JP2015174328A - 熱転写受像シート、熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ、及び印画物 - Google Patents

熱転写受像シート、熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ、及び印画物 Download PDF

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Abstract

【課題】保護層のマットモード印画で十分なマット感が得られながら、保護層転写時にシワが発生し難く、且つ、十分な保護層転写性を有する熱転写受像シート、前記熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ、及び前記熱転写受像シートに形成された画像上に、保護層が設けられた印画物を提供する。
【解決手段】基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする、熱転写受像シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写受像シート、熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ、及び印画物に関するものである。
従来、種々の熱転写記録方式が知られており、その中でも広く用いられている方式として、感熱昇華型転写方式がある。この方式は、昇華性染料を色材として用い、熱転写シートの染料層中の染料を、熱転写受像シートの受容層に熱転写して画像を形成するものである。この方式では、熱転写の際に、プリンターのサーマルヘッドで加熱量を調整して3色又は4色の多数の色を、熱転写受像シートの受容層に転移させ、該多色の色を順次重ねて階調印画することにより、フルカラーを再現することができる。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、中間調の再現性や協調性に優れており、フルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
熱転写受像シートに画像が形成されてなる印画物は、用途によって光沢調やマット調等、異なる風合の印画物を得たいとの市場の要望がある。そのような要望に応じ、近年、マットモード(マット調)及びグロスモード(光沢調)等の印画物の風合いを自由に選択できるプリンターが開発されている。印画物は通常、印刷画像を形成した後、印画物表面を保護するために、更に保護層(オーバーコート層とも呼ぶ)が形成される。印画物の風合いは、例えば、熱転写時に保護層に与えるエネルギーを調整することによって変化させることができる。具体的には、マットモードとするためには、保護層の光沢度を落とすことが必要であり、比較的高い熱エネルギーを加えて熱転写を行い、グロスモードとするためには、保護層の光沢度を落とさないよう、比較的低い熱エネルギーを加えて熱転写を行う。
一方、特許文献1には、基材とこの基材上に形成された受容層とからなる被熱転写シートにおいて、熱転写シートのラミネート層を確実に転写させ、且つ、優れた走行性及び耐ブロッキング性を有するとともに、優れた表面光沢性を有するために、染料受容層にヒドロキシエチルアクリレートと他の単量体との共重合体を含有し、当該ヒドロキシエチルアクリレートを所定の割合とすることが記載されている。
特許文献2には、基材シートの一方の面に受容層を備えた熱転写受像シートにおいて、前記受容層に、ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃であるベンジルメタクリレート重合体と、表面処理されたシリカ粒子とを含有することにより、耐光性に極めて優れる印画物を得ることができると記載されている。また、特許文献2には、前記ベンジルメタクリレート重合体が印画物の耐色を抑制し、表面処理シリカ粒子として表面が疎水処理されたシリカ粒子を用いることにより、光照射によって発生する一重項酸素等の耐光性阻害物質の発生を抑制する旨が記載されている。
特開2000−218945号公報 特開2009−83136号公報
しかしながら、従来の熱転写受像シートを用いて印刷をした場合、マット調の印画物を得るために熱転写時のエネルギーを高くすると、保護層にシワが発生し易く、一方、光沢調の印画物を得るために熱転写時のエネルギーを低くすると、保護層が十分に転写できずに転写欠けが発生し易いという問題があり、マットモードとグロスモードとの両立が困難であった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、保護層のマットモード印画で十分なマット感が得られながら、保護層転写時にシワが発生し難く、且つ、十分な保護層転写性を有する熱転写受像シート、前記熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ、及び前記熱転写受像シートに形成された画像上に、保護層が設けられた印画物を提供することを目的とする。
本発明に係る熱転写受像シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、
前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、
前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする。
本発明に係る熱転写受像シートにおいては、前記イソシアネート化合物の含有量が、前記水酸基含有アクリル樹脂が含有する水酸基に対して0.20〜0.30当量であることが、保護層の転写性および離型性に優れる点から好ましい。
本発明に係る熱転写受像シートにおいては、前記無機微粒子の含有量が、前記水酸基含有アクリル樹脂100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが、受容層表面に適度な凹凸形状を容易に設けることができ、保護層のシワの発生を抑制し易い点から、好ましい。
本発明に係る熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せは、熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せであって、
前記熱転写受像シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする、熱転写受像シートであり、
前記保護層転写シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に転写性保護層を有する保護層転写シートであり、前記転写性保護層が、アクリル樹脂と、フィラーとを含有することを特徴とする。
本発明に係る印画物は、熱転写受像シートの受容層に形成された画像上に、保護層が設けられた印画物であって、
前記熱転写受像シートが、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有し、
前記保護層が、アクリル樹脂と、フィラーとを含有することを特徴とする。
本発明によれば、保護層のマットモード印画で十分なマット感が得られながら、保護層転写時にシワが発生し難く、且つ、十分な保護層転写性を有する熱転写受像シート、前記熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ、及び前記熱転写受像シートに形成された画像上に、保護層が設けられた印画物を提供することができる。
本発明に係る熱転写受像シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る熱転写受像シートの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に用いられる保護層転写シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る印画物の一例を模式的に示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本発明において、「シート」とは、JIS−K6900の定義におけるシートとフィルムを含む意味である。JIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
1.熱転写受像シート
本発明に係る熱転写受像シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、
前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、
前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする。
本発明者らは、マット調の印画物を得るために熱転写時のエネルギーを高くすると、保護層にシワが発生し易いのは、高エネルギーをかけられた保護層と受容層との間の摩擦が高くなるためと考えた。摩擦を低減するためには離型剤を添加することが考えられたが、シワを抑制可能な程度に離型剤を多く添加すると、保護層転写性が悪化してグロスモードの際に保護層が十分に転写できずに転写欠けが発生するという問題が発生した。
それに対して、本発明に係る熱転写受像シートは、受容層を、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物としている。
水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物とを組み合わせて用いると、アクリル樹脂の水酸基とイソシアネート化合物のイソシアネート基とが反応して架橋され、架橋されていないアクリル樹脂と比べて硬度が上昇し、耐熱性が高くなることから、高エネルギーをかけられた時の表面の滑り性が向上すると推定される。また、水酸基含有のアクリル樹脂を使用することによって、離型性と印画濃度を十分に確保できると推定される。但し、当該水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物との組み合わせのみでは、硬度を十分に高くするとシワを抑制可能な程度の滑り性が得られるものの、保護層転写性が悪化し、保護層転写性を十分にする程度の硬度とするとシワを抑制可能な滑り性は得られない。本発明においては、更に、無機微粒子を含有させることにより、保護層転写時にシワが発生し難く、且つ、十分な保護層転写性を有する受容層を実現することができた。これは、前記架橋したアクリル樹脂によって滑り性が向上した受容層表面に当該無機微粒子に起因した凹凸が形成されることにより、受容層と保護層が最初に接触する際の接触面積が小さくなって保護層の滑り性が更に向上するからと推定される。その一方で、当該無機微粒子による表面凹凸は、離型剤のように受容層表面の密着性を阻害せず、押される力を受けた際には、受容層と保護層との接触面積が大きくなって密着性が向上することにより、保護層転写時にシワが発生し難く、且つ、十分な保護層転写性を有する受容層を実現することができたと考えられる。
また、本発明に係る熱転写受像シートは、多孔質層が中空粒子を含有するため、保護層熱転写時のエネルギーを調整することによって、保護層熱転写時に当該多孔質中の中空粒子を適度につぶすことができると考えられる。多孔質層中の中空粒子がつぶれることにより、印画物表面には凹凸が生じうるため、本発明においては、保護層熱転写時に形成される印画物表面の凹凸形状を制御することができ、それにより、印画物表面の光沢感も制御し易いと考えられる。
図1及び図2に、本発明に係る熱転写受像シートの一例の断面図を模式的に示す。図1に示す熱転写受像シート10は、基材11と、基材11の一方の面に多孔質層12と、受容層13とをこの順に有する。
図2に示す熱転写受像シート10は、図1に示す熱転写受像シート10に、さらに目止め層14、中間層15、裏面層16を有するものである。すなわち、図2に示す熱転写受像シート10は、基材11と、基材11の一方の面に、目止め層14と、多孔質層12と、中間層15と、受容層13とをこの順に有し、基材11の他方の面に、裏面層16を有する。
以下、本発明に係る熱転写受像シートを構成する各層について、詳細に説明する。
(基材)
本発明に用いられる基材としては、多孔質層、受容層及び必要に応じて設けられたその他の層を支持し、熱転写時の加熱に耐えられるものであれば特に限定されない。
前記基材としては、特に限定はされないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸シートや、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を挙げることができる。また、これらの材料を2種以上積層した複合シートも使用することができる。
本発明に用いられる基材の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常1μm〜300μmであり、好ましくは60μm〜200μm程度である。
(受容層)
受容層は、熱転写シートから移行してくる染料等の着色剤を受容し、形成された画像を維持するためのものである。本発明において、受容層は、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物である。
本発明において水酸基含有アクリル樹脂とは、水酸基を有するアクリル樹脂のことである。アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主原料とした樹脂の総称であり、一般には(メタ)アクリル酸とそのエステル類及び他のビニルモノマー等の共重合樹脂である。水酸基含有アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系のモノマーに代表されるような、(メタ)アクリロイル基のようなエチレン性不飽和二重結合を有し且つ水酸基を含有する重合性モノマーを使用して重合した単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、それら重合性モノマーの重合体と共重合する、エチレン性不飽和二重結合を有し且つ水酸基を含有しない重合性モノマーを更に用いた共重合体も、前記水酸基含有アクリル樹脂に含まれる。
エチレン性不飽和二重結合を有し且つ水酸基を含有する重合性モノマーとしては、特に限定はされないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルやジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレートや(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等のエチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等のプロピオンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、その他α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類などを挙げることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有し且つ水酸基を含有しない重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類、燐含有ビニル系モノマー類、塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類、ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
本発明に用いられる水酸基含有アクリル樹脂としては、中でも、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとエチレン性不飽和二重結合を有し且つ水酸基を含有しない重合性モノマーとの共重合体が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸エステル類との共重合体がより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレートとの共重合体が、印画性能とコストの点から更に好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレートとのブロック共重合体が特に好ましい。
本発明に用いられる水酸基含有アクリル樹脂としては、保護層転写性と離型性との両立を調整しやすい点から、共重合に使用する全モノマー中に(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルの含有割合が5〜25質量%である共重合体が好ましく、中でも共重合に使用する全モノマー中に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有割合が5〜25質量%である共重合体が好ましい。
前記水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、10〜50mgKOH/gであることが好ましく、20〜40mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価が前記下限値以上であると、耐熱性に優れ、前記上限値以下であると、染料受容性に優れ、印画シワ発生の抑制効果が高い。
前記水酸基含有アクリル樹脂の含有量は、特に限定はされないが、受容層に含まれる全固形分に対して85〜98質量%であることが好ましく、90〜98質量%であることがより好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤を除いた全ての成分を意味する。
イソシアネート化合物としては、特に限定はされないが、例えば、ジイソシアネートおよびトリイソシアネート等のポリイソシアネートを挙げることができ、中でも、芳香族系ポリイソシアネートが好ましい。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物の過剰量に、多価アルコールを反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物(芳香族ジイソシアネートの多価アルコール付加体)が挙げらる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールなどの脂肪族多価アルコール等が挙げられる。
前記イソシアネート化合物の市販品としては、例えば、三井化学(株)製のタケネートD110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物)、日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(トリレンジイソシアネ−トのトリメチロールプロパン付加物)、日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートHL(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物)、日本ポリウレタン工業(株)製のミリオネートMT(ジフェニルメタンジイソシアネート)等が挙げられる。
前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定はされないが、前記水酸基含有アクリル樹脂が含有する水酸基に対して0.20〜0.30当量であることが好ましい。含有量が前記下限値以上であると、保護層の離型性に優れ、前記上限値以下であると、保護層転写性に優れる。
無機微粒子としては、特に限定はされず、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタニア(二酸化チタン)、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、前記受容層の表面に適度な凹凸形状を形成し易く、また、カット屑蓄積性に優れる点から、シリカ微粒子が好ましい。
前記無機微粒子の平均粒径は、特に限定はされないが、前記受容層の表面に適度な凹凸形状を形成し易く、また、カット屑蓄積性に優れる点から、0.5〜10.0μmであることが好ましく、1.0〜5.0μmであることがより好ましい。なお、前記無機微粒子の平均粒径は、溶液中の粒子を動的光散乱方法により測定し、粒径分布を体積累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、例えば日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
前記無機微粒子の含有量は、特に限定はされないが、前記水酸基含有アクリル樹脂100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましく、0.2〜1質量部であることが更により好ましい。含有量が前記下限値未満であると、カット屑蓄積性が悪化し、前記上限値超過であると、表面の凹凸が大きくなり、印画品質が劣化してしまう恐れがある。なお、前記含有量は固形分換算である。
前記受容層は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、更に、離型剤、可塑剤等の添加剤を含有するものであってもよい。
離型剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が挙げられ、中でも、変性シリコーンが好ましい。変性シリコーンとしては、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。本発明においては、中でも両末端カルビノール(ROH)変性シリコーンオイルが好適に用いられる。なお、離型剤は1種若しくは2種以上のものを使用してもよい。
離型剤の添加量は、適宜調整されれば良いが、通常、前記水酸基含有アクリル樹脂と前記イソシアネート化合物の合計量100質量部に対し、0.3〜0.8質量部が好ましい。
前記受容層は、特に限定はされないが、例えば、前記受容層に含まれる各成分を溶剤に溶解又は分散させた受容層用塗工液を、グラビアコーティング等の公知の方法により塗工し、乾燥することにより、形成することができる。
また、前記受容層の厚みは、特に限定はされないが、受容層の形成に際し、受容層用塗工液の塗工量が乾燥状態で0.5〜10g/mであることが好ましい。
(多孔質層)
多孔質層は、前記基材と前記受容層との間に設けられる。多孔質層は、多孔質構造を有することにより、断熱性及びクッション性を有するものである。
本発明において、前記多孔質層は、中空粒子と、バインダー成分とを含有する。そのため、マット調の印画物を得るために保護層熱転写時に高いエネルギーをかけると、当該多孔質層中の中空粒子が適度につぶれて印画物表面に凹凸が生じ、印画物に十分なマット感を得ることができる。
前記中空粒子としては、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、ローペイクHP−1055、ローペイクHP−91、ローペイクOP−84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、およびローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、二ポールMH−5055(日本ゼオン(株))、SX8782、SX866(JSR(株))、松本油脂製薬製マイクロスフィア等が好ましい。
前記中空粒子の平均粒径は、多孔質層の断熱性および十分なマット感を得る点からを向上する点から、0.1〜10.0μmであることが好ましく、0.3〜5.0μmであることがより好ましい。なお、前記中空粒子の平均粒径は、前記無機微粒子の平均粒径と同様である。
また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜90%、更により好ましくは50〜90%である。中空粒子の平均中空率が、前記範囲内であれば、中空粒子を含有した層の断熱性およびクッション性を向上することができる。
なお、中空率とは、粒子体積に対する中空部分の体積の割合を示したものである。
前記多孔質層において、前記中空粒子の含有量は、特に限定はされないが、断熱性及び十分なマット感を得る点から、前記多孔質層に含まれる全固形分に対して25質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。また、前記中空粒子の含有量は、断熱性とクッション性の点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい、50質量%以下であることが更により好ましい。
前記バインダー成分としては、特に限定されず、親水性であっても疎水性であってもよいし、これらの併用であっても構わないが、水に不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散されたエマルジョンや、親水性バインダーを用いることが好ましい。
エマルジョンとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)系、ポリ塩化ビニル系、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリオレフィン系などのエマルジョンを使用することができ、必要に応じてこれら2種以上を混合して用いてもよい。
親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができる。
前記バインダー成分の含有量は、特に限定はされないが、多孔質層に含まれる全固形分に対して20〜75質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。含有量が前記下限値未満であると、多孔質層の密着性が低下し、前記上限値超過であると、断熱性、クッション性が不足する恐れがある。
前記多孔質層は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、更に、界面活性剤等の添加剤を含有するものであってもよい。
前記多孔質層は、特に限定はされないが、例えば、少なくとも前記中空粒子及び前記バインダー成分を含有した多孔質層を形成するための材料を適宜溶剤に分散もしくは溶解して得られた多孔質層用塗工液を塗布、乾燥する方法により形成することができ、また、押出しラミネート法により形成することもできる。
塗工液を塗布する方法としては、公知の塗布方法を選択することができるが、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられる。
前記多孔質用塗工液は、特に限定はされないが、乾燥状態で5〜20g/mとなるように塗工することが好ましい。
(中間層)
本発明の熱転写受像シートは、図2に記載するように、前記多孔質層12と前記受容層13との間に中間層15を設けても良い。中間層は、多孔質層と受容層との接着性、白色度、クッション性、隠蔽性、帯電防止性、およびカール防止性等の付与を目的とするものである。中間層としては、従来公知のあらゆる中間層を設けることができる。
中間層に含まれるバインダー樹脂としてはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、2種以上の共重合体であってもよい。また、これらの樹脂のうちの活性水酸基を有するものについてはさらにそれらのイソシアネート硬化物をバインダーとすることもできる。
また、中間層には、白色性や隠蔽性を付与するために酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、および炭酸カルシウム等の充填材を添加することができる。さらに、中間層には、白色性を高めるためにスチルベン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、およびベンゾオキサゾール系化合物等を蛍光増白剤として添加したり、印画物の耐光性を高めるためにヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、およびベンゾフェノン系化合物等を紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤として添加したり、あるいは帯電防止性を付与するためにカチオン系アクリル樹脂、ポリアニリン樹脂、および導電性合成層状珪酸塩等、各種導電性充填材等を添加することができる。
中間層は、前記バインダー及び前記充填剤等を適宜溶剤に分散もしくは溶解した中間層形成用塗工液を塗布、乾燥することにより形成することができる。中間層用塗工液の塗工量は、乾燥状態で0.1〜3.0g/m程度が好ましい。
(目止め層)
また、基材として、例えば、コート紙を用い、該コート紙上に、水系の塗工液を用いて多孔質層を形成した場合には、コート紙が水を吸い、その結果、熱転写受像シートにカールが発生する虞が生じうる。したがって、基材が吸水性の高い基材であって、水系の塗工液を用いて多孔質層を形成する場合には、図2に示すように、基材11と多孔質層12との間に目止め層14を設けることが好ましい。
目止め層は、防水性を有するとの機能を奏すれば、その材料等について特に限定はない。目止め層の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−スチレン共重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、セメントフィラーエマルジョン等のエマルジョン等を挙げることができる。
目止め層の厚さは、特に限定はないが、乾燥状態で0.2g/m〜10.0g/m程度が好ましい。
(バリア層)
また、図示はしないが、多孔質層12に隣接する受容層13又は中間層15等の層を形成するための塗工液中に溶剤等が含まれる場合は、多孔質層12と当該多孔質層12に隣接する受容層13又は中間層15等の層との間に、耐溶剤性を有するバリア層を設けることが好ましい。これにより、多孔質層12に含まれる中空粒子が、塗工液中の溶剤によって破壊されることを防止することができる。
バリア層を構成する樹脂としては、バリア層に用いられる樹脂として従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリルエマルション、ポリオレフィン等が挙げられる。
また、バリア層には、必要に応じて他の成分を含有させることができる。例えば、蛍光増白剤等の添加剤や、酸化チタン等の白色顔料を含有させることとしてもよい。また、例えば、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体等を混合して使用することもできる。
バリア層の厚さについて特に限定はないが、耐溶剤性及び接着性の観点から、塗布量が乾燥状態で0.2g/m〜5.0g/m程度であることが好ましい。
(裏面層)
また、本発明に係る熱転写受像シートは、図2に記載するように、基材11の裏面側(受容層13が設けられている側と反対側)に裏面層16を設けても良い。裏面層16は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて所望の機能を有するものを適宜選択して用いることができる。中でも本発明においては、裏面層として、熱転写受像シートの搬送性向上機能や、カール防止機能を有する裏面層を用いることが好ましい。
上記搬送性向上機能およびカール防止機能を示す裏面層を構成する材料としては、所望の搬送性やカール防止性を付与できる材料であれば特に限定されないが、通常、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等からなるバインダー樹脂中に、添加剤として充填材を加えたものが用いられる。裏面層は、裏面層形成用材料を適宜溶剤に分散もしくは溶解した裏面層形成用塗工液を、塗布、乾燥することにより形成することができる。
なお、前記裏面層と前記基材との間には、必要に応じて中間層を設けてもよい。中間層としては、上記と同様のものを挙げることができる。
2.熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ
本発明に係る熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ(以下、単に組合せと称する場合がある)は、熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せであって、
前記熱転写受像シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする、熱転写受像シートであり、
前記保護層転写シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に転写性保護層を有する保護層転写シートであり、前記転写性保護層が、アクリル樹脂と、フィラーとを含有することを特徴とする。
前記組合せに用いられる熱転写受像シートとしては、上述した本発明に係る熱転写受像シートを用いることができる。本発明に係る組合せにおいては、前記熱転写受像シートに対して、アクリル樹脂と、フィラーとを含有する転写性保護層を有する保護層転写シートを組合せることにより、保護層のマットモード印画で十分なマット感が得られながら、保護層転写時にシワが発生し難く、且つ、十分な保護層転写性を有することができる。上述した前記熱転写受像シートによる作用に加え、保護層転写シートの転写性保護層に、アクリル樹脂を用いることにより、受容層への転写性が向上するためであると考えられる。また転写性保護層にフィラーを用いることにより、耐ブロッキング性等が向上し、保護層としての機能を発揮することができると考えられる。また、保護層転写シートの転写性保護層に含まれる樹脂と、熱転写受像シートの受容層に含まれる樹脂とがアクリル樹脂同士であるため、前記転写性保護層と前記受容層とは、特に接着性が優れる。
<保護層転写シート>
本発明の組合せに用いられる保護層転写シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に転写性保護層を有し、更に必要に応じてその他の層を有していてもよい。図3に、本発明に用いられる保護層転写シートの一例の断面図を模式的に示す。図3に示す保護層転写シート20は、基材21と、基材21の一方の面に離型層22と、剥離層23と、転写性保護層24とをこの順に有する。
保護層転写シートに用いられる基材としては、例えば、前記本発明に係る熱転写受像シートに用いられる基材と同様のものを用いることができる。
(転写性保護層)
保護層転写シートが有する前記転写性保護層は、アクリル樹脂と、フィラーとを含有する。保護層にアクリル樹脂が含まれることにより、前記熱転写受像シートの前記受容層との親和性が高くなり、保護層転写性が特に優れるようになる。
前記アクリル樹脂としては、前記熱転写受像シートの前記受容層に含まれる水酸基含有アクリル樹脂と同様のものが挙げられる。転写性保護層で用いられるアクリル樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂ではなくても良く、前記受容層に含まれる水酸基含有アクリル樹脂で述べたような、(メタ)アクリル酸とそのエステル類及び他のビニルモノマー等の共重合樹脂を適宜選択して用いることができる。
前記フィラーとしては、特に限定されず、公知の有機フィラー及び無機フィラーを用いることができる。
無機フィラーとしては、例えば、タルク、カオリン等の粘土鉱物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、硫酸カルシウム等の硫酸塩、シリカ等の酸化物、グラファイト、硝石、窒化ホウ素等が挙げられる。
有機フィラーとしては、例えば、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、シリコーン樹脂、ラウロイル樹脂、フェノール樹脂、アセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂等からなる有機樹脂フィラー、またはこれらを架橋剤と反応させた架橋樹脂フィラー、及び、シリコーンゴム、ポリエチレンワックス、ビスアマイド、ポリアマイド等が挙げられる。
前記フィラーとしては、シリコーンレジンパウダーが好ましく、中でもシリコーンレジンパウダー(シロキサン結合が(RSiO3/2)nで表される三次元網目状に架橋した構造を持つ、ポリオルガノシルセスキオキサン硬化物粉末)が、摩擦力、硬度の点から好ましい。
前記フィラーの平均粒径は、特に限定されないが、摩擦力及び表面性の点から、0.5〜3.0μmであることが好ましく、1.0〜2.0μmであることがより好ましい。なお、前記フィラーの平均粒径は、前記無機微粒子の平均粒径と同様である。
また、前記フィラーは、粉状のものであることが好ましく、フィラーの形状は、特に限定されない。フィラーの形状としては例えば、球状、繊維状、不定形状等が挙げられる。
シリコーンパウダーの市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のKMPシリーズ及びX−52シリーズ、東レ・ダウコーニング(株)製のトレフィルシリーズ、日興リカ(株)製のMSPシリーズ及びSilcrusta(登録商標)シリーズ等が挙げられる。これらの中でも、シリコーンレジンパウダーが特に好ましい。
前記フィラーの含有量は、特に限定はされないが、転写性保護層に含まれる全固形分に対して0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることがより好ましい。
前記転写性保護層は、特に限定はされないが、例えば、少なくとも前記アクリル樹脂及び前記フィラーを含有した転写性保護層を形成するための材料を適宜溶剤に分散もしくは溶解して得られた転写性保護層用塗工液を従来公知の塗布方法により塗布し、乾燥する方法により形成することができる。
(剥離層)
本発明に係る保護層転写シートは、転写性保護層の基材からの剥離性を容易にするために、更に剥離層を有していてもよい。剥離層に含まれる樹脂成分としては、保護層転写シートの分野で、剥離性を付与するものとして従来公知のものを用いることができ、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂等の透明性、耐摩耗性、耐薬品性等に優れた樹脂が挙げられる。
また、前記剥離層には、剥離性や、箔切れ性を向上させるためにシリカやアルミナ等の充填材を加えたり、耐摩耗性、滑り性および剥離性をさらに向上させるために、ポリエチレンワックス等のワックス類を添加してもよい。
前記剥離層は、特に限定はされないが、例えば、前記樹脂成分等の剥離層を形成するための材料を適宜溶剤に分散もしくは溶解した裏面層形成用塗工液を、塗布、乾燥することにより形成することができる。前記剥離層の厚みは、特に限定されないが、例えば、乾燥状態で0.2〜5.0g/mとなるように塗工することが好ましい。
(離型層)
本発明に係る保護層転写シートは、離型性を向上させるための離型層を更に設けてもよい。離型層は、転写性保護層を被転写体上に転写する際に基材側に残る層である。すなわち、転写性保護層を構成しない層である。離型層を形成する樹脂としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。また、離型層は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また離型層は、離型性樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。離型層の厚みは特に限定されないが、例えば、乾燥状態で0.2〜5.0g/mとなるように塗工することが好ましい。離型層の形成方法としては、上記樹脂を適当な溶剤により、溶解または分散させて離型層用塗工液を調製し、これを従来公知の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
(背面層)
また、本発明に係る保護層転写シートは、図示はしないが、基材の転写性保護層が設けられている側と反対側の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層を設けてもよい。なお、背面層は本発明の保護層転写シートにおける任意の構成である。
背面層は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。中でも、耐熱性等の点から、ポリアミドイミド系樹脂又はそのシリコーン変性物等を好ましく用いることができる。
また、背面層には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加材が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた背面層用塗工液を、基材上に従来公知の方法により塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層の厚みは、特に限定はされないが、耐熱性等の向上等の点から、塗布量が乾燥状態で0.2g/m〜5.0g/m程度であることが好ましい。
3.印画物
本発明に係る印画物は、熱転写受像シートの受容層に形成された画像上に、保護層が設けられた印画物であって、
前記熱転写受像シートが、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有し、
前記保護層が、アクリル樹脂と、フィラーとを含有することを特徴とする。
本発明に係る印画物においては、熱転写受像シートとしては上述した本発明に係る熱転写受像シートを用いることができ、保護層は、上述した本発明に係る保護層転写シートの転写性保護層が転写されて形成されたものとすることができる。そのため、本発明に係る印画物は、上述した本発明に係る組合せと同様に、保護層のマットモード印画で十分なマット感が得られながら、保護層のシワの発生が抑制されたものとなる。
図4は、本発明に係る印画物を模式的に示す断面図である。図4に示す印画物30は、熱転写受像シート10の受容層13に形成された画像31上に、保護層32が設けられてなる。
本発明に係る印画物は、特に限定はされないが、保護層表面の摩擦係数が、保護層のシワの発生を抑制する点から、0.50以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましく、0.38以下であることが更により好ましく、0.30以下であることが特に好ましい。なお、前記摩擦係数は、本発明の熱転写受像シートの受容層表面と本発明の保護層熱転写シートの表面を重ね合わせたときの当該印画物同士の摩擦係数であり、JIS K 7125の方法により測定した値を意味している。
本発明に係る印画物は、熱転写シートが有する染料層を、前記本発明に係る熱転写受像シートの受容層上に転写して画像を形成し、当該画像上に、前記本発明に係る保護層転写シートの転写性保護層を転写して保護層を形成することにより得ることができる。
画像を形成する方法は、特に限定されず、例えば、熱移行性染料とバインダーとを含有する染料層を設けた従来公知の熱転写シートの染料層と、前記熱転写受像シートの受容層とを重ね合わせ、サーマルヘッド等により当該熱転写シートの背面側から熱を印加して、染料層に含まれる染料を受容層に移行させることで画像形成が行われる。
保護層を形成する方法も、特に限定はされず、受容層に画像が形成された熱転写受像シートの当該画像上に、前記保護層転写シートの転写性保護層を重ね合わせ、サーマルヘッド等により当該保護層転写シートの背面側から熱を印加して、当該画像上に転写性保護層を転写することにより、保護層の形成が行われる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、表1中、水酸基含有アクリル樹脂及びイソシアネート化合物においては、溶液の含有量及び固形分の含有量を各々表し、アクリル樹脂、シリコーン、シリカ微粒子及び有機微粒子においては、固形分の含有量を表す。
(実施例1)
基材(コート紙、厚さ170μm、大王製紙製)の一面側に、下記組成の裏面プライマー層用塗工液を、乾燥状態で1.2g/mとなるように塗工し、110℃で1分間乾燥することにより、裏面プライマー層を形成した。
<裏面プライマー層用塗工液>
・ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製、商品名:バイロナールMD−1480、固形分25質量%) 40質量部
・充填材(ウイルパー・エリス(株)製、商品名:ラポナイトJS) 9質量部
・界面活性剤(信越化学工業(株)製、商品名:ダイノール604) 0.08質量部
・イソプロピルアルコール(IPA)と水の混合溶剤(質量比:IPA/水=1/2) 200質量部
次いで、上記で形成した裏面プライマー層の上に、下記組成の裏面層用塗工液を、乾燥状態で1.0g/mとなるように塗工し、110℃で1分間乾燥することにより、裏面層を形成した。
<裏面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、商品名:BL−7)
・充填材(ナイロンフィラー、平均粒径4μm、神東塗料(株)、商品名:MW330)
・トルエン 150質量部
・IPA 150質量部
次に、前記裏面層が形成されていない側の基材の面に、下記組成の目止め層用塗工液を、乾燥状態で1.0g/mとなるように塗工し、110℃で1分間乾燥することにより、目止め層を形成した。
<目止め層用塗工液>
・ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製、商品名:バイロン200) 10質量部
・メチルエチルケトン(MEK)とトルエン(TOL)の混合溶剤(質量比:MEK/TOL=1/1) 20質量部
前記目止め層上に、下記組成の多孔質層用塗工液1を、乾燥状態で12.0g/mとなるように塗工し、110℃で2分間乾燥することにより、多孔質層を形成した。多孔質層の乾燥後の厚みは30μmであった。
<多孔質層用塗工液1>
・中空粒子(松本油脂製薬製マイクロスフィア(固形分36%)、平均粒径3.5μm、中空率82体積%) 100質量部
・アクリルエステル系ラテックス(日本ゼオン(株)製、商品名:SX1707A、固形分45質量%) 133質量部
・界面活性剤(信越化学工業(株)製、商品名:ダイノール604) 2質量部
・IPAと水の混合溶剤(質量比:IPA/水=3/7) 200質量部
前記多孔質層上に、下記組成のバリア層用塗工液を、乾燥状態で0.5g/mとなるように塗工し、110℃で1分間乾燥することにより、バリア層を形成した。
<バリア層用塗工液>
・アクリル樹脂(三井化学(株)製、商品名:ボンロンB4100、固形分37質量%) 40質量部
・ポリエステル樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:WR905、固形分20質量%) 10質量部
・白色顔料 アナターゼ型酸化チタン(堺化学工業(株)製、商品名:TCA−888) 1質量部
・IPAと水の混合溶剤(質量比:IPA/水=1/1) 50質量部
前記バリア層上に、上記裏面プライマー層と同じ組成の帯電防止層用塗工液を、乾燥状態で1.5g/mとなるように塗工し、110℃で1分間乾燥することにより、帯電防止層を形成した。
前記帯電防止層上に、下記組成の受容層用塗工液を、乾燥状態で3.0g/mとなるように塗工し、110℃で1分間乾燥することにより、受容層を形成した。
<受容層用塗工液>
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基に対する、イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.26
・水酸基含有アクリル樹脂(藤倉化成(株)製、商品名:AH90A、水酸基価 29.7mgKOH/g、固形分26質量%) 100質量部
・イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD110N、イソシアネート基含有割合 11.5質量%、固形分75質量%) 1.74質量部
・両末端カルビノール(ROH)変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF6003) 0.13質量部
・シリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア310P、平均粒径2.7μm)0.128質量部
・MEKとTOLの混合溶剤(質量比:MEK/TOL=1/1) 20質量部
以上により、裏面層/裏面プライマー層/基材/目止め層/多孔質層/バリア層/帯電防止層/受容層の層構成を有する実施例1の熱転写受像シートを得た。
(実施例2)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に含有するシリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア310P)の含有量を、0.128質量部から0.256質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写受像シートを得た。
(実施例3)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に、両末端カルビノール(ROH)変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF6003)を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写受像シートを得た。
(実施例4)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に含有させるイソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD110N、固形分75質量%)の含有量を、1.74質量部から1.58質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写受像シートを得た。なお、実施例4で用いられた受容層用塗工液は、水酸基含有アクリル樹脂の水酸基に対する、イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が0.24であった。
(実施例5)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に含有させるイソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD110N、固形分75質量%)の含有量を、1.74質量部から1.90質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写受像シートを得た。なお、実施例5で用いられた受容層用塗工液は、水酸基含有アクリル樹脂の水酸基に対する、イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が0.28であった。
(実施例6)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に含有するシリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア310P)の含有量を、0.128質量部から0.064質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱転写受像シートを得た。
(実施例7)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に含有させた両末端カルビノール(ROH)変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF6003)の含有量を0.13質量部から0.15質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の熱転写受像シートを得た。
(比較例1)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に、シリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア310P)を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の比較熱転写受像シートを得た。
(比較例2)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に、シリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア310P)を含有させず、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD110N、固形分75質量%)の含有量を1.74質量部から1.90質量部に変更し、両末端カルビノール(ROH)変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF6003)の含有量を0.13質量部から0.15質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の比較熱転写受像シートを得た。なお、比較例2で用いられた受容層用塗工液は、水酸基含有アクリル樹脂の水酸基に対する、イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が0.28であった。
(比較例3)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層にイソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD110N、固形分75質量%)含有させず、水酸基含有アクリル樹脂(藤倉化成(株)製、商品名:AH90A、固形分26質量%)の代わりに、水酸基を含有しないアクリル樹脂(バイロナールBR−80 三菱レイヨン(株)、固形分:100%、Mw:95000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の比較熱転写受像シートを得た。
(比較例4)
実施例1において、熱転写受像シートの受容層に、シリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア310P)の代わりに、有機微粒子(ポリエチレンワックス(ポリワックス3000、東洋ペトロライト(株)製))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の比較熱転写受像シートを得た。
(製造例1:保護層転写シートの作製)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この基材の一方の面に、下記組成の離型層用塗工液を、乾燥状態で1.0g/mとなるように塗工し、乾燥することにより、離型層を形成した。
<離型層用塗工液>
・シリコーン変性アクリル系樹脂 45.7質量部
(セルトップ226、ダイセル化学(株)製)
・アルミ触媒 8.5質量部
(セルトップCAT−A、ダイセル化学(株)製)
・メチルエチルケトン 22.9質量部
・トルエン 22.9質量部
前記離型層上に、下記組成の剥離層用塗工液を、乾燥状態で0.8g/mとなるように塗工し、乾燥することにより、剥離層を形成した。
<剥離層用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20質量部
(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製)
・トルエン 40質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
前記剥離層上に、下記組成の転写性保護層用塗工液を、乾燥状態で0.9g/mとなるように塗工し、乾燥することにより、転写性保護層を形成した。
<転写性保護層用塗工液>
・アクリル樹脂(藤倉化成(株)製、商品名:AH90A、固形分26質量%) 67質量部
・シリコーンレジンパウダー(信越化学工業(株)製、商品名:KMP−590、平均粒径2.0μm) 0.6質量部
・MEKとTOLの混合溶剤(質量比:MEK/TOL=1/1) 30質量部
基材の他方の面に下記組成の背面層用塗工液を、乾燥状態で0.5g/mとなるように塗工し、乾燥することにより、背面層を形成した。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂 13.6質量部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート硬化剤 0.6質量部
(タケネートD218、武田薬品工業(株)製)
・リン酸エステル 0.8質量部
(プライサーフA208S、第一工業製薬(株)製)
・メチルエチルケトン 42.5質量部
・トルエン 42.5質量部
以上により、背面層/基材/離型層/剥離層/転写性保護層の層構成を有する保護層転写シートを得た。
(製造例2:熱転写シートの作製)
基材シートとして厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラー)を用い、その基材シートの一方の面に、下記組成の耐熱滑性層形成用塗工液をグラビアコーティング法で、乾燥後1.0g/mの厚さになるように塗工、乾燥することにより耐熱滑性層を形成した。
<耐熱滑性層形成用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製) 4.55質量部
・ポリイソシアネート(バーノックD750−45、固形分45質量%、大日本インキ化学工業(株)製) 21.0質量部
・リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製) 3.0質量部
・金属石鹸(LBT1830、堺化学工業(株)製) 0.45質量部
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製) 0.3質量部
・メチルエチルケトン 100.0質量部
・トルエン 100.0質量部
上記の基材シートの耐熱滑性層を設けた面とは反対側の面に、下記組成のイエロー、マゼンタ、シアンの各染料層用塗工液を、それぞれ固形分換算で1.0g/mの割合で、グラビアコーティング法で塗工、乾燥することにより、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層を形成した。
<イエロー染料層用塗工液>
・分散染料(ホロンブリリアントイエロー−S−6GL) 5.5質量部
・バインダー樹脂 4.5質量部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製) 0.1質量部
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45.0質量部
・トルエン 45.0質量部
<マゼンタ染料層用塗工液>
・分散染料(MSレッドG) 1.5質量部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2.0質量部
・バインダー樹脂(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製) 4.5質量部
・リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製) 0.1質量部
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45.0質量部
・トルエン 45.0質量部
<シアン染料層用塗工液>
・分散染料(カヤセットブルー714) 4.5質量部
・バインダー樹脂(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製) 4.5質量部
・リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製) 0.1質量部
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 45.0質量部
・トルエン 45.0質量部
(評価)
(1)保護層転写性
各実施例及び各比較例で得られた熱転写受像シートと、上記で得られた保護層転写シートと熱転写シートとを組み合わせて、昇華型熱転写プリンター(大日本印刷(株)製、SL−20)を用い、グロスモードにて、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層の順に印画を行い、黒ベタ画像を5枚印画した。得られた印画物を目視観察し、下記評価基準により保護層転写性について評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:保護層が正常に転写された。
B:保護層転写欠けが発生した。
(2)保護層のシワの発生
各実施例及び各比較例で得られた熱転写受像シートと、上記で得られた保護層転写シートと熱転写シートとを組み合わせて、昇華型熱転写プリンター(大日本印刷(株)製、SL−20)を用い、マットモードにて、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層の順に印画を行い、グレーベタ画像を40枚印画した。得られた印画物を目視観察し、下記評価基準により保護層のシワの発生について評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:十分なマット感が得られ、且つ保護層にシワが発生した印画物がなかった。
B:十分なマット感が得られたものの、保護層にシワが発生した印画物が1〜4枚あった。
C:十分なマット感が得られたものの、保護層にシワが発生した印画物が5枚以上あった。
(3)カット屑蓄積性
各実施例及び各比較例で得られた熱転写受像シートと、上記で得られた保護層転写シートと熱転写シートとを組み合わせて、昇華型熱転写プリンター(大日本印刷(株)製、DS−SL10)を用い、グロスモードにて、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層の順に印画を行い、自然画像をLサイズで1巻を完全に使い切るまで印刷を行った。回収容器に回収されるカット屑の量及び印画物を確認し、下記評価基準によりカット屑蓄積性について評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:カット屑が溢れなかった。
B:カット屑が溢れ、印画物と供に排出された。
(4)離型性
各実施例及び各比較例で得られた熱転写受像シートを、上記で得られた保護層転写シートと熱転写シートとを組み合わせて、昇華方熱転写プリンター(大日本印刷(株)製、DS−SL10)を用い、グロスモードにて、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層の順に印画を行い、黒ベタ画像を2Lサイズにて、温度40℃、湿度30%の印画環境で、それぞれ印画し、下記評価基準により離型性について評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:印画ジャム(紙詰まり)が発生しなかった。
B:印画ジャム(紙詰まり)が発生した。
(5)摩擦係数の測定
前記カット屑蓄積性の評価で作製した印画物(被転写体)同士の(印画物の表面と印画物の裏面を重ね合わせるようにして)摩擦係数をJIS K 7125の方法により測定した。測定結果を表1に示す。摩擦係数は、本発明の熱転写受像シートの受容層表面と本発明の保護層熱転写シートの表面を重ね合わせたときの当該印画物同士の摩擦係数であり、JIS K 7125の方法により測定した値を意味している。
Figure 2015174328
(結果のまとめ)
実施例1〜7で得られた熱転写受像シートを用いた印画物は、熱転写シートの受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有するものであったため、グロスモードの際の保護層の転写性に優れ、マットモードの際に十分なマット感が得られながら保護層にシワが発生せず、カット屑蓄積性にも優れ、さらに印画ジャムが発生しなかった。
一方、比較例1及び2で得られた比較熱転写受像シートを用いた印画物は、受容層が無機微粒子を含有しないものであったため、保護層にシワが発生し、カット屑蓄積性にも劣っていた。
比較例3で得られた比較熱転写受像シートを用いた印画物は、水酸基含有アクリル樹脂の代わりに、水酸基を含有しないアクリル樹脂を用いたため、保護層にシワが発生し、印画ジャムが発生した。
比較例4で得られた比較熱転写受像シートを用いた印画物は、受容層が無機微粒子を含有せず、有機微粒子を含有するものであったため、保護層転写性に劣り、保護層にシワが発生し、カット屑蓄積性にも劣っていた。
10 熱転写受像シート
11 基材
12 多孔質層
13 受容層
14 目止め層
15 中間層
16 裏面層
20 保護層転写シート
21 基材
22 離型層
23 剥離層
24 転写性保護層
30 印画物
31 画像
32 保護層

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、
    前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、
    前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする、熱転写受像シート。
  2. 前記イソシアネート化合物の含有量が、前記水酸基含有アクリル樹脂が含有する水酸基に対して0.20〜0.30当量である、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記無機微粒子の含有量が、前記水酸基含有アクリル樹脂100質量部に対して、0.05〜1質量部である、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
  4. 熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せであって、
    前記熱転写受像シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有することを特徴とする、熱転写受像シートであり、
    前記保護層転写シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に転写性保護層を有する保護層転写シートであり、前記転写性保護層が、アクリル樹脂と、フィラーとを含有することを特徴とする、熱転写受像シートと保護層転写シートとの組合せ。
  5. 熱転写受像シートの受容層に形成された画像上に、保護層が設けられた印画物であって、
    前記熱転写受像シートが、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、前記基材側から多孔質層と受容層とをこの順に有し、前記受容層が、水酸基含有アクリル樹脂と、イソシアネート化合物と、無機微粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物であり、前記多孔質層が、中空粒子と、バインダー成分とを含有し、
    前記保護層が、アクリル樹脂と、フィラーとを含有することを特徴とする、印画物。
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