JP7056447B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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しかしながら、このような熱転写受像シートを用いて作製した印画物は、カールが発生してしまう可能性が高く、その品位を損なってしまっていた。さらに、剥離後の剥離積層体自体にもカールが発生してしまう可能性が高く、これらの改善が求められていた。
受容層と、第1の基材と、第2の基材と、粘着層とをこの順に備えるシール型積層体と、
第1の剥離基材と、第2の剥離基材と、受容層とをこの順に備える剥離積層体とを、備え、
第1の基材の厚さ及び第2の基材の厚さの和と、第1の剥離基材の厚さ及び第2の剥離基材の厚さの和との差の絶対値が、10μm以下であり、
剥離積層体の剛軟度が、100mg以上であることを特徴とする。
本発明の熱転写受像シート10は、図1に示すように、受容層11と、第1の基材12と、第2の基材13と、粘着層14とをこの順に備えるシール型積層体15と、第1の剥離基材16と、第2の剥離基材17と、受容層18とをこの順に備える剥離積層体19とを、備える。
また、一実施形態において、図2に示すように、本発明の熱転写受像シート10が備える剥離基材19は、第1の剥離基材16上に、離型層20を備える。
また、一実施形態において、図3に示すように、本発明の熱転写受像シート10が備えるシール型積層体15は、第1の基材12と、第2の基材13との間に、接着層21を備える。また、該接着層21は、剥離積層体19が備える第1の剥離基材16と、第2の剥離基材17との間にも設けられていてもよい。
また、一実施形態において、図4に示すように、本発明の熱転写受像シート10が備えるシール型積層体15は、受容層11と、第1の基材12との間に、プライマー層22を備える。また、該プライマー層22は、剥離積層体19が備える第2の剥離基材17と、受容層18との間にも設けられていてもよい。
より好ましくは、第1の剥離基材の厚さ及び第2の剥離基材の厚さの和との差の絶対値は、5μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。
なお、本発明において、剛軟度は、JIS L 1085に記載の方法に準拠して、温度25℃、湿度50%の環境において、東洋精機(株)製のガーレー柔軟度試験機を用いて測定する。
シール型積層体は、受容層と、第1の基材と、第2の基材と、粘着層とをこの順に備える。また、シール型積層体は、受容層と、第1の基材との間に、プライマー層を、第1の基材と、第2の基材との間に接着層を備えていてもよい。
受容層は、熱転写シートが備える染料層から移行してくる昇華性染料を受容し、形成された画像を維持する層である。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタアクリル」の両方を包含することを意味する。
離型材としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系又はリン酸エステル系界面活性材、シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、硬化型シリコーンオイル等の各種変性シリコーンオイル、及び各種シリコーン樹脂等が挙げられる。
第1の基材としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、レジンコート紙、キャストコート紙、板紙、合成紙及び含浸紙等の紙基材や、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、イミド樹脂及びセルロース樹脂等の樹脂材料を含む樹脂フィルムを使用できる。
熱転写受像シートのカール防止性という観点から、第1の基材は、樹脂フィルムであることが好ましく、ポリエステル又はポリオレフィンを含む樹脂フィルムであることがより好ましい。
第2の基材としては、上記した紙基材、樹脂フィルム及び多孔質樹脂フィルムを使用でき、熱転写受像シートのカール防止性という観点からは、樹脂フィルム及び多孔質樹脂フィルムが好ましい。また、画像形成性及びカール防止性という観点からは、多孔質樹脂フィルムが好ましい。
粘着層は、少なくとも1種の粘着材を含み、例えば、(メタ)アクリル系粘着材、エポキシ系粘着材、ポリアミド系粘着材、ポリスチレン系粘着材、シリコーン系粘着材及びウレタン系粘着材等が挙げられる。これらの中でも、シール型積層体の密着力という観点から、(メタ)アクリル系粘着材が好ましい。
硬化材としては、例えば、エポキシ硬化材、イソシアネート硬化材、メラミン硬化材、オキサゾリン硬化材、アジリジン硬化材、金属キレート硬化材及びアミン硬化材等が挙げられる。これらの中でも、シール型積層体の密着力の観点から、エポキシ硬化材及びイソシアネート硬化材が好ましい。
一実施形態において、シール型積層体は、受容層と、第1の基材との間に、プライマー層を備える。これにより、層間の密着力を向上できる。
一実施形態において、シール型積層体は、第1の基材と、第2の基材との間に、接着層を備える。
剥離積層体は、第1の剥離基材と、第2の剥離基材と、受容層とをこの順に備える。また、剥離積層体は、第1の剥離基材上に、離型層を、第1の剥離基材と、第2の剥離基材との間に、接着層を、第2の剥離基材と、受容層との間に、プライマー層を備えていてもよい。
より好ましくは、剥離積層体の剛軟度は、110mg以上250mg以下であり、さらに好ましくは115mg以上230mg以下、最も好ましくは120mg以上180mg以下である。これにより、剥離積層体のカール防止性をより向上できる。
第1の剥離基材としては、上記した紙基材、樹脂フィルム及び多孔質樹脂フィルムを使用でき、熱転写受像シート及び剥離積層体のカール防止性という観点からは、樹脂フィルム及び多孔質樹脂フィルムが好ましい。また、カール防止性という観点からは、多孔質樹脂フィルムが特に好ましい。
第2の剥離基材としては、上記した紙基材、樹脂フィルム及び多孔質樹脂フィルムを使用でき、熱転写受像シート及び剥離積層体のカール防止性という観点からは、樹脂フィルム及び多孔質樹脂フィルムが好ましい。
また、熱転写受像シート及び剥離積層体のカール防止性という観点から、第2の剥離基材は、ポリエステルを含む、樹脂フィルム又は多孔質樹脂フィルムであることが好ましい。
なお、本発明において、第2の剥離基材の加熱収縮率は、JIS C 2151に準拠して測定された第2の剥離基材のMD方向への寸法変化率を意味する。
具体的には、以下のようにして、第2の剥離基材の加熱収縮率を測定する。
まず、第2の剥離基材をカットし、10mm×100mmの試験片を作製する。
次いで、該試験片を、150℃の熱風循環式の恒温槽内に30分間、荷重1gで懸垂させた。
次いで、試験片を室温まで冷却し、試験片のMD方向の長さを測定し、下記式に基づいて、加熱収縮率を算出する。
加熱収縮率(%)=(L0-L)/L0
上記式中、L0は、試験前の試験片のMD方向の長さを表し、Lは、試験後の試験片のMD方向の長さを表す。
一実施形態において、剥離積層体は、第1の剥離基材上に離型層を備える。該層は、シール型積層体の粘着層に隣接して設けられ、該層を備えることにより、シール型積層体と、剥離積層体との密着力を調整できる。
第1の基材として、厚さ25μmのPETフィルム(東レ(株)社製、ルミラー(登録商標))を準備し、この一方の面に、下記組成の接着層形成用塗工液を塗布し、乾燥し、厚さ4μmの接着層を形成すると共に、該接着層を介して、第2の基材として、厚さ75μmの多孔質PETフィルム(東洋紡(株)製、クリスパー(登録商標))を積層した。
(接着層形成用塗工液)
・ポリウレタン 30質量部
(三井化学(株)製、タケラック(登録商標)A-969V)
・イソシアネート化合物 10質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)A-5)
・酢酸エチル 60質量部
(プライマー層形成用塗工液)
・ポリウレタン 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製、N-5199)
・アナターゼ型酸化チタン 10質量部
(堺化学工業(株)製、TCA-888)
・イソシアネート化合物 2質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)A-14)
・トルエン 8質量部
・メチルエチルケトン(MEK) 8質量部
・イソプロパノール(IPA) 4質量部
(受容層形成用塗工液)
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 12質量部
(日信化学工業(株)製、ソルバイン(登録商標)C)
・エポキシ変性シリコーン 0.8質量部
(信越化学工業(株)製、X-22-3000T)
・アミノ変性シリコーン 0.24質量部
(信越化学工業(株)製、X-22-1660B-3)
・トルエン 30質量部
・MEK 30質量部
(接着層形成用塗工液)
・ポリウレタン 30質量部
(三井化学(株)製、タケラック(登録商標)A-969V)
・イソシアネート化合物 10質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)A-5)
・酢酸エチル 60質量部
(プライマー層形成用塗工液)
・ポリウレタン 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製、N-5199)
・アナターゼ型酸化チタン 10質量部
(堺化学工業(株)製、TCA-888)
・イソシアネート化合物 2質量部
(三井化学(株)製、タケネート(登録商標)A-14)
・トルエン 8質量部
・MEK 8質量部
・IPA 4質量部
(受容層形成用塗工液)
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 12質量部
(日信化学工業(株)製、ソルバイン(登録商標)C)
・エポキシ変性シリコーン 0.8質量部
(信越化学工業(株)製、X-22-3000T)
・アミノ変性シリコーン 0.24質量部
(信越化学工業(株)製、X-22-1660B-3)
・トルエン 30質量部
・MEK 30質量部
(離型層形成用塗工液)
・シリコーン樹脂 100質量部
(信越化学工業(株)製、KS-847H)
・トルエン 200質量部
(粘着層形成用塗工液)
・アクリル共重合体 48質量部
(綜研化学(株)製、SKダイン1310L)
・エポキシ樹脂 0.36質量部
(綜研化学(株)製、硬化剤E-AX)
・酢酸エチル 51.64質量部
第1の基材及び第2の剥離基材を、厚さ35μmの多孔質PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)、加熱収縮率1.5%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第1の基材及び第2の剥離基材を、厚さ75μmの多孔質PETフィルム(東洋紡(株)製、クリスパー(登録商標)、加熱収縮率1.2%)に、第2の基材及び第1の剥離基材を、厚さ30μmのPPフィルム(フタムラ化学(株)製、FOS-BT)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第1の基材及び第2の剥離基材を、厚さ75μmの多孔質PETフィルム(東洋紡(株)製、クリスパー(登録商標)、加熱収縮率1.2%)に、第2の基材及び第1の剥離基材を、厚さ35μmの多孔質PPフィルム(三井化学東セロ(株)製、エコネージュ(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第1の基材及び第2の剥離基材を、厚さ35μmの多孔質PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)、加熱収縮率1.5%)に、第2の基材及び第1の剥離基材を、厚さ75μmのPETフィルム(三菱ケミカル(株)製、ダイアホイル(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第1の基材及び第2の剥離基材を、厚さ35μmの多孔質PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)、加熱収縮率1.5%)に、第2の基材及び第1の剥離基材を、厚さ100μmのPETフィルム(三菱ケミカル(株)製、ダイアホイル(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第1の基材及び第2の剥離基材を、厚さ75μmの多孔質PETフィルム(東洋紡(株)製、クリスパー(登録商標)、加熱収縮率1.2%)に、第2の基材及び第1の剥離基材を、厚さ30μmのPPフィルム(フタムラ化学(株)製、FOS-BT)に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第2の基材を、厚さ75μmの多孔質PETフィルム(東洋紡(株)製、クリスパー(登録商標))に、第1の剥離基材を、厚さ35μmの多孔質PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
第2の基材及び第1の剥離基材を、厚さ35μmの多孔質PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
剥離積層体の作製において、第1の剥離基材を、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡(株)製、クリスパー(登録商標))に変更すると共に、接着層、第2の剥離基材、プライマー層及び受容層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。
上記実施例及び比較例の熱転写受像シート及び該熱転写受像シートが備える剥離積層体の剛軟度を、JIS L 1085に記載の方法に準拠して、温度25℃、湿度50%の環境において、東洋精機(株)製のガーレー柔軟度試験機を用いて測定した。測定結果を表1にまとめた。
上記実施例及び比較例で得られた各熱転写受像シートが備える両面の受容層上に、昇華型熱転写プリンタ(シチズンシステムズ(株)製、DP-DS80DX)及び当該プリンタの純正熱転写シートを用いて、ハーフグレー画像(128/255階調画像)を形成し、印画物を作製した。このようにして得られた印画物は、該昇華型熱転写プリンタが備えるカッター機構により前後端の余白部分をカットされており、そのサイズは、幅203mm×長さ305mmであった。
なお、比較例3の熱転写受像シートについては、シール型積層体が備える受容層にのみ画像を形成した。
作製した印画物を、50℃、相対湿度20%の環境下において48時間静置した後、平坦な台の上に置き、角4点の浮き上がり高さを測定した。具体的には、受容層面側が凹となるカールの場合は、受容層面が上になるように平面な台の上に置き、受容層面側が凸となるカールの場合は、受容層面が下になるように平面な台の上に置いて測定を行った。角4点の最大浮き上がり高さをカール量(シール型積層体の受容層側への凸カールを正の値、シール型積層体の受容層側への凹カールを負の値)とし、下記評価基準に基づいて、熱転写受像シートのカール防止性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:カール量の絶対値が5mm未満であった。
B:カール量の絶対値が5mm以上10mm未満であった。
NG:カール量の絶対値が10mm以上であった。
上記のようにして作製した印画物から剥離積層体を剥離し、該剥離積層体を50℃、相対湿度20%の環境下において48時間静置した後、平坦な台の上に置き、角4点の浮き上がり高さを測定した。具体的には、受容層面側が凹となるカールの場合は、受容層面が上になるように平面な台の上に置き、受容層面側が凸となるカールの場合は、受容層面が下になるように平面な台の上に置いて測定を行った。角4点の最大浮き上がり高さをカール量(受容層側への凸カールを正の値、受容層側への凹カールを負の値)とし、下記評価基準に基づいて、剥離積層体のカール防止性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:カール量の絶対値が5mm未満であった。
B:カール量の絶対値が5mm以上10mm未満であった。
NG:カール量の絶対値が10mm以上であった。
熱転写受像シートのカール防止性評価試験と同様にして、上記実施例及び比較例で得られた各熱転写受像シートを用いて印画物を1万枚ずつ作製した。作製後の印画物におけるカット端面を目視により観察し、下記評価基準に基づいて、熱転写受像シートのカット容易性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:カット端面において、毛羽立ち等が観察されなかった。
B:カット端面において、多少の毛羽立ちが観察されたが、実用上問題のない程度であった。
C:カッター不良により、印画物を1万枚作製できなかった。
Claims (7)
- 受容層と、第1の基材と、第2の基材と、粘着層とをこの順に備えるシール型積層体と、
第1の剥離基材と、第2の剥離基材と、受容層とをこの順に備える剥離積層体とを、備える熱転写受像シートであって、
前記第1の基材の厚さ及び前記第2の基材の厚さの和と、前記第1の剥離基材の厚さ及び前記第2の剥離基材の厚さの和との差の絶対値が、10μm以下であり、
前記剥離積層体の剛軟度が、100mg以上であることを特徴とする、熱転写受像シート。 - 前記第1の基材の厚さと、前記第2の剥離基材の厚さとの差の絶対値が、5μm以下である、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記第2の基材の厚さと、前記第1の剥離基材の厚さとの差の絶対値が、5μm以下である、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
- 剛軟度が、1000mg以上3000mg以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記剥離積層体の厚さが、100μm以上150μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 厚さが、180μm以上300μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記第1の基材及び前記第2の基材の少なくとも一方、並びに前記第1の剥離基材及び前記第2の剥離基材の少なくとも一方が、多孔質樹脂フィルムから構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
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