JP2007237613A - 感熱転写受像シートおよび画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体の少なくとも1種およびシリコーン化合物の少なくとも1種を含有する少なくとも1層の受容層を有し、かつ受容層と支持体の間に少なくとも1層の中空ポリマーを含有する断熱層を有し、該断熱層が中空ポリマー以外に有機溶剤に耐性のない樹脂を含まない感熱転写受像シート。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、支持体上に中空の粒子と耐有機溶剤性の高分子を主成分とした中間層(断熱層)を塗布・乾燥して形成した後に、有機溶剤系の樹脂塗工液にて受容層(受像層)を形成することが開示されている。ここで、中間層に用いられる耐有機溶剤性の高分子は、中間層に用いられる中空粒子が受容層の有機溶剤に溶解するのを防止する役割を果たす。しかし、この構成は、中間層と受容層の密着が悪いという問題がある。中間層に用いられている耐有機溶剤性の高分子を用いていることにより、有機溶剤塗布される受容層と相性が悪いのは自明であり、このため、画像転写時にインクシートと重ねて過熱される際に、受容層/断熱層界面で受容層が剥がれたり、逆にインクシートが、染料を保持するバインダーごと受容層に転写してしまういわゆる異常転写が起きたりしてしまう問題があり改良が必要であった。
特許文献2に記載の感熱転写受像シートは中空球状ピグメントを分散させた層と受容層を含むことが開示されているが、画像転写後の画像ににじみが生じるという問題があった。
特許文献3、4、5には塩化ビニル系の共重合体を受容層に使用する例が開示されているが、近年の市場の迅速処理化の要求からすれば一層の改良が望まれていた。
(1)支持体上に、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体の少なくとも1種およびシリコーン化合物の少なくとも1種を含有する少なくとも1層の受容層を有し、かつ受容層と支持体の間に少なくとも1層の中空ポリマーを含有する断熱層を有し、該断熱層が中空ポリマー以外に有機溶剤に耐性のない樹脂を含まないことを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)前記断熱層が、さらに塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体を含有することを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体がラッテックスであることを特徴とする(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)前記シリコーン化合物の少なくとも1種が、反応性シリコーンオイルであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記受容層が、疎水的溶媒を用いて塗設された受容層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートと、基材上に染料を含有する熱転写シートを用い、相対して重ね合わせ加熱することにより熱転写画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
まず本発明に使用されるシリコーン化合物について説明する。
本発明に使用されるシリコーン化合物は、離型剤として受容層に添加される。このシリコーン化合物を添加することにより、インクシートの染料層が層ごと転写されたり、受容層が基材から剥離する所謂異状転写の問題を抑制する。本発明の構成では、受容層とその下層の密着が弱いため、特に離型剤としてのシリコーン化合物の添加の有無の影響が大きい。
離型剤としては、当該技術分野では、例えば、カルナウバワックス、モンタン酸ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類;シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤などが知られているが、その中でも、シリコーンオイルが特異的に本発明の構成で好ましく用いられる。
なお、単色印画のハイライト部で染料バインダーが受容層に取られる異状転写を起こすことがある。また、従来、付加重合型シリコーンは、触媒の存在下で硬化反応を進行させるのが一般的であり、硬化触媒としては、鉄族、白金族の8族遷移金属錯体のほとんど全てが有効であることが知られているが、一般には白金化合物が最も効率がよく、通常はシリコーンオイルに可溶の白金錯体である白金触媒が好ましく使用される。反応に必要な添加量としては、1〜100ppm程度で充分である。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の染料受容層(受容層)を有する。更に、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。受容層、断熱層、及び支持体の裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明の受像シートにおいて受容層は、前述のシリコーン化合物と、染料を受容するポリマーとして、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体を含有する。該重合体は、ホモポリマーであっても共重合体(ポリ塩化ビニル共重合体)であってもよいが、好ましくは共重合体である。
ここで、受容層は1層でも2層以上でもよい。
本発明の受容層に用いるポリ塩化ビニル共重合体について、さらに詳しく説明する。
ポリ塩化ビニル共重合体は塩化ビニル成分含有率85〜97質量%で重合度200〜800のものが好ましい。塩化ビニルと共重合するモノマーには特に限定はなく、塩化ビニルと共重合できればよく、酢酸ビニルが特に好ましい。したがって、本発明の受容層には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が優れているが、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は必ずしも塩化ビニル成分と酢酸ビニル成分のみの共重合体である場合に限らず、本発明の目的を妨げない範囲のビニルアルコール成分、マレイン酸成分等を含むものであってもよい。このような塩化ビニルと酢酸ビニルを主単量体とする共重合体を構成する他の単量体成分としては、ビニルアルコール、プロピオン酸ビニルなどのビニルアルコール誘導体、アクリル酸およびメタクリル酸およびそれらのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシルエステルなどのアクリル酸およびメタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸誘導体、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレンなどが挙げられる。共重合体中にしめる塩化ビニルおよび酢酸ビニルの成分は任意の比率で良いが、塩化ビニル成分が共重合体中で50重量%以上であるのが好ましい。また、先に挙げた塩化ビニルや酢酸ビニル以外の成分は10重量%以下であるのが好ましい。
受容層の感度を良くするため、可塑剤を添加することもできる。このような可塑剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルなどのモノメリック型の可塑剤、アジピン酸、セバシン酸などとプロピレングリコールなどが重合したポリエステル型可塑剤など、一般的に塩化ビニル樹脂用の可塑剤として用いることのできるものが挙げられる。先に挙げた可塑剤は一般に低分子量であるが、他に塩化ビニルの高分子可塑剤として使用されるオレフィン系特殊共重合樹脂も使用することができる。このような用途に用いられる樹脂として、商品名、エルバロイ741、エルバロイ742、エルバロイHP443、エルバロイHP553、エルバロイEP4015、エルバロイEP4043、エルバロイEP4051(三井・デュポンポリケミカル社製)などで市販されているものを使用することができる。このような可塑剤は、樹脂に対し100質量%程度添加することもできるが、印画物のにじみ等の点でその使用量は30質量%以下であるのが好ましい
本発明の受容層は、ポリ塩化ビニル共重合体さえ有していれば、その他の熱可塑性樹脂を合わせて有することができる。この場合、併用されるその他の熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル共重合体と相溶するものが好ましい。
併用されるその他の熱可塑性樹脂の例としては、ポリ酢酸ビニル・エチレン酢酸ビニル共重合体・ポリアクリルエステル・ポリスチレン・ポリスチレンアクリル等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール・ポリビニルブチラール・ポリビニルアセタール等のアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、特開平04−296595号公報や特開2002−264543号公報に記載セルロース系樹脂やセルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、CAB321−0.1、以上、イーストマンケミカル製)等のセルロース系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィンン系樹脂、尿素樹脂・メラミン樹脂・ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、等が挙げられる。これらの樹脂は、相溶する範囲内で任意にブレンドし、用いることもできる。特開昭57-169370号、同57-207250号、同60-25793号公報等にも受容層を形成した樹脂が開示されている。
本発明の受容層は、離型剤としてシリコーン化合物を含有するが、相補的に他の離型剤を利用することができる。このような離型剤としては、当該技術分野で公知の離型剤が使用でき、カルナウバワックス、モンタン酸ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤などが知られている。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤が添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤をグラフトしたポリマーをラテックス化する場合、前記の染着性受容ポリマーのラテックスと混合してから塗布することで紫外線吸収剤が均一に分散した受容層を形成することができる。
断熱層は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における、インクシート/受容層からの熱の支持体への伝播を防ぎ、染料の転写量を増大させる。更に熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
中空ポリマーの粒子サイズは0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。また、中空ポリマーのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
<水溶性ポリマー>
本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
断熱層には、なかでもゼラチンを含むことが好ましい。断熱層のゼラチンの塗工液に占める量は0.5〜14質量%が好ましく、1〜6質量%が特に好ましい。また、断熱層における前記中空ポリマーの塗布量は1〜100g/m2が好ましく、5〜20g/m2がより好ましい。
断熱層に含まれる前記水溶性ポリマーは、その一部又は全部が架橋剤により架橋されていることが好ましい。
架橋剤としては、アミノ基やカルボキシル基あるいはヒドロキシル基などと反応する基を分子内に複数含有すればよく、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられ、架橋剤の種類については特に限定されない。T.H.James著,“THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊),77〜87頁に記載の各方法や、米国特許第4,678,739号明細書第41欄、特開昭59−116655号公報、同62−245261号公報、同61−18942号公報等に記載の架橋剤が使用に適している。無機化合物の架橋剤(例えば、クロムみょうばん、ホウ酸及びその塩)および有機化合物の架橋剤のいずれも好ましい。また、特開2003−231775号公報記載のpHが1〜7であるキレート化剤とジルコニウム化合物とを含む混合水溶液からなる架橋剤を使用していてもよい。
本発明に用いられる架橋剤の使用量としては、水溶性バインダーや架橋剤の種類により変化するが、概ね含まれる構成層の水溶性ポリマー100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、さらには1〜10質量部であることがより好ましい。
構成(1)では、有機溶剤に耐性の無い樹脂(色素染着性樹脂)を断熱層に含むと、画像転写後の画像にじみが増大するため好ましくない。これは、断熱層に色素染着性樹脂および中空ポリマーが存在することで、転写後、受容層に染着した色素が、経時で、隣接した断熱層を介して色素の移動が起こるためであると考えられる。
ここで、「有機溶剤に耐性の無い」とは、有機溶剤への溶解度が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であることをいう。例えば中空ポリマーのポリマーラテックスは、「有機溶剤に耐性の無い樹脂」に含まれる。
構成(2)では、上記の説明での、色素の移動の観点では不利であるが、受容層/断熱層の界面結合を強化する点で有利である。この構成でも、中空ポリマーと共存するポリ塩化ビニル重合体(塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体で、好ましくは共重合体)、好ましくはこのラテックス、の添加量を低く抑えることで、実質的に色素の移動を抑制することができる。
構成(2)で断熱層に添加される、塩化ビニル共重合体ラテックスについて説明する。
本発明で用いられる塩化ビニル共重合体ラテックスとは、水不溶な塩化ビニルをモノマー単位として含む疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64-538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
本発明においては、断熱層中に乳化分散物(乳化物)を含有することが好ましい。特にポリマーラテックスを使用する場合に好ましい。
ここで、「乳化」とは、一般的に用いられる定義に従うものである。例えば、化学大辞典(共立出版株式会社)によれば「乳化」とは「ある液体の中にこれと溶け合わない別の液体が細粒として分散し、エマルジョンを生成する現象」としている。また、「乳化分散物」とは「液体の小滴であって、それを溶かさない他の液体中に分散したもの」をいう。本発明において、好ましい「乳化分散物」は「水中に分散した油滴分散物」である。本発明の受像シートにおいて乳化分散物の含有量は、受像シート中に0.03g/m2〜25.0g/m2含まれることが好ましく、1.0g/m2〜20.0g/m2含まれることがより好ましい。
さらに該乳化分散物中に画像堅牢化剤、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。これらの化合物としては、特開2004−361936号公報に記載の一般式(B)、(Ph)、(E−1)〜(E−3)、(TS−I)〜(TS−VII)、(TS−VIIIA)、(UA)〜(UE)のいずれかで表される化合物が好ましい。また水不溶かつ有機溶媒可溶性の単独もしくは共重合体(特開2004−361936号公報の段落番号0208〜0234に記載化合物が好ましい)を含有してもよい。
受容層と断熱層との間には下地層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号明細書、特許第2925244号明細書などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明の感熱転写受像シートは、各層をロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で塗布し、これを乾燥させることで作製することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、受容層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することでも形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に画像欠陥を大幅に減少させることができる。
本発明では米国特許2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げることが好ましい場合もある。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
(インクシートの作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物、保護層組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
保護層組成物
ポリビニルアセタール樹脂 5.5質量部
(KS−10、商品名、積水化学工業(株)製)
コロイダルシリカ(IPA−ST、商品名、日産化学(株)製) 4質量部
ジエチルケトン/イソプロピルアルコール(質量比8/2) 90質量部
1.受像シートの作成
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)50質量部及びアスペンからなるLBKP50質量部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
次いで、上記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC(株)製CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC(株)製 DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学(株)製サイズパインK)O.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
乳化分散物Aを以下の手順で調製した。後掲の化合物A−6を高沸点溶媒(Solv−1)42g及び酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aの調整を行った。
化合物A−6の添加量は乳化物A中に30mmolとなるように調整した。
上記のように作成した支持体上に下層から順に下塗層1、下塗層2、断熱層までの構成の多層構成塗布物101を作成し、この上に受容層塗工液を塗布し試料101を得た。各層の塗工液の組成と塗布量を以下に示す。
(組成)
ゼラチン3%水溶液にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1%加えた水溶液。
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(日本エイアンドエル(株)社製 SR103)
PVA 6%水溶液 40質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
中空ポリマーラテックス 60質量部
(日本ゼオン(株)製 MH5055)
10%ゼラチン水溶液 20質量部
先に調製した乳化物A 20質量部
化合物X(架橋剤) 2質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 45ml/m2
(組成)
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 80質量部
(ソルバインA、日信化学工業(株)製)
ポリエステル樹脂 20質量部
(バイロン600、東洋紡(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(KS−343、信越化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(KF−393、信越化学工業(株)製)
白金系硬化触媒 3質量部
(PL−50T、信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400質量部
(塗布量) 25ml/m2
次に、試料101において、断熱層を除いた以外、試料101と同じにして試料201を作成した。
更に、試料101、102において断熱層を断熱層塗工液2を用いた以外は試料101、102と同じにして試料301、302を作成した。
(組成)
中空ポリマーラテックス 60質量部
(日本ゼオン(株)製 MH5055)
塩化ビニルラテックス 10質量部
(日信化学工業(株)製 ビニブラン609)
10%ゼラチン水溶液 10質量部
先に調製した乳化物A 20質量部
化合物X(架橋剤) 2質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 45ml/m2
参考例のインクシートと、前記の各受像シートとを、日本電産コパル(株)社製昇華型プリンターDPB1500(商品名)に装填可能なように加工し、高速プリントモードで最低濃度から最高濃度までの全域のグレーの階調を得られる設定で画像を出力した。この場合Lサイズプリント1枚を出力するのに13秒を要した。
染料の転写性の評価は、得られた画像の転写濃度を評価した。全体の濃度が乗っており問題のないものを○、明らかに濃度が乗っていないものを×、処理できず評価不能のものを−とした。
画像故障の有無は、反射濃度0.7の全面グレーベタの画像を出力して評価した。画像上まったく問題のないものを◎、端部などに一部異常転写がみられるがほぼ問題ないものを○、受容層が一部はがれているものを△、受像層全体がはがれているものを×、処理中にJAMをおこして処理できないものを××とした。
得られた結果を、表1に示す。この結果から、中空ポリマーを断熱層に含み、シリコーン化合物と、塩化ビニル共重合体樹脂を有する受容層を持つ組み合わせが、色素転写性と良好な処理適性を有することがわかる。更に、断熱層に塩化ビニルラテックスを併せ持つことで、処理適性の改良効果が見られている。
ソルバインCl (塩化/酢酸ビニル共重合体 日信化学工業(株)製)
バイロン600 (ポリエステル樹脂 東洋紡(株)製)
バイロン200 (ポリエステル樹脂 東洋紡(株)製)
LX410 (SBRラテックス 日本ゼオン(株)製)
KF−393 (アミノ変性シリコーン化合物 信越化学工業(株)製)
KS−343 (エポキシ変性シリコーン化合物 信越化学工業(株)製)
X−22−3000T(エポキシ変性シリコーン化合物 信越化学工業(株)製)
KS−705F (活性エネルギー型シリコーン化合物 信越化学工業(株)製)
PL−50T (白金系硬化触媒 信越化学工業(株)製)
CAT−PS−1 (触媒 信越化学工業(株)製)
シリコーン1は、付加重合性シリコーン化合物であってビニル基を有するシクロへキサン単位が13mol%であり、ジフェニルシロキサン単位が30mol%であり、ジメチルシロキサン単位が57mol%であり、分子量7000の化合物(特開2002−356067号公報に記載の化合物A)。
シリコーン2は、ハイドロジェン変性シリコーン化合物であって、水素原子を有するシロキサン単位が13mol%であり、ジフェニルシロキサン単位が30mol%であり、ジメチルシロキサン単位が57mol%であり、分子量7000の化合物(特開2002−356067号公報に記載の化合物a)。
Claims (6)
- 支持体上に、塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体の少なくとも1種およびシリコーン化合物の少なくとも1種を含有する少なくとも1層の受容層を有し、かつ受容層と支持体の間に少なくとも1層の中空ポリマーを含有する断熱層を有し、該断熱層が中空ポリマー以外に有機溶剤に耐性のない樹脂を含まないことを特徴とする感熱転写受像シート。
- 前記断熱層が、さらに塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
- 前記塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む重合体がラッテックスであることを特徴とする請求項2に記載の感熱転写受像シート。
- 前記シリコーン化合物の少なくとも1種が、反応性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層が、疎水的溶媒を用いて塗設された受容層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートと、基材上に染料を含有する熱転写シートを用い、相対して重ね合わせ加熱することにより熱転写画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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