JP4321398B2 - 熱転写受容シートの印画方法 - Google Patents
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シート支持体の片面に前記インクリボンの染料を受容する画像受容層(以下、単に受容層と略す。)を有する受容シートとを用い、染料層と受容層を重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。特に昇華性を有する染料を用いた染料熱転写方式は高画質のプリントが可能であることから、銀塩写真との置き換えが進みつつある。
(1)染料熱転写シートと重ね合わせ、熱転写プリンターのサーマルヘッドからの熱を印加して画像受容層に画像を形成する熱転写受容シートの印画方法において、前記熱転写受容シートが、画像受容層を内面にして巻かれたロール状熱転写受容シートであり、該ロール状熱転写受容シートが、外径30〜110mmの巻取りシリンダーに巻回され、かつロール状熱転写受容シートの外径が60〜230mmであり、かつ、前記熱転写受容シートに、画像を形成した後に、プリンター内部でカール矯正処理を施す印画方法であり、前記カール矯正処理が、前記熱転写受容シートの裏面(画像受容層が設けられていない側)に、ロール直径30mm以下のデカーラーロール表面を、該デカーラーロールに接触する熱転写受容シートの巻き付け角度20〜180°で接触させ、熱転写受容シートに応力をかけるカール矯正処理であることを特徴とする熱転写受容シートの印画方法。
(2)前記熱転写受容シートが、セルロースパルプを主成分とするシート状支持体の少なくとも一面に、順次設けられた、中空粒子を含有する中間層、および画像受容層を有する(1)の熱転写受容シートの印画方法。
本発明のロール状受容シートは、受容層側を内側にして、必要に応じて巻取りシリンダー上に巻かれた構成を有する。受容層側を内側にして巻き取ることにより、受容層面が外側に露出しないため、取扱い時に受容層に傷が付くことが無く、好ましい形態である。ところが、ロール状受容シートを長時間放置すると、構成する材料の粘弾性的性質と、ロール形態時の曲率により、ロール状に巻いていた時のカールした形状が残り、いわゆる巻き癖が受容シートに付与される。この巻き癖カールの方向は受容層面が凹となるトップカールである。
本発明においては、受容シートにカール矯正処理を施す前及び/又は後に印画を行う。
カール矯正処理は、受容シートの裏面(受容層が設けられていない側)にデカーラーロール表面を接触させて、ロール状受容シートに応力をかける処理を行う。即ち、トップカール状態の巻き癖の付与された受容シートに対して、受容側面が凸となるように、デカーラーロール表面と受容シート裏面とを接触させて応力をかけることによりカール矯正を行う。
また、(2)カール矯正処理を施す前に印画する場合(即ち印画後にカール矯正処理を行う場合)においては、プリンターのサーマルヘッド3の排出側に設けたデカーラーロール2を用いて受容シート1のカール矯正を行うことが可能である。勿論カール矯正処理は、印画前及び印画後の両方で行うことも可能である。またカール矯正処理を熱転写プリンターとは別のカール矯正処理機を用いて行ってもよい。
熱転写プリンターを用いて、受容シートの受容層面に印画すると、サーマルヘッドからの熱が受容層側に選択的に印加されて加熱される為、受容層側が裏面側より大きく熱収縮し、受容シートのカールがトップカールの方向にシフトする。
本発明の受容シートに使用するシート状支持体としては、セルロースパルプを主成分とする紙や合成樹脂フィルム等が使用される。例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙等の紙類、または、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの合成樹脂を主成分とした延伸フィルムや、ポリオレフィンあるいはポリエステル樹脂を主成分とし、更にこれらの樹脂に非相溶性の樹脂及び/又は無機顔料を配合した溶融混合物を押出し機から押出し、更に延伸して空隙を発生させた単層構造または多層構造を有する多孔質延伸フィルム(例えば合成紙、多孔質ポリエステルフィルム)等の各種の合成樹脂フィルム類と紙類等とを積層貼着させた複合シート等が適宜用いられる。
本発明において、シート状支持体上に設けられる中間層は、中空粒子を含有することにより、受容シートの圧縮弾性率を低下させることができ、受容シートに適度の変形自由度を与え、サーマルヘッド形状及びインクリボン形状に対する受容シートの追従性、密着性等が向上するので、低エネルギー状態でも受容層に対するサーマルヘッドの熱効率が向上し、印画される画像の印画濃度を高め、画質を改善することができる。また高速プリンターの高エネルギー印加状態において、インクリボンに発生するリボンしわに起因する印画不良も同時に防止することができる。
本発明の中間層に用いられる中空粒子としては、重合体材料により形成されたシェルと、それにより包囲されている1個以上の中空(気孔)部とからなるものであり、その製造方法は格別の制限はないが、例えば下記のようにして製造されたものから選ぶことができる。
(イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料を加熱発泡させて製造された発泡中空粒子(以下単に、既発泡中空粒子と記す。)。
(ロ)重合体形成性材料をシェル形成用材料として用い、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用いて、マイクロカプセル重合方法により製造されたマイクロカプセルから、気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子(以下単に、マイクロカプセル状中空粒子と記す。)。
なお中空粒子の平均粒子径は、一般的な粒径測定装置を使用して測定可能であり、例えばレーザー回折式粒度分布測定機(商品名:SALD2000、島津製作所製)等を用いて測定される。
また中空粒子の平均粒子径や体積中空率については、例えば小角X線散乱測定装置(商品名:RU−200、リガク社製)等を用いて、中間層の断面写真から求めることも可能である。
本発明において、中間層と受容層との間にバリア層が設けられることが好ましい。一般に、受容層用塗工液の溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤が使用されるため、バリア層は、有機溶剤浸透による中間層の中空粒子の膨潤、溶解による、中空粒子の変形、破壊を防ぐための障壁として有効である。
本発明の受容シートにおいて、前記中間層上に、直接あるいはバリア層を介して、受容層が設けられる。受容層それ自体は既知の染料熱転写受容層であってもよい。受容層を形成する樹脂としては、インクリボンから移行する染料に対する親和性が高く、従って染料染着性の良好な樹脂が使用される。このような染料染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基)を有していることが好ましい。
本発明の受容シートはシート状支持体の裏面(受容層が設けられる側とは反対側の面)に高分子樹脂を主成分とする裏面層が設けられていてもよい。この高分子樹脂は裏面層と支持体との接着強度向上、受容シートのプリント搬送性、受容層面の傷付き防止、受容層面と接触する裏面層への染料の移行防止に有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。また裏面層には、シート状支持体と裏面層との接着性を向上させるため、適宜ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を含有してもよい。
本発明の受容シートにおいては、支持体と中間層との間に、高分子樹脂を主成分とする下塗層を設けてもよい。この下塗層により、中間層用塗工液を支持体上に塗工しても、中間層用塗工液が支持体中に浸透することがなく、中間層を所望の厚さに形成することができる。この下塗層に使用される高分子樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びその変性樹脂等が挙げられる。
「中間層の形成」
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、174.4g/m2、王子製紙製)を使用し、その片面に下記組成の中間層用塗工液−1を、乾燥後の膜厚が51μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した。
中間層用塗工液−1
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率76%、) 45部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
更に上記中間層上に下記組成のバリア層用塗工液−1を、固形分塗工量が2g/m2になるように塗工乾燥してバリア層を形成し、更に上記バリア層上に下記組成の受容層用塗工液−1を、固形分塗工量が5g/m2になるように塗工乾燥し、受容層を形成した。
バリア層用塗工液−1
膨潤性無機層状化合物(ナトリウム4珪素雲母、
粒子平均長径6.3μm、アスペクト比2700) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、クラレ製) 50部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:L−1537、旭化成製) 20部
水 1100部
受容層用塗工液−1
ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡製) 100部
シリコーンオイル(商品名:KF393、信越化学工業製) 3部
ポリイソシアネート(商品名:タケネートD−140N、武田薬品工業製) 5部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 400部
次にシート状支持体の受容層を設けた側とは反対側の面上に下記組成の裏面層用塗工液−1を、乾燥後の固形分塗工量が3g/m2になるように塗工乾燥して裏面層を形成し、その後50℃で48時間エージングした。。更にこの受容シートの表面平滑化のために、カレンダー処理(ロール表面温度78℃、ニップ圧2.5MPa)を行い、受容シートを作成した。
裏面層用塗工液−1
ポリビニルアセタール樹脂(商品名:エスレックKX−1、積水化学工業製) 40部
ポリアクリル酸エステル樹脂(商品名:ジュリマーAT613、日本純薬製) 20部
ナイロン樹脂粒子(商品名:MW330、シントーファイン製) 10部
ステアリン酸亜鉛(商品名:Z−7−30、中京油脂製) 10部
カチオン型導電性樹脂(商品名:ケミスタット9800、三洋化成製) 20部
水/イソプロピルアルコール=2/3(質量比)混合液 400部
上記で得られた受容シートをスリッターに供し、小巻スリット仕上げして、幅127mm、巻長さ80mの小巻ロールを作成し、ロール状受容シートを得た。なおロール状受容シートは受容層塗工面がロールの内面になるように小巻ロール用巻き取りシリンダーに巻き上げた。小巻ロール用巻き取りシリンダーとしては内径2インチの緩衝材付きの紙管(巻き取りシリンダー外径60mm)を使用した。また得られたロール状受容シートの外径は160mmであった。
ロール状受容シートの繰出し給紙部の位置を可変にして、ロール状受容シートのデカーラーロールに対する巻き付け角度が可変になるように調整し、また外径の異なるデカーラーロールを交換できる熱転写プリンターを自作した。なおロール状受容シート繰出し給紙部とサーマルヘッドとの間にデカーラーロールを設置した。また厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に、イエロー、マゼンタ、シアン3色のそれぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクリボンを用意した。
上記で得られた受容層が内側に巻かれた、ロール状受容シートを繰出し給紙部から繰出し、ロール状受容シートのデカーラーロールに対する巻き付け角度が60°になるように調整し、デカーラーロール表面とロール状受容シートの裏面層側が接触するようにして、カール矯正処理を行なった。引き続いて、前記インクリボンの各色のインク層を順次に受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ね画像をプリントした。印画後受容シートはカッター部で、搬送方向の長さが179mmになるように切断して受容シートを排紙トレーに排出した。
参考例1の「画像形成」を以下のように変更した以外は、参考例1と同様にして画像形成を行った。
「画像形成」
熱転写プリンターのサーマルヘッド出側の通紙経路におけるロール位置を可変にして、印画後のロール状受容シートのデカーラーロールに対する巻き付け角度が可変になるように調整し、また外径の異なるデカーラーロールを交換できる熱転写プリンターを自作した。なおサーマルヘッドの出側と切断カッターとの間にデカーラーロールを設置した。また厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に、イエロー、マゼンタ、シアン3色のそれぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクリボンを用意した。
次に、前記インクリボンの各色のインク層を順次に、受容層面が内巻に巻かれた受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ね画像をプリントした。引き続いて、印画されたロール状受容シートのデカーラーロールに対する巻き付け角度が60°になるように調整し、デカーラーロール表面と印画されたロール状受容シートの裏面層側が接触するようにして、カール矯正処理を行なった。カール矯正処理後、受容シートはカッター部で、搬送方向の長さが179mmになるように切断して受容シートを排紙トレーに排出した。
参考例1において、ロール状受容シートにカール矯正処理を施さずに画像形成を行った以外は、参考例1と同様にして画像形成を行った。
各実施例及び比較例で得られた受容シートを用いて、以下の各項目について下記に述べるような方法で評価した。評価結果を表1にまとめた。
印画後の受容シート(巾127mm、長さ179mm)を、受容層面を上と下にして、それぞれ、23℃50%RHで水平な面上に5分間放置した後、受容シートの4隅の最大高さを測定し、最大高さを印画後カールとした。
印画後カールの判定は以下の基準で評価した。なお評価結果が、○または△レベルであれば、実用可能である。
○:バックカール又はトップカールが、0〜5mm。
△:バックカール又はトップカールが、5mmを超え10mm以下。
×:バックカール又はトップカールが、10mmを超える。
各実施例及び比較例の画像形成を20回連続的に繰り返す連続印画を行い、受容シートのプリンタートレーへの排紙性を調査し、下記の基準で評価した。
○:印画された受容シートが、排紙トレー内に正常に排紙される。
×:印画された受容シートが、排紙トレーからはみ出し、排紙トラブルが発生。
2 デカーラーロール
3 サーマルヘッド
4 プラテンロール
Claims (2)
- 染料熱転写シートと重ね合わせ、熱転写プリンターのサーマルヘッドからの熱を印加して画像受容層に画像を形成する熱転写受容シートの印画方法において、前記熱転写受容シートが、画像受容層を内面にして巻かれたロール状熱転写受容シートであり、該ロール状熱転写受容シートが、外径30〜110mmの巻取りシリンダーに巻回され、かつロール状熱転写受容シートの外径が60〜230mmであり、かつ、前記熱転写受容シートに、画像を形成した後に、プリンター内部でカール矯正処理を施す印画方法であり、前記カール矯正処理が、前記熱転写受容シートの裏面(画像受容層が設けられていない側)に、ロール直径30mm以下のデカーラーロール表面を、該デカーラーロールに接触する熱転写受容シートの巻き付け角度20〜180°で接触させ、熱転写受容シートに応力をかけるカール矯正処理であることを特徴とする熱転写受容シートの印画方法。
- 前記熱転写受容シートが、セルロースパルプを主成分とするシート状支持体の少なくとも一面に、順次設けられた、中空粒子を含有する中間層、および画像受容層を有する請求項1に記載の熱転写受容シートの印画方法。
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