熱転写受容シート(以下、単に受容シートともいう)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、サーマルプリンターが注目され、特に鮮明なフルカラー画像をプリント可能な染料熱転写プリンターが注目されている。染料熱転写プリンターは、インクシートの染料を含む染料層を、受容シートの染料染着性樹脂を含む画像受容層(以下、単に受容層ともいう)上に重ねあわせ、サーマルヘッド等から供給される熱により、所望画像に応じてインクシート染料層の所要個所の染料を所定濃度だけ画像受容層上に転写して画像を形成するものである。インクシートとしては、イエロー、マゼンタ及びシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色のインクシートが用いられ、フルカラー画像は、各色のインクシートの染料を画像受容層上に順次に転写して重ね合わせることによって形成される。
【0003】
このような受容シートの中に、所望の染料画像を熱転写記録した後、この受容シートを各種物品に自由に貼り付け可能なラベルタイプの受容シートが知られている。このようなラベルタイプの受容シートは、剥離シート基材の上に剥離剤層、粘着剤層、シート状支持体、画像受容層を順次に積層した構成を有するものである。上記の剥離シート基材/剥離層からなる剥離シート部と、上記の粘着剤層/シート状支持体/受容層からなる受容シート部との間で剥離可能であり、剥離された受容シート部を各種物品に貼り付けることができる。
【0004】
ラベルタイプの受容シートに求められる性能には、熱転写記録により得られる画像の印画濃度が高いこと、画像の均一性が良好であること、及び印画面の画像にインクシートのしわ(リボンじわとも言う)を生ずることのないことなどがある。また、受容シートのプリンター走行性が良好であること(受容シートが複数枚同時に供給されること、いわゆる重送が無く、また受容シートとインクシートとの熱融着による受容シートの紙詰まりの無いこと)も要求される。さらに熱転写画像記録後、画像形成された受容シート部と剥離シート部とを容易かつ正確に剥離できることが必要であり、かつラベルタイプ受容紙として、適度の腰及び風合いを有することが要求される。
【0005】
また最近は、サーマルヘッドの温度制御技術等の向上に伴い、ラベルタイプの受容シートに対しても、印画の高速化が要求されており、印画の高速化に伴って、印画濃度階調、精細な画質、色ずれの防止等に問題が生じている。良好な印画濃度階調を得るためには、受容シートは狭い印加エネルギー領域で広い範囲の印画濃度を再現することが必要であり、低エネルギーでも高濃度を再現するためには、受容シートには高い断熱性が要求される。また精細な画質、高い画像均一性を得るためには、サーマルヘッドと受容シートとの間の良好な密着性が必要であり、このため受容シートには適度のクッション性が要求される。また印画時の色ずれを防止するために、受容シートを、スパイクを装着した金属ロールとゴムロールとの間に挟んで搬送することが行われている。この場合印画の高速化に対応する為には、スパイクを大きくしたり、ニップ圧を上昇させる必要があり、このようにすると、受容シートの印画面に凹みを生じたり、スパイクのパターン痕が付き、商品価値が低下するという問題を生じている。
【0006】
従来、ラベルタイプの受容シートの受容シート部には、良好なプリント画像を得る為に、ポリエステル、ポリプロピレンを主成分とした延伸多孔質フィルムがシート状支持体(以下、単に支持体とも言う)として含まれ、この支持体の1面上に中間層を介してあるいは直接に、染料染着性樹脂を主成分として含有する受容層を形成し、支持体の他の面(受容層が設けられていない面)上に粘着剤層が設けられている。
延伸多孔質フィルムは厚さが均一であり、柔軟性があり、しかもセルロース繊維からなる紙に比べて熱伝導度が低い等の利点があり、このため濃度が高く、均一な転写画像が得られるという長所がある。一般に空孔の数を増大させ、及び/又は、空孔径を大きくしてフィルムの密度を下げると、断熱性が向上し印画濃度は向上するが、強度は低下し、フィルムの腰が低下し、かつ、搬送ロールによる凹みに対する抵抗性は低下する傾向がある。
ポリエステルを主成分とする非孔質フィルムは、高い耐熱性を有し、引張弾性率が高いことに起因して、腰が強くラベルとしての風合いが良好であり、また搬送ロールによる凹みは発生し難いが、サーマルヘッドとの密着性、及び印画時のリボンしわ発生の防止に関しては不利である。
このような状況からラベルタイプの受容シートの支持体としては、ポリエステルを主成分として含む延伸多孔質フィルムが広く使用されているが、得られるラベルタイプ受容シートの品質は不十分であり、その改善が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的はラベルタイプの熱転写受容シートにおいて、転写される画像の均一性などの画質が良好であり、印画面にリボンしわの発生等が無く、かつ高感度を有する受容シート部と、それを、粘着/剥離可能に保持する剥離シート部とを有するラベルタイプの受容シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、シート状支持体と画像受容層と、粘着剤層とを有する受容シート部、及び、剥離シート基材と剥離剤層とを有する剥離シート部を有する熱転写受容シートにおいて、
前記粘着剤層中に特定の中空粒子を粘着剤とともに含有させ、前記受容シート部のシート状支持体の厚さ(A)と、前記剥離シート部の剥離シート基材の厚さ(B)との比率を特定値範囲内にコントロールし、かつ熱転写受容シートの圧縮弾性率を特定値範囲にコントロールすることにより、上記問題点を解決し得ることを見出し、この知見に基いて本発明を完成させた。
【0009】
本発明の熱転写受容シートは、シート状支持体と、このシート状支持体の一面上に形成された画像受容層と、前記シート状支持体の他の面上に形成された粘着剤層とを有する受容シート部、並びに剥離シート基材と、この剥離シート基材の一面上に形成された剥離剤層とを有する剥離シート部を含み、前記受容シート部の粘着剤層と、前記剥離シート部の剥離剤層とが、対向して積層されているものであって、
下記要件(1),(2),(3)及び(4)
(1)前記粘着剤層が、重合体材料により形成され、内側に気孔を有し、0.3〜30μmの平均粒子径を有する中空粒子、及び粘着剤とを主成分として含有するものであること、
(2)前記粘着剤層用中空粒子が、
(イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料を加熱発泡させて製造された発泡中空粒子、及び
(ロ)重合体形成性材料をシェル形成用材料として含み、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用いて、マイクロカプセル形成重合方法により製造されたマイクロカプセルから前記気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子、
から選ばれた少なくとも1種からなるものであること。
(3)前記受容シート部のシート状支持体の厚さ(A)と、前記剥離シート部の剥離シート基材の厚さ(B)との比(A)/(B)が、0.35〜2.5の範囲内にあること、及び
(4)前記受容シート部と前記剥離シート部とを含む熱転写受容シートが、全体として、JIS K 7220に準拠して測定された50MPa以下の圧縮弾性率を有すること、
のすべてを満たすことを特徴とするものである。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記粘着剤層に含まれる粘着剤の固形分質量に対する前記中空粒子の質量の比率が0.1〜2.5質量%の範囲内にあることが好ましい。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記粘着剤層の固形分塗工量が5〜30g/m2であることが好ましい。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記シート状支持体の少なくとも1表面がポリエステルあるいはポリオレフィンを主成分とする多孔質延伸フィルムから形成されており、この表面上に前記画像受容層が形成されている、ことが好ましい。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記画像受容層が昇華染料染着性材料により形成されていることが好ましい。
【0010】
(圧縮弾性率)
本発明の熱転写受容シートは、画像受容層と粘着剤層とを有する受容シート部と、剥離剤層を有する剥離シート部とが剥離可能に積層されたラベルタイプの受容シートである。受容シート部の粘着剤層中に、粘着剤とともに0.3〜30μmの平均粒子径を有する中空粒子を主成分として配合し、受容シート部のシート状支持体の厚さ(A)と、剥離シート部の剥離シート基材の厚さ(B)との比(A)/(B)を、0.35〜2.5とし、熱転写受容シート全体の圧縮弾性率を50MPa以下とすることにより得られた本発明の熱転写受容シートには、それに熱転写プリンターを用いて画像を印画する際にインクリボンのリボンしわや受容シート搬送ロールのニップによる受容シートの印画面の凹み、又はスパイク痕が発生することがなく、かつその感度は高く、記録される画像の均一性も優れたものである。
【0011】
なお熱転写画像印画の際に受容シートに発生するリボンしわは、サーマルヘッドの熱により、インクリボンが局部的に熱収縮し、しわが発生するが、受容シートの圧縮弾性率が低い場合には受容シートがしわの形状に追従して変形することができ、このため、発生したしわの形状は印画面には転写されず良好な外観を示すことができる。しかし、受容シートの圧縮弾性率が高い場合には受容シートがしわの形状に追従して変形することができず、インクリボンに発生したしわの形状がそのまま受容シートの印画面に転写される。
【0012】
本発明の受容シートの圧縮弾性率は、全体として50MPa以下であることが必要であり、好ましくは10MPa以上であり、より好ましくは15〜45MPaである。
受容シートの圧縮弾性率が50MPaを超える場合には、受容シートに画像を印画したとき、この印画面にインクリボンのリボンしわが転写され、画質が悪化することがある。しかし、受容シートの圧縮弾性率が10MPa未満の場合には、剛性(腰)が不十分となり、商品価値を損うことがあるので、受容シートの圧縮弾性率は10MPa以上であることが好ましい。
【0013】
(粘着剤層)
本発明の熱転写受容シートの受容シート部において、シート状支持体の1面上に画像受容層が設けられており、支持体の他の面上に中空粒子と粘着剤とを主成分として含む粘着剤層が形成されている。
粘着剤層中に中空粒子を分散分布させる事により、受容シート全体の圧縮弾性率を低下させることができ、受容シートに適度の変形自由度を与え、プリンターヘッド形状及びインクリボン形状に対する受容シートの追従性、及び密着性が向上するので、高速プリンターの高エネルギー印加画操作において、インクリボンに発生するリボンしわによる印画不良を防止することができる。また受容シートがプリンターのサーマルヘッド及び搬送ロールによる高い圧力を受けても、受容シート内部でこの応力を吸収することが可能となるため、受容シートの搬送ロールによる印画面の凹み及びスパイク痕の形成に対する抵抗性が改善される。また粘着剤層における中空粒子の分散分布は、受容シートの断熱性を向上させ、それにより、低エネルギー状態でも受容層に対するプリンターヘッドの熱効率が向上し、かつ印写される画像の印画濃度を高め、画質を改善することができる。
【0014】
本発明に用いられる中空粒子としては、重合体材料により形成されたシェルと、それにより包囲されている1個以上の中空部とからなるものであり、その平均粒径は0.3〜30μmであり、好ましくは0.3〜25μmである。本発明に用いられる中空粒子は
(イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性材料を加熱発泡させて製造された発泡中空粒子、及び
(ロ)重合体形成性材料をシェル形成用材料として用い、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用い、マイクロカプセル形成重合方法により得られたマイクロカプセルから気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子
から選ばれた少なくとも1種からなるものである。
【0015】
中空粒子として熱膨張性物質含有熱可塑性物質からなる粒子を未発泡状態で使用し、熱転写受容シートの製造時の加熱乾燥、あるいは熱転写記録を行う際の加熱により発泡させて、中空粒子を形成させることも知られている。しかし、上記のようにして受容シートの製造工程中の加熱により熱膨張性物質含有熱可塑性物質を発泡させると、均一な粒子径に発泡させることが難しく、平坦な中空粒子含有粘着剤層が得られず、このため転写された画像の均一性が低下し、不鮮明になる。
また未発泡状態の中空粒子含有粘着剤層を印画時の加熱により発泡させる場合には、本来印画(転写、固着)に使用されるべきエネルギーが未発泡粒子の熱膨張のために消費されるため、受容シートの印画における熱効率が低下し、印画濃度の低下を招く。従って本発明においては、予じめ熱膨張性物質含有熱可塑性物質粒子を熱膨張させて得られた既発泡状態の中空粒子が用いられる。
【0016】
熱膨張性物質含有熱可塑性物質を熱膨張させて得られた既発泡状態の中空粒子は、例えば熱膨張性芯物質として、例えばn―ブタン、i−ブタン、ペンタン、及び/又はネオペンタンのような揮発性低沸点炭化水素を熱可塑性材料中に内包し、熱可塑性材料として塩化ビニリデン、又はアクリロニトリル等の単独重合体或いは共重合体等をカプセルシェル(壁)材として用いて得られた粒子に予め加熱等の処理を施す事により、所定の粒子径に熱膨張させて得られるものである。このような発泡中空粒子として、具体的には(1)日本フェライト社製のエクスパンセル551DE20,461DE,及び461DE20(商標)、(2)松本油脂製薬製の未発泡状態のマツモトマイクロスフェアーF30VS,及びF80GS(商標)等を予め加熱処理して熱膨張させ既発泡状態とした中空粒子を用いてもよい。
【0017】
また上記のような熱膨張性物質含有熱可塑性物質を熱膨張させて得られた発泡中空粒子は、一般に比重が小さいため、その取扱い作業性及び分散性を更に向上させることを目的として、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等の無機粉体を、熱融着により発泡中空粒子表面に付着させ、表面が無機粉体により被覆されている発泡複合中空粒子も本発明に用いることができる。このような発泡複合中空粒子として、例えば(3)松本油脂製薬製のマツモトマイクロスフェアーMFL−80GCA,100SCA,及び30STI(商標)等を用いることができる。
【0018】
本発明で使用し得る発泡中空粒子の平均粒子径は0.3〜30μmであり、0.4〜25μmであることが好ましく、0.5〜20μmであることがより好ましい。
熱膨張性物質含有熱可塑性物質を熱膨張させて得られた発泡中空粒子は、前記マイクロカプセル状中空粒子に比較してクッション性が高く、柔軟性に富むため、その平均粒径が30μm以下であれば本発明に使用可能である。
発泡中空粒子の平均粒子径が0.3μm未満の場合には、得られる受容シートの圧縮弾性率が過度に高く、クッション性が不十分であるため、熱転写画像記録におけるリボンしわの転写防止が不十分になる。また平均粒子径が30μmを超えると、粘着剤層面の平滑性が低下し、得られる熱転写画像の均一性が不十分になり、鮮明性が不十分になる。
【0019】
本発明に使用可能なマイクロカプセル状の中空粒子は、重合体材料、例えばスチレン−アクリル系共重合体あるいはメラミン樹脂等の硬い樹脂をシェル(殻)として、芯部に揮発性液体、例えば水を含有するマイクロカプセルを乾燥して水を揮発逃散させて中空芯部を形成したものである。このマイクロカプセルは、重合体形成性材料(シェル形成材料)、及び揮発性液体(気孔形成用材料)からマイクロカプセル形成重合法により得られる。マイクロカプセル状中空粒子としては、具体的には(4)日本合成ゴム製のJSR−SX863A,及びSX864B(商標)、(5)Rohm&Hass社製のローペークOP−84J,OP−62,及びHP−91(商標)、(6)ホーネンコーポレーション製のホーネンミクロスフェアMB−923,及び925(商標)、等が挙げられる。
【0020】
本発明で使用可能な、マイクロカプセル状中空粒子の平均粒子径は0.3〜30μmであり、一般に0.3〜10μmであることが好ましく、0.4〜8μmであることがより好ましく、0.5〜7μmであることがさらに好ましい。マイクロカプセル状中空粒子の平均粒子径が0.3μm未満の場合には、得られる受容シートの圧縮弾性率が高くなりすぎるという不都合を生じ、クッション性が不十分になるため、熱転写画像記録におけるリボンしわの転写防止効果、受容シート搬送時の圧痕防止効果などが不十分になる。またその平均粒子径が30μmを超えると、得られる粘着剤層面の平滑性が不十分になり、このため得られる熱転写画像の均一性が不十分になる。
【0021】
粘着剤層に含まれる粘着剤固形分に対する中空粒子の配合量は0.1〜2.5質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることがより好ましい。中空粒子の配合量が0.1質量%未満であると、得られる受容シートの圧縮弾性率が高くなりすぎ、クッション性が不十分になるため熱転写画像記録におけるリボンしわ防止効果、受容シートの搬送時の圧痕防止効果が不十分になることがある。また中空粒子の配合量が2.5質量%を超えると、得られる粘着層塗料の塗工性が悪化し、印画画像の均一性も不十分になることがあり、所望の効果が得られないことがある。
【0022】
また粘着剤層の固形分塗工量は5〜30g/m2であることが好ましく、6〜27g/m2であることがより好ましい。粘着剤層の固形分塗工量が5g/m2未満であると、粘着剤層が支持体を完全に覆うことができないことがあり、また、受容シートの粘着適性の悪化及び得られる受容シートの圧縮弾性率が高く、リボンしわ防止、及び圧痕防止などの効果が不十分になることがある。また、それが30g/m2を超えると、そのクッション効果が飽和し、経済的に不利になることがあり、また粘着剤層の周囲から粘着剤がはみだすおそれもある。
【0023】
粘着剤層の粘着剤を構成する樹脂としては、アクリル系、合成ゴム系、天然ゴム系、シリコーン系等の公知の粘着剤用樹脂を用いることができる。
ゴム系樹脂としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等が例示される。粘着剤層の粘着剤を構成する樹脂としてはアクリル系樹脂が最も好ましく用いられる。粘着剤として使用されるアクリル系樹脂は、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等を主成分として含み、これに他の(メタ)アクリル酸エステル(非官能性及び各種の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル)の1種以上、あるいは更にその他の共重合可能なモノマー等を共重合して得られる樹脂を包含する。
【0024】
本発明の粘着剤層は、上記の粘着剤用樹脂とともに、ロジン、変性ロジン、ロジン及び変性ロジンの誘導体、ポリテルペン系樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、及びクマロン−インデン樹脂等の各種の粘着付与剤、イソシアネート系、エポキシ系、及び金属キレート系等の架橋剤、並びに老化防止剤、安定剤、オイル等の軟化剤、充填剤、顔料、及び着色剤等を必要に応じて添加してもよい。これらは必要に応じて2種以上併用することも可能である。
なお粘着付与剤及び架橋剤の添加量は、粘着剤用樹脂、粘着付与剤及び架橋剤の種類や配合量の組み合わせにより適宜に設定することができる。例えば粘着付与剤の添加量は粘着剤固形分に対して5〜50質量%であることが好ましく、また架橋剤の添加量は0.2〜5質量%程度であることが好ましい。
【0025】
粘着剤層は、所要成分を含む粘着剤層用塗布液を、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコーター等のコーターを使用し、常法に従ってシート状支持体の1面上に塗工し、乾燥して形成することができる。粘着剤は剥離シート部の剥離剤層表面に塗工し、乾燥した後、表面に受容層を有するシート状支持体の裏面に貼りあわせてもよいし、1面上に受容層を有するシート状支持体の他の面上に粘着剤層を塗工乾燥後、これに剥離シート部の剥離剤層が接するように貼り合せてもよい。
【0026】
(シート状支持体)
本発明の受容シート部のシート状支持体としては、剥離シート部に用いられる剥離シート基材の種類、組成、厚さなどに応じて、コート紙、アート紙、上質紙、及び発泡紙等の紙基材、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を紙基材にラミネートして製造されたラミネート紙、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂のフィルム、或いは熱可塑性樹脂に空孔発生成分を混合し、1軸及び/又は2軸延伸して製造され、多数の空孔を有する延伸多孔質フィルム、更に複数層のフィルムを同時にまたは順次に積層して得られた多層構造のフィルムが例示される。前記の材料は単独で使用されてもよく、或は、前記材料の2種以上をドライラミネート法、ウェットラミネート法、溶融ラミネート法等の公知の方法により、互に貼りあわせて多層構造とした複合フィルムを使用してもよい。多孔質フィルムは、全体が多孔質構造でもよく、フィルムを構成する一部の層が多孔質であってもよい。
【0027】
受容シート部のシート状支持体としては、ポリエステルあるいはポリオレフィンを主成分とする多孔質延伸フィルムを使用することが好ましい。多孔質延伸フィルムは多数の空孔を有するので熱伝導率が低くなり、断熱性が高く、画像形成時に熱の不必要な拡散を防止して転写感度を向上させることが可能となる。
ポリエステル系多孔質延伸フィルムは、ポリエステル樹脂に、それに非相溶性の樹脂を混合して、あるいはポリエステル樹脂に、それに非相溶性の樹脂と無機及び/又は有機充填剤とを混合して、この混合物から成形されたフィルムを1軸及び/又は2軸延伸して、樹脂フィルム中に多数の空孔を形成させたものである。
ポリオレフィン系(特にポリプロピレン系)多孔質延伸フィルムは、例えばポリプロピレン樹脂に無機及び/又は有機充填剤を混合して、この混合物から成形されたフィルムを1軸及び/又は2軸延伸延伸し樹脂フィルム中に多数の空孔を形成させた合成紙等である。
【0028】
上記の空孔発生成分として、ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の樹脂あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
また多孔質ポリエステル又はポリオレフィンフィルム用無機充填剤としては、白色顔料等が使用でき、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等あるいはこれらの混合物を例示できる。無機充填剤はフィルム中に5〜30質量%程度含有せしめることが好ましい。
【0029】
受容シート部のシート状支持体の厚さは、20〜200μmの範囲内にあることが好ましい。シート状支持体の厚さが20μm未満であると、得られる受容シート部の機械的強度が不十分となることがあり、さらに、その硬さ、及び変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分に防止できないという不都合を生ずることがある。また受容シート部の厚さが20μm未満であると、ラベルとして腰(剛度(こわさ、Stiffness)、反撥性)が不十分になり、また受容シート部と剥離シート部を剥離する際に受容シート部にしわが入り易く商品価値を損なうおそれがある。またシート状支持体の厚さが200μmを超えると、得られる受容シートの厚さが過度に大きくなることがあり、プリンターに収容され得る受容シートの枚数が過少になることがある。この場合、所定枚数の受容シートを収容しようとすると、プリンターの容積を大きくする必要があり、これがプリンターのコンパクト化を困難にすることがある。
【0030】
(受容シート部中間層)
本発明の熱転写受容シートにおいて、受容シート部の、支持体と画像受容層との接着性及び熱転写受容シートの帯電防止性を改善するために、支持体と受容層との間に中間層を設けてもよい。この中間層形成のために使用される樹脂としては、各種の親水性樹脂及び疎水性樹脂を使用することが可能であり、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー及びその誘導体、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸又はその塩、ポリアクリル酸エステル等のアクリル基を含有するポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル等のメタクリル基を含有するポリマー、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、澱粉、変成澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の樹脂を使用することが出来る。また公知の帯電防止剤及び/又は架橋剤を、単独でもしくはその2種以上の混合物として上記の樹脂と併用することもできる。
【0031】
前記中間層の固形分塗工量は0.2〜5g/m2の範囲内にあることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3g/m2である。中間層塗工量が0.2g/m2未満であると、得られる中間層の接着性改善効果が不十分であることがあり、またそれが、5g/m2を超えると、塗膜強度が低下したり、ブロッキングや操業性が悪化することがある。
【0032】
(画像受容層)
本発明の熱転写受容シートにおいて、支持体の一表面上に、中間層を介して、あるいは直接に、画像受容層が設けられる。画像受容層それ自身は既知の染料熱転写受容層であってもよい。画像受容層を形成する樹脂としては、インクリボンから移行する染料に対する親和性が高く、従って染料染着性の良い樹脂が使用される。このような染料染着性樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース誘導体樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0033】
またプリントの際に、サーマルヘッドの加熱によって、画像受容層とインクリボンとが融着することを防止するために、画像受容層用樹脂中に架橋剤、滑り剤、及び離型剤等の1種以上が添加されていることが好ましい。また必要に応じて、上記樹脂中に蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤等の1種以上を添加してもよい。これらの添加剤は塗工前に受容層の形成成分と混合されてもよいし、受容層とは別の被覆層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
【0034】
画像受容層の固形分塗工量は、好ましくは1〜15g/m2程度であり、より好ましくは3〜10g/m2である。画像受容層の塗工量が1g/m2未満では、形成される画像受容層が支持体表面を完全に覆うことができないことがあり、画質の低下を招いたり、サーマルヘッドの加熱によりインクシートと受容層とが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方、塗工量が15g/m2を超えると、塗工効果が飽和し、不経済であるばかりで無く、得られる画像受容層の塗膜強度が不足したり、画像受容層の厚さが過大になることにより、支持体の断熱効果が十分に発揮されず、印画濃度の低下を招来することがある。
【0035】
なお、受容シートの外観の向上及び平滑度向上による印画画像の均一性の向上のためには、中間層を塗工乾燥後、あるいは画像受容層を設けた後に、スーパーカレンダー等の加圧処理による、平滑化処理によって、中間層、又は画像受容層の表面を平滑化することが有効である。
【0036】
本発明の受容シートにおいて、画像受容層、及び中間層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、リップコーター等のコーターを使用し、常法に従って受容層用塗料及び中間層用塗料を塗工、乾燥して形成する事ができる。
【0037】
(剥離シート基材)
本発明の熱転写受容シートの剥離シート部は、剥離シート基材と剥離剤層と裏面樹脂層とからなる。
剥離シート基材としては、セルロースパルプを主成分とする原紙に樹脂等を塗工した目止め処理紙、セルロースパルプを主成分とする原紙の少なくとも片面にポリエチレン系樹脂をラミネートしたポリラミ原紙、ポリオレフィン、又はポリエチレンテレフタレート等の単層或いは多層フィルムが使用される。またこれらのフィルムは延伸処理されたものであってもよく、またそれにより形成された多孔質構造を有していても良い。
【0038】
受容シート部の支持体と剥離シート基材との組み合わせには、格別の制限はなく任意の組み合わせができるが、例えば受容シート部の支持体として多孔質PETを用い、剥離シート部の剥離シート基材として無機顔料含有ポリプロピレン合成紙を用いる組み合わせ、受容シート部支持体として多孔質PETを用い、剥離シート基材として非孔質PETを用いる組み合わせ、受容シート部の支持体及び、剥離シート基材として両方とも多孔質PETを用いる組み合わせ、並びに、受容シート部支持体、剥離シート基材として両方とも無機顔料含有ポリプロピレン合成紙を用いる組み合わせなど、様々な組み合わせが可能である。
【0039】
受容シート部の支持体の厚さ(A)と剥離シート部の剥離シート基材の厚さ(B)との比率(A)/(B)は0.35〜2.5の範囲内にあることが必要であり、好ましくは0.5〜2.0である。比(A)/(B)が0.35未満の場合、受容シート部支持体の厚さが薄く、このことに起因して、プリンターでの印画によるカールが大きくなり、また受容シート部を剥離シート部から剥離する際にしわが入り易く商品価値を損なう。また比(A)/(B)が2.5を超えると、受容シート部支持体の厚さが厚く、このため、受容シート部と剥離シート部との貼りあわせ時のカールコントロールが困難であり、フラットなものを得るのが難しく、また製品を保存した時に発生するカールが大きくなり、外観が悪く商品価値を損なう原因になる。
【0040】
(剥離剤層)
本発明の剥離シート部に用いられる剥離剤層には、従来の剥離剤を使用することができる。剥離剤としてはエマルジョン型、溶剤型、或いは無溶剤型のシリコーン樹脂、及びフッ素樹脂等が好ましく用いられる。この場合剥離剤層の固形分塗工量が好ましくは0.1〜3g/m2程度になるように、更に好ましくは0.3〜1.5g/m2となるように前記剥離シート基材の1面上に剥離剤層用塗料を塗工後、乾燥して、熱硬化、電子線あるいは紫外線硬化等を施す。剥離剤層の固形分塗工量が0.1g/m2未満であると、剥離性能のばらつきが大きくなることがあり、またそれが3g/m2を超えると、剥離作用効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
剥離剤層用塗料の剥離シート基材への塗工方法には特に限定はなく、例えばバーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコーター等が適宜使用できる。
【0041】
(裏面樹脂層)
本発明の熱転写受容シートにおいて、好ましくは剥離シート部の剥離シート基材の剥離剤層に対し、反対側の面に、裏面樹脂層が形成されていてもよく、この裏面樹脂層は帯電防止剤を含有していてもよく、また帯電防止性樹脂から形成されていてもよい。このような構成にすることにより受容シートをプリンターに供給し、プリンター内を走行させ、プリンターから送り出す操作をスムースに行う事が出来る。裏面樹脂層に含まれる帯電防止剤又は帯電防止性樹脂としては、ポリエチレンイミン、カチオン性モノマー含有アクリル樹脂、カチオン変性アクリルアミド樹脂、カチオン変性澱粉等の各種カチオン性帯電防止剤、あるいはアニオン性、ノニオン性帯電防止剤等から適宜選択し、それらの適当量を裏面樹脂層中に含有させればよい。また裏面樹脂層形成用のバインダーとしてはポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、又はアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、及びこれらの樹脂の反応硬化物等を用いることができる。また必要に応じて無機顔料、有機顔料等のフィラーも摩擦係数調整剤として配合してもよい。
【0042】
裏面樹脂層の固形分塗工量は0.3〜10g/m2の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜5g/m2の範囲である。固形分塗工量が0.3g/m2未満であると、重ね合わされた受容シート同士が表裏面間で摩擦された時に生ずる画像受容層面の傷付きを十分に防止出来ないことがあり、また塗膜欠陥が発生し、表面電気抵抗が増大することもある。またそれが10g/m2を超えると、裏面樹脂層の効果が飽和して不経済になることがある。
【0043】
【実施例】
本発明を下記実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0044】
実施例1
(受容シート部の画像受容層、中間層、及び支持体)
無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ75μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:W900J75、三菱化学ポリエステルフィルム製)を受容シート部の支持体として使用し、その一方の面上に下記組成の中間層用塗料―1をバー塗工法により、固形分塗工量が0.5g/m2になるように塗工、乾燥して中間層を形成した。次いでこの中間層上に下記組成の受容層用塗料―1をグラビア塗工法により、固形分塗工量が6g/m2になるように塗工、乾燥して画像受容層を形成した。
中間層用塗料―1
ポリエチレンイミン(商標:エポミンPP−061、日本触媒製) 4質量部
エタノール 100質量部
受容層用塗料―1
ポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡製) 100質量部
シリコーンオイル(商標:KF393、信越化学工業製) 2質量部
イソシアネート(商標:タケネートD−110N、武田薬品製) 6質量部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 350質量部
【0045】
(粘着剤層)
受容シート部支持体の、受容層に対し反対側の面上に、下記組成の粘着剤層用塗料−1を固形分塗工量が15g/m2となるようにグラビア塗工法により塗工し、100℃で乾燥して、粘着剤層を形成した。
粘着剤層用塗料―1
アクリル系粘着剤(商標:PE−115E、日本カーバイト製) 100質量部
イソシアネート硬化剤(商標:CK101、日本カーバイト製) 1質量部
発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA、
平均粒子径20μm、真比重700kg/m3 、松本油脂製薬製)0.5質量部
【0046】
(剥離シート部の作製、貼り合せ)
無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ100μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:W900E100、三菱化学ポリエステルフィルム製)を剥離シート部の剥離シート基材として使用し、その一方の面にシリコーン系剥離剤(商標:KS830、信越化学工業製)を固形分で0.5g/m2となるようにグラビア塗工法で塗工、乾燥して剥離剤層を形成し、更に基材の剥離層に対し、反対側の面に、下記組成の裏面樹脂層用塗料―1を、固形分塗工量が1.3g/m2になるようにバー塗工法で塗工、乾燥して裏面樹脂層を形成し、剥離シート部を作製した。
この剥離シート部の剥離剤層と、受容シート部の粘着剤層とを重ねあわせて貼着し、それによって受容シートを作製した。
裏面樹脂層用塗料―1
アクリル樹脂(商標:リカボンドSAR−615A、中央理化製)100質量部
カチオン系導電剤(商標:ST2000H、三菱油化製) 75質量部
シリカ顔料(商標:PM363、水沢化学製) 30質量部
イソプロピルアルコール 300質量部
トルエン 200質量部
【0047】
実施例2
実施例1と同様にして受容シートを得た。但し、実施例1の粘着剤層用塗料−1において、発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA)の代わりに、発泡中空粒子(商標:エクスパンセル551DE20、平均粒子径20μm、比重60Kg/m3、日本フェライト製)を使用した。
【0048】
実施例3
(受容シート部の画像受容層、中間層、支持体)
無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ75μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:W900J75、三菱化学ポリエステルフィルム製)を受容シート部の支持体として使用し、その一方の面上に下記組成の中間層用塗料―2をバー塗工法により、固形分塗工量が1.2g/m2になるように塗工、乾燥して中間層を形成した。次いでこの中間層上に下記組成の受容層用塗料―2をグラビア塗工法により、固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥して画像受容層を形成した。
中間層用塗料―2
アクリル樹脂(商標:リカボンドSAR−615A、中央理化製) 40質量部
エポキシ樹脂(商標:リカボンドSAR−615B、中央理化製) 5質量部
カチオン系導電剤(商標:ケミスタット9800、三洋化成製) 50質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
水 150質量部
受容層用塗料―2
ポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡製) 100質量部
シリコーンオイル(商標:KF393、信越化学工業製) 3質量部
イソシアネート(商標:タケネートD−120N、武田薬品製) 5質量部
ヒンダードアミン系光安定化剤(商標:アデカスタブLA−63、
旭電化工業製) 3質量部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 400質量部
【0049】
(粘着剤層)
受容シート部支持体の受容層に対し反対側の面上に、下記の粘着剤層用塗料−2を固形分塗工量が15g/m2となるようにグラビア塗工法により塗工し、110℃で乾燥して、粘着剤層を形成した。
粘着剤層用塗料―2
アクリル系粘着剤(商標:TS―1224L、日本カーバイト製)100質量部
マイクロカプセル状中空粒子(商標:ローペークOP−84J、平均粒
子径0.55μm、ローム&ハース製) 0.5質量部
【0050】
(剥離シート部の作製、貼り合せ)
無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ100μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:W900E100、三菱化学ポリエステルフィルム製)を剥離シート部の剥離シート基材として使用し、その一方の面にシリコーン系剥離剤(商標:KS830、信越化学工業製)を固形分で0.5g/m2となるようにグラビア塗工法で塗工、乾燥して剥離剤層を形成した。更に基材の剥離層に対し反対側の面上に下記組成の裏面樹脂層用塗料―2を固形分塗工量が1.8g/m2になるようにバー塗工法で塗工、乾燥して裏面樹脂層を形成して剥離シート部を作製した。
この剥離シート部の剥離剤層と受容シート部の粘着剤層とを重ねあわせて貼着することによって受容シートを作製した。
裏面樹脂層用塗料―2
アクリル樹脂(商標:リカボンドSAR−615A、中央理化製) 50質量部
エポキシ硬化剤(商標:リカボンドSAR−615B、中央理化製) 5質量部
カチオン系導電剤(商標:ST2000H、三菱油化製) 50質量部
シリカ顔料(商標:PM363、水沢化学製) 20質量部
イソプロピルアルコール 350質量部
トルエン 150質量部
【0051】
実施例4
実施例3と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例3の粘着剤層用塗料において、マイクロカプセル状中空粒子(商標:ローペークOP−84J)の代わりにマイクロカプセル状中空粒子(商標:ホーネンミクロスフェアMB927、平均粒子径7μm、ホーネンコーポレーション製)を使用した。
【0052】
実施例5
(受容シート部の画像受容層、中間層、支持体)
無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ50μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:50E63S、東レ製)を受容シート部の支持体として使用し、その一方の面上に下記組成の中間層用塗料―3をバー塗工法により、固形分塗工量が1.0g/m2になるように塗工、乾燥して中間層を形成した。次いでこの中間層上に下記組成の受容層用塗料―3をグラビア塗工法により、固形分塗工量が7g/m2になるように塗工、乾燥して画像受容層を形成した。
中間層用塗料―3
カチオン系導電剤(商標:ST2000H、三菱化学製) 4質量部
イソプロピルアルコール 96質量部
受容層用塗料―3
ポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡製) 100質量部
シリコーンオイル(商標:KF393、信越化学工業製) 3質量部
イソシアネート(商標:タケネートD−120N、武田薬品製) 6質量部
ヒンダードアミン系光安定化剤(商標:アデカスタブLA−63、
旭電化工業製) 4質量部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 300質量部
【0053】
(粘着剤層)
次に、受容シート部支持体の、受容層に対し反対側の面上に、下記組成の粘着剤層用塗料−3を固形分塗工量が16g/m2となるようにグラビア塗工法により塗工し、110℃で乾燥して、粘着剤層を形成した。
粘着剤層用塗料―3
アクリル系粘着剤(商標:AT−191、サイデン化学製) 100質量部
硬化剤(商標:AL、サイデン化学製) 1質量部
発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA、マツモト油脂製薬製) 0.25質量部
【0054】
(剥離シート部の作製、貼り合せ)
無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ100μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:W900E100、三菱化学ポリエステルフィルム製)を剥離シート部の剥離シート基材として使用し、その一方の面にシリコーン系剥離剤(商標:KS830、信越化学工業製)を固形分で0.6g/m2となるようにグラビア塗工法で塗工、乾燥して剥離剤層を形成した、更に基材の剥離層に対し反対側の面上に下記組成の裏面樹脂層用塗料―3を固形分塗工量が2.8g/m2になるようにバー塗工法で塗工、乾燥して裏面樹脂層を形成して剥離シート部を作製した。
この剥離シート部の剥離剤層と受容シート部の粘着剤層とを重ねあわせて貼着することによって受容シートを作製した。
裏面樹脂層用塗料―3
ポリビニルアセタール樹脂(商標:エスレックBX−1、積水化学
製) 6質量部
カチオン系導電剤(商標:ST2000H、三菱化学製) 2質量部
ステアリン酸バリウム(日東化学工業製) 7質量部
イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン=8/2(質量比)
混合液 100質量部
【0055】
実施例6
実施例5と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例5の粘着層用塗料において、発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA)の配合量を2質量部に変更した。
【0056】
実施例7
実施例5と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例5の粘着層用塗料において、発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA)の配合量を0.5質量部に変更し、粘着剤層の固形分塗工量を6g/m2に変更した。
【0057】
実施例8
実施例5と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例5の粘着層用塗料において、発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA)の配合量を0.5質量部に変更し、粘着剤層の固形分塗工量を27g/m2に変更した。
【0058】
実施例9
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例1の受容シート部支持体として、無機顔料を含有し、延伸された厚さ95μmの多孔質ポリプロピレンフィルム(商標:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を使用し、更に剥離シート部の剥離シート基材として、2軸延伸された厚さ50μmの非孔質白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:テトロンU2、帝人製)を使用した。
【0059】
比較例1
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例1の粘着剤層用塗料において、発泡中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA)の代わりに、発泡複合中空粒子(商標:エクスパンセル091DE、平均粒子径40μm、比重30Kg/m3、日本フェライト製)を使用した。
【0060】
比較例2
実施例3と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例3の粘着剤層用塗料において、マイクロカプセル状中空粒子(商標:ローペークOP−84J)の代わりにマイクロカプセル状中空粒子(商標:ボンコートPP−199、平均粒子径0.25μm、大日本インキ製)を使用した。
【0061】
比較例3
実施例5と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例5の粘着層用塗料において、発泡複合中空粒子(商標:松本マイクロスフェアーMFL−80GCA)を用いなかった。
【0062】
比較例4
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例1の受容シート部支持体として、無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ38μmの多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:W900J38、三菱化学ポリエステルフィルム製)を使用し、更に剥離シート部の剥離シート基材として、2軸延伸された厚さ125μmの非孔質白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:テトロンU2、帝人製)を使用した。
【0063】
比較例5
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、実施例1の受容シート部支持体として、無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ100μmの非孔質白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:テトロンU2、帝人製)を使用し、更に剥離シート部の剥離シート基材として、無機顔料を含有し、2軸延伸された厚さ38μmの非孔質白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(商標:テトロンU2、帝人製)を使用した。
【0064】
試験評価
上記の各実施例及び比較例で得られた受容シートについて、それぞれ下記の方法により試験を行い、結果を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0065】
「圧縮弾性率」
JIS K7220(硬質発泡プラスチックの圧縮試験方法)に準じて受容シートの圧縮弾性率を測定した。但し、試験片の高さ(厚さ)は供試受容シートの厚さ(約200μm)であった。また圧縮速度は20μm/minであった。
【0066】
「受容シートの凹み防止性」
市販の熱転写ビデオプリンター(商標:M1、ソニー社製)を改造して、搬送ロールのニップ圧を上昇させた。圧力試験用フィルム(商標:プレスケール、富士写真フィルム社製)を用いて、ニップ圧力を測定評価したところ、200kg/cm2であった。この試験機を使用し、搬送ロールによる受容シートの凹みを目視評価した。凹みが見えないものを○、わずかに凹みがあるが実用上支障のないものを△、凹みの著しいものを×と表記した。
【0067】
「リボンしわの転写防止性」
厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に昇華性染料をバインダーとともに含むインク層を設けたイエロー、マゼンタ、シアンの3色それぞれのインクシートを受容シートの画像受容層に接触させ、市販の熱転写ビデオプリンター(商標:DPP−SV55、ソニー社製)を用いて、3色の色重ねによる黒べた画像を50枚連続的に印画し、リボンしわの転写の有無を目視評価した。印画面にリボンしわの発生の全くないものを○、リボンしわの発生が1枚で実用上支障のないものを△、リボンしわ発生2枚以上で実用不可なものを×と表示した。
【0068】
「印画品質」(印画濃度、画像均一性)
市販の熱転写ビデオプリンター(商標:DPP−SV55、ソニー社製)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアンの3色それぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクシートを順次に受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。受容シート上に転写された印加エネルギー別の記録画像について、マクベス反射濃度計(商標:RD−914、Kollmorgen社製)を用いて、その反射濃度を測定した。最高濃度を示す高濃度階調部の画像の色濃度を印画濃度として評価した。
更に反射濃度(黒)が0.3に相当する階調部分の記録画像の均一性を、濃淡むらの有無、白抜けの有無により目視評価した。評価結果の優秀なものを○、普通のものを△、欠陥の著しいものを×と表示した。
【0069】
「粘着剤のはみ出し防止性」
得られた受容シートを巻き取り、これを巻き戻しながら断裁機で裁断してシート加工を行い、そのときの作業適性を目視評価した。
粘着剤のはみ出しがほとんど無いものを○、粘着剤のはみ出しが若干あるが、実用上問題無いレベルのものを△、粘着剤のはみ出しが多く作業適性が著しく劣るものを×と表示した。
【0070】
「受容シート部の剥離性」
受容シート部を剥離シート部から剥離する際に、画像受容層面に発生する剥離しわの程度を目視評価した。しわの発生がないものを○、しわがわずかに認められるが、実用上問題のないレベルのものを△、しわが著しく外観不良のものを×と表示した。
【0071】
【表1】
Figure 0004233274
【0072】
【発明の効果】
本発明の熱転写受容シートは、全体として適度の圧縮弾性率を有し、高感度、良好な画像均一性、リボンしわの転写のない受容シート部と、それに剥離可能に積層された剥離シート部とからなり、ラベルタイプの受容シートとして実用性に優れたものである。

Claims (5)

  1. シート状支持体と、このシート状支持体の一面上に形成された画像受容層と、前記シート状支持体の他の面上に形成された粘着剤層とを有する受容シート部、並びに剥離シート基材と、この剥離シート基材の一面上に形成された剥離剤層とを有する剥離シート部を含み、前記受容シート部の粘着剤層と、前記剥離シート部の剥離剤層とが、対向して積層されている熱転写受容シートであって、
    下記要件(1),(2),(3)及び(4):
    (1)前記粘着剤層が、重合体材料により形成され、内側に気孔を有し、0.3〜30μmの平均粒子径を有する中空粒子、及び粘着剤とを主成分として含有するものであること、
    (2)前記粘着剤層用中空粒子が、
    (イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料を加熱発泡させて製造された発泡中空粒子、及び
    (ロ)重合体形成性材料をシェル形成用材料として含み、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用いて、マイクロカプセル重合方法により製造されたマイクロカプセルから、前記気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子
    から選ばれた少なくとも1種からなるものであること。
    (3)前記受容シート部のシート状支持体の厚さ(A)と、前記剥離シート部の剥離シート基材の厚さ(B)との比(A)/(B)が、0.35〜2.5の範囲内にあること、及び
    (4)前記受容シート部と前記剥離シート部とを含む熱転写受容シートが、全体として、JIS K 7220に準拠して測定された50MPa以下の圧縮弾性率を有すること、
    のすべてを満たすことを特徴とする熱転写受容シート。
  2. 前記粘着剤層に含まれる粘着剤の固形分質量に対する前記中空粒子の質量の比が0.1〜2.5質量%の範囲内にある、請求項1に記載の熱転写受容シート。
  3. 前記粘着剤層の固形分塗工量が5〜30g/m2である、請求項1又は2に記載の熱転写受容シート。
  4. 前記シート状支持体の少なくとも1表面がポリエステル或はポリオレフィンを主成分とする多孔質延伸フィルムから形成されており、この表面上に前記画像受容層が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
  5. 前記画像受容層が昇華染料染着性材料により形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
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