JP7302149B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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詳しく説明すると、昇華型熱転写方式にて熱転写受像シートに印画する(すなわち、サーマルヘッド等の加熱手段による加熱にて熱転写シートの染料を熱転写受像シートの所定領域に転写する)際に、熱転写受像シートの表面に凹凸形状が存在すると、その凹凸形状により、熱転写シートとサーマルヘッドとの密着性(追従性)が阻害される。これにより、サーマルヘッドから十分に熱が伝えられない領域が熱転写シートや熱転写受像シートに部分的に発生する。その結果、サーマルヘッドによる熱が十分に伝わらなかった領域に白抜けが生じてしまう。
また、熱転写シートの印画物の課題として、白抜けとは別に濃度不足がある。濃度不足は、印画物の色濃度が低くなってしまう現象である。濃度不足は、熱転写シートの断熱性が不足することにより、プリンタ印画時の熱が失われて昇華転写が不十分になることで生じると考えられる。
そこで、本発明は、少なくとも白抜けの発生を抑制することができる熱転写受像シートを提供することを目的とする。
HM≦433.2-256.7×Wv ・・・(1)
また、上記の熱転写受像シートにおいて、前記断熱層の空隙率が52%以上56%以下であってもよい。
また、上記の熱転写受像シートは、前記基材シートと前記断熱層との間に配置されるクッション層、をさらに備えてもよい。
また、以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置については、その記載を省略している。
図1は、本発明の実施形態に係る熱転写受像シートの構成例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る熱転写受像シート1は、基材10と、基材10の一方の面10a側に配置される中間層20及び受容層30と、基材の10の他方の面10b側に配置される裏面層40と、を備える。基材の一方の面側に、中間層20と受容層30とがこの順に積層されている。また、中間層20は、少なくとも断熱層22を含む1層または複数の層で構成される。以下、熱転写受像シート1の構成を具体的に説明する。
本発明の実施形態に係る基材10は、中間層20と、受容層30とを保持するという役割を有する。また、基材シート10は、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明の実施形態によれば、基材シート10と受容層30の間に少なくとも断熱層22を含む1層または複数の層の中間層20を設ける。
(断熱層)
本発明の実施形態に係る断熱層22は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材シート10等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。基材シート10の一方の面に設けられた断熱層22は、従来公知のもので対応でき、中空粒子とバインダー樹脂によって構成されるものや、発泡ポリプロピレンフィルムや発泡ポリエチレンテレフタレート等の発泡フィルムなどを用いたもの、さらに発泡フィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた断熱層を挙げることができる。ただし、発泡フィルムなどを用いた断熱層は、コストの面、基材と貼り合わせ行程に発生するカールを考慮すると、断熱層22には、中空粒子を用いた断熱層を用いるのが好ましい。
本発明の実施形態に係る中間層20は、基材シート10と断熱層22の間に配置される1層以上のクッション層21を有してもよい。
クッション層21は印画時におけるプラテンローラとサーマルヘッド間の加圧による収縮で、熱転写受像シート1の凹凸を吸収することにより、サーマルヘッドから均一な加熱をさせる機能を持つ層である。同様の機能は基材シート10と断熱層22にもあるが、それだけでは不十分な場合にクッション層21が設けられているとよい。
クッション層21には、スチレン-ブタジエン共重合体(スチレンブタジエンゴム(SBR))、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBRラテックス)、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体(MBRラテックス)、スチレン-ブタジエンアクリル系共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂を単独または2種類以上を混合して用いることができる。
熱転写受像シート1において、熱転写受像シート1の表面に凹凸があると、印画時に熱転写受像シート1と感熱転写記録媒体との接触面積が不均一となり、サーマルヘッドから感熱転写記録媒体を介して熱転写受像シート1に加えられる熱にムラが生じる。この加熱ムラが原因で、白抜け、濃淡ムラが発生する。これを防ぐために、熱転写受像シート1は、凹凸を吸収するクッション性を有することが好ましい。要求されるクッション性は、熱転写受像シート1の表面の凹凸によって異なる。必要なクッション性を満たすための熱転写受像シート1の特性は以下のとおりである。
HM≦433.2-256.7×Wv ・・・(1)
(ii)HMが30N/mm2以上であること。
一方で、例え式(1)が成立ったとしてもHMが30N/mm2未満であると、クッション性の効果では相殺しきれない微細な凹凸の影響が出て印画時に濃淡ムラが発生してしまい、良好な印画品質を得られなくなってしまう。
クッション層21の膜厚は、特に範囲を定めないが、素材の材質に応じて、前述の(i)(ii)を満たす範囲にする必要がある。
(断熱層の空隙率)
熱転写受像シート1において、断熱層22の空隙率が52%以上であれば、印画物に十分な濃度が得られる。しかし、空隙率が52%未満であると断熱性が不足し、プリンタ印画時の熱が失われて濃度不足となってしまう。
ここで、断熱層22の空隙率とは、熱転写受像シート1の断熱層22の断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scannig Electron Microscope)で撮影し、その画像における物質面積および視認可能な空隙の面積を解析し、空隙面積を全面積で割った値である。
なお、SEM画像において、断熱層22を形成する材料と隙間とを識別する手法として、材料と空隙とでは、その画像中の色の濃さが異なることを利用した2値化、あるいは、材料と隙間との境界を検出するエッジ検出が好ましい。さらに、断熱層22を形成する材料が特有の形状を持っている場合には、マッチング等の画像処理を用いることで、材料と隙間とを高精度に判別することが可能となる。
本発明の実施形態に係る中間層20は、断熱層22と受容層30の間に配置される1層以上の下引き層23を有してもよい。中間層20に下引き層23を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、層間接着、白色付与、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。下引き層23の形成手段としては公知の手段を用いることができる。例えば、下引き層23として、蛍光増白剤、無機微粒子、中空微粒子、および導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
本発明の実施形態に係る受容層30は、熱転写による画像形成時に感熱転写記録媒体から転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層30に保持することで、受容層30の面に画像を形成かつ維持することができる。受容層30は、バインダー樹脂と、離型剤、硬化剤を含んでもよい。好ましい態様によれば、受容層30は、界面活性剤や、造膜助剤を各種目的に応じてさらに含んでもよい。
受容層30に含有される硬化剤としては、例えばイソシアネート系硬化剤等が使用できる。イソシアネート系硬化剤としてはポリイソシアネート樹脂を好ましく使用することができる。ポリイソシアネート樹脂としては、従来種々のものが知られているが、そのうち芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又は、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、trans-シクロヘキサン、1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又は、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
本発明の実施形態に係る裏面層40は、プリンタ搬送性向上や、受容層30とのブロッキング防止、印画前後の熱転写受像シートのカール防止のために設けられる。裏面層40に用いられる材料としては従来公知のもので対応でき、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド等のバインダー樹脂を用いることができる。また、裏面層40は、必要に応じてフィラーや帯電防止剤等の、公知の添加剤を含有しても良い。
(I)本発明の実施形態に係る熱転写受像シート1は、少なくとも、基材シート10、断熱層22、及び受容層30がこの順で積層されてなる。熱転写受像シート1の受容層30側から測定したうねり曲線の最大谷深さ(JIS0601:2013)をWv[単位:μm]とする。熱転写受像シート1の受容層30側より測定したマルテンス硬さ(ISO14577)をHM[単位:N/mm2]とする。このとき、式(1)が成り立つ。
HM≦433.2-256.7×Wv ・・・(1)
これにより、熱転写受像シート1の凹凸が印画時の加圧による収縮で吸収される。熱転写受像シート1と感熱転写記録媒体との接触面積が均一になり、加熱ムラが低減されるため、少なくとも白抜けの発生が抑制される。熱転写受像シート1を用いた印画物では、実用レベルで、白抜けは発生しない。
(III)また、本実施形態に係る熱転写受像シート1では、断熱層22の空隙率が52%以上56%以下であるとしている。これにより、熱転写受像シート1の印画物に十分な濃度が得られ、かつ濃淡ムラが低減された良好な画質が得られる。熱転写受像シート1を用いた印画物では、実用レベルで、濃淡ムラは発生しない。
(IV)また、本実施形態に係る熱転写受像シート1は、基材シート10と断熱層22との間に配置されるクッション層21、をさらに備える。クッション層21の厚さは、9.0μm以上である。クッション層21は、印画時に加圧されて収縮する。これにより、熱転写受像シート1の凹凸が吸収されるため、加熱ムラの低減に寄与することができる。
<<熱転写受像シート>>
<基材シート>
パターニングされた銅版に、UV硬化樹脂(商品名KR2000、(株)ADEKA)を塗布し、その上に厚さ188μmのPETフィルム(商品名コスモシャインA4100、東洋紡(株))を載せた。PETフィルムの一方の面が、UV硬化樹脂を介して、パターニングされた銅版と対向している。PETフィルムの反対面よりUV光を照射し、UV硬化樹脂を硬化させた。これにより、PETフィルムの一方の面に任意の凹凸パターンが形成された基材シートができる。そして、この基材シートを用いることにより、受容層側から評価したWvが任意である熱転写受像シートを作製することができる。ここでは熱転写受像シートの受像層側から評価したWv(以下、熱転写受像シートのWv)が1.55μmとなるようにした。
次に、基材シートの凹凸パターンが形成された面側に、乾燥後の膜厚が24.0μmとなるようにクッション層用塗布液を塗工した。
「クッション層用塗布液」
・スチレン・ブタジエンゴム溶液
(商品名Nipol LX110、日本ゼオン(株))(固形分40.5%)
74.07部
・純水 25.93部
基材シートのクッション層上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように断熱層用塗布液1を塗工し、断熱層を形成した。
「断熱層用塗布液1」
・ゼラチン(商品名:SN、新田ゼラチン(株))水溶液(固形分30%)
19.35部
・中空粒子(商品名:SN-1055、ダウケミカル日本(株)、固形分26.5%)
51.70部
・純水 27.45部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE-02、ナガセケムテックス(株)製)
1.50部
基材シートの断熱層上に、乾燥後の膜厚が1μmとなるように下引き層用塗布液を塗工し、下引き層を形成した。
「下引き層用塗布液」
・ポリエステル(バイロナールMD-1480、固形分25%、東洋紡積社製)
100部
・純水 25部
基材シートの断熱層上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるように受容層用塗布液を塗工して受容層を形成し、熱転写受像シートを得た。
「受溶層用塗布液」
・塩化ビニル系エマルジョン
(ビニブラン900、日信化学工業(株)、Tg=70℃、固形分=40%)
100.00部
・エチレングリコールジエチルエーテル 0.25部
・シリコーン離型剤
(ジメチルシリコン NP2406、旭化成ワッカーシリコン(株)、固形分=60%)
0.17部
・イソシアネート系硬化剤(型番:DNW-6000、DIC(株)) 1.29部
クッション層の膜厚が22.5μmであること以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(実施例3)
熱転写受像シートのWvが1.31μmであること以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(実施例4)
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が22.5μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が17.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(実施例6)
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が15.5μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(実施例7)
熱転写受像シートのWvが1.11μmであること以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
熱転写受像シートのWvが1.11μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が22.5μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(実施例9)
熱転写受像シートのWvが1.11μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が17.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(実施例10)
熱転写受像シートのWvが1.11μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が9.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
断熱層に断熱層用塗布液2を用いたこと以外は実施例5と同様に熱転写受像シートを作製した。
「断熱層用塗布液2」
・ゼラチン(商品名:SN、新田ゼラチン(株))水溶液(固形分30%)
25.19部
・中空粒子(商品名:SN-1055、ダウケミカル日本(株)、固形分26.5%)
44.53部
・純水 28.33部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE-02、ナガセケムテックス(株)製)
1.95部
断熱層に断熱層用塗布液3を用いたこと以外は実施例5と同様に熱転写受像シートを作製した。
「断熱層用塗布液3」
・ゼラチン(商品名:SN、新田ゼラチン(株))水溶液(固形分30%)
22.30部
・中空粒子(商品名:SN-1055、ダウケミカル日本(株)、固形分26.5%)
44.08部
・純水 27.90部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE-02、ナガセケムテックス(株)製)
1.72部
断熱層に断熱層用塗布液3を用いたこと以外は実施例5と同様に熱転写受像シートを作製した。
「断熱層用塗布液4」
・ゼラチン(商品名:SN、新田ゼラチン(株))水溶液(固形分30%)
16.28部
・中空粒子(商品名:SN-1055、ダウケミカル日本(株)、固形分26.5%)
55.47部
・純水 26.99部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE-02、ナガセケムテックス(株)製)
1.26部
断熱層に断熱層用塗布液3を用いたこと以外は実施例5と同様に熱転写受像シートを作製した。
「断熱層用塗布液5」
・ゼラチン(商品名:SN、新田ゼラチン(株))水溶液(固形分30%)
14.69部
・中空粒子(商品名:SN-1055、ダウケミカル日本(株)、固形分26.5%)
57.43部
・純水 26.75部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE-02、ナガセケムテックス(株)製)
1.13部
断熱層に断熱層用塗布液3を用いたこと以外は実施例5と同様に熱転写受像シートを作製した。
「断熱層用塗布液6」
・ゼラチン(商品名:SN、新田ゼラチン(株))水溶液(固形分30%)
9.83部
・中空粒子(商品名:SN-1055、ダウケミカル日本(株)、固形分26.5%)
63.40部
・純水 26.01部
・エポキシ架橋剤(商品名:カルボジライトE-02、ナガセケムテックス(株)製)
0.76部
クッション層の乾燥後の膜厚が21.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(比較例2)
クッション層の乾燥後の膜厚が17.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(比較例3)
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が14.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が11.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(比較例5)
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が9.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(比較例6)
熱転写受像シートのWvが1.31μmであることと、クッション層を設けないこと以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
熱転写受像シートのWvが1.11μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が6.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(比較例8)
熱転写受像シートのWvが1.11μmであることと、クッション層の乾燥後の膜厚が3.0μmになるようにした以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
(比較例9)
熱転写受像シートのWvが1.11μmであることと、クッション層を設けないこと以外は実施例1と同様に熱転写受像シートを作製した。
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層用塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の熱転写層用塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、感熱転写記録媒体を得た。
・シリコーン系アクリルグラフトポリマー 50.00部
(東亜合成(株)US-350)
・メチルエチルケトン 50.00部
・C.I.ソルベントブルー36 2.50部
・C.I.ソルベントブルー63 2.50部
・ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
・トルエン 45.0部
・メチルエチルケトン 45.0部
実施例1~15、比較例1~9の熱転写受像シートと感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、白抜け、濃淡ムラ、濃度を評価した。印画は全て下記の条件で行っている。
・印画環境:23℃50%RH
・印加電圧:24V
・印画速度:10inch/sec
・印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
実施例1~15、比較例1~9の熱転写受像シートに感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物の白抜けを評価した。評価画像は、中間の階調のベタ画像を用いた。
なお、評価基準は以下のとおりで、△以上が実用上問題ないレベルである。
○:白抜けが、認められない
△:白抜けが、ごく僅かに認められる
×:白抜けが、全面で認められる
実施例1~15、比較例1~9の熱転写受像シートに感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物の濃淡ムラを評価した。評価画像は、中間の階調のベタ画像を用いた。
なお、評価基準は以下のとおりで、△以上が実用上問題ないレベルである。また、白抜けが発生すると濃淡ムラの判別ができなくなるため、白抜け評価が×の場合は濃淡ムラを評価不能とした。
○:濃淡ムラが、認められない
△:濃淡ムラが、ごく僅かに認められる
×:濃淡ムラが、全面で認められる
実施例1~15、比較例1~9の熱転写受像シートに感熱転写記録媒体を使用し、サーマルシミュレーターにて印画を行い、印画物の濃度を評価した。評価画像は、高階調のベタ画像を用いた。評価結果を表1示す。
なお、評価基準は以下のとおりで、△以上が実用上問題ないレベルである。また、白抜けが発生すると濃度の評価ができなくなるため、白抜け評価が×の場合は濃度を評価不能とした。
○:濃度が十分に高い
△:濃度がやや不足している
×:濃度が不足している
一方、上記で白抜けが発生しなかった実施例1~10において、HMが30N/mm2以上である実施例2、4、5、6、8、9、10では濃淡ムラが発生せず、HMが30N/mm2未満である実施例1、3、7では濃淡ムラが発生した。このことから、濃淡ムラを発生させないためには、HMを30N/mm2以上にする必要があることがわかった。
一方、上記の実施例5、11~15において、断熱層の空隙率が56%以下である実施例5、11~13では濃淡ムラが発生しなかったが、断熱層の空隙率が56%を超える実施例14、15では濃淡ムラが発生してしまった。このことから、濃淡ムラが発生しないようにするためには断熱層の空隙率を56%以下にする必要があることがわかった。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
10:基材シート
20:中間層
21:クッション層
22:断熱層
23:下引き層
30:受容層
40:裏面層
Claims (5)
- 基材シートと、
前記基材シートの一方の面側に配置される受容層と、
前記基材シートと前記受容層との間に配置される断熱層と、を少なくとも備える熱転写受像シートであって、
当該熱転写受像シートの前記受容層側から測定したうねり曲線の最大谷深さ(JIS0601:2013)をWv[単位:μm]とし、
当該熱転写受像シートの前記受容層側より測定したマルテンス硬さ(ISO14577)をHM[単位:N/mm2]とすると、
式(1)が成立ち、
前記断熱層が、発泡ポリプロピレンフィルム、又は発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
前記基材シートと前記断熱層との間に配置され、且つ前記基材シートと前記断熱層とにそれぞれ接するクッション層をさらに備え、
前記クッション層が、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、及びスチレン-ブタジエンアクリル系共重合体の少なくとも1種で形成された層であることを特徴とする熱転写受像シート。
HM≦433.2-256.7×Wv ・・・(1) - 前記HMが30N/mm2以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記断熱層の空隙率が52%以上56%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
- 前記クッション層の厚さが9.0μm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 前記クッション層が、中空粒子を含まないこと、又は発泡フィルムでないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
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