JP5534134B2 - 熱転写受像シートおよび熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、昇華型熱転写方式による印画に用いられる熱転写受像シートおよび熱転写受像シートの製造方法に関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の中紙に樹脂層が形成された所謂RCコート紙を基材シートし、その上に受容層等を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。この方法は、熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用され、銀塩写真に匹敵する高品質な画像が得られている。
上記熱転写受像シートは、基材シート上に複数の層が積層された構成を有するものであるが、このような熱転写受像シートを製造する方法として、例えば、グラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が知られている。しかしながら、この方法は各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるといった問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを得るため、例えば、各層を構成する塗工液を上下方向に重ねた状態で基材シート上に塗布するスライドコート法等を用いて、基材シート上に同時に複数の層を形成する方法(同時多層塗工法)が注目を浴びている(例えば、特許文献1)。このような方法は、複数の層を同時に形成することにより、製造効率を著しく向上させることができ、製造コストの削減に資する点等において非常に有利である。また、同時多層塗工法であれば、各層の形成用塗工液を基材シート上に塗工した後の乾燥工程は、一回実施すればよい。したがって、断熱層や受容層を単層ずつ塗工形成する方法に比べて、乾燥時の熱により基材への負担を著しく減少させることができる点でも望ましい。
ところで、熱転写シートを用いた昇華型熱転写方式にて印画物を熱転写受像シートに形成することに関し、「白抜け」現象が発生するという問題点がある。「白抜け」とは、熱転写受像シートを用いて印画物を作成する際に、熱転写受像シートにおいて印画されるべき領域内に部分的に印画されてない領域が発生することをいう。「白抜け」発生の主要な要因として熱転写受像シート表面に凹凸形状が形成されることが挙げられる。すなわち、昇華型熱転写方式にて熱転写受像シートに印画する際、サーマルヘッド等の加熱手段による加熱にて熱転写シートの染料が熱転写受像シートの所定領域へ転写される際に、熱転写受像シートの表面に凹凸形状が存在すると、その凹凸形状により、熱転写シートとサーマルヘッドとの密着性(追従性)が阻害されて、サーマルヘッドから十分に熱が伝えられない領域が熱転写シートや熱転写受像シートに部分的に発生する。その結果、サーマルヘッドによる熱が十分に伝わらなかった領域に「白抜け」が生じて、印画された画像全体を、「ざらつき」(粒状感)のある画像にしてしまう。
上記「白抜け」あるいは、これによる「ざらつき」も問題に対し、種々の改良技術が提案されている。たとえば、下記特許文献2には、多孔質層の中空粒子の含有率を制御して高濃度の印画特性を有し、かつ印画均一性を保つ熱転写受像シートの発明が開示されている。また、特許文献3には、多孔質層の中空粒子の粒子系を制御してざらつきを防止する熱転写受像シートの発明が開示されている。
特開2008−162155号公報 特開2006−88691号公報 特開2007−98693号公報
しかしながら、白抜け、あるいはざらつきの問題は、未だ充分に解決されておらず、より高品質な熱転写による画像の提供が望まれていた。とりわけ、熱転写受像シート製造後、速やかに該熱転写受像シートに印画した際には、形成される画像の白抜けの問題が生じない場合であっても、熱転写受像シート製造後、未印画状態で該熱転写受像シートを比較的長期間、保管した後に印画を行った場合には、顕著に白抜けが発生してしまうことがあり問題であった。例えば、未印画状態で熱転写受像シートを長期間保管後、該熱転写受像シートを用いて単色均一柄を印画した際、数本〜数十本/10mmの長ピッチでランダムに白抜けが発生し、より具合的には、黒ベタ柄を印画した際、5〜20本/10mm程度の周期でランダムに発生する、黒ベタ柄の中に見られるランダム形状の白い抜け柄模様(白抜け)が生じてしまい問題であった。また上記白抜けの問題は、スライドコート法により同時多層塗工法にて形成された熱転写受像シートにおいて特に生じ易い傾向にあった。
本発明者らは、上記問題について鋭意検討した結果、上記白抜け、あるいはざらつきの問題は、基材シートの繊維の目の粗さや表面の平滑性の欠如が、受容層表面に現れることによって発生するという知見を得た。
特に、スライドコート法などによる同時多層塗工法では、基材シート上に形成される各層は、同時に形成される複数の塗工膜にて構成され、その厚みがいずれも薄いため、基材シートの表面形状の凹凸状態がそのまま最表面(受容層表面)に露出し、シートの表面形状の凹凸状態を決定する傾向があることがわかった。
そして、製造された熱転写受像シートを速やかに熱転写に用いた場合には印画される画像の白抜けの問題が生じない場合であっても、当該熱転写受像シートを、比較的高い温度、あるいは低い湿度環境下で一定期間以上保存した場合には、画像に白抜けが発生するということがわかった。この原因としては該条件下での保存によって基材シートが収縮し基材面の平滑性が損なわれ、該凹凸が熱転写時に熱転写受像シートの最表面(受容層表面)に露出してしまうこと、もしくは、基材シートが硬くなることで印画時に印圧ムラを拾いやすくなることが考えられた。
本発明は、上記問題を鑑みなされたものであり、白抜け、あるいはこれによるざらつきの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートの提供、特には、比較的高い温度あるいは低い湿度環境の下で一定期間保存された後であっても白抜け、あるいはこれによるざらつきの少ない印画物を形成することが可能な熱転写受像シートを提供することを主な目的とするものである。
本発明は、基材シートとして、中紙の、少なくとも断熱層積層面側に、樹脂硬度の小さい、即ち、柔軟性を有する樹脂を用いて樹脂コート層を形成することによれば、特定条件下で保存した後の熱転写受像シートであっても、白抜けのない、良好な印画画像を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)中紙と樹脂コート層とを少なくとも備える基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、
上記樹脂コート層は、厚みを20μm以下とする層であり、且つ、中紙の少なくとも断熱層積層面側に設けられるデュロD硬度50未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)又は熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも一種の樹脂から形成される層であり、
上記樹脂コート層を形成する樹脂は、融点が70℃以上であり、且つ、JIS K 7210に準拠したMFRが3.3g/10min以上18.3g/10min以下である、ことを特徴とする熱転写受像シート。
(2)上記(1)に記載される基材シート上に、スライドコート法により、水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を少なくとも同時に塗布して複数の塗膜を同時に形成する塗膜形成工程と、上記塗膜形成工程において積層された塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を備える、熱転写受像シートの製造方法、
を要旨とするものである。
本発明は、熱転写受像シートを構成する基材シートとして、中紙の少なくとも一方面側に(断熱層形成面側)、デュロD硬度50未満である樹脂からなるコート層が形成されたものを用いるものである。上述のような基材シートを備える熱転写受像シートであれば、熱転写して形成される画像の「白抜け」、あるいはこれにより発生する「ざらつき」を抑制することが可能である。
すなわち本発明の熱転写受像シートでは、基材シートにおいて中紙の表面に軟質な樹脂コート層を設けることによって、印画時における印画圧力が熱転写受像シートにかかった際に、上記樹脂コート層においてクッション性が発揮される。これによって、中紙表面に繊維目が存在し、あるいは平滑性が欠如していたとしても、それらの凹凸を熱転写受像シートの最表面に浮き上がらせることを良好に防止する。したがって熱転写受像シートの最表面は、平滑性が保たれ、該最表面において略均一な印画圧力を受けることができるので、形成される印画画像において課題であった白抜けが生じることがない。これは、特定条件下(温度60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存、以下、単に「特定条件下での保存」ということがある。)において熱転写受像シートを保存した後に熱転写を実施した場合であっても同様であり、上記特定条件下で保存した後の本発明の熱転写受像シートを用いて、やはり白抜けのない画像を形成することができる。
上述する本発明であれば、特定条件下における保存前後にかかわらず、樹脂コート層を薄い厚みで形成した場合であっても、充分に印画される画像の白抜けの問題を解決することができる。このように樹脂コート層を薄く形成可能であることの第一のメリットとして、コストの低下を挙げることができる。また第二のメリットとして、熱転写受像シートのカール防止効果を挙げることができる。上記カールとは、熱転写受像シートがいずれかの面側を内側にして巻いた状態になることを意味し、特に作製され後の熱転写受像シートには、発生していない場合でも、この熱転写受像シートを比較的高温あるいは低湿度の環境下で保存した際に多く見られる現象である。カールの発生の主たる原因としては、基材シートにおける樹脂コート層が中紙の一方側の面しか形成されていない場合、あるいは中紙の一方側の面に特に厚く形成されている場合に、保存時に該樹脂コート層が若干収縮することによって、樹脂コート層の厚い側を内側として巻いた状態(カール状態)になるという知見を本発明者らは得ている。これに対し、樹脂コート層を充分薄く形成することによれば、たとえ樹脂コート層が若干収縮したとしてもその影響を小さく抑えることができるため、カールの発生を良好に防止することができる。
また製造工程上の有利性の観点では、特に、上記樹脂コート層を形成する樹脂として融点が70℃以上の樹脂を選択することによって、樹脂コート層を中紙表面に押出積層法により積層させる場合に、冷却ロール表面に該樹脂コート層が接着することがなく好ましい。
また本発明の熱転写受像シートでは、少なくとも中空粒子とバインダーとを含む断熱層が基材シートと受容層との間に設けられているため、下記の効果を発揮する。即ち、上記断熱層では、中空粒子の存在により良好にクッション性が発揮されるので、基材シートの表面にピッチ間隔が数μm程度の短ピッチの凹凸形状が多少存在していても、重なり合う熱転写シートと熱転写受像シートに対してサーマルヘッドが押し当てられた際に、サーマルヘッドの押し圧力で熱転写受像シートの凹凸形状はある程度吸収される。したがって、本発明の熱転写受像シートは、比較的低い湿度下、又は比較的高い温度環境の下で長時間保存された後であっても、熱転写により、「白抜け」あるいは「ざらつき」の発生が低減された画像を提供することが可能である。
[熱転写受像シートについて]
本発明の熱転写受像シートは、中紙と樹脂コート層とを少なくとも備える基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、上記樹脂コート層が、中紙の少なくとも断熱層積層面側に設けられる、デュロD硬度50未満の樹脂より構成されることに特徴を有するものである。本発明は、上述のとおり基材シート上に、少なくとも断熱層と受容層とをこの順で積層することにより構成されるが、基材シートと断熱層との間、あるいは断熱層と受容層との間には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、任意の層をさらに設けることができる。以下に、本発明の熱転写受像シートについて、基材シート、および各層について順に説明する。
(基材シート)
本発明に用いられる基材シートは、断熱層および受容層、あるいはさらに追加される任意の層を支持する機能を有するものであり、少なくとも断熱層積層面側にデュロD硬度50未満の樹脂がコートされてなる樹脂コート層を備える支持体である。上記基材シートの厚みは特に限定されるものではないが、一般的には、100μm以上250μm以下、好ましくは150μm以上200μm以下の中紙を用い、上記中紙の断熱層積層面側に10μm以上40μm以下の樹脂コート層、あるいはさらに任意で上記断熱層積層面側とは反対側(以下において単に「裏面側」ともいう)に10〜40μmの厚みの樹脂コート層を備えて、全体の厚みが決定される。尚、中紙の裏面側に形成される樹脂コート層は、断熱層積層面側に形成される樹脂コート層と同様の樹脂により形成してもよく、あるいはデュロD硬度50未満に限定されず、従来公知の所謂レジンコート紙における樹脂コート層と同様の内容で形成されていてもよい。
本発明に用いられる上記中紙は、従来公知の、所謂レジンコート紙の中紙として用いられるものを適宜選択して使用することができる。一般に中紙は、中紙中に4〜10重量%程度の水分を含有している。このような中紙を例えば相対湿度が0〜10%程度の低湿度雰囲気中に放置すると、中紙の種類によっては中紙中の水分濃度が低下して、中紙表面に中紙の繊維目が浮かび上がるなどの原因により凹凸が生じる場合がある。また、低湿環境における水分濃度の低下は、硬度の増大として観察される場合もある。このように、中紙表面に凹凸が存在すると、熱転写の際の印画圧力により、当該凹凸が受像シート表面まで浮き彫りになり、特に凹部において印画圧力が全くかからず、あるいは設定より小さい圧力しかかからず、その部分においてインキの転写状態が不良となり白抜けが発生するのである。したがって、作製された熱転写受像シートを速やかに熱転写に供与した場合には、印画される画像に白抜けが観察されなくても、同様に作成された熱転写受像シートを特定条件下で保存し、その後に熱転写に供与した場合に、印画される画像に白抜けが発生してしまうという問題が発生するのである。
一方、本発明においても、中紙は、従来公知のものを使用するために、特定条件下における保存後には、上述のとおりその表面に微細な凹凸が発生し、あるいは水分量の低下による硬度の増大が生じうる。しかしながら、本発明における基材シートには、上記中紙の少なくとも断熱層積層面側にデュロD硬度50未満の樹脂コート層が設けられており、この柔軟性を有する樹脂コート層が充分なクッション性を発揮するので、たとえ中紙の表面に凹凸が存在していたとしても、印画時に樹脂コート層のクッション性により当該凹凸が緩和されて、上述するような白抜けが発生し難い。したがって、本発明は、特定条件下での保存の有無に関わらず、画像鮮度に優れた印画画像を形成することができる熱転写受像シートを提供することができる。尚、本発明において形成される断熱層には、中空粒子が含有されていることから、上記断熱層においてもクッション性が発揮され、上述する白抜けの防止に良好に作用する。
上記中紙の具体的な例としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、中でも樹皮を取り除いた木材の幹を小片(チップ)化したものを機械的、半化学的、化学的に処理して製造される化学パルプ(硫酸塩パルプ、又は亜硫酸塩パルプ)を主成分とする紙を用いることができる。中紙には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤;スターチ等の紙力増強剤;炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料;蛍光増白剤、柔軟化剤、水分保持剤、分散剤等を適宜添加することができる。又、漂白処理を行なうことにより、白色度を向上させることもできる。更に中紙としては、上質紙、中質紙に限らず、写真印画紙用支持体(RCペーパーの中紙)を使用することができる。また、表面に機能層を塗布し印刷適正、見栄えを改善したコート紙、アート紙、キャストコート紙、のほか、アイボリー、コートアイボリーといわれる白板紙、高級白板紙を使用することもできる。
上記中紙は、公知の方法によって作製することができるが、中紙はカレンダー処理されたものが好ましい。中紙にカレンダー処理をした樹脂コート紙は表面平滑度が向上するので、このような処理をした樹脂コート紙から得られる熱転写受像シートは光沢感が向上する。中紙の紙密度は、通常0.7〜1.2g/cm(JIS P 8118)程度であり、剛度は200〜3000mg(JIS P 8143)程度である。又、中紙の秤量は、70〜300g/mが好ましく、120〜240g/mがより好ましい。
次に、上記中紙の断熱層積層面側に少なくとも形成される樹脂コート層について説明する。上記樹脂コート層は、デュロD硬度50未満の樹脂より構成される。上記樹脂コート層は、従来公知の溶融押出法により中紙表面に積層形成することにより形成すことができる。
本発明において特定される「デュロD硬度」とは、樹脂硬度を示す1つの指標として知られるデュロ硬度のうち、JIS K7215に準拠して測定されるタイプDのデュロ硬度を意味する。尚、デュロ硬度とは、上記タイプDとは別に、JIS K6253に準拠して測定されるタイプAが存在する。即ちデュロ硬度は、測定する樹脂の硬度によって測定方法が異なり、JIS K6253の「3.試験の種類」の「備考3.」では、「タイプAデュロメータ硬さの測定範囲は、10〜90とし、90を超えるときは、タイプDデュロメータで測定する。タイプDデュロメータ硬さが20未満の時は、タイプAデュロメータで測定する」と説明されている。したがって、本発明において「デュロD硬度が50未満」というときには、タイプDデュロメータで測定するに適さない、より軟質な樹脂であってタイプAデュロメータで測定され、デュロA硬度で樹脂硬度が示される樹脂をも含むものとする。
尚、本発明において「デュロD硬度」とは、樹脂コート層を構成する樹脂が一種類である場合には、当該樹脂自体のデュロD硬度を意味し、また2以上の樹脂を混合した混合樹脂により樹脂コート層を構成する場合には、それら各樹脂のデュロD硬度に各樹脂の配分比率(重量分率)を乗じた値の和を配分比率(重量分率)の総和で除した値を算出し、当該値を、樹脂コート層を構成する樹脂(混合樹脂)のデュロD硬度という。したがって、混合樹脂の一部にデュロD硬度50以上のものが含まれていても混合樹脂としてのデュロ硬度が50未満であれば、本発明における樹脂コート層の形成樹脂として使用し得る。このような混合樹脂は、主として、白抜け、あるいはざらつきを改善するために所望のデュロ硬度を満たすよう、異なる硬度の樹脂が適切な配合比率で混合されてなるものであるが、所望のデュロD硬度の条件を満たす範囲において、さらに、ラミネート加工適正を上げるためにMFR(JIS K6921−2)を調整したり、冷却ローラーとの貼り付きを制御したりするために融点(JIS K7121、もしくはISO11357−3)を調整するために、上記特性や基材シートとの接着性を調整しながら適宜混合比率を決めることができる。ただし、混合樹脂により樹脂コート層を形成する場合には、用いられる各樹脂自体のデュロD硬度が、それぞれ50未満であることがより望ましい。また使用する樹脂の硬度がデュロA硬度で示される場合であっても、硬度の考え方は上述と同様である。
本発明における樹脂コート層を形成可能な樹脂は、所望のデュロD硬度の条件を満たし、上述のとおり、熱転写時において良好にクッション性を発揮し得る樹脂コート層を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレン系樹脂、あるいはポリプリピレン系樹脂が、汎用性、取り扱い容易性などの観点から、特に望ましく使用される。また、別の観点では、熱可塑性エラストマーが本発明の所期の目的を解決するために好ましく使用可能である。
より具体的には、上記ポリエチレン系樹脂としては、デュロD硬度が50未満である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用する。また上記ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体だけではなく、エチレンと他のα―オレフィンとの共重合体であってもよい。尚、上記メタロセン直鎖状低密度ポリエチレンとは、従来用いられていたチーグラー系触媒に代わり、メタロセン触媒を用いて生成されるポリマーである。
また本発明において使用可能なポリエチレン系樹脂の市販品の例としては、例えば、日本ポリエチレン株式会社製のカーネルKC573、KC570Sを単独で使用することができる。あるいは、たとえば、デュロD硬度の異なる樹脂を混合して所望のデュロD硬度の樹脂として使用することもできる。たとえば、市販品の樹脂の混合の例として、日本ポリエチレン株式会社製のカーネルKC573とKS340T、あるいは同様にKC573とKC650Tとを適切な割合で混合して用いることもできる。また特に、メタロセン触媒を用いて生成されるポリエチレンであって、樹脂コート層構成樹脂として使用可能な市販品としては、宇部興産(株)製のユメリット、住友化学(株)製のスミカセンE、日本ポリエチレン(株)製のハーモレックス、(株)プライムポリマー製のエボリューなどが例示される。
あるいは、本発明に使用可能な市販品であって、オレフィン系熱可塑性エラストマーの例としては、住友化学(株)製のエスプレンSPO、あるいはエクセレンVL、日本ポリエチレン(株)製のタフマー、三菱化学(株)のサーモラン、住友化学(株)製のエスボレックスTPE等が挙げられる。
樹脂コート層を形成可能なポリプロピレン系樹脂としては、デュロD硬度が50未満であるポリプロピレン系樹脂であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリプロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンと他のα―オレフィンとの共重合体であってもよい。また、プロピレンと他のオレフィン系樹脂を重合成分として含有する熱可塑性エラストマーを用いることもできる。本発明において使用可能なポリプロピレン系樹脂の市販品の例としては、例えば、三菱化学株式会社製ゼラスMC707などを挙げることができる。
あるいは、本発明に使用可能な市販品であって、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの例としては、三井化学(株)製のノティオあるいはミラストマーあるいはタフマー、ダウケミカル社製のバーシファイ、三菱化学(株)のサーモラン、住友化学(株)製のエクセレンFX、あるいはエスボレックスTPE、日本ポリプロ(株)製のWINTEC、エクソンモービルケミカル社製のサントプレーンが挙げられる。
さらに、上述以外であって、上記樹脂コート層を構成するために使用可能な熱可塑性エラストマーとしては、例えば、デュロD硬度50未満の、スチレンーブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを挙げることができる。このような熱可塑性エラストマーとして、例えば、以下のような市販を例示することができる。
スチレンーブタジエン系熱可塑性エラストマーとしては、(株)クラレ製のセプトンあるいはハイプラー、アプコ(株)製のスミフレックスQE、三菱化学(株)製のアバロン、JSR(株)製のJER SIS、JSR TR、旭化成ケミカルズ(株)製のタフッテック、あるいはタフプレン、あるいはアサプレン)を挙げることができる。
また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、 帝人化成(株)製のヌーベラン、東レデュポン(株)製のハイトレル、三菱化学(株)製のプリマロイ、東洋紡(株)製のペルプレン、あるいはパイロペットを挙げることができる。
あるいはまた、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、(株)クラレ製のクラミロン、東洋紡ウレタン(株)製のポリウレタンエラストマー、日本ポリウレタン工業(株)製のミラクトン、ディーアイシーバイエルポリマー(株)製のバンデックス、あるいはデスモバン、あるいはテキシン、大日精化工業(株)製のレミザンを挙げることができる。
上記樹脂コート層は、上述のとおり溶融押出成形方法により中紙表面に積層形成される(以下、「押出積層法」ともいう)。上記押出積層法は、一般的に知られる方法を適宜選択で採用することができる。即ち、繰り出される中紙表面上に、Tダイ等より押出される溶融樹脂を冷却ロール上にて基材と密着させるとともに樹脂を冷却して樹脂コート層形成し、これを巻取りロールにて巻き取ることで本発明における基材シートを形成することができる。また、中紙の裏面側にも樹脂コート層を形成する際には、さらに中紙の裏面側に上述と同様の方法で樹脂コート層を形成することができる。尚、中紙の両面に樹脂コート層を形成する際には、どちらの面側から樹脂コート層を形成してもよい。上述のように押出積層法により中紙表面に樹脂コート層を形成する際、使用する樹脂の融点が低すぎると、中紙に当該樹脂が積層された後、樹脂コート層を冷却ロールから剥離する際に、該冷却ロールへ樹脂コート層の一部が接着してしまうことがあるため、この点に留意することが望ましい。
上記基材シートの製造工程上の観点からは、樹脂コート層の構成樹脂として用いられる樹脂は、融点が70℃以上である。融点が70℃以上である樹脂を選択することにより、基材シートの製造工程において、樹脂コート層の冷却ロールからの剥離不良を良好に防止することができる。尚、本発明において示される融点は、本発明における樹脂コート層を形成する樹脂の軟化温度の指標となる。測定は、ISO11357−3、もしくは、JIS K6921−2に準じて実施されるDSC測定から得られる。
尚、本発明において「融点」とは、樹脂コート層を構成する樹脂が一種類である場合には、当該樹脂自体の融点を意味し、また2以上の樹脂を混合した混合樹脂により樹脂コート層を構成する場合には、それら各樹脂の融点に各樹脂の配分比率(重量分率)を乗じた値の和を配分比率(重量分率)の総和で除した値を算出し、当該値を、樹脂コート層を構成する樹脂(混合樹脂)の融点という。したがって、混合樹脂の一部に融点70℃未満のものが含まれていても混合樹脂としての融点が70℃以上であれば、本発明における樹脂コート層の形成樹脂として使用し得る。ただし、混合樹脂により樹脂コート層を形成する場合には、用いられる各樹脂自体の融点が、それぞれ70℃以上であることがより望ましい。
上記樹脂コート層の樹脂密度は、特に限定されるものではないが、密度が0.91g/cm以下であることにより、所望のデュロ硬度が得られやすく、好ましい。また、原反ロールの搬送に関しても密度が小さいほうが、同じ膜厚にした際に軽量化できるため好ましい。樹脂コート層が2以上の樹脂からなる混合樹脂で構成される場合の、樹脂コート層構成樹脂の密度の考え方は、上記融点と同様である。
また中紙と樹脂コート層との密着性を上げるために、上記中紙と上記樹脂コート層との間に、さらに接着剤層を設けてもよい。あるいは同様の目的で、樹脂コート層を形成する前の中紙表面に、易接着処理剤を塗布し、あるいは、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の従来公知の易接着処理を施すことも、必要に応じておこなってよい。
上記接着剤層、あるいは易接着剤処理剤により形成される層の膜厚みは、特に限定されないが、乾燥状態において0.1〜30μm程度、好ましくは1.0〜5.0μmとすることで、充分に中紙と樹脂コート層との密着性をあげることができる。特に、樹脂コート層の構成樹脂の極性が低く、しかも融点が高いポリプロピレン、あるいは高密度ポリエチレンである場合には、接着剤層の存在により、中紙と樹脂コート層との接着性が良好に維持されるため、必要に応じて、基材シートにおいて接着剤層を設けるとよい。
尚、基材シート中に接着剤層を設ける場合には、まず、溶媒へ分散または溶解した接着剤を中紙へ塗布し乾燥させて接着剤層を形成した後、樹脂コート層を形成するための樹脂を該接着剤層面に押し出しコートする。そして、巻き上げ部にて巻取った後、必要に応じて30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤層を硬化させるとよい。中紙への悪影響がないようできるだけ低温で硬化できる接着剤が特に好ましく使用される。
上記接着剤層を構成する材料あるいは易接着処理剤としては、従来公知の熱硬化系接着剤、または紫外線・電子線などの電離放射線で硬化する接着剤、熱可塑性接着剤、およびそれらの複合型接着剤のいずれも使用することができる。
例えば、上記熱硬化系接着剤としては、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、(2液硬化型)ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、などを使用することができる。なかでも2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。
また、上記熱可塑性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、エチレン・酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリルエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリルエステル樹脂、並びにそれらの共重合樹脂、エチレン・アクリル樹脂、シアノアクリレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、天然ゴム、合成ゴム等の接着剤を使用することができる。これらの接着剤は単独で使用しても複数混合して使用しても良い。
(断熱層)
本発明における断熱層は、上述する基材シートと受容層との間に形成されるものであり、少なくともバインダー樹脂及び中空粒子を含んで構成され、好ましくは冷却ゲル化剤を含んで構成されるものである。上記断熱層は、本発明の熱転写受像シートを用いて画像を印画する際に、サーマルヘッドから受容層に加えられた熱が、基材シート等へ伝熱することにより基材シートが損傷することを防止するための断熱性を有する層である。また、サーマルヘッドからの熱が、印画時の染料の昇華に効率よく使用されるための高効率な熱利用の観点からも、断熱層を設けることが望ましい。更に、断熱層に中空粒子を含有させることによりクッション性を発揮させることが可能となるので、中空粒子が含有された断熱層が設けられた熱転写受像シートは、画像形成時における濃度ムラやハイライト部の白抜けが抑制されて、印画特性が向上する。
断熱層が備える断熱性は、断熱層の厚み、あるいは断熱層内に含有される中空粒子の量に主として起因する断熱層の空隙率などによって、任意に調整することができる。この断熱層の断熱性は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができる。
断熱層に充分な断熱性の付与と「白抜け」の発生を低減するという観点から、断熱層の厚みは、10〜40μmの範囲内であることが好ましい。またこのとき、上記断熱層の密度は、0.1〜0.8g/cmが好ましく、0.2〜0.7g/cmがより好ましい。
また、断熱層に充分な断熱性を与えるという観点から、断熱層の空隙率は、15〜80%の範囲内であることが好ましい。尚、該空隙率は、「(中空粒子の空隙率)×(断熱層における中空粒子の含有率)重量比」で示される値である。
本発明に用いられる断熱層は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。ここで、複数の層が積層された構成を有する断熱層としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。本発明に用いられる断熱層は、組成の異なる2層が積層された構成を有するものを使用することができる。このような構成とすることにより、さらに機能的な断熱層を得ることができるからである。
本発明に用いられる断熱層が2層構造である場合の一例としては、上記断熱層が、基材シート側から、中空粒子を含有する断熱層と、及び上記中空粒子よりも中空率の小さな中空粒子を含有する断熱層とが積層された構成を有するものを挙げることができる。断熱層としてこのような2層構造よりなるものを用いることにより、印画時における濃度ムラやハイライト部の白抜け防止といった印画特性の向上効果がさらに発揮される。
上記断熱層中に含まれる中空粒子は、上述のとおり断熱層に断熱性及びクッション性を付与する機能を有するものである。したがって、上記中空粒子としては、断熱層に所望の断熱性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、発泡粒子を用いてもよく、あるいは、非発泡粒子を用いることもできる。また、中空粒子として用いられる上記発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、本発明に用いられる中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。中空粒子自体の特性として、断熱性とともに、クッション性を有するものが好ましく、また、中空粒子単独としてはクッション性をそれほど有していなくても、この断熱層に使用するバインダーを含めた層としてクッション性を有しているものは、好ましく使用される。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて、断熱層に所望の断熱性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な断熱層を形成することが困難になるからである。
本発明において、断熱層に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性を有する断熱層を得ることができれば特に限定されるものではないが、断熱層に含まれる全固形分を100重量%としたときに、断熱層を構成する中空粒子とバインダー樹脂の割合[(中空粒子/バインダー樹脂)の重量比]が60/40〜90/10であることが好ましく、なかでも65/35〜80/20であることが好ましい。中空粒子の含有量が少なすぎると、断熱層における空隙が少なくなり、充分な断熱性が得られない場合があり、中空粒子の含有量が多すぎて後述する断熱層形成用バインダー樹脂の重量比が小さくなりすぎると、断熱層が脆くなり層の成形性が悪くなる虞があるからである。
次に、本発明における断熱層に含有されるバインダー樹脂について述べる。上記バインダー樹脂としては、通常、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な所謂、水系樹脂が用いられる。
このような水系溶媒に分散可能な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
また、通常、水系溶媒に溶解可能な樹脂としては、たとえば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び特開平7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。
また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。とりわけ、水系溶媒に分散可能な樹脂と、水系溶媒に溶解可能な樹脂を合わせて使用することで、例えば、分散性と造膜性を両立できる等のメリットがあり好ましい。また、クッション性、密着性をあげるために、これらの特性に優れたバインダー、すなわち、比較的低融点、低Tgの材料を混合することが好ましい。また、上記バインダー樹脂として、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン等の材料を用いる場合には、これらバインダー樹脂は、冷却ゲル化機能も発揮し得るため、別途、後述する冷却ゲル化剤を用いずとも、同時多層塗布方法において良好に製造可能である。
次に、断熱層に用いられる冷却ゲル化剤について説明する。本発明に用いられる冷却ゲル化剤は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものである。断熱層への添加は任意であるが、熱転写受像シートを同時多層塗布方法により成形する際には、後述する受容層に冷却ゲル化剤を含有させると共に、断熱層にも冷却ゲル化剤を含有させる必要がある。尚、断熱層に用いられる冷却ゲル化剤の種類については、後述する受容層に用いられる冷却ゲル化剤と同様であるため本段落では割愛する。
本発明において、断熱層中に含有される中空粒子と、冷却ゲル化剤との割合は、所望の断熱性を有する断熱層を形成することができれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、冷却ゲル化剤が、断熱層形成用塗工液中の固形分100重量部に対して、重量換算で5〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に10〜40重量部の範囲内であることが好ましく、さらに12〜40重量部の範囲内であることが好ましい。中空粒子と冷却ゲル化剤の含有比が上記範囲内であることにより、断熱性に優れた断熱層を形成することができるからである。
本発明に用いられる断熱層は、上述する中空粒子、およびバインダー樹脂、あるいはさらに冷却ゲル化剤を含み、これに加えて、必要に応じて任意の添加成分を含むものであってよい。上記任意の添加成分として断熱層に含有させることができるものとしては、ノニオン系シリコーン等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
(受容層)
本発明における受容層は、染料染着性を備える樹脂材料(受容層形成用樹脂)を含む層であり、熱転写にて転写受像シートが印画される際に、熱転写シートに担持される染料が熱転写受像シートの所定領域に転写され、その染料が熱転写受像シートに担持された状態となり(すなわち、熱転写受像シートが染着され)、熱転写受像シートに画像を形成する機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
上記受容層形成用樹脂としては、染料染着性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる上記受容層形成用樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であるものが好ましく、30℃以上であるものがより好ましく、40℃以上であるものがさらに好ましい。また、上記受容層形成用樹脂はガラス転移温度が120℃以下であるものが好ましい。このような範囲のガラス転移温度を有する受容層形成用樹脂を用いることにより、特に耐熱性や離型性に優れた熱転写受像シートを得ることができるからである。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)については剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)を用いて、DMA法による弾性率測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
受容層形成用樹脂は、水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂(水性樹脂)、有機溶媒に分散・溶解可能な樹脂(溶剤系樹脂)のいずれでも使用可能であるが、水性樹脂であることが好ましい。上記受容層形成用樹脂が上記水性樹脂であることにより、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、断熱層と上記受容層とを水系溶媒のみを用いて、基材シート上に同時に塗布することが可能になるからである。
ここで、本明細書において、「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等、水との共存下で容易に相分離しないものを例示することができる。また、「有機溶媒」は、水との共存下で相分離する有機化合物でなる液体を挙げることができる。
受容層形成用樹脂を構成する水性樹脂としては、所望の水系溶媒に所定量を分散・溶解可能な水性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができるが、中でも、染料染着性、耐熱性、耐光(候)性、離型性等の点から塩化ポリビニル系樹脂又はスチレン−アクリル系共重合体を用いることが好ましい。特に、スチレン−アクリル系樹脂では、塩ビ系樹脂に比べ熱特性を比較的容易に設計可能であるため、受容層を構成する樹脂の熱応答性を改良すること可能である。このように受容層構成樹脂の熱応答性を改良することによれば、熱転写によって形成される印画画像のざらつきの悪化を抑制することが可能であり、本発明の所期の問題を解決するために良好に作用するため好ましい。尚、受容層形成用樹脂としては、上記にて挙げたような各種樹脂を1種のみ用いてもよく、単量体組成、平均分子量等を異にする樹脂を2種以上用いてもよい。
上記塩化ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体等を、好ましいものとして挙げることができる。
なお、上記塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニルと酢酸ビニルとからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよび酢酸ビニルに加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体を少量重合したものであってもよい。
上記塩化ビニル/アクリル系化合物共重合体は、塩化ビニルとアクリル系化合物とからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよびアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体をも少量共重合したものであってもよい。なお、本明細書において、「アクリル系化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
また上記スチレン−アクリル系共重合体は、少なくともスチレン、及びアクリル系化合物を原料モノマーとして共重合反応により形成される共重合体であれば特に限定されず、スチレンとアクリル系化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能なモノマーをも少量共重合させたものであってもよい。尚、「アクリル系化合物」とは、上記した通りである。
スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位とアクリル系化合物単位のモル比([スチレン単位]/[アクリル系化合物])は60〜80/40〜20が好ましい。スチレン−アクリル系共重合体中のスチレン単位が60モル%以上で比較的高いガラス転移温度(Tg)となるので、このような共重合体を含有する受容層は耐熱性に優れると共に、耐光性が向上する。
上述する受容層には、受容層形成用樹脂以外にも任意の添加剤を含有させることができる。任意の添加剤の例としては、冷却ゲル化剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質などを挙げることができる。
上記冷却ゲル化剤としては、冷却されることによりゲル化する性質を有するもので、上記染料受容層形成用塗工膜に粘度特性を付与できるものであればよい。このような冷却ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等が挙げられるが、中でもゼラチンを使用することが好ましい。
上記ゼラチンは、上述したように三重へリックス構造を有するコラーゲンを変性させることによって得られるペプチド鎖からなるものであり、冷却されることにより部分的に上記三重へリックス構造を回復し、回復された三重へリックス構造を起点として三次元ネットワークを形成することにより、冷却ゲル化特性を示すものである。受容層に含まれる冷却ゲル化剤は、ゼラチンに上記に例示したものから1種類又は2種類以上を組み合わせて用いられてもよい。
受容層に冷却ゲル化剤が含まれる場合、受容層における冷却ゲル化剤の含有量は、熱転写受像シートを製造する際に、受容層を構成する樹脂を含む受容層形成用の塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば、特に限定されるものではない。具体的には、冷却ゲル化剤は、受容層形成用樹脂100重量部に対して、1〜70重量部の範囲内であることが好ましく、特に1〜40重量部の範囲内であることが好ましく、更に2〜15重量部の範囲内であることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有量が1重量部未満であると、例えば、熱転写受像シートを同時多層塗工方法にて製造する場合において、断熱層を形成するための断熱層形成用塗工膜と受容層を形成するための受容層形成用塗工膜とが基材シート上に重なり合うように塗布形成された際に、断熱層形成用塗工膜でなる層と受容層形成用塗工膜でなる層の両層が混合してしまうおそれがあるからである。また、冷却ゲル化剤の含有量が70重量部を超えると、受容層形成用塗工膜を基材シート上に塗布形成する際に、受容層形成用塗工膜を形成するための塗工液の粘性により、受容層形成用塗工膜表面に塗りスジや塗りムラなどが生じやすくなる場合がある。
また上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特に、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが好ましい。上記離型剤は、上述の受容層形成用樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部の範囲内となるように添加されることが好ましく、1.0〜20重量部となるよう添加されることがさらに好ましい。
以上に説明する受容層としては、特にスチレン−アクリル系共重合体、ゼラチン、及び離型剤、又は塩化ビニル系樹脂、ゼラチン、及び離型剤を少なくとも含有することが好ましい。またその受容層の厚みは、特に限定されないが、所望の画像濃度を発現させるためには、一般的に2〜15μm程度であることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
(任意の層構成)
本発明の熱転写受像シートは、基材シート、断熱層、及び受容層を、少なくともこの順で備えて構成されるが、必要に応じて他の任意の層をさらに有していてもよい。このような他の構成としては、従来、熱転写受像シートにおいて採用される任意の層であれば適宜選択して設けることができるが、例えば、断熱層と基材シートとの間に形成される下引き層、断熱層と受容層との間に形成されるプライマー層などを挙げることができる。
上記プライマー層は、断熱層と受容層との間に形成されるものであり、本発明の熱転写受像シートの高温高湿度環境下における、染料の断熱層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。上記プライマー層は、プライマー層を形成する熱可塑性樹脂(以下、「プライマー層形成樹脂」ということがある)を主体として形成され、任意で冷却ゲル化剤を含有させることもできる。特に、スライドコート法などの同時多層塗工法により熱転写受像シートを形成する場合には、ポリビニリアルコール(PVA)等の水系溶媒に分散あるいは溶解可能な樹脂をプライマー層形成樹脂として用い、且つ、冷却ゲル化剤を含有させることが一般的である。尚、プライマー層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤は、上述する受容層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤と同様であるためここでは記載を割愛する。
上記プライマー層形成樹脂の例としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、またはポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
また上記プライマー層には、上記プライマー層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等が含まれていてもよい。上記プライマー層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.1〜40μmであることが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、0.3〜10μmが更に好ましい。
また上記下引き層は、基材シートと断熱層との間に形成され、基材シートと断熱層との接着性を向上させる機能を有するものである。下引き層の構成材料は、基材シートと断熱層との密着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではないが、下引き層を形成する熱可塑性樹脂(以下、「下引き層形成樹脂」ということがある)を主体として形成され、任意で冷却ゲル化剤を含有させることもできる。特に、スライドコート法などの同時多層塗工法により熱転写受像シートを形成する場合には、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な樹脂を下引き層形成樹脂として用い、且つ、冷却ゲル化剤を含有させることが一般的である。上記下引き層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.5μm〜10μm程度であることが好ましい。
尚、下引き層形成用樹脂としては、上述する断熱層を構成するバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。また、下引き層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤は、上述する受容層に含有させることが可能な冷却ゲル化剤と同様であるためここでは記載を割愛する。
上記下引き層には、上述する、下引き層形成樹脂および冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を含有させることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。また、上記下引き層を形成する塗工液(以下、「下引き層形成用塗工液」ということがある)には、中空粒子を含有させることもできる。
以上に説明する本発明の熱転写受像シートは、基材シート、断熱層、及び受容層がこの順に少なくとも積層されて構成されるものである。熱転写受像シートの厚みは、特に限定されず、各層の厚みを勘案し適宜設計することができるが、一般的には150〜350μm程度であって、190〜270μmがより好ましい厚みといえる。
上記熱転写受像シートは、昇華型転写方式による画像形成において、熱転写シートから昇華される染料を受容することにより受容層に画像を形成するために用いられる。即ち、昇華型転写方法において、あわせて使用される上記熱転写シートには、その染料層にイエロー、マゼンタ及びシアンなど、更に必要に応じてブラックの昇華性染料がバインダー樹脂によって担持されており、必要に応じて背面に耐熱滑性層が設けられている。そして、本発明の熱転写受像シートと、上記熱転写シートとを用い、たとえばプリンタのサーマルヘッドで印字することによって、濃淡自在で任意の階調性フルカラーの染料画像が熱転写受像シートにおける受容層に形成される。尚、上記熱転写シート及び昇華型転写方式自体は、従来公知のものを適宜選択して使用することが出来る。
[白抜けの評価]
本発明において、熱転写受像シートを用いて印画される画像が白抜けし、その結果ざらつきが発生するか否かは、以下のとおり評価することができる。
即ち、保存前の熱転写受像シートについては、作成後、速やかに評価試験に供与された熱転写受像シートと、熱転写シートを用いて熱転写を行い、熱転写受像シートの受像層側に印画された画像を肉眼観察し、画像に白抜け(ざらつき)が発生しているか否かを確認することができる。
一方、保存後の熱転写受像シートについては、60℃、相対湿度(RH)5〜10%条件下で4日間保存するという保存条件下で熱転写受像シートを保存し、その後、上述の同様に熱転写を行い、形成された画像の白抜け(ざらつき)の状態を確認する。
尚、上記熱転写は、印画される所定画像として、ブラックの18ステップに分割された画像(以下、「18階調グラデーション画像」ともいう)を選択し、熱転写シートを用い、昇華型熱転写法により熱転写記録を行い、18階調グラデーション画像を熱転写受像シートの受容層側に印画する。そして、それぞれの階調の濃度を光学濃度計にて測定し、それぞれ1〜18階調の印画濃度のうち、低濃度側から3階調目及び4階調目の画質についてハイライト部分を目視にて観察し、白く抜けた部分がなく均一な灰色の画像が観察されていれば優良、わずかに繊維目に沿った白抜け部分がある程度で、顕著なざらつき感は認められない場合には良、明らかに繊維目に沿った白抜けがあり、これによってざらつき感が顕著に確認される場合には不良と評価する。
[熱転写受像シートの製造について]
上記熱転写受像シートは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、従来公知の熱転写受像シートの製造方法を適宜選択して製造することができる。
例えば基材シート上に断熱層、及び受容層、あるいはさらに任意の層を形成するために、これらの層を基材シート側から1層ずつ順に、グラビアロール法、コンマコート法、あるいはバーコート法等などの公知の方法により形成することができる。尚、有機溶媒を使用した塗工液により塗膜を形成する場合には、基材シート上に塗工液を塗布して塗膜を形成した後、該有機溶媒を除去することにより各層が形成されて熱転写受容シートが形成される。
また、断熱層、受容層等などの熱転写受像シートを構成する層の形成用塗工液を、それぞれ水系の断熱層形成用塗工液、受容層形成用塗工液などとして調製し、スライドコート法などにより、基材シート上に同時に多層を塗工して塗膜を形成し(塗膜形成工程)、次いで、多層に塗工形成された塗膜を、0〜30℃程度の温度で冷却し、次に30〜90℃程度の温度で乾燥して(冷却乾燥工程)熱転写受像シートを形成することもできる。
あるいはまた、熱転写受像シートを構成する層のうち、少なくとも連続する2層以上については上述のとおりスライドコート法などにより同時に多層塗工して塗膜を形成し、その他の層を、単層ずつ形成することもできる。
特に、上述する基材シートを用い、塗膜形成工程及び冷却乾燥工程を含む同時多層塗工法により熱転写受像シートを製造する本発明の製造方法によれば、同時に形成される複数の層の厚みがいずれも薄い場合であっても、製造される熱転写受像シートにおいて、基材シートの表面形状の凹凸が最表面(受容層表面)に露出し、その結果としてシートの表面に顕著な凹凸が発生する恐れがない。したがって本製造方法により提供される熱転写受像シートを用いて熱転写により画像を形成した場合には、白抜けのない高品質な画像が形成される。即ち、本発明の製造方法によれば、スライドコート法などの同時多層塗工法の、製造方法上に簡易性や基材シートに対する乾燥工程時の付加を極力少なくするなどの有利な点を享受することができ、且つ、形成画像の白抜けの問題が解消された優れた熱転写受像シートを提供することができる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法において、基材シート上に形成される各層は、上述する熱転写受像シートにおける各層と同様の内容で構成することができるが、特に厚みに関しては、断熱層は1μm以上100μm以下、好ましくは、5μm以上50μm以下、さらに好ましくは10μm以上30μm以下、受容層は0.5μm以上20μm以下、好ましくは、1μm以上10μm以下、さらに好ましくは2μm以上8μm以下の範囲内に形成することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、以下に記載する実施例、参考例、及び比較例に用いた中紙には、上質コート紙、もしくは上質紙であって厚み180μmのものを使用した。各実施例、参考例および比較例に用いた上記中紙の製造者と商品名を表1乃至表4に示す。また、実施例、参考例、及び比較例を得るために、予め、各塗工液を以下のように調製した。
(i)断熱層形成用塗工液
中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP−91)(固形分として70重量部)及びゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として30重量部)を用い、断熱層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として17重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として0.5重量部)を添加し、断熱層形成用塗工液とした。
(ii)受容層形成用塗工液1
塩化ビニル系樹脂(日信化学工業社製、ビニブラン690)(固形分として80重量部)、ゼラチン(RR、新田ゼラチン社製)(固形分として10重量部)、シリコーン系離型剤(KF615A、信越化学工業社製)(固形分として10重量部)を用い、受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として25重量%となるように40℃の温水にて調整した。さらに、この液100重量部に対し、界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)(固形分として2重量部)を添加し、受容層形成用塗工液とした。
(iii)受容層形成用塗工液2
上記受容層形成用塗工液1の塩化ビニル系樹脂(日信化学工業社製、ビニブラン690)(固形分として80重量部)に代えて、下に示したスチレン−アクリル共重合体エマルジョンを使用した以外は同様にして、受容層形成用塗工液2を作製した。
受容層形成用塗工液2に用いるスチレン−アクリル系共重合体のエマルジョンは、下記のとおり合成した。
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン126g、エチルアクリレート24g、ラウリルアクリレート44g、アクリル酸2g及びアクリルアミド2gと、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製、1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどのモノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#100メッシュ(日本織物)にてろ過し、受容層形成用塗工液2に使用するスチレン−アクリル系共重合体のエマルジョン(分子量:190000、Tg:60℃)を得た。また、スチレン、エチルアクリレート、ラウリルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は70%、14%、12%となる。反応時間については、薄層クロマトグラフィー(TLC)にてモノマーの存在が確認できなくなる、あるいは存在量が減少しなくなるまで行った。
尚、上記共重合体の分子量、およびガラス転移温度の測定(Tg)は、それぞれ以下の方法によって測定した。
分子量(Mn):GPC(HLC−8020;東ソー株式会社製 展開溶媒;THF 流量;1.0mL/分 カラム;G2000HXL+G3000HXL+G5000HXL)により測定したポリスチレン換算による数平均分子量を上記分子量とした。
ガラス転移温度(Tg):剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)により測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
[実施例1]
中紙として表1に示す上質コート紙を使用した。この中紙の裏面側(断熱層の形成が予定されていない側)に、高密度ポリエチレン樹脂(製品名:HJ560、日本ポリエチレン社製)を乾燥後厚み20μmとなるように押出し成形した。尚、上記高密度ポリエチレン(HJ560)は、デュロ硬度がデュロD66、密度が0.964(g/cm)、曲げ弾性率1050MPa、融点(DSC)が135℃、MFRが7.0g/10minの物性値を有するものを使用した。
その後、中紙の表面側(断熱層の形成が予定される側)に、m−LLDPE(製品名:KC573、日本ポリエチレン株式会社製)を乾燥後厚みが15μmとなるように押出し成形した。次いで、断熱層積層面側に形成した樹脂コート層の表面にゼラチン液を塗布して、基材シートを作製した。
次に、上記基材シートの表側面に上記断熱層形成用塗工液、受容層形成用塗工液1を40℃にてそれぞれ調整し、スライドコーティング装置を用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ20μm、5μmとなるように同時多層塗布し、5℃にて1分間冷却してゲル化を行った後、続いて50℃にて10分間乾燥し、裏面側樹脂コート層(厚み20μm)、中紙(厚み180μm)、断熱層積層面側樹脂コート層(厚み15μm)、断熱層(厚み20μm)、受容層(厚み5μm)の順で構成される熱転写受像シートを得て、これを実施例1とした。
[実施例2]
中紙及び断熱層積層面側の樹脂コート層の内容を表1に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、これを実施例2とした。
[実施例3乃至15、参考例1,2
中紙及び断熱層積層面側の樹脂コート層の内容を表1〜3に示す内容に変更し、且つ、受容層を受容層形成用塗工液2を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、これを実施例3乃至15、参考例1,2とした。ただし、実施例7及び実施例11については、上記断熱層形成用塗工液における中空粒子の配合量を60重量部に、ゼラチンの配合量を40重量部に変更した。また実施例12については、形成される断熱層積層面側の樹脂コート層の厚みを20μmに変更した。
[比較例1乃至4]
中紙及び断熱層積層面側の樹脂コート層の内容を表4に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、これを実施例1とした。
また、中紙及び断熱層積層面側の樹脂コート層の内容を表4に示す内容に変更し、且つ、受容層を受容層形成用塗工液2を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、これを比較例2乃至4とした。
[熱転写受像シートの白抜け評価]
上述する実施例1乃至15、参考例1,2及び比較例1乃至4の熱転写受像シートについて、保存前後の「白抜け」の評価を下記のとおり行った。これらの評価結果は、それぞれ表1乃至4に示す。
上述する実施例、参考例および比較例について、特定条件下(60℃、相対湿度(RH)5〜10%で4日間保存)において保存する前の熱転写受像シート及び保存後の熱転写受像シートを準備し、これらを用いて、熱転写を以下のとおり行った。上記熱転写は、熱転写受像シートの受容層面側に印画される所定画像として、ブラックの18ステップに分割された画像(以下、「18階調グラデーション画像」ともいう)を選択した。そして、ALTECH ADS社製プリンタ用の専用の熱転写シート(型式:MEGAPIXELIII)を用い、昇華型熱転写法により熱転写記録を行い、18階調グラデーション画像を実施例1及び保存後実施例1の受容層側に印画した。
そして、それぞれの階調の濃度を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )にて測定し、それぞれ1〜18階調の印画濃度のうち、低濃度側から3階調目及び4階調目(画像濃度において0.1〜0.3程度に相当する領域)における画質についてハイライト部分の白抜けを目視にて観察し、以下のとおり評価した。
◎:優良(白く抜けた部分がなく均一な灰色の画像が観察された)
○:良 (わずかに繊維目に沿った白抜け部分がある程度で、顕著なざらつき感は認められなかった)
×:不良(明らかに繊維目に沿った白抜けがあり、これによってざらつき感が顕著に確認された)
[製造特性評価]
以下に、参考までに上述する各実施例、各参考例及び各比較例に使用した基材シートの製造特性評価の結果を示す。上記製造特性評価は、基材シートを作製する過程において、中紙における接着剤層面に、溶融樹脂をTダイで押出し、溶融樹脂が冷却ロールに当接する向きにおいて、冷却ロール上で溶融樹脂と中紙を密着させるとともに、溶融樹脂を冷却して樹脂コート層形成し、これを巻取りロールにて巻き取際に、上記冷却ロール表面に、樹脂コート層形成用塗工液(樹脂コート層構成樹脂)が、接着したか否かを目視で確認し、以下のように評価した。
○:ロールに樹脂コート層が全く接着しなかった。
△:ロールに樹脂コート層の一部が接着したことが確認された。
×:ロールに樹脂コート層が接着し、樹脂コート層が正常に形成されなかった。
表1乃至表3に示すとおり、デュロD硬度50未満の樹脂で断熱層積層面側の樹脂コート層が形成された基材シートを使用する、いずれの実施例においても、特定条件下における保存前後を問わず、印画された画像の白抜けが少なく画質が良好であることが確認された。
一方、表4に示すとおり、本発明において特定されるデュロ硬度を満たさない樹脂で断熱層積層面側の樹脂コート層が形成された基材シートを使用する比較例は、保存前のものは白抜け評価において良好な結果が示された。しかしながら、上記特定条件下における保存後の比較例では、白抜け評価においていずれも不良であった。
換言すると、従来例として示すいずれの比較例と比較しても、本発明の熱転写受像シートは、特定条件下での保存の有無を問わず、鮮明な印画画像を形成することができた。
また参考までに示す製造工程評価からは、融点が70℃以下の樹脂を用いて樹脂コート層を形成した場合には、押出成形時において、樹脂コート層の一部が冷却ロールに接着する虞があることが示唆された。したがって、製造工程上の観点からは、融点が70℃以上の樹脂を選択することがより望ましいといえる。
Figure 0005534134
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Claims (2)

  1. 中紙と樹脂コート層とを少なくとも備える基材シート、中空粒子とバインダーとを含む断熱層、および受容層を、この順で少なくとも備える熱転写受像シートにおいて、
    上記樹脂コート層は、厚みを20μm以下とする層であり、且つ、中紙の少なくとも断熱層積層面側に設けられるデュロD硬度50未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)又は熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも一種の樹脂から形成される層であり、
    上記樹脂コート層を形成する樹脂は、融点が70℃以上であり、且つ、JIS K 7210に準拠したMFRが3.3g/10min以上18.3g/10min以下である、ことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 請求項1に記載される基材シート上に、スライドコート法により、水系断熱層形成用塗工液、及び水系受容層形成用塗工液を少なくとも同時に塗布して複数の塗膜を同時に形成する塗膜形成工程と、
    上記塗膜形成工程において積層された塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を備える、
    熱転写受像シートの製造方法。
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