JP4993125B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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(1)基材シートと、上記基材シート上に少なくとも受容層を備える熱転写受像シートにおいて、上記受容層が、水系溶媒に分散又は溶解可能であり活性水素含有官能基を有する染料染着性樹脂と、架橋剤とを含有し、且つ、上記染料染着性樹脂と上記架橋剤とが架橋することによってなる三次元架橋構造により構成されており、上記染料染着性樹脂が、スチレンアクリル系共重合体樹脂であり、上記架橋剤が、カルボジイミド系架橋剤であり、上記基材シートと、上記受容層との間に、多孔質層を備えることを特徴とする熱転写受像シート、
(2)上記受容層に、離型剤が含有されていることを特徴とする上記(1)に記載の熱転写受像シート、
を要旨とするものである。
以下に、本発明の熱転写受像シートを実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の熱転写受像シートの一態様を示す概略断面図である。図1に例示される熱転写受像シート10は、基材シート1と、上記基材シート1上に形成される受容層2とから構成される。尚、本発明の熱転写受像シートは、上記構成に限定されるものではなく、基材シートと受容層との間に、異なる任意の層を1層あるいは2層以上備えるものであってもよい。任意の層を備える本願発明の熱転写受像シートについて、以下に例示的に説明する。
まず、本発明の熱転写受像シート10における受容層2について説明する。受容層2は、基材シート1上に形成される層であり、熱転写受像シート10を用いて熱転写方式よって印画物を形成する際に、染料を受容する機能を有する層である。本発明の熱転写受像シート10において最も重要な点は、受容層2において、水系溶媒に分散又は溶解可能であり活性水素含有官能基を有する染料染着性樹脂及び該染料染着性樹脂を架橋させるための架橋剤が用いられ、これらが架橋して三次元架橋構造が形成されることにある。かかる三次元架橋構造を実現することによって、受容層2の耐熱性を向上させ、受容層2に印画された画像のマット化が良好に改善される。また受容層2には、印画時に受容層と染料層との圧着後、該染料層がスムーズに剥がされるよう、離型剤が含有されていることが望ましい。
以下に受容層に含有され得る各構成材料について詳細に説明する。
本発明における受容層を構成するための樹脂としては、水系溶媒に分散又は溶解可能であり活性水素含有官能基を有する染料染着性樹脂が用いられる。より具体的には、受容層構成樹脂として、後述する水系溶媒に分散又は溶解可能であって、カルボキシル基、水酸基、またはアミノ基等の活性水素を有する官能基を1種または2種以上の組合せにおいて、分子中に2つ以上含む染料染着性樹脂が用いられる。
尚、本明細書において、「アクリル化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
なお、本発明においては、上記受容層構成樹脂を1種のみを用いてもよく、単量体組成、平均分子量等が異なる2種以上を用いてもよい。
尚、本明細書において、「アクリル系」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステル系の化合物を包含する。
本発明において、上記受容層2を構成する染料染着性樹脂を分散又は溶解するために用いられる「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を例示することができる。
受容層2に含有される架橋剤は、受容層2を構成する染料染着性樹脂とともに三次元架橋構造をなし、且つ水系溶媒に分散または溶解することが可能なものであれば公知のものを適宜選択で用いることができる。また、本発明において用いられる架橋剤は、熱反応型の架橋剤であってもよいし、電離放射線反応型の架橋剤であってもよい。尚、本明細書において電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられる。
即ち、水系のシートを同時多層塗布方法により製造する際には、基材シート上に形成される各層に冷却ゲル化剤あるいは、冷却ゲル化剤としても使用可能なバインダー樹脂を含有させることが一般的である。通常はこれらの冷却ゲル化剤を塗工液に溶解せしめるために、適温に温められた塗工液がスライドコート装置内の塗工液タンクに独立に充填され、保温状態を維持される。この温度下では、熱反応型の架橋剤であって、反応開始温度が低い架橋剤は、基材シート上に塗布される前の塗工液の状態から架橋が始まる可能性があり、塗工液中で所謂だまが発生し、均一かつ平滑な受容層が形成されない虞がある。したがって、同時多層塗布により本発明の熱転写受像シートを製造する場合には、架橋剤の選択に留意する必要がある。これに対し、カルボジイミド系架橋剤は、冷却ゲル化剤が塗工液に溶解可能な温度においても、問題となるほどには架橋反応を生じさせず、且つ、同時多層塗布方法において一般的に実施される50℃程度の乾燥工程において充分、受容層構成樹脂と架橋反応を起こすことができるため、非常に好ましい架橋剤といえる。
本発明における受容層2において、離型剤は必須の成分ではないが、下記の理由から受容層構成材料として用いられることが好ましい。即ち、本発明における受容層2を構成するための染料染着性樹脂は、上述するとおりガラス転移温度が20℃以上120℃以下のものが好適に用いられる。ここで染料染着性のガラス転移温度が比較的高くなると、印画時の染料層との離型性が不良になる場合がある。離型性不良の傾向は特に、染料染着性樹脂のガラス転移温度が40℃以上120℃以下の範囲内にあるときに顕著である。これに対し、離型剤を受容層構成材料として用いることにより、不足となる印画時の離型性を向上させることができる。
また、本発明によれば上記受容層2には、任意で冷却ゲル化剤を添加することができる。特に、スライドコート法等の同時多層塗布方法によって熱転写受像シート11乃至13の如く、受容層を含む複数の層が基材シート上に積層形成される熱転写受像シートを製造する際には、受容層2に冷却ゲル化剤を添加することによって、高効率で製造することが可能になる。また受容層2に冷却ゲル化剤を含有させることは、同時多層塗布方法の際に、良好に多層の熱転写受像シートを製造することを可能にするばかりでなく、得られた熱転写受像シートに印画する際に、受容層と染料層との離型性の向上にも寄与する。したがって、受容層2と基材シート1とからなる熱転転写受像シート10においても、該受容層2に冷却ゲル化剤を添加することにより、有利な効果を得ることができる。
上述する受容層2の構成材料以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜その他の添加剤を受容層2の構成材料として使用することができる。その他の任意添加成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等を挙げることができる。
上述する受容層2の構成材料を調整することよって、本発明の受容層形成用塗工液が得られる。本発明の受容層形成用塗工液は、少なくとも、水系溶剤、染料染着性樹脂及び架橋剤が含有される。またさらに離型剤、冷却ゲル化剤が含有されることが望ましく、加えて、その他の任意の添加成分を含んでもよい。
なお、上記粘度は、例えば、小型振動式粘度計(VIBRO VISCOMETER CJV5000、 A&D社製)を用いて測定することができる(以下、同じ)。同時多層塗布方法によるシート成形に用いられる受容層形成用塗工液の固形分濃度としては、粘度を所望の程度にできる範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも10重量%〜50重量%の範囲内、なかでも10重量%〜40重量%の範囲内であることが好ましく、このような固形分となるように前述した水系溶媒によって各固形分が分散または溶解される事が好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶液の粘度が低下し、また乾燥時間が長くなり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇して塗工に不都合を生ずる。
次に、本発明の熱転転写受像シート10乃至13に用いられる基材シート1について説明する。基材シート1は、上述した受容層2を支持する機能を有するものである。
以下、このような基材シート1について詳しく説明する。
本発明の熱転写受像シートは、少なくとも基材シート上に受容層が設けられているが、必要に応じて基材シートと受容層との間に、1つ以上の機能層が設けられてよい。該機能層は、熱転写受像シートにおいて、製造効率、あるいは印画特性などを向上させるためのものであれば特に限定されるものではない。以下に、機能層の1つとして基材シートと受容層との間に成形可能な機能層の例として、多孔質層について図2乃至4を用いて説明する。
(中空粒子の空隙率)×(多孔質層における中空粒子の含有率)
で表される値を指すものとする。
多孔質層3に含有される中空粒子について説明する。本発明において用いられる中空粒子は多孔質層3に断熱性及びクッション性を付与する機能を有するものである。したがって、上記中空粒子としては、多孔質層3に所望の断熱性およびクッション性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、発泡粒子を用いてもよく、あるいは、非発泡粒子を用いることもできる。また、中空粒子として用いられる上記発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、本発明に用いられる中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。
多孔質層3を形成するために用いられるバインダー樹脂としては、通常、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な所謂、水系樹脂が用いられる。このような水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。尚、上記多孔質形成用バインダー樹脂として、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン等の材料を用いる場合には、これらバインダー樹脂は、冷却ゲル化機能も発揮し得るため、別途、後述する冷却ゲル化剤を用いずとも、同時多層塗布方法において良好に製造可能である。
次に、多孔質層3に用いられる冷却ゲル化剤について説明する。本発明に用いられる冷却ゲル化剤は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、基材シート1上に、少なくとも水系の受容層1及び多孔質層3を有する熱転写受像シート11乃至13を同時多層塗布により高効率で製造することを可能にするものである。尚、多孔質層3に用いられる冷却ゲル化剤の種類については、上述する受容層1に用いられる冷却ゲル化剤と同様である。
本発明に用いられる多孔質層3は、上述する中空粒子及び冷却ゲル化剤以外にも、必要に応じて任意の添加成分を含むものであってよい。上記任意の添加成分として多孔質層3に含有させることができるものとしては、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
本発明の熱転写受像シートにおいて基材シートと受容層との間に形成可能な機能層の別な例として、プライマー層について図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4に示される熱転写受像シート12及び13に設けられた第1プライマー層4は、上記基材シート1と上記多孔質層3との間に、また第2プライマー層5は多孔質層3と受容層2との間に形成されている。これらプライマー層はそれぞれ、上記基材シート1と上記多孔質層3との接着性、あるいは上記多孔質層3と受容層4との間の接着性を向上させる機能を有するものである。即ち、本発明においてプライマー層とは、基材シート上に積層される熱転写受像シートを構成する層とシート間、あるいは各層間に設けられ、それらの接着性を向上させるために任意で形成されるものである。
本発明に用いられる第1プライマー層4及び第2プライマー層5は、上記基材シート1と上記多孔質層3との接着性、あるいは上記多孔質層3と受容層4との接着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な樹脂で構成されていることが好ましい。このように熱転写受像シートを構成する各層が水系溶媒に分散あるいは溶解可能な材料で形成されることにより、熱転写受像シートの同時多層塗布方法による製造を可能にするからである。ここで、上記プライマー層形成用樹脂としては、上述する多孔質層3に関して記載した、多孔質層形成用バインダーとして用いられる水系樹脂と同様のものを用いることができる。尚、図4に示すとおり、1つの熱転写受像シートにおいて2層以上のプライマー層を形成する場合には、これら複数のプライマー層は、同様のバインダー樹脂を用いて形成されてもよいし、あるいは各プライマー層が異なるバインダー樹脂で形成されていてもよい。
また、本発明に用いられる第1プライマー層4及び第2プライマー層5には冷却ゲル化剤が含まれることが好ましい。第1プライマー層4及び第2プライマー層にも冷却ゲル化剤が含まれることにより、本発明の熱転写受像シートを製造する際に、基材シート1上に、第1プライマー層4及び第2プライマー層5、多孔質層3および受容層2を同時多層塗布方法により良好に製造することが可能だからである。ここで、上記冷却ゲル化剤としては、上述する受容層1に用いられる冷却ゲル化剤と同様のものを用いることができる。
尚、本発明に用いられる第1プライマー層4には、上記プライマー層形成用バインダー樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、任意の添加成分をさらに含有してもよい。上記任意の添加成分の例としては、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を挙げることができる。上記硬化剤は、例えば、プライマー層形成用樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。
次に、本発明の熱転写受像シート10乃至13の製造方法について説明する。本発明の熱転写受像シート10乃至13は、一般的に熱転写受像シートを製造する方法として公知の方法を用いて製造することができる。即ち、グラビアコート法などにより、基材シート1上に、各構成層を順次、積層成形して製造してもよい。また特に熱転写受像シート11乃至13のように、基材シート1上に受容層を含む複数の層を有する熱転写受像シートを製造する場合には、これら複数の層を同時に塗布する同時多層塗布方法により製造することもできる。またあるいは、本発明の熱転写受像シートは、上述した製造方法以外に、例えば、同時多層塗布方法により、基材シート上に多孔質層やプライマー層などの複数の機能層を同時に形成した後、受容層を別途塗布する工程を設けることも可能である。ただし、本発明の熱転写受像シート10乃至13は、いずれも染料染着性樹脂と架橋剤とが架橋してなる三次元架橋構造により構成されるので、該架橋反応を可能とする架橋工程を必要とする。
所謂スライドコーターを用いたスライドコート法により実施される塗布工程を図5を用いて説明する。
まず、基材シート上に複数の層を同時に積層する塗布工程について、図5を用いて説明する。図5は、基材シート1上に第1プライマー層4、多孔質層3及び受容層2を備える熱転写受像シート12を製造するために、スライドコーターを用いたスライドコート法により、各構成層を形成するための塗工液を基材シート1上に同時に塗布し、多層シート42を形成している様子を示す概念図である。
上述のとおり形成された多層シート42は、次に、冷却処理に供せられる。冷却処理工程において、基材シート1上に形成された各層を冷却する方法としては、多層シート42に冷風を吹き付ける冷却方法1、多層シート42を所望の温度以下の室温に調整された冷却ゾーンを通過させる冷却方法2などがある。また別の方法として、上記塗布工程において既に冷却された基材シート1をバックロール14にまき付け、この上に各層の塗工液を塗布することによって該基材シート1の温度で各層を冷却する、塗布工程と冷却処理工程を同時に行う冷却方法3、あるいは、基材シート1を搬送するバックロール14の表面を冷却し、基材シート1を介して各層を冷却することによって、塗布工程と冷却処理工程を同時に行う冷却方法4などでもよい。また上述する冷却方法1乃至4を組み合わせて冷却処理工程を実施してもよい。
上記冷却工程において冷却された多層シート42を、続いて乾燥工程及び架橋工程に供することによって、熱転写受像シート12が完成される。多層シート42を乾燥させる方法としては、多層シート42を複数のロールに順次まき付けて送りながら、適温の温風を吹き付ける非接触乾燥により乾燥させることができる。このとき、乾燥路長を500m以上に設けることにより、急激にシートを乾燥させることを防止することにより、乾燥ムラのない良好な熱転写受像シートが形成されるので好ましい。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
スチレン‐アクリル系共重合体の調製方法
(エマルジョン1の合成)
500mL三角フラスコに、スチレン102g、エチルアクリレート54g、ラウリルアクリレート42g、アクリル酸3g、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製)1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下、「組成物A」と呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどの組成物A全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.2gを加えて10分間攪拌した後、残り80%の組成物Aを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#150メッシュ(日本織物)にてろ過し、エマルジョン1を得た。分子量244000、Tg50℃。また、スチレン、エチルアクリレート、ラウリルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は58%、32%、10%となる。
アクリル酸添加量を4gに変更した以外は、エマルジョン1の合成と同様の方法により合成を行いエマルジョン2を得た。反応時間については、TLCにてモノマーの存在が確認できなくなる、あるいは存在量が減少しなくなるまで行った。
上記エマルジョン1( スチレンアクリル酸エステル共重合体)90重量部に対し、水に溶解させたゼラチン(RR、新田ゼラチン社製)を10重量部(ゼラチンの乾燥時における重量比)と、シリコーン系離型剤(KF615A、信越化学工業社製) 10重量部を、純水で分散、溶解させて受容層形成用塗工液1を調製した。
尚、受容層形成用塗工液1の濃度は、後述するスライドコート装置においてインライン添加される6.2重量部のカルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04、日清紡製)もあわせて、総固形分が25重量%となるよう純水に調整した。
中空粒子(HP−91、ロームアンドハース社製)75重量部と、水に溶解させたゼラチン(RR、新田ゼラチン社製)を25重量部(ゼラチンの乾燥時における重量比)と、界面活性剤(サーフィノール440、日信化学工業社製)0.15重量部とを、純水に分散、溶解させて、総固形分が17重量%となるように純水にて希釈した。
同時多層塗布可能なスライドコート装置を用い、以下のとおり熱転写受像シートを作製した。基材シートとしてレジンコート紙(STF−150、三菱製紙社製)を用い、上記受容層形成用塗工液1及び上記多孔質層形成用塗工液をそれぞれ40℃に加熱し、独立の塗工液タンクに重点し、上記基材シートに塗布される直前に、受容層形成用塗工液1に上記カルボジイミド系架橋剤をインライン添加した。そして、基材シート上に多孔質層と、受容層とがこの順で積層されるように同時に2層を塗布した。次いで得られた積層体を10℃以下にて1分間冷却し、各層に含有されるゼラチンをゲル化させ、さらに50℃にて5分間乾燥することにより熱転写受像シートを作製し、実施例1とした。
尚、それぞれの層は乾燥時の膜厚が多孔質層は40μm、受容層は5μmとなるように塗工した。
受容層形成用塗工液1における染料染着性樹脂として、スチレンアクリル酸エステル共重合体をエマルジョン1からエマルジョン2に変更し、添加するカルボジイミド系架橋剤の量を8.3重量部に変更した以外は同様の受容層形成用塗工液2を調製し、実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、実施例2とした。
上記受容層形成用塗工液1を用い、架橋剤を用いなかった以外は、実施例1と同様に熱転写受像シートを作成し、比較例1とした。
受容層形成用塗工液3における染料染着性樹脂として、スチレンアクリル酸エステル共重合体をエマルジョン1からエマルジョン2に変更した以外は同様の受容層形成用塗工液4を調製し、比較例1と同様に熱転写受像シートを作成し、比較例2とした。
上述のとおり作製した実施例1を用いて、後述する熱転写方法により受容層側に画像を印画し、その画像のマット化について以下の通り評価した。また実施例2及び比較例1または2について同様に印画し、その画像のマット化を評価した。評価結果は、表2にまとめて示す。
実施例1の熱転写受像シートを用い、昇華型熱転写プリンターCP−720(キヤノン社製)にて黒ベタ画像を実施例1の受容層側に印画し、その際の画像の鮮明さを下記のとおり官能評価し、画像が鮮明でないものほどマット化が大きいと判断した。
◎:画像には僅かに変化が見られるものの、充分に鮮明で実用上問題がなかった。
○:画像には変化が見られるが、高品質な画像として実用化可能である。
×:画質の低下が確認され、マット化が生じていることが視認された。
2 受容層
3 多孔質層
4 第1プライマー層
5 第2プライマー層
10 本発明の熱転写受像シート
11 本発明の熱転写受像シート
12 本発明の熱転写受像シート
13 本発明の熱転写受像シート
14 バックロール
15 コーティング装置
22 受容層形成用塗工液
23 多孔質層形成用塗工液
24 第1プライマー層形成用塗工液
32 受容層形成用層
33 多孔質層形成用層
34 第1プライマー層形成用層
42 多層シート
Claims (2)
- 基材シートと、上記基材シート上に少なくとも受容層を備える熱転写受像シートにおいて、
上記受容層が、水系溶媒に分散又は溶解可能であり活性水素含有官能基を有する染料染着性樹脂と、架橋剤とを含有し、且つ、上記染料染着性樹脂と上記架橋剤とが架橋することによってなる三次元架橋構造により構成されており、
上記染料染着性樹脂が、スチレンアクリル系共重合体樹脂であり、
上記架橋剤が、カルボジイミド系架橋剤であり、
上記基材シートと、上記受容層との間に、多孔質層を備えることを特徴とする熱転写受像シート。 - 上記受容層に、離型剤が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
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