JP2010149286A - 熱転写受像シート - Google Patents

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誠 青柳
Satoshi Shioda
聡 塩田
Toru Takahashi
徹 高橋
Asuka Oshima
明日香 大嶋
Takuo Otsumaru
卓雄 乙丸
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Abstract

【課題】比較的高い温度環境の下で長時間保存された後であっても白抜けの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートを提供することを主な目的とする。
【解決手段】基材シート、断熱層、及び受容層がこの順に積層されてなる熱転写受像シートにおいて、(i)基材シートが中紙の両面をポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙で、60℃、相対湿度(RH)5〜10%の条件下で4日間保存後の中紙のMDの伸縮率が±0.25%以内、及びCDの伸縮率が±0.5%以内であり、上記条件での保存前、及び保存後における、中紙の表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.5μm以下であり、かつ厚み100〜250μmの中紙で形成され、(ii)断熱層が少なくとも中空粒子とバインダー樹脂から厚み10〜40μmの層で形成され、(iii)受容層が少なくともスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤を含有するか、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を含有する、厚み2〜10μmの層で形成されている、熱転写受像シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、昇華型熱転写方式による印画に用いられる熱転写受像シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。この方法は、熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用され、銀塩写真に匹敵する高品質な画像が得られている。
上記熱転写受像シートは、基材シート上に複数の層が積層された構成を有するものであるが、このような熱転写受像シートを製造する方法として、例えば、グラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が知られている。しかしながら、この方法は各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるといった問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを得るため、例えば、各層を構成する塗工液を上下方向に重ねた状態で基材シート上に塗布するスライドコート法等を用いて、基材シート上に同時に複数の層を形成する方法(同時多層塗工方法)が注目を浴びている(例えば、特許文献1〜3)。このような方法は、複数の層を同時に形成することにより、製造効率を著しく向上させることができ、製造コストの削減に資する点等において非常に有利である。
ところで、熱転写シートを用いた昇華型熱転写方式にて印画物を熱転写受像シートに形成することに関し、「白抜け」現象が発生するという問題点がある。「白抜け」とは、熱転写受像シートを用いて印画物を作成する際に、熱転写受像シートにおいて印画されるべき領域内に部分的に印画されてない領域が発生することをいう。「白抜け」発生の主要な要因として、上記基材シートや多孔質層表面に凹凸形状が存在している場合に、その凹凸形状に起因して熱転写受像シート表面に凹凸形状が形成されることが挙げられる。すなわち、昇華型熱転写方式にて熱転写受像シートに印画する際、サーマルヘッド等の加熱手段による加熱にて熱転写シートの染料が熱転写受像シートの所定領域へ転写される際に、熱転写受像シートの表面に凹凸形状が存在すると、その凹凸形状により、熱転写シートとサーマルヘッドとの密着性(追従性)が阻害されて、サーマルヘッドから十分に熱が伝えられない領域が熱転写シートや熱転写受像シートに部分的に発生する。その結果、サーマルヘッドによる熱が十分に伝わらなかった領域に「白抜け」が生じて、印画された画像全体を、「ざらつき」(粒状感)のある画像にしてしまう。
この「白抜け」、及び「ざらつき」の問題、は、スライドコート法による同時多層塗工方法にて熱転写受像シートを形成する際に特に生じ易い。スライドコート法による同時多層塗工方法では、基材シート上に形成される各層は、同時に形成された複数の塗工膜にて、同時に形成され、また形成された各層は厚みが薄い層であるため、基材シートの表面形状の凹凸状態がそのまま最表面に露出する層の表面形状の凹凸状態になる傾向がある。このように、基材シート表面に凹凸形状が存在すると、この凹凸形状が、熱転写受像シートの最表面の染料受容層の表面形状にも反映され易い。従って、スライドコート法による同時多層塗工方法にて熱転写受像シートを形成する場合に特に、基材シートに凹凸形状が存在すると、「ざらつき」が発生し易いという問題点があった。
また、熱転写受像シートが製造時から比較的長期間保存された後に使用される場合には、比較的高い温度環境の下で長時間保存された後に熱転写受像シートが使用されることとなるが、そのような環境下では、紙基材の紙の収縮による熱転写受像シート表面凹凸の増加が生じやすく、このことが、「ざらつき」の問題を一層顕在化させていた。
特許文献1には、多孔質層の中空粒子の含有率を制御して高濃度の印画特性を有し、かつ印画均一性を保つ発明が開示されている。また、特許文献2には、多孔質層の中空粒子の粒子系を制御してざらつきを防止する発明が開示されている。更に、特許文献3には、スライドコート法により複数の塗工液を基材シートに塗布する際に、各層の粘度、表面張力等を制御して乱流の発生を抑制して、各層の膜厚が不均一に成るのを抑制してざらつきを防止する発明が開示されている。
しかしながら、基材シートの中紙における凹凸形状、特に長ピッチの凹凸形状に着目して、白抜け、及びざらつきの問題点を解決する提案は未だなされていないのが実状である。とりわけ、未印画状態で長期保管をおこなった後に例えば、単色均一柄を印画した際、数本〜数十本/10mm、の長ピッチでランダムに発生する白抜け(ざらつき)欠陥、より具合的には、黒ベタ柄を印画した際、5〜20本/10mm程度の周期でランダムに発生する、黒ベタ柄の中に見られるランダム形状の白い抜け柄模様(白抜け)の問題点を解決する提案はいまだなされていないのが現状である。
特開2006−88691号公報 特開2007−98693号公報 特開2008−162155号公報
本発明は、比較的高い温度環境の下で長時間保存された後であっても白抜け、及びざらつきの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートを提供することを主な目的とするものである。
本発明は、基材シートを構成する中紙として、特定条件下での保存時の伸縮性の少ない紙を使用することにより、比較的高い温度環境の下で長時間保存された後であっても白抜け、及びざらつきの少ない印画物を形成することが可能なことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)ないし(6)に記載する発明に関する。
(1)少なくとも基材シート(A)、断熱層(B)、及び受容層(C)がこの順に積層されてなる熱転写受像シートにおいて
(i)基材シート(A)が中紙の両面をポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙であって、
該中紙は、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.25%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内、
上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.5μm以下で、
かつ100〜250μmの厚みであり、
(ii)断熱層(B)が少なくとも中空粒子とバインダー樹脂から形成されていて、該中空粒子とバインダー樹脂の割合([中空粒子/バインダー樹脂]重量比)が60/40〜90/10で、
かつ10〜40μmの厚みであり、
(iii)受容層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を含有し、
かつ2〜10μmの厚みである、
ことを特徴とする、熱転写受像シート。
(2)前記基材シート(A)を形成する樹脂コート紙が中紙の表裏面に押出コート法により形成されたポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙であることを特徴とする、前記(1)に記載の熱転写受像シート。
(3)前記基材シート(A)を形成している樹脂コート紙の断熱層が積層される表側のコート樹脂層厚みが10〜40μmであり、裏側のコート樹脂層厚みが10〜30μmであり、樹脂コート紙の厚みが120〜320μmであることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の熱転写受像シート。
(4)前記基材シート(A)を形成する樹脂コート紙の表裏面のコート樹脂が高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択された樹脂(表裏面のコート樹脂が同一であっても、異なっていてもよい)であることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
(5)基材シート(A)上にスライドコート法により水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を同時塗布後、乾燥して形成されたことを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
(6)熱転写受像シートの厚みが150〜350μmであることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
本発明によれば、熱転写受像シートを構成する基材シート(A)の中紙として表面の平均粗さ、及び保存時における伸縮率が一定値以下で、かつ特定の厚み範囲の中紙を使用することにより、熱転写受像シートの熱転写して形成される画像の「白抜け」、及び「ざらつき」の発生を抑制することが可能になる。
すなわち、熱転写受像シートを構成する基材シート(A)の中紙として、特定条件下での保存(温度60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存、以下、「特定条件下での保存」ということがある。)後の中紙の前記MD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率が±0.25%以内、及び前記CD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率が±0.5%以内であり、上記特定条件下での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される、表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.5μm以下であり、かつ厚み100〜250μmの中紙を使用することにより、特定条件下での保存期間中における熱転写受像シートを構成する基材シート(A)の物理的形状の変化が抑制され、しいては熱転写受像シートの変化が抑制される。すなわち、特定条件下での保存期間中における伸縮率の少ない中紙を使用するので、例えば、中紙における硬度の変化、パルプ繊維間空隙の変化、中紙表面凹凸の変化、表面粗さの変化等が抑えられていることで、樹脂コート紙、如いては、熱転写受像シートにおける同様の変化も抑制される。
尚、上記「特定条件下での保存」における条件は、実際の樹脂コート紙の保存時における条件を考慮して想定したものであり、該「特定条件下での保存」において、中紙のMDとCD方向の伸縮率が本発明の範囲にあれば、実用上熱転写受像シートの熱転写して形成される画像の「白抜け」、及び「ざらつき」の発生が効果的に抑制可能になるという知見に基づく条件である。
また、後述するように、上記特定条件下での保存期間中における熱転写受像シートの転写面に長ピッチの凹凸(うねり)、カール等の発生が観察される。このようなピッチ長さが数十μm〜数mm程度の長ピッチの凹凸(うねり)は、熱転写受像シートを構成する中紙の前記MDの伸縮率、及び/又はCDの伸縮率が大きくなる場合に発生し易いので、前記MDの伸縮率、及びCDの伸縮率を本発明の範囲以内とすることによりこのような長ピッチの凹凸(うねり)、カール等の発生を効果的に抑制することが可能になる。さらに中紙が有する数μm程度の表面粗さの測定に直接影響する低ピッチ(数μm〜数十μm程度)の凹凸の変化が小さいとき、長ピッチ(数十μm〜数mm程度)の凹凸の変化も少なく、保存後においても画質の劣化(「白抜け」、「ざらつき」の発生)が抑えられるものである。
前記特定条件下での保存期間中における樹脂コート紙の変化として、上記変化のみならず、中紙とコート樹脂面の界面における変化がある。本発明においては、中紙として特定条件下での保存期間中における伸縮率少ない中紙を使用するので、中紙と樹脂コート面の界面の変化も抑えられ、その結果、基材シート(A)の樹脂コート紙の凹凸形状に起因する、熱転写受像シートの熱転写後の「白抜け」、及び「ざらつき」の発生を抑制することができる。
尚、断熱層(B)は10〜40μm程度の厚みを有するので、断熱層(B)に存在する中空粒子に基づくクッション性が発揮されるので、基材シート(A)の表面にピッチ間隔が数μm程度の短ピッチの凹凸形状が多少存在していても、重なり合う熱転写シートと熱転写受像シートに対してサーマルヘッドが押し当てられた際に、サーマルヘッドの押し圧力で熱転写受像シートの凹凸形状はある程度吸収される。本発明の熱転写受像シートは、比較的低い湿度下、又は比較的高い温度環境の下では長時間保存された後にあっても、保存後の熱転写受像シートについても画像の「ざらつき」の発生を効果的に低減させることが可能となる。
以下、本発明の熱転写受像シートについて説明する。
前述したように本発明の熱転写受像シートは、
少なくとも基材シート(A)、断熱層(B)、及び受容層(C)がこの順に積層されてなる熱転写受像シートにおいて
(i)基材シート(A)が中紙の両面をポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙であって、
該中紙は、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.25%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内、
上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.5μm以下で、
かつ100〜250μmの厚みであり、
(ii)断熱層(B)が少なくとも中空粒子とバインダー樹脂から形成されていて、該中空粒子とバインダー樹脂の割合([中空粒子/バインダー樹脂]重量比)が60/40〜90/10で、
かつ10〜40μmの厚みであり、
(iii)受容層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を含有し、
かつ2〜10μmの厚みである、
ことを特徴とする。
このような本発明の熱転写受像シートは、基材シート(A)上に、少なくとも断熱層(B)、受容層(C)がこの順に形成された層構造を有するが、受容層(C)と断熱層(B)間にクリア層、プライマー層、帯電防止層、接着層等を形成することが可能である。また、断熱層(B)と基材シート(A)間に下引き層を形成することも可能である。
〔1〕本発明の熱転写受像シートについて
以下本発明の熱転写受像シートを構成する各層について説明する。
(1)基材シート(A)
本発明に用いられる基材シート(A)は、後述する断熱層(B)及び受容層(C)を支持する機能を有するものであり、厚み100〜250μm、好ましくは150〜200μmの中紙の両面にポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙により形成される。
(イ)中紙
一般に中紙は、中紙中に4〜10重量%程度の水分を含有している。このような中紙を例えば相対湿度が0〜10%程度の低湿度雰囲気中に放置されると中紙の種類によっては中紙中の水分濃度が低下して、中紙表面に凹凸やカールを生ずる場合がある。また、中紙表面に凹凸やカールが外見上発生していないように見えても、伸縮していることがしばしば観察される。一般的には乾燥によるMD方向とCD方向の収縮率は異なっており、通常はMD方向に比べ、CD方向の収縮率が大きくなる傾向がある。また、低湿環境における水分濃度の低下は、硬度の増大、微視的な表面凹凸の増減として観察される場合もある。
樹脂コート紙の伸縮率と微視的な表面凹凸の増減の間には、明確な相関関係はないものの、樹脂コート紙の伸縮率が小さい中紙は、微視的な表面凹凸の増減も小さい傾向となる。一方、中紙の表面に樹脂コートした樹脂コート紙においては、低湿雰囲気中に放置されることによる中紙の収縮率はポリエチレンなどのコート樹脂の収縮率に比べて大きいため、中紙とコート樹脂の収縮率の違いが原因となる中紙/コート樹脂界面に発生する応力を緩和するように、コート樹脂表面凹凸は微視的に変動するとともに、長ピッチの凹凸(うねり)が発生したり、カールが発生したりする。
本発明においては、中紙の収縮率や微視的な表面粗さをある閾値以下とすることで、このような閾値以下の中紙を用いて作製した樹脂コート紙、しいては熱転写受像シートを特定条件下での保存下においても「白抜け」や「ざらつき」の発生しにくい、画像鮮度に優れた熱転写受像シートを作製することができる。
本発明の熱転写受像シートに使用する樹脂コート紙からなる基材シート(A)は、低湿度雰囲気下でも水分濃度の低下が少ないか、又は水分濃度が多少低下しても中紙が収縮しにくく、また中紙表面に凹凸やカールの発生の少ないものであるため、熱転写の際に熱転写受像シートの受容層表面に「白抜け」や「ざらつき」の少ない画像を形成することが可能になる。
本発明においては、熱転写受像シートの受容層表面に「白抜け」や「ざらつき」の少ない画像を形成するために、
該中紙は、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.25%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内、
上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.5μm以下で、
かつ100〜250μmの厚みである。
前記樹脂コート紙に、厚みが100〜250μmで、表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)が前記特定条件下での保存前後で共に2.5μm以下の中紙を使用することにより、熱転写受像シートの受容層表面に「白抜け」や「ざらつき」の少ない画像を形成することが可能になる、該厚みは125〜200μmが好ましく、該表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)は2.0μm以下が好ましい。
また、該中紙は、前記特定条件下での保存後の伸縮率は、MD(マシン方向又は縦方向)で±0.25%以内であり、CD(クロスマシン方向又は横方向)で±0.5%以内である。このような低伸縮率の中紙を用いた樹脂コート紙を基材シートとした熱転写受像シートは、受容層表面に「白抜け」や「ざらつき」の少ない画像を形成することが可能になる、該伸縮率は、前記MDで±0.2%以内が好ましく、前記CDで±0.4%以内が好ましい。
本発明において、中紙の伸縮性の測定方法は、中紙を15cm×15〜20cmのサイズに切り出し、中央部に10cm×10cmの十字を記載して、60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存前後に十字の長さを測定して、MD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)を求める方法を採用する。保存前後の測定環境、23±2℃、相対湿度(RH)50±5%。保存環境から測定環境へ移動後、1時間以内に測定をおこなった。
このような伸縮性を有する樹脂コート紙を形成する中紙としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、中でも樹皮を取り除いた木材の幹を小片(チップ)化したものを機械的、半化学的、化学的に処理して製造される化学パルプ(硫酸塩パルプ、又は亜硫酸塩パルプ)を主成分とする紙を用いることができる。中紙には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤;スターチ等の紙力増強剤;炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料;蛍光増白剤、柔軟化剤、水分保持剤、分散剤等を適宜添加することができる。又、漂白処理を行なうことにより、白色度を向上させることもできる。更に中紙としては、上質紙、中質紙に限らず、写真印画紙用支持体(RCペーパーの中紙)を使用することができる。また、表面に機能層を塗布し印刷適正、見栄えを改善したコート紙、アート紙、キャストコート紙、のほか、アイボリー、コートアイボリーといわれる白板紙、高級白板紙を使用することもできる。
中紙は、公知の方法によって作製することができるが、中紙はカレンダー処理されたものが好ましい。中紙にカレンダー処理をした樹脂コート紙は表面平滑度が向上するので、このような処理をした樹脂コート紙から得られる熱転写受像シートは光沢感が向上する。中紙の紙密度は、通常0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)程度であり、剛度は200〜3000mg(JIS P 8143)程度である。又、中紙の秤量は、70〜300g/mが好ましく、120〜240g/mがより好ましい。
(ロ)コート樹脂層
本発明において、樹脂コート紙は、中紙の表裏面にコート樹脂層が積層された樹脂コート紙であり、中紙の表裏面に熱可塑性樹脂をコートして製造される。このような中紙のコートに使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂、エステル結合を有する熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が知られているが、本発明においては、ドローダウン性等の成形加工性、機械的性質等を考慮して、ポリエチレン又はポリプロピレンがコート樹脂として使用される。
更に、ポリエチレン又はポリプロピレンの中でも、中紙の耐熱性と、中紙にコートする際の成形加工性、樹脂コスト等を考慮すると、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はこれらの混合物を使用することが好ましく、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合物を用いるのがより好ましい。
前記混合物として使用する場合には、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合比は、例えば、質量比で1/9〜9/1として使用することが出来、実用性から1/3〜3/1が好ましい。
ポリエチレン又はポリプロピレンの分子量は、コートする際の温度条件でのメルトフローレート(MFR)が、2.0〜50g/10分(測定条件:JIS K 7210)程度の押出し適性を有するものであれば特に制限なく使用することができる。
これらのコート樹脂は、白色度を向上させるために酸化チタンを添加したものを用いることができる。酸化チタン添加量はこれらのポリオレフィン樹脂中で1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%である。また、コート樹脂には、白地の調整を行うために、群青、紺青、フタロシアニンブルー等の着色顔料、またビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン等の蛍光増白剤を添加することができる。
(ハ)中紙とコート樹脂から、樹脂コート紙の形成
樹脂コート紙は中紙の表裏面が前記ポリエチレン又はポリプロピレンをコートして形成される。該コート方法は押出コート法、ブレードコート、ワイヤーバーコート、ロールコート、スプレイコート、キャストコート方法等公知の方法によりコートすることが可能であるが、コート厚みの制御、基材シートへの悪影響を考慮すると押出コート法が好ましい。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、その表側面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
中紙の両面を被覆する表裏のコート層の厚みは、膜厚や湿度と温度条件の変化でのカール性を考慮して選択されるが、一般にコート樹脂層の厚さは表側(断熱層が形成される側)で10〜40μm、裏側(バック層側)で10〜30μmの範囲であり、表裏のコート樹脂の厚み比率は中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のコート樹脂の厚み比率で3/1〜1/3程度である。
尚、樹脂コート紙の表面と裏面のコート樹脂として、ポリエチレンとポリプロピレンのいずれか一方を選択して使用又は、表面と裏面のコート樹脂を異なる樹脂から形成することも可能である。
上記樹脂コート紙の厚みは、120〜320μmとするのが好ましい。該厚みが120μm以上で十分なコシと剛度が得られるようになる。一方、320μm超では、厚みの増大によるコストアップにつながりやすい。さらには、該厚みは、170〜270μmがより好ましい、200〜230μmがさらに好ましい。
(2)断熱層(B)
断熱層(B)は、基材シート(A)と受容層(C)との間に形成されるものであり、少なくともバインダー樹脂及び中空粒子を含んで構成され、好ましくは冷却ゲル化剤を含んで構成されるものである。
断熱層(B)は、本発明の熱転写受像シートを用いて画像を形成する際に、サーマルヘッドから受容層(C)に加えられた熱が、基材シート等へ伝熱することにより基材シートが損傷することを防止するための断熱性を有する層である。また、サーマルヘッドからの熱が、印画時の染料の昇華に効率よく使用されるための高効率な熱利用の観点からも、断熱層(B)を設けることは望ましい。更に、断熱層(B)に中空粒子を含有させることによりクッション性を発揮させることが可能となるので、中空粒子が含有された断熱層(B)が設けられた熱転写受像シートは、画像形成時における濃度ムラやハイライト部の白抜けが抑制されて、印画特性が向上する。
断熱層(B)が備える断熱性は、断熱層の厚み、あるいは断熱層内に含有される中空粒子の量に主として起因する断熱層の空隙率などによって任意に調整することができる。この断熱層(B)の断熱性は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができる。
断熱層(B)に充分な断熱性の付与と「白抜け」の発生を低減するという観点から、断熱層(B)の厚みは、10〜40μmの範囲内である。またこのとき、上記断熱層(B)の密度は、0.1〜0.8g/cmが好ましく、0.2〜0.7g/cmがより好ましい。
また、断熱層(B)に充分な断熱性を与えるという観点から、断熱層(B)の空隙率は、15〜80%の範囲内であることが好ましい。尚、該空隙率は、「(中空粒子の空隙率)×(断熱層における中空粒子の含有率)重量比」で示される値である。
本発明に用いられる断熱層(B)は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。ここで、複数の層が積層された構成を有する断熱層(B)としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。本発明に用いられる断熱層(B)は、組成の異なる2層が積層された構成を有するものを使用することができる。このような構成とすることにより、さらに機能的な断熱層(B)を得ることができるからである。
本発明に用いられる断熱層(B)が2層構造である場合の一例としては、上記断熱層(B)が、基材シート(A)側から、中空粒子を含有する断熱層(B)と、及び上記中空粒子よりも中空率の小さな中空粒子を含有する断熱層(B)とが積層された構成を有するものを挙げることができる。断熱層(B)としてこのような2層構造よりなるものを用いることにより、印画時における濃度ムラやハイライト部の白抜け防止といった印画特性の向上効果がさらに発揮される。
(イ)中空粒子
本発明で用いられる中空粒子は断熱層(B)に断熱性及びクッション性を付与する機能を有するものである。したがって、上記中空粒子としては、断熱層(B)に所望の断熱性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、発泡粒子を用いてもよく、あるいは、非発泡粒子を用いることもできる。また、中空粒子として用いられる上記発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、本発明に用いられる中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。中空粒子自体の特性として、断熱性とともに、クッション性を有するものは好ましく、また、中空粒子単独としてはクッション性をそれほど有していなくても、この断熱層に使用するバインダーを含めた層としてクッション性を有しているものは、好ましく使用される。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて、断熱層(B)に所望の断熱性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な断熱層(B)を形成することが困難になるからである。
本発明において、断熱層(B)に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性を有する断熱層(B)を得ることができれば特に限定されるものではないが、断熱層(B)に含まれる全固形分を100重量%としたときに、断熱層(B)を構成する中空粒子とバインダー樹脂の割合[(中空粒子/バインダー樹脂)の重量比]が60/40〜90/10でることが好ましく、なかでも65/35〜80/20であることが好ましい。中空粒子の含有量が少なすぎると、断熱層(B)における空隙が少なくなり、充分な断熱性が得られない場合があり、中空粒子の含有量が多すぎて後述する断熱層形成用バインダー樹脂の重量比が小さくなりすぎると、断熱層(B)が脆くなり層の成形性が悪くなる虞があるからである。
(ロ)断熱層形成用バインダー樹脂
断熱層(B)を形成するために用いられるバインダー樹脂としては、通常、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な所謂、水系樹脂が用いられる。このような水系溶媒に分散可能な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。また、通常、水系溶媒に溶解可能な樹脂としては、たとえば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び特開平7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。とりわけ、水系溶媒に分散可能な樹脂と、水系溶媒に溶解可能な樹脂を合わせて使用することで、例えば、分散性と造膜性を両立できる等で良好である。また、クッション性、密着性をあげるために、これらの特性に優れたバインダー、すなわち、比較的低融点、低Tgの材料を混合することが好ましい。また、上記多孔質形成用バインダー樹脂として、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン等の材料を用いる場合には、これらバインダー樹脂は、冷却ゲル化機能も発揮し得るため、別途、後述する冷却ゲル化剤を用いずとも、同時多層塗布方法において良好に製造可能である。
次に、断熱層(B)に用いられる冷却ゲル化剤について説明する。本発明に用いられる冷却ゲル化剤は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり断熱層(B)へ添加は任意であるが、熱転写受像シートを同時多層塗布方法により成形する際には、受容層(C)及びバリヤ層に冷却ゲル化剤を含有させると共に、断熱層(B)にも冷却ゲル化剤を含有させる必要がある。尚、断熱層(B)に用いられる冷却ゲル化剤の種類については、後述する受容層(C)に用いられる冷却ゲル化剤と同様である。
また本発明において、断熱層(B)中に含有される中空粒子と、冷却ゲル化剤との割合は、所望の断熱性を有する断熱層(B)を形成することができれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、冷却ゲル化剤が、断熱層塗工液中の固形分100重量部に対して、重量換算で5〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に10〜40重量部の範囲内であることが好ましく、さらに12〜40重量部の範囲内であることが好ましい。中空粒子と冷却ゲル化剤の含有比が上記範囲内であることにより、断熱性に優れた断熱層(B)を形成することができるからである。
(ハ)任意の添加成分
本発明に用いられる断熱層(B)は、上述する中空粒子、バインダー樹脂及び冷却ゲル化剤以外にも、必要に応じて任意の添加成分を含むものであってよい。上記任意の添加成分として断熱層(B)に含有させることができるものとしては、ノニオン系シリコーン等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
(3)受容層(C)
受容層(C)は、少なくともスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を含有し、かつ2〜10μmの厚みである。
受容層(C)の厚みは、所望の画像濃度を発現させるために上記2〜10μmであり、2〜15μmが好ましい。
受容層(C)は、染料染着性を備える樹脂材料(受容層形成用樹脂)を含む層であり、熱転写にて転写受像シートが印画される際に、熱転写シートに担持される染料が熱転写受像シートの所定領域に転写され、その染料が熱転写受像シートに担持された状態となり(熱転写受像シートが染着され)、熱転写受像シートに画像を形成する機能を有するものである。
受容層形成用樹脂としては、染料染着性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる上記受容層形成用樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であるものが好ましく、30℃以上であるものがより好ましく、40℃以上であるものがさらに好ましい。また、上記受容層形成用樹脂はガラス転移温度が120℃以下であるものが好ましい。このような範囲のガラス転移温度を有する受容層形成用樹脂を用いることにより、特に耐熱性や離型性に優れた熱転写受像シートを得ることができるからである。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)については剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)を用いて、DMA法による弾性率測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
受容層形成用樹脂は、水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂(水性樹脂)、有機溶媒に分散・溶解可能な樹脂(溶剤系樹脂)のいずれでも使用可能であるが、水性樹脂であることが好ましい。上記受容層形成用樹脂が上記水性樹脂であることにより、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、断熱層(B)と上記受容層(C)とを水系溶媒のみを用いて、基材シート(A)上に同時に塗布することが可能になるからである。
ここで、本明細書において、「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等、水との共存下で容易に相分離しないものを例示することができる。また、「有機溶媒」は、水との共存下で相分離する有機化合物でなる液体を挙げることができる。
受容層形成用樹脂を構成する水性樹脂としては、所望の水系溶媒に所定量を分散・溶解可能な水性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができるが、本発明においては、染料染着性、耐熱性、耐光(候)性、離型性等の点から塩化ポリビニル系樹脂又はスチレン−アクリル系共重合体を用いる。
(i)ポリビニル系樹脂
塩化ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体等を、好ましいものとして挙げることができる。
なお、上記塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニルと酢酸ビニルとからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよび酢酸ビニルに加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体を少量重合したものであってもよい。
上記塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体は、塩化ビニルとアクリル系化合物とからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよびアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体をも少量共重合したものであってもよい。なお、本明細書において、「アクリル系化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
(ii)スチレン−アクリル系共重合体
スチレン−アクリル系共重合体は、少なくともスチレン、及びアクリル系化合物を原料モノマーとして共重合反応により形成される共重合体であれば特に限定されず、スチレンとアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能なモノマーをも少量共重合させたものであってもよい。
なお、「アクリル系化合物」とは、上記した通りである。
スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は60〜80/40〜20が好ましい。スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位が60モル%以上で比較的高いガラス転移温度(Tg)となるので、このような共重合体を含有する受容層(C)は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上する。
受容層形成用樹脂としては、上記にて挙げたような各種樹脂を1種のみ用いてもよく、単量体組成、平均分子量等を異にする樹脂を2種以上用いてもよい。
(iii)ゼラチン
受容層(C)は、受容層形成用樹脂を含むほか、「他の化合物」として冷却ゲル化剤を含むものであり、該冷却ゲル化剤としては、冷却されることによりゲル化する性質を有するもので、上記染料受容層形成用塗工膜に粘度特性を付与できるものである。このような冷却ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等が挙げられるが、本発明においてはゼラチンを使用する。
上記ゼラチンは、上述したように三重へリックス構造を有するコラーゲンを変性させることによって得られるペプチド鎖からなるものであり、冷却されることにより部分的に上記三重へリックス構造を回復し、回復された三重へリックス構造を起点として三次元ネットワークを形成することにより、冷却ゲル化特性を示すものである。受容層(C)に含まれる冷却ゲル化剤は、ゼラチンに上記に例示したものから1種類又は2種類以上を組み合わせて用いられてもよい。
受容層(C)に冷却ゲル化剤が含まれる場合、受容層(C)における冷却ゲル化剤の含有量は、熱転写受像シートを製造する際に、受容層(C)を構成する樹脂を含む受容層形成用の塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば、特に限定されるものではない。具体的には、冷却ゲル化剤は、受容層形成用の樹脂100重量部に対して、1〜70重量部の範囲内であることが好ましく、特に1〜40重量部の範囲内であることが好ましく、更に2〜15重量部の範囲内であることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有量が1重量部未満であると、例えば、熱転写受像シートを同時多層塗工方法にて製造する場合において、断熱層(B)を形成するための断熱層形成用塗工膜と受容層(C)を形成するための受容層形成用塗工膜とが基材シート上に重なり合うように塗布形成された際に、断熱層形成用塗工膜でなる層と受容層形成用塗工膜両層でなる層の両層が混合してしまうおそれがあるからである。また、冷却ゲル化剤の含有量が70重量部を超えると、受容層形成用塗工膜を基材シート上に塗布形成する際に、受容層形成用塗工膜を形成するための塗工液の粘性により、受容層形成用塗工膜表面に塗りスジや塗りムラなどが生じやすくなる場合がある。
受容層(C)には、上記冷却ゲル化剤以外にも、例えば、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等が含まれていてもよい。
上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特に、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが好ましい。上記離型剤は、上述の受容層形成用樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部の範囲内となるように添加されることが好ましい。1.0〜20重量部となるよう添加されることがさらに好ましい。
受容層(C)は、JIS B 0601で定義される表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で1μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下、また、最大高さ(Rmax)が10μm以下、さらに好ましくは、8μm以下が好ましい。
(4)任意の層構成
本発明の熱転写受像シートは、少なくとも基材シート(A)、断熱層(B)、及び受容層(C)がこの順に形成されるが、必要に応じて他の任意の構成を有するものであってもよい。このような他の構成としては、例えば、断熱層(B)と基材シート(A)との間に形成される下引き層(D)、断熱層(B)と受容層(C)との間に形成されるプライマー層(E)を挙げることができる。以下、本発明に用いられるこれらの各層について説明する。
(イ)プライマー層(E)
本発明に用いることのできるプライマー層(E)は、断熱層(B)と受容層(C)との間に形成されるものであり、本発明の熱転写受像シートの高温高湿度環境下における、染料の断熱層(B)側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。プライマー層(E)はプライマー層(E)を形成する熱可塑性樹脂(以下、プライマー層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤を主体とする層、及びポリビニリアルコール(PVA)等の水溶性ポリマーを主体とする層から形成することも可能である。プライマー層(E)には、上記プライマー層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等が含まれていてもよい。上記プライマー層(E)の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば0.1〜40μmであることが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、0.3〜10μmが更に好ましい。
(ロ)下引き層(D)
本発明に用いることのできる下引き層(D)は、基材シート(A)と断熱層(B)との間に形成され、基材シート(A)と断熱層(B)との接着性を向上させる機能を有するものである。
下引き層(D)としては、基材シート(A)と断熱層(B)との密着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではないが、(i)下引き層(D)を形成する樹脂(以下、下引き層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤と主体とする層から形成されるのが好ましいが、(ii)水溶性ポリマー等を用いることも可能である。
尚、下引き層(D)における(i)下引き層形成樹脂と冷却ゲル化剤、及び(ii)水溶性ポリマー等は、前記プライマー層(E)に記載した、プライマー層形成樹脂、冷却ゲル化剤、水溶性ポリマーとそれぞれ同様であるので、記載は省略する。
なお、下引き層(D)には、上記下引き層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を挙げることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。また、上記下引き層を形成する塗工液(以下、下引き層形成用塗工液ということがある)には、中空粒子を含有させることもできる。
(5)熱転写受像シート
熱転写受像シートは、少なくとも基材シート(A)、断熱層(B)、及び受容層(C)がこの順に積層され、例えば後述する製造方法により製造可能なシートである。前述した基材シート(A)、断熱層(B)、及び受容層(C)のそれぞれの厚みから、該熱転写受像シートの厚みは、150〜350μmが好ましく、190〜270μmがより好ましい。
〔2〕熱転写受像シートの製造、及び昇華型熱転写による画像形成
本発明の熱転写受像シートは、基材シート(A)上に断熱層(B)、及び受容層(C)を形成する。
(1)基材シート(A)上に断熱層(B)、及び受容層(C)の形成
基材シート(A)上に断熱層(B)、及び受容層(C)の形成は、グラビアロール法、コンマコート法、バーコート法等により形成される。
又、断熱層(B)、受容層(C)等をそれぞれ水系の断熱層形成用塗工液、受容層形成用塗工液として、基材シート(A)上に同時に形成するスライドコート法により製造することもできる。
塗膜を塗布後、有機溶媒を使用した塗工液の塗布の場合には、溶媒除去により熱受容シートが形成され、又、スライドコート法を採用する場合には0〜30℃程度の温度で冷却し、次に30〜90℃程度の温度で乾燥して熱転写受像シートが形成される。
(2)昇華型熱転写による画像形成
上記昇華型転写による画像形成方法は、本発明の熱転写受像シートに、昇華型熱転写方法で受像シートの染料画像を形成する方法であり、使用する熱転写シートは、その染料層にイエロー、マゼンタ及びシアン、更に必要に応じてブラックの昇華性染料をバインダー樹脂で担持させ、必要に応じて背面に耐熱滑性層を設けたもので、プリンタのサーマルヘッドで印字することによって、濃淡自在で任意の階調性フルカラー画像が受容層(C)中に形成される。かかる熱転写シート及び転写方式自体は従来公知のものであり、いずれも使用することが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
本実施例、及び比較例で使用した原材料、並びに熱転写受像シートの基材シートに使用した中紙、及び熱転写受像シートの評価方法について以下に記載する。
(1)原材料
(イ)中紙
中紙として、上質コート紙、キャスト紙、及び高級白色紙を使用した。製造者と商品名を表1、2に、厚みを表3、4に示す。
(ロ)コート樹脂
樹脂コート紙を作製する際に、中紙の表裏面のコートに使用したコート樹脂を表1、2に示す。尚、コート樹脂の厚み及び樹脂コート紙の厚みは表3、4に示す。
Figure 2010149286

























Figure 2010149286
(2)評価方法
(イ)樹脂コート紙に使用した中紙の伸縮率(%)
熱転写受像シートの樹脂コート紙に使用する中紙を60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存後と保存前のMD(マシン方向又は縦方向)とCD(クロスマシン方向又は横方向)伸縮率を測定した。
伸縮率の測定方法は、中紙を15cm×15〜20cmのサイズに切り出し、中央部に10cm×10cmの十字を記載して、前記保存前後のMDとCD方向のそれぞれ伸縮率を下記式より求めた。
伸縮率=[(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100
(ロ)基材シートとして使用した中紙の表面粗さ
樹脂コート紙として使用した中紙の表面粗さは、はJIS B0601:2001に準拠して、前記保存前後の算術平均粗さ(Ra)を求めた。
(ハ)画質(ざらつき又は白抜け)の評価
印画される所定画像には、ブラックの18ステップに分割された画像が用いられ、昇華型熱転写法による印画には、ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIIIプリンター用の専用の熱転写シートと組み合わせて、下記条件にて、熱転写記録を行い、18階調グラデーション画像を印画した、それぞれの階調の濃度を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )にて測定し、それぞれ1〜18階調の印画濃度のうち、低濃度側から3階調目の画質について目視で「ざらつき(又は白抜け)」の評価を行った。
(iii)評価
ブラックの18ステップに分割された画像が熱転写受像シートに形成された後、ハイライト部分の白ヌケを目視にて評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:優良(白く抜けた部分がなく均一なブラックの画像が得られた場合)
○:良好(わずかに白く抜けた箇所が観察された場合)
×:不良(白く抜けた箇所が多く観察された場合)
(ニ)画像濃度評価方法
上記(ハ)に記載したと同様の18階調グラデーション画像を印画し、低濃度側から18階調目の濃度を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )にて測定し、画像濃度が1.9以上を◎、1.9〜1.8を○として示した。ただし、RGB値が高い階調ほど、高濃度の画像を得ることができる条件に相当する。
[実施例1]
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート1作製方法
中紙として上質コート紙(王子製紙(株)製、商品名:OK特アートポスト180)を使用した。この中紙の表側面に低密度ポリエチレン樹脂(製品名:LC680、日本ポリエチレン社製)を20μmとなるように押し出し、コートを作製した。また、中紙の裏側面に高密度ポリエチレン(製品名:HJ560、日本ポリエチレン社製)を乾燥後厚み20μmとなるように押し出し、「樹脂コート紙」を作成した。さらに、表側面に作製したポリエチレン樹脂の表面にゼラチン液を塗布して「基材シート」とした。
さらに、この「基材シート」の表側面に下記組成の断熱層形成用塗工液、受容層形成用塗工液を40℃にてそれぞれ調整し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ20μm、5μmとなるように重層塗布し、5℃にて1分間冷却・ゲル化後50℃にて10分間乾燥し、熱転写受像シートを得た。
(i)断熱層形成用塗工液
・中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP-91)(固形分として) 70重量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として) 30重量部
断熱層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として17重量%となるように40℃の温水にて調製した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)を、固形分として、0.5重量部添加し、断熱層形成用塗工液とした。
(ii)受容層形成用塗工液
・塩化ビニル系樹脂(日信化学工業社製、ビニブラン690)(固形分として) 80重量部
・ゼラチン(RR、新田ゼラチン社製)(固形分として) 10重量部
・シリコーン系離型剤(KF615A、信越化学工業社製)(固形分として) 10重量部
受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として25重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)を、固形分として、2重量部添加し、受容層形成用塗工液とした。
(2)中紙、及び熱転写受像シートの評価
上記樹脂コート紙の作製に使用した中紙に付いて、前記特定条件下での保存前後における(i)伸縮率、及び(ii)表面粗さの評価を行った。これらの評価結果はまとめて表3に示す。
上記で作製した熱転写受像シートに付いて、保存前後の「画像濃度」、及び「ざらつき」の評価を行った。これらの評価結果をまとめて表3に示す。
[実施例2〜10]
基材シートを表1、2に記載するものを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10において熱転写受像シートを作製した。次に、実施例2〜10で得られた熱転写受像シートを実施例1と同様に評価を行った。評価結果をまとめて表3、4に示す。
[比較例1、2]
基材シートを表2に記載するものを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1、2において熱転写受像シートを作製した。次に、比較例1、2で得られた熱転写受像シートを実施例1と同様に評価を行った。評価結果をまとめて表4に示す。
表3、4から、本願発明の中紙を使用して形成される樹脂コートを基材シートに用いて得られる熱転写受像シートは、生保存前、後のざらつきが少なく、更に優れた画像濃度が得られることが確認された。
一方、保存期間中に伸縮率の高い中紙から形成された樹脂コート紙を基材シートとして使用して得られる熱転写受像シートは、生保存前、後のざらつきが多く、優れた画質は得られないことが確認された。
Figure 2010149286



Figure 2010149286

Claims (6)

  1. 少なくとも基材シート(A)、断熱層(B)、及び受容層(C)がこの順に積層されてなる熱転写受像シートにおいて
    (i)基材シート(A)が中紙の両面をポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙であって、
    該中紙は、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存後のMD(マシン方向又は縦方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.25%以内、及びCD(クロスマシン方向又は横方向)の伸縮率([(保存後長さ−保存前長さ)/(保存前長さ)]×100)が±0.5%以内、
    上記条件での保存前、及び保存後における、JIS B0601:2001に準拠して測定される表面の算術平均粗さ(Ra)が共に2.5μm以下で、
    かつ100〜250μmの厚みであり、
    (ii)断熱層(B)が少なくとも中空粒子とバインダー樹脂から形成されていて、該中空粒子とバインダー樹脂の割合([中空粒子/バインダー樹脂]重量比)が60/40〜90/10で、
    かつ10〜40μmの厚みであり、
    (iii)受容層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を含有し、
    かつ2〜10μmの厚みである、
    ことを特徴とする、熱転写受像シート。
  2. 前記基材シート(A)を形成する樹脂コート紙が中紙の両面に押出コート法により形成されたポリエチレン又はポリプロピレンでコートされた樹脂コート紙であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記基材シート(A)を形成している樹脂コート紙の断熱層が積層される表側のコート樹脂層厚みが10〜40μmであり、裏側のコート樹脂層厚みが10〜30μmであり、樹脂コート紙の厚みが120〜320μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
  4. 前記基材シート(A)を形成する樹脂コート紙の表裏面のコート樹脂が高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択された樹脂(表裏面のコート樹脂が同一であっても、異なっていてもよい)であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
  5. 基材シート(A)上にスライドコート法により水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を同時塗布後、乾燥して形成されたことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
  6. 熱転写受像シートの厚みが150〜350μmであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
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