JP2005096174A - 熱転写シートおよび印画物 - Google Patents

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Abstract

【課題】受像シート上に形成された画像に、水性スタンプインキに対する優れた捺印性を付与でき、かつ、優れた筆記性、耐久性を付与できる熱転写シートと、水性スタンプインキを吸収、定着させることができて捺印性、筆記性に優れ、かつ、耐久性をもつ画像を備える印画物を提供する。
【解決手段】基材シートの一方の面に、少なくとも1色の染料層と剥離可能な熱転写性保護層とを面順次に設けた熱転写シートとし、染料層は接着層を介して基材シート上に設けたものであり、熱転写性保護層は基材シート側から実質的に透明な吸水性表面層と熱接着性樹脂層とが積層された多層構造を有するものとした。また、基材上に上記染料層を用いた熱転写方式により形成された画像の少なくとも一部を覆うように上記の熱転写性保護層を転写して印画物とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は熱転写シートおよび印画物に係り、特に画像形成が可能であり、かつ、基材上に画像を有する印画物の画像に対して優れた捺印性、筆記性を付与し、同時に耐久性を付与することができる熱転写シートと、捺印性、筆記性および耐久性に優れた画像を有する印画物に関する。
従来から、熱転写方式を用いて基材に階調画像や文字、記号等の2値画像を形成することが行われている。熱転写方式としては、従来から感熱昇華転写方式と感熱溶融転写方式が広く用いられている。
このうち、感熱昇華転写方式は、色材として用いる昇華性染料をバインダ樹脂に溶解あるいは分散させた染料層を基材シ−トに担持させた熱転写シートを受像シートに重ね、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加することにより、熱転写シート上の染料層中に含まれる昇華性染料を受像シートに移行させて画像を形成する方法である。
また、感熱溶融転写方式は、基材シート上に顔料等の着色剤およびワックス等のビヒクルを含有する熱溶融性インキ層を設けた熱転写シートを受像シートに重ね、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加することにより、軟化した熱溶融性インキ層成分を受像シートに転写させて画像を形成する方法である。
ところで、身分証明書、運転免許証、会員証等の多くのカードや、パスポート等は、所有者の身分等を明らかにする各種情報が記録されており、例えば、住所、氏名等の文字情報とともに顔写真の画像を備えたものもある。各種カードやパスポート等に顔写真を付与する方法として、顔写真を基材の所定の部位に接着剤を用いて貼着する方法があるが、この方法は操作が非常に煩雑であり、また、表面に凹凸が生じて平滑性が失われ、さらに、顔写真の貼り替えによって改ざんや偽造が容易であるという問題があった。
このため、各種の画像や文字、記号等の形成が簡便である上記の熱転写方式を用いて基材に情報を記録することが行われている。
しかし、感熱昇華転写方式や感熱溶融転写方式により記録された画像、特に感熱昇華転写方式により記録された顔写真等のような画像は、耐摩擦性や可塑剤等に対する耐薬品性、耐光性等の耐性に劣り、このため、IDカードや証明写真用途等のように各種耐久性が要求される場合、使用に供し得ないという問題があった。
このような問題を解消する手段として、感熱昇華転写方式や感熱溶融転写方式により記録された画像上に、熱転写性樹脂層を有する熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて転写させ保護層を形成する方法が知られている(特許文献1、2)。このような保護層を設けることによって、画像の耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性等の耐久性をある程度向上させることができ、また、保護層中に紫外線吸収剤等を添加することによって耐光性を向上させることができる。
特開昭59−127798号公報 特開昭61−57392号公報
しかしながら、上記のような保護層を形成した画像は、保護層が吸水性を全く具備していないため、水性スタンプ等の捺印が必要な用途、例えば、証明写真用途には使用することができなかった。したがって、文字を書いたりスタンプを押したりする際には、使用できる筆記具やスタンプインキの種類に制限が生じるという問題があった。
また、証明写真用途等に使用する場合には、偽造防止のために、より高い耐薬品性、耐溶剤性が必要とされており、従来の保護層では、樹脂を十分に硬化、架橋させて形成したものであっても、十分な耐久性を得るには至っていない。
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、受像シート上に形成された画像に、水性スタンプインキに対する優れた捺印性を付与でき、かつ、優れた筆記性、耐久性を付与できる熱転写シートと、水性スタンプインキを吸収、定着させることができて捺印性、筆記性に優れ、かつ、耐久性をもつ画像を備える印画物を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の熱転写シートは、基材シートの一方の面に、少なくとも1色の染料層と剥離可能な熱転写性保護層とを面順次に備える熱転写シートにおいて、前記染料層は接着層を介して基材シート上に設けられ、前記熱転写性保護層は基材シート側から実質的に透明な吸水性表面層と熱接着性樹脂層とが積層された多層構造を有するような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記接着層は、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、または、N−ビニルピロリドンと他の成分とのコポリマーを含有するような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記吸水性表面層は、基材シート側から吸水性剥離層、吸水性定着層が積層された多層構造であるような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記吸水性剥離層は、平均粒子径が10nm〜1μmの範囲内にある耐水性微粒子と、水溶性樹脂と、非水溶性熱可塑性樹脂とを少なくとも含有するような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記吸水性剥離層は、前記耐水性微粒子を60〜80重量%、前記水溶性樹脂を15〜30重量%、前記非水溶性熱可塑性樹脂を1〜20重量%の範囲内で含有するような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記吸水性定着層は、平均粒子径が10nm〜1μmの範囲内にある耐水性微粒子と、水溶性樹脂と、非水溶性樹脂とを少なくとも含有するような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記吸水性定着層は、吸水性微細領域と耐水性微細領域を有する部分吸水層であり、前記吸水性微細領域は、少なくともポリビニルピロリドン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂からなるような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記熱接着性樹脂層は、紫外線吸収剤を含有するような構成とした。
本発明の印画物は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱転写方式により形成された画像と、該画像の少なくとも一部を覆うように設けられた保護層を備え、該保護層は上述のいずれかの熱転写シートを用いて熱転写性保護層を転写形成したものであるような構成とした。
本発明の好ましい態様は、前記印画物の保護層上に水性スタンプインキが捺印されているような構成とした。
本発明によれば、接着層を介して基材シート上に設けられた少なくとも1色の染料層と、基材シート上に剥離可能に設けられた熱転写性保護層とを面順次に備え、熱転写性保護層を基材シート側から実質的に透明な吸水性表面層と熱接着性樹脂層とが積層された多層構造を有するようにして熱転写シートとするので、上記の染料層等を用いた熱転写方式により形成された画像上に転写された熱転写性保護層では、吸水性表面層が最表面に位置し、これにより、熱転写性保護層により覆われた画像は、優れた捺印性、筆記性、耐久性を付与され、水性スタンプインキによる捺印も可能となり、かつ、水性ペンで筆記することが可能となり、また、外部から加わる力や薬品、光等に対して良好な耐性を有するものとなる。また、基材上に熱転写方式により画像が形成された印画物は、画像の少なくとも一部を上記の熱転写性保護層により覆われているため、捺印性、筆記性、耐久性に優れた画像を備えたものとなる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の熱転写シートの実施形態の一例を示す概略断面図である。図1において本発明の熱転写シート1は、基材シート2の一方の面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色相からなる昇華性染料を含有する染料層3(3Y、3M、3C、3B)と熱転写性保護層5とが面順次に形成され、基材シート2の他の面には背面層10が形成された熱転写シートである。
上記の染料層3は、接着層4を介して基材シート2上に配設されている。また、熱転写性保護層5は、基材シート2側から実質的に透明な吸水性表面層6と熱接着性樹脂層7とが積層された多層構造を有し、剥離可能に基材シート2に設けられている。さらに、吸水性表面層6は、基材シート2側から吸水性剥離層8、吸水性定着層9が積層された多層構造となっている。
本発明の熱転写シート1を構成する基材シート2としては、従来の熱転写シートに使用される基材シートを用いることができる。好ましい基材シ−トの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シ−ト2の厚さは、強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は2〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
複合熱転写シート1を構成する染料層3(3Y、3M、3C、3B)は、バインダ樹脂に染料を担持させた熱昇華性色材層である。使用する染料としては、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写シートに使用される染料を使用することができ、特に制限はされない。また、使用するバインダ樹脂としては、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写シートに使用されるバインダ樹脂を使用することができ、特に制限はされない。染料層3は、上述の染料とバインダの他に、必要に応じて公知の種々の添加剤を含有することができる。
染料層3の形成は、例えば、適当な溶剤中に上記の染料、バインダ、その他の添加剤を溶解または分散させて調製したインキをグラビアコート法等の公知の手段により塗布、乾燥させることにより行うことができる。
基材シート2と染料層3との間に介在する接着層4は、基材シート2と染料層3との接着性を向上させ、熱転写時に染料層3を被転写物(受像シート)から確実に剥離するための層である。このような接着層4は、基材シート2と染料層3との接着をより強固にするものであればよく、例えば、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、N−ビニルピロリドンと他の成分とのコポリマー、N−ビニルピロリドンを各種硬化剤で硬化させたもの等からなる層とすることができる。N−ビニルピロリドンとコポリマーを形成する他の成分としては、酢酸ビニル等を挙げることができる。
接着層4の形成はグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段により行うことができ、接着層の厚みは0.01〜1μm程度が好ましい。
熱転写シート1の熱転写性保護層5は、熱転写の際、基材シート2から確実に剥離されること、印画面の保護層として、水性スタンプインキを吸収して水性捺印性を有するとともに、非油性材料による筆記性を有すること、耐摩擦性、耐スクラッチ性等の各種耐性、さらに、耐薬品性、耐溶剤性が付与できること、また、透明性が良く画像が忠実に再現されること、紫外線等により画像の経時的鮮明さを損なわないこと、すなわち、耐候性を向上させること等の機能を具備するものである。
熱転写性保護層5を構成する吸水性表面層6は、実質的に透明であり、吸水性能を具備するとともに、耐水性、耐溶剤性、耐可塑剤性等を具備することが好ましい。このような吸水性表面層6は、基材シート2側から吸水性剥離層8、吸水性定着層9が積層された多層構造となっている。ここで、実質的に透明とは、熱転写性保護層5下の画像を充分認識できる状態を言う。
吸水性表面層6を構成する吸水性剥離層8は、平均粒子径が10nm〜1μm、好ましくは20nm〜100μmの範囲内にある耐水性微粒子と、水溶性樹脂と、非水溶性熱可塑性樹脂とを少なくとも含有することが好ましい。
耐水性微粒子としては、コロイダルシリカ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。耐水性微粒子の平均粒子径が10nm未満であると、所望の箔切れ性をもたせるために多量添加が必要であり、1μmを超えると、透明性が不十分である他、剥離性が悪くなり好ましくない。耐水性微粒子の形状は特に制限はなく、球状、針状、無定形等、どのような形状でもよいが、球状粒子を用いる場合は、多孔質構造の空隙率を高めるために、粒子径をできるだけ均一にすることが望ましい。耐水性微粒子の具体例として、例えば、日産化学(株)製スノーテックスシリーズ、触媒化成工業(株)製カタロイドシリーズ等のコロイダルシリカが挙げられる。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、でんぷん、ウレタン等を挙げることができる。
非水溶性熱可塑性樹脂としては、アクリル、ポリエステル、アクリルポリオール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等を挙げることができる。
吸水性剥離層8では、上記の耐水性微粒子を60〜80重量%、好ましくは65〜75重量%、水溶性樹脂を15〜30重量%、好ましくは25〜30重量%、非水溶性熱可塑性樹脂を1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲内で含有することが望ましい。耐水性微粒子の含有量が60重量%未満であると、十分な箔切れ性を得ることが困難となり、また、80重量%を超えると、水溶性樹脂が結着剤としての効果を十分発現できなくなり好ましくない。水溶性樹脂の含有量が15重量%未満であると、結着剤としての効果を十分発現できなくなり、また、30重量%を超えると、十分な箔切れ性を得ることが困難となり好ましくない。さらに、非水溶性熱可塑性樹脂の含有量が1重量%未満であると、基材シート2との接着性が不充分となり、箔持ちが悪化し、20重量%を超えると、転写後の剥離力が増大して剥離不良の原因となり好ましくない。
上記のような吸水性剥離層8の厚みは、0.1〜2μm、好ましくは、0.2〜1μmの範囲とすることができる。
吸水性表面層6を構成する吸水性定着層9は、平均粒子径が10nm〜1μm、好ましくは20nm〜100μmの範囲内にある耐水性微粒子と、水溶性樹脂と、非水溶性樹脂とを少なくとも含有することが好ましい。
吸水性定着層9に含有される耐水性微粒子としては、コロイダルシリカ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。耐水性微粒子の平均粒子径が10nm未満であると、所望の箔切れ性をもたせるために多量添加が必要であり、1μmを超えると、透明性が不十分である他、剥離性が悪くなり好ましくない。
吸水性定着層9に含有される水溶性樹脂としては、ポリビニルピロリドン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、でんぷん等を挙げることができる。
また、吸水性定着層9に含有される非水溶性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂等が挙げれられる。また、これらの非水溶性樹脂を公知の硬化剤(例えば、イソシアネート等)で硬化させたものも挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂に公知の硬化剤を用いて硬化させたものを挙げることができる。硬化剤としては、例えば、住友製薬(株)製スミレーズレジン5004、スミレーズレジン613や、第一工業製薬(株)製エラストロンW−11、エラストロンW−22、エラストロンW−33等を用いることができる。
吸水性定着層9では、上記の耐水性微粒子を60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、水溶性樹脂を1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%、非水溶性樹脂を1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲内で含有することが望ましい。耐水性微粒子の含有量が60重量%未満であると、十分な箔切れ性を得ることが困難となり、また、95重量%を超えると、水溶性樹脂が結着剤としての効果を十分発現できなくなり好ましくない。水溶性樹脂の含有量が1重量%未満であると、結着剤としての効果を十分発現できなくなり、また、15重量%を超えると、十分な箔切れ性を得ることが困難となり好ましくない。さらに、非水溶性樹脂の含有量が1重量%未満であると、印画物の耐水性が不充分となり、15重量%を超えると、印画物の耐溶剤性、捺印性が不充分となり好ましくない。
また、上記の吸水性定着層9は、吸水性微細領域と耐水性微細領域を有する部分吸水層とすることができる。この場合、吸水性微細領域は、少なくともポリビニルピロリドン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂からなるものであってよい。また、耐水性微細領域は、耐水性微粒子と非水溶性樹脂とからなるものであってよい。吸水性定着層9に占める吸水性微細領域と耐水性微細領域との比は、5:95〜40:60の範囲とすることができる。尚、吸水性定着層9における吸水性微細領域と耐水性微細領域は、吸水性微細領域層と耐水性微細領域層との積層構造であってもよく、また、吸水性定着層9内に二次元的に吸水性微細領域と耐水性微細領域とが分散した構造であってもよい。積層構造の場合、上記の比は吸水性微細領域層と耐水性微細領域層の厚みの比であり、分散構造の場合、上記の比は吸水性微細領域と耐水性微細領域の体積比となる。
上記のような吸水性定着層9の厚みは、0.5〜10μm、好ましくは、1〜5μmの範囲とすることができる。
熱転写シート1を構成する熱接着性樹脂層7は、熱転写性保護層5の被転写体への転写を容易にする作用をなすものである。この熱接着性樹脂層7は、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の少なくとも1種を使用して形成することができる。
上記の紫外線吸収性樹脂としては、紫外線吸収剤を反応結合させた樹脂を用いることができる。具体的には、従来公知の有機系紫外線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。
また、熱接着性樹脂層7は上記のような樹脂と、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤や、亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等の酸化物のような無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を加えることができる。また、添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も必要に応じて適宜使用することができる。
熱接着性樹脂層7の形成はグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段により行うことができ、接着層の厚みは0.5〜10μm程度が好ましい。
上記のように吸水性表面層6と熱接着性樹脂層7との積層体である熱転写性保護層5の全体の厚みは、1〜20μm、好ましくは2〜10μmの範囲とすることができる。
熱転写シート1を構成する背面層10は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シート2との熱融着を防止し、走行を滑らかに行う目的で設けられる。この背面層10に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリルースチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物が用いられる。背面層10の耐熱性をより高めるために上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
さらに、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、背面層10に固形あるいは液状の離型剤又は滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤又は滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸およびその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。背面層10に含有される滑剤の量は5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%程度である。
このような背面層10の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μm程度とすることができる。
尚、基材シート2の耐熱性やスリップ性が良好である場合には、背面層10は不要である。
上述の実施形態は本発明の熱転写シートの一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
次に、本発明の印画物について説明する。
図2は本発明の印画物の実施形態の一例を示す概略断面図である。図2において、印画物11は、受像シート12と、この受像シート12の一方の面に熱転写方式により記録された画像13を有し、この画像13を覆うように設けられた保護層15を備えている。上記の画像13は、イエロー、マゼンタ、シアンの3色、あるいは必要に応じて黒色を加えた4色のフルカラー画像13aと、文字、記号等の2値画像13bとからなっている。
上述の図2に示される印画物11では、画像13全体が保護層15に覆われており、この保護層15は受像シート12側から熱接着性樹脂層17、吸水性表面層16が積層された多層構造を有している。そして、吸水性表面層16は、熱接着性樹脂層17側から吸水性定着層19と吸水性剥離層18が積層された多層構造を有している。このような保護層15は、上述の本発明の熱転写シート1を用いて、画像13を覆うように熱転写性保護層5を転写することにより形成される。したがって、本発明の印画物11は、その画像13が保護層15によって、外部からの力、薬品、光等に対する良好な耐性が付与され、かつ、水性スタンプインキによる捺印を施したり、水性ペンで筆記することが可能となっている。
尚、保護層15を構成する吸水性表面層16、熱接着性樹脂層17、吸水性剥離層18、吸水性定着層19は、それぞれ、本発明の熱転写シートの熱転写性保護層を構成する吸水性表面層、熱接着性樹脂層、吸水性剥離層、吸水性定着層に対応するものであり、ここでの説明は省略する。
受像シート12への画像13の形成は、上述のような熱転写性保護層と染料層とを備える本発明の熱転写シートを用いて行うことができ、また、従来公知の感熱昇華転写方式や感熱溶融転写方式の熱転写シートを用いて形成することができる。
受像シート12は、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックシートからなる受像シートやカード基材、あるいは、染料受容性のある樹脂層(受像層)を後述するシート基材上に設けた熱転写受像シートや、これらの樹脂類からなるフィルム、シート、成形物等であってよい。染料受容性のある樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、各種ポリアクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレンまたはその共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、これらの樹脂層中に、本発明の熱転写シートとの融着を防止するためのシリコーンオイル等の離型剤を含有させてもよい。
受像シートに使用するシート基材としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系);上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液あるいはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等の天然繊維紙;ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の各種プラスチックのフィルム、シートが使用でき、これらの任意の複合体も使用することができる。上記の中、合成紙は、その表面に熱伝導率の低い(断熱性の高い)ミクロボイド層を有するものが好ましい。
また、受像シート12の染料受容面には、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も任意に含有させることができる。さらに、受像シート12には、予め、あるいは画像を記録した後、その表面に磁気記録層、光メモリー、ICメモリー、バーコード等を設けることができる。
本発明の印画物は、上述の例に限定されるものではなく、任意の基材上に熱転写方式により形成された画像を有し、この画像の少なくとも一部、特に感熱昇華転写方式により形成された画像を覆うように保護層が設けられたものである。
次に、より具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[熱転写シート(試料1〜11)の作製]
基材シートとして、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー)を準備し、この基材シートの一方の面に下記の組成の背面層用インキをグラビコート法により塗布(塗布量1.0g/m2(乾燥時))、乾燥し、その後、硬化処理を施し背面層を形成した。
(背面層用インキの組成)
・ポリビニルブチラール … 15重量部
(積水化学工業(株)製 エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート … 35重量部
(大日本インキ化学工業(株)製 バーノックD450)
・燐酸エステル界面活性剤 … 10重量部
(第一工業製薬(株)製 プライサーフA208S)
・タルク(日本タルク(株)製 ミクロエースP−3)… 3重量部
次に、背面層を形成した面と反対の基材シート面に、下記組成の接着層用インキをグラビアコート法により長さ15cm(基材シートの流れ方向の長さ)で塗布(塗布量0.1g/m2(乾燥時))し、各塗布領域の間には長さ3cm(基材シートの流れ方向の長さ)の非塗布領域を設けた。
(接着層用インキの組成)
・ポリビニルピロリドン … 5重量部
(ISPジャパン(株)製 K90)
・メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤(1/1) … 95重量部
次に、上記の接着層上に、グラビアコート法により下記組成の染料層用の各インキをイエロー、マゼンタ、シアンの順に面順次に長さ16cm(基材シートの流れ方向の長さ)で塗布(塗布量0.6g/m2(乾燥時))し乾燥して染料層を形成した。
(イエローインキ)
・イエロー染料 … 5.5重量部
(バイエル社製 Macrolex Yellow 6G)
・ポリビニルブチラール … 4.5重量部
(積水化学工業(株)製 エスレックBX−1)
・メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) …90.0重量部
(マゼンタインキ)
・マゼンタ染料 … 5.5重量部
(C.I.Disperse Red 60)
・ポリビニルブチラール … 4.5重量部
(積水化学工業(株)製 エスレックBX−1)
・メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) …90.0重量部
(シアンインキ)
・シアン染料 … 5.5重量部
(C.I.Solvent Blue 63)
・ポリビニルブチラール … 4.5重量部
(積水化学工業(株)製 エスレックBX−1)
・メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) …90.0重量部
次に、上記の接着層や染料層が形成されていない基材シートの領域に、グラビアコート法により下記の吸水性剥離層用インキを塗布(塗布量0.7g/m2(乾燥時))し乾燥して吸水性剥離層を形成した。使用した吸水性剥離層用インキにおけるPVA樹脂、コロイダルシリカ、PES樹脂の各重量部は、形成した吸水性剥離層におけるPVA樹脂、コロイダルシリカ、PES樹脂の含有量(重量%)が下記の表1に示されるものとなるように下記組成の重量部の範囲内で適宜設定した。
(吸水性剥離層用インキの組成)
・ポリビニルアルコール(PVA)樹脂 … 15〜30重量部
(クラレ(株)製 C−318)
・コロイダルシリカ(平均粒径150nm) … 65〜80重量部
(日産化学工業(株)製 スノーテックス)
・ポリエステル(PES)樹脂 … 1.5〜20重量部
(東洋紡績(株)製 バイロナールMD1200)
・水 … 50重量部
・イソプロピルアルコール … 100重量部
この吸水性剥離層上に下記組成からなる耐水性微細領域用インキをグラビアコート法により塗布(塗布量2g/m2((乾燥時))し乾燥して耐水性微細領域を形成した。次いで、この耐水性微細領域上に、下記組成からなる吸水性微細領域用インキをグラビアコート法により塗布(塗布量0.5g/m2((乾燥時))し乾燥して、耐水性微細領域の空隙に吸水性微細領域を形成し、耐水性微細領域と吸水性微細領域との分散構造である吸水性定着層を吸水性剥離層上に積層した。これにより、吸水性剥離層と吸水性定着層の積層構造である吸水性表面層を形成した。
(耐水性微細領域用インキの組成)
・ポリビニルアルコール樹脂 … 7重量部
(クラレ(株)製 C−506)
・コロイダルシリカ(平均粒径30nm) … 93重量部
(日産化学工業(株)製 スノーテックス)
・硬化剤 … 0.5重量部
(住友製薬(株)製スミレーズレジン5004)
・水 … 40重量部
・イソプロピルアルコール … 80重量部
(吸水性微細領域用インキの組成)
・ポリビニルピロリドン(PVP)樹脂 … 40重量部
(ISPジャパン(株)製 K−90)
・アクリルポリオール樹脂 … 50重量部
(三菱レイヨン(株)製 ダイヤナールLR−209)
・ウレタン樹脂 … 10重量部
(三洋化成工業株 サンプレン1B−114B)
・メチルエチルケトン … 100重量部
・イソプロピルアルコール … 25重量部
さらに、吸水性表面層上に下記組成の熱接着性樹脂層用インキをグラビアコート法により塗布(塗布量1.5g/m2((乾燥時))し乾燥して熱接着性樹脂層を形成し、吸水性表面層と熱接着性樹脂層の積層体である熱転写性保護層を形成した。以上により、下記表1に示す11種の熱転写シート(試料1〜11)を作製した。
(熱接着層性樹脂用インキの組成)
・ポリエステル樹脂 … 12重量部
(東洋紡(株)製 バイロン700)
・紫外線吸収剤アクリル共重合体 … 3重量部
(BASFジャパン(株)製 UVA635L)
・二酸化珪素粉体(平均粒径1.4μm) … 2.25重量部
(富士シリシア化学(株)製 サイリシア310)
[熱転写シート(試料12〜16)の作製]
まず、上記の熱転写シート(試料1〜11)の作製と同様にして、基材シートの一方の面に背面層を形成し、他方の面に接着層を介してイエロー、マゼンタ、シアンの各染料層を面順次に形成した。
次に、上記の接着層や染料層が形成されていない基材シートの領域に、グラビアコート法により下記の吸水性剥離層用インキを塗布(塗布量0.7g/m2(乾燥時))し乾燥して吸水性剥離層を形成した。使用した吸水性剥離層用インキにおけるコロイダルシリカの平均粒子径は、下記の表2に示される5種のものとした。
(吸水性剥離層用インキの組成)
・ポリビニルアルコール(PVA)樹脂 … 25重量部
(クラレ(株)製 C−318)
・コロイダルシリカ(平均粒径は下記表2に示す) … 70重量部
(日産化学工業(株)製 スノーテックス)
・ポリエステル(PES)樹脂 … 5重量部
(東洋紡績(株)製 バイロナールMD1200)
・水 … 50重量部
・イソプロピルアルコール … 100重量部
この吸水性剥離層上に、上記の熱転写シート(試料1〜11)の作製と同様にして、耐水性微細領域と吸水性微細領域との分散構造である吸水性定着層を形成し、吸水性剥離層と吸水性定着層の積層構造である吸水性表面層を形成した。その後、吸水性表面層上に、上記の熱転写シート(試料1〜11)の作製と同様にして、熱接着性樹脂層を形成し、吸水性表面層と熱接着性樹脂層の積層体である熱転写性保護層を形成した。以上により、下記表2に示す5種の熱転写シート(試料12〜16)を作製した。
[熱転写シート(試料17〜27)の作製]
まず、上記の試料2の熱転写シートの作製と同様にして、基材シートの一方の面に背面層を形成し、他方の面に接着層を介してイエロー、マゼンタ、シアンの各染料層を面順次に形成し、上記の接着層や染料層が形成されていない基材シートの領域に、吸水性剥離層を形成した。
次に、吸水性剥離層上に下記組成からなる耐水性微細領域用インキをグラビアコート法により塗布(塗布量2g/m2((乾燥時))し乾燥して耐水性微細領域を形成した。次いで、この耐水性微細領域上に、下記組成からなる吸水性微細領域用インキをグラビアコート法により塗布(塗布量0.5g/m2((乾燥時))し乾燥して、耐水性微細領域の空隙に吸水性微細領域層を形成し、耐水性微細領域層と吸水性微細領域層との分散構造である吸水性定着層を吸水性剥離層上に積層した。これにより、吸水性剥離層と吸水性定着層の積層構造である吸水性表面層を形成した。但し、試料23の吸水性定着層は、耐水性微細領域上に吸水性微細領域を積層した構造とした。
尚、吸水性定着層を構成する吸水性微細領域層におけるPVP樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂の含有の有無は、下記表3に示す通りとし、含有されない成分を下記組成から除いた吸水性微細領域用インキを使用した。また、表3のアクリルポリオール樹脂の欄における「アクリル」の記載は、アクリルポリオール樹脂の代わりに、アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製 BR−80)を用いたことを意味する。さらに、表3のPVAの欄における「硬化剤なし」の記載は、下記組成から硬化剤を除いた耐水性微細領域用インキを使用したことを意味する。
(耐水性微細領域用インキの組成)
・ポリビニルアルコール樹脂 … 20重量部
(クラレ(株)製 C−318)
・コロイダルシリカ(平均粒径30nm) … 80重量部
(日産化学工業(株)製 スノーテックス)
・硬化剤 … 0.5重量部
(住友製薬(株)製スミレーズレジン5004)
・水 … 40重量部
・イソプロピルアルコール … 80重量部
(吸水性微細領域用インキの組成)
・ポリビニルピロリドン(PVP)樹脂 … 40重量部
(ISPジャパン(株)製 K−90)
・アクリルポリオール樹脂 … 50重量部
(三菱レイヨン(株)製 ダイヤナールLR−209)
・ウレタン樹脂 … 10重量部
(三洋化成工業株 サンプレン1B−114B)
・メチルエチルケトン … 100重量部
・イソプロピルアルコール … 25重量部
その後、吸水性表面層上に、上記の熱転写シート(試料1〜11)の作製と同様にして、熱接着性樹脂層を形成し、吸水性表面層と熱接着性樹脂層の積層体である熱転写性保護層を形成した。以上により、下記表3に示す11種の熱転写シート(試料17〜27)を作製した。
[印画物の作製]
次に、合成紙(王子油化合成紙(株)製 ユポFRG−150(厚み150μm))の一方の面に、下記組成の染料受容層用塗布液をバーコーターにより塗布(塗布量4g/m2(乾燥時))し乾燥して染料受容層を形成し基材とした。この基材の染料受容層に、上記の各熱転写シート(試料1〜27)の染料層面を重ね、顔写真を色分解して得た電気信号に連結したプリンター(三菱電機(株)製 CP770DW)のサーマルヘッドを用い、熱エネルギーを熱転写シートの背面層側から付与し、シアン、マゼンタ、イエローの順に昇華転写を行ってフルカラー画像を形成し、さらに、このフルカラー画像上に熱転写性保護層を転写して、保護層付きの画像をもつ印画物を作製した。
(染料受容層用塗布液の組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 … 20重量部
(電気化学工業(株)製 電化ビニル1000A)
・エポキシ変性シリコンオイル … 1重量部
(信越化学工業(株)製 X−22−2900T)
・メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) … 80重量部
[評 価]
上述のように作製した熱転写シートおよび印画物について、捺印性、耐水性、耐アルコール性、耐アセトン性、箔持ち性、低温低湿剥離性、転写性を下記の方法で評価して、結果を下記の表1、表2、表3に示した。
(捺印性)
水性染料スタンプインキ(シャチハタ(株)製)を付着させたスタンプを、印画物に押し付け、10分間放置した後、取り除いて、捺印部位を指で擦り、水性染料スタンプインキが定着しているかを下記基準で評価した。
評価基準
○:文字の輪郭が十分に残っている
×:定着していない
(耐水性、耐アルコール性、耐アセトン性)
水、イソプロピルアルコール、アセトンをそれぞれ浸した各綿棒で、印画物上を15回擦り、印画物の表面状態を観察して下記基準で評価した。
評価基準
○:画像および保護層に損傷がない
△:画像には損傷はないが、保護層に損傷がある
×:画像に損傷がある
(箔持ち性)
熱転写シートの熱転写性保護層部分を2回折り畳んだ後、熱転写性保護層を目視にて観察し、箔落ちがないかを下記基準で評価した。
評価基準
○:5mm2以上の箔落ちがない
×:5mm2以上の箔落ちが存在する
(低温低湿剥離性)
印画物の作製を0℃環境にて行い、染料層と基材との剥離、熱転写シートからの熱転写性保護層の剥離の状態を観察し、下記基準で評価した。
評価基準
○:剥離不良を生じない
×:剥離不良を生じる
(転写性)
熱転写性保護層を転写した後の印画物において、保護層が印画物にしっかり転写されているかを下記基準で評価した。
評価基準
○:熱接着性樹脂層と吸水性表面層とからなる熱転写性保護層が転写され
ている
×:熱接着性樹脂層と吸水性定着層との層間で剥離し、吸水性表面層の一
部が転写されていない
Figure 2005096174
表1に示されるように、吸水性剥離層におけるPVA樹脂(水溶性樹脂)、コロイダルシリカ(耐水性微粒子)、PES樹脂(非水溶性熱可塑性樹脂)の含有量(重量%)が15〜30重量%、60〜80重量%、1〜20重量%の範囲内にある熱転写シート(試料1〜5)は、優れた箔持ち性、低温低湿剥離性、転写性を有し、これらを用いて作製された印画物は、実用的に問題のない良好な捺印性、耐水性、耐溶剤性を有することが確認された。
Figure 2005096174
表2に示されるように、吸水性剥離層に含有されるコロイダルシリカ(耐水性微粒子)の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲内にある熱転写シート(試料12〜14)は、優れた箔持ち性、低温低湿剥離性、転写性を有し、これらを用いて作製された印画物は、優れた捺印性、耐水性、耐溶剤性を有することが確認された。
Figure 2005096174
表3に示されるように、吸水性定着層において、PVP樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂からなる吸水性微細領域を有し、PVA樹脂(非水溶性樹脂)と平均粒子径が10nm〜1μmの範囲内にあるコロイダルシリカ(耐水性微粒子)からなる耐水性微細領域を有する熱転写シート(試料17、24,25)は、優れた箔持ち性、低温低湿剥離性、転写性を有し、これらを用いて作製された印画物は、優れた捺印性、耐水性、耐溶剤性を有することが確認された。
優れた捺印性、筆記性および耐久性等が要求される画像を形成する用途等に適用できる。
本発明の熱転写シートの実施形態の一例を示す概略断面図である。 本発明の印画物の実施形態の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1…熱転写シート
2…基材シート
3(3Y,3M,3C,3B)…染料層
4…接着層
5…熱転写性保護層
6…吸水性表面層
7…熱接着性樹脂層
8…吸水性剥離層
9…吸水性定着層
10…背面層
11…印画物
12…受像シート
13…画像
15…保護層
16…吸水性表面層
17…熱接着性樹脂層
18…吸水性剥離層
19…吸水性定着層

Claims (10)

  1. 基材シートの一方の面に、少なくとも1色の染料層と剥離可能な熱転写性保護層とを面順次に備える熱転写シートにおいて、
    前記染料層は接着層を介して基材シート上に設けられ、前記熱転写性保護層は基材シート側から実質的に透明な吸水性表面層と熱接着性樹脂層とが積層された多層構造を有することを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記接着層は、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、または、N−ビニルピロリドンと他の成分とのコポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記吸水性表面層は、基材シート側から吸水性剥離層、吸水性定着層が積層された多層構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転写シート。
  4. 前記吸水性剥離層は、平均粒子径が10nm〜1μmの範囲内にある耐水性微粒子と、水溶性樹脂と、非水溶性熱可塑性樹脂とを少なくとも含有することを特徴とする請求項3に記載の熱転写シート。
  5. 前記吸水性剥離層は、前記耐水性微粒子を60〜80重量%、前記水溶性樹脂を15〜30重量%、前記非水溶性熱可塑性樹脂を1〜20重量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項4に記載の熱転写シート。
  6. 前記吸水性定着層は、平均粒子径が10nm〜1μmの範囲内にある耐水性微粒子と、水溶性樹脂と、非水溶性樹脂とを少なくとも含有することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の熱転写シート。
  7. 前記吸水性定着層は、吸水性微細領域と耐水性微細領域を有する部分吸水層であり、前記吸水性微細領域は、少なくともポリビニルピロリドン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂からなることを特徴とする請求項6に記載の熱転写シート。
  8. 前記熱接着性樹脂層は、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の熱転写シート。
  9. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱転写方式により形成された画像と、該画像の少なくとも一部を覆うように設けられた保護層を備え、該保護層は請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の熱転写シートを用いて熱転写性保護層を転写形成したものであることを特徴とする印画物。
  10. 前記印画物の保護層上に水性スタンプインキが捺印されていることを特徴とする請求項9に記載の印画物。
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