JP2008162155A - 熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

熱転写受像シートの製造方法 Download PDF

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聡 塩田
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Abstract

【課題】本発明は、スライドコート法により複数の塗工液を基材シートに塗布する際に、乱流の発生を抑制し、層流状態のまま塗布することができる熱転写受像シートの製造方法を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、基材シート上に、上記基材シートとの密着性を向上させる下引き層、断熱性を付与する多孔質層、および受容層を形成するために設けられるプライマー層をこの順に、スライドコート法により同時に形成する同時重層形成工程と、上記同時重層形成工程の後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて、上記プライマー層の表面に受容層を形成する受容層形成工程とを有する熱転写受像シートの製造方法であって、上記下引き層を形成する水系の下引き層形成用塗工液、上記多孔質層を形成する水系の多孔質層形成用塗工液、および上記プライマー層を形成する水系のプライマー層形成用塗工液の粘度および表面張力を特定の範囲内とすることを特徴とする熱転写受像シートの製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材シート上に、下引き層、多孔質層およびプライマー層を同時に形成することができ、かつ、塗布時に生じる塗工液の混ざりやはじきを防止することができる熱転写受像シートの製造方法に関するものである。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。この方法は、熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
熱転写受像シートを得る方法として、例えばグラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が知られている。しかしながら、この方法は各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるといった問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを得るため、同時に複数の層を形成する方法等が注目を浴びている。
例えば特許文献1においては、基材上に、断熱層や受像層等の複数の層を同時重層塗布することにより形成した熱転写受像シートが開示されている。具体的には、同時重層塗布の塗布方式としてスライドコート法を用いて、熱転写受像シートを得たことが記載されている(実施例:熱転写受像シート5の作製)。また、特許文献2においては、水性中間層と水性受容層を同時塗布することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法が開示されており(請求項1)、特許文献3においては、水溶性樹脂を最表層に有するインクジェット記録媒体が開示されており(請求項1)、インク受容層用塗布液と塩基性溶液とを同時塗布することについて記載されている。
ここで、スライドコート法とは、例えば図2に示すように、熱転写受像シートの各層を構成する複数の塗工液11〜13を上下に重ねて、層流状態のまま、バックロール14に巻きつけた基材シート15に塗布する方法である。塗工品質の観点から見ると、スライドコート法は、膜厚均一性に優れ、回転部がないため塗工液の飛散による品質不良が発生しにくく、摩擦部がないため塗布部での原反切れに発生によるロスが発生しにくいという利点を有する。また、塗工液のハンドリング性の観点から見ると、スライドコート法は、塗工液の濃度、粘度、組成が変化しにくく、反応性が高く経時的に変化する塗工液を用いることができ、塗工液を使い切ることができ無駄が生じにくく、高固形分塗工液を用いることができ溶媒使用量を削減することができるという利点を有する。
しかしながら、スライドコート法には、以下のような問題があった。すなわち、スライドコート法においては、各層を構成する塗工液を上下に重ねて、層流状態のまま基材シート上に塗布する必要があるが、各塗工液の粘度や表面張力が適当でないと、各塗工液間で混ざりやはじきが発生してしまい、各層の膜厚を均一に保つことができないという問題があった。特許文献1〜3において、用いられる塗工液の粘度や表面張力等は特に規定されておらず、塗工液の組合せによっては、各塗工液間で混ざりやはじきが発生し、各層の膜厚が不均一になる等の問題があった。
特開2006−88691号公報 特開平6−171240号公報 特開2006−103040号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、スライドコート法により複数の塗工液を基材シートに塗布する際に、乱流の発生を抑制し、層流状態のまま塗布することができる熱転写受像シートの製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明においては、基材シート上に、上記基材シートとの密着性を向上させる下引き層、断熱性を付与する多孔質層、および受容層を形成するために設けられるプライマー層をこの順に、スライドコート法により同時に形成する同時重層形成工程と、上記同時重層形成工程の後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて、上記プライマー層の表面に受容層を形成する受容層形成工程とを有する熱転写受像シートの製造方法であって、上記下引き層を形成する水系の下引き層形成用塗工液の粘度が、上記多孔質層を形成する水系の多孔質層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低く、上記水系の多孔質層形成用塗工液の粘度が、上記プライマー層を形成する水系のプライマー層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低く、上記水系の下引き層形成用塗工液の表面張力が、上記水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高く、上記水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力が、上記水系のプライマー層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高いことを特徴とする熱転写受像シートの製造方法を提供する。
本発明によれば、複数の塗工液を同時重層塗布する際に、隣接する塗工液の粘度および表面張力の差を、それぞれ特定の範囲内とすることによって、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートを、少ない工程数で形成することができる。さらに、本発明においては、スライドコート法により同時重層塗布を行った後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて受容層を形成するが、溶剤系の受容層形成用塗工液は種類が豊富であるため、様々な性質を有する受容層を備えた熱転写受像シートを得ることができる。
上記発明においては、上記水系の多孔質層形成用塗工液が、中空粒子および多孔質層形成用バインダを含有し、上記中空粒子が、上記多孔質層形成用バインダに対して、重量換算で1.2倍以上含まれることが好ましい。断熱性に優れた多孔質層を得ることができるからである。
上記発明においては、上記多孔質層が、上記基材シート側から、中空粒子aを含有する多孔質層A、および上記中空粒子aよりも中空率の小さな中空粒子bを含有する多孔質層Bであることが好ましい。このような構成にすることで、印画時に、濃度ムラやハイライト部の白抜けを防止することができるからである。
本発明は、下引き層、多孔質層およびプライマー層等を同時に形成することができ、かつ、塗布時に生じる塗工液の混ざりやはじきを防止することができるという効果を奏する。
以下、本発明の熱転写受像シートの製造方法について説明する。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材シート上に、上記基材シートとの密着性を向上させる下引き層、断熱性を付与する多孔質層、および受容層を形成するために設けられるプライマー層をこの順に、スライドコート法により同時に形成する同時重層形成工程と、上記同時重層形成工程の後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて、上記プライマー層の表面に受容層を形成する受容層形成工程とを有する熱転写受像シートの製造方法であって、上記下引き層を形成する水系の下引き層形成用塗工液の粘度が、上記多孔質層を形成する水系の多孔質層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低く、上記水系の多孔質層形成用塗工液の粘度が、上記プライマー層を形成する水系のプライマー層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低く、上記水系の下引き層形成用塗工液の表面張力が、上記水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高く、上記水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力が、上記水系のプライマー層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高いことを特徴とするものである。
本発明によれば、複数の塗工液を同時重層塗布する際に、隣接する塗工液の粘度および表面張力の差を、それぞれ特定の範囲内とすることによって、各塗工液間における混ざりやはじきの発生を抑制することができ、乱流の発生を抑制し、層流状態のまま塗布することができる。その結果、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートを、少ない工程数で形成することができる。さらに、本発明においては、スライドコート法により同時重層塗布を行った後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて受容層を形成するが、溶剤系の受容層形成用塗工液は種類が豊富であるため、様々な性質を有する受容層を備えた熱転写受像シートを得ることができる。
次に、本発明の熱転写受像シートの製造方法について図面を用いて説明する。図1は、本発明の熱転写受像シートの製造方法の一例を示す工程図である。図1に示される熱転写受像シートの製造方法は、基材シート1上に(図1(a))、基材シート1との密着性を向上させる下引き層2、中空粒子等を含有し断熱性やクッション性を付与する多孔質層3、および受容層を形成するために設けられるプライマー層4の3層を、スライドコート法により同時に形成する同時重層形成工程(図1(b))と、同時重層形成工程後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いてグラビアコート法等により、プライマー層4の表面に受容層5を形成する受容層形成工程(図1(c))と、を有するものである。
以下、本発明における、同時重層形成工程および受容層形成工程について詳細に説明する。
1.同時重層形成工程
本発明における同時重層形成工程は、基材シート上に、上記基材シートとの密着性を向上させる下引き層、断熱性を付与する多孔質層、および受容層を形成するために設けられるプライマー層をこの順に、スライドコート法により同時に形成する工程である。なお、本発明において、「スライドコート法」とは、熱転写受像シートの各層を構成する塗工液を上下に重ねて、層流状態のままスライドさせて塗布する方法をいう。
本発明においては、下引き層、多孔質層およびプライマー層を形成するために、水系の塗工液が用いられる。「水系の塗工液」とは、用いられる溶媒が、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)である塗工液をいう。塗工液の溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を用いることができる。
本発明においては、同時重層塗布の際に、隣接する塗工液の粘度および表面張力の差が、特定の範囲内にあることを特徴の一つとする。本発明において用いられる複数の塗工液の粘度は、基材シート側からその積層方向に向かって、順次高くなることが好ましい。一方、用いられる複数の塗工液の表面張力は、基材シート側からその積層方向に向かって、順次低くなることが好ましい。また、本発明において塗工液の粘度は、SR(シェアレート)10(1/s)の測定条件で測定した場合の値である。粘度計としては、例えばAnton Paar社製、Physica MCR301 コーン;CP75−1等を用いることができる。一方、本発明において塗工液の表面張力は、周波数10(Hz)の測定条件で測定した場合の値である。表面張力計としては、例えばSITA社製、動的表面張力 シータ t60等を用いることができる。
本発明において、水系の下引き層形成用塗工液の粘度は、通常、水系の多孔質層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低い。
本発明において、水系の多孔質層形成用塗工液の粘度は、通常、水系のプライマー層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低い。
本発明において、水系の下引き層形成用塗工液の表面張力は、通常、水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高い。
本発明において、水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力は、通常、水系のプライマー層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高い。
本発明において、水系の下引き層形成用塗工液の粘度は、例えば5mPa・s〜100mPa・sの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、スライドコータの表面を塗工液が移動する際に生じるせん断応力の発生を抑制することができるからである。塗工液の粘度が高いと、移動の際に、高いせん断応力がかかり、層流状態で塗工液を移動させることが困難になり、塗工液の混ざりが発生し易くなる。さらに、高いせん断応力の影響により、塗布の際に、ビードが破壊されやすくなるという問題もある。
本発明において、水系の多孔質層形成用塗工液の粘度は、例えば10mPa・s〜110mPa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明において、水系のプライマー層形成用塗工液の粘度は、例えば30mPa・s〜120mPa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明において、水系の下引き層形成用塗工液の表面張力は、例えば45mN/m〜70mN/mの範囲内であることが好ましい。
本発明において、水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力は、例えば35mN/m〜70mN/mの範囲内であることが好ましい。
本発明において、水系のプライマー層形成用塗工液の表面張力は、例えば35mN/m〜70mN/mの範囲内であることが好ましい。
以下、本発明における下引き層、多孔質層、プライマー層および基材シートについて順に説明する。
(1)下引き層
まず、本発明における下引き層について説明する。本発明における下引き層は、基材シートとの密着性を向上させるために設けられる層である。下引き層を設けることにより、基材シートと多孔質層との密着性がより強固になる。また上述したように、本発明における下引き層は、特定の粘度および表面張力を有する水系の下引き層形成用塗工液を用いて形成される。
下引き層形成用塗工液は、通常、下引き層形成用樹脂と、水系溶媒とを含有する。さらに、下引き層形成用塗工液は、必要に応じて添加剤を含有していても良い。
下引き層形成用樹脂としては、基材シートと多孔質層との密着性を向上させることができ、かつ、水系溶媒に溶解、分散するものであれば特に限定されるものではないが、通常、水系樹脂が用いられる。上記水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。特に、本発明においては、下引き層形成用樹脂として、アクリル系ウレタン樹脂を用いることが好ましい。密着性に優れた下引き層を得ることができるからである。
下引き層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を挙げることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成用樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。
なお、下引き層形成用塗工液に用いられる水系溶媒については、上述した水系溶媒の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明において、下引き層形成用塗工液の固形分濃度としては、例えば10重量%〜50重量%の範囲内、中でも10重量%〜25重量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶媒の大半が無駄になる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する可能性があるからである。
本発明においては、下引き層の膜厚が、例えば0.5μm〜2μmの範囲内となるように、下引き層形成用塗工液を塗布することが好ましい。
(2)多孔質層
次に、本発明における多孔質層について説明する。本発明における多孔質層は、断熱性やクッション性を付与するために設けられる層である。多孔質層を設けることにより、熱転写受像シートの印画特性等を向上させることができる。また上述したように、本発明における多孔質層は、特定の粘度および表面張力を有する水系の多孔質層形成用塗工液を用いて形成される。
多孔質層形成用塗工液は、通常、中空粒子と、多孔質層形成用バインダと、水系溶媒とを含有する。さらに、多孔質層形成用塗工液は、必要に応じて添加剤を含有していても良い。
上記中空粒子としては、所望の断熱性およびクッション性を有する多孔質層を得ることができる材料であれば特に限定されるものではなく、発泡粒子であっても良く、非発泡粒子であっても良い。さらに、上記発泡粒子は、独立発泡粒子であっても良く、連続発泡粒子であっても良い。また、上記中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であっても良く、ガラス等から構成される無機系中空粒子であっても良い。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であっても良い。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子の平均粒径としては、例えば0.1μm〜15μmの範囲内、中でも0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な受容層を形成することが困難になるからである。
上記多孔質層形成用バインダとしては、上記中空粒子を結着可能であって、かつ、水系溶媒に溶解、分散するものであれば特に限定されるものではないが、通常、水系樹脂が用いられる。上記水系樹脂については、上記「(1)下引き層」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。特に、本発明においては、多孔質層形成用バインダとして、アクリル系ウレタン樹脂を用いることが好ましい。密着性に優れた多孔質層を得ることができるからである。
多孔質層形成用塗工液に添加することができる添加剤、および多孔質層形成用塗工液に用いられる水系溶媒については、上記「(1)下引き層」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明において、水系の多孔質層形成用塗工液に含まれる、中空粒子および多孔質層形成用バインダの割合は、所望の断熱性を有する多孔質層を形成することができれば特に限定されるものではない。中でも、本発明においては、中空粒子が、多孔質層形成用バインダに対して、重量換算で1.2倍以上、中でも1.5倍〜3.0倍の範囲内、特に1.5倍〜2.5倍の範囲内で含まれることが好ましい。断熱性に優れた多孔質層を形成することができるからである。また、後述するように、多孔質層形成用塗工液を2種類以上を用いる場合は、少なくとも1種類の多孔質層形成用塗工液が、上記のような割合で中空粒子を含有することが好ましく、2種類以上の多孔質層形成用塗工液が、上記のような割合で中空粒子を含有することがより好ましい。
上記多孔質層形成用塗工液に含まれる中空粒子の固形分濃度としては、所望の断熱性およびクッション性を有する多孔質層を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば20重量%〜90重量%の範囲内、中でも40重量%〜80重量%の範囲内であることが好ましい。含有量が少なすぎると、多孔質層における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、含有量が多すぎると、接着性が劣るからである。
本発明においては、多孔質層の膜厚が、例えば5μm〜40μmの範囲内、中でも7μm〜30μmの範囲内となるように、多孔質層形成用塗工液を塗布することが好ましい。なお、後述するように、多孔質層が2層以上である場合には、その合計が上記範囲内となるように、多孔質層形成用塗工液を塗布することが好ましい。
本発明においては、上記多孔質層が単層であっても良く、2層以上であっても良いが、中でも上記多孔質層が2層構造であることが好ましい。より機能的な多孔質層を得ることができるからである。
上記多孔質層が2層構造である場合の一例としては、例えば、上記多孔質層が、基材シート側から、中空粒子aを含有する多孔質層A、および上記中空粒子aよりも中空率の小さな中空粒子bを含有する多孔質層Bであるもの等を挙げることができる。このような構成にすることで、印画時に、濃度ムラやハイライト部の白抜けを防止することができる。
さらに、上記多孔質層Aにおける中空粒子aの中空率は、例えば40%〜70%の範囲内であることが好ましい。一方、上記多孔質層Bにおける中空粒子bの中空率は、例えば40%未満であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、中空率とは、中空粒子中に占める空気の体積の割合をいう。
特に、上記中空粒子bは、架橋中空粒子であることが好ましく、また、その平均粒径は1.0μm以下であることが好ましい。
上記多孔質層が2層構造である場合の他の例としては、例えば、上記多孔質層が、基材シート側から、体積平均粒径が3μm〜10μmの範囲内である中空粒子cを含有し、厚みが10μm〜30μmの範囲内である多孔質層C、および体積平均粒径が0.5μm〜1μmの範囲内である中空粒子dを含有する多孔質層Dであるもの等を挙げることができる。体積平均粒径の大きな中空粒子cを用いることにより、断熱性およびクッション性を充分に付与することができ、さらに多孔質層C上に、体積平均粒径の小さな中空粒子dを含む多孔質層Dを設けることにより、得られる熱転写受像シートに光沢性を付与することができ、感度を維持し、滲みを防止することができる。さらに、得られる印画物のハイライト部におけるざらつき発生を軽減することができる。
上記中空粒子cの体積平均粒径としては、通常3μm〜10μmの範囲内であり、中でも3μm〜7μmの範囲内であることが好ましい。一方、上記中空粒子dの体積平均粒径としては、通常0.5μm〜1μmの範囲内であり、中でも0.7μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。なお、本明細書において、体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定法(マイクロトラック法)に基づき測定したものである。
上記中空粒子cの中空率としては、例えば60%以上、中でも68%以上、特に80%以上であることが好ましい。また、その上限は、85%以下であることが好ましい。一方、上記中空粒子dの中空率としては、例えば40%〜60%の範囲内であることが好ましい。
上記多孔質層Cの厚みとしては、通常10μm〜30μmの範囲内であり、中でも10μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。一方、上記多孔質層Dの厚みとしては、例えば0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.8μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
また、上記多孔質層Cの密度は、例えば0.1g/cm〜0.3g/cmの範囲内、中でも0.2g/cm〜0.3g/cmの範囲内であることが好ましい。
上述したように、本発明においては、多孔質層が2層構成であることが好ましい。このような多孔質層を形成する場合、2種類の多孔質層形成用塗工液が用いられるが、その2種類の多孔質層形成用塗工液を、下引き層側多孔質層形成用塗工液と、プライマー層側多孔質層形成用塗工液とする。これら2種類の多孔質層形成用塗工液は、下引き層形成用塗工液やプライマー層形成用塗工液に対して混ざりやはじきを生じさせなければ、互いに混ざっても良いし、層流状態で流れていても良い。これら2種類の多孔質層形成用塗工液を層流状態で流す場合は、下引き層側多孔質層形成用塗工液の粘度は、プライマー層側多孔質層形成用塗工液の粘度よりも低いことが好ましく、例えば5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低いことが好ましい。同様に、下引き層側多孔質層形成用塗工液の表面張力は、プライマー層側多孔質層形成用塗工液の表面張力よりも高いことが好ましく、例えば5mN/m〜15mN/mの範囲内で高いことが好ましい。なお、本発明において、複数種類の多孔質層形成用塗工液が用いられる場合は、下引き層形成用塗工液と、それに接触する多孔質層形成用塗工液との粘度および表面張力を比較し、その差が上述した範囲にあることが好ましい。同様に、プライマー層形成用塗工液と、それに接触する多孔質層形成用塗工液との粘度および表面張力を比較し、その差が上述した範囲にあることが好ましい。
(3)プライマー層
次に、本発明におけるプライマー層について説明する。本発明におけるプライマー層は、受容層を形成するために設けられる層である。プライマー層を設けることにより、例えば受容層の平滑性を向上させたり、受容層との密着性を向上させたりすることができる。また上述しように、本発明におけるプライマー層は、特定の粘度および表面張力を有する水系のプライマー層形成用塗工液を用いて形成される。
プライマー層形成用塗工液は、通常、プライマー層形成用樹脂と、水系溶媒とを含有する。さらに、プライマー層形成用塗工液は、必要に応じて添加剤を含有していても良い。
上記プライマー層形成用樹脂としては、水系溶媒に溶解、分散するものであれば特に限定されるものではないが、通常、水系溶媒に溶解、分散する水系樹脂が用いられる。上記水系樹脂については、上記「(1)下引き層」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。特に、本発明においては、プライマー層形成用樹脂として、アクリル系ウレタン樹脂またはポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
プライマー層形成用塗工液に添加することができる添加剤、およびプライマー層形成用塗工液に用いられる水系溶媒については、上記「(1)下引き層」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明において、プライマー層形成用塗工液の固形分濃度としては、例えば10重量%〜50重量%の範囲内、中でも10重量%〜25重量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶媒の大半の無駄になる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する可能性があるからである。
本発明においては、プライマー層の膜厚が、例えば0.1μm〜2.0μmの範囲内、中でも0.5μm〜1.0μmの範囲内となるように、プライマー層形成用塗工液を塗布することが好ましい。また、上記プライマー層は、単層であっても良く、2層以上であっても良い。
(4)基材シート
次に、本発明に用いられる基材シートについて説明する。本発明に用いられる基材シートは、基材シート上に形成される受容層を支持する機能を有するものである。
本発明に用いられる基材シートとしては、本発明により得られる熱転写受像シートを用いて画像を形成する際の印画温度等に応じて、所望の耐熱性を備えるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、レジンコート紙、樹脂製フィルム基材、および紙製基材等を挙げることができ、中でもレジンコート紙が好ましい。
レジンコート紙は、通常、基紙の両面に基材樹脂層を積層してなるものである。
上記基紙を構成する原紙としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、中でも木材パルプを主成分とする紙が好ましい。また、上記原紙は、必要に応じて後述するカレンダー処理等の従来公知の処理を施したものであっても良い。
上記基紙は、厚みが10μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、50μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
上記基紙は、公知の方法にて作製することができるが、原紙に対してカレンダー処理したものが好ましい。原紙にカレンダー処理をした基紙を用いると、平滑度を向上することができ、得られる熱転写受像シートの光沢感を高めることができる。
上記基材樹脂層を形成するための樹脂としては、ネックインが小さく、ドローダウン性が良好な樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリウレタン等を挙げることができ、耐水性、強度、光沢等に優れたフィルムが得られる点で、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等を挙げることができ、中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
上記基材樹脂層は、上記樹脂を1種もしくは2種以上混合して得られるフィルムまたはシートであっても良いし、上記樹脂に加え、顔料、充填剤等を加えて成膜したフィルムまたはシートであっても良い。また、上記樹脂は、改質剤等の添加剤を配合し、接着性を向上させたものであっても良い。上記改質剤としては、例えば、タフマー(三井化学社製)等のオレフィン系コポリマー等を挙げることができる。
上記レジンコート紙は、例えばドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等の公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
上記レジンコート紙の厚みは、全体で、例えば10μm〜1000μmの範囲内、中でも50μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
一方、本発明に用いられる樹脂製フィルム基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等を挙げることができる。なかでも本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン樹脂を好適に用いることができる。
上記樹脂製フィルム基材の厚みとしては、例えば20μm〜100μmの範囲内、中でも、25μm〜60μmの範囲内、特に30μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられる紙製基材としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、または、サイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙等を挙げることができる。
上記紙製基材の厚みとしては、例えば80μm〜200μmの範囲内、中でも100μm〜180μmの範囲内、特に120μm〜160μmの範囲内であることが好ましい。
2.受容層形成工程
次に、本発明における受容層形成工程について説明する。本発明における受容層形成工程は、上述した同時重層形成工程の後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて、プライマー層の表面に受容層を形成する工程である。
本発明においては、受容層を形成するために、溶剤系の塗工液が用いられる。「溶剤系の塗工液」とは、用いられる溶媒が、有機溶媒を主成分とする溶媒(溶剤系溶媒)である塗工液をいう。塗工液の溶媒における水の割合は、エマルジョンにならない程度の割合であれば特に限定されるものではないが、通常40重量%未満であり、好ましくは10重量%未満であり、より好ましくは5重量%未満である。特に好ましく、実質的に水を含有しない塗工液であることが好ましい。溶剤系の塗工液に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;クロロホルム、トリクロルエチレン等の塩素系化合物;ジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドン等の含窒素化合物;ジメチルスルホキシド等、およびこれらの混合物等を挙げることができる。中でも、本発明においては、メチルエチルケトンおよびトルエン等を用いることが好ましい。
受容層形成用塗工液は、通常、受容層形成用樹脂と、溶剤系溶媒とを含有する。さらに、受容層形成用塗工液は、必要に応じて添加剤を含有していても良い。
上記受容層形成用樹脂としては、染料染着性を有し、かつ、溶剤系溶媒に溶解、分散するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂;ポリビニル酢酸、ポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体;アイオノマー;セルロース誘導体;およびそれらの共重合体や混合物等を挙げることができる。中でも、ポリエステル系樹脂およびビニル系樹脂が好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
受容層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等を挙げることができる。
上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特に、シリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが好ましい。上記離型剤は、上述の受容層形成用樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜30重量部の範囲内となるように添加することが好ましい。
受容層形成用塗工液の固形分濃度としては、例えば10重量%〜50重量%の範囲内、中でも10重量%〜25重量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶媒の大半の無駄になる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する可能性があるからである。
受容層形成用塗工液をプライマー層に塗布する方法としては、所望の受容層を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な塗布方法を用いることができるが、例えばグラビアコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法等を挙げることができ、中でもグラビアコート法が好ましい。汎用性に優れているからである。
本発明においては、受容層の膜厚が、例えば1μm〜10μmの範囲内、中でも1μm〜5μmの範囲内となるように、受容層形成用塗工液を塗布することが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
水系の塗工液として、下引き層形成用塗工液、多孔質層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液を下記組成で調製した。
(下引き層形成用塗工液)
バインダ(クラレ製、PVA235) 60重量部
バインダ(大日本インキ社製、AP−40) 39重量部
濡れ材(日信化学工業社製、ダイノール604) 1重量部
水 700重量部
(多孔質層形成用塗工液)
中空粒子(松本油脂社製、M−610) 30重量部
バインダ(大日本インキ社製、AP−40) 65重量部
分散剤(ビックケミー社製、BYK154) 4重量部
濡れ剤(日信化学工業社製、ダイノール604) 1重量部
水 800重量部
(プライマー層形成用塗工液)
バインダ(大日本インキ社製、AP−40) 78重量部
バインダ(クラレ社製、PVA217) 21重量部
濡れ剤(日信化学工業社製、ダイノール604) 1重量部
界面活性剤(AIR PRODUCTS社製、サーフィノール420) 1重量部
水 400重量部
得られた塗工液の粘度を、SR(シェアレート)10(1/s)の測定条件で、Anton Paar社製、Physica MCR301 コーン;CP75−1を用いて測定した。また、得られた塗工液の表面張力を、周波数10(Hz)の測定条件で、SITA社製、動的表面張力 シータ t60を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次に、溶剤系の塗工液として、受容層形成用塗工液を下記組成で調整した。
(受容層形成用塗工液)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(日信化学工業社製、ソルバインC) 15重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製、X−22−3000T) 2重量部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比) 83重量部
次に、基材シートとしてレジンコート紙を用意し、下引き層形成用塗工液、多孔質層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液をスライド塗布機により同時重層塗布した。次に、得られたプライマー層に対して、グラビアコートで受容層形成用塗工液を塗布することにより、受容層を形成し、熱転写受像シートを得た。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。得られた熱転写受像シートの各層の膜厚は、下引き層0.8μm、多孔質層10μm、プライマー層0.5μm、受容層4μmであった。
[実施例2]
多孔質層形成用塗工液を下記組成で調製した。なお、本実施例においては、塗工液に含まれる中空粒子の割合を実施例1よりも大きくして熱転写受像シートを作製した。
(多孔質層形成用塗工液)
中空粒子(ローム&ハース社製、SN1055) 20重量部
中空粒子(松本油脂社製、M−610) 50重量部
バインダ(大日本インキ社製 AP−40) 25重量部
分散剤(ビックケミー社製 BYK154) 4重量部
濡れ剤(日信化学工業社製 ダイノール604) 1重量部
水 575重量部
得られた塗工液の粘度を、SR10(1/s)の測定条件で、Anton Paar社製、Physica MCR301 コーン;CP75−1を用いて測定した。また、得られた塗工液の表面張力を、周波数10(Hz)の測定条件で、SITA社製、動的表面張力 シータ t60を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、下引き層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液については、実施例1と同様の塗工液を用いた。
次に、基材シートとしてレジンコート紙を用意し、下引き層形成用塗工液、多孔質層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液をスライド塗布機により同時重層塗布した。次に、得られたプライマー層に対して、グラビアコートで受容層形成用塗工液を塗布することにより、受容層を形成し、熱転写受像シートを得た。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。得られた熱転写受像シートの各層の膜厚は、下引き層0.8μm、多孔質層30μm、プライマー層0.5μm、受容層4μmであった。
[実施例3]
2種類の多孔質層形成用塗工液を下記組成で調製した。なお、本実施例においては、2種類の多孔質層形成用塗工液を用いて熱転写受像シートを作製した。
(下引き層側多孔質層形成用塗工液)
中空粒子(松本油脂社製、M−610) 70重量部
バインダ(大日本インキ社製、AP−40) 25重量部
分散剤(ビックケミー社製、BYK154) 4重量部
濡れ剤(日信化学工業社製、ダイノール604) 1重量部
水 800重量部
(プライマー層側多孔質層形成用塗工液)
中空粒子(ローム&ハース社製、HP−91) 55重量部
バインダ(大日本インキ社製、AP−40) 24重量部
バインダ(クラレ社製、PVA105) 20重量部
濡れ剤(日信化学工業社製、ダイノール604) 1重量部
界面活性剤(AIR PRODUCTS社製、サーフィノール440) 0.5重量部
水 900重量部
得られた塗工液の粘度を、SR10(1/s)の測定条件で、Anton Paar社製、Physica MCR301 コーン;CP75−1を用いて測定した。また、得られた塗工液の表面張力を、周波数10(Hz)の測定条件で、SITA社製、動的表面張力 シータ t60を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、下引き層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液については、実施例1と同様の塗工液を用いた。
次に、基材シートとしてレジンコート紙を用意し、下引き層形成用塗工液、多孔質層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液をスライド塗布機により同時重層塗布した。次に、得られたプライマー層に対して、グラビアコートで受容層形成用塗工液を塗布することにより、受容層を形成し、熱転写受像シートを得た。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。得られた熱転写受像シートの各層の膜厚は、下引き層0.8μm、下引き層側多孔質層20μm、プライマー層側多孔質層10μm、プライマー層0.5μm、受容層4μmであった。
[比較例1]
多孔質層形成用塗工液を下記組成で調製した。
中空粒子(松本油脂社製、M−610) 30重量部
バインダ(大日本インキ社製、AP−40) 65重量部
分散剤(ビックケミー社製、BYK154) 4重量部
濡れ剤(日信化学工業社製、ダイノール604) 1重量部
界面活性剤(AIR PRODUCTS社製、サーフィノール440) 3重量部
水 400重量部
得られた塗工液の粘度を、SR10(1/s)の測定条件で、Anton Paar社製、Physica MCR301 コーン;CP75−1を用いて測定した。また、得られた塗工液の表面張力を、周波数10(Hz)の測定条件で、SITA社製、動的表面張力 シータ t60を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、下引き層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液については、実施例1と同様の塗工液を用いた。
次に、基材シートとしてレジンコート紙を用意し、下引き層形成用塗工液、多孔質層形成用塗工液およびプライマー層形成用塗工液をスライド塗布機により同時重層塗布した。この際、多孔質層形成用塗工液とプライマー層形成用塗工液との間にはじきが発生し、各層の膜厚は均一とならなかった。
Figure 2008162155
[評価]
実施例で得られた熱転写受像シートに印画を行い、その印画物に対する染料染着性および白抜け試験について評価した。
(1)印画物の作製
実施例で得られた熱転写受像シートを用意し、プリンタおよび熱転写シート(オリンパス社製、P−330用)を用いて、イエロー、マゼンタ、シアンの順番に階調パターンを印画後、保護層を転写し、印画物を得た。次に、もう一枚の熱転写受像シートを用意し、イエロー、マゼンダ、シアンの各色をこの順で転写してブラック画像を形成し、保護層を転写し、印画物を得た。印画条件を下記に示す。
(印画条件)
発熱体平均抵抗値;5285(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電圧;22(V)
1ライン周期;2(msec./line)
印字開始温度;27(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を18ステップに分割した。これにより、18段階に異なるエネルギーを与えることができる。
(2)染料染着性の評価
上記印画物について、ODが2.0付近での各色濃度を測定した。測定には分光測定器(グレタグマクベス社製、spectrolino)を用いた。その結果を表2に示す。
(3)白抜けの評価
上記印画物について、白抜けの度合いを目視にて評価した。白抜けとは、染料が染着されていない部分が白く見えることをいう。白抜けの程度が少ないほど印画特性は良好である。なお、参照用のサンプルとして、市販の熱転写受像シート(オリンパス社製、P−330)を用意し、上記と同様の方法で印画物を形成した。この印画物と比較して、白抜けの部分が多い場合は×、同等の場合は△、少ない場合は○とした。その結果を表2に示す。
Figure 2008162155
上記の結果から、実施例で得られた熱転写受像シートは、染料染着性および白抜けの評価において優れた特性を有することが判明した。
本発明の熱転写受像シートの製造方法の一例を示す工程図である。 スライドコート法を説明する説明図である。
符号の説明
1 … 基材シート
2 … 下引き層
3 … 多孔質層
4 … プライマー層
5 … 受容層

Claims (3)

  1. 基材シート上に、前記基材シートとの密着性を向上させる下引き層、断熱性を付与する多孔質層、および受容層を形成するために設けられるプライマー層をこの順に、スライドコート法により同時に形成する同時重層形成工程と、
    前記同時重層形成工程の後に、溶剤系の受容層形成用塗工液を用いて、前記プライマー層の表面に受容層を形成する受容層形成工程とを有する熱転写受像シートの製造方法であって、
    前記下引き層を形成する水系の下引き層形成用塗工液の粘度が、前記多孔質層を形成する水系の多孔質層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低く、
    前記水系の多孔質層形成用塗工液の粘度が、前記プライマー層を形成する水系のプライマー層形成用塗工液の粘度より5mPa・s〜10mPa・sの範囲内で低く、
    前記水系の下引き層形成用塗工液の表面張力が、前記水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高く、
    前記水系の多孔質層形成用塗工液の表面張力が、前記水系のプライマー層形成用塗工液の表面張力より5mN/m〜15mN/mの範囲内で高いことを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。
  2. 前記水系の多孔質層形成用塗工液が、中空粒子および多孔質層形成用バインダを含有し、前記中空粒子が、前記多孔質層形成用バインダに対して、重量換算で1.2倍以上含まれることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  3. 前記多孔質層が、前記基材シート側から、中空粒子aを含有する多孔質層A、および前記中空粒子aよりも中空率の小さな中空粒子bを含有する多孔質層Bであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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