JP4345602B2 - 熱転写受容シート、その製造方法及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写シート(インクリボン)と重ね合わせ、サーマルヘッドにより、インクリボンの染料を熱転写して画像を形成する熱転写受容シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、特に染料熱転写プリンターに適し、シート状支持体と画像受容層の間に、中空粒子を含む中間層を有する熱転写受容シート(以下、単に「受容シート」とも称する場合がある。)、その製造方法、及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
近年サーマルプリンターが注目され、特に鮮明なフルカラー画像がプリント可能な染料熱転写プリンターが注目されている。染料熱転写プリンターは、インクリボンの染料を含む染料層と、受容シートの染料染着性樹脂を含む画像受容層(以下、単に「受容層」とも称する場合がある。)とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。インクリボンは、イエロー、マゼンタおよびシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色の染料層領域を順次有する。フルカラー画像は、インクリボンの各色の染料を受容シートに順に繰り返し転写することによって得られる。このような染料熱転写方式のプリンターでは、受容シートが枚葉の状態で供給されるのが一般的である。
染料熱転写方式は、コンピューターによるデジタル画像処理技術等の発達により、記録画像の画質等が格段に向上し、その市場を拡大している。またサーマルヘッドの温度制御技術の向上にともない、プリントシステムの高速、高感度化への要求が高まっている。そのためサーマルヘッド等の加熱デバイスの発熱量を、如何に効率よく画像形成に利用するかが重要な技術課題となっている。またプリンターの低価格化、構造の簡略化等が要望されており、サーマルヘッドによる印画圧の低下や、ヘッド高寿命化等も技術課題となっている。現在、A6サイズ1枚を30秒以内で印画可能なプリンターも発売されており、今後も更に印画の高速化への要求が高まることが予想される。
一般に、高画質、高濃度の画像を効率良く形成するために、支持体上に染料染着性樹脂を主成分とする受容層を設けた受容シートが用いられるが、支持体用基材として、通常のフィルムを使用すると、平滑性に優れるものの、サーマルヘッドからの熱が基材に逃げて記録感度の不足を生じたり、またフィルムでは十分なクッション性がないことから、インクリボンと受容シートとの密着性が不足して、濃度ムラ等が発生する。
この様な問題を解決するために、支持体として発泡フィルムを紙類等の芯材層と貼り合わせた支持体(例えば、特開昭61−197282号公報(特許文献1)参照。)、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を主成分とし、ボイド(空隙)構造を含む2軸延伸フィルム(合成紙)を紙類等の芯材層と貼り合わせた支持体等が提案されている(例えば、特開昭62−198497号公報(特許文献)2参照。)。これらの支持体を使用した受容シートは断熱性、平滑性に優れるが、紙のような質感が無いことやコスト高になる等の欠点がある。
また、紙類を受容シートの支持体として使用すると、フィルム同様に記録感度が不足し、フィルムよりクッション性は若干よいものの、紙の繊維の疎密ムラに起因するインクリボンと受容層との密着ムラによって、印画の濃淡ムラが発生する傾向がある。そこで、転写濃度等の改善のために、紙支持体と受容層との間に中空粒子を含有する中間層を設けた受容シートが開示されている(例えば、特開昭63−87286号公報(特許文献3)、特開平1−27996号公報(特許文献4)参照。)。この受容シートは、中空粒子含有層の断熱性やクッション性の向上効果により感度は改善されるが、中空粒子の影響を受けて受容シート表面に凹凸を生じる傾向がある。
受容シート表面の凹凸の改善に関しては、中間層に用いられる中空粒子の平均粒子径や中空率を規定して、特定の表面粗さや光沢度等を有する受容シートが提案されている(例えば、特開平9−99651号公報(特許文献5)、特開2001−39043号公報(特許文献6)参照。)。また基材シート上に、気泡層及び受容層を含む樹脂層を形成してなる受容シートにおいて、気泡層及び/又は受容層に、平滑化処理を施す方法が提案されている(例えば、特開平6−210968号公報(特許文献7)参照。)。
しかしながら、従来の測定方法による受容層の表面粗さの値と、実際の染料熱転写プリンターによる画像品質には、必ずしも十分な相関はない。特に、現在のような高速で、低印画圧力のプリンターによる印画では、良好な画像品質は得られ難い。また、中空粒子の体積中空率が高くなると、受容シートの表面が傷つき易くなる。すなわち、印画物を取り扱う際に爪やペン先等がシート表面にあたって傷が発生し易くなり、商品価値を著しく低下させるという問題もある。
特開昭61−197282号公報(第1頁) 特開昭62−198497号公報(第1頁) 特開昭63−87286号公報(第1−2頁) 特開平1−27996号公報(第1−3頁) 特開平9−99651号公報(第1−5頁) 特開2001−39043号公報(第2−3頁) 特開平6−210968号公報(第2−4頁)
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の染料シートが有する前述の問題点を解消し、特に染料熱転写プリンターに適し、中空粒子を含有する中間層を設けた受容シートにおいて、高価な合成紙や発泡フィルムを使用することなく、合成紙や発泡フィルムと同等の印画濃度を有し、濃淡ムラや白抜けの画像欠陥を改善した、低コスト、高感度、高画質の熱転写受容シート、その製造方法、及びそれを用いた画像形成方法を提供しようとするものである。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)シート状支持体の少なくとも一面に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次形成した熱転写受容シートの製造方法において、前記シート状支持体の少なくとも一面に、平均粒子径が0.5〜10μmで、かつ体積中空率が75〜95%である中空粒子を含有する中間層用塗工液を塗工、乾燥して前記中間層を設けた後、および/またはこの中間層上に前記画像受容層を設けた後に、加熱ロールとプレスロールからなる一対のロールのニップ部を通して平滑化処理工程を施し、当該熱転写受容シート表面の、マイクロトポグラフを用いて、印加圧力0.1MPa、加圧開始10m秒後に測定された印刷平滑度(Rp値)を、1.5μm以下とし、前記平滑化処理工程の後に、さらに引き続いて、加圧開放の状態で、熱転写受容シート表面を加熱ロールに接触させて加熱する、厚さ復元処理工程を有することを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。
(2)シート状支持体の少なくとも一面に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次形成した熱転写受容シートにおいて、前記中空粒子の平均粒子径が0.5〜10μmで、かつ体積中空率が75〜95%であり、さらに前記熱転写受容シート表面の、マイクロトポグラフを用いて、印加圧力0.1MPa、加圧開始10m秒後に測定された印刷平滑度(Rp値)が、1.5μm以下であることを特徴とする熱転写受容シートを用いて、染料熱転写プリンターにより印画時及び/又は印画後に、熱転写受容シート表面に対して、1.0MPa以上の加圧処理を行う画像形成方法。
本発明の受容シートは、染料熱転写プリンターに適し、中空粒子を含有する中間層を有し、濃淡ムラや白抜け等が改善され、低コストで、高感度、高画質記録が可能であり、極めて品質の優れた受容シートである。さらに本発明の画像処理方法により、印画表面の引掻き傷や当て傷等の発生を改善することが可能となった。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
高感度、高画質の画像を得るために、受容シートとしては、印画時、十分にインクリボンと密着し、更にサーマルヘッドの形状に追従して変形し、サーマルヘッドからの熱を効率良く画像形成に利用する必要がある。従って、受容シートとしては、印画時の印加圧力下において受容シート表面の平滑性が高いことが要求される。
本発明において鋭意検討の結果、マイクロトポグラフを使用し、印加圧力0.1MPaの条件下、加圧開始10m秒(ミリ秒)後に測定した時の、受容シート表面(受容層表面)の印刷平滑度(Rp値)を1.5μm以下とすることにより、高感度、高画質の画像が得られることが判明した。Rp値は、実質的には0〜1.5μmであり、好ましくは0〜1.0μmである。Rp値が1.5μmを超えると、受容シート表面の平滑性が不足して、受容シートの印画濃度及び印画画質が劣ることがある。
なお、本発明における印刷平滑度(Rp値)は、基準平面(プリズム)に圧着した試料表面のくぼみの平均深さに比例した物理量を測定したものであり、測定原理については、日本印刷学会論文集、第17巻第3号(1978)、日本印刷学会第60回春季研究発表会(1978)等に発表されている。一方、製紙業界では、一般的に紙の平滑度を示すのに、ベック平滑度計、王研式平滑度計、あるいはスムースター平滑度計等の空気漏洩量から平滑度を算出する装置が多用されている。しかし、プリンターでの印画を考えた場合、特定条件における印刷平滑度(Rp値)が実際の印画における受容シートとインクリボンを介してのサーマルヘッドとの接触状態を良好に再現できることが判明した。
インクリボンから受容シートの受容層に昇華染料が転写され、画像形成される際に、プリンターのサーマルヘッドとプラテンロール間の押し圧力により、受容シートに印加される圧力は、通常0.1〜0.5MPa程度であり、サーマルヘッドからの熱エネルギーの印加時間は、一般に10m秒以下であり、極めて短時間での加圧下における受容シートの平滑性、即ち受容シートとサーマルヘッドとの接触率が重要であることがわかる。
従来から加圧下でのガラス面と紙との光学的接触率を測定する装置として、正反射平滑度計(「チャップマン平滑度計」ともいう。)が知られている。この正反射平滑度計は熱転写プリントにおける印加圧力を再現可能であるが、接触率の測定値の読み取りは最も速いものでも加圧開始してから数秒かかり、実際の熱転写印画での熱エネルギー印加時間に比較して極めて長時間を要し、実際の印画状態を再現するのにはほど遠い。
一方、印刷平滑度(Rp値)は、最短で加圧開始後10m秒のプリズム面と紙の光学的接触率を測定することにより算出することが可能であり、この接触率から算出されるRp値と印画画質の関係を調査した結果、受容シートのプリズムへの加圧圧力0.1MPaの加圧開始後10m秒後に測定したRp値が、印画画質との相関性が高いことが判明した。また測定装置としては、例えば印刷平滑度試験機(光学接触率測定装置マイクロトポグラフ、東洋精機製作所製)が使用できる。
また本発明の受容シートのJIS K 7220に準じて測定された圧縮弾性率は30MPa以下であることが好ましく、より好ましくは3〜20MPaであり、特に好ましくは4〜16MPaである。受容シートの圧縮弾性率が30MPaを超えると、画質が悪くなったり、印画面にリボンしわが発生して、商品価値が低下することがある。
本発明の受容シートの圧縮弾性率は十分低い値である為、印画時に受容シートがインクリボンを介してサーマルヘッドとプラテンローラーの間に挟まれた時に、受容シート内部が適度に変形してサーマルヘッドと受容シートとの密着性が向上し、優れた記録濃度、画質が得られる。
またサーマルヘッドの熱により、インクリボンは局部的に熱収縮して、しわが発生するが、受容シートの圧縮弾性率が十分に低い為、受容シートがしわの形状に追従して変形することが可能であり、インクリボンに発生したしわの形状は印画面には転写されず良好な外観を示すことができる。しかし圧縮弾性率が高い場合には、受容シートがしわの形状に追従して変形することが十分にできないため、インクリボンに発生したしわの形状は印画面に転写され、外観不良となる。
本発明の受容シートの層構成は、少なくともシート状支持体、中間層、受容層を有し、以下これらの層について詳細に説明する。
(シート状支持体)
本発明のシート状支持体としては、例えば(1)上質紙(酸性紙、中性紙等)、中質紙、コート紙、アート紙、グラシン紙、キャスト塗被紙、少なくとも一方にポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙、合成樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、熱膨張性粒子を含有する発泡紙、板紙等のセルロースパルプを主成分とする紙類、あるいは(2)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂を主成分としたプラスチックフィルム類、更にこれらの樹脂に非相溶性の樹脂や無機顔料を配合した溶融混合物を押出し機から押出し、更に延伸して空隙を発生させた単層構造または多層構造を有する多孔質延伸フィルム(例えば合成紙、多孔質ポリエステルフィルム)等、あるいはこれらのフィルム同士、又はこれらのフィルムと他のフィルム又は紙等とを積層貼着させた複合フィルム、等が適宜用いられる。
上記の各種シート状支持体のうち、セルロースパルプを主成分とする紙類は熱収縮性が低く、断熱性が良好であり、受容紙としての風合いが良好であり、更に価格も安価であることから好ましく使用される。
本発明のシート状支持体としては、受容層が形成される第1の基材層、粘着剤層、離型剤層、第2の基材層を順次積層した構成でもよく、いわゆるステッカー、シールタイプの構造を有するシート状支持体も勿論使用可能である。
本発明で使用されるシート状支持体は100〜300μmの厚さを有することが好ましい。因みに、厚さが100μm未満であると、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度が小さく、変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分に防止できない場合がある。また厚さが300μmを超えると、得られる受容シートの厚さが過大となるため、プリンターにおける受容シートの収容枚数の低下を招いたり、或いは所定の収容枚数を収容しようとすると、プリンターの容積増大を招き、プリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生ずることがある。
(中間層)
本発明においては、シート状支持体の少なくとも片面に中間層を形成する。中間層は、バインダー樹脂と中空粒子とを主成分として多孔質構造を有し、クッション性が高いため、シート状支持体として紙を使用した場合にも高感度の受容シートが得られる。中間層に中空粒子を含有させることにより、受容シートに適度の変形自由度を与え、プリンターヘッド形状及びインクリボン形状に対する受容シートの追従性及び密着性が向上するので、低エネルギー状態でも受容層に対するプリンターヘッドの熱効率が向上し、印画濃度を高め、画質を改善することができる。また高速プリンターの高エネルギー印加操作において、インクリボンに発生するリボンしわに起因する印画不良も同時に防止することができる。
中間層に中空粒子を含有させることにより、受容シートの断熱性が向上し、それにより受容層に対するサーマルヘッドの熱効率が向上するので印画濃度が上昇し、画質も改善される。また受容シートがプリンターのサーマルヘッド及び搬送ロールによる高い圧力を受けても、受容シート内部でこの応力を吸収することが可能となる為、受容シートの搬送ロールによる印画面のスパイク痕や凹みの形成に対する抵抗性が改善される。
本発明の中間層において使用される中空粒子は、重合体材料により形成されたシェルと、それにより包囲されている1個以上の中空部とからなるものであり、中空粒子の製造方法については格別の制限はないが、下記(イ)、(ロ)のようにして製造されたものの中から選ぶことができる。
(イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料を熱膨張させて製造された発泡中空粒子(以下「既発泡中空粒子」とも称する場合がある。)。
(ロ)重合体形成性材料をシェル形成性用材料として用い、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用いて、マイクロカプセル重合方法により製造されたマイクロカプセルから、前記気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子。
また、中空粒子として、熱膨張性物質を含有する熱可塑性物質からなる粒子(発泡性粒子)を未発泡状態で使用し、受容シートの製造時の加熱工程、例えば乾燥工程の熱により発泡させて、発泡中空粒子を形成することも考えられる。しかし上記のように、受容シートの製造工程中の加熱により熱膨張性物質を含有する熱可塑性物質を発泡させると、均一な粒子径に発泡させることが難しく、熱膨張後の粒子径を厳密に管理できないため、中間層の表面は凹凸の大きい表面となり、平滑性が劣ることがある。前記のような中間層を有する受容シートは受容層表面の凹凸も大きくなる為、熱転写された画像の均一性が低下して画質が劣ることがある。従って、本発明においては、予め熱膨張性物質を含有する熱可塑性物質からなる粒子を熱膨張させて製造された既発泡中空粒子が好ましく用いられる。
熱膨張性物質含有熱可塑性物質を熱膨張させて製造された既発泡中空粒子は、例えば熱膨張性芯物質として、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン、及び/又はネオペンタンのような揮発性低沸点炭化水素を熱可塑性材料中に内包し、熱可塑性材料として塩化ビニリデン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等の単独重合体或いは共重合体等をカプセルシェル(壁)材として用いて得られた粒子に予め加熱等の処理を施す事により、所定の粒子径に熱膨張させ、既発泡中空粒子としたものである。
また上記のような熱膨張性物質含有熱可塑性物質を熱膨張させて製造された既発泡中空粒子は、一般に比重が小さい為、その取扱い作業性及び分散性を更に向上させることを目的として、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等の無機粉体を、熱融着によりこの既発泡中空粒子表面に付着させ、表面が無機粉体により被覆されている発泡複合中空粒子も本発明に使用できる。
本発明に使用するマイクロカプセル状の中空粒子は、重合体材料、例えばスチレン−アクリル系共重合体あるいはメラミン樹脂等の硬い樹脂をシェル(殻)として、芯部に揮発性液体、例えば水を含有するマイクロカプセルを乾燥して、水を揮発逃散させて中空芯部を形成させたものである。このマイクロカプセルは、重合体形成性材料(シェル形成材料)、及び揮発性液体(気孔形成用材料)からマイクロカプセル形成重合法により得られる。
本発明に使用する中空粒子の平均粒子径は0.5〜10μmであり、好ましくは0.8〜8μmである。中空粒子の平均粒子径が0.5μm未満の場合には、得られる中空粒子の体積中空率が低い為、断熱性、クッション性が概して低くなる為に、感度及び画質向上効果が十分に得られないことがある。また平均粒子径が10μmを超えると、得られる中間層表面の平滑性が低下し、受容シート表面の凹凸が増加して、熱転写画像の均一性が不十分で、画質が劣ることがある。
また、本発明で使用する中空粒子の最大粒子径は25μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。中空粒子の最大粒子径が25μmを超えると、熱転写画像において、粗大粒子に起因する印画の濃淡ムラや白抜けが発生して、画質が劣ることがある。中空粒子中に最大粒子径が25μmを超える粗大粒子を含まないようにする為には、一般的に正規分布の状態を示す中空粒子の製造においては、平均粒子径の設定値を調節することで対応することが可能である。また粒子の分級工程を設けることによって、確実に粗大粒子を含有しない中空粒子を得ることができる。
なお、本明細書記載の中空粒子の粒子径は、一般的な粒径測定装置を使用して測定可能であり、レーザー回折式粒度分布測定器(商品名:SALD2000、島津製作所製)を用いて測定した値である。
本発明において使用する中空粒子の体積中空率は75〜95%が好ましい。体積中空率が75%未満では、画質が低下することがある。また体積中空率が95%を超えると、塗工層の強度が劣り、塗工、乾燥時に中空粒子が破壊されて表面平滑度の低下を招くことがある。
また、中空粒子の体積中空率の測定は、測定用器具として、直示化学天秤(感量1mg)、メスフラスコ(100ml容)、篩(12mesh)を用い、また試薬としてイソプロピルアルコール(IPA)を使用し、中空粒子は、予め45℃で48時間乾燥したものを測定用試料とする。真比重は、下記手順により測定する。
(1)メスフラスコを精秤する(W1)。
(2)メスフラスコにサンプル約0.5g入れ、精秤する(W2:メスフラスコ+サンプル)。
(3)IPAを標線まで加え、精秤する(W3:メスフラスコ+サンプル+IPA)。
(4)ブランクとしてメスフラスコにIPAを標線まで加え精秤する(W4)。
真比重、及び中空率は下記式により算出する。
真比重=A/B
但し A=(W2−W1)×{(W4−W1)/100}
B={(W4−W1)−(W3−W2)}
中空率(%)={1−1/(膜材の比重/真比重)}×100
中間層における中空粒子の配合量は、中間層全体の全固形分質量に対する中空粒子質量の比率で30〜75%の範囲が好ましく、35〜70%の範囲がより好ましい。中間層全体の全固形分質量に対する中空粒子の質量比率が30%未満では、中間層の断熱性や、クッション性が不十分となり、感度及び画質向上効果が十分に得られないことがある。また中空粒子の質量比率が75%を超えると、得られる中間層用塗料の塗工性が低下して、塗膜強度が不十分となることがあり、所望の効果が得られないことがある。
中間層が、所望の断熱性、クッション性等の性能を発揮する為には、中間層の膜厚は20〜90μmが好ましく、さらに好ましくは25〜85μmである。中間層の膜厚が20μm未満では断熱性やクッション性が不足し、感度及び画質向上効果が不十分なことがある。また膜厚が90μmを超えると、断熱性やクッション性の効果が飽和し、それ以上の性能が得られないばかりか、経済的にも不利となることがある。
本発明の中間層は中空粒子と接着剤樹脂を含有する。本発明の中間層用塗料は、中空粒子の耐溶剤性を考慮すると、水性系塗料であることが好ましい。従って、接着剤樹脂は水性、有機溶剤性の両者が使用可能であるが、水性系樹脂であることがより好ましい。使用される接着剤樹脂としては特に限定されず、例えばポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂及びその誘導体、カゼイン、デンプン誘導体等の親水性高分子樹脂が成膜性、耐熱性、可撓性の観点から好ましく使用される。また(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の各種樹脂のエマルジョンが、低粘度高固形分の水系樹脂として使用される。なお中間層の塗膜強度、接着性、塗工性の面から中間層に使用される接着剤樹脂は、上記の親水性高分子樹脂と各種樹脂のエマルジョンを併用することが好ましい。
中間層には、必要に応じて各種の添加剤、例えば帯電防止剤、無機顔料、有機顔料、樹脂の架橋剤、消泡剤、分散剤、有色染料、離型剤、滑剤等の1種或いは2種以上を適宜選択して使用してもよい。
(バリア層)
本発明においては、必要により中間層上にバリア層を設けてもよく、このバリア層上に受容層が設けられる。このバリア層は、受容層用塗料の溶媒が概してトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤であり、有機溶剤浸透による中間層の中空粒子の膨潤、溶解による破壊を防ぐための障壁として有効である。また、中間層表面は中間層の中空粒子に起因する凹凸がある為、その上に設ける受容層も表面に凹凸を有することがあり、得られる画像はこの凹凸により、白抜けや濃淡ムラが多く、画像均一性や解像力に問題の生ずることがある。この不具合を改善する為に、柔軟性、弾力性のあるバインダー樹脂を含有するバリア層を設けることは画像品質向上に有効である。
バリア層に使用される樹脂としては、フィルム形成能に優れ、有機溶剤の浸透を防止し、弾力性、柔軟性のある樹脂が使用される。具体的には、デンプン、変性デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂等の水溶性高分子樹脂が水溶液として使用される。またスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル樹脂系ラテックス、メタアクリル酸エステル系共重合樹脂ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス、ポリエステルポリウレタンアイオノマー、ポリエーテルポリウレタンアイオノマーなどの水分散性樹脂も使用することができる。上記の樹脂の中でも、水溶性高分子樹脂が好ましく使用される。また上記の樹脂は単独で使用しても、あるいは2種以上を併用してもよい。
また前記の中間層及びバリア層中には隠蔽性や白色性の付与、受容シートの質感を改良するために、無機顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、タルク、カオリン、珪藻土、サチンホワイト等の白色無機顔料や蛍光染料等を含有させてもよい。無機顔料として、好ましくは膨潤性無機層状化合物が使用され、塗工用溶剤の浸透防止ばかりでなく、熱転写染着画像のニジミ防止等においても優れた効果が得られる。膨潤性無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物(例えば合成マイカ、合成スメクタイト、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等)等を挙げることができる。
本発明のバリア層は、好ましくは水系塗工液を用いて形成される。水系塗工液は中空粒子の膨潤及び溶解を防ぐために、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、DMF、セロソルブ等の高沸点高極性系溶剤等の有機溶剤を含有しないことが好ましい。バリア層の固形分塗工量は0.5〜10g/m2の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜8g/m2の範囲である。因みにバリア層固形分塗工量が0.5g/m2未満ではバリア層が中間層表面を完全に覆うことができない場合があり、有機溶剤の浸透防止効果が不十分である場合がある。一方、バリア層固形分塗工量が10g/m2を超えると、塗工効果が飽和し、不経済であるばかりでなく、バリア層の厚さが過大となることによって中間層の断熱効果やクッション性が十分に発揮されず画像濃度の低下を招くことがある。
(受容層)
本発明の受容シートにおいて、中間層上にあるいはバリア層を介して受容層が設けられる。受容層それ自体は既知の染料熱転写受容層であってもよい。受容層を形成する樹脂としては、インクリボンから移行する染料に対する親和性が高く、従って染料染着性の良い樹脂が使用される。このような染料染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基)を有していることが好ましい。
またプリントの際にサーマルヘッドでの加熱によって、受容層とインクリボンとが融着することを防止する為に、受容層中に、架橋剤、離型剤、滑り剤等の1種以上が添加剤として配合されていることが好ましい。また必要に応じて、上記の受容層中に蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、紫外線吸収剤等、帯電防止剤等の1種以上を添加してもよい。これらの添加剤は塗工前に受容層の形成成分と混合されてもよいし、また受容層とは別の塗被層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
受容層の固形分塗工量は1〜12g/m2が好ましく、より好ましくは3〜10g/m2の範囲である。因みに受容層の固形分塗工量が1g/m2未満では、受容層がバリア層表面を完全に覆うことができない場合があり、画質の低下を招いたり、サーマルヘッドの加熱により、受容層とインクリボンとが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方、固形分塗工量が12g/m2を超えると、効果が飽和して不経済であるばかりでなく、受容層の塗膜強度が不足したり、塗膜厚さが過大になることにより、シート状支持体の断熱効果が十分に発揮されず画像濃度の低下を招くことがある。
(裏面層)
本発明の受容シートは、シート状支持体の裏面(受容層が設けられる側とは反対側の面)に裏面層が設けられていてもよい。裏面層は接着剤として有効な樹脂を主成分とし、架橋剤、導電剤、融着防止剤、無機及び/又は有機顔料等を含んでいてもよい。
本発明の裏面層には、接着剤として有効な裏面層形成用樹脂が用いられる。この樹脂は裏面層とシート状支持体との接着強度向上、受容シートのプリント搬送性、受容層面の傷付き防止、受容層面と接触する裏面層への染料の移行防止に有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。
本発明の裏面層には、シート状支持体と裏面層との接着性を向上させるため、適宜ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を裏面層塗料中へ配合してもよい。配合比率としては一般に裏面層全固形分に対して1〜30質量%程度が好ましい。
本発明の裏面層には、プリント搬送性の向上、静電気防止の為に導電性高分子や導電性無機顔料等の導電剤が添加されていてもよい。導電性高分子としてはカチオン型、アニオン型、ノニオン型の導電性高分子化合物があり、カチオン型高分子化合物としては、例えばポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等が挙げられる。またアニオン型高分子化合物としてはポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。導電剤の配合比率は一般に裏面層の全固形分に対して5〜50質量%程度が好ましい。
また導電性無機顔料としては、酸化物及び/又は硫化物などの化合物半導体顔料および前記化合物半導体顔料を被覆した無機顔料等が挙げられる。化合物半導体としては酸化銅(I)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭化珪素などが例示される。また化合物半導体を被覆した無機顔料としては、半導体酸化錫を被覆した酸化チタン及びチタン酸カリウム等があり、形状として針状、球状の導電性無機顔料が市販されている。
本発明の裏面層には必要に応じて、有機または無機フィラーを摩擦係数調整剤として配合することができる。有機フィラーとしては、ナイロンフィラー、セルロースフィラー、尿素樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル樹脂フィラー等を使用することができる。無機フィラーとしては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。例えばナイロンフィラーの場合、平均粒子径は1〜25μm程度が好ましく、その配合量は粒子径にもよるが、裏面層全固形分に対して2〜30質量%程度が好ましい。
裏面層には必要に応じて、滑剤、離型剤等の融着防止剤を含有することも可能である。例えば、融着防止剤としては、非変性及び変性シリコーンオイル、シリコーンブロック共重合体及びシリコーンゴム等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。また従来公知の消泡剤、分散剤、有色顔料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用してもよい。
裏面層の固形分塗工量は0.3〜10g/m2の範囲内にあることが望ましい。更に好ましくは1〜8g/m2である。裏面層固形分塗工量が0.3g/m2未満であると、受容シートが擦れた時の傷付き防止性が十分に発揮されず、また塗工欠陥が発生し、表面電気抵抗値が上がる場合がある。一方固形分塗工量が10g/m2を超えると、効果が飽和して不経済である。
(下塗層)
本発明の受容シートにおいては、支持体と中間層との間に、高分子樹脂を主成分とする下塗層を設けてもよい。この下塗層により、中間層用塗工液を支持体上に塗工しても、塗工液が支持体中に浸透することがなく、中間層を所望の厚さに形成することができる。この下塗層に使用される高分子樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びその変性樹脂等が挙げられる。
本発明で支持体として、例えば紙基材を使用した場合には、水系の塗工液からなる下塗層を塗工すると、紙基材表面の吸水性のムラにより、紙基材にしわやうねりが発生して、質感や印画適性に悪影響が出る事がある。従って、このような場合、下塗層用塗工液は水系でなく、有機溶剤に高分子樹脂を溶解或いは分散させた塗工液を使用するのが好ましい。使用可能な有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、酢酸エチル等の一般的な有機溶剤を挙げることができる。
また下塗層には、下塗層用塗工液自体の塗工性改善、支持体及び中間層との密着性向上、受容シートの白色度向上のため、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料を添加してもよい。下塗層の固形分塗工量は1〜20g/m2の範囲が好ましい。固形分塗工量が1g/m2未満では、下塗層の効果が得られないことがあり、固形分塗工量が20g/m2を超えると下塗層の効果が飽和して不経済となり、また受容シートの紙としての質感が失われることがある。
本発明の受容シートの製造方法としては、少なくとも下記のような工程を含む。
シート状支持体の少なくとも一面に、(a)平均粒子径が0.5〜10μmで、かつ体積中空率が75〜95%である中空粒子を含有する中間層用塗工液を塗工、乾燥して中間層を設け後、および/または(b)この中間層上に画像受容層を設けた後に、(c)加熱ロールとプレスロールからなる一対のロールのニップ部を通して平滑化処理工程を施すことを特徴とし、受容シート表面の、マイクロトポグラフを用いて、印加圧力0.1MPa、加圧開始10m秒後に測定される印刷平滑度(Rp値)を、1.5μm以下に調整する。
さらに、前記中間層を設ける工程(a)の後に、中間層上に、さらにバリア層を設けるのが好ましく、バリア層上に受容層を設ける。シート状支持体の受容層が設けられていない側に、裏面層を設ける工程を有していてもよい。
本発明において、中間層、バリア層、受容層、裏面層、及びその他の塗工層は、常法に従って形成され、各々、所要成分を含む塗工液を調製し、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコーター、及びスライドビードコーター等の公知のコーターを使用して、シート状支持体の所定の面上に塗工し、乾燥後、必要に応じて加熱キュアーして、形成することができる。
例えば、中間層を塗工する際に、成型面を使用してもよく、金属板、金属ドラム、プラスチックフィルム等の寸法安定性が良好でかつ高平滑な面を有するものを用いてもよい。また必要に応じて成型面から中間層を剥離することを容易にする為に、成型面にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸系離型剤、ポリエチレンエマルジョン等のポリエチレン系離型剤、ワックス、シリコーン等の離型剤が塗工されていてもよい。
本発明の受容シートの製造方法において、平滑化処理工程として、例えば一定のクリアランスを設けた、加熱ロールとプレスロールからなる一対のロール間に受容シートを通して受容シート表面の凹凸を減少させて平滑にするカレンダー処理を行うことが好ましい。この際、一対のロール間に熱と圧力を加えることができる。
平滑化処理は最終的に得られる受容シート表面の、マイクロトポグラフを用いて、印加圧力0.1MPa、加圧開始10m秒後に測定された印刷平滑度(Rp値)が、1.5μm以下となればよく、平滑化処理は、シート状支持体表面、中間層表面、バリア層表面、受容層表面等のいずれに施してもよい。特に中間層表面、受容層表面に平滑化処理を施すことが好ましい。また平滑化処理は2種以上の表面に対して行うことも、勿論可能である。
平滑化処理に使用されるカレンダー装置やニップ圧、ニップ数、加熱ロール表面温度等の種々の処理条件については特に限定されるものではないが、カレンダー装置としては、例えばスーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー、マシンカレンダー、クリアランスカランダー等の一般に製紙業界で使用されているカレンダー装置を適宜使用できる。
平滑化処理の好ましいニップ圧力条件としては、例えば0.2〜150MPaであり、より好ましくは0.3〜100MPaである。またニップ部での受容シートの滞留時間は、プレスロールの硬さ、カレンダーの線圧、処理速度等の影響が大であるが、5〜500m秒の範囲が好ましい。加熱ロールの温度条件としては、室温から、平滑化処理を行う塗工層のバインダーの融点以下の温度範囲が好ましく、例えば20〜150℃、更に好ましくは30〜120℃である。また加熱ロールの表面粗さは、JIS B 0601に基くRa値が、0.01〜5μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜1μmの範囲である。
本発明の受容シートの製造方法は、図1の説明図に示すように、前記平滑化処理工程に引き続いて直ちに、加圧開放の状態で、加熱ロールに受容シートを接触させて加熱する厚さ復元処理工程を含んでもよい。受容シートは、加熱ロールとプレスロールからなる一対のロール間で形成される加圧状態のニップ部を通すことで平滑化処理されると、その平滑度は向上するが、受容シートの内部、特に中間層が圧縮されて厚さが減少する。この受容シートをニップ部通過後直ちに加圧開放の状態で加熱ロールと接触させると、特に中間層が膨張し、厚さが増加するため、中間層全体の密度が減少し、受容シートの印画濃度を高めることが可能となる。
厚さ復元処理工程における加熱ロールの温度は、前記平滑化処理における加熱ロールの条件と同一でもよく、20〜150℃が好ましく、更に好ましくは30〜120℃の範囲である。また受容シートと加熱ロールとの接触時間は0.5秒以上が好ましく、更に好ましくは1秒以上である。
(画像形成方法)
現在市販されている昇華熱転写プリンターにおいて、インクリボンから受容シートの受容層に昇華染料が熱転写され、画像形成される際に、プリンターのサーマルヘッドとプラテンロール間の押し圧力により、受容シートに印加される圧力は0.1〜0.5MPa程度である。
本発明の受容シートは、印画物表面の強度を向上させるために、印画時及び/又は印画後に、受容シート表面に対して、1.0MPa以上の加圧処理を行うことが好ましく、1.5〜5MPaの加圧処理を行うのがより好ましい。
受容シート表面の加圧処理については、下記(1)〜(4)のような方法が例示される。
(1)通常条件での印画の後、ニップロール圧を調整して、受容シートに対して所定の加圧処理を行う。
(2)通常条件での印画の後、プラテンロールの押え圧を調整して、受容シートに対して所定の加圧、通紙処理を行う。
(3)印画方法が、イエロー、マゼンタ、シアンの3回転写処理である場合、最後のシアン転写時にプラテンロールの押え圧を調整して、受容シートに対して所定の加圧、転写処理を行う。
(4)印画方法が、イエロー、マゼンタ、シアン、透明保護層の4回転写処理である場合、最後の透明保護層転写時にプラテンロールの押え圧を調整して、受容シートに対して所定の加圧、転写処理を行う。
上記方式の選択は、装置のコスト、処理速度、制御の容易さなどを考慮して適宜行われる。
下記実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」は、溶剤に関するものを除き、固形分の「質量%」及び「質量部」を示す。
実施例1
「裏面層の形成」
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、174.4g/m2、王子製紙製)を使用し、その片面に下記組成の裏面層用塗工液−1を乾燥後の固形分塗工量が3g/m2になるように塗工、乾燥して裏面層を形成した。
裏面層用塗工液−1
ポリビニルアセタール樹脂
(商品名:エスレックKX−1、積水化学工業製) 40部
ポリアクリル酸エステル樹脂
(商品名:ジュリマーAT613、日本純薬製) 20部
ナイロン樹脂粒子(商品名:MW330、シントーファイン製) 10部
ステアリン酸亜鉛(商品名:Z−7−30、中京油脂製) 10部
カチオン型導電性樹脂(商品名:ケミスタット9800、三洋化成製) 20部
水/イソプロピルアルコール=2/3(質量比)混合液 400部
「中間層の形成」
次にシート状支持体の裏面層を設けた側と反対側の面上に、下記組成の中間層用塗工液−1を、乾燥後の膜厚が43μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成し、さらに表面の平滑化のためにカレンダー処理(ロール表面温度80℃、ニップ圧2.5MPa)を行った。
中間層用塗工液−1
ポリ塩化ビニリデン系既発泡中空粒子
(体積中空率93%、平均粒子径4μm、最大粒子径20μm) 35部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 200部
「受容シートの作成」
更に上記中間層上に、下記組成のバリア層用塗工液−1を固形分塗工量が2g/m2になるように塗工、乾燥してバリア層を形成し、このバリア層上に、下記組成の受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥し、その後50℃で48時間キュアーして受容層を形成し、受容シートを作成した。
バリア層用塗工液−1
ポリビニルアルコール(商品名:PVA420、クラレ製) 100部
水 1000部
受容層用塗工液−1
ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡製) 100部
シリコーンオイル(商品名:KF393,信越化学工業製) 3部
ポリイソシアネート(商品名:タケネートD−140N、武田薬品工業製) 5部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 400部
「画像形成処理」
市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:UP−DR100、ソニー社製)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアンの3色それぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクリボンの各インク層を順次に受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。得られた画像シートを1.5MPaに加圧した金属ロール(印画面に接触、直径30mm)とゴムロール(裏面に接触、直径30mm)の間を通過させた。
実施例2
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−2を用い、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗工、乾燥して、中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−2
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率79%、平均粒子径3.6μm、最大粒子径19μm) 35部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 200部
実施例3
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−3を用い、乾燥後の膜厚が40μmになるように塗工、乾燥して、中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−3
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率79%、平均粒子径3.6μm、最大粒子径19μm) 55部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 30部
水 200部
実施例4
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−4を用いて、乾燥後の膜厚が50μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−4
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率80%、平均粒子径8.0μm、最大粒子径25μm) 35部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 200部
実施例5
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−5を用い、乾燥後の膜厚が65μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−5
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率88%、平均粒子径4.4μm、最大粒子径20μm) 55部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 30部
水 200部
実施例6
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−6を用い、乾燥後の膜厚が33μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−6
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率77%、平均粒子径5.2μm、最大粒子径24μm) 45部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 40部
水 200部
実施例7
実施例1と同様にして作成した受容シートを用いて、以下の方法で印画後、保護層の形成の際に加圧処理を行った。
「画像形成処理」
市販の熱転写ビデオプリンター(サーマルヘッド/プラテンロール圧0.8MPa)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアンの3色それぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクリボンの各インク層を順次に受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。
得られた画像シートを、サーマルヘッドとプラテンロール間の圧力を4.5MPaに調整した後、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に透明樹脂層を設けたシートを、受容シートに接触させ、サーマルヘッドで加熱を施すことにより、保護層を受容シートに熱転写させた。
実施例8
実施例1と同様にして作成した受容シートを用いて、印画後、保護層の形成の際に、サーマルヘッドとプラテンロール間の圧力を元のまま(0.8MPa)で、保護層を受容シートに熱転写させた以外は、実施例7と同様に画像形成処理を行った。
実施例9
「裏面層の形成」
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、174.4g/m2、王子製紙製)を使用し、その片面に裏面層用塗工液−1(実施例1で調製)を
固形分塗工量が3g/m2になるように塗工、乾燥して裏面層を形成した。
「中間層の形成」
次にシート状支持体の裏面層を設けた側と反対側の面上に、中間層用塗工液−2(実施例2で調製)を、乾燥後の膜厚が53μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した。
「受容シートの作成」
更に上記中間層上に、バリア層用塗工液−1(実施例1で調製)を固形分塗工量が2g/m2になるように塗工、乾燥してバリア層を形成し、このバリア層上に、受容層用塗工液−1(実施例1で調製)を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥し、その後50℃で48時間キュアーして受容層を形成した。さらに表面の平滑化のためにカレンダー処理(ロール表面温度78℃、ニップ圧2.5MPa)を行い、受容シートを作成した。
「画像形成処理」
得られた受容シートを用いて、実施例7と同様に印画後、保護層の形成の際に加圧して画像形成処理を行った。
実施例10
実施例9において「受容シートの作成」を以下のように変更して受容シートを形成した以外は実施例9と同様にして画像形成処理を行った。
「受容シートの作成」
実施例9の「裏面層の形成」及び「中間層の形成」で得られた、前記中間層上に、バリア層用塗工液−1(実施例1で調製)を固形分塗工量が2g/m2になるように塗工、乾燥してバリア層を形成し、このバリア層上に、受容層用塗工液−1(実施例1で調製)を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥し、その後50℃で48時間キュアーして受容層を形成した。さらに、受容層表面の平滑化のためにカレンダー処理(ロール表面温度78℃、ニップ圧2.5MPa)を行い、直ちに圧力開放下で、受容層面を表面温度78℃のロールに2秒間接触させて厚さ復元処理を行い、受容シートを得た。
「画像形成処理」
得られた受容シートを用いて、実施例7と同様に印画後、保護層の形成の際に加圧して画像形成処理を行った。
実施例11
「裏面層の形成」
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、174.4g/m2、王子製紙製)を使用し、その片面に裏面層用塗工液−1(実施例1で調製)を乾燥後の固形分塗工量が3g/m2になるように塗工、乾燥して裏面層を形成した。
「中間層の形成」
次にシート状支持体の裏面層を設けた側と反対側の面上に、中間層用塗工液−5(実施例5で調製)を、乾燥後の膜厚が65μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した。
「受容シートの作成」
更に上記中間層上に、バリア層用塗工液−1(実施例1で調製)を固形分塗工量が2g/m2になるように塗工、乾燥してバリア層を形成し、このバリア層上に、受容層用塗工液−1(実施例1で調製)を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥し、その後50℃で48時間キュアーして受容層を形成した。さらに、受容層表面の平滑化のためにカレンダー処理(ロール表面温度78℃、ニップ圧2.5MPa)を行い、直ちに圧力開放下で、受容層面を表面温度78℃のロールに2秒間接触させて厚さ復元処理を行い、受容シートを得た。
「画像形成処理」
得られた受容シートを用いて、実施例7と同様に印画後、保護層の形成の際に加圧して画像形成処理を行った。
比較例1
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−7を用いて、乾燥後の膜厚が35μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−7
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率97%、平均粒子径4.4μm、最大粒子径20μm) 35部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 200部
比較例2
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−8を用いて、乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−8
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 85部
水 200部
比較例3
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−9を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−9
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率77%、平均粒子径15.0μm、最大粒子径35μm) 35部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 200部
比較例4
中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−10を用いて、乾燥後の膜厚が60μmになるように塗工、乾燥して中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
中間層用塗工液−10
アクリロニトリル及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体系既発泡中空粒子
(体積中空率65%、平均粒子径5.2μm、最大粒子径24μm) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 15部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 55部
水 200部
比較例5
実施例4と同様にして受容シートを作成し、印画後の受容シートに加圧処理を行った。
但し、中間層の形成において、表面平滑化のためのカレンダー処理を行わなかった。
評価
上記の各実施例及び比較例で得られた受容シートについて、それぞれ下記の方法により評価を行い、得られた結果を表1に示す。
「印刷平滑度」
印刷平滑度試験機(マイクロトポグラフ、東洋精機製作所製)を使用して、印加圧力0.1MPaにおける加圧開始後10m秒後の印刷平滑度(Rp値)を測定した。
「圧縮弾性率」
JIS K 7220(硬質発泡プラスチックの圧縮試験方法)に準じて、受容シートの圧縮弾性率を測定した。但し、試験片の高さ(厚さ)は供試受容シートの厚さ(約200μm)であった。また圧縮速度は20μm/minであった。
「印画品質」(印画濃度、画像均一性)
上記の各実施例及び比較例で得られた印画物を用い、受容シート上に転写された印加エネルギー別の記録画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社製)を使用して、その反射濃度を測定した。印加エネルギーの低い方から15ステップ目に相当する高階調部の濃度を印画濃度として表1に表示した。
更に記録画像の均一性の評価として、光学濃度(黒)が0.3に相当する階調部分における、濃淡むら及び白抜けの有無等について目視観察した。
評価結果の優れたものを◎、良好なものを○、濃淡むら及び白抜けが若干認められるものを△、濃淡むら及び白抜けの欠陥の著しいものを×と表示した。
「擦過性評価」
上記の各実施例及び比較例で得られた印画物の表面を、爪による引掻き傷跡のつき易さを目視評価した。評価結果の優れたものを◎、良好なものを○、傷跡が若干あるものを△、傷跡の著しいものを×と表示した。
Figure 0004345602
表1から明らかなように、本発明の実施例で得られた受容シートは、印画濃度、画像均一性等において実用に適したものであった。また、実施例8においては、印画物の加圧処理がされていないため、実用には問題がない程度であるが、擦過性において傷跡が若干認められた。
一方、比較例1〜5で得られた受容シートは、印画濃度、或は画像均一性が不十分で実用に適さないものであった。
本発明の受容シートは、中空粒子を含有する中間層を有し、印刷平滑度を一定値以下にすることにより、濃淡ムラや白抜け等が改善され、高感度、高画質記録用の受容シートに適したものである。また本発明の印画処理方法により、印画表面の引掻き傷や当て傷の発生を改善することが可能となり、染料熱転写プリンターによる画像形成に適用できる。
本発明の受容シートの平滑化処理、及び厚さ復元処理工程を示す概略図。

Claims (2)

  1. シート状支持体の少なくとも一面に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次形成した熱転写受容シートの製造方法において、前記シート状支持体の少なくとも一面に、平均粒子径が0.5〜10μmで、かつ体積中空率が75〜95%である中空粒子を含有する中間層用塗工液を塗工、乾燥して前記中間層を設けた後、および/またはこの中間層上に前記画像受容層を設けた後に、加熱ロールとプレスロールからなる一対のロールのニップ部を通して平滑化処理工程を施し、当該熱転写受容シート表面の、マイクロトポグラフを用いて、印加圧力0.1MPa、加圧開始10m秒後に測定された印刷平滑度(Rp値)を、1.5μm以下とし、前記平滑化処理工程の後に、さらに引き続いて、加圧開放の状態で、熱転写受容シート表面を加熱ロールに接触させて加熱する、厚さ復元処理工程を有することを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。
  2. シート状支持体の少なくとも一面に、中空粒子を含有する中間層、画像受容層を順次形成した熱転写受容シートにおいて、前記中空粒子の平均粒子径が0.5〜10μmで、かつ体積中空率が75〜95%であり、さらに前記熱転写受容シート表面の、マイクロトポグラフを用いて、印加圧力0.1MPa、加圧開始10m秒後に測定された印刷平滑度(Rp値)が、1.5μm以下であることを特徴とする熱転写受容シートを用いて、染料熱転写プリンターにより印画時および/または印画後に、熱転写受容シート表面に対して、1.0MPa以上の加圧処理を行う画像形成方法。
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