JP4341575B2 - 熱転写受容シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写染料シート(以下、単に「インクリボン」と称する。)と重ね合わせ、サーマルヘッドをデバイスとして、インクリボンの色剤を熱転写することにより画像を形成するプリンターに使用する熱転写受容シート(以下、単に「受容シート」と称する)に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、サーマルプリンター、特に染料熱転写プリンターでの印画に適し、銀塩写真類似の高濃度で、均一性の優れた画像が得られる低コストの受容シートに関するものである。
近年サーマルプリンターの中でも特に、鮮明なフルカラー画像のプリントが可能な染料熱転写プリンターが注目されている。染料熱転写プリンターは、インクリボンの染料を含む染料層と、受容シートの染料染着性樹脂を含む画像受容層(以下、単に「受容層」と称する。)とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ、受容層上に転写して画像を形成するものである。インクリボンは、イエロー、マゼンタおよびシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色の染料層を有する。フルカラー画像は、インクリボンの各色の染料を受容シートに順に繰り返し転写することによって得られる。
コンピューターによるデジタル画像処理技術の発達により、記録画像の画質等は格段に向上し、熱転写方式はその市場を拡大している。またサーマルヘッドの温度制御技術の向上にともない、プリントシステムの高速、高感度化への要求が高まっている。そのためサーマルヘッド等の加熱デバイスの発熱量を、如何に効率よく画像形成に利用するかが重要な技術課題となっている。
また印画の高速化に伴う精彩な画質、色ずれ防止の改善が新たな技術課題となってきた。プリンターは色ずれを防止するために、スパイクを装着した金属ロールとゴムロールの間に受容シートを挟んで搬送しているが、印画高速化に伴い、ロール間ニップ圧を上げたり、スパイクを大きくすることが必要になってきている。しかし、ニップ圧を上げたり、スパイクを大きくすると、受容シートの印画面に凹みを生じ、商品価値が低下する。このため、搬送ロールによる圧縮力を受けても、受容シートに凹みが生じないことが求められる。
受容シートは一般に支持体とその表面に形成された受容層とから構成されている。支持体として、通常のフィルムを使用すると、平滑性に優れるものの、サーマルヘッドからの熱が支持体に逃げて記録感度の不足を生じたり、またフィルムでは十分なクッション性がないことから、インクリボンと受容シートとの密着性が不足して、濃度ムラ等が発生する。
この様な問題を解決するために支持体として、発泡フィルムを紙類等の芯材層と貼り合わせた支持体(例えば、特開昭61−197282号公報(特許文献1)参照。)、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を主成分とし、ボイド(空隙)構造を含む2軸延伸フィルム(合成紙)を紙類等の芯材層と貼り合わせた支持体等が提案されている(例えば、特開昭62−198497号公報(特許文献2)参照。)。これらの支持体を使用した受容シートは断熱性、平滑性に優れるが、紙の質感が無いことやコスト高になる等の欠点がある。
また受容シートの支持体として紙類を使用すると、フィルム同様に記録感度が不足し、フィルムよりクッション性は若干よいものの、紙の繊維の疎密ムラに起因するインクリボンと受容層の密着ムラによって印画の濃淡ムラが発生する傾向がある。そこで、転写濃度の改善のために、紙支持体と受容層の間に中空粒子を含有する中間層を設けた受容シートが開示されている。(例えば、特開昭63−87286号公報(特許文献3)、特開平1−27996号公報(特許文献4)参照。)この受容シートは中空粒子を含有した中間層を有するため、中間層の断熱性、クッション性効果により、感度は改善される。
しかし、このような中間層を有する受容シートにおいて用いられている中空粒子の隔壁はガラス転移温度の低い重合体材料からなるため、中空粒子は概して耐熱性が乏しく、受容シート製造時の熱及び印画時の熱ヘッドからの熱により、中空粒子が熱変形して潰れるため、印画の濃度制御が難しく、また印画部が熱により凹み、外観を損なわれる問題があった。そのため、現在の高速プリンターによる印画では、十分な画像品質が得られ難い。
また中空粒子の隔壁が塩素を有するモノマーを重合成分として含有する為、受容シートの焼却処分等を行う際には、塩素を含有する有害ガスが発生し、環境に対する悪影響もあった。
また紙を基材とし、中空粒子を含有する層、染料受容層を順次に積層し、受容シート全体のクッション変形率を10〜30%とした受容シートも提案されている。(例えば、特開2002−200851号公報(特許文献5)参照)。中空粒子の隔壁の材質について、耐溶剤性向上の観点からの選択がされているが、耐熱性についての考慮は全くなされていないため、改善が要望されている。
特開昭61−197282号公報(第1頁) 特開昭62−198497号公報(第1頁) 特開昭63−87286号公報(第1〜2頁) 特開平1−27996号公報(第1〜3頁) 特開2002−200851号公報(第2〜5頁)
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の受容シートが有する前述の諸問題点を解消し、特に染料熱転写プリンターに適し、中空粒子を含有する中間層を有する受容シートにおいて、受容シートが十分な耐熱性を有し、高い印画濃度と良好な画像均一性を具備する低コストの熱転写受容シートを提供しようとするものである。
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1) シート状支持体の少なくとも片面上に、隔壁が重合体材料により形成され、かつ内側に気孔を有する中空粒子を含有する中間層、バリア層、画像受容層とを順次積層した熱転写受容シートにおいて、
前記中間層が、前記中空粒子として、ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された中空粒子を少なくとも含有し、
前記バリア層が、接着剤として水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂を主成分として含有し、さらに膨潤性無機層状化合物を含有し、該膨潤性無機層状化合物の粒子平均長径が0.1〜100μmであり、かつ、アスペクト比(層状化合物の粒子平均長径/厚さの比)が100〜5,000であることを特徴とする、熱転写受容シート。
(2) 前記中間層に含有される中空粒子の全質量に対する、ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された当該中空粒子の質量比率が60質量%以上である、 (1)に記載の熱転写受容シート。
(3) ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された前記中空粒子の平均粒子径が2〜10μmかつ体積中空率が60〜90%である、(1)又は(2)に記載の熱転写受容シート。
(削除)
(4) 前記シート状支持体がセルロースパルプを主成分とするシート状支持体である、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(5) ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された前記中空粒子の重合体材料が、ニトリル系モノマーを主成分として含有する成分から得られる、(1)〜(4)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(6) 前記ニトリル系モノマーがアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルから選択される少なくとも一種である、(5)に記載の熱転写受容シート。
(7) 前記中間層の厚さが20〜90μmである、(1)〜(6)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(8) 前記中間層の全固形分質量に対する、全中空粒子の質量比率が30〜70質量%である、(1)〜(7)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(9) 前記シート状支持体の画像受容層が設けられていない側に、少なくとも高分子樹脂と有機及び/又は無機微粒子とを含有する裏面層を有する、(1)〜(8)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(10) 前記中間層が、前記中空粒子として、軟化点が60℃以上である重合体材料により隔壁の形成された当該中空粒子を少なくとも含有する、(1)〜(9)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(11) 前記中間層が、前記中空粒子として、
加熱処理していない当該中空粒子について25℃にて測定して得られた体積中空率と、温度120℃環境下で1分間加熱処理した後、放冷した当該中空粒子について25℃にて測定して得られた体積中空率との差で定義される当該中空粒子の体積中空率加熱変化が10%以下である当該中空粒子を少なくとも含有する、(1)〜(10)のいずれかに記載の熱転写受容シート。
(12) 前記中間層に含有される当該中空粒子の全質量に対する、体積中空率加熱変化が10%以下である前記中空粒子の質量比率が60質量%以上である、(11)に記載の熱転写受容シート。
本発明の受容シートは、特に染料熱転写プリンターでの印画に適し、中空粒子を含有する中間層を有する受容シートにおいて、受容シートが十分な耐熱性を有し、高い印画濃度と良好な画像均一性を具備する低コストの受容シートであり、実用的に優れたものである。
本発明の受容シートは、セルロースパルプを主成分とするシート状支持体上に特定の中空粒子を含有する中間層、任意的にバリア層、及び受容層が順次に積層された構成を有する。また受容シートに更に他の層を設けて受容シートとしての性能を向上させることも勿論可能である。以下これらの層について詳細に説明する。
(シート状支持体)
本発明の受容シートに使用するシート状支持体としては、セルロースパルプを主成分とする紙類や合成樹脂フィルム等が使用される。セルロースパルプを主成分とする紙類には、例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙等が挙げられる。合成樹脂フィルム支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等を主成分とした延伸フィルムが使用される。その他、ポリオレフィンやポリエステル樹脂を主成分とし、更にこれらの樹脂に非相溶性の樹脂や無機顔料を配合した溶融混合物を押出し機から押出し、更に延伸して空隙を発生させた単層構造または多層構造を有する多孔質延伸フィルム(例えば合成紙、多孔質ポリエステルフィルム)等の各種のフィルムと紙類等とを積層貼着させた複合シート等も、シート状支持体として適宜用いられる。
これらの支持体のうちで、セルロースパルプを主成分とする紙類は熱収縮性が低く、断熱性が良好であり、受容紙としての風合いが良好であり、更に価格も安価であることから好ましく使用される。例えば広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、広葉樹針葉樹混合パルプ等の木材パルプ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ等通常使用されているパルプを抄造した紙、あるいは抄造後にカレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどして表面平滑性を改善した紙が好ましい。また必要に応じて、支持体は顔料を塗工することで形成された塗工層を有してもよい。
特に好適な紙類の例としては、上質紙、中質紙等の非塗工紙、コート紙、アート紙、キャスト塗被紙等の塗工紙、原紙の少なくとも一方の面にポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙、合成樹脂含浸紙、板紙等が挙げられる。また高平滑化の為にカレンダー処理を施してもよい。
本発明のシート状支持体としては、受容層が形成される第1の基材層、粘着剤層、離型剤層、第2の基材層を順次積層した構成でもよく、いわゆるステッカー、シールタイプの構造を有する支持体も勿論使用可能である。
本発明で使用されるシート状支持体は50〜250μmの厚さを有することが好ましい。因みに、厚さが50μm未満であると、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度が小さく、変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分に防止できない場合がある。また厚さが250μmを超えると、得られる受容シートの厚さが過大となるため、プリンターにおける受容シートの収容枚数の低下を招いたり、或いは所定の収容枚数を収容しようとするとプリンターの容積増大を招き、プリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生ずる。
(中間層)
本発明においては、シート状支持体の少なくとも片面上に、直接あるいは下塗層を介して中間層を形成する。中間層は、ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された中空粒子(以下、単に「本発明の中空粒子」と称する場合がある。)を少なくとも所定量で含有する。この中間層は多孔質構造を有するため、受容シートの断熱性が向上するので印画濃度が上昇し画質も改善される。中間層の形成により、受容シートに適度の変形自由度を与え、プリンターヘッドやインクリボンの形状に対する受容シートの形状追従性及び密着性が向上するので、低エネルギー状態でも受容層に対するプリンターヘッドの熱効率が向上し、かつ印画画像の印画濃度を高め、画質を改善することができる。また高速プリンターの高エネルギー印加操作において、インクリボンに発生するリボンしわに起因する印画不良も同時に防止することができる。
中間層に含有される本発明の中空粒子としては、熱可塑性重合体材料により形成された隔壁(シェル)と、それにより包囲されている1個以上の気孔(中空部)とからなるものであり、中間層形成用としては、下記(イ),(ロ)のような中空粒子(または発泡性粒子)が使用される。
(イ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料からなる未発泡粒子を予め加熱発泡させて製造された発泡中空粒子(既発泡中空粒子)。
(ロ)熱膨張性物質を含む熱可塑性重合体材料からなる未発泡状態の粒子(発泡性粒子)。この場合には、発泡性粒子をシート状支持体に塗工した後、乾燥工程での熱により加熱発泡させたり、或いは後工程で熱板と接触させて加熱発泡させたりすることで本発明の中空粒子層が形成される。
しかし上記(ロ)のように、受容シートの製造工程中の加熱により、未発泡状態の発泡性粒子を発泡させる方法では、未発泡状態の発泡性粒子の粒子径が小さい為に発泡性も劣り、また均一な粒子径に発泡させることが難しく、熱膨張後の粒子径を厳密に管理できないため、中間層の表面は凹凸の大きい表面となり平滑性が劣る傾向にあり好ましくない。従って本発明においては、上記(イ)のような本発明の既発泡中空粒子がより好ましく用いられる。
本発明の中空粒子は、熱膨張性物質である低沸点有機溶剤の存在下に熱可塑性重合体材料である重合性モノマーを懸濁重合して、未発泡状態の粒子を製造し、この未発泡状態の粒子を予め加熱等の処理を施す事により、所定の粒子径に熱膨張させ、既発泡状態の中空粒子としたものである。
本発明の中間層に含有される本発明の中空粒子の隔壁を形成する重合体材料のガラス転移温度(Tg)は、130℃以上であることが必要であり、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150〜200℃である。
ガラス転移温度(Tg)が130℃未満では、中空粒子の耐熱性が低く、製造中の乾燥工程で中空粒子が熱により変形、破壊が生じ、所望の中間層が得られないおそれがある。また印画の際に、画像面が熱により凹み、外観が悪化し、好ましくない。一方、ガラス転移温度(Tg)が高すぎると、未発泡状態の中空粒子を発泡させる製造工程において、発泡させるための熱量が過大となり経済的に不利となることがある。
なお中空粒子のTgはJIS K 7121に規定される方法に従って、示差走査熱量計(商品名:SSC5200、セイコー電子工業社製)を用いて測定される値である。
また本発明の中空粒子の隔壁を形成する重合体材料の軟化点は、60℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上であり、特に好ましくは90〜140℃である。軟化点が60℃未満では、中空粒子の耐熱性が低く、製造時の乾燥工程で中空粒子が熱により変形、破壊が生じて、所望の平滑性や断熱性等を有する中間層が得られないことや、外観が悪化することがある。一方、軟化点が高すぎると、未発泡状態の中空粒子を発泡させる製造工程において、発泡させるための熱量が過大となり経済的に不利となることがある。
中空粒子の軟化点は、JIS K 7196に規定される方法に従い、熱分析装置(商品名:TMA6100、セイコーインスツルメント社製)を用いて測定される値である。
また本発明の中間層に含有される中空粒子は、無処理の中空粒子、即ち加熱処理していない中空粒子について25℃にて測定して得られた体積中空率と、温度120℃環境下で1分間加熱処理した後、放冷した中空粒子について25℃にて測定して得られた体積中空率との差で定義される中空粒子の体積中空率加熱変化(以下、「中空率加熱変化」とも称する。)が10%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下であり、特に好ましくは5〜0%である。上記の体積中空率加熱変化が10%を超えると、中空粒子の耐熱性が不十分となり、受容シート製造時の乾燥工程の熱により中空粒子の変形、破壊が生じて、所望の平滑性や断熱性等を有する中間層が得られないことや、外観が悪化することがある。また、受容シートの印画時にサーマルヘッドから印加される熱により、中空粒子が破壊及び変形し、得られる画像が凹み、画質の悪化を発生させるおそれがある。
なお、中空粒子の体積中空率加熱変化(C)(%)は次式で定義されるものである。
(C)(%)=(A)−(B)
式中、
(A):加熱処理していない中空粒子を25℃環境下で測定して得られた体積中空率(%);
(B):加熱処理していない中空粒子を温度120℃環境下で1分間加熱処理を施した後、25℃環境下に素早く取り出して30分以上放冷した後に、25℃環境下で測定して得られた体積中空率(%);
を表す。
上記体積中空率加熱変化が10%以下である中空粒子の、中間層に含有される当該中空粒子と他の併用される中空粒子の合計質量に対する質量比率は、好ましくは少なくとも約60質量%、より好ましくは少なくとも約65質量%、最も好ましくは少なくとも約70質量%である。中間層に含有される本発明の中空粒子の質量比率が約60質量%未満であると、耐熱性が不十分となり、印画時における受容シートの凹みが大きくなり、画質向上効果が得られないことがある。
本発明の中空粒子の製造で使用される重合性モノマーとしては、ニトリル系モノマーを主成分とし、熱膨張性、耐熱性、あるいは耐溶剤性等を改善するために、非ニトリル系モノマー、および架橋性モノマー等が、必要に応じて適宜使用される。
ニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物などが例示されるが、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルが好ましい。アクリロニトリル、メタクリロニトリルはその単独重合体のガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性、耐薬品性、ガスバリア性にすぐれているので本発明に特に好ましく使用できる。
非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、ビニルピリジン、α−メチルスチレン、クロロプレン、ネオプレンまたはこれらの任意の混合物などが例示されるが、中でもアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が好ましい。非ニトリル系モノマーの使用量は、ニトリル系モノマー100質量部に対して、25質量部以下が好ましい。非ニトリル系モノマーの使用量が25質量部を超えると、得られる中空粒子のガラス転移温度が下がって、耐熱性が低下したり、またガスバリア性が不足し、所期の品質が得られないことがある。
モノマー体分子中に2個以上の重合性2重結合を有する架橋性モノマーとしては多官能ビニルモノマー及び/または内部オレフィンを有するモノマーが好ましい。具体的にはジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、トリアクリルホルマール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸1,3−ブチルグリコール、トリアリルイソシアネートなどが例示されるが、トリアクリルホルマール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等の3官能性架橋性モノマーが好ましい。架橋性モノマーの使用量は、ニトリル系モノマー100質量部に対して、3質量部以下が好ましい。架橋性モノマーの使用量が3質量部を超えると架橋度が過大となり、膨張性が劣ることがある。
本発明の中空粒子の壁材は上記の成分に、更に必要に応じて重合開始剤を適宜配合することにより調整される。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等が例示される。
上記の中空粒子の製造で使用される低沸点有機溶剤としては、例えばエタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、ペンタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の低分子量炭化水素、及びCCl3F、CCl22、CClF3等のクロロフルオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン等のシラン化合物等が例示される。特に好ましい低沸点有機溶剤はブテン、イソブタン、イソブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等、沸点が−20〜50℃の低分子量炭化水素である。これらの低沸点有機溶剤は1種単独で或いは2種以上を併用して用いる。
上記の重合性材料を用いて、熱膨張性物質をマイクロカプセル化する方法は特に限定的ではなく、常法に従えばよい。特に好適な方法は例えば、特公昭42−26524号公報に記載のようにして重合性モノマーを熱膨張性物質及び重合開始剤と混合し、該混合物を適宜の乳化分散剤等を含む水性媒体中で懸濁重合させる方法である。
次いで、懸濁重合により得られた熱膨張性物質である低沸点有機溶剤を粒子内部に含む未発泡状態の粒子に、外部から低沸点有機溶剤の沸点以上の温度で加熱することにより、熱膨張性物質を熱膨張させ、所定の粒子径に熱膨張させ既発泡状態の中空粒子とする。この中空粒子を遠心分離機を用いて、濾過と水洗を繰り返してケーキ状物質とし、乾燥して本発明の既発泡中空粒子を得る。
本発明に使用される既発泡中空粒子の平均粒子径は2〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜9μmであり、最も好ましくは2〜8μmである。
既発泡中空粒子の平均粒子径が2μm未満の場合には平均粒子径が小さい為、中空粒子の中空部分の体積が小さく、断熱性、クッション性が概して乏しく、十分な感度及び画質向上効果が得られないことがある。
また平均粒子径が10μmを超えると、得られる中間層面の凹凸が過大となる為、画像の均一性が不十分で、画質が劣ることがある。
なお中空粒子の平均粒子径は、一般的な粒径測定装置を使用して測定可能であり、例えばレーザー回折式粒度分布測定機(商品名:SALD2000、島津製作所製)等を用いて測定することができる。
本発明の中空粒子の体積中空率は60〜90%が好ましく、さらに好ましくは65〜85%である。
体積中空率が60%未満では、得られる受容シートの感度および画質が劣ることがあり、好ましくない。また体積中空率が90%を超えると塗料の安定性が劣ることや、得られる中間層の塗膜強度が劣ることがあり、好ましくない。
なお中空粒子の体積中空率とは粒子体積に対する中空部分の体積の割合を示したものであり、具体的には中空粒子と貧溶媒からなる中空粒子分散液の比重、前記分散液における中空粒子の質量分率及び中空粒子の隔壁(シェル)を形成する重合体樹脂の真比重、及び貧溶媒の比重から求めることができる。なお貧溶媒とは中空粒子の隔壁を形成する重合体樹脂を溶解及び/又は膨潤させない溶媒であり、例えば水、イソプロピルアルコール等が挙げられる。また、中空粒子の体積中空率については、例えば小角X線散乱測定装置(商品名:RU−200、リガク社製)等を用いて中間層の断面写真から求めることも可能である。
上記のような中空粒子は一般に比重が小さい。従って、その取扱い作業性及び分散性を更に向上させることを目的に、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等の無機粉体を、熱融着により発泡中空粒子表面に付着させることで、表面が無機粉体により被覆されている発泡複合中空粒子も、本発明において使用できる。
中間層において、本発明の中空粒子の効果を損なわない範囲で、他の中空粒子を併用することも可能である。本発明の中空粒子と併用可能な、他の中空粒子としては、例えば、下記(ハ)のような中空粒子が挙げられる。
(ハ)重合体形成性材料をシェル形成用材料として用い、かつ揮発性液体を気孔形成用材料として用いて、マイクロカプセル重合方法により製造されたマイクロカプセルから、前記気孔形成用材料を揮発逃散させて得られたマイクロカプセル状中空粒子。
(ハ)のようなマイクロカプセル状の中空粒子は、重合体材料、例えばスチレン−アクリル系共重合体樹脂を隔壁(シェル)として、芯部に揮発性液体、例えば水を含有するマイクロカプセルを乾燥して、水を揮発逃散させて中空芯部を形成させたものである。このマイクロカプセルは、重合体形成性材料(隔壁(シェル)形成用材料)、及び揮発性液体(気孔形成用材料)からマイクロカプセル形成重合法により得られる。このような中空粒子は、一般に疎水性が強く、中間層のひび割れ改善のために好ましく使用される。
併用する中空粒子としては、その目的により一概に言えないが、平均粒子径が0.3〜10μm程度であることが好ましく、また体積中空率は30〜90%程度が好ましい。
本発明の中空粒子の、中間層に含有される本発明の中空粒子と他の併用される中空粒子の合計質量に対する質量比率は好ましくは少なくとも約60質量%、より好ましくは少なくとも約65質量%、最も好ましくは少なくとも約70質量%である。中間層に含有される本発明の中空粒子の質量比率が約60質量%未満であると、中間層の耐熱性が不十分となり、印画による受容シートの凹みが大きくなり、画質向上効果が十分に得られないことがある。
また、塗工性の向上、平滑性の向上、あるいは中間層のつぶれ改善等を目的として、平均粒子径の異なる中空粒子を併用することも可能である。
中間層が断熱性、クッション性、耐熱性向上等の所望の性能を発揮する為の厚さは20〜90μmが好ましく、更に好ましくは25〜85μmである。中間層の厚さが20μm未満では断熱性、クッション性が不足し、感度及び画質向上効果が十分に得られないことがある。また厚さが90μmを超えると断熱性やクッション性の効果が飽和し、それ以上の性能が得られないことや、経済的にも不利であり、好ましくない。
中間層における中空粒子全体の配合量は、中間層全固形分質量に対する中空粒子全体の質量比率で30〜70質量%の範囲であることが好ましく、35〜65質量%の範囲内であることがより好ましい。
中間層全固形分質量に対する中空粒子全体の質量比率が30質量%未満では、中間層の断熱性、クッション性が不十分で感度及び画質向上効果が十分に得られないことがある。また中空粒子全体の質量比率が70質量%を超えると、得られる中間層用塗工液の塗工性が悪化することがあり、好ましくない。
本発明の中間層は中空粒子と接着剤樹脂を含有する。本発明の中間層用塗工液は、中空粒子の耐溶剤性を考慮すると水性系塗工液であることが好ましい。使用される接着剤樹脂としては特に限定されず、例えばポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂及びその誘導体、カゼイン、デンプン誘導体等の親水性高分子樹脂が成膜性、耐熱性、可撓性の観点から好ましく使用される。また(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の各種樹脂のエマルジョンが低粘度高固形分の水系樹脂として使用される。なお中間層の塗膜強度、接着性、塗工性の面から中間層に使用される接着剤樹脂は上記の親水性高分子樹脂と各種樹脂のエマルジョンを併用することも可能である。
中間層は必要に応じて、各種の添加剤、例えば帯電防止剤、無機顔料、有機顔料、樹脂の架橋剤、消泡剤、分散剤、有色染料、離型剤、滑剤等の1種或いは2種以上を適宜選択して使用してもよい。
(バリア層)
本発明において、中間層と受容層の間にバリア層が設けられることが好ましい。一般に、受容層用塗工液の溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤が使用されるため、バリア層は、有機溶剤浸透による中間層の中空粒子の膨潤、溶解による、変形、破壊を防ぐための障壁として有効である。
バリア層に使用される樹脂としては、フィルム形成能に優れ、有機溶剤の浸透を防止し、弾力性、柔軟性のある樹脂が使用される。具体的には、デンプン、変性デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂等の水溶性高分子樹脂が水溶液として使用される。またスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル樹脂系ラテックス、メタアクリル酸エステル系共重合樹脂ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス、ポリエステルポリウレタンアイオノマー、ポリエーテルポリウレタンアイオノマーなどの水分散性樹脂も使用することができる。
上記の樹脂の中でも、水溶性高分子樹脂が好ましく使用される。また上記の樹脂は単独で使用しても、あるいは2種以上を併用して使用してもよい。
さらに、バリア層には各種の顔料が含有されてもよく、好ましくは膨潤性無機層状化合物が使用され、塗工用溶剤の浸透防止ばかりでなく、熱転写染着画像のニジミ防止等においても優れた効果が得られる。膨潤性無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物(例えば合成マイカ、合成スメクタイト、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等)等を挙げることができる。
これら膨潤性無機層状化合物は天然品(粘土系鉱物)以外にも、合成品、加工処理品(例えばシランカップリング剤の表面処理品)のいずれであってもよく、合成膨潤性無機層状化合物として、例えば、フッ素金雲母(KMg3AlSi310F、熔融法又は固相反応法)、カリウム四珪素雲母(KMg2.5Si4102、熔融法)、ナトリウム四珪素雲母(NaMg2.5Si4102、熔融法)、ナトリウムテニオライト(NaMg2LiSi4102、熔融法)、リチウムテニオライト(LiMg2LiSi4102、熔融法)などの合成マイカ、或はナトリウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)2、水熱反応法又は熔融法)、リチウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)2、水熱反応法又は熔融法)、サポナイト(Na0.33Mg2.67AlSi4.010(OH)2、水熱反応法)などの合成スメクタイトがより好ましく使用される。
これらの中でもナトリウム四珪素雲母が特に好ましく、熔融合成法により、所望の粒子径、アスペクト比、結晶性のものが得られる。
膨潤性無機層状化合物としては、そのアスペクト比が5〜5,000のものが好ましく用いられ、より好ましくは、アスペクト比が100〜5,000の範囲であり、特に好ましくは500〜5,000の範囲である。アスペクト比が5未満では、画像のニジミが生じることがあり、一方アスペクト比が5,000を超えると、画像の均一性が劣ることがある。アスペクト比(Z)とはZ=L/aなる関係で示されるものであり、Lは膨潤性無機層状化合物の水中での粒子平均長径(レーザー回折法で測定。堀場製作所製粒度分布計LA−910を使用、体積分布50%のメジアン径)であり、aは膨潤性無機層状化合物の厚みである。
膨潤性無機層状化合物の厚みaは、バリア層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による写真観察によって求めた値である。膨潤性無機層状化合物の粒子平均長径は0.1〜100μmであり、0.3〜50μmが好ましく、0.5〜20μmがより好ましい。粒子平均長径が0.1μm未満になると、アスペクト比が小さくなると共に、中間層上に平行に敷き詰めることが困難になり、画像のニジミを完全には防止できないことがある。粒子平均長径が100μmを超えて大きくなると、バリア層から膨潤性無機層状化合物が突出てしまい、バリア層の表面に凹凸が発生し、受容層表面の平滑度が低下して画質が悪化することがある。
また前記の中間層、バリア層中には隠蔽性や白色性の付与、受容シートの質感を改良するために、無機顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、タルク、カオリン、珪藻土、サチンホワイト等の白色無機顔料や蛍光染料等を含有させてもよい。
本発明のバリア層は、好ましくは水系塗工液を用いて形成される。水系塗工液には、接着剤樹脂の分散性や溶解性のために、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール系溶剤、などを適宜併用してもよい。
バリア層の固形分塗工量は0.5〜8g/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1〜7g/m2であり、特に好ましくは1〜6g/m2である。
因みにバリア層固形分塗工量が0.5g/m2未満では、バリア層が中間層表面を完全に覆えないことがあり、有機溶剤の浸透防止効果が不十分となることがある。一方バリア層固形分塗工量が8g/m2を超えると、塗工効果が飽和して不経済であるばかりでなく、バリア層の厚さが過大となることによって中間層の断熱効果やクッション性が十分に発揮されず、画像濃度の低下を招くことがある。
(受容層)
本発明の受容シートにおいて、前記中間層上又はバリア層上に受容層が設けられる。受容層それ自体は既知の染料熱転写受容層であってもよい。受容層を形成する樹脂としては、インクリボンから移行する染料に対する親和性が高く、従って染料染着性の良好な樹脂が使用される。このような染料染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基)を有していることが好ましい。
またプリントの際にサーマルヘッドでの加熱によって、受容層とインクリボンとが融着することを防止するために、受容層中に、架橋剤、離型剤、滑り剤等の1種以上が添加剤として配合されていることが好ましい。さらに必要に応じて、上記の受容層中に蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の1種以上を添加してもよい。これらの添加剤は塗工前に受容層の形成成分と混合されてもよいし、また受容層とは別の塗被層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
受容層の形成は、染料染着性樹脂及び離型剤等の必要な添加剤等を、適宜、有機溶剤に溶解あるいは分散して受容層用塗工液を調製し、公知のコーターを使用して、シート状支持体の中間層上又はバリア層上に、塗工、乾燥後、必要に応じて加熱キュアーして形成することができる。
受容層の固形分塗工量は1〜12g/m2、より好ましくは3〜10g/m2の範囲である。因みに受容層の固形分塗工量が1g/m2未満では、受容層が中間層表面又はバリア層表面を完全に覆うことができないことがあり、画質の低下を招いたり、サーマルヘッドでの加熱により、受容層とインクリボンとが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方、固形分塗工量が12g/m2を超えると、塗工効果が飽和して不経済であるばかりでなく、受容層の塗膜強度が不足したり、塗膜厚さが過大になることにより中間層の断熱効果が十分に発揮されず、画像濃度の低下を招くことがある。
(裏面層)
本発明の受容シートは、シート状支持体の裏面(受容層が設けられる側とは反対側の面)に高分子樹脂と有機及び/又は無機微粒子とを含有する裏面層が設けられていてもよい。この高分子樹脂は裏面層と支持体との接着強度向上、受容シートのプリント搬送性、受容層面の傷付き防止、受容層面と接触する裏面層への染料の移行防止に有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。また裏面層には、シート状支持体と裏面層との接着性を向上させるため、適宜ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を含有してもよい。
裏面層は、有機及び/又は無機微粒子を摩擦係数調整剤として配合することが好ましい。有機微粒子としては、ナイロンフィラー、セルロースフィラー、尿素樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル樹脂フィラー等を使用することができる。無機微粒子としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。
裏面層には、プリント搬送性の向上、静電気防止のために導電性高分子や導電性無機顔料等の導電剤が添加されていてもよい。導電性高分子として、カチオン型導電性高分子化合物(例えばポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等)が好ましく用いられる。
裏面層には必要に応じて離型剤、滑剤等の融着防止剤を含有してもよい。例えば、離型剤としては、非変性及び変性シリコーンオイル、シリコーンブロック共重合体及びシリコーンゴム等のシリコーン系化合物、滑剤としてはリン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。また従来公知の消泡剤、分散剤、有色顔料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用してもよい。
裏面層の固形分塗工量は0.3〜10g/m2の範囲内にあることが望ましい。更に好ましくは1〜8g/m2である。裏面層固形分塗工量が0.3g/m2未満であると受容シートが擦れた時の傷付き防止性が十分に発揮されず、また受容シートの走行性不良が発生するおそれがある。一方固形分塗工量が10g/m2を超えると効果が飽和し不経済である。
(下塗層)
本発明の受容シートにおいては、支持体と中間層との間に、高分子樹脂を主成分とする下塗層を設けてもよい。この下塗層により、中間層用塗工液を支持体上に塗工しても、中間層用塗工液が支持体中に浸透することがなく、中間層を所望の厚さに形成することができる。この下塗層に使用される高分子樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びその変性樹脂等が挙げられる。
本発明で支持体として、例えば紙基材を使用した場合には、水系の塗工液からなる下塗層を塗工すると、紙基材表面の吸水性のムラにより、紙基材にしわやうねりが発生して、質感や印画適性に悪影響が出る事がある。従って下塗層用塗工液は水系でなく、有機溶剤に高分子樹脂を溶解或いは分散させた塗工液を使用するのが好ましい。使用可能な有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、酢酸エチル等の一般的な有機溶剤をあげることができる。
また下塗層には下塗層用塗工液自体の塗工性改善、支持体と中間層との密着性向上、受容シートの白色度向上のため、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料を添加してもよい。
下塗層の固形分塗工量は1〜20g/m2の範囲が好ましい。固形分塗工量が1g/m2未満では、下塗層の効果が得られないことがあり、固形分塗工量が20g/m2を超えると効果が飽和して不経済となり、また受容シートの紙としての質感が失われる場合があり、好ましくない。
本発明において、中間層、バリア層、受容層、裏面層及びその他の塗工層は、常法に従って形成され、各々、所要成分を含む塗工液を調製し、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコータ−、及びスライドビードコーターなど公知のコーターを使用して、シート状支持体上に塗工し、乾燥して形成することができる。
なお、特に限定するわけではないが、裏面層を形成する前に、中間層、バリア層、受容層などを設けるのが好ましく、均一な塗工層が得られる。
本発明において、中間層、バリア層、受容層塗工後にカレンダー処理を施してもよく、受容シート表面の凹凸を更に減少させ、平滑化する事が可能である。カレンダー処理に使用されるカレンダー装置やニップ圧、ニップ数、金属ロールの表面温度等については特に限定されるものではないが、カレンダー処理を施す際の圧力条件としては好ましくは、0.5〜150MPa、より好ましくは1〜100MPaである。温度条件としては、20〜150℃が好ましく、更に好ましくは30〜120℃である。カレンダー装置としては、例えばスーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー等の一般に製紙業界で使用されているカレンダー装置を適宜使用できる。
下記実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」は、溶剤に関するものを除き、固形分の「質量%」及び「質量部」を示す。
実施例1
「中間層の形成」
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、174.4g/m2、王子製紙製)を使用し、その片面に下記組成の中間層用塗工液−1を、乾燥後の膜厚が51μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した。
中間層用塗工液−1
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 45部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率76%、
中空率加熱変化3%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点105℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
「バリア層及び受容層の形成」
更に上記中間層上に下記組成のバリア層用塗工液−1を、固形分塗工量が2g/m2になるように塗工乾燥してバリア層を形成し、更に上記バリア層上に下記組成の受容層用塗工液−1を、固形分塗工量が5g/m2になるように塗工乾燥し、受容層を形成した。
バリア層用塗工液−1
膨潤性無機層状化合物(ナトリウム4珪素雲母、 30部
粒子平均長径6.3μm、アスペクト比2700)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、クラレ製) 50部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:L−1537、旭化成製) 20部
水 1100部
受容層用塗工液−1
ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡製) 100部
シリコーンオイル(商品名:KF393、信越化学工業製) 3部
ポリイソシアネート(商品名:タケネートD−140N、三井武田ケミカル製) 5部
トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 400部
「受容シート層の形成」
次にシート状支持体の受容層を設けた側とは反対側の面上に下記組成の裏面層用塗工液−1を、乾燥後の固形分塗工量が3g/m2になるように塗工乾燥して裏面層を形成し、その後50℃で48時間エージングして、受容シートを得た。
裏面層用塗工液−1
ポリビニルアセタール樹脂(商品名:エスレックKX−1、積水化学工業製) 40部
ポリアクリル酸エステル樹脂(商品名:ジュリマーAT613、日本純薬製) 20部
ナイロン樹脂粒子(商品名:MW330、神東塗料製) 10部
ステアリン酸亜鉛(商品名:Z−7−30、中京油脂製) 10部
カチオン型導電性樹脂(商品名:ケミスタット9800、三洋化成製) 20部
水/イソプロピルアルコール=2/3(質量比)混合液 400部
実施例2
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−2を、乾燥後の膜厚が52μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−2
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 45部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径8μm、体積中空率76%、
中空率加熱変化5%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点95℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
実施例3
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−3を、乾燥後の膜厚が45μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−3
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 55部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.4μm、体積中空率65%、
中空率加熱変化2%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点110℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 35部
水 250部
実施例4
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−4を、乾燥後の膜厚が65μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−4
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 40部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.3μm、体積中空率85%、
中空率加熱変化4%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点100℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 50部
水 250部
実施例5
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−5を、乾燥後の膜厚が51μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−5
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 45部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.5μm、体積中空率78%、
中空率加熱変化8%、隔壁樹脂Tg131℃、軟化点67℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
実施例6
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−6を、乾燥後の膜厚が54μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして熱転写受容シートを得た。
中間層用塗工液−6
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 40部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率76%、
中空率加熱変化3%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点105℃)
マイクロカプセル型中空粒子(商品名:ローペークHP−1055、 5部
ロームアンドハース製、平均粒子径1.0μm、体積中空率55%、
隔壁樹脂Tg100℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
実施例7
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−7を、乾燥後の膜厚が58μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして熱転写受容シートを得た。
中間層用塗工液−7
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 34部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率76%、
中空率加熱変化3%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点105℃)
マイクロカプセル型中空粒子(商品名:ローペークHP−1055、 11部
ロームアンドハース製、平均粒子径1.0μm、体積中空率55%、
隔壁樹脂Tg100℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
実施例8
実施例1の中間層の形成において、前記の中間層用塗工液−1を、乾燥後の膜厚が29μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして熱転写受容シートを得た。
実施例9
実施例1の中間層の形成において、前記の中間層用塗工液−1を、乾燥後の膜厚が72μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして熱転写受容シートを得た。
実施例10
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−8を、乾燥後の膜厚が40μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−8
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 35部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率76%、
中空率加熱変化3%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点105℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 55部
水 250部
実施例11
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−9を、乾燥後の膜厚が74μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−9
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする 65部
共重合体からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率76%、
中空率加熱変化3%、隔壁樹脂Tg152℃、軟化点105℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 25部
水 250部
比較例1
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−10を、乾燥後の膜厚が40μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−10
スチレン及びアクリル酸エステルを主成分とする共重合体 60部
からなるマイクロカプセル型中空粒子(商品名:ローペーク
HP−1055、ロームアンドハース製、平均粒子径1.0μm、体積中空率55%、
中空率加熱変化15%、隔壁樹脂Tg100℃、軟化点75℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 30部
水 250部
比較例2
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−11を、乾燥後の膜厚が73μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−11
塩化ビニリデン及びアクリロニトリルを主成分とする共重合体 35部
からなる既発泡中空粒子(商品名:エクスパンセル551DE20、
日本フィライト社製、平均粒子径20μm、体積中空率94%、
中空率加熱変化35%、隔壁樹脂Tg115℃、軟化点80℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 55部
水 250部
比較例3
実施例1の中間層の形成において、下記組成の中間層用塗工液−12を、乾燥後の膜厚が55μmになるように塗工乾燥して中間層を形成した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
中間層用塗工液−12
塩化ビニリデン及びアクリロニトリルを主成分とする共重合体 45部
からなる既発泡中空粒子(平均粒子径3.7μm、体積中空率78%、
中空率加熱変化30%、隔壁樹脂Tg112℃、軟化点82℃)
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ製) 10部
スチレン−ブタジエンラテックス(商品名:PT1004、日本ゼオン製) 45部
水 250部
評価
上記の各実施例及び比較例で得られた受容シートについて、それぞれ下記の方法により評価を行い、得られた結果を表1に示す。
「印画品質」(印画濃度、画像均一性、耐熱性)
市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:UP−DR100、ソニー社製)を用いて、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上にイエロー、マゼンタ、シアン3色それぞれの昇華性染料をバインダーと共に含むインク層を設けたインクシートを用いて、各色のインク層面を順次に供試受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施す事により、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。
受容シートに転写された印加エネルギー別の記録画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社製)を用いて、その反射濃度を測定した。印加エネルギーの低い方から15ステップ目に相当する高階調部の反射濃度を印画濃度として表1に表示した。印画濃度が2.0以上であれば実用に十分適する。
更に光学濃度(黒)が0.3に相当する階調部分の記録画像の均一性を、濃淡むら及び白抜けの有無について目視評価した。評価結果の優秀なものを◎、良好なものを○、濃淡むら及び白抜けがある物を△、濃淡むら及び白抜けの欠陥の著しいものを×と表示した。評価が○以上であれば実用に十分適する。
更に受容シートの耐熱性の評価として、最高濃度2.1付近のサーマルヘッドによる記録画像部の凹みを目視評価した。評価結果の優秀なものを◎、良好なものを○、記録画像部の凹みが目立つものを△、記録画像部の凹みが著しいものを×と表示した。評価が○以上であれば実用に十分適する。
「中間層用塗工液安定性」
中間層用塗工液を40℃65%RH環境下で24時間密閉放置し、24時間後の塗工液の安定性を下記の基準で評価した。
○:塗料の分離が無く、中間層の塗工性に問題無い。
×:塗料が分離し、中間層の塗工性不良。
Figure 0004341575
本発明の熱転写受容シートは、特定の中空粒子を含有する中間層を具備するので、特に染料熱転写プリンターでの印画に適し、受容シートが十分な耐熱性を有し、高い印画濃度と良好な画像均一性を具備する低コストの熱転写受容シートであり、極めて品質の優れた物であり、実用的に極めて価値の高いものである。

Claims (12)

  1. シート状支持体の少なくとも片面上に、隔壁が重合体材料により形成され、かつ内側に気孔を有する中空粒子を含有する中間層、バリア層、画像受容層とを順次積層した熱転写受容シートにおいて、
    前記中間層が、前記中空粒子として、ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された中空粒子を少なくとも含有し、
    前記バリア層が、接着剤として水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂を主成分として含有し、さらに膨潤性無機層状化合物を含有し、該膨潤性無機層状化合物の粒子平均長径が0.1〜100μmであり、かつ、アスペクト比(層状化合物の粒子平均長径/厚さの比)が100〜5,000であることを特徴とする、熱転写受容シート。
  2. 前記中間層に含有される中空粒子の全質量に対する、ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された当該中空粒子の質量比率が60質量%以上である、請求項1記載の熱転写受容シート。
  3. ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された前記中空粒子の平均粒子径が2〜10μmかつ体積中空率が60〜90%である、請求項1又は2記載の熱転写受容シート。
  4. 前記シート状支持体がセルロースパルプを主成分とするシート状支持体である、請求項1〜のいずれか1項記載の熱転写受容シート。
  5. ガラス転移温度が130℃以上である重合体材料により隔壁の形成された前記中空粒子の重合体材料が、ニトリル系モノマーを主成分として含有する成分から得られる、請求項1〜のいずれか1項記載の熱転写受容シート。
  6. 前記ニトリル系モノマーがアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルから選択される少なくとも一種である、請求項記載の熱転写受容シート。
  7. 前記中間層の厚さが20〜90μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
  8. 前記中間層の全固形分質量に対する、全中空粒子の質量比率が30〜70質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
  9. 前記シート状支持体の画像受容層が設けられていない側に、少なくとも高分子樹脂と有機及び/又は無機微粒子とを含有する裏面層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
  10. 前記中間層が、前記中空粒子として、軟化点が60℃以上である重合体材料により隔壁の形成された当該中空粒子を少なくとも含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
  11. 前記中間層が、前記中空粒子として、
    加熱処理していない当該中空粒子について25℃にて測定して得られた体積中空率と、温度120℃環境下で1分間加熱処理した後、放冷した当該中空粒子について25℃にて測定して得られた体積中空率との差で定義される当該中空粒子の体積中空率加熱変化が10%以下である当該中空粒子を少なくとも含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱転写受容シート。
  12. 前記中間層に含有される前記中空粒子の全質量に対する、体積中空率加熱変化が10%以下である前記中空粒子の質量比率が60質量%以上である、請求項11に記載の熱転写受容シート。
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