JP2019104176A - 熱転写受像シート - Google Patents
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たとえば、下記特許文献1には、多孔質層の中空粒子の含有率を制御して高濃度の印画特性を有し、かつ印画均一性を保つ熱転写受像シートの発明が開示されている。
る。
そこで、本発明は、白抜けが発生せず、さらににじみ、濃淡ムラが起こらない熱転写受像シートを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、少なくとも、基材シート、1層または複数の層で構成される中間層、及び受容層がこの順で積層されてなる熱転写受像シートであって、前記熱転写受像シートの前記受容層側からJIS0601:2013に準じて測定した表面性状におけるうねり曲線の最大谷深さをWvとし、前記熱転写受像シートの前記受容層側に常温環境下で平面状圧子を用いて0.5MPaの圧力を加えた時に前記熱転写受像シートが縮む厚さをdとすると、d≧Wvとなることを特徴とする熱転写受像シートである。
d/t≦1.48%となることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シートである。
以上のように、本発明に係る熱転写受像シートであれば、白抜けが発生せず、さらににじみ、濃淡ムラが起こらない熱転写受像シートを提供することができる。
本発明の熱転写受像シート1は、図1に示すように基材10の一方の面上に、1層または複数の層で構成される中間層20、受容層30が順に積層されて成る。以下、本発明の熱転写受像シート1の構成を、図1を参照しながら説明する。
本発明における基材10は、中間層20と、受容層30とを保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、基材10と受容層30の間に少なくとも断熱層22を含む1層または複数の層の中間層20を設ける。
本発明における断熱層22は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材10等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。
基材10の一方の面に設けられた断熱層22は、従来公知のもので対応でき、中空粒子とバインダー樹脂によって構成されるものや、発泡ポリプロピレンフィルムや発泡ポリエチレンテレフタレート等の発泡フィルムなどを用いたもの、さらに発泡フィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた断熱層を挙げることができる。ただし、発泡フィルムなどを用いた断熱層は、コストの面、基材と貼り合わせ行程に発生するカールを考慮すると、中空粒子を用いた断熱層を用いるのが好ましい。
本発明の実施の形態によれば、中間層20に含まれる層として、基材10と断熱層22の間に少なくとも1層のクッション層21を設けてもよい。
クッション層21は印画時におけるプラテンローラとサーマルヘッド間の加圧による収縮で、熱転写受像シート1の凹凸を吸収することにより、サーマルヘッドから均一な加熱をさせる機能を持つ層である。同様の機能は基材10と断熱層22にもあるが、それだけでは不十分な場合にクッション層21を設けることができる。
クッション層21には、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレンブタジエンゴム(SBR))、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBRラテックス)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MBRラテックス)、スチレン−ブタジエンアクリル系共重合体などの樹脂を単独または2種類以上を混合して用いることができる。
熱転写受像シート1において、表面に凹凸があると印画時のサーマルヘッドの接触面が不均一になり、加熱ムラによる白抜けが発生する。これを防ぐために、凹凸を吸収するクッション性を熱転写受像シート1に持たせる必要がある。要求されるクッション性を満たすための熱転写受像シートの特性は以下のとおりである。
(1)熱転写受像シート1の受容層30側から測定したうねり曲線の最大谷深さ(JIS0601:2013)をWvとし、熱転写受像シート1の受容層30側に平面状の圧子で0.5MPaの圧力を加えた時に前記熱転写受像シートが縮む厚さをdとすると、
d≧Wv
となること。
(2)熱転写受像シート1の厚みをtとすると、
d/t≦1.48%
となること。
一方、d<Wvとなると、熱転写受像シート1の凹凸が印画時の加圧による収縮で十分に吸収されず、サーマルヘッドの接触面が不均一になるために白抜けが発生してしまう。
一方、d/t>1.48%となると、加圧による熱転写受像シート1の収縮が過剰となり、受容層30と感熱転写記録媒体との離型性が低下し、接触時間が長くなることで、にじみが発生してしまうおそれがある。
本発明の一実施形態によれば、中間層20に含まれる層として、断熱層22と受容層30の間に少なくとも1層の下引き層23を設けてもよい。
下引き層23を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、層間接着、白色付与、基材のギラつき感やムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加することができる。中間層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、下引き層23に、蛍光増白剤、無機微粒子、中空微粒子、および導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
本発明の受容層30は、熱転写による画像形成時に感熱転写記録媒体から転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層30に保持することで、受容層30の面に画像を形成かつ維持することができる。受容層30は、バインダー樹脂と、離型剤、硬化剤を含んでもよい。好ましい態様によれば、受容層30は、界面活性剤や、造膜助剤を各種目的に応じてさらに含んでもよい。
一方、マルテンス硬さが120N/mm2を上回ると熱転写受像シート1表面が硬すぎるために、印画時にクッション性が十分にあっても凹凸を相殺できずに白抜けが発生してしまう。また、マルテンス硬さが30N/mm2を下回ると、クッション性の効果では相殺しきれない微細な凹凸に影響が出て印画時に濃淡ムラが発生してしまい、良好な印画品
質を得られなくなってしまう。
また、本発明の一実施形態の熱転写受像シート1には、基材10の中間層20が設けられている側とは反対側に、裏面層を設けても良い。裏面層はプリンター搬送性向上や、受容層30とのブロッキング防止、印画前後の熱転写受像シートのカール防止のために設けられる。
裏面層に用いられる材料としては従来公知のもので対応でき、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド等のバインダー樹脂を用いることができる。また必要に応じてフィラーや帯電防止剤等の、公知の添加剤を含有しても良い。
<<熱転写受像シート>>
<基材>
厚さ140μmの上質紙を使用し、一方の面に溶融押し出し法により厚さ30μmのポリエチレン樹脂層A(図示せず)を形成した。
次に、基材10のポリエチレン樹脂層A上に、下記組成のクッション層用塗布液を乾燥後の膜厚が10μmになるように塗工して、クッション層21を形成した。
「クッション層用塗布液」
・スチレン・ブタジエンゴム溶液
(商品名Nipol LX110、日本ゼオン(株))(固形分40.5%)
74.07部
・純水 25.93部
基材10のクッション層21上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように下記組成の断熱層用塗布液を塗工し、断熱層22を形成した。
「断熱層用塗布液」
・ゼラチン (商品名:SN、新田ゼラチン(株)) 55部
・中空粒子 (商品名:AF−1055、ダウケミカル日本(株)) 30部
・純水 11部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE−02、ナガセケムテックス(株)製)
4部
基材10の断熱層22上に、乾燥後の膜厚が1μmとなるように下記組成の下引き層用塗布液を塗工し、下引き層23を形成した。
「下引き層用塗布液」
・ポリエステル(バイロナールMD−1480、固形分濃度25%、東洋紡積社製)
100部
・純水 25部
基材10の下引き層23上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるように下記組成の受容層用塗布液を塗工して受容層30を形成し、熱転写受像シートを得た。
「受溶層用塗布液」
・塩化ビニル系エマルジョン
(ビニブラン900、日信化学工業(株)、Tg=70℃、固形分=40%)
100.00部
・エチレングリコールジエチルエーテル 0.25部
・シリコーン離型剤
(ジメチルシリコン NP2406、旭化成ワッカーシリコン(株)、固形分=60%)
0.17部
・イソシアネート系硬化剤(型番:DNW−6000、DIC(株)) 1.29部
クッション層の乾燥後の膜厚が15μmになるようにした以外は実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
クッション層の乾燥後の膜厚が20μmになるようにした以外は実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。
クッション層の乾燥後の膜厚が30μmになるようにした以外は実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。
イソシアネート系硬化剤の配合比が0.65部になるようにした以外は実施例3と同様にして熱転写受像シートを作製した。
イソシアネート系硬化剤の配合比が1.03部になるようにした以外は実施例3と同様にして熱転写受像シートを作製した。
クッション層を設けず、基材のポリエチレン樹脂層Aの上に直接断熱層を設けた以外は実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。
クッション層の乾燥後の膜厚が5μmになるようにした以外は実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。
クッション層の乾燥後の膜厚が40μmになるようにした以外は実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。
イソシアネート系硬化剤の配合比が0.39部になるようにした以外は実施例3と同様にして熱転写受像シートを作製した。
イソシアネート系硬化剤の配合比が1.94部になるようにした以外は実施例3と同様にして熱転写受像シートを作製した。
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層用塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の熱転写層用塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、感熱転写記録媒体を得た。
・シリコーン系アクリルグラフトポリマー(東亜合成(株)US−350)
50.00部
・メチルエチルケトン 50.00部
・C.I.ソルベントブルー36 2.50部
・C.I.ソルベントブルー63 2.50部
・ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
・トルエン 45.0部
・メチルエチルケトン 45.0部
実施例1〜6、比較例1〜5の熱転写受像シートと感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、白抜け、にじみ、濃淡ムラを評価した。印画は全て下記の条件で行っている。
・印画環境:23℃50%RH
・印加電圧:24V
・印画速度:10inch/sec
・印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
実施例1〜6、比較例1〜5の熱転写受像シートと感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物の白抜けを評価した。評価画像は、白と黒の中間の階調のベタ画像を用いた。評価結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下のとおりで、△以上が実用上問題ないレベルである。
○:白抜けが、認められない
△:白抜けが、ごく僅かに認められる
×:白抜けが、全面で認められる
実施例1〜6、比較例1〜5の熱転写受像シートと感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物のにじみを評価した。評価画像は、自然画(人
物画像)を用いた。評価結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下のとおりで、△以上が実用上問題ないレベルである。
○:にじみが、認められない
△:にじみが、ごく僅かに認められる
×:にじみが、全面で認められる
実施例1〜6、比較例1〜5の熱転写受像シートと感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物の濃淡ムラを評価した。評価画像は、白と黒の中間の階調のベタ画像を用いた。評価結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下のとおりで、△以上が実用上問題ないレベルである。
○:濃淡ムラが、認められない
△:濃淡ムラが、ごく僅かに認められる
×:濃淡ムラが、全面で認められる
10:基材
20:中間層
21:クッション層
22:断熱層
23:下引き層
30:受容層
40:裏面層
Claims (3)
- 少なくとも、基材シート、1層または複数の層で構成される中間層、及び受容層がこの順で積層されてなる熱転写受像シートであって、前記熱転写受像シートの前記受容層側からJIS0601:2013に準じて測定した表面性状におけるうねり曲線の最大谷深さをWvとし、前記熱転写受像シートの前記受容層側に常温環境下で平面状圧子を用いて0.5MPaの圧力を加えた時に前記熱転写受像シートが縮む厚さをdとすると、
d≧Wv
となることを特徴とする熱転写受像シート。 - 前記熱転写受像シートの厚さをtとし、前記熱転写受像シートの前記受容層側に常温環境下で平面状圧子を用いて平面状圧子を用いて0.5MPaの圧力を加えた時に前記熱転写受像シートが縮む厚さをdとすると、
d/t≦1.48%
となることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。 - 前記熱転写受像シートの前記受容層側よりISO14577に準じて測定したマルテンス硬さが、30〜120N/mm2であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
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