JP5760810B2 - Icカード - Google Patents
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Description
ICカード1には、基材2の第1シート部材5側に、クッション層4が設けられている。クッション層は、ざらつきが少なく、高濃度で、耐光性に優れた印画物を得るためのものであり、本発明の必須の構成要件である。クッション層4は、中空粒子と第一のバインダ樹脂を含むものであり、親水性バインダーや硬膜剤、乳化剤などをさらに含んでいても良い。またクッション層4は、2層以上からなるものであっても良い。
本発明において、第一のバインダ樹脂は中空粒子を保持する機能を有するものである。本発明で使用する中空粒子は耐有機溶剤性が低い為ことから、第一のバインダ樹脂は水に分散又は溶解できるものが好ましい。ICカードには耐水性が要求されるので、第一のバインダ樹脂は乾燥後に耐水性を有することが好ましい。このようなものとして、例えばスチレンアクリル酸共重合樹脂、及び/又はゼラチンを好ましく用いる事ができる。
スチレンアクリル酸共重合樹脂は、50℃以上、好ましく60℃以上120℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下のガラス転移温度(Tg)を有し、かつ150以上、好ましく180以上300以下、より好ましくは190以上300以下の酸価を有するものである。本発明において、ガラス転移温度(Tg)とは、DSC装置(示差走査熱量計)としてDSC−60(島津製作所製)を用い、昇温速度10℃/min、試料重量10mg、窒素雰囲気下の条件により測定される値である。また、固形分酸化とは、中和前の理論酸価(AV)であり、AV(mgKOH/g)=樹脂1g中に含まれるカルボキシル基の中和に必要なKOH量(mg)を指す。
本発明において、ゼラチンを用いることで受容層とクッション層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、塗布適性が向上できる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい
(中空粒子)
本発明で用いる中空粒子は、体積平均粒径が好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の体積平均粒径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。またエンボスへの耐性を高める観点からは、上記中空粒子は架橋中空粒子であることが好ましい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、HP−1055、HP−91、およびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、ならびにMH−5055(日本ゼオン)、SX8782(A)(JSR(株))等が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、クッション層等に含まれる硬膜剤としては、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)、オキサゾリン系硬膜剤、カルボジイミド系硬膜剤を用いることができる。この様な硬膜剤を用いることによって、印画物の耐水性を向上することができる。N−メチロール系硬膜剤、オキサゾリン系硬膜剤、カルボジイミド系硬膜剤が、印画物の耐水性をさらに向上できるので特に好ましい。
ICカード1には、基材2の第1シート部材5側に、クッション層4を介して受像層3が設けられている。受像層3は、熱転写記録方式で昇華もしくは熱拡散性染料画像を受容して、被記録体1に文字情報および画像情報を印画するためのものであり、本発明の必須の構成要件である。本発明において、受容層は、第二のバインダ樹脂を含むものであり、さらに乳化剤や離型剤を含んでいても良い。
本発明の第二のバインダ樹脂は、熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容できるポリマーである。本発明では、溶剤系樹脂をバインダ樹脂として使用できる。
本発明の受容層は、乳化剤を含むものであっても良い。これによって、第二のバインダ樹脂を含む溶剤系溶液から水系分散液を製造することができる。本発明ではアニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤のいずれも用いることができるが、分散性の観点からアニオン系乳化剤が特に好ましく、有機の強酸と無機の強塩基との塩からなるアニオン系乳化剤がさらに好ましい。例えば、アルキルナフタレンスルホン酸Na、コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸イソブチルエステル硫酸ナトリウム、オレイン酸硫酸化ナトリウム、天然アルコールエーテルサルフェートのナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、およびフェノールスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、受容層は離型剤をさらに含んでもよい。受容層用塗布液の調製においては、溶剤系溶液に含まれてもよい。離型剤としては、溶剤系シリコーンやフッ素系界面活性剤を挙げることができ、特に溶剤系シリコーンが好ましい。溶剤系シリコーンとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、これらを混合して用いたり、各種の反応を用いて重合させて用いたりすることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を含む水系分散塗布液を用いて受容層を形成することで、印画時に熱転写インクシートとICカードの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、市販の溶剤系離型剤を用いることもでき、例えば、信越化学工業株式会社製のX−22−163、X−22−173D、X−22−343、X−22−2000、X−22−3000T、KF−101、KF−102、KF−1001、KF−1002、KP―1800U、X−22−4015、X−22−1660B、X−22−160ASD、KF−410等が好ましい。
工液をICカード基材の一方のシート部材上に塗布し、乾燥することよって受像層を形成することができる。受像層の厚みは、一般的に1〜50μm、好ましくは2〜10μm程度である。
基材2は、ICモジュールを備えた本発明の必須の構成要件である。基材2は、第1のシート部材5と第2のシート部材5‘との間にインレット7を配置し、接着剤6、6’を介在して、各部材を積層した積層構造を有する。ICカード基材に用いられるシート部材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の単層体、あるいはこれら2層以上の積層体が挙げられる。
リーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、あるいは半田接合を行う方が知られているが、いずれの方法を用いてもよい。
比較例2
ICカード1の作製
基材シートとして、PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、U2L98W 低熱収グレード)を用い、その一方の面に、下記組成のクッション層用塗布液1および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ12μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥した。得られたシートを使用し、特開2006−178566の実施例に記載された方法でICカードを作製した。ICカード1は、図1に示されるような層構成を有していた。
・中空粒子(日本ゼオン(株)製、商品名:MH5055、体積平均粒径0.5μm)
70質量部
・スチレンアクリル酸共重合樹脂(BASF(株)製、商品名:ジョンクリル62J)
25質量部
受容層用塗布液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45質量部
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5質量部
なお、受容層用塗布液1(水系分散塗布液)は、以下のようにして調製した。まず、下記の組成となるように、水系溶液1および溶剤系溶液1を調製した。この水系溶液1と溶剤系溶液1とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、溶剤系塩ビ系樹脂を水溶液中に乳化させ、その後有機溶媒を除去して水系分散塗布液を調製し、これを受容層用塗布液として用いた。調製した水系分散塗布液の固形分量は、15%であった。以下、各実施例および比較例においても、同様の方法により受容層用塗布液を調製した。
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5重量部
・純水 270重量部
溶剤系溶液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45重量部
・酢酸エチル(溶剤) 450重量部
実施例2
クッション層用塗布液1の組成を、下記のクッション層用塗布液2とした以外は、比較例2と同様にしてICカード2を得た。
・架橋中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX8782(A)、体積平均粒径1.1μm、内孔径0.9μm、中空率55%)
70質量部
・スチレンアクリル酸共重合樹脂(BASF(株)製、商品名:ジョンクリル62J)
25質量部
比較例3
クッション層用塗布液1の組成を、下記のクッション層用塗布液3とした以外は、比較例2と同様にしてICカード3を得た。
・中空粒子(日本ゼオン(株)製、商品名:MH5055、体積平均粒径0.5μm)
70質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 23質量部
・ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア)(硬膜剤、特開2002−40595および特開2002−62610参照) 2重量部
実施例4
クッション層用塗布液1の組成を、下記のクッション層用塗布液4とした以外は、比較例2と同様にしてICカード4を得た。
・架橋中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX8782(A)、体積平均粒径1.1μm、内孔径0.9μm、中空率55%)
70質量部
・スチレンアクリル酸共重合樹脂(BASF(株)製、商品名:ジョンクリル62J)
15質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 8質量部
・ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア)(硬膜剤、特開2002−40595および特開2002−62610参照) 2重量部
比較例1
クッション層を塗布しなかった以外は、比較例2と同様にしてICカード5を得た。
上記で作製したICカードを、36度に加温した温水に1分間浸漬し、温浴から取り出し余分な水分を流れ落とす。取り出し後30秒でHEIDON測定器にて20g荷重で0.5mmφ針にて引っかき試験を行い、その傷の巾により、耐水性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
・評価基準
○:巾200μm以下の傷があった。
作製したICカードを昇華型熱転写プリンターCX120(日本ビクター(株)製)にて、RGB値が15*n(n=0〜17)のブラックの18階調グラデーション画像を印画した。得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性の評価を行った。
(i)耐光性評価の条件
・照射試験器:アトラス社製Ci4000
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA、外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2 )―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:300(kJ/m2 )−420(nm)での積算値
(ii)耐光性評価
印画物の一部をアルミ箔で覆った後に、上記の条件で耐光性試験を行なった。得られた印画物のアルミ箔を剥がし、以下の基準で目視評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
・評価基準
○:ほとんど退色していない。
△:若干の退色が確認できるが、実使用上問題ない。
上記の耐光性評価にて作製した印画物を、目視にて以下の基準で評価した。
・評価基準
○:粒状感などのムラがほとんど見当たらない。
上記の耐光性評価にて作製した印画物の濃度の高い部分と濃度の低い部分の印画物の凸凹を、以下の基準で目視にて評価した。
・評価基準
○:外観に凸凹が見られなかった。
2 基材
3 受容層
4 クッション層
5、5‘ シート部材
6、6‘ 接着剤層
7 インレット
8 アンテナ体
9 ICチップ
10 補強板
Claims (5)
- 非接触で電子情報の書込みおよび/または読出しが可能なICモジュールを内部に備えた基材と、前記基材上の少なくとも一方の面上に、クッション層と受容層を有するICカードにおいて、
前記クッション層は、架橋中空粒子と第一のバインダ樹脂を含み、
前記受容層は第二のバインダ樹脂を含む、
ことを特徴とするICカード。 - 前記第一のバインダ樹脂がゼラチン、及び/又はスチレンアクリル共重合樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載されたICカード。
- 前記第二のバインダ樹脂が塩ビ系樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載されたICカード。
- 前記クッション層が、硬膜剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載されたICカード。
- 前記架橋中空粒子は、体積平均粒径が0.3〜5μmの架橋中空粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載されたICカード。
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JP2011165560A JP5760810B2 (ja) | 2011-07-28 | 2011-07-28 | Icカード |
Publications (2)
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