JP5470978B2 - 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents
熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5470978B2 JP5470978B2 JP2009088023A JP2009088023A JP5470978B2 JP 5470978 B2 JP5470978 B2 JP 5470978B2 JP 2009088023 A JP2009088023 A JP 2009088023A JP 2009088023 A JP2009088023 A JP 2009088023A JP 5470978 B2 JP5470978 B2 JP 5470978B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- layer
- coat layer
- thermal transfer
- transfer image
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
Description
(1)基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、上記基材シートが、中紙と、少なくとも該中紙の断熱層積層側面において、曲げ弾性率の異なる樹脂によって形成される2層の樹脂コート層を備えており、上記2層の樹脂コート層を中紙側から第一樹脂コート層、第二樹脂コート層としたときに、上記第二樹脂コート層は、曲げ弾性率が50MPa以上130MPa以下の樹脂から構成されており、且つ、上記第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率が、上記第二樹脂コート層の曲げ弾性率よりも大きいことを特徴とする熱転写受像シート、
(2)上記第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率が100MPa以上20000MPa以下であることを特徴とする上記(1)に記載の熱転写受像シート、
(3)上記第二コート層が、低密度ポリエチレン系樹脂、または熱可塑性エラストマーから構成されていることを特徴とする上記(1)または(2)のいずれか1つに記載の熱転写受像シート、
(4)上記第二樹脂コート層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂の融点が70℃以上であることを特徴とする上記(3)に記載の熱転写受像シート、
(5)上記第一樹脂コート層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、高密度ポリエチレン、または低密度ポリエチレンのいずれか1つから構成されていることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の熱転写受像シート、
(6)上記中紙と上記第一コート層との間、および/または上記第一コート層と上記第二コート層との間に接着剤層が設けられていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の熱転写受像シート、
(7)上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載される基材シート上に、同時多層塗工法により、水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を少なくとも同時に塗工して複数の塗膜を同時に形成する塗膜形成工程と、上記塗膜形成工程において積層された塗膜を冷却し、続いて乾燥させる冷却乾燥工程と、を備える、熱転写受像シートの製造方法、
を要旨とするものである。
本発明の熱転写受像シートは、基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、上記基材シートが、中紙と、少なくとも該中紙の断熱層積層側面において、順に、第一樹脂コート層、第二樹脂コート層を備えており、上記第二樹脂コート層は、曲げ弾性率が50MPa以上130MPa以下の樹脂から構成されており、且つ、上記第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率が、上記第二樹脂コート層の曲げ弾性率よりも大きいものである。即ち、中紙側から、硬質樹脂層、軟質樹脂層を順に設けることにより、本発明の所期の問題を解決するものである。また本発明は、上述のとおり基材シート上に、少なくとも断熱層と受容層とをこの順で積層することにより構成されるが、基材シートと断熱層との間、あるいは断熱層と受容層との間には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、任意の層をさらに設けることができる。以下に、本発明の熱転写受像シートについて、基材シート、および各層について順に説明する。
本発明に用いられる基材シートは、断熱層および受容層、あるいはさらに追加される任意の層を支持する機能を有するものであり、少なくとも中紙と、該中紙の断熱層積層面側に曲げ弾性率の異なる樹脂を用いて形成される第一樹脂コート層と第二樹脂コート層とを備えるものである。上記基材シートの厚みは特に限定されるものではないが、一般的には、100μm以上250μm以下、好ましくは150μm以上200μm以下の中紙を用い、少なくとも中紙の断熱層積層面側に形成される第一樹脂コート層および第二樹脂コート層、あるいはさらに任意で設けられる、中紙の上記断熱層積層面側とは反対側(以下において単に「裏面側」ともいう)に設けられる樹脂コート層(以下において「裏面側樹脂コート層」ともいう)などを備えて、全体の厚みが決定される。尚、中紙の裏面側に形成される樹脂コート層は、断熱層積層面側に形成される第一樹脂コート層、あるいは第二樹脂コート層と同様の樹脂により形成してもよく、あるいは樹脂硬度に限定されず、従来公知の所謂レジンコート紙における樹脂コート層と同様の内容で形成されていてもよい。
本発明に用いられる中紙は、従来公知の、所謂レジンコート紙の中紙として用いられるものを適宜選択して使用することができる。一般に中紙は、中紙中に4〜10重量%程度の水分を含有している。このような中紙を例えば相対湿度が0〜10%程度の低湿度雰囲気中に放置すると、中紙の種類によっては中紙中の水分濃度が低下して、中紙表面に中紙の繊維目が浮かび上がるなどの原因により凹凸が生じる場合がある。また、低湿環境における水分濃度の低下は、硬度の増大として観察される場合もある。このように、中紙表面に凹凸が存在すると、従来は、熱転写の際の印画圧力により、当該凹凸が受像シート表面まで浮き彫りになり、特に凹部において、あるいは凸部の周辺域において印画圧力が設定どおりにはかかからず、その部分においてインキの転写状態が不良となり白抜け(ざらつき)が発生するという問題があった。したがって、作製された熱転写受像シートを速やかに熱転写に供与した場合には、印画される画像に白抜けが観察されなくても、同様に作成された熱転写受像シートを特定条件下で保存し、その後に熱転写に供与した場合に、印画される画像に白抜けが発生してしまうという問題が発生するのである。
本発明における第一樹脂コート層は、後述する第二樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率よりも大きい曲げ弾性率を示す樹脂により構成される。第一樹脂コート層の存在は、中紙と第二樹脂コート層との間に、硬質の樹脂層が設けられることを意味する。中でも、第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率が、100MPa以上20000MPa以下である場合には、第一樹脂コート層に求められる作用、即ち、中紙表面に凹凸が存在する場合であっても、当該凹凸が受容層表面側まで表出することを防止するという作用を充分に発揮することができるため、望ましい。尚、本発明、および本明細書において曲げ弾性率とは、JIS K 7171に基づき測定されるものである。
また第一樹脂コート層を構成する樹脂の市販の例としては、三井化学(株)製PMP(TPX:DX820M、DX820、DX310、MX021、MX004、MX002)、東洋紡績(株)製 PET(バイロン:SI−173、RN9600、RN9300)、日本ポリエチレン(株)製 高密度ポリエチレン(ノバテックHD:HJ360、HJ362N、HJ580、HJ490)、日本ポリエチレン(株)製 低密度ポリエチレン(ノバテックLD:LC561、LC600A、LC522)、日本ポリエチレン(株)製 気相法直鎖上程密度ポリエチレン(ノバテックLL:UJ370、UJ580)などを上げることができる。
一方、第一樹脂コート層を構成する樹脂として使用可能なHDPEあるいはLDPEは、一般的に中紙との接着性が良好であり、また第二樹脂コート層との接着性においても良好であるという特質を有する。したがって、中紙と第一樹脂コート層との間、あるいは第一樹脂コート層と第二樹脂コート層との間に接着剤層を設けずとも、接着性の良好な基材シートを形成することができる。また接着剤層の形成が不要である場合には、第一樹脂コート層及び第二樹脂コート層を共押出しにより同時に中紙上に形成することもできる。したがって、これらの樹脂の使用は、製造上の有利性あるいはコストの観点から、非常に有利である。
本発明における第二樹脂コート層は、前述する第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率よりも小さい曲げ弾性率を示す樹脂により構成される。より具体的には、第二樹脂コート層は、曲げ弾性率が50MPa以上130MPa以下の樹脂を用いて構成される。第二樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率を50MPa以上とすることにより、基材シートの保存による中紙の変動による印画部への影響を充分に抑制することができ、また、中紙の変動自体を抑制することができる。一方、130MPaを上回る曲げ弾性率の場合には、基材シートの受容層側の最表面層としては柔軟性が充分に発揮されず、所望のクッション性を得られないばかりか、例えば受容層表面に微小なゴミが存在した状態で印画した場合に、当該ゴミ及びこの周囲に適切にインキが転写されず、点状の印画抜けが発生する恐れがある。
第二樹脂コート層の存在は、第一樹脂コート層のさらに上面側に設けられる層であって、望ましくは基材シートの最表面側に位置する層として、軟質の樹脂層が設けられることを意味する。このように、中紙の断熱層積層面側において、硬質の樹脂層と軟質の樹脂層とが順に設けられることによって、本発明の所期の問題が非常に良好に解決され、とりわけ、特定の保存条件下において保存された後に熱転写に供与された場合であっても、白抜けのない、高品質画像を提供することができる。
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)は、塊状重合法、あるいはICI法と呼ばれる方法で生成される樹脂であり、エチレンを1000から4000気圧100〜350℃の条件下で多段ガス圧縮機を用いて重合することにより得られる。上述のとおり生成されLDPEは、多くの長鎖分岐や短鎖分岐を持つLDPEとなり、比較的柔軟な、ポリエチレンである。
一方、上記メタロセン直鎖状低密度ポリエチレンとは、従来用いられていたチーグラー系触媒に代わり、メタロセン触媒を用いて生成されるポリマーであり、三井石油法、デュポン法、ダウ法とも呼ばれる液相重合法で得られる直鎖状低密度ポリエチレンである。メタロセン触媒を用いて生成される直鎖状低密度ポリエチレンは、従来の気相法で生成される直鎖状低密度ポリエチレンに比べ、柔軟で、曲げ弾性率の低いポリエチレンが得られるため好ましく使用可能である。ただし、従来の気層法直鎖状低密度ポリエチレンであっても、適度な曲げ弾性率を有するものであれば、第二樹脂コート層構成樹脂として好ましく使用可能である。
また上記低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体だけではなく、エチレンと他のα―オレフィンとの共重合体であってもよい。α―オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、1−ノネン、4−メチルペンテン等が上げられる。これらα−オレフィンを1種類、もしくは2種類以上共重合させた重合体、さらにはα−オレフィンと共重合可能な他のモノマーを1種類、もしくは2種類以上共重合させた共重合体を使用することができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレンーメチルアクリレート共重合体等を使用することができる。
本発明において使用可能なポリエチレン系樹脂の市販品の例としては、例えば、日本ポリエチレン(株)製カーネルKC573、KC570Sを単独で使用することができる。あるいは、たとえば、曲げ弾性率の異なる樹脂を混合して所望の曲げ弾性率を示す樹脂として使用することもできる。たとえば、市販品の樹脂の混合の例として、日本ポリエチレン株式会社製カーネルKC573とカーネルKC650T、あるいは同様にKC573とKS340Tとを適切な割合で混合して用いることもできる。その他の例として、日本ポリエチレン(株)製 低密度ポリエチレン(ノバテックLD:LC600A、LC607K、LC604)を単独で使用することができる。これらLDPEを、もしくは必要に応じて、その他の曲げ弾性率120以上の樹脂を適当な割合で混合して使用することもできる。さらには、LDPEとメタロセンLLDPEとを適切な割合で混合して使用することもできる。
本発明において使用可能な熱可塑性エラストマー樹脂としては、従来公知のスチレン系、オレフィン系、ジエン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系などの熱可塑性エラストマーが使用可能である。オレフィン系TPE(TPO)としては、PPとEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)の単純ブレンドが知られているが、これらの混合に際して架橋剤を加えることでPPマトリックス中に完全架橋、あるいは部分架橋させたEPDM粒子をミクロ分離させることで生成される「動的架橋TPO」が好ましく用いられる。EPDMの代わりにEPM(エチレン−プロピレンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IIR(イソブテン・イソプレンゴム)を使用したTPOも適度な曲げ弾性率を有せば、使用可能である。市販品の例としては、ホモポリプロピレンにゴム成分を微細分散させて得られた熱可塑性エラストマーである、三井化学(株)製のゼラスMC707、を挙げることができる。
基材シート中に接着剤層を設ける場合には、まず、溶媒へ分散または溶解した接着剤を中紙表面、あるいは第一樹脂コート層表面へ塗布し乾燥させて接着剤層を形成した後、第一樹脂コート層あるいは第二樹脂コート層を形成するための樹脂を該接着剤層面に押し出しコートする。そして、巻き上げ部にて巻取った後、必要に応じて30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤層を硬化させるとよい。中紙、並びに、最終的に形成される熱転写受像シートへの悪影響がないようできるだけ低温で硬化できる接着剤が特に好ましく使用される。
例えば、上記熱硬化系接着剤としては、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、(2液硬化型)ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、などを使用することができる。なかでも2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。
また、上記熱可塑性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、エチレン・酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリルエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリルエステル樹脂、並びにそれらの共重合樹脂、エチレン・アクリル樹脂、シアノアクリレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、天然ゴム、合成ゴム等の接着剤を使用することができる。これらの接着剤は単独で使用しても複数混合して使用しても良い。
本発明における断熱層は、上述する基材シートと受容層との間に形成されるものであり、少なくともバインダー樹脂及び中空粒子を含んで構成され、好ましくは冷却ゲル化剤を含んで構成されるものである。上記断熱層は、本発明の熱転写受像シートを用いて画像を印画する際に、サーマルヘッドから受容層に加えられた熱が、基材シート等へ伝熱することにより基材シートが損傷することを防止するための断熱性を有する層である。また、サーマルヘッドからの熱が、印画時の染料の昇華に効率よく使用されるための高効率な熱利用の観点からも、断熱層を設けることが望ましい。更に、断熱層に中空粒子を含有させることによりクッション性を発揮させることが可能となるので、中空粒子が含有された断熱層が設けられた熱転写受像シートは、画像形成時における濃度ムラやハイライト部の白抜けが抑制されて、印画特性が向上する。
断熱層に充分な断熱性の付与と「白抜け」の発生を低減するという観点から、断熱層の厚みは、10〜40μmの範囲内であることが好ましい。またこのとき、上記断熱層の密度は、0.1〜0.8g/cm3が好ましく、0.2〜0.7g/cm3がより好ましい。
また、断熱層に充分な断熱性を与えるという観点から、断熱層の空隙率は、15〜80%の範囲内であることが好ましい。尚、該空隙率は、「(中空粒子の空隙率)×(断熱層における中空粒子の含有率)重量比」で示される値である。
本発明に用いられる断熱層が2層構造である場合の一例としては、上記断熱層が、基材シート側から、中空粒子を含有する断熱層と、及び上記中空粒子よりも中空率の小さな中空粒子を含有する断熱層とが積層された構成を有するものを挙げることができる。断熱層としてこのような2層構造よりなるものを用いることにより、印画時における濃度ムラやハイライト部の白抜け防止といった印画特性の向上効果がさらに発揮される。
本発明において、断熱層に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性を有する断熱層を得ることができれば特に限定されるものではないが、断熱層に含まれる全固形分を100重量%としたときに、断熱層を構成する中空粒子とバインダー樹脂の割合[(中空粒子/バインダー樹脂)の重量比]が60/40〜90/10であることが好ましく、なかでも65/35〜80/20であることが好ましい。中空粒子の含有量が少なすぎると、断熱層における空隙が少なくなり、充分な断熱性が得られない場合があり、中空粒子の含有量が多すぎて後述する断熱層形成用バインダー樹脂の重量比が小さくなりすぎると、断熱層が脆くなり層の成形性が悪くなる虞があるからである。
このような水系溶媒に分散可能な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
また、通常、水系溶媒に溶解可能な樹脂としては、たとえば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び特開平7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。
また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。とりわけ、水系溶媒に分散可能な樹脂と、水系溶媒に溶解可能な樹脂を合わせて使用することで、例えば、分散性と造膜性を両立できる等のメリットがあり好ましい。また、クッション性、密着性をあげるために、これらの特性に優れたバインダー、すなわち、比較的低融点、低Tgの材料を混合することが好ましい。また、上記バインダー樹脂として、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン等の材料を用いる場合には、これらバインダー樹脂は、冷却ゲル化機能も発揮し得るため、別途、後述する冷却ゲル化剤を用いずとも、同時多層塗布方法において良好に製造可能である。
本発明における受容層は、染料染着性を備える樹脂材料(受容層形成用樹脂)を含む層であり、熱転写にて転写受像シートが印画される際に、熱転写シートに担持される染料が熱転写受像シートの所定領域に転写され、その染料が熱転写受像シートに担持された状態となり(すなわち、熱転写受像シートが染着され)、熱転写受像シートに画像を形成する機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
受容層形成用樹脂は、水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂(水性樹脂)、有機溶媒に分散・溶解可能な樹脂(溶剤系樹脂)のいずれでも使用可能であるが、水性樹脂であることが好ましい。上記受容層形成用樹脂が上記水性樹脂であることにより、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、断熱層と上記受容層とを水系溶媒のみを用いて、基材シート上に同時に塗布することが可能になるからである。
受容層形成用樹脂を構成する水性樹脂として、所望の水系溶媒に所定量を分散・溶解可能な水性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができるが、中でも、染料染着性、耐熱性、耐光(候)性、離型性等の点から塩化ポリビニル系樹脂又はスチレン−アクリル系共重合体を用いることが好ましい。尚、受容層形成用樹脂としては、上記にて挙げたような各種樹脂を1種のみ用いてもよく、単量体組成、平均分子量等を異にする樹脂を2種以上用いてもよい。
なお、上記塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニルと酢酸ビニルとからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよび酢酸ビニルに加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体を少量重合したものであってもよい。
上記アクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は60〜80/40〜20が好ましい。スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位が60モル%以上で比較的高いガラス転移温度(Tg)となるので、このような共重合体を含有する受容層は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上する。
また受容層形成用樹脂を構成する樹脂材料として、上述する水性樹脂以外に従来公知の溶剤系樹脂材料、難溶解性樹脂材料を使用することもできる。これらの材料も上述した水系樹脂材料と同様一般的な熱可塑性樹脂を主体として構成される。このような樹脂材料としては例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、中でも特に好ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、及びそれらの混合物である。なかでも、塩化ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体等を、好ましいものとして、水性樹脂受容層材料と同様に挙げることができる。
本発明の熱転写受像シートは、基材シート、断熱層、及び受容層を、少なくともこの順で備えて構成されるが、必要に応じて他の任意の層をさらに有していてもよい。このような他の構成としては、従来、熱転写受像シートにおいて採用される任意の層であれば適宜選択して設けることができるが、例えば、断熱層と基材シートとの間に形成される下引き層、断熱層と受容層との間に形成されるプライマー層などを挙げることができる。
また上記プライマー層には、上記プライマー層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等が含まれていてもよい。上記プライマー層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.1〜40μmであることが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、0.3〜10μmが更に好ましい。
尚、下引き層形成用樹脂としては、上述する断熱層を構成するバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。また、下引き層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤は、上述する受容層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤と同様であるためここでは記載を割愛する。
本発明において、熱転写受像シートを用いて印画される画像が白抜けし、その結果ざらつきが発生するか否かは、以下のとおり評価することができる。
即ち、保存前の熱転写受像シートについては、作成後、速やかに評価試験に供与された熱転写受像シートと、熱転写シートを用いて熱転写を行い、熱転写受像シートの受像層側に印画された画像を肉眼観察し、画像に白抜け(ざらつき)が発生しているか否かを確認することができる。
一方、保存後の熱転写受像シートについては、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存するという保存条件下で熱転写受像シートを保存し、その後、上述の同様に熱転写を行い、形成された画像の白抜け(ざらつき)の状態を確認する。
尚、上記熱転写は、印画される所定画像として、ブラックの18ステップに分割された画像(以下、「18階調グラデーション画像」ともいう)を選択し、熱転写シートを用い、昇華型熱転写法により熱転写記録を行い、18階調グラデーション画像を熱転写受像シートの受容層側に印画する。そして、それぞれの階調の濃度を光学濃度計にて測定し、それぞれ1〜18階調の印画濃度のうち、低濃度側から3階調目及び4階調目の画質についてハイライト部分を目視にて観察し、白く抜けた部分がなく均一な灰色の画像が観察されていれば優良(○)、わずかではあるが繊維目に沿った白抜け部分があり、これによってざらつきが観察される場合には可(△)、明らかに繊維目に沿った白抜けがあり、これによってざらつき感が顕著に確認される場合には不良(×)と評価する。
上記熱転写受像シートは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、従来公知の熱転写受像シートの製造方法を適宜選択して製造することができる。
例えば基材シート上に断熱層、及び受容層、あるいはさらに任意の層を形成するために、これらの層を基材シート側から1層ずつ順に、グラビアロール法、コンマコート法、あるいはバーコート法等などの公知の方法により形成することができる。尚、有機溶媒を使用した塗工液により塗膜を形成する場合には、基材シート状に塗工液を塗布して塗膜を形成した後、該有機溶媒を除去することにより各層が形成されて熱転写受容シートが形成される。
あるいはまた、熱転写受像シートを構成する層のうち、少なくとも連続する2層以上については上述のとおりスライドコート法などにより同時に多層塗工して塗膜を形成し、その他の層を、単層ずつ形成することもできる。
[原材料]
(イ)受容層形成用塗工液1
下記に示すスチレン−アクリル共重合体エマルジョン、ゼラチン(RR、新田ゼラチン社製)(固形分として10重量部)、シリコーン系離型剤(KF615A、信越化学工業社製)(固形分として10重量部)を用い、受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として25重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として2重量部)を添加し、受容層形成用塗工液1とした。
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン126g、エチルアクリレート24g、ラウリルアクリレート44g、アクリル酸2g及びアクリルアミド2gと、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製、1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどのモノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#100メッシュ(日本織物)にてろ過し、受容層形成用塗工液1に使用するスチレン−アクリル系共重合体のエマルジョン(分子量:190000、Tg:60℃)を得た。また、スチレン、エチルアクリレート、ラウリルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は70%、14%、12%となる。反応時間については、薄層クロマトグラフィー(TLC)にてモノマーの存在が確認できなくなる、あるいは存在量が減少しなくなるまで行った。
尚、上記共重合体の分子量、およびガラス転移温度の測定(Tg)は、それぞれ以下の方法によって測定した。
分子量(Mn):GPC(HLC−8020;東ソー株式会社製 展開溶媒;THF 流量;1.0mL/分 カラム;G2000HXL+G3000HXL+G5000HXL)により測定したポリスチレン換算による数平均分子量を上記分子量とした。
ガラス転移温度(Tg):剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)により測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
(ロ)受容層形成用塗工液2
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(電気化学工業(株)製、#1000A)(固形分として100重量部)、エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−393)(固形分として5重量部)、アミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−343)(固形分として5重量部)を用い、受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として20重量%となるように、メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1)にて調整し、受容層形成用塗工液2とした。
(ハ)断熱層形成用塗工液
中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP−91)(固形分として70重量部)及びゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として30重量部)を用い、断熱層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として17重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として0.5重量部)を添加し、断熱層形成用塗工液とした。
(ニ)上記ウレタン系接着剤
主剤としてタケラックA310(三井武田ケミカル(株)製)100質量部、硬化剤としてタケネートA3(三井武田ケミカル(株)製)8質量部、溶剤として 酢酸エチル50質量部を用いて、接着剤を調整した。このウレタン系接着剤を、基材シートと第1樹脂コート層の接着、もしくは、第1樹脂コート層と第2樹脂コート層の接着にともに用いた。
(ホ)各実施例、比較例において形成される基材シートの中紙として、厚さ180μmの上質コート紙(日本製紙(株)製 オーロラコート 2.08g/m2 180μm)を準備した。
上記中紙の一方の面側に、まず上記裏面側樹脂コート層形成用樹脂(HDPE:HJ362N 日本ポリエチレン(株)製)を用いて押出積層法により、厚み30μmの裏面側樹脂コート層を積層した。
尚、上記中紙に上記裏面側樹脂コート層を形成した裏面側樹脂コート紙については、後述する実施例2乃至18、比較例1乃至7についても同様のものを形成した。また上記接着剤層については後述する実施例2乃至12、実施例16乃至18、比較例1乃至6についても同様のものを形成した。
第一樹脂コート層、および第二樹脂コート層を構成する樹脂の内容および層の厚みを表1または表2示す内容に変更した以外には、実施例1と同様に、熱転写受像シートを形成し、それぞれ、実施例2乃至7、実施例9乃至11とした。即ち、これらの実施例は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、接着剤層(5g/m2)、第一樹脂コート層、接着剤層(5g/m2)、第二樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
第一樹脂コート層、および第二樹脂コート層を構成する樹脂の内容及び層の厚みを表1または表2に示す内容に変更した以外には、実施例1における基材シートと同様に、各実施例に用いる基材シートを作成した。
次に、各実施例における基材シートの第二樹脂層形成面側に、上記断熱層形成用塗工液を用いて、乾燥状態で20μmの厚みとなるようにグラビアコータにて塗工して断熱層を形成した。次いで、上記断熱層面側に上記受容層形成用塗工液2を用いて、乾燥状態で5μmの厚みとなるようにグラビアコータにて塗工して受容層を形成し、実施例8、及び実施例12である熱転写受像シートを形成した。即ち、実施例8及び12は、実施例1と同様に、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、接着剤層(5g/m2)、第一樹脂コート層、接着剤層(5g/m2)、第二樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
第一樹脂コート層、および第二樹脂コート層を構成する樹脂の内容及び層の厚みを表2に示す内容に変更し、且つ、接着剤層を設けなかったこと以外は、実施例8と同様に熱転写受像シートを作成し、実施例13とした。即ち、実施例13は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、第一樹脂コート層、第二樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
第一樹脂コート層、および第二樹脂コート層を構成する樹脂の内容及び層の厚みを表2に示す内容に変更し、且つ、接着剤層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを形成し、これを実施例14及び15とした。即ち、実施例14及び15は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、第一樹脂コート層、第二樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
押出積層法により、表3に示す第一樹脂コート層を構成する樹脂の内容および層の厚みで、第一樹脂コート層を形成し、且つ、第一樹脂コート層と第二樹脂コート層の間に設けられた接着剤層、並びに、第二樹脂コート層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを形成し、それぞれ比較例1及び2とした。即ち、比較例1及び2は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、接着剤層(5g/m2)、第一樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
押出積層法により、表3に示す第一樹脂コート層を構成する樹脂の内容および層の厚みで、第一樹脂コート層を形成し、且つ、第一樹脂コート層と第二樹脂コート層の間に設けられた接着剤層、並びに、第二樹脂コート層を形成しなかったこと以外は、実施例8と同様に熱転写受像シートを形成し、それぞれ比較例3及び4とした。即ち、比較例3及び4は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、接着剤層(5g/m2)、第一樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
押出積層法により、表3に示す第一樹脂コート層及び第二樹脂コート層を構成する樹脂の内容および層の厚みで、第一樹脂コート層及び第二樹脂コート層を形成したこと以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを形成し、それぞれ比較例5乃至6とした。即ち、比較例5乃至6は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、接着剤層(5g/m2)、第一樹脂コート層、接着剤層(5g/m2)、第二樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
押出積層法により、表3に示す第一樹脂コート層及び第二樹脂コート層を構成する樹脂の内容および層の厚みで、第一樹脂コート層及び第二樹脂コート層を形成し、且つ、中紙と第一樹脂コート層の間の接着剤層および第一樹脂コート層と第二樹脂コート層の間の接着剤層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを形成し、比較例7とした。即ち、比較例7は、裏面側樹脂コート層(厚み30μm)、中紙(厚み180μm)、第一樹脂コート層、第二樹脂コート層、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成した。
上述のとおり作成した実施例および比較例について、保存前の熱転写受像シート、及び保存後の熱転写受像シートを用いて熱転写した際の印画画像の「ざらつき」、及び保存後の熱転写受像シートを用いて熱転写した際の印画画像の「印画抜け」の評価を下記のとおり行った。これらの評価結果は、表1乃至表3に示す。
上述する実施例および比較例について、特定条件下(60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存)において保存する前の熱転写受像シート及び保存後の熱転写受像シートを準備し、これらを用いて、熱転写を以下のとおり行った。上記熱転写は、熱転写受像シートの受容層面側に印画される所定画像として、ブラックの18ステップに分割された画像(以下、「18階調グラデーション画像」ともいう)を選択した。そして、ALTECH ADS社製プリンタ用の専用の熱転写シート(型式:MEGAPIXELIII)を用い、昇華型熱転写法により熱転写記録を行い、18階調グラデーション画像を実施例1及び保存後実施例1の受容層側に印画した。
○:優良(白く抜けた部分がなく均一な灰色の画像が観察された)
△:可 (わずかではあるが繊維目に沿った白抜け部分があり、これによってざらつきが観察された)
×:不良(明らかに繊維目に沿った白抜けがあり、これによってざらつき感が顕著に確認された)
上記ざらつき評価において、保存前の実施例及び比較例を用いて形成した印画画像について、1〜18階調の印画濃度で示される画像全体を観察し、以下のとおり評価した。
○:優良(画像全面において点状の印画抜け部分がなく、1〜18階調の均一な画像が観察された)
×:不良(画像のところどころにおいて、点状の印画抜け部分が確認された)
以下に、参考までに上述する各実施例及び各比較例に使用した基材シートの製造特性評価の結果を示す。上記製造特性評価は、基材シートを作製する過程において、中紙における接着剤層面に、第二樹脂コート層(比較例1乃至4においては第一樹脂コート層)を形成するための溶融樹脂をTダイで押出し、該溶融樹脂が冷却ロールに当接する向きにおいて、冷却ロール上で溶融樹脂(樹脂コート層)と中紙を密着させるとともに、溶融樹脂を冷却して樹脂コート層形成し、これを巻取りロールにて巻き取る際に、上記冷却ロール表面に、樹脂コート層構成樹脂である上記溶融樹脂が、接着したか否かを目視で確認し、以下のように評価した。結果は表1乃至表3に示した。
○:ロールに樹脂コート層が全く接着しなかった。
△:ロールに樹脂コート層の一部が接着したことが確認された。
×:ロールに樹脂コート層が接着し、樹脂コート層が正常に形成されなかった。
Claims (7)
- 基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、
上記基材シートが、中紙と、少なくとも該中紙の断熱層積層側面において、曲げ弾性率の異なる樹脂によって形成される2層の樹脂コート層を備えており、上記2層の樹脂コート層を中紙側から第一樹脂コート層、第二樹脂コート層としたときに、
上記第二樹脂コート層は、曲げ弾性率が50MPa以上130MPa以下の樹脂から構成されており、且つ、
上記第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率が、上記第二樹脂コート層の曲げ弾性率よりも大きいことを特徴とする熱転写受像シート。 - 上記第一樹脂コート層を構成する樹脂の曲げ弾性率が100MPa以上20000MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 上記第二コート層が、低密度ポリエチレン系樹脂、または熱可塑性エラストマーから構成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 上記第二樹脂コート層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂の融点が70℃以上であることを特徴とする請求項3に記載の熱転写受像シート。
- 上記第一樹脂コート層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、高密度ポリエチレン、または低密度ポリエチレンのいずれか1つから構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 上記中紙と上記第一コート層との間、および/または上記第一コート層と上記第二コート層との間に接着剤層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載される基材シート上に、同時多層塗工法により、水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を少なくとも同時に塗工して複数の塗膜を同時に形成する塗膜形成工程と、
上記塗膜形成工程において積層された塗膜を冷却し、続いて乾燥させる冷却乾燥工程と、を備える、
熱転写受像シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009088023A JP5470978B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009088023A JP5470978B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010234762A JP2010234762A (ja) | 2010-10-21 |
JP5470978B2 true JP5470978B2 (ja) | 2014-04-16 |
Family
ID=43089553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009088023A Active JP5470978B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5470978B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5760810B2 (ja) * | 2011-07-28 | 2015-08-12 | 大日本印刷株式会社 | Icカード |
JP5973145B2 (ja) * | 2011-09-15 | 2016-08-23 | 株式会社ユポ・コーポレーション | 光反射体、及びそれを用いた面光源装置 |
JP2017159631A (ja) * | 2016-03-11 | 2017-09-14 | 株式会社巴川製紙所 | 昇華型プリンタ用受像シート |
US11872830B2 (en) | 2018-03-22 | 2024-01-16 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Thermal transfer image-receiving sheet |
CN114960272B (zh) * | 2022-04-26 | 2023-09-01 | 江苏膜可光学材料有限公司 | 具有特殊釉面效果的高光仿瓷卡纸及其工艺流程 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10009247C1 (de) * | 2000-02-28 | 2001-10-18 | Schoeller Felix Jun Foto | Schichtträger |
JP4758092B2 (ja) * | 2004-10-05 | 2011-08-24 | 富士フイルム株式会社 | 画像記録材料用支持体及び画像記録材料、並びに画像記録方法 |
JP2007098693A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Dainippon Printing Co Ltd | 熱転写受像シート |
JP2008162155A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Dainippon Printing Co Ltd | 熱転写受像シートの製造方法 |
-
2009
- 2009-03-31 JP JP2009088023A patent/JP5470978B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010234762A (ja) | 2010-10-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5470978B2 (ja) | 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 | |
JP4993125B2 (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2019104176A (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2006264092A (ja) | 熱転写受像シート | |
JP4368322B2 (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2008105366A (ja) | 熱転写受像シートの製造方法 | |
JP4357443B2 (ja) | 熱転写受像シート | |
JP5534134B2 (ja) | 熱転写受像シートおよび熱転写受像シートの製造方法 | |
JP2009061733A (ja) | 熱転写受像シート | |
WO2006115176A1 (ja) | 熱転写受像シート、および、熱転写受像シートの製造方法 | |
JP2010234702A (ja) | 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 | |
JP4978404B2 (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2010194786A (ja) | 熱転写受容シート | |
JP2009078387A (ja) | 熱転写受像シート | |
JP5151538B2 (ja) | 熱転写受像シートおよびその製造方法 | |
JP2007326324A (ja) | 熱転写受容シート | |
JP2009083297A (ja) | 熱転写受像シートの製造方法 | |
JP2010221400A (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2009083329A (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2002166660A (ja) | 熱転写記録用受像体 | |
JP4993127B2 (ja) | 熱転写受像シート | |
JP2009083273A (ja) | 熱転写受像シート | |
JP4041314B2 (ja) | 熱転写受像シートおよび染料受容層転写シート | |
JP2012200890A (ja) | 熱転写受像シートおよびその製造方法 | |
JP2009090521A (ja) | 熱転写受像シートの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120127 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130830 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130904 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20131101 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140107 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140120 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5470978 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |