JP2018111286A - 熱転写受像シート - Google Patents

熱転写受像シート Download PDF

Info

Publication number
JP2018111286A
JP2018111286A JP2017004277A JP2017004277A JP2018111286A JP 2018111286 A JP2018111286 A JP 2018111286A JP 2017004277 A JP2017004277 A JP 2017004277A JP 2017004277 A JP2017004277 A JP 2017004277A JP 2018111286 A JP2018111286 A JP 2018111286A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal transfer
layer
image
receiving layer
receiving sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017004277A
Other languages
English (en)
Inventor
正志 久保田
Masashi Kubota
正志 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2017004277A priority Critical patent/JP2018111286A/ja
Publication of JP2018111286A publication Critical patent/JP2018111286A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】熱転写シートと熱転写受像シートとの融着発生を防止する。【解決手段】昇華型感熱転写記録に用いられる熱転写受像シート10であって、基材11と、基材11の一方の面上に順に積層された中間断熱層12および染料受像層13と、を備え、染料受像層13は、塩化ビニル系樹脂を含み、染料受像層13の表面空隙率が10%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は熱転写受像シートに関し、特に、昇華型感熱転写記録に用いられる受像紙において、耐融着性に優れた昇華用の熱転写受像シートに用いて好適な技術に関する。
昇華型感熱転写記録とは、昇華染料を有する熱転写シートを熱転写受像シートに密着させて熱圧処理することで、熱転写シートの染料を熱転写受像シートに移行させて、熱転写受像シート上に画像等を形成する方式である。
この熱転写受像シートとしては、特許文献1,2に記載されるように、基材に断熱層、受像層を積層してなるものが知られており、いわゆるサーマルリボンと呼ばれるインクリボン等の熱転写記録媒体(熱転写シート)の熱転写層を接触させた状態でともに加熱することにより、この熱転写層に含まれるインク(昇華染料)を昇華させて熱転写受像シート(印画紙)に転写することで、熱転写受像シートにカラー画像等を形成可能なものである。
染料転写時には、受像層に熱転写記録媒体の熱転写層を重ね、ローラおよびサーマルヘッドなどで挟んで押圧し、これらを密着させた状態で、熱転写層と受像層とを加圧・加熱することで熱を均一に印加している。
熱転写方式プリンタの中でも昇華転写方式プリンタは、プリンタの高機能化により各種画像を簡便にフルカラーで形成することができるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類の印刷、アミューズメント用出力物の印刷等に広く利用されている。このような熱転写方式プリンタの多様化に伴って、プリンタの小型化、高速化および低コスト化や、得られる印画物の耐久性が求められている。
特許文献1に記載されるように、受像層材料が溶剤系の場合は、基材に材料を塗工した後に溶剤を蒸発することで基材上に受像層を造膜することができる。
これに対し、最近はヨーロッパを中心に環境負荷の面から、溶剤系の材料から水系の材料に置き換わる動きが出ている。熱転写受像シートの製造にもその動きが出ており、受像層材料に水系材料を使用することが求められている。水系の材料では水溶性の材料の他にエマルジョンを使用するケースもある。
特許文献2に記載されるように、受像層材料に水系であるエマルジョンを使用した場合、エマルジョンは分散体なので、分散体が部分的な融着のみで受像層を形成してしまう場合がある。この場合、受像層の中には隙間が形成される。
特開2002−212890号公報(0027段、実施例) 特開2015−189020号公報(0032段、実施例)
しかし、隙間の多い受像層では、ミクロに見た場合、染料転写時に受像層と熱転写層(インク層)とが均一に接しているわけではなく、部分的には接していない部分が存在する。このため、染料転写時に接触している部分において、接触していない部分よりも圧力が高まるとともに、この接触部分において局所的に多く熱が印加されることになる。このように、染料転写時に熱が均一に印加されないため、局所的に接触している部分だけが高温となり、結果的に、熱転写シートと熱転写受像シートとの融着が発生してしまうという問題があった。
また、融着を防ぐには受像層材料として離型剤を使用する方法がある。しかし離型剤を使うと融着以外の問題を引き起こす可能性が高まる可能性があるため、これを減らしたいという要求があった。
受像層形成時にエマルジョンを成膜するには、最低造膜温度(以後MFT)以上の温度雰囲気にさらす必要があるが、乾燥温度をMFT以上にしたとしても、完全に成膜できるわけではない。さらに受像層成膜のために温度を高く設定しすぎると、基材にダメージを与えてしまうことがあるとともに、受像層成膜の温度が低すぎると、十分な成膜を達成することが事実上困難となる場合があり、成膜温度の設定が必要である。
さらに、染料転写時間、すなわち、熱転写受像シートへのプリント時間を短縮可能な高速印画プリンタにて高温高湿環境下で印画を可能とし、同時に、充分な画質を維持することが望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.熱転写シートと熱転写受像シートとの融着発生を防止すること。
2.必要な離型剤の低減を図ること。
3.高速印画プリンタにおける印画時に充分な画質を維持可能とすること。
本発明の熱転写受像シートは、昇華型感熱転写記録に用いられる熱転写受像シートであって、
基材と、該基材の一方の面上に順に積層された中間断熱層および染料受像層と、を備え、
前記染料受像層の表面空隙率が10%以下であることにより、上記課題を解決した。
本発明の熱転写受像シートにおいて、前記染料受像層が、前記塩化ビニル系樹脂を含むことができる。
本発明の熱転写受像シートにおいて、前記染料受像層が、離型剤を含むことができる。
本発明の前記塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度Tgが、30℃以上80℃以下とされることができる。
本発明の熱転写受像シートは、昇華型感熱転写記録に用いられる熱転写受像シートであって、
基材と、該基材の一方の面上に順に積層された中間断熱層および染料受像層と、を備え、
前記染料受像層の表面空隙率が10%以下であることにより、染料転写時における染料受像層の表面での局所的に圧力が増大することを防止するとともに、この部分において局所的に温度が上昇してしまうことを防止することが可能となる。これにより、離型剤を大量に使用することなく、染料転写時に熱が均一に印加されないために局所的に接触している部分だけが高温となって、熱転写シートと熱転写受像シートとの間で融着が発生することを防止できる。
ここで、染料受像層の表面空隙率とは、熱転写受像シートの表面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により撮影し、そのSEM画像における物質面積および視認可能な隙間の面積を解析し、隙間面積と全面積の比で定義した値によって決定するものとされる。
本発明の熱転写受像シートは、前記染料受像層が、塩化ビニル系樹脂を含むことにより、効果的に熱転写シートと熱転写受像シートとの間で融着が発生することを防止可能にできる。
ここで、塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体を含むことができる。
本発明の熱転写受像シートにおいて、前記染料受像層は、離型剤を含むことにより、融着発生を効果的に防止することができる。
ここで、離型剤は、シリコン系樹脂などを採用することができる。
本発明の前記塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度Tgが、30℃以上80℃以下とされることにより、染料受像層の成膜温度が高くなりすぎて基材にダメージを与えてしまうことと、染料受像層の成膜温度が低くなりすぎて層特性を維持できないあるいは充分な成膜ができないことを防止することができる。
本発明によれば、離型剤の低減を図るとともに、高速印画プリンタにおける印画時に充分な画質を維持しつつ、染料転写時に熱転写シートと熱転写受像シートとの間で融着が発生することを防止することができるという効果を奏することが可能となる。
本発明に係る熱転写受像シートの第1実施形態を示す側断面図である。 本発明に係る熱転写受像シートの第1実施形態に染料転写する熱転写シートの例を示す側断面図である。 本発明に係る熱転写受像シートの第1実施形態に染料転写する熱転写装置の例を示す模式側面図である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。 本発明に係る熱転写受像シートの実験例における染料受像層を表面観察したSEM画像である。
以下、本発明に係る熱転写受像シートの第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における熱転写受像シートを示す側断面図であり、図において、符号10は、熱転写受像シートである。
本実施形態に係る熱転写受像シート10は、図1に示すように、基材11と、基材11の一方の面11a上に順に積層された断熱層(中間断熱層)12および染料受像層(受像層)13と、を備える。
場合によっては、断熱層12と受像層13との間に、これら断熱層12と受像層13との密着性を向上させるなどの目的でアンカー層を設けることもできる。受像層13などが積層されている面11aの反対面11bには熱転写受像シート10のカール制御や筆記性等を高めるために背面層を設ける場合もある。
基材11としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。基材11の一例としては、例えば、合成樹脂からなるフィルム、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙等が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド等が挙げられる。基材11としては、これらのフィルムや紙の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて複合体として用いてもよい。
基材11の厚さは、例えば25μm以上250μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
基材11の厚さが上記の範囲内であれば、印刷物を形成した場合に、その印刷物に要求される弾力性、強度および耐熱性が十分に得られる。
断熱層12は、中空粒子と樹脂とを含む構成とすることや、多孔質フィルム層を基材11に貼り合わせた構成とすることができる。
断熱層12が中空粒子と樹脂とを含む構成とされた場合、中空粒子としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。中空粒子としては、例えば、粒子内部に多数の微細な空洞を有するアクリル系多孔粒子、中空構造を持つシリカ粒子(中空シリカ)等が挙げられる。
中空粒子の平均粒子径は、0.3μm以上5.0μm以下であることができる。中空粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用い、レーザー回折法により測定することができる。
この場合、断熱層12を構成する樹脂は、中空粒子どうしの隙間を埋めてこれら中空粒子どうしを結着させ、また、基材11と断熱層12とを接合する。
このような樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンラテックス、アクリル、ポリエステル等が挙げられる。中空粒子と樹脂との比は、断熱層12に十分な断熱性が得られ、熱転写時に基材11が熱変形したり溶融したりすることがなく、十分な画質が得られるとともに、十分な強度が得られる範囲とされる。
断熱層12が多孔質層を基材11に貼り合わせた構成とされた場合には、接着層と多孔質フィルム層を積層して基材11と貼り合わせることができる。このような接着層としては、ポリオレフィン樹脂層とされることができ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−フマル酸共重合体等のポリオレフィン樹脂が好ましく用いられる。この中でも特に、ポリエチレンやポリプロピレンがより好ましい。これらのポリオレフィン樹脂は、2種以上を混合して用いることも可能である。さらに、接着層を形成する材料としては、ポリオレフィン系樹脂以外にも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂に対して、必要に応じて密着性向上樹脂、有機微粒子、無機微粒子、有機−無機微粒子、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤等を混合して用いてもよい。
接着層となるポリオレフィン樹脂層の厚さは、8μm以上80μm以下とすることが好ましく、10μm以上60μm以下とすることがより好ましい。熱転写受像シート10は、例えば、基材11と多孔質フィルム層とを、押出サンドイッチラミネーションによりポリオレフィン樹脂層を介して貼り合わせて形成することができる。このため、ポリオレフィン樹脂層の厚さが8μm以上である場合、基材2の強度や耐熱性が向上するとともに、多孔質フィルム層を貼り合わせた後の多孔質フィルム層のアンカー層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が小さくなる。また、ポリオレフィン樹脂層の厚さが80μm以下である場合、ポリオレフィン材料の使用量を少なくすることができるため、製造コストを低減することができる。
この場合の断熱層12とされる多孔質フィルム層において、染料受像層13または後述するアンカー層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)は0.8μm以下に調整されることができる。多孔質フィルム層は、従来公知の材料で形成され、例えば、発泡ポリプロピレンフィルムや発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム等の発泡フィルムなどを用いたもの、さらに発泡フィルムの片面又は両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた多孔質フィルムを挙げることができる。この中でも特に、発泡フィルムの片面又は両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いることが好ましい。多孔質フィルム層の厚さは、10μm以上80μm以下とすることが好ましく、20μm以上60μm以下とすることがより好ましい。
なお、基材11、接着層となるポリオレフィン樹脂層および断熱層12となる多孔質フィルム層には、接着性向上のため、必要に応じて従来公知の各種処理を施してもよい。例えば、基材11にはコロナ処理、ポリオレフィン樹脂層にはオゾン処理、多孔質フィルム層には易接着処理を施すことで、接着性を向上させることができる。
いずれの構成とされる断熱層12においても、その厚さは、断熱層12として十分な断熱性が得られ、印刷物を形成した場合に、その印刷物に要求される弾力性が得られる範囲とされる。また、断熱層12の密度が十分な断熱性が得られる範囲とされる。
なお、図には、断熱層12が1層から構成される場合を例示したが、本実施形態の熱転写受像シート10はこれに限定されず、互いに状態・組成等の異なる2層以上から構成されていてもよい。
染料受像層(受像層)13は、樹脂からなる粒子が空隙を有するように互いに接着された状態として形成され、樹脂の粒子はナノオーダーの径寸法、例えば、30nm〜200,300nm程度とされており、染料受像層(受像層)13の表面空隙率が10%以下0%以上とされている。
ここで、染料受像層13の表面空隙率とは、熱転写受像シート10の表面を撮像手段により撮影し、その画像における物質面積および視認可能な隙間の面積を解析し、隙間面積と全面積の比で定義した値によって決定するものとされる。
具体的には、図4〜図7に示すように、染料受像層13が表面に形成された熱転写受像シート10の表面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により撮影し、得られた二次元的なSEM画像における表面観察による隙間面積を3次元的な隙間と等価であるとみなすものである。
この染料受像層13表面における隙間は3次元的な配置である。しかし、この隙間はランダム配置であることから、SEM画像における面積としての隙間情報と体積としての隙間情報とは等しいとみなすことができる。このような報告もなされているため、表面観察による隙間面積により、3次元的な隙間を定義する。
なお、SEM画像において、染料受像層13を形成する樹脂材料と隙間とを識別する手法として、樹脂材料と隙間とでは、その画像中の色の濃さが異なることを利用した2値化、あるいは、樹脂材料と隙間との境界を検出するエッジ検出が好ましい。さらに、染料受像層13を形成する樹脂材料が特有の形状を持っている場合には、マッチング等の画像処理を用いることで、樹脂材料と隙間とを高精度に判別することが可能となる。
このように、表面空隙率が10%以下0%以上として設定することにより、染料受像層13表面における徴少凹凸が緩和されて、局所的に突出した部分が少なくなると考えられる。これにより、詳細は不明であるが、高速印画時(染料転写時)に熱が均一に印加されないことに起因して局所的に接触している部分だけが高温となって後述する熱転写シート20と熱転写受像シート10との間で融着が発生してしまうことを防止できる。
また、染料受像層13表面における表面空隙率を0%以上として設定することにより、上述したSEM画像における表面観察による検出ができない程度に凹凸がない状態とすることができ、これにより、染料受像層13表面における凹凸が緩和されて、局所的に突出した部分が少なくなる状態になっていると考えられる。
染料受像層(受像層)13において、塩化ビニル系樹脂というのは、後述するように、エマルジョンを構成する材料のうち、塩化ビニルモノマーの比率が50%以上であるものを指している。塩化ビニルは安価であるが染着性が高く、ガラス転移温度(Tg)も高いものが多くあり、受像層材料として適している。
塩化ビニル系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下の塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体を含むことができる。
ここで、ガラス転移温度(Tg)とは、減圧乾燥して固形化した試料(ガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下の塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体を、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimeter、DSC)にて測定したものである。
ガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下の塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられ、例えば、塩化ビニルモノマーと、(メタ)アクリルモノマー((メタ)アクリル酸エステル)とを従来公知の方法で重合して得られたものを適用できる。
(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを含む。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル等が挙げられる。
染料受像層13が、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下の塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体を含むことにより、染料受像層4は発色性に優れたものとなり、染料受像層13を十分に形成することができ、十分な画質が得られる。また、基材11の表面性の悪化を防止し、基材11の収縮によるカールが発生せず、断熱層12のひび割れ等の不具合が生じることがない。
同時に、また、高温高湿環境下では、エマルジョンを含むインクの膜の形成状態による画質不良が発生しやすいが、これを防止して、印画熱により、エマルジョンを含むインクの膜の形成状態の変化を防ぎ、高温高湿環境下にて、十分な画質を得ることができる。また、インクの膜の形成状態に起因していると考えられる印画物の保存後の画質不良(割れや亀裂)も防ぐことができる。このように、染料受像層13を乾燥したときに割れや亀裂が生じることを防ぐことができるうえに、さらに、染料受像層13と断熱層12の密着性も向上することが可能となる。
染料受像層13は、離型剤を含むことが好ましい。
離型剤としては、例えば、シリコン系、フッ素系、リン酸エステル系等の各種オイルや、エマルジョン、界面活性剤、金属酸化物、シリカ等の各種フィラー、ワックス類等が挙げられる。これらの離型剤の中でもシリコンオイルを用いることが好ましい。
これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、染料受像層4には、必要に応じて、コロイダルシリカ、無機高分子、樹脂、レベリング剤、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。
なお、添加する離型剤および添加剤は、多すぎると染料受像層13と断熱層12との密着性が低下して、プリント時に熱転写受像シート10にしわが発生する可能性があるとともに、製造コストが増加してしまうため、なるべく添加量を削減することが好ましく、離型剤を添加しないこともできる。
染料受像層13の厚さは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上8μm以下であることがより好ましい。
染料受像層13の厚さが0.1μm以上であれば、染料受像層13に十分な機械的強度が得られるため、画質不良が生じ難くなる。一方、染料受像層13の厚さが10μm以下であれば、コストメリットが大きい。
染料受像層13において、染料受像層13の表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下に調整されることができる。
反射率の測定に関しては、JIS K5602に記載されている方法に基づき測定を行う。なお、測定条件を波長550nmにおける5°反射率と選定した理由としては、国際照明委員会(CIE;Commission internationale de l'eclairage)によって定められている、人が最も明るく感じる分光可視効率が最も高い波長領域(555nm)付近であり、かつ表面のざらつきが見やすい低入射角度で測定することが好ましいと考えたためである。なお、染料受像層6表面の反射を測定するその他の方法として、光沢度が挙げられる。一部の測定条件において反射率と光沢度とは相関性はあるようであるが、本測定条件における反射率と光沢度の相関性に関しては明らかになっていない。2007年度の新潟県工業技術研究報告書によると、分光光度計の反射率から算出された光沢度と光沢度計により測定された光沢度では絶対値に差が生じていることが報告されている。
また、本実施形態の熱転写受像シート10には、基材11における断熱層12が設けられている面(一方の面)11aとは反対の面(他方の面)11b側に、裏面層が設けられていてもよい。
この裏面層は、プリンタ搬送性の向上や、染料受像層13とのブロッキング防止、印画前後での熱転写受像シート10におけるカール発生防止のために設けられる。
裏面層を形成する材料としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。裏面層を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド等のバインダ樹脂等が挙げられる。
また、裏面層を形成する材料には、必要に応じて、フィラーや帯電防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。さらに、裏面層として、背面押出樹脂層、背面フィルム層、背面層、文字や図柄等を付与する印刷を設けてもよい。背面押出樹脂層、背面フィルム層、背面層、文字や図柄等を付与する印刷の各層の積層順等は、適宜選択される。また、背面押出樹脂層、背面フィルム層、背面層、文字や図柄等を付与する印刷の材料は、従来公知の材料を用いることができる。
また、本実施形態の熱転写受像シート10には、断熱層12と染料受像層13との間に、本実施形態の熱転写受像シート10の性能を損なわない範囲でアンカー層が設けられていてもよい。
アンカー層の厚さは、0.1μm以上6μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5μm以下であることがより好ましい。
アンカー層の厚さが0.1μm以上であれば、アンカー層の膜厚調整が容易であるばかりではなく、印画濃度にバラツキが生じ難い。また、アンカー層と、断熱層12および染料受像層13との密着性が十分となる。一方、アンカー層の厚さが6μm以下であれば、高速印画時における印画濃度が低下することがない。また、コスト面の観点からも、アンカー層の厚さは6μm以下であることが好ましい。
アンカー層に用いられる樹脂としては従来公知のもので対応でき、例えば、ゼラチンやポリビニルアルコール、アクリル、ポリエステル、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
さらに、アンカー層として、少なくともバインダ樹脂と白色顔料を含有することもできる。この場合、アンカー層に用いられるバインダ樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
アンカー層に用いられる白色顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン等の公知の無機顔料が使用でき、この中でも特に、酸化チタンがより好ましい。
また、アンカー層には、アンカー層に含まれる白色顔料による隠蔽性、アンカー層と断熱層12との密着性、およびアンカー層と染料受像層13との密着性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物等の架橋剤、蛍光増白剤、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤を使用することができる。
次に、本実施形態における熱転写受像シート10の製造方法について説明する。
まず、上述した材料からなる基材11を用意し、その一方の面11aに所定の方法により、上述した材料からなる断熱層12を積層する。断熱層12は、断熱層12となる材料液を塗布乾燥してもよいし、接着層と多孔質フィルム層とを基材11に貼り付ける方法で形成してもよい。
基材11と多孔質フィルム層12とを、接着層であるポリオレフィン樹脂層を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合せる場合には、溶融したポリオレフィン樹脂がフィルム状に押出されるとともに、溶融したポリオレフィン樹脂を介して多孔質フィルム層12が供給され、冷却ロールにて冷却されることにより、ポリオレフィン樹脂が固化してポリオレフィン樹脂層が形成される。
ここで、冷却ロールとしては、鏡面ロール又はセミマットロール等が用いられることができる。冷却ロールの多孔質フィルム層12と対向する表面の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。また、押出サンドイッチラミネーション時におけるニップ圧を3kg重/cm以上50kg重/cm2以下、好ましくは4kg重/cm以上50kg重/cm以下に調整する。さらに、貼り合せ工程において、固化後のポリオレフィン樹脂層の厚さを均一且つ8μm以上80μm以下、好ましくは10μm以上60μm以下に調整する。これにより、多孔質フィルム層12のアンカー層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μm以下とすることができる。
あるいは、基材11に接着層として、溶融押し出し法等によりポリオレフィン樹脂層を形成し、その上に、中空粒子と樹脂とを含む断熱層塗布液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより、断熱層12を形成してもよい。
次いで、必要であれば、バインダ樹脂、白色顔料等を含むアンカー層塗布液を作製し、断熱層12の表面にアンカー層塗布液を塗布・乾燥し、アンカー層を形成する。
次いで、染料受像層13の水系材料として、上記の塩化ビニル系樹脂を含むエマルジョンを調整し、断熱層12またはアンカー層上に塗布する。この際、バーコーターの番手、エマルジョンにおける材料濃度等を調整して塗工をおこなう。
次いで、受像層塗布液の塗膜を乾燥する。
この際、受像層塗布膜を乾燥する工程において、乾燥条件は適宜設定することができるが、一例として、
(Td−Tg)×(td+0.82) > 100 (式1)
を満たしているように設定することも可能である。
ここで、(式1)において、Tg(℃)は水系の材料でエマルジョンとされた塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度、Td(℃)は乾燥のための加熱温度、td(min)は乾燥のための加熱時間である。
なお、染料受像層塗布液は、断熱層12上に塗工された乾燥前の断熱層塗布液またはアンカー層塗布液上に塗布してもよい。
さらに、アンカー層塗布液および染料受像層塗布液には、一般の塗被紙製造において使用される濡れ剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種補助剤を適宜添加することもできる。また、アンカー層塗付液および染料受像層塗布液は、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート、ダイコート等の公知のウェットコーティング法によって、断熱層12、アンカー層または断熱層12上に塗工された乾燥前のアンカー層塗布液の表面にそれぞれ塗布される。
また、アンカー層塗付液および染料受像層塗布液の塗布時には、アンカー層塗付液および染料受像層塗布液を各層毎、あるいは2層以上を同時に塗工、乾燥してもよい。
これらの工程により、本実施形態における熱転写受像シート10を製造する。
本実施形態における熱転写受像シート10の製造方法によれば、表面空隙率が10%以下とされている染料受像層(受像層)13を有する熱転写受像シート10を容易に製造することができる。
次に、本実施形態における熱転写受像シート10にプリント(画像形成)をおこなう方法について説明する。
図2は、本実施形態における熱転写受像シート10にプリントする熱転写シートの例を示す側断面図であり、図3は、本実施形態における熱転写受像シート10にプリントする熱転写装置の例を示す模式側面図であり、図において、符号20は熱転写シート、符号30は熱転写装置である。
熱転写シート20は、図2に示すように、基材21の一方の面に昇華染料を含むカラー層23,24,25が構成されており、反対面にはバックコート層22が構成されている。通常使用する染料はイエロー23、マゼンタ24、シアン25の3色のパネルで構成されており、これらの色を組み合わせることでカラー画像を形成する。なお、これらカラー画像形成のためのパネルのほかに、熱転写受像シート10上に形成したカラー画像を保護するオーバーレイを備える場合もある。
熱転写装置30は熱転写プリンタとされ、図3に示すように、熱転写シート20を供給する供給ロール31と、転写ヘッド32と、プラテンローラー34と、ハクリ板35と、巻き取りローラ36と、制御部37と、を有する。
熱転写装置30においては、昇華転写媒体である熱転写シート20がシート供給ロール31より供給される。他経路より熱転写受像シート10も供給され、転写ヘッド32付近で熱転写受像シート10の受像層13と熱転写シート20のカラー層23,24,25とが合わさる形として、これらが転写ヘッド32とプラテンローラー34とに所定の圧力で挟まれる。熱転写シート20と熱転写受像シート10とは同期して搬送されるよう設定されており、これらの動きに合わせて設定された画像が形成されるように、まず熱転写シート20のイエロー23のパネル部、ついでマゼンタ24、シアン25の各パネルの染料を転写して受像紙である熱転写受像シート10にカラー画像を形成する。
熱転写シート20から、昇華染料を被転写体である熱転写受像シート10に転写するときには瞬間的ではあるが高温下に晒されるため、転写ヘッド32と接するバックコート層22は耐熱性と低摩擦性能を併せ持つものとされる。
転写ヘッド32には微小発熱体が並んでおり、1つの微小発熱体の大きさは数10μm程度である。この微小発熱体に数msの単位で瞬間的に電流を流して、数100℃に加熱する。この熱を熱転写シート20が受け、さらに熱転写受像シート10の受像層13にも熱が伝わり、受像層13の拡散係数が高くなる。これにより、受像層13に接しているカラー層23,24,25より昇華染料が受像層13に移りやすい状態となり、受像層13に染料が転写される。この加熱は非常に短時間なので、極めて短時間で熱転写受像シート10の温度が数10℃にまで下降して、その後の受像層13内における染料の拡散はほとんど起こらなくなる。
このようにして、まず印画画像の1ライン分を印画する。1ライン分印画した後、昇華リボン(熱転写シート)20、受像紙(熱転写受像シート)10ともに次の1ラインを印画するため、1ライン分送る。300dpiで印画する場合、おおよそ1ラインは85μm程度である。昇華リボン(熱転写シート)20および受像紙(熱転写受像シート)10を送った後に、前述の印画手順を繰り返す。この流れで印画画像全体を印画する。印画された後、熱転写受像シート10の印画部は切り取られて排出される。熱転写シート20は熱転写受像シート10よりハクリ板35でハクリされた後、巻き取りローラ36に巻き取られる。
本実施形態における熱転写受像シート10によれば、染料転写時に、受像層13とカラーパネル23,24,25とを重ねて加熱した場合でも、染料受像層(受像層)13の表面空隙率が10%以下とされていることにより、染料受像層13表面における凹凸が緩和されて局所的に突出した部分が少なくなるため、高速印画時(染料転写時)に熱が均一に印加されないために局所的に接触している部分だけが高温となって、熱転写シート20と熱転写受像シート10との間で融着が発生することを防止できる。
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
上述した熱転写受像シートについて、具体的な実験をおこなった。
以下に、各実験例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実験例1>
基材として、両面にコロナ処理を施した厚さ約149μmの上質紙(しらおい 坪量127.9g/m 日本製紙製)からなる紙基材を使用し、紙基材の一方の面に溶融押し出し法により、厚さ30μmの背面押出樹脂層を形成した。背面押出樹脂層の形成には、低密度ポリエチレン樹脂(LC600A 日本ポリエチレン製)を用いた。
次に、紙基材の背面押出樹脂層形成面とは反対側の面と、厚さ30μmの発泡ポリプロピレンフィルム(エコネージュNW−2 三井化学東セロ株式会社製)の一方の面とを、溶融した低密度ポリエチレン樹脂(LC600A 日本ポリエチレン株式会社製)を用いた押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせた。このとき、低密度ポリエチレンの塗布厚さ(すなわち、ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が8μmとなるように調整した。また、押出サンドイッチラミネーション時に用いる冷却ロールには、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.2μmの鏡面ロールを用いた。また、冷却ロール周面におけるニップ圧を3kg重/cmとした。
発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面に、以下の染料受像層塗布液としての塩化ビニル系エマルジョンを純水(イオン交換水)で希釈し塗布するとともに、乾燥後の厚みが3μmとなるように以下のようにオーブンの乾燥条件を設定して乾燥することで染料受像層を形成し、実験例1の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−1>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン985、日信化学工業社製、Tg:80℃、最低造膜温度(以後MFT)100℃程度、固形分40質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
100℃5分
<実験例2>
実験例1と同様に塩化ビニル系エマルジョンを調整し、塗布・乾燥して実験例2の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−2>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製、Tg:45℃、MFT:65℃、固形分55質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
80℃5分
<実験例3>
実験例1と同様に塩化ビニル系エマルジョンを調整し、塗布・乾燥して実験例3の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−3>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製、Tg:30℃、MFT:50℃、固形分43質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
70℃2分
<実験例4>
実験例1と同様に塩化ビニル系エマルジョンを調整し、塗布・乾燥して実験例4の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−4>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製、Tg:45℃、MFT:65℃、固形分55質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
100℃1分
<実験例5>
実験例1と同様に塩化ビニル系エマルジョンを調整し、塗布・乾燥して実験例5の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−5>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製、Tg:30℃、MFT:50℃、固形分43質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
70℃1分
<実験例6>
実験例1と同様に塩化ビニル系エマルジョンを調整し、塗布・乾燥して実験例6の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−6>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製、Tg:45℃、MFT:65℃、固形分55質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
80℃2分
<実験例7>
実験例1と同様に塩化ビニル系エマルジョンを調整し、塗布・乾燥して実験例7の熱転写受像シートを得た。
<染料受像層塗布液−7>
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製、Tg:45℃、MFT:65℃、固形分55質量%):99.7質量部
シリコンオイル(商品名:KF−354L、信越化学工業社製):0.3質量部
<乾燥条件>
80℃1分
さらに、Tgが100℃の塩化ビニル系樹脂を含むエマルジョンを用いた場合には、乾燥温度を高くすると基材にしわが寄ってしまいプリントできる状態ではなかった。また、Tgが100℃の塩化ビニル系樹脂を含むエマルジョンを用いて基材にしわが寄らない程度に乾燥温度を低くした場合には、ミクロで見るとエマルジョンの粒が点在していて隙間だらけの構造となり、マクロ的には成膜ができていなかった。
これらの熱転写受像シートに形成した受像層表面を、日立ハイテクノロジー社製走査型電子顕微鏡を使用して観察した。そのSEM画像を画像処理して隙間部を色付けした画像を図4〜図10に示す。図4に示した画像は実験例1に対応し、図5に示した画像は実験例2に対応し、図6に示した画像は実験例3に対応し、図7に示した画像は実験例4に対応し、図8に示した画像は実験例5に対応し、図9に示した画像は実験例6に対応し、図10に示した画像は実験例7に対応している。
また、SEM画像から受像層表面の空隙率を算出した。
さらに、熱転写受像シートに、三菱電機社製デジタルカラープリンター(CP−D70)を用いて印画して、熱転写受像シートの性能として融着発生の有無を目視により確認・比較した。このとき、プリント時間としては、Lサイズ(89×127mm):約7.7秒程度とした。
これらの結果を表1に示す。
なお、表1において、Tdは乾燥温度(℃)、tdは乾燥時間(min)、v%は表面空隙率を示している。また、Fusingは融着発生の有無であり、丸は融着発生無し、バツは融着発生ありを示している。
表1に示す結果からわかるとおり、Tgが30℃から80℃までのエマルジョンを用いた例に関しては、平均空隙度が10%以下ならば乾燥条件によらず、融着は発生していないことがわかる。
また、熱転写受像シートにプリントした画質は、淡色部でもムラが確認されず、好ましいものであった。
本発明の活用例として、写真用印画物、ゲームカード、プリントシール等への活用性がある。
10…熱転写受像シート
11…基材
12…断熱層(中間断熱層)
13…染料受像層(受像層)

Claims (4)

  1. 昇華型感熱転写記録に用いられる熱転写受像シートであって、
    基材と、該基材の一方の面上に順に積層された中間断熱層および染料受像層と、を備え、
    前記染料受像層の表面空隙率が10%以下である
    ことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 前記染料受像層が、塩化ビニル系樹脂を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の熱転写受像シート。
  3. 前記染料受像層が、離型剤を含む
    ことを特徴とする請求項1または2記載の熱転写受像シート。
  4. 前記塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度Tgが、30℃以上80℃以下とされる
    ことを特徴とする請求項2記載の熱転写受像シート。
JP2017004277A 2017-01-13 2017-01-13 熱転写受像シート Pending JP2018111286A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017004277A JP2018111286A (ja) 2017-01-13 2017-01-13 熱転写受像シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017004277A JP2018111286A (ja) 2017-01-13 2017-01-13 熱転写受像シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018111286A true JP2018111286A (ja) 2018-07-19

Family

ID=62910808

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017004277A Pending JP2018111286A (ja) 2017-01-13 2017-01-13 熱転写受像シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018111286A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020041248A (ja) * 2018-09-10 2020-03-19 三菱製紙株式会社 転写用紙
JP2020055192A (ja) * 2018-10-01 2020-04-09 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート及びその製造方法
JP2020062817A (ja) * 2018-10-17 2020-04-23 凸版印刷株式会社 昇華転写用受像シート
JP2021115851A (ja) * 2020-01-29 2021-08-10 ダイニック株式会社 昇華性染料受像層を有するオーバーシート及びそれを用いたカード

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5700755A (en) * 1993-03-24 1997-12-23 Imperial Chemical Industries Plc Thermal transfer printing receiver sheet
JP2002212890A (ja) * 2001-01-09 2002-07-31 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート
JP2007098926A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート及びその製造方法
JP2007190912A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Fujifilm Corp 感熱転写受像シート及びその製造方法
JP2008238513A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Fujifilm Corp 感熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2009083331A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2012200889A (ja) * 2011-03-23 2012-10-22 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2014198418A (ja) * 2013-03-29 2014-10-23 大日本印刷株式会社 熱転写受像シートの製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5700755A (en) * 1993-03-24 1997-12-23 Imperial Chemical Industries Plc Thermal transfer printing receiver sheet
JP2002212890A (ja) * 2001-01-09 2002-07-31 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート
JP2007098926A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート及びその製造方法
JP2007190912A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Fujifilm Corp 感熱転写受像シート及びその製造方法
JP2008238513A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Fujifilm Corp 感熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2009083331A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2012200889A (ja) * 2011-03-23 2012-10-22 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2014198418A (ja) * 2013-03-29 2014-10-23 大日本印刷株式会社 熱転写受像シートの製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020041248A (ja) * 2018-09-10 2020-03-19 三菱製紙株式会社 転写用紙
JP7051757B2 (ja) 2018-09-10 2022-04-11 三菱製紙株式会社 転写用紙
JP2020055192A (ja) * 2018-10-01 2020-04-09 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート及びその製造方法
JP2020062817A (ja) * 2018-10-17 2020-04-23 凸版印刷株式会社 昇華転写用受像シート
JP2021115851A (ja) * 2020-01-29 2021-08-10 ダイニック株式会社 昇華性染料受像層を有するオーバーシート及びそれを用いたカード
JP7457295B2 (ja) 2020-01-29 2024-03-28 ダイニック株式会社 昇華性染料受像層を有するオーバーシート及びそれを用いたカード

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10576724B2 (en) Recording medium, recorded matter, and methods of manufacturing the medium and the matter
JP2003085520A (ja) Icカードの製造方法
JP2018111286A (ja) 熱転写受像シート
WO2013184396A1 (en) Thermal image receiver elements prepared using aqueous formulations
US7045179B2 (en) Protecting film for protecting image and method for producing recorded material using the same
JP2016182682A (ja) 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法
WO2014168784A1 (en) Thermal image receiver elements prepared using aqueous formulations
JP2016182686A (ja) 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法
JP2015193252A (ja) 熱転写受像シート用支持体の製造方法および熱転写受像シートの製造方法
JP3925348B2 (ja) インクジェット記録物及び該記録物の製造に使用する熱転写シート
JP5549916B2 (ja) 熱転写受像シートおよびその製造方法
WO1991007286A1 (en) Image-receiving medium
JP2015134429A (ja) 熱転写受像シート、熱転写受像シートの製造方法及び印画物
JP2004299377A (ja) 転写用加圧ロール、転写装置及びインクジェット記録装置
JP5935311B2 (ja) 熱転写受像シートと、印画物及びその印画物の製造方法
JP2013071378A (ja) 熱転写受像シートおよびその製造方法
JP2000158803A (ja) インクジェット記録シート及びインクジェット画像形成方法
JP6776986B2 (ja) 昇華転写用受像シート
JP2018183891A (ja) 熱転写受像シート
JP2004195941A (ja) 画像形成方法、熱転写シート、画像形成物及び中間転写記録媒体
JP2019147310A (ja) 熱転写受像シート
JP2007237522A (ja) 熱転写受容シート
JP3711647B2 (ja) 染料熱転写受容シート
JP2009083297A (ja) 熱転写受像シートの製造方法
JP2016182683A (ja) 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170116

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181102

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210331

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210907