JP2012131164A - 熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の熱転写受像シートは、基材と、該基材上に断熱層と受容層とをこの順に有してなり、断熱層が、中空粒子を含んでなり、受容層が、バインダー樹脂と、シリコーン離型剤とを含んでなり、かつゼラチンを実質的に含まず、シリコーン離型剤が、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなるものである。このような熱転写受像シートによれば、熱転写受像シートの各層の密着性、印画時の離型性、印画物の耐湿・耐熱性、および印画物の画像濃度等の各種性能を向上することができる。また、そのような熱転写受像シートの製造方法を提供できる。
【選択図】図1
Description
基材と、前記基材上に、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートであって、
前記断熱層が、中空粒子を含んでなり、
前記受容層が、バインダー樹脂と、シリコーン離型剤とを含んでなり、かつゼラチンを実質的に含まず、
前記シリコーン離型剤が、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなる、熱転写受像シートが提供される。
基材と、前記基材上に、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、
中空粒子を含む水系塗布液を用いて、前記基材上に断熱層を形成する工程と、
バインダー樹脂が分散されてなる水系分散液と、シリコーン離型剤が分散されてなり、かつゼラチンを実質的に含まない水系分散液とを混合して得られた水系分散塗布液を用いて、前記断熱層上に受容層を形成する工程と
を含んでなり、
前記シリコーン離型剤が、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなる、熱転写受像シートの製造方法が提供される。
本発明の熱転写受像シートは、基材と、該基材上に断熱層と受容層とをこの順に有してなるものである。好ましい態様では、熱転写受像シートは、断熱層と受容層の間に、プライマー層や中間層をさらに有してもよい。
本発明における基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。本発明においては、受容層は、バインダー樹脂とシリコーン離型剤とを含むものであり、ゼラチンを実質的に含まないものである。また、受容層は、架橋剤およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。受容層に、バインダー樹脂とポリエーテル変性シリコーンとを併用して加えることで、離型性および印画物の画像濃度の各性能を同時に改善することができる。また、水系塗布液を用いて受容層を形成する場合には、ポリエーテル変性シリコーンを加えることで、印画物の画像濃度を向上することができる。
受容層の形成に用いるバインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、好ましくは塩ビ系樹脂であり、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、および塩酢ビ系樹脂からなる群から選択される1種以上であり、特に好ましくは、塩酢ビ系樹脂である。本発明においては、市販のバインダー樹脂を用いることもでき、例えば、VB603(塩酢ビ系樹脂)、VB985(塩ビ系樹脂)、VB900(塩ビアクリル系樹脂、以上、日信化学工業(株)製)などの水分散体、ソルバインC(塩酢ビ系樹脂)、およびソルバインCN(塩酢ビ系樹脂、以上、日信化学工業(株)製)などの溶剤系樹脂を公知の方法で水分散した液等が挙げられる。特に、塩酢ビ系樹脂を用いることが、画像保存性(耐湿熱性)や離型性の観点において好ましく、さらに、下記のシリコーン離型剤との組み合わせが好ましい。
本発明における受容層に含まれるシリコーン離型剤は、粘度が100〜10000mm2/s、好ましくは300〜9000mm2/s、より好ましくは500〜6000mm2/s、さらに好ましくは、1000〜3000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000、好ましくは80〜1800、より好ましくは100〜1000であるエポキシ変性シリコーンを含むものである。なお、粘度は、JIS Z 8803:液体の粘度−測定方法の各種方法により測定することできる。また、エポキシ当量(g/eq)とは、官能基一個当たりのエポキシ架橋剤の分子量の値のことである。粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを用いることで、印画時の離型性や印画物の耐熱・耐湿性を向上することができる。本発明においては、市販のエポキシ変性シリコーンを用いることもでき、例えば、X22−3000TおよびKF101(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。このようなエポキシ変性シリコーンを用いることが、上記のバインダー樹脂との組み合わせの観点から好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、架橋剤としては、エポキシ当量が300以下、好ましくは200以下100以上であり、かつ官能基数が2以上、好ましくは4以上10以下であるエポキシ架橋剤を含むものが好ましく用いられる。なお、エポキシ当量(g/eq)とは、官能基一個当たりのエポキシ架橋剤の分子量の値のことである。また、官能基数とは、エポキシ架橋剤1分子中のエポキシ基の数のことである。つまり、エポキシ当量が小さく、官能基数が多いものほど架橋剤としての架橋効果が高いといえる。エポキシ当量が小さく、官能基数が上記範囲内程度のエポキシ架橋剤を含む架橋剤を用いることで、画像濃度等の各種性能を向上することができる。本発明においては、架橋剤のエポキシ基が塗布層中の成分のカルボキシル基と反応して、樹脂の一部または全部を架橋することで、画像濃度等の各種性能を向上できる。
本発明における断熱層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。本発明における断熱層は、中空粒子を含むものであり、上記の架橋剤、上記の親水性バインダー、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。断熱層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備えることができる。また、好ましい態様によれば、断熱層は2層以上からなるものであってもよい。このように断熱層を2層以上設けることで、印画品質に影響する断熱性およびクッション性と、基材への密着性とを改善することができる。ここで、断熱層のクッション性の程度は、熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、断熱層のクッション性の程度についても、例えば、断熱層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。断熱層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、断熱層の密度は、例えば0.1g/cm3〜0.8g/cm3の範囲内、なかでも0.2g/cm3〜0.7g/cm3の範囲内であることが好ましい。
本発明で用いる中空粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の体積平均粒径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、HP−1055、HP−91、およびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、ならびにMH−5055(日本ゼオン)等が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、断熱層および下記のプライマー層や中間層等に含まれる親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、断熱層および中間層等の各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、塗布適性の向上ができる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
本発明におけるプライマー層は、断熱層と受容層との間に設けられるものであり、断熱層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の断熱層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。好ましい態様では、プライマー層は、上記の中空粒子、上記の親水性バインダー、およびバインダー樹脂を含むものであり、バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂を含むものが好ましい。プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明における中間層は、プライマー層と受容層との間に設けられるものであり、プライマー層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の下層側(断熱層側)への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。中間層は、受容層との接着を良好にするために、受容層と同様の上記のバインダー樹脂を用いて形成することができる。また、中間層は、親水性バインダーを含むものであってもよい。
本発明においては、上記の断熱層、プライマー層、中間層、および受容層以外に、他の層を設けてもよい。他の層を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、層間接着、白色付与、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。他の層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、他の層に、蛍光増白剤、無機微粒子、中空微粒子、および導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材と、該基材上に、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、
中空粒子を含む水系塗布液を用いて、該基材上に断熱層を形成する工程と、
バインダー樹脂が分散されてなる水系分散液と、シリコーン離型剤が分散されてなり、かつゼラチンを実質的に含まない水系分散液とを混合して得られた水系分散塗布液を用いて、該断熱層上に受容層を形成する工程と
を含んでなるものである。さらに、該シリコーン離型剤は、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなる。なお、エポキシ変性シリコーンについては、上記で説明したとおりである。本発明においては、上記の特定のエポキシ変性シリコーンを用いることで、ゼラチンを用いなくとも、水系溶液に十分に分散させることができる。上記のように、バインダー樹脂と、シリコーン離型剤とが別々に分散された水系溶液を混合して得られた水系分散塗布液を用いて、断熱層上に受容層を形成することで、シリコーン離型剤が、乾燥時に相分離して最表面にブリードアウトし、表面のシリコーン密度を高めることができる。また、同時重層塗布により受容層を形成した場合、シリコーン離型剤の下層への移行を抑制し、表面のシリコーン密度を高めることができる。さらに、本発明においては、ゼラチンを用いずに、エポキシ変性シリコーンが十分に分散した水系分散塗布液を用いて受容層を形成することができるため、印画物の画像濃度を向上することができる。
本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられており、基材シートの他方の面に耐熱滑性層が設けられている層構成を有するものがよい。以下、熱転写インクシートを構成する各層について説明する。
本発明に用いられる熱転写インクシートを構成する基材シートの材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に用いられる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられている。熱転写インクシートが昇華型熱転写インクシートの場合には、熱転写性色材層として昇華性染料を含有する層を形成し、熱溶融型熱転写インクシートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層を形成する。なお、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域と、を連続した1枚の基材シート上に面順次に設けてもよい。
本発明に用いられる熱転写インクシートは、熱転写性色材層と同一面側に面順次で保護層を設けてもよい。熱転写受像シートに色材を転写した後、この保護層を転写して画像を被覆することにより、画像を光、ガス、液体、擦過等から保護することができる。保護層として接着層、剥離層、離型層、または、下引き層等のその他の層を設けてなるものであってもよい。
耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
上記耐熱滑性層塗工液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
本発明の熱転写受像シートを用いる画像形成方法においては、熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することできる。
熱転写受像シート1の作製
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、下記組成の、断熱層用塗布液1−2(下層用)、断熱層用塗布液1−1(上層用)、プライマー層用塗布液1、中間層用塗布液1、および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ2μm、12μm、3.5μm、1.5μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、熱転写受像シート1(層構成:基材/断熱層(下層)/断熱層(上層)/プライマー層/中間層/受容層)を得た。この熱転写受像シートは、図1に示されるような層構成を有していた。
断熱層用塗布液1−2(下層用)の組成
・MH5055(中空粒子、日本ゼオン(株)製、体積平均粒径0.5μm)60重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 20重量部
・DM820(MBR、DIC(株)製) 20重量部
断熱層用塗布液1−1(上層用)の組成
・MH5055(中空粒子、日本ゼオン(株)製、体積平均粒径0.5μm)70重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 25重量部
・AP40(水性ポリウレタン樹脂、DIC(株)製) 5重量部
プライマー層用塗布液1の組成
・SX866(架橋中空粒子、JSR(株)、体積平均粒径0.1μm、空隙率30%)
70重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 15重量部
・NKJ300(メタクリル酸エステル・アクリル共重合体、新中村化学(株))
15重量部
中間層用塗布液1の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 10重量部
受容層用塗布液1の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製、市販時に既に水系分散液の状態)
100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製、エポキシ当量:168、官能基数:4) 5重量部
水系溶液1の組成
・トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸Na塩(分散剤、固形分10%)10重量部
・純水 56重量部
溶剤系溶液1の組成
・X−22−3000T(溶剤系シリコーン離型剤(エポキシ変性シリコーン)、信越化学工業(株)製、固形分100%) 17重量部
・酢酸エチル(シリコーン離型剤溶解用溶剤) 17重量部
熱転写受像シート2の作製
断熱層用塗布液(上層用)および受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート3を作製した。
断熱層用塗布液2−1(上層用)の組成
・MH5055(中空粒子、日本ゼオン(株)製、体積平均粒径0.5μm)70重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 25重量部
・AP40(水性ポリウレタン樹脂、DIC(株)製) 5重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
受容層用塗布液2の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
熱転写受像シート3の作製
中間層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート3を作製した。
熱転写受像シート4の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート4を作製した。
受容層用塗布液4の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・KF101(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、KF101水系分散液の調製方法は、実施例1のX22−3000T水系分散液の調製方法と同様である。
熱転写受像シート5の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート5を作製した。
受容層用塗布液5の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)とKF410(アラルキル変性シリコーン、信越化学工業(株)製)の混合物(混合比65:35)の水系分散液 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、X22−3000TとKF410の混合物の水系分散液の調製方法は、実施例1のX22−3000T水系分散液の調製方法と同様である。
熱転写受像シート6の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート6を作製した。
受容層用塗布液6の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)とKF410(アラルキル変性シリコーン、信越化学工業(株)製)の混合物(混合比75:25)の水系分散液 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、X22−3000TとKF410の混合物の水系分散液の調製方法は、実施例5と同様である。
熱転写受像シート7の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート7を作製した。
受容層用塗布液7の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)とKF410(アラルキル変性シリコーン、信越化学工業(株)製)の混合物(混合比85:15)の水系分散液 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、X22−3000TとKF410の混合物の水系分散液の調製方法は、実施例5と同様である。
熱転写受像シート8の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート8を作製した。
受容層用塗布液8の組成
・VB985(塩ビ系樹脂、日信化学工業(株)製、市販時に既に水系分散液の状態)
100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
熱転写受像シート9の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート9を作製した。
受容層用塗布液9の組成
・VB900(塩ビアクリル系樹脂、日信化学工業(株)製、市販時に既に水系分散液の状態) 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
熱転写受像シート10の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート10を作製した。
受容層用塗布液10の組成
・ソルバインC(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製)の水系分散液 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、ソルバインCの水系分散液は公知の方法により、水中に分散し、分散液の状態で用いた。
熱転写受像シート11の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート11を作製した。
受容層用塗布液11の組成
・ソルバインCN(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製)の水系分散液 100重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、ソルバインCNの水系分散液は公知の方法により、水中に分散し、分散液の状態で用いた。
熱転写受像シート12の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート12を作製した。
受容層用塗布液12の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・KF615A(ポリエーテル変性シリコーン、信越化学工業(株)製) 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
熱転写受像シート13の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート13を作製した。
受容層用塗布液13の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・X22−173DX(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部 なお、X22−173DX水系分散液の調製方法は、実施例1のX22−3000T水系分散液の調製方法と同様である。
熱転写受像シート14の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート14を作製した。
受容層用塗布液14の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・TSF4730*(エポキシ変性シリコーン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)水系分散液 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、X22−173DX水系分散液の調製方法は、実施例1のX22−3000T水系分散液の調製方法と同様である。
熱転写受像シート15の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート15を作製した。しかし、基材への塗布時に、塗布液がはじかれたため、熱転写受像シートを作製することができなかった。
受容層用塗布液15の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・KF100T(=KF1001、エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
なお、KF100T水系分散液の調製方法は、実施例1のX22−3000T水系分散液の調製方法と同様である。
熱転写受像シート16の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート16を作製した。
受容層用塗布液16の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・FZ4602(エポキシ変性シリコーン、東レダウコーニング(株)製、市販時に既に水系分散液の状態) 14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
熱転写受像シート17の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シート17を作製した。
受容層用塗布液17の組成
・VB603(塩酢ビ系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 10重量部
・X22−3000T(エポキシ変性シリコーン、信越化学工業(株)製)水系分散液
14重量部
・EX512(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス(株)製) 5重量部
上記で作製した熱転写受像シート1〜14、16、および17について、(1)離型性評価、(2)耐湿・耐熱性評価、(3)密着性評価、および(4)画像濃度評価を行った。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS(株)製、型式:MEGAPIXELIII)、および該プリンターの純正インクリボンを、高温高湿環境下(35度80%RH)に結露なきよう3時間放置後、その環境下において黒ベタ画像を印画して、その際に発生する剥離音を官能評価した。
・評価基準
5:剥離音が聞こえなかった。
4:3色目印画時にほんのわずかに剥離音が聞こえたが、実用上問題ない程度であった。
3:3色目印画時に大きな剥離音が聞こえ、実用上やや問題があった。
2:1色目、2色目印画時に剥離音が聞こえた。
1:印画できなかった。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)を用いて、0.5mm巾の直線画像(黒色)を印画し、印画物を60℃Freeおよび40℃90%環境に一週間保存したものの、画像にじみを目視にて官能評価した。
・評価基準
5:にじんでいなかった。
4:よく見ると少し線がにじんでいた。
3:はっきりと線がにじんでいた。
2:にじみで線がぼやけた。
1:線が完全ににじみ、元が線だと確認できなかった。
上記で作製した熱転写受像シートに、メンディングテープ(ニチバン(株)製)工業用メンディングテープ12mm幅を貼着して、90度剥離試験を行った。テープ密着性試験の評価基準は下記の通りである。
・評価基準
5:熱転写受像シートに破壊が全く観察されず、メンディングテープに付着も認められなかった。
4:熱転写受像シートに破壊は認められなかったが、メンディングテープの顕微鏡観察では極微量の着色物が付着していた。
3:熱転写受像シートが破壊し、貼着領域全体の20%未満の面積の層がメンディングテープに付着していた。
2:熱転写受像シートが破壊し、貼着領域全体の20%以上50%未満の面積の層がメンディングテープに付着していた。
1:熱転写受像シートが破壊し、貼着領域全体の50%以上の面積の層がメンディングテープに付着していた。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)と、インクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)とを使用して、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画し、光学濃度計(グレタグマクベス社製spectrolino)(Ansi−A、D65))による光学反射濃度が最大となる値を測定し、ブラックのOD値(光学的濃度)を以下の基準で評価した。
・評価基準
○:2.0以上
△:1.95以上2.0未満
×:1.95未満
11 基材
12 断熱層(下層)
13 断熱層(上層)
14 プライマー層
15 中間層
16 受容層
Claims (12)
- 基材と、前記基材上に、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートであって、
前記断熱層が、中空粒子を含んでなり、
前記受容層が、バインダー樹脂と、シリコーン離型剤とを含んでなり、かつゼラチンを実質的に含まず、
前記シリコーン離型剤が、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなる、熱転写受像シート。 - 前記受容層に含まれるバインダー樹脂が、塩ビ系樹脂である、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記受容層に含まれるバインダー樹脂が、塩酢ビ系樹脂である、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
- 前記断熱層および/または前記受容層が、エポキシ架橋剤を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記断熱層と受容層の間に、プライマー層をさらに有してなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記断熱層から前記受容層間を構成する全ての層が、水系塗布かつ同時重層塗布方式によって形成されてなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 基材と、前記基材上に、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、
中空粒子を含む水系塗布液を用いて、前記基材上に断熱層を形成する工程と、
バインダー樹脂が分散されてなる水系分散液と、シリコーン離型剤が分散されてなり、かつゼラチンを実質的に含まない水系分散液とを混合して得られた水系分散塗布液を用いて、前記断熱層上に受容層を形成する工程と
を含んでなり、
前記シリコーン離型剤が、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなる、熱転写受像シートの製造方法。 - 前記受容層を形成する水系分散塗布液に含まれるバインダー樹脂が、塩ビ系樹脂である、請求項7に記載の熱転写受像シートの製造方法。
- 前記受容層を形成する水系分散塗布液に含まれるバインダー樹脂が、塩酢ビ系樹脂である、請求項7または8に記載の熱転写受像シートの製造方法。
- 前記断熱層を形成する水系塗布液および/または前記受容層を形成する水系分散塗布液が、エポキシ架橋剤をさらに含んでなる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の熱転写受像シートの製造方法。
- 前記断熱層を形成する工程と、前記受容層を形成する工程との間に、プライマー層を
形成する工程をさらに含んでなる、請求項7〜10のいずれか一項に記載の熱転写受像シートの製造方法。 - 前記断熱層から前記受容層間を構成する全ての層を、水系塗布かつ同時重層塗布方式によって形成する、請求項7〜11のいずれか一項に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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