JP2017065069A - 印画物の製造方法、及び、印画物の滲み抑制処理セット - Google Patents

印画物の製造方法、及び、印画物の滲み抑制処理セット Download PDF

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Koichiro Kuroda
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Abstract

【課題】印画物の画像の滲みを抑制可能な印画物の製造方法、及び、印画物の滲み抑制処理セットを提供する。
【解決手段】基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シートを準備する工程と、基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを準備する工程と、前記受像シートに昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する画像形成工程と、前記印画物中間体上に、前記滲み抑制層保有シートを、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除く滲み抑制処理工程と、を有することを特徴とする、印画物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、昇華熱転写により熱転写受像シートに画像が形成された後、経時変化での画像の滲みを抑制するために行う、熱転写受像シートの印画面の表面処理を含む印画物の製造方法、及び、印画物の滲み抑制処理セットに関するものである。
従来、種々の熱転写記録方式が知られており、その中でも広く用いられている方式として、昇華熱転写方式がある。この方式は、昇華性染料を色材として用い、熱転写シートの染料層中の染料を、熱転写受像シートの受像層に熱転写して画像を形成するものである。この方式では、熱転写の際に、プリンターのサーマルヘッドで加熱量を調整して3色又は4色の多数の色を、熱転写受像シートの受像層に転移させ、該多色の色を順次重ねて階調印画することにより、フルカラーを再現することができる。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、中間調の再現性や協調性に優れており、フルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
このような昇華熱転写方式で得られた印画物には、保存時に画像が滲むという問題が生じていた。当該印画物の画像の滲みは、印画時に受像層に染着した染料が時間の経過とともに拡散して、受像層から基材シート側に移行することによるものである。従来、滲み防止のために、受像シートの受像層やその隣接する層構成について検討されてきた。
例えば、滲み防止のために、特許文献1では、熱転写受像シートの受像層に直接または間接に隣り合う位置に、特定のアクリル樹脂からなるバリア層を設けることが提案されている。また、特許文献2では、基材上に少なくとも2層の受像層とを有してなる熱転写受像シートにおいて、該基材から最も近い位置にある受像層が、ポリエステル樹脂を含んでなり、 該基材から最も遠い位置にある受像層が、水系分散体又はラテックスである塩酢ビ樹脂を含んでなる、熱転写受像シートが提案されている。
特開2009−196246号公報 特開2014−198400号公報
近年、プリンターの高速化に伴い、印画時の熱転写シートと受像シートの受像層は、より短時間で、より高い印加エネルギーを与えられ、高温状態の受像層から熱転写シートが、高速で剥離されるようになってきている。このように、より短時間で、より高い印加エネルギーを与えられると、印画後の受像層においては、染料が充分に受像層内に浸透できず、最表面付近に高濃度でたまる状態になりやすい。このような高濃度でたまった染料は、経時で染料濃度が低い部分に拡散し易く、より画像の滲みが問題になってきている。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、昇華熱転写により熱転写受像シートに画像が形成された後、経時変化での画像の滲みを抑制可能な、印画物の製造方法、及び、印画物の滲み抑制処理セットを提供することを目的とする。
本発明に係る印画物の製造方法は、基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シートを準備する工程と、
基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを準備する工程と、
前記受像シートに昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する画像形成工程と、
前記印画物中間体上に、前記滲み抑制層保有シートを、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除く滲み抑制処理工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る印画物の製造方法においては、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、及び、非転写性滲み抑制層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを準備し、
前記画像形成工程において、前記受像シート上に、前記滲み抑制層付き熱転写シートを、前記受像シートの受像層と前記滲み抑制層付き熱転写シートの染料層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製し、
前記画像形成工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記滲み抑制処理工程を行ってもよい。
また、本発明に係る印画物の製造方法においては、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを準備し、
前記滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記画像形成工程を行い、
前記画像形成工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記滲み抑制処理工程を行い、
前記滲み抑制処理工程を行った印画物中間体の上に、前記滲み抑制処理工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを、前記印画物中間体の少なくとも受像層を含む領域と前記滲み抑制層付き熱転写シートのオーバーコート層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって、印画物中間体の印画面にオーバーコート層を転写する、オーバーコート工程を行ってもよい。
また、本発明は、基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シート、及び、基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを含む、印画物の滲み抑制処理セットを提供する。
本発明に係る印画物の滲み抑制処理セットにおいては、前記滲み抑制層保有シートが、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、及び、非転写性滲み抑制層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートであってもよい。
また、本発明に係る印画物の滲み抑制処理セットにおいては、前記滲み抑制層保有シートが、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートであってもよい。
本発明に係る印画物の製造方法、及び印画物の滲み抑制処理セットにおいては、前記非転写性滲み抑制層は、バインダー樹脂としてガラス転移温度90℃以上の樹脂を含有することが、受像シートの受像層との熱融着を抑制し易く、基材上に当該滲み抑制層を積層した場合でも昇華熱転写を行う際の加熱条件下では転写し難い点から好ましい。
本発明に係る印画物の製造方法、及び印画物の滲み抑制処理セットにおいては、前記受像シートの基材は、カード基材である場合に好適に用いられる。カード基材であると画像の滲みの問題がより顕著に起こりやすいからである。
本発明に係る印画物の製造方法、及び印画物の滲み抑制処理セットにおいては、前記受像シートの受像層は、少なくとも2層が積層されてなる多層受像層であり、離型性を付与するための受像層が前記基材から最も遠い位置に配置されている場合に好適に用いられる。離型性を付与するための受像層が前記基材から最も遠い位置に配置されている場合には、画像の滲みの問題がより顕著に起こりやすいからである。
本発明によれば、昇華熱転写により熱転写受像シートに画像が形成された後、経時変化での画像の滲みを抑制可能な、印画物の製造方法、及び、印画物の滲み抑制処理セットを提供することができる。
本発明に係る印画物の製造方法の一例による各工程を示した概略工程図であるである。 本発明に係る滲み抑制層保有シートの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る滲み抑制層保有シートの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る滲み抑制層保有シートの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る滲み抑制層保有シートの他の一例を模式的に示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本発明において、「シート」とは、JIS−K6900の定義におけるシートとフィルムを含む意味である。JIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明に係る印画物の製造方法は、基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シートを準備する工程と、
基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを準備する工程と、
前記受像シートに昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する画像形成工程と、
前記印画物中間体上に、前記滲み抑制層保有シートを、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除く滲み抑制処理工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る印画物の滲み抑制処理セットは、基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シート、及び、基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを含むことを特徴とする。
プリンターの高速化に伴い、より短時間で、より高い印加エネルギーを与えられ、印画後の受像層においては、染料が最表面付近に高濃度でたまったり、未吸収染料が最表面に存在する状態になりやすくなっている。このような高濃度でたまった染料や未吸収染料は、経時で染料濃度が低い部分に拡散し易く、経時で輪郭がぼやけたり、線が太くなったりするなど、画像の滲みが問題になってきている。このような画像の滲みは高温条件下で特に顕著に起こる。
それに対して、本発明に係る印画物の製造方法によれば、熱転写画像を形成された印画物中間体上に、前記滲み抑制層保有シートを、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除く滲み抑制処理工程を行うことにより、印画物中間体の受像層表面に高濃度で存在する染料の一部を、非転写性滲み抑制層の方に移動させることができる。そのため、前記滲み抑制処理工程を行った後の受像層においては、滲みの原因になっていた最表面付近の余分な染料が除去され、高温条件下においても滲みを抑制できる。
高速剥離が可能なように、より離型性が良い受像層を用いると、画像の滲みの問題はより顕著に起こりやすい傾向がある。また、熱転写受像シートがプラスチックシートを基材に使用したカード類(IDカード、クレジットカードなど)である場合においては、紙基材を使用した写真用途の印画紙に比べて受像層のクッション性が不十分なことが多いため、受像層の最表面付近に染料が高濃度でたまる状態になりやすく、画像の滲みの問題はより顕著に起こりやすい傾向がある。更に、高温条件に曝されると、高濃度でたまった染料は、より拡散し易くなる。近年、例えば車中に置かれたカード類など、受像シートは、より高温に曝され易くなっており、上記問題はより顕著に起こりやすい傾向がある。しかしながら、本発明の前記滲み抑制処理工程を行うことにより、これらの画像の滲みが顕著に起こりやすい場合においても、滲みを抑制できる。
以下に、本発明の印画物の製造方法について図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明に係る印画物の製造方法の一例による各工程を示した概略工程図である。
本発明に係る印画物の製造方法は、まず、図1(A)に示すように、基材1上に少なくとも非転写性滲み抑制層2が設けられている滲み抑制層保有シート10を準備する。一方で、図1(B)に示すように、基材11上に少なくとも受像層12が設けられている昇華熱転写受像シート20を準備する。
次に、図1(C)に示すように、前記受像シート20上に、基材21上に少なくとも染料層22が設けられている熱転写シート30を、前記受像シート20の受像層12と前記熱転写シート30の染料層22とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記熱転写シート30の基材21側から加熱100することによって昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像33を形成することにより、図1(D)に示すように、印画物中間体40を作製する。
次いで、図1(E)に示すように、前記印画物中間体40上に、前記滲み抑制層保有シート10を、前記印画物中間体40の受像層12と前記滲み抑制層保有シート10の非転写性滲み抑制層2とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シート10の基材1側から加熱100する。当該加熱により、図1(E)に模式的に示すように、受像層の熱転写画像33の染料の一部34が非転写性滲み抑制層2の方に再転写される。その後、前記印画物中間体40から前記滲み抑制層保有シート10を取り除き、図1(F)に示すように、印画物35を有する受像シート50が製造される。
以下、本発明に係る印画物の滲み抑制処理セットに用いられる滲み抑制層保有シート、及び、昇華熱転写受像シート、並びに、印画物の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
1.滲み抑制層保有シート
本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、図1(A)に示すように、基材1上に少なくとも非転写性滲み抑制層2が設けられているものである。
本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、図2に示すように、基材1の非転写性滲み抑制層2が設けられている面とは反対側の面に、背面層3が更に設けられていても良い。
また、本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、図3に示すように、基材1上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層22、及び、非転写性滲み抑制層2を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シート15であっても良い。
更に、本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、図4に示すように、基材1上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層22、非転写性滲み抑制層2、及び、オーバーコート層23を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シート16であっても良い。
また、本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、図5に示すように、基材1上に、非転写性滲み抑制層2、及び、オーバーコート層23を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シート17であっても良い。
(基材)
本発明の滲み抑制層保有シート10に用いられる基材1は、本発明の滲み抑制層保有シート10における必須の構成であり、非転写性滲み抑制層2を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、滲み抑制処理工程において、滲み抑制層保有シート10の基材1側から加熱する際の熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。
また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5μm〜100μm程度が一般的で、好ましくは1μm〜10μmである。基材の厚みが厚すぎると、機械的強度は高いものの、非転写性滲み抑制層へ熱エネルギーの伝達が不十分となり、受像層表面に高濃度で存在する染料の一部を、非転写性滲み抑制層の方に移動させることが困難になる恐れがある。一方、基材の厚みが薄すぎると、機械的強度が不足し、非転写性滲み抑制層を支持できなくなる場合がある。
基材1には、その表面に、予め、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を行ってもよい。このような易接着処理によっても、滲み抑制層の非転写性を調整することができる。
(非転写性滲み抑制層)
非転写性滲み抑制層は、印画後の受像層と当該非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画後の受像層から前記滲み抑制層保有シートを取り除いた後も、前記滲み抑制層保有シートに残り、前記印画後の受像層に転写しないものである。図1(E)に示されるように、非転写性滲み抑制層2は、受像層12の熱転写画像33の染料の一部34を吸収し、前記印画後の受像層から前記滲み抑制層保有シートを取り除いた後には前記印画後の受像層に転写しないことから、滲みの原因になっていた受像層最表面付近の余分な染料は、受像シートから除去され、高温条件下においても滲みを抑制できる。
非転写性滲み抑制層は、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画後の受像層に転写することなく、受像層最表面付近の余分な染料を吸収することができる層であれば良く、その材料は適宜選択して用いることができる。滲み抑制層保有シートの基材側からの加熱条件は、後述する滲み抑制処理工程において印加されるエネルギーを目安とすることができる。
非転写性滲み抑制層は、通常、少なくともバインダー樹脂を含み、必要に応じて各種の添加剤を含む樹脂組成物で形成することができる。
バインダー樹脂としては、中でもガラス転移温度(Tg)が90℃以上の樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂としてガラス転移温度が90℃以上の樹脂を用いると、受像シートの受像層との熱融着を抑制し易く、基材上に当該滲み抑制層を積層した場合でも昇華熱転写を行う際の加熱条件下では転写し難いからである。ガラス転移温度が90℃以上であるバインダー樹脂は、バインダー樹脂全量中に、50質量%以上であることが好ましく、更に70質量%以上であることが好ましく、より更に90質量%以上であることが好ましく、特に97質量%以上であることが好ましい。
一方、バインダー樹脂のガラス転移温度が高すぎると、受像層表面の余分な染料の吸収性が低くなる恐れがある。そのため、バインダー樹脂として用いられるガラス転移温度が90℃以上の樹脂は、ガラス転移温度が150℃以下の樹脂であることが好ましい。
なお、本発明におけるガラス転移温度(Tg)とは、DSC(示差走査熱量測定)による熱量変化の測定(DSC法)に基づき求められる温度である。
なお、非転写性とすることができ、余分な染料を吸収することができれば、バインダー樹脂として、ガラス転移温度(Tg)が90℃未満の樹脂を用いることもできる。
また、例えば、後述するような添加剤を更に用いたり、前記基材と当該滲み抑制層との間にアンカー層を設けたり、基材に易接着処理を行うことにより、バインダー樹脂としてガラス転移温度が低めの樹脂を用いても、当該滲み抑制層を非転写性とすることは可能である。
バインダー樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、中でも、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含有することが、染料吸収性の点から好ましい。
更に、ガラス転移温度が90℃以上のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含有することが、受像シートの受像層との熱融着を抑制し易く、非転写性を構成し易い上、受像層表面の余分な染料の吸収性が良好な点から好ましい。
バインダー樹脂としては、1種又は2種以上混合して用いることができる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。例えば、上記熱可塑性樹脂のうち水酸基を有する水酸基含有熱可塑性樹脂に、ポリイソシアネート樹脂等の水酸基と反応する硬化剤を組み合わせてもよい。その場合、非転写性滲み抑制層には、前記熱可塑性樹脂の一部架橋樹脂が含まれることになる。
また、非転写性滲み抑制層には、染料の吸収性を向上する目的で、また、受像層との融着防止効果を向上する目的で、無機粒子乃至多孔質物質を含有することが好ましい。無機粒子乃至多孔質物質としては、シリカ(沈降性、またはゲルタイプ)、タルク、カオリン、クレー、アルミナホワイト、ケイソウ土、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を使用することができる。
これらの無機粒子乃至多孔質物質は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
無機粒子乃至多孔質物質の粒径としては、0.5μm〜5μmのものが好適に用いられ、平均粒径が1μm〜3μmであることが好ましい。
また、非転写性滲み抑制層に、無機粒子乃至多孔質物質を含有する場合の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、固形分で、1質量部〜10質量部であることが好ましい。
また、非転写性滲み抑制層2には、その他にも各種添加剤が含有されていても良い。例えば、非転写性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末等の各種添加剤が含有されていても良い。
非転写性滲み抑制層2は、例えば、バインダー樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。非転写性滲み抑制層2の塗工量は、染料吸収性等の点から、乾燥後塗工量が0.5〜5g/mであることが好ましく、1〜2g/mであることがより好ましい。
(背面層)
図2に示すように、基材1の他方の面に、耐熱性、及び加熱時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層3が設けられていても良い。
背面層3は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、前記非転写性滲み抑制層のバインダー樹脂の例として挙げた熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。例えば、上記熱可塑性樹脂のうち水酸基を有する水酸基含有熱可塑性樹脂に、ポリイソシアネート樹脂等の水酸基と反応する硬化剤を組み合わせることが好ましい。
硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層3には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層3は、公知の手段により、また前記非転写性滲み抑制層と同様に、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層3の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1〜2g/m2にすることがより好ましい。
(アンカー層)
アンカー層は、基材側から加熱した際に滲み抑制層が転写せず、非転写性滲み抑制層となるように、基材と前記非転写性滲み抑制層との密着性を高めることを目的として、必要に応じて設けても良い。
アンカー層としては、基材と滲み抑制層に用いられる材料に合わせて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。アンカー層としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のような接着性の良好な樹脂で形成することができる。
アンカー層の塗工量は、基材と前記非転写性滲み抑制層との密着性向上の点から、乾燥後塗工量が0.5〜2g/m2にすることがより好ましい。
(染料層)
本発明で用いられる染料層22は、染料をバインダー樹脂により担持してなる層である。図1(C)に示す形態では、基材1の一方の面に1種の(単一の)染料層22が設けられた構成をとっているが、図3及び図4に示すように、2種以上の染料層を同一基材1の同一面に面順次に繰り返し設けることも可能である(例えば、図3及び図4のY(イエロー)染料層、M(マゼンタ)染料層、C(シアン)染料層)。
染料層に含有される染料の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましい。昇華型の熱転写シートの染料層に使用可能な昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、ピラゾロンメチン、ピリドンメチン等のメチン系染料、インドアニリン系染料、インドナフトール系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、ピラゾロンアゾメチン、ピラゾロトリアゾールアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、チアゾールアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、アミノピラゾール系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ジシアノスチリル、トリシアノスチリツ等のスチリル系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料が挙げられる。
上記染料を担持するための染料バインダー樹脂としては、一般に、耐熱性を有し、染料層が含有している染料と適度の親和性があるものを使用することができる。染料バインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエステル樹脂;等を挙げられる。
また、染料層には、染料及びバインダー樹脂のほか、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、染料層3には、本発明の趣旨を妨げない範囲内で、他の離型剤が含有されていてもよい。他の離型剤としては、従来公知のシリコーンやリン酸エステル等を挙げることができる。
染料層の形成方法についても特に限定はなく、公知の手段により、また前記非転写性滲み抑制層と同様に、塗布し、乾燥することにより形成することができる。
また、染料層の塗工量は、染料転写効率等の点から、乾燥後塗工量が0.1g/m以上10g/m以下であることが好ましいことがより好ましい。
(オーバーコート層)
オーバーコート層、すなわち転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層のほか、転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本体の機能以外の機能を付加するための層などが含まれていてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面層となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
多層構造の転写性保護層を構成する主保護層又は単層構造の転写性保護層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
単層構造の転写性保護層又は多層構造の転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さであることが好ましい。
転写性保護層の最表面には接着層が形成されていてもよい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。接着層の厚さは、通常0.1〜5μm程度である。また、転写性保護層の多層構造における任意の場所に後述するような染料プライマー層が形成されていてもよいし、前記染料プライマー層が形成されていなくてもよい。
(その他の層)
本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、図3〜5に示すように、非転写性滲み抑制層の他、染料層、オーバーコート層等、複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートであっても良いものである。
そのため、本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10には、従来、昇華熱転写シートに設けられていた公知の構成が、更に設けられていても良い。
本発明に用いられる滲み抑制層保有シート10は、更に、例えば、染料層と基材との間に設けられる染料プライマー層等が含まれていても良い。
2.昇華熱転写受像シート
本発明に用いられる昇華熱転写受像シート20は、図1(B)に示すように、基材11上に少なくとも受像層12が設けられているものである。
本発明において、昇華熱転写受像シート20は、昇華熱転写により受像層に熱転写画像を形成することができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
(基材)
本発明の昇華熱転写受像シート20に用いられる基材11としては、受像層を保持する機能を有するが、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。このような支持体の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、セルロース紙の表裏をポリエチレンでコートした銀塩写真の印画用紙の基材として使用されるレジンコート紙、あるいは、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種プラスチックシートが使用できる。また、これらの合成樹脂に、画像の鮮明性を高めるための白色顔料が添加されていても良い。更に、これらの合成樹脂に充填剤を加えて成膜したシートや、基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質フィルムも使用できる。
基材は単層体或いはこれら2層以上の積層体のいずれであっても良い。前記シートを、ドライラミネート法、ウエットラミネート法、溶融ラミネート法などの公知の方法により2種以上積層してなる多層積層シート等が挙げられる。
基材のサイズ及び厚さとしては、特に制限はなく、昇華熱転写受像シートの使用目的に応じて適宜選択することができ、規格化されたサイズとしては、例えばはがきサイズ、カードサイズ、名刺サイズなどがある。また、厚さは、通常50〜800μmの範囲で適宜選ばれる。
本発明の昇華熱転写受像シートにおいては、この基材として、カード類の基材として用いられるカード基材、中でも、例えば磁気層、光記録層、ICチップなどを内蔵した情報記録機能をもつカード基材を好適に用いることができる。
熱転写受像シートがプラスチックシートを基材に使用したカード類(IDカード、クレジットカードなど)である場合においては、紙基材を使用した写真用途の印画紙に比べて受像層のクッション性が不十分なことが多いため、受像層の最表面付近に染料が高濃度でたまる状態になりやすく、画像の滲みの問題はより顕著に起こりやすい傾向がある。また、カード類は、高温条件に曝され易く、画像の滲みの問題はより顕著に起こりやすい傾向がある。そのため、本発明の昇華熱転写受像シートとして、カード類を用いると、本発明の効果がより顕著に奏されるからである。
カード基材は、例えば、第1の基材シート部材に、第2の基材シート部材を接着剤で貼り合わせることにより形成することができる。また、利用者の情報を電気的に記憶するICチップおよびICチップに接続されたコイル状のアンテナ体とから構成される電子部品を接着剤中に埋設することにより、ICチップ付きカード基材を形成することができる。カード基材は、後述する受像シートを第1の基材シート部材の一面側に設けた後に、第2の基材シート部材を接着剤で貼り合わせることにより形成しても良い。
カード基材を形成するための基材シート部材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G、ポリエチレンナフタレート(PEN)、塩化ビニル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、アクリル等の樹脂シートを好適に使用することができるが、機械的強度や寸法安定性、耐溶剤性の観点から、PET、PET−GまたはPENが好ましい。また、これらの中でも、透明性、加工適性およびコストの観点から、PETまたはPET−Gが特に好ましい。
カード基材を形成するため貼り合わせに接着剤を使用する場合、特に制限されることなく従来公知の接着剤を用いることができるが、本発明においては、ホットメルト接着剤等を好適に使用することができ、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系や、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系の接着剤を挙げることができる。これらのなかでも、湿気硬化型の接着剤が好ましい。上記したもの以外でも、湿気硬化型接着剤として、特開2000−036026号公報、特開2000−211278号公報、特開2000−219855号公報等に開示されている接着剤を好適に使用することができる。なお、接着剤を用いて、各部材を貼り合わせる場合、接着剤の層と電子部品の層(インレットの厚み)との合計の厚みで100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、特に好ましくは、150〜450μmである。
所定のカードサイズに成形する方法としては、打ち抜く方法、断裁する方法等を主として採用できる。
(受像層)
本発明の昇華熱転写受像シート20に用いられる受像層12は、熱転写記録方式で昇華性染料画像を受容して、昇華熱転写受像シート20に文字情報や画像情報を印画するためのものである。
受像層を形成するための材料としては、昇華性染料を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
受像層は、単層体或いは2層以上の積層体のいずれであっても良い。
本発明に用いられる受像層は、少なくとも2層が積層されてなる多層受像層であり、離型性を付与するための受像層が前記基材から最も遠い位置に配置されていても好適に用いられる。このような最表面の離型性が高い多層受像層を用いると、高速剥離性に優れるようになる点が好ましいが、受像層の最表面付近に染料が高濃度でたまる状態になりやすく、画像の滲みの問題はより顕著に起こりやすい傾向があった。しかしながら、本発明によれば、後述する滲み抑制処理工程を行うことにより滲みの原因となっていた受像層の最表面付近の余分な染料を取り除くことができる。そのため、本発明の受像層として、最表面の離型性が高い多層受像層を用いると、本発明の効果がより顕著に奏されるからである。
離型性を付与するための受像層には、離型剤が添加されていてもよい。離型剤としては、用いるバインダーと相溶性のあるものが好ましく、具体的には変性シリコーンオイル、変性シリコーンポリマーが代表的であり、例えばアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂や、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。中でも、離型性の点から、ポリエチレンワックスが好ましい。その他の離型剤として、シリカ等の微粒子や硬化型シリコーン化合物等を使用することもできる。
一方、多層受像層のうち、前記基材にから最も近い位置に配置されている受像層は、基材又は基材側の隣接する層との密着性を向上させるような材料を用いることが好ましい。
前記基材にから最も近い位置に配置されている受像層は、上記した樹脂の中でも、ポリスチレンとポリオレフィンのブロックポリマーからなる熱可塑性樹脂やポリビニルブチラール樹脂等が好ましい。ポリビニルブチラール樹脂としては積水化学工業(株)製のエスレックBH−3、BX−1、BX−2、BX−5、BX−55、BH−S、BL−S、電気化学工業(株)製のデンカブチラール#4000−2、#5000−A、#6000−EP等の市販されているものを使用してもよい。これらポリブチラール樹脂は、熱硬化前の重合度は特に限定されるものではない。また、皮膜強度の観点から、上記した樹脂に熱硬化性化合物を添加してもよい。具体的にはイソシアネート硬化剤やエポキシ硬化剤等を用いることができ、熱硬化条件は50〜90℃で1〜72時間が好ましい。
上記以外に、本発明の効果を妨げない範囲で受像層に添加することができる任意の化合物としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等を挙げることができる。
受像層の形成に際し、受像層用塗工液の塗工量は、特に限定されないが、乾燥状態で0.5〜10g/m2とすることが好ましい。
(中間層)
基材11と受像層12との間に中間層が設けられていてもよい。
中間層は、例えば、サーマルヘッドから受像層12に加えられた熱が基材11等へ伝熱することによって損失され印画濃度が低下することを防止することができる。また、中間層により、クッション性が向上し、ざらつきが少なく、高濃度で、耐光性に優れた印画物を得ることが可能になる。
中間層は二層以上積層された多層構造であっても良く、更に、断熱層と受像層との接着性、白色度、隠蔽性、帯電防止性、およびカール防止性等の付与を目的とするものであってもよい。
中間層としては、例えば、「断熱層」、「中空層」、「中空粒子層」、「クッション層」と称される従来公知のあらゆるものを適宜選択して用いることができる。
中間層としては、例えば、特開2015−066781号公報段落0072〜0081に記載の断熱層や中間層等が挙げられる。
また、カード基材に用いられる場合、特開2013−28069号公報段落0017〜0023に記載されているような、中空粒子にスチレンアクリル酸共重合樹脂、及び/又はゼラチンのような水に分散又は溶解できるバインダー樹脂を硬膜剤で硬化させたクッション層や、特開2014−193421号公報段落0027〜0056に記載されている活性光線硬化層等が好適なものとして挙げられる。
中間層の厚み又は塗工量は、目的に応じて適宜選択されれば良く特に限定されない。中間層の厚みは通常0.5μm〜10μm、中間層の塗工量は、乾燥状態で0.5〜5g/m程度が好ましい。
また、他の基材11の受像層12が設けられている面とは異なる面に、昇華熱転写受像シートの搬送性向上機能や、カール防止機能を有する裏面層を設けることもできる。
本発明に用いられる熱転写受像シート20は、それ以外の各種機能層についていかなる限定もされることはない。これらの各種機能層は、従来公知のものを適宜選択して設ければよい。
3.画像形成工程
本発明に係る画像形成工程は、前記受像シートに昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する工程である。
第一の態様としては、前記滲み抑制層保有シートとして、非転写性滲み抑制層の他に、染料層が設けられていない滲み抑制層保有シートを用いる場合が挙げられる。この場合、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層が設けられた熱転写シートを、前記滲み抑制層保有シートとは別に準備して、当該熱転写シートを用いて、画像形成工程を行う。
画像形成工程を行うための熱転写シートとしては、昇華熱転写方式に用いられる染料層を備えた従来公知の熱転写シートを適宜選択して用いることができる。このような熱転写シートとしては、例えば、前記滲み抑制層保有シートの説明において挙げた、基材、染料層、保護層、背面層等を備えている熱転写シートが挙げられる。
第一の態様の画像形成工程においては、前記受像シート上に、染料層を備えた熱転写シートを、前記受像シートの受像層と前記熱転写シートの染料層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記熱転写シートの基材側から加熱することによって昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する。すなわち、サーマルヘッドにより熱転写シートの基材側から熱を印加して、染料層に含まれる昇華性染料を受像層12に移行させることで画像形成が行われる。
第二の態様は、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、及び、非転写性滲み抑制層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを用いる場合が挙げられる。
第二の態様の画像形成工程においては、前記受像シート上に、前記滲み抑制層付き熱転写シートを、前記受像シートの受像層と前記滲み抑制層付き熱転写シートの染料層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する。
第三の態様は、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを用いる場合が挙げられる。
第三の態様の画像形成工程においても、前記第二の態様と同様に、画像形成工程を行うことができる。
サーマルヘッドにより熱転写シートの基材側から印加されるエネルギーとしては、画像に応じて適宜調整されれば良く、特に限定されるものではないが、高速プリンターにおいては、例えば、出力0.25W/ドット以下、ライン速度0.5ms/L以上5ms/L以下、ドット密度200dpi以上600dpi以下、好ましくは、出力0.20W/ドット以下、ライン速度0.5ms/L以上2ms/L以下、ドット密度200dpi以上400dpi以下である。
4.滲み抑制処理工程
本発明に係る滲み抑制処理工程は、前記印画物中間体上に、前記滲み抑制層保有シートを、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除く工程である。
このように前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱すると、前記受像層の最表面付近に存在する余分な染料が、非転写性滲み抑制層の方に再移行する。そして、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除くことにより、前記染料が再移行した非転写性滲み抑制層も取り除かれ、前記印画物中間体の受像層からは、滲みの原因となっていた余分な染料が除去される。
前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱する際に、基材側から印加されるエネルギーとしては、余分な染料が、非転写性滲み抑制層の方に再移行するように適宜調整されれば良く、特に限定されるものではない。通常、前記画像形成工程において、サーマルヘッドにより熱転写シートの基材側から印加されるエネルギーと同様もしくはそれ以下であることが好ましく、高速プリンターにおいては、例えば、出力0.25W/ドット以下、ライン速度0.5ms/L以上5ms/L以下、ドット密度200dpi以上600dpi以下、好ましくは、出力0.20W/ドット以下、ライン速度0.5ms/L以上2ms/L以下、ドット密度200dpi以上400dpi以下である。
本発明に係る滲み抑制処理工程は、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱することにより、前記受像層の最表面付近に存在する余分な染料が、非転写性滲み抑制層の方に再移行させる必要があることから、前記受像層に熱転写画像を形成後、前記受像層にオーバーコート層等の層が被覆される前に行われる。
滲み抑制効果を高くする点から、前記受像層に熱転写画像を形成直後、すなわち、前記受像層に熱転写画像を形成後1分以内に、当該滲み抑制処理工程が行われることが好ましい。
第一の態様としては、前記滲み抑制層保有シートとして、非転写性滲み抑制層の他に、染料層が設けられていない滲み抑制層保有シートを用いる場合が挙げられる。この場合、前記画像形成工程の第一の態様により得られた印画物中間体と、染料層が設けられていない滲み抑制層保有シートとを用いて、前記滲み抑制処理工程を行う。
第二の態様は、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、及び、非転写性滲み抑制層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを用いる場合が挙げられる。この場合、前記画像形成工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記滲み抑制処理工程を行う。
第三の態様は、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを用いる場合が挙げられる。この場合も、前記画像形成工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記滲み抑制処理工程を行う。
5.その他の工程
本発明に係る印画物の製造方法においては、更に、従来公知の工程を含んでいても良い。
例えば、前記滲み抑制処理工程を行った後の印画物中間体の印画面にオーバーコート層を転写するオーバーコート工程が挙げられる。
(オーバーコート工程)
前記第三の態様のように、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを用いる場合には、オーバーコート工程は、前記滲み抑制処理工程を行った印画物中間体の上に、前記滲み抑制処理工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを、前記印画物中間体の少なくとも受像層を含む領域と前記滲み抑制層付き熱転写シートのオーバーコート層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって、印画物中間体の印画面にオーバーコート層を転写することにより行う。
オーバーコート工程は、例えば、図5に示されるように、前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを用いても良い。この場合、オーバーコート工程は、前記滲み抑制処理工程を行った印画物中間体の上に、前記滲み抑制処理工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを、前記印画物中間体の少なくとも受像層を含む領域と前記滲み抑制層付き熱転写シートのオーバーコート層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって、印画物中間体の印画面にオーバーコート層を転写することにより行う。
また、オーバーコート工程は、基材上に染料層や非転写性滲み抑制層は設けられず、オーバーコート層が設けられたオーバーコート層熱転写シートを用いて行っても良い。この場合、オーバーコート工程は、前記滲み抑制処理工程を行った印画物中間体の上に、オーバーコート層熱転写シートを、前記印画物中間体の少なくとも受像層を含む領域と前記オーバーコート層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記オーバーコート層熱転写シートの基材側から加熱することによって、印画物中間体の印画面にオーバーコート層を転写することにより行う。
本発明に係る印画物の製造方法には、その他にも従来公知の印画物を製造するために用いられている工程を更に有していても良い。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
(1)滲み抑制層保有シートの作製
基材シート(膜厚5μmのPETフィルム)の一面側に下記に示す組成の滲み抑制層用塗工液1をグラビアコーティングにより、乾燥後の塗布量が、2g/mになるように塗布、乾燥して非転写性滲み抑制層を形成した。前記基材シートの他の一面側に、下記組成の背面層用塗工液1を0.2g/mになるように塗布、乾燥して、背面層/基材/非転写性滲み抑制層の層構成を有する滲み抑制層保有シートを得た。
<滲み抑制層用塗工液1>
ポリエステル樹脂(バイロン700、東洋紡社製、Tg 90℃) 20部
二酸化ケイ素(サイリシア310、富士シリシア化学社製) 0.5部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1:1溶液) 80部
<背面層用塗工液1>
ポリビニルアセタール樹脂 (エスレックKS−1 積水化学工業(株)) 36部
ポリイソシアネート (バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)) 25部
シリコーン樹脂微粒子(トスパール240 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社) 1部
ステアリルリン酸亜鉛 (LBT1830精製 堺化学工業(株)製) 10部
ステアリン酸亜鉛 (SZ−PF 堺化学工業(株)製) 10部
ポリエチレンワックス ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製) 3部
エトキシ化アルコール変性ワックス (ユニトックス750 、東洋アドレ(株)製) 7部
メチルエチルケトン 200部
トルエン 100部
(2)昇華熱転写受像シート(受像シート付きICカード)の作製
基材シート(U2L92W−188、帝人デュポンフィルム社製)上に、受像層1用塗工液1を4g/mとなるように塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜上に、受像層2用塗工液2を0.3g/mとなるように塗布して塗膜を形成し、受像シートを得た。
得られた受像シートの基材シート側に、ホットメルト接着剤(MacroplastQR3460、Henkel社製)を介して、IC部品と別のシート(U2L92W−188)とを貼り合わせ、ロールカッターを用いて化粧裁断を行うことにより、厚みが790μmで、カードサイズが55mm×85mmの受像シート付きICカードを作製した。
<受像層1用塗工液1>
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−1、積水化学工業社製) 9部
イソシアネート(コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製) 1部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1:1溶液) 90部
<受像層2用塗工液2>
ポリエチレンワックス(ハイテックE1000、東邦化学工業社製) 2部
ウレタン変性エチレン−アクリル酸共重合体(ハイテックS6254、東邦化学工業社製) 8部
メチルエチルセルロース(SM15、信越化学工業社製) 0.1部
水 90部
(3)画像形成工程
次に、得られた受像シート付きICカードの受像層の面に、昇華型熱転写記録用インクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、ライン速度1.0m秒/ライン、ドット密度300dpiの条件で加熱することにより階調パターンを受像層に形成し、印画物中間体を作製した。
(4)滲み抑制処理工程
上記のようにして得られた滲み抑制層保有シートの滲み抑制層面と、上記印画物中間体の受像層(画像形成した側)とが対向するように、滲み抑制層保有シートと印画物中間体とを重ね合わせ、サーマルヘッドを用いて出力0.16W/ドット、ライン速度1.0m秒/ライン、ドット密度300dpiの条件で加熱後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除き、印画物を有するICカードを得た。
(実施例2)
実施例1で用いた滲み抑制層用塗工液1を、下記示す組成の滲み抑制層塗工液2に変更した以外は実施例1と同様にして、滲み抑制層保有シートを作製した。
当該滲み抑制層保有シートを用いて、実施例1と同様にして、画像形成工程、及び滲み抑制処理工程を行い、印画物を有するICカードを得た。
<滲み抑制層塗工液2>
ポリカーボネート樹脂(FPC2136、三菱ガス化学社製、Tg 130℃) 20部
二酸化ケイ素(サイリシア310、富士シリシア化学社製) 0.5部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1:1溶液) 80部
(実施例3)
実施例1で用いた滲み抑制層用塗工液1を、下記示す組成の滲み抑制層塗工液3に変更した以外は実施例1と同様にして、滲み抑制層保有シートを作製した。
当該滲み抑制層保有シートを用いて、実施例1と同様にして、画像形成工程、及び滲み抑制処理工程を行い、印画物を有するICカードを得た。
<滲み抑制層塗工液3>
スチレンアクリル樹脂(アクリディックA−817、DIC社製、Tg96℃) 20部
二酸化ケイ素(サイリシア310、富士シリシア化学社製) 0.5部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1:1溶液) 80部
(実施例4)
実施例1で用いた滲み抑制層用塗工液1を、下記示す組成の滲み抑制層塗工液4に変更した以外は実施例1と同様にして、滲み抑制層保有シートを作製した。
当該滲み抑制層保有シートを用いて、実施例1と同様にして、画像形成工程、及び滲み抑制処理工程を行い、印画物を有するICカードを得た。
<滲み抑制層塗工液4>
ポリエステル樹脂(バイロン700、東洋紡社製、Tg 90℃) 10部
ポリカーボネート樹脂(FPC2136、三菱ガス化学社製、Tg 130℃) 10部
二酸化ケイ素(サイリシア310、富士シリシア化学社製) 0.5部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1:1溶液) 80部
(比較例1)
実施例1において、滲み抑制処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、画像形成工程を行い、印画物を有するICカードを得た。実施例1の印画物中間体が、比較例1の印画物を有するICカードに相当する。
[評価]
<滲み評価>
印画物を有するICカードを、90℃ドライのオーブンに入れ、7日間保存し、保存後の画像の滲みを目視にて官能評価した。
(評価基準)
A:画像が滲まず鮮明に見える
B:画像が滲んでぼやけて見える
<非転写性評価>
滲み抑制層保有シートを用いて、上記滲み抑制処理工程を行った際に、滲み抑制層保有シートと印画物中間体(受像層付きICカード)の融着を目視で確認した。
(評価基準)
A:融着しないで非転写性であった。
B:融着した。
Figure 2017065069
1 基材
2 非転写性滲み抑制層
3 背面層
10 滲み抑制層保有シート
11 基材
12 受像層
15 滲み抑制層付き熱転写シート
16 滲み抑制層付き熱転写シート
17 滲み抑制層付き熱転写シート
20 昇華熱転写受像シート
21 基材
22 染料層
23 オーバーコート層
30 熱転写シート
33 熱転写画像
34 熱転写画像の染料の一部
35 印画物
40 印画物中間体
50 印画物を有する受像シート
100 加熱

Claims (12)

  1. 基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シートを準備する工程と、
    基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを準備する工程と、
    前記受像シートに昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製する画像形成工程と、
    前記印画物中間体上に、前記滲み抑制層保有シートを、前記印画物中間体の受像層と前記滲み抑制層保有シートの非転写性滲み抑制層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、滲み抑制層保有シートの基材側から加熱した後、前記印画物中間体から前記滲み抑制層保有シートを取り除く滲み抑制処理工程と、を有することを特徴とする、印画物の製造方法。
  2. 前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、及び、非転写性滲み抑制層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを準備し、
    前記画像形成工程において、前記受像シート上に、前記滲み抑制層付き熱転写シートを、前記受像シートの受像層と前記滲み抑制層付き熱転写シートの染料層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって昇華熱転写を行って、前記受像層に熱転写画像を形成することにより、印画物中間体を作製し、
    前記画像形成工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記滲み抑制処理工程を行うことを特徴とする、請求項1に記載の印画物の製造方法。
  3. 前記滲み抑制層保有シートとして、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートを準備し、
    前記滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記画像形成工程を行い、
    前記画像形成工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを用いて、前記滲み抑制処理工程を行い、
    前記滲み抑制処理工程を行った印画物中間体の上に、前記滲み抑制処理工程で用いた滲み抑制層付き熱転写シートを、前記印画物中間体の少なくとも受像層を含む領域と前記滲み抑制層付き熱転写シートのオーバーコート層とを位置合わせした状態で重ね合わせて、前記滲み抑制層付き熱転写シートの基材側から加熱することによって、印画物中間体の印画面にオーバーコート層を転写する、オーバーコート工程を行うことを特徴とする、請求項2に記載の印画物の製造方法。
  4. 前記非転写性滲み抑制層は、バインダー樹脂としてガラス転移温度90℃以上の樹脂を含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
  5. 前記受像シートの基材は、カード基材であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
  6. 前記受像シートの受像層は、少なくとも2層が積層されてなる多層受像層であり、離型性を付与するための受像層が前記基材から最も遠い位置に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
  7. 基材上に少なくとも非転写性滲み抑制層が設けられている滲み抑制層保有シート、及び、基材上に少なくとも受像層が設けられている昇華熱転写受像シートを含む、印画物の滲み抑制処理セット。
  8. 前記滲み抑制層保有シートが、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、及び、非転写性滲み抑制層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートである、請求項7に記載の印画物の滲み抑制処理セット。
  9. 前記滲み抑制層保有シートが、基材上に昇華性染料とバインダー樹脂を含有する染料層、非転写性滲み抑制層、及び、オーバーコート層を含む複数の層が、面順次に配列した状態で設けられている滲み抑制層付き熱転写シートである、請求項8に記載の印画物の滲み抑制処理セット。
  10. 前記非転写性滲み抑制層は、バインダー樹脂としてガラス転移温度90℃以上の樹脂を含有することを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の印画物の滲み抑制処理セット。
  11. 前記受像シートの基材は、カード基材であることを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の印画物の滲み抑制処理セット。
  12. 前記受像シートの受像層は、少なくとも2層が積層されてなる多層受像層であり、離型性を付与するための受像層が前記基材から最も遠い位置に配置されていることを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の印画物の滲み抑制処理セット。
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