JP2017159631A - 昇華型プリンタ用受像シート - Google Patents
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Abstract
Description
昇華型の熱転写記録方式では、イエロー、マゼンタ、シアンの3色、あるいはこれら3色にブラックを加えた4色の昇華性染料をそれぞれフィルム上に塗布して各色の染料層を設けた熱転写シート(以下、「インクリボン」とも記す。)の染料層面と、染料を受容するためのインク受容層を支持体上に設けた被熱転写シート(「受容シート」、「熱転写受像シート」とも称される。以下、「受像シート」と記す。)のインク受容層面とを重ね合わせ、画像情報に応じ、インクリボンの背面側に配置したサーマルヘッドの熱により染料層中の昇華性染料をインク受容層中に移行(転写)させる。サーマルヘッドの加熱エネルギーを制御することで濃度階調が制御される。インクリボンの各色の染料を順次繰り返し転写することでフルカラー画像が形成される。
一般的な昇華型プリンタでは、印刷の際、シート送りロールを回転させながら受像シートに接触させて該受像シートを送り出している。具体的には、一対のロールの間に受像シートを挟み、ロールを回転させることで受像シートを移動させている。ロールの回転方向を変えることで、受像シートを往復移動させることができる。前記シート送りロールとしては、シート送り中の受像シートの位置ズレ、それに伴う印刷ズレを防止するために、表面に凹凸が形成されているエンボスロールが汎用されている。
シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタで両面印刷を行う場合、第一面印刷の際に印刷前の第二面が前記シート送りロールにより圧縮され、該ロールの表面形状が転写された凹凸状のロール痕(「圧痕」、「グリップ痕」とも称される。)が第二面に形成されてしまう。続く第二面印刷において、この圧痕の特に凹部にはインクリボンが接触しにくく昇華性染料が転写されにくいため、第二面には染料の転写不良に伴う濃度低下、未転写(白抜け)といった印刷画像の異常が発生しやすい問題があった。
このような問題に対し、シート状の芯材の両面にそれぞれ支持層を介してインク受容層が配置され、該インク受容層の少なくとも一方が前記支持層上にアンダー層を介して配置されている両面印刷用熱転写受像シートが提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の両面印刷用熱転写受像シートによれば、昇華型プリンタを用いた両面印刷において、ロール痕が形成された面に印刷する場合に良好な画像を得ることができる。しかし、印刷品位に対する要求はさらに高まっており、ロール痕を更に低減できる技術が求められる。
図1は、本発明の第一実施形態の受像シート10の模式断面図である。
受像シート10は、シート状の芯材1の一方の面上に、第一支持層2および第一インク受容層3がこの順に積層し、芯材1の他方の面上に、第二支持層4、クッション層6および第二インク受容層5がこの順に積層した構成を有する。
受像シート10の第一インク受容層3側の表面10aが第一面であり、第二インク受容層5側の表面10bが第二面である。
なお、図1中の受像シート10における各層の比率は便宜上のものであり、これに限定されることなく自由に選択、設計することができる。後述する実施形態においても同様である。
以下、第一支持層2および第二支持層4をまとめて「支持層」とも記す。第一インク受容層3および第二インク受容層5をまとめて「インク受容層」とも記す。第一面および第二面をまとめて「印刷面」とも記す。
芯材1としては、紙、不織布、織布、高分子フィルム、これらを複数組み合わせた積層体等が挙げられる。該積層体としては、例えば紙の片面または両面に高分子フィルムが配置された積層体、複数の高分子フィルムが積層した積層体等が挙げられる。高分子フィルムは、内部に気泡を持つ発泡フィルムであってもよく、未発泡のフィルムであってもよい。
高分子フィルムは、透明フィルムでもよいが、普通紙と同様に扱えるような隠蔽性を得るには有色に着色もしくは加工されたフィルムであることが好ましい。特にフルカラー熱転写画像の色彩を良く再現する熱転写受像シート用の芯材とするためには、白色フィルムが好ましい。
支持層(第一支持層2、第二支持層4)は、印刷面(第一面、第二面)に印刷される画像の印刷濃度、鮮明性、淡色部のムラに影響するため、耐熱性、光沢性、平滑性に優れるものであることが好ましい。
また、支持層は、断熱性に優れることが好ましい。これにより、印刷の際にサーマルヘッドの熱をインク受容層に適切に保持させることができ、印刷を高感度、十分な画像濃度で行うことができ、均一かつ高品質な画像が得られる。
上記の中でも、受像シート10の印刷面に十分な平滑性および断熱性を付与できる点で、高分子フィルムが好ましい。また、内部に気泡を持つことから断熱性が高く、サーマルヘッドの熱を逃がすことなくインクリボンに伝導でき、インクの昇華が確実に行われるようにできる点で、発泡フィルムが好ましい。
発泡フィルムとしては、例えば発泡ポリプロンピレンシート(発泡OPP)である合成紙ユポ(王子油化合成紙社製)、トヨパールSS(東洋紡績社製)、パイレンフィルム(東洋紡績社製)、クリスパー(東洋紡績社製)、W−900(ダイヤホイルヘキスト社製)、E−60(東レ社製)等が挙げられる。
これらの中でも、平滑性および断熱性の点で、ポリオレフィン発泡フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
第一支持層2および第二支持層4それぞれの材質や厚さは同じでもよく異なってもよい。
インク受容層(第一インク受容層3、第二インク受容層5)は、インクリボンからの染料を受容するための層である。
インク受容層としては、特に限定されず、公知のものと同様であってよい。
インク受容層としては、例えば染料が染着し易い樹脂を含む層が挙げられる。インク受容層は、前記樹脂に加えて、画像を形成する時にインクリボンとの熱融着を防ぐために、離型剤をさらに含んでもよい。インク受容層は、必要に応じて、前記樹脂および離型剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
前記樹脂の含有量は、インク受容層の全質量に対して90質量%以上が好ましく、100質量%であってもよい。
離型剤の含有量は、前記樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましい。0.01質量部未満では十分な離型効果が発現できず、画像形成時にインクリボンへ熱融着する恐れがある。20質量部を超えると、過剰な離型剤が表面に染み出す恐れがある。
例えば受像シートの色目を調節する目的で、蛍光増白剤、顔料、染料等をインク受容層に含有させることができる。受像シートの過剰な帯電を防止する目的で、帯電制御剤をインク受容層に含有させることができる。
蛍光増白剤としては、アミノスチルベンのスルホン酸誘導体系、イミダゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、クマリン系、ナフタルイミド系、ピラゾリン系等が挙げられる。
蛍光増白剤の含有量は、白色顔料100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましい。0.5質量部未満では白色性を向上させる効果が不十分となる恐れがある。10質量部を超えて添加することも可能ではあるが、それ以上の白色性向上の効果はあまり期待できず、コスト高になるだけとなってしまう恐れがある。また、10質量部よりはるかに過剰に添加した場合には、受像シートの普通紙に近い風合いを損ねる恐れもある。
帯電制御剤としては、一般的に使用されている種々の帯電防止剤を用いることができ、例えばカルボン酸、スルホネート、サルフェート等のアニオン系低分子型帯電防止剤;4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等のカチオン系低分子型帯電防止剤;多価アルコール誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体等の非イオン系低分子型帯電防止剤;両性系帯電防止剤;ホウ素化合物、含窒素化合物、含硫黄化合物、グアニジン塩等の帯電防止剤;錯化合物系帯電防止剤;脂肪族化合物、芳香族化合物等の帯電防止性可塑剤;ポリエチレンオキシド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カルボベタイングラフト共重合体、高分子電荷移動型結合体等の高分子型帯電防止剤;グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤型帯電防止剤;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤型帯電防止剤;テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤型帯電防止剤;アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤型帯電防止剤;ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子;アルミニウム、銅、ニッケル、鉄等の金属フィラー;カーボン、導電性ウィスカ等が挙げられる。これら帯電防止剤は、単独で使用してもよく、必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
受像シート10の両面の印刷品質を均等にする観点では、第一インク受容層3および第二インク受容層5の性状を同等にすることが好ましい。
受像シート10の第一面と第二面とで光沢、地色、発色、濃度等の印字品質を異ならせたい場合には、敢えて各層の性状を適宜異ならせた設計とすることもできる。
クッション層6は、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含む。これにより、昇華型プリンタでの第一面への印刷時に受像シート10に熱がかかったときに、クッション層6が柔らかくなり、クッション性を示す。また、該熱可塑性樹脂は接着性を有しており、第二支持層4と第一インク受容層5との層間密着性の向上に寄与する。
ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を含む樹脂であり、例えばエステル・エーテル系、エーテル系、エステル系、カーボネート系、芳香族イソシアネート系等が挙げられる。各々のポリウレタン樹脂は、変性されていてもよい。これらはいずれか1種を単独で使用してもよく、必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。上記の中でも、芳香族イソシアネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。
上記スチレン系単量体としては、特に限定されず公知の化合物を用いることができる。例えば、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン等のアルキルスチレン;4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン;3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
アクリル系単量体としては、特に限定されず公知の化合物を用いることができる。例えばアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
クッション層6の2.0質量%熱分解温度の上限は、ロール痕の抑制の点では特に限定されないが、層間の接着性を担保するという点においては、300℃以下が好ましい。
2.0質量%熱分解温度は、TG−DTA(示差熱・熱重量同時)測定により求められる。詳しい測定条件は後述の実施例に示すとおりである。
クッション層6の2.0質量%熱分解温度は、例えば、クッション層6の構成成分である熱可塑性樹脂の分子量を増すこと、又は架橋点間分子量を小さくする(重合度を高める)等によって調整することができる。
受像シート10全体の厚さは、適宜設定でき、特に限定されないが、通常、100〜300μm程度とされる。受像シート10の厚さが前記範囲内であれば、プリンター内でのシートの搬送性、カッター適正を良好保てるだけでなく、ロール痕の原因となる搬送ローラとの接触圧を適正に維持する効果をも奏する。
受像シート10の製造方法としては、特に限定されないが、以下の工程(A1)、(A2)を有する製造方法が好ましい。
(A1)第二支持層4の一方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層6を形成し、該クッション層6上に第二インク受容層5を形成して積層シート(a2)を得る工程。
(A2)第一支持層2とその一方の面上に積層した第一インク受容層3とを有する積層シート(a1)の第一支持層2側の面を芯材1の一方の面に、前記積層シート(a2)の第二支持層4側の面を芯材1の他方の面にそれぞれ貼り合わせる工程。
クッション層6を形成するための塗工液(以下、クッション層用塗工液とも記す。)は、ポリウレタン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含む。必要に応じて、前記熱可塑性樹脂以外の他の成分をさらに含んでもよい。前記熱可塑性樹脂、他の成分はそれぞれクッション層6の説明で挙げたものと同様である。
液状媒体としては、例えば水、有機溶剤等が挙げられる。
クッション層用塗工液としては、例えば、前記熱可塑性樹脂を含む市販のヒートシール剤のなかから、形成されるクッション層6の2.0質量%熱分解温度が200℃以上となるものを適宜選択して用いることができる。市販のヒートシール剤を適宜液状媒体で希釈してもいい手もよい。
クッション層用塗工液としては、塗工ハンドリング性及び環境性の観点から、前記熱可塑性樹脂が水性媒体に分散した水性分散型が好ましい。
熱カレンダー処理は、公知のカレンダー処理装置を用いて行うことができる。
熱カレンダー処理では、カレンダー装置の種類を問わず、紙の表面に高温の金属表面が接するように通紙し、適当な送紙速度に設定してカレンダリング処理する。
前記金属表面としては、例えば、金属ロールの表面を使用することができる。このような金属表面を使用するカレンダー処理は、例えば、少なくとも一方のロールを金属ロールとする、一対のカレンダーロールを使用することによって行うことができる。
カレンダーロールとしては、例えば、金属ロールと、合成樹脂ロールとの組み合わせからなるソフトカレンダーロール、一対の金属ロールからなるマシンカレンダーロール等が挙げられる。これらのカレンダーロールはいずれかを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の中でも、ソフトカレンダーロールが好適であり、特に、金属ロールと、合成樹脂ベルトを介したシューロールからなるロングニップのシューカレンダーが好適である。シューカレンダーでは、50〜270mmの長いニップ幅をとることができ、原紙とロールとの接触面積が増大する。
熱カレンダー処理を施す際の前記金属ロールの表面温度は、110℃〜200℃が適当である。110℃未満では紙に水分が残留しやすく、熱転写受像シート表面にシワや凹凸が発生する原因となる恐れがある。200℃を超えると、紙が焦げて原材料として使用できなくなる恐れがある。紙をソフトカレンダー処理する際のニップ圧としては、例えば、100〜600kN/mが好適である。
クッション層用塗工液を塗工する前に、第二支持層4とクッション層6との密着性を高めるために、第二支持層4のクッション層用塗工液を塗工する面にプライマー層を設けてもよい。
プライマー層としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは官能基をもつ熱可塑性樹脂を各種の硬化剤その他の手法を用いて硬化させた層を用いることができる。具体的には、ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アイオノマー、単官能及び/又は多官能水酸基を含有するプレポリマーをイソシアネートなどで硬化させた樹脂等が使用できる。プライマー層の坪量は0.1〜2g/m2が好ましい。
前記表面処理とプライマー層の設置とを併用してもよい。例えば第二支持層4の表面に前記表面処理を施し、さらにプライマー層を設けてからクッション層6を形成してもよい。
第二インク受容層5は、例えば、染料が染着し易い樹脂、液状媒体、および必要に応じて離型剤や他の成分を含む塗料を塗工し、乾燥することにより形成できる。樹脂、離型剤、他の成分はそれぞれインク受容層の説明で挙げたものと同様である。液状媒体としては、水、有機溶剤等が挙げられる。
塗料の塗工は、エアナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法やエクスルジョンコート法等の一般的な塗工方法で行うことができる。
塗料を塗工する前に、クッション層6と第二インク受容層5との密着性を高めるために、クッション層6の塗料を塗工する面にプライマー層を設けてもよい。
プライマー層としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは官能基をもつ熱可塑性樹脂を各種の硬化剤その他の手法を用いて硬化させた層を用いることができる。具体的には、ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、アイオノマー、単官能及び/又は多官能水酸基を含有するプレポリマーをイソシアネートなどで硬化させた樹脂等が使用できる。プライマー層の坪量は0.1〜2g/m2が好ましい。
前記表面処理とプライマー層の設置とを併用してもよい。例えばクッション層6の表面に前記表面処理を施し、さらにプライマー層を設けてから第二インク受容層5を形成してもよい。
積層シート(a1)は、クッション層6を形成しない以外は積層シート(a2)と同様にして作製できる。積層シート(a1)として既存のものを用いてもよい。
芯材1と積層シート(a1)との貼り合わせ、芯材1と積層シート(a2)との貼り合わせはそれぞれ、例えば、熱圧着により行うことができる。より接合力を高めるために、酢酸ビニル系樹脂やアクリル系樹脂等のエマルジョン糊、反応硬化型のウレタン系接着剤、または熱溶融した熱可塑性樹脂を用い、公知のウェットラミネーション法やドライラミネーション法で貼り合わせてもよい。
芯材1、積層シート(a1)および積層シート(a2)の貼り合わせの順番は限定されない。例えば、芯材1と積層シート(a1)とを先に貼り合わせてから積層シート(a2)を貼り合わせてもよく、芯材1と積層シート(a2)とを先に貼り合わせてから積層シート(a1)を貼り合わせてもよく、積層シート(a1)、芯材1および積層シート(a2)を同時に貼り合わせてもよい。
受像シート10にあっては、芯材1の第二面側にクッション層6を備えるため、シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタでの第一面印刷の際、第二面に、該エンボスロールロールの表面形状が転写されることによる凹凸状のロール痕(圧痕)が形成されにくい。そのため、第一面への印刷に引き続き第二面印刷を行う際、第二面にインクリボンが良好に接触して昇華染料が正常に転写され、染料転写時の濃度低下、未転写を防止でき、結果として第一面印刷だけでなく第二面印刷においても良好な画像を得ることができる。
昇華型プリンタでの印刷の際には、受像シート10に230〜250℃程度の熱がかかる。このような熱がかかると、クッション層6中の熱可塑性樹脂が溶融し、クッション層6が柔らかくなる。そのため、第一面印刷の際、シート送りロールのエンボスロールが押し当てられ、その状態でシート送りロールにより受像シート10が圧縮されたときに、クッション層6がクッションとして機能し、エンボスロールロール表面の凸部によって受像シート10が第二面側から局所的に圧縮されてロール痕(圧痕)が形成されることが抑制される。
また、クッション層6の2.0質量%熱分解温度が200℃以上であることで、印刷時に熱がかかったときに、クッション層6を構成する熱可塑性樹脂の分子量が低下しにくく、クッション性が維持される。
なお、支持層等に発泡素材や発泡粒子を用いて弾性を持たせることで、ローラからの圧力をいなし、ロール痕を低減することもできるが、発泡素材や発泡粒子は熱がかかったときに溶融しない。そのため、熱がかかったときの柔らかさはクッション層6の方が高く、ロール痕の発生を抑制する効果もクッション層6の方が優れる。
図2は、本発明の第二実施形態の受像シート20の模式断面図である。なお、以下に示す実施形態において、第一実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
受像シート20は、シート状の芯材1の一方の面上に、第一支持層2および第一インク受容層3がこの順に積層し、芯材1の他方の面上に、クッション層7、第二支持層4および第二インク受容層5がこの順に積層した構成を有する。
受像シート20の第一インク受容層3側の表面20aが第一面であり、第二インク受容層5側の表面20bが第二面である。
受像シート20は、第二支持層4と第二インク受容層5との間にクッション層6を設けず、芯材1と第二支持層4との間にクッション層7を設けた以外は第一実施形態の受像シート10と同様である。
受像シート20全体の厚さの好ましい範囲は、第一実施形態の受像シート10と同様である。
ただし、クッション層7は、クッション層6よりも第二面から離れた位置に配置されているため、クッション層6と同等の効果を奏するためには、クッション層6よりも高坪量にする必要がある。
受像シート20の製造方法としては、特に限定されないが、以下の工程(B1)、(B2)を有する製造方法が好ましい。
(B1)第二支持層4の一方の面上に第二インク受容層5を形成し、第二支持層4の他方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層7を形成して積層シート(b2)を得る工程。
(B2)第一支持層2とその一方の面上に積層した第一インク受容層3とを有する積層シート(b1)の第一支持層2側の面を芯材1の一方の面に、前記積層シート(b2)のクッション層7側の面を芯材1の他方の面にそれぞれ貼り合わせる工程。
工程(B1)の場合、第二インク受容層5、クッション層7それぞれの形成順序は限定されない。例えば、第二インク受容層5を形成してからクッション層7を形成してもよく、クッション層7を形成してから第二インク受容層5を形成してもよい。
工程(B2)は、第一実施形態の工程(A2)と同様に実施できる。
本実施形態では、クッション層7に用いられる熱可塑性樹脂が接着性を有しているため、積層シート(b2)と芯材1とを貼り合わせる際、別途接着剤層を設けなくても、充分な層間密着性が得られる。
受像シート20にあっては、芯材1の第二面側にクッション層7を備えるため、第一実施形態と同様に、シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタでの第一面印刷の際、第二面に、該エンボスロールロールの表面形状が転写されることによる凹凸状のロール痕(圧痕)が形成されにくい。そのため、第一面印刷だけでなく第二面印刷においても良好な画像を得ることができる。
図3は、本発明の第三実施形態の受像シート30の模式断面図である。
受像シート30は、シート状の芯材1の一方の面上に、第一支持層2および第一インク受容層3がこの順に積層し、芯材1の他方の面上に、クッション層7、第二支持層4、クッション層6および第二インク受容層5がこの順に積層した構成を有する。
受像シート30の第一インク受容層3側の表面30aが第一面であり、第二インク受容層5側の表面30bが第二面である。
受像シート30は、芯材1と第二支持層4との間にさらにクッション層7を設けた以外は第一実施形態の受像シート10と同様である。
受像シート30全体の厚さの好ましい範囲は、第一実施形態の受像シート10と同様である。
本実施形態においては、芯材1と第二支持層4との間および第二支持層4と前記第二インク受容層5との間の両方にクッション層6、7を有するため、第二支持層4と前記第二インク受容層5との間のみにクッション層7を有する第二実施形態に比べて、クッション層7の坪量が少なくても充分な効果が得られる。受像シート30の厚さの均一性や表面の平滑性の観点からは低坪量であることが好ましい。そのため、受像シート30におけるクッション層7の坪量は、クッション層6と同様に、2〜10g/m2が好ましく、4〜8g/m2がより好ましい。
受像シート30の製造方法としては、特に限定されないが、以下の工程(C1)、(C2)を有する製造方法が好ましい。
(C1)第二支持層4の一方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層6を形成し、該クッション層6上に第二インク受容層5を形成し、第二支持層4の他方の面上に、第二支持層4の他方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層7を形成して積層シート(c2)を得る工程。
(C2)第一支持層2とその一方の面上に積層した第一インク受容層3とを有する積層シート(c1)の第一支持層2側の面を芯材1の一方の面に、前記積層シート(c2)のクッション層7側の面を芯材1の他方の面にそれぞれ貼り合わせる工程。
工程(C2)は、第二実施形態の工程(B2)と同様に実施できる。
受像シート30にあっては、芯材1の第二面側にクッション層6,7を備えるため、第一実施形態と同様に、シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタでの第一面印刷の際、第二面に、該エンボスロールロールの表面形状が転写されることによる凹凸状のロール痕(圧痕)が形成されにくい。そのため、第一面印刷だけでなく第二面印刷においても良好な画像を得ることができる。
また、2層のクッション層6,7を備えるため、トータルでの坪量を多くしても、いずれか1層のみで同じ坪量を得る場合に比べて、クッション層用塗工液の塗工を良好を行うことができ、受像シート30の厚さの均一性や表面の平滑性が良好となりやすい。
図4は、本発明の第四実施形態の受像シート40の模式断面図である。
受像シート40は、シート状の芯材1の一方の面上に、第一支持層2、クッション層8および第一インク受容層3がこの順に積層し、芯材1の他方の面上に、第二支持層4、クッション層6および第二インク受容層5がこの順に積層した構成を有する。
受像シート40は、第一支持層2と第一インク受容層3との間にさらにクッション層8を設けた以外は第一実施形態の受像シート10と同様である。
受像シート40全体の厚さの好ましい範囲は、第一実施形態の受像シート10と同様である。
クッション層8は、クッション層6と同様に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含み、2.0質量%熱分解温度が200℃以上である。これにより、受像シート40の第一インク受容層3側の表面40aおよび第二インク受容層5側の表面40bのどちらも第二面として利用できる。
クッション層8の好ましい態様は、クッション層6の好ましい態様と同様である。
受像シート40の製造方法としては、特に限定されないが、以下の工程(D1)、(D2)、(D3)を有する製造方法が好ましい。
(D1)第二支持層4の一方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層6を形成し、該クッション層6上に第二インク受容層5を形成して積層シート(d2)を得る工程。
(D2)第一支持層2の一方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層8を形成し、該クッション層8上に第一インク受容層3を形成して積層シート(d1)を得る工程。
(D3)積層シート(d1)の第一支持層2側の面を芯材1の一方の面に、前記積層シート(d2)の第二支持層4側の面を芯材1の他方の面にそれぞれ貼り合わせる工程。
工程(D2)は、第一実施形態の工程(A2)と同様に実施できる。
受像シート40にあっては、芯材1の第二面側にクッション層6を備えるため、第一実施形態と同様に、シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタでの第一面印刷の際、第二面に、該エンボスロールロールの表面形状が転写されることによる凹凸状のロール痕(圧痕)が形成されにくい。そのため、第一面印刷だけでなく第二面印刷においても良好な画像を得ることができる。
また、芯材1の第一面側にクッション層8を備えるため、第一面、第二面を区別することなく受像シート40を使用できる。
図5は、本発明の第五実施形態の受像シート50の模式断面図である。
受像シート50は、シート状の芯材1の一方の面上に、クッション層9、第一支持層2および第一インク受容層3がこの順に積層し、芯材1の他方の面上に、クッション層7、第二支持層4および第二インク受容層5がこの順に積層した構成を有する。
受像シート50は、芯材1と第一支持層2との間にさらにクッション層9を設けた以外は第二実施形態の受像シート20と同様である。
受像シート50全体の厚さの好ましい範囲は、第一実施形態の受像シート10と同様である。
クッション層9は、クッション層7と同様に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含み、2.0質量%熱分解温度が200℃以上である。これにより、受像シート50の第一インク受容層3側の表面50aおよび第二インク受容層5側の表面50bのどちらも第二面として利用できる。
クッション層9の好ましい態様は、クッション層7の好ましい態様と同様である。
受像シート50の製造方法としては、特に限定されないが、以下の工程(E1)、(E2)、(E3)を有する製造方法が好ましい。
(E1)第二支持層4の一方の面上に第二インク受容層5を形成し、第二支持層4の他方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層7を形成し、積層シート(e2)を得る工程。
(E2)第一支持層2の一方の面上に第一インク受容層3を形成し、第一支持層2の他方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層9を形成し、積層シート(e1)を得る工程。
(E3)積層シート(e1)のクッション層9側の面を芯材1の一方の面に、前記積層シート(e2)のクッション層7側の面を芯材1の他方の面にそれぞれ貼り合わせる工程。
工程(D2)は、第二実施形態の工程(B2)と同様に実施できる。
受像シート50にあっては、芯材1の第二面側にクッション層7を備えるため、第一実施形態と同様に、シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタでの第一面印刷の際、第二面に、該エンボスロールロールの表面形状が転写されることによる凹凸状のロール痕(圧痕)が形成されにくい。そのため、第一面印刷だけでなく第二面印刷においても良好な画像を得ることができる。
また、芯材1の第一面側にクッション層9を備えるため、第一面、第二面を区別することなく受像シート50を使用できる。
図6は、本発明の第六実施形態の受像シート60の模式断面図である。
受像シート60は、シート状の芯材1の一方の面上に、クッション層9、第一支持層2、クッション層8および第一インク受容層3がこの順に積層し、芯材1の他方の面上に、クッション層7、第二支持層4、クッション層6および第二インク受容層5がこの順に積層した構成を有する。
受像シート60の第一インク受容層3側の表面60aが第一面であり、第二インク受容層5側の表面60bが第二面である。
受像シート60は、第一支持層2と第一インク受容層3との間にさらにクッション層8を設け、芯材1と第一支持層2との間にさらにクッション層9を設けた以外は第三実施形態の受像シート30と同様である。
受像シート60全体の厚さの好ましい範囲は、第一実施形態の受像シート10と同様である。
クッション層8およびクッション層9の合計の坪量の好ましい範囲は、クッション層6およびクッション層7の合計の坪量の好ましい範囲と同様である。
受像シート60の製造方法としては、特に限定されないが、以下の工程(F1)、(F2)、(F3)を有する製造方法が好ましい。
(F1)第二支持層4の一方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層6を形成し、該クッション層6上に第二インク受容層5を形成し、第二支持層4の他方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層7を形成して積層シート(f2)を得る工程。
(F2)第一支持層2の一方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層8を形成し、該クッション層8上に第一インク受容層3を形成し、第一支持層2の他方の面上に、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂および液状媒体を含む塗工液を塗工し、乾燥してクッション層9を形成して積層シート(f1)を得る工程。
(F3)積層シート(f1)のクッション層9側の面を芯材1の一方の面に、前記積層シート(f2)のクッション層7側の面を芯材1の他方の面にそれぞれ貼り合わせる工程。
工程(F3)は、第三実施形態の工程(C2)と同様に実施できる。
受像シート60にあっては、芯材1の第二面側にクッション層6,7を備えるため、第一実施形態と同様に、シート送りロールとしてエンボスロールが採用されている昇華型プリンタでの第一面印刷の際、第二面に、該エンボスロールロールの表面形状が転写されることによる凹凸状のロール痕(圧痕)が形成されにくい。そのため、第一面印刷だけでなく第二面印刷においても良好な画像を得ることができる。
また、芯材1の第一面側にクッション層8,9を備えるため、第一面、第二面を区別することなく受像シート60を使用できる。
また、芯材1の第一面側、第二面側それぞれに2層のクッション層6,7、クッション層8,9を備えるため、トータルでの坪量を多くしても、いずれか1層のみで同じ坪量を得る場合に比べて、クッション層用塗工液の塗工を良好を行うことができ、受像シート60の厚さの均一性や表面の平滑性が良好となりやすい。
例えば、本発明の受像シートは、必要に応じて、芯材1、第一支持層2、第一インク受容層3、第二支持層4、第二インク受容層5、クッション層6,7,8,9以外の他の層をさらに有していてもよい。例えば支持層とインク受容層の間に両層間の接着力を維持する目的でアンカー層を配することも出来る。また、芯材と支持層が隣り合い、かつ両層に接着力が無い場合には、間に接着層を設けることも出来る。
「%」、「部」はそれぞれ、特に規定のない場合、「質量%」、「質量部」を示す。
以下の各例で使用した芯材、第一支持層、第二支持層、ヒートシール剤を以下に示す。
第一支持層および第二支持層:PETフィルム(東洋紡績社製、商品名:クリスパー、厚さ50μm)。
ウレタン系ヒートシール剤A:第一工業製薬社製、商品名:スーパーフレックス860、芳香族イソシアネート系ポリウレタン樹脂水性分散体。
ウレタン系ヒートシール剤B:第一工業製薬社製、商品名:スーパーフレックス420、カーボネート系ポリウレタン樹脂水性分散体。
ウレタン系ヒートシール剤C:第一工業製薬社製、商品名:スーパーフレックス150HS、エステル・テーテル系ポリウレタン樹脂水性分散体。
ウレタン系ヒートシール剤D:日華化学社製、商品名:エバファノールHA−107C、自己乳化型ポリウレタン樹脂水性分散体。
スチレンアクリル系ヒートシール剤E:BASF社製、商品名:ジョンクリルPDX−7616A、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン。
測定機器:セイコーインスツル社製「TD/DTA6200」。
温度範囲:30℃→450℃。
雰囲気:窒素。
昇温速度:10℃/分。
図5に示す構成の受像シートを以下の手順で製造した。
(積層シート(1)の作製)
ウレタン系ヒートシール剤Aを、第二支持層の一方の面にバーコーターで乾燥塗工量10g/m2にて塗工し、乾燥してクッション層7を形成した。
トルエン100部に、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合樹脂(日信化学社製、商品名:ソルバインCN)14部を溶解してインク受容層用塗工液を調製した。このインク受容層用塗工液を、前記第二支持層の他方の面(クッション層を形成していない面)にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥して第二インク受容層5を形成し、積層シート(1)を得た。
積層シート(1)を2枚用意した。
一方の積層シート(1)のクッション層7側の面と芯材とを重ね、熱圧ロール(150℃)にて熱圧着し、芯材の片面ラミネート品を得た。
他方の積層シート(1)のクッション層7側の面と前記芯材の片面ラミネート品の芯材側の面とを重ね、熱圧ロール(150℃)にて熱圧着し、受像シートを得た。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにウレタン系ヒートシール剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして受像シートを製造した。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにウレタン系ヒートシール剤Cを用いた以外は実施例1と同様にして受像シートを製造した。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにウレタン系ヒートシール剤Dを用いた以外は実施例1と同様にして受像シートを製造した。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにスチレンアクリル系ヒートシール剤Eを用いた以外は実施例1と同様にして受像シートを製造した。
図6に示す構成の受像シートを以下の手順で製造した。
(積層シート(2)の作製)
ウレタン系ヒートシール剤Aを、第二支持層の一方の面にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥してクッション層7を形成した。
ウレタン系ヒートシール剤Aを、前記第二支持層の他方の面(クッション層7を形成していない面)にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥してクッション層6を形成した。
実施例1で用いたのと同じインク受容層用塗工液を、前記クッション層6の上にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥して第二インク受容層5を形成し、積層シート(2)を得た。
積層シート(2)を2枚用意した。
一方の積層シート(2)のクッション層7側の面と芯材とを重ね、熱圧ロール(150℃)にて熱圧着し、芯材の片面ラミネート品を得た。
他方の積層シート(2)のクッション層7側の面と前記芯材の片面ラミネート品の芯材側の面とを重ね、熱圧ロール(150℃)にて熱圧着し、受像シートを得た。
図4に示す構成の受像シートを以下の手順で製造した。
(積層シート(3)の作製)
ウレタン系ヒートシール剤Aを、第二支持層の一方の面にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥してクッション層6を形成した。
実施例1で用いたのと同じインク受容層用塗工液を、前記クッション層6の上にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥して第二インク受容層5を形成し、積層シート(3)を得た。
積層シート(3)を2枚用意した。
酢酸エチル100部にウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン社製、商品名:タケラックA−367−H及びタケネートA−7)70部を溶解して接着剤溶液を調製した。この接着剤溶液を、一方の積層シート(3)の第二支持層側の面にバーコーターで乾燥塗工量5g/m2にて塗工し、乾燥したのち、この塗工品の塗工面と芯材とをドライラミネートして、芯材の片面ラミネート品を得た。
他方の積層シート(3)についても同様に塗工品とし、該塗工品の塗工面と前記芯材の片面ラミネート品の芯材側の面とをドライラミネートして受像シートを得た。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにウレタン系ヒートシール剤Bを用いた以外は実施例5と同様にして受像シートを製造した。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにウレタン系ヒートシール剤Cを用いた以外は実施例5と同様にして受像シートを製造した。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにウレタン系ヒートシール剤Dを用いた以外は実施例5と同様にして受像シートを製造した。
ウレタン系ヒートシール剤Aの代わりにスチレンアクリル系ヒートシール剤Eを用いた以外は実施例5と同様にして受像シートを製造した。
クッション層を形成しなかった以外は実施例5と同様にして受像シートを製造した。
(ロール痕)
各例で得られた受像シートをそれぞれ大きさ100mm×178mmとし、昇華型プリンタ(ハイタイ社製、商品名:S420)を使用して、第一インク受容層側の面(第一面)に高濃度画像から低濃度画像まで印画し、次いで第二インク受容層側の面(第二面)に同様な印画を行った。印刷後、第二面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:ロール痕が認められなかった。
○:ロール痕が認められるが実用上問題のないレベルであった。
×:ロール痕が認められ、染料の未転写が発生した。
××:顕著なロール痕が認められ、顕著な染料の未転写が発生した。
実施例5〜7、比較例3〜4の受像シートをロール状に巻き取ったものを、昇華型プリンタ(三菱電機社製、商品名:CP9550D)にセットし、第一インク受容層側の面(第一面)に高濃度画像を印画し、印画された受像シートをカットした。カット後の受像シート断面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:塗工層(クッション層、インク受容層)の剥がれが認められなかった。
○:若干の塗工層の剥がれが認められるが実用上問題のないレベルであった。
×:塗工層の剥がれが認められ、画像に白抜けが認められた。
クッション層を設けなかった比較例5では、顕著なロール痕が発生した。
クッション層を設けていても、クッション層の2.0%熱分解温度が200℃未満の比較例1〜4の受像シートは、第一面印刷時に第二面でロール痕が発生し、その後の第二面印刷時に染料の未転写が発生した。特にウレタン系ヒートシール剤を用いた比較例3の受像シートは、カッター適性も不良であった。
また、上記の結果から、2.0%熱分解温度が、ロール痕の発生しにくさに影響することが確認できた。このような相関関係は、0.5%熱分解温度や1.0%熱分解温度には見られなかった。
2 第一支持層
3 第一インク受容層
4 第二支持層
5 第二インク受容層
6,7,8,9 クッション層
10,20,30,40,50,60 受像シート
Claims (3)
- シート状の芯材の一方の面上に、第一支持層および第一インク受容層がこの順に積層し、前記芯材の他方の面上に、第二支持層および第二インク受容層がこの順に積層した昇華型プリンタ用受像シートであって、
前記芯材と前記第二支持層との間および前記第二支持層と前記第二インク受容層との間の少なくとも一方にクッション層を備え、
前記クッション層が、ポリウレタン樹脂およびスチレンアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含み、2.0質量%熱分解温度が200℃以上であることを特徴とする昇華型プリンタ用受像シート。 - 前記芯材と前記第二支持層との間および前記第二支持層と前記第二インク受容層との間の両方に前記クッション層を備える、請求項1に記載の昇華型プリンタ用受像シート。
- 前記クッション層が、前記ポリウレタン樹脂を含み、
前記ポリウレタン樹脂が、芳香族イソシアネート系ポリウレタン樹脂である、請求項1または2に記載の昇華型プリンタ用受像シート。
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