JP2016182683A - 熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法 Download PDF

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瑶子 平井
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Abstract

【課題】低コストにて製造でき、且つ画質に優れた熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法を提供する。【解決手段】熱転写受像シートが、基材の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層、多孔質フィルム層、下引き層及び染料受容層をこの順で有してなり、前記基材と前記多孔質フィルム層とが、前記ポリオレフィン樹脂層を介して押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わされており、前記多孔質フィルム層の前記ポリオレフィン樹脂層に対向する面の反対側の面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μm以下とし、且つ前記染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率を1%以上8%以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写方式のプリンタに使用される熱転写受像シート及び熱転写受像シートの製造方法に関する。
一般に、熱転写記録媒体は、熱転写方式のプリンタにおいてインクリボンとして使用され、サーマルリボンとも呼ばれる。この熱転写記録媒体は、一般的に、基材の一方の面に熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けた構成となっている。ここで熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、インクが昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)して、熱転写受像シート側に転写されるものである。
現在、熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化に伴い各種画像を簡便にフルカラーに形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、熱転写記録媒体の小型化、転写の高速化、低コスト化、また得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなっている。このため、近年では基材シートの一方の面に、印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けた複数の熱転写層を備える熱転写記録媒体が普及してきている。
また、用途の多様化と普及拡大に伴い、より低コストの熱転写記録媒体や、高画質の熱転写記録媒体が求められるようになってきた。このような要求に対して以下の特許文献1のように、水系の塗工液を塗工乾燥して形成した受容層と中空粒子を含む断熱層とを備える感熱転写受像シートが提案されている。
また、以下の特許文献2では、ベースフィルムと、その表面に備えられた画像受容層とを有し、ベースフィルムの少なくとも画像受容層と接する面が所定の濡れ張力を有するようにした感熱転写記録体が提案されている。
特許第4789792号公報 特許第3642832号公報
しかしながら、特許文献1に提案されている熱転写受容シートは、水系の塗工液を塗工乾燥して受容層を形成することによる低コスト化できるものの、本発明者らが特許文献1の感熱転写受像シートを用いて印画を行ったところ、中空粒子の影響で、画質が十分に良好ではないことがわかった。
また、特許文献2に提案されている感熱転写記録体を用いて印画を行ったところ、表面光沢改善層が原因と考えられる表面のゆず肌状の凹凸が確認された。
これまで、画質に優れた印画物を得ることができる熱転写受像シートや、低コストにて製造できる熱転写受像シートがそれぞれ報告されている。しかしながら、低コストで製造できる、画質に優れた熱転写受像シートは見出されていない状況である。
本発明は、このような点に着目してなされたもので、低コストにて製造でき、且つ画質に優れた熱転写受像シート及び熱転写受像シートを提供することを目的としている。
本発明の一態様に係る熱転写受像シートは、基材の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層、多孔質フィルム層、下引き層及び染料受容層をこの順で有してなる熱転写受像シートであって、前記基材と前記多孔質フィルム層とが前記ポリオレフィン樹脂層を介して押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わされており、前記多孔質フィルム層の前記下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)は0.8μm以下であり、且つ前記染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る熱転写受像シートの製造方法は、基材の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層、多孔質フィルム層、下引き層及び染料受容層をこの順で有してなる熱転写受像シートの製造方法であって、前記基材と前記多孔質フィルム層とを、前記ポリオレフィン樹脂層を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記下引き層を形成する下引き層形成工程と、前記染料受容層を形成する染料受容層形成工程とを備え、前記下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が0.8μm以下であり、前記染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率が1%以上8%以下となるように、前記ポリオレフィン樹脂層、前記多孔質フィルム層、前記下引き層及び前記染料受容層を形成することを特徴とする。
本発明の態様によれば、低コストにて製造でき、画質に優れた熱転写受像シート及び熱転写受像シートを得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る熱転写受像シートを模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る熱転写受像シート1の製造工程を示す製造工程断面図である。
1.熱転写受像シートの構成
以下、本発明の一実施形態に係る熱転写受像シートについて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱転写受像シート1を模式的に示す断面図である。本発明の一実施形態に係る熱転写受像シート1は、少なくとも、基材2、ポリオレフィン樹脂層3、多孔質フィルム層4、下引き層5及び染料受容層6を備えている。本発明の一実施形態に係る熱転写受像シート1は、例えば、基材2の一方の面に、ポリオレフィン樹脂層3、多孔質フィルム層4、下引き層5及び染料受容層6をこの順に積層された状態で備えている。
基材2は、従来公知の基材を用いることができる。基材2としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムや、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙等の紙類等を単独で使用可能であり、又は各フィルム及び紙類が組み合わされた複合体を使用してもよい。
基材2の厚さは、印画物としてのコシ、強度や耐熱性等を考慮し、25μm以上250μm以下とすることが好ましく、50μm以上200μm以下とすることがより好ましい。基材2の厚さが25μm以上である場合、基材2の強度や耐熱性が向上し、熱収縮等に起因するしわができにくい。さらに、印画物として必要なコシも得られる。また、基材2の厚さが250μm以下である場合、得られる熱転写受像シート1が厚くなりすぎないため、熱転写方式のプリンタでの熱転写受像シート1の搬送時に不具合が生じにくくなる。
ポリオレフィン樹脂層3は、従来公知の材料で形成される。ポリオレフィン樹脂層3は、基材2と多孔質フィルム層4とを押出サンドイッチラミネーションにて貼り合せるための接着層である。ポリオレフィン樹脂層3は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−フマル酸共重合体等のポリオレフィン樹脂が好ましく用いられる。この中でも特に、ポリエチレンやポリプロピレンがより好ましい。これらのポリオレフィン樹脂は、2種以上を混合して用いることも可能である。
また、ポリオレフィン樹脂に対して、必要に応じて密着性向上樹脂、有機微粒子、無機微粒子、有機−無機微粒子、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤等を混合して用いても良い。
ポリオレフィン樹脂層3の厚さは、8μm以上80μm以下とすることが好ましく、10μm以上60μm以下とすることがより好ましい。熱転写受像シート1は、例えば、基材2と多孔質フィルム層4とを、押出サンドイッチラミネーションによりポリオレフィン樹脂層3を介して貼り合わせて形成する。このため、ポリオレフィン樹脂層3の厚さが8μm以上である場合、基材2の強度や耐熱性が向上するとともに、多孔質フィルム層4を貼り合わせた後の多孔質フィルム層4の下引き層5に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が小さくなる。このため、より画質に優れた熱転写受像シート1を得ることができる。また、ポリオレフィン樹脂層3の厚さが80μm以下である場合、ポリオレフィン材料の使用量を少なくすることができるため、低コストで熱転写受像シート1を製造することができる。
多孔質フィルム層4において、多孔質フィルム層4の下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)は0.8μm以下に調整される。理由は後述する。
多孔質フィルム層4は、従来公知の材料で形成される。多孔質フィルム層4は、例えば、発泡ポリプロピレンフィルムや発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム等の発泡フィルムなどを用いたもの、さらに発泡フィルムの片面又は両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた多孔質フィルムを挙げることができる。この中でも特に、発泡フィルムの片面又は両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いることが好ましい。
多孔質フィルム層4の厚さは、10μm以上80μm以下とすることが好ましく、20μm以上60μm以下とすることがより好ましい。
なお、基材2、ポリオレフィン樹脂層3及び多孔質フィルム層4には、接着性向上のため、必要に応じて従来公知の各種処理を施しても良い。例えば、基材2にはコロナ処理、ポリオレフィン樹脂層3にはオゾン処理、多孔質フィルム層4には易接着処理を施すことで、接着性を向上させることができる。
下引き層5は、従来公知の材料で形成される。下引き層5は、少なくともバインダ樹脂と白色顔料を含有する。
下引き層5に用いられるバインダ樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
下引き層5に用いられる白色顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン等の公知の無機顔料が使用でき、この中でも特に、酸化チタンがより好ましい。
また、下引き層5には、下引き層5に含まれる白色顔料による隠蔽性、下引き層5と多孔質フィルム層4との密着性、および下引き層5と染料受容層6との密着性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物等の架橋剤、蛍光増白剤、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤を使用することができる。
下引き層5の厚さは、0.1μm以上6μm以下とすることが好ましく、0.2μm以上5μm以下とすることがより好ましい。下引き層5の厚さが0.1μm以上であると、膜厚調整が容易となり、厚みにばらつきが生じにくくなる。このため、熱転写受像シート1を用いて印画した場合の印画濃度にばらつきが発生しにくくなる。また、下引き層5の厚さが0.1μm以上である場合、下引き層5と、多孔質フィルム層4及び/又は染料受容層6との密着性が向上する。一方、下引き層5の厚さが6μm以下であると、印画時に印画濃度が飽和しにくくなる。このため、コスト面の観点から6μm以下であることが好ましい。さらに、下引き層5の厚さを上述の範囲とすることで、染料受容層6表面の波長550nmにおける5°反射率を好適に調整することができる。
染料受容層6において、染料受容層6の表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下に調整される。理由は後述する。
染料受容層6は、従来公知の材料で形成される。染料受容層6は、少なくともバインダ樹脂と離型剤を含有する。
染料受容層6に用いられるバインダ樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリブタジエン、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等を挙げることができるが、特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
染料受容層6に用いられる離型剤としては、例えばシリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系といった各種オイルや、界面活性剤や、金属酸化物、シリカ等の各種フィラー、ワックス類等が使用できる。これらは単独、あるいは2種以上を混合しても良い。中でも、シリコーンオイルを使用することが好ましい。
染料受容層6の厚さは、0.1μm以上10μm以下とすることが好ましく、0.2μm以上8μm以下とすることがより好ましい。また、染料受容層6は、必要に応じて架橋剤や酸化防止剤、蛍光染料や、公知の添加剤を含有しても良い。
また、熱転写受像シート1には、必要に応じて、基材2のポリオレフィン樹脂層3に対向する対向面とは逆側の面に、背面押出樹脂層、背面フィルム層、背面層、文字や図柄等を付与する印刷を設けても良い。背面押出樹脂層、背面フィルム層、背面層、文字や図柄等を付与する印刷の各層の積層順等は、適宜選択される。また、背面押出樹脂層、背面フィルム層、背面層、文字や図柄等を付与する印刷の材料は、従来公知の材料を用いることができる。
上述したように、本実施形態の一態様に係る熱転写受像シート1では、多孔質フィルム層4を貼り合わせた後、多孔質フィルム層4の下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μm以下に調整し、且つ下引き層5と前記染料受容層6を形成後の、染料受容層6の表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下の範囲に調整する。これにより、画質に優れた熱転写受像シート1を得ることができる。
[多孔質フィルム層4表面の算術平均粗さ(SRa)]
以下、曲面の算術平均粗さ(SRa)及び二次元の輪郭曲線の算術平均粗さ(Ra)について説明する。
曲面の算術平均粗さ(SRa)とは、JIS B 0601にて記載されている、二次元の輪郭曲線の算術平均粗さ(Ra)を、三次元に拡張したものである。粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X,Y軸を置き、中心面に直交する軸をZ軸とした時、表面形状の曲面をf(x,y)、LxをX軸方向の測定長、LyをY軸方向の測定長とすると、算術平均粗さ(SRa)は以下の式(I)にて表される。
Figure 2016182683
多孔質フィルム層4の下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)は、0.8μm以下に調整される。多孔質フィルム層4の下引き層5対向面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μmより大きくした場合、熱転写受像シート1を染料受容層6側から見た際に凹凸が目立ち、ゆず肌状に見える。このため、画質に優れた熱転写受像シート1を得ることができない。
多孔質フィルム層4の表面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μm以下に調整する方法としては、押出サンドイッチラミネーション時に用いる冷却ロールの表面における算術平均粗さ(Ra)が1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下であること、ポリオレフィン樹脂層3を均一に押出すことにより、前記ポリオレフィン樹脂層3の厚さを均一且つ8μm以上、好ましくは10μm以上とすること、ニップ圧を3kg重/cm以上50kg重/cm以下、好ましくは4kg重/cm以上50kg重/cm以下に調整することが挙げられる。
なお、多孔質フィルム層4の表面の算術平均粗さ(SRa)は、一般的に用いられる接触式表面粗さ計により計測することができる。
従来の熱転写受像シートでは、多孔質フィルム層等の貼り合わせに、ドライラミネート法が用いられてきた。しかしながら、ドライラミネート法では、ラミネート後も反応を促進し、完了させるためのエージング工程が必要であるため、製造コストを押し上げる要因となっていた。また、ドライラミネート時における接着層の膜厚を5μm未満とすると、基材の凹凸を埋めることができず、画質の悪化につながり、逆に接着層の膜厚を5μm以上とすると、画質は優れるものの、残留溶剤やコストの問題が発生していた。
そこで、本発明者らは、基材2と多孔質フィルム層4とを、ポリオレフィン樹脂層3を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせることで、上述のような問題を解決できることを見出した。
[染料受容層表面の5°反射率]
以下、染料受容層6表面の波長550nmにおける5°反射率について説明する。
反射率の測定に関しては、JIS K5602に記載されている方法に基づき測定を行う。なお、測定条件を波長550nmにおける5°反射率と選定した理由としては、国際照明委員会(CIE;Commission internationale de l'eclairage)によって定められている、人が最も明るく感じる分光可視効率が最も高い波長領域(555nm)付近であり、かつ表面のざらつきが見やすい低入射角度で測定することが好ましいと考えたためである。なお、染料受容層6表面の反射を測定するその他の方法として、光沢度が挙げられる。一部の測定条件において反射率と光沢度とは相関性はあるようであるが、本測定条件における反射率と光沢度の相関性に関しては明らかになっていない。2007年度の新潟県工業技術研究報告書によると、分光光度計の反射率から算出された光沢度と光沢度計により測定された光沢度では絶対値に差が生じていることが報告されている。
染料受容層6の表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下の範囲に調整される。染料受容層6の表面の波長550nmにおける5°反射率が1%より小さい場合、下引き層5に含有する白色顔料による凹凸が目立ち、画質に優れた熱転写受像シートを得ることができない。また、染料受容層6の表面の波長550nmにおける5°反射率が8%より大きい場合、白色顔料による隠蔽性能が不足するため、基材2の地合いが目立ち、画質に優れた熱転写受像シートを得ることができない。
すなわち、上述の範囲に染料受容層6表面の波長550nmにおける5°反射率を調整する理由としては、表面が一定以上の平滑性を保ちつつ、白色顔料による隠蔽性を高めるためである。白色顔料による隠蔽性を高めることで、基材2の地合いを目立たなくすることができる。
下引き層5と染料受容層6を形成後の、染料受容層6表面の波長550nmにおける5°反射率を1%以上8%以下に調整する方法としては、下引き層5に含有するバインダ樹脂と白色顔料の比率や膜厚を調整する方法がある。
例えば膜厚が2μmの場合、下引き層5におけるバインダ樹脂と白色顔料との混合量は、バインダ樹脂に対する白色顔料の比(質量比)が0.5以上2.0以下であることが好ましい。バインダ樹脂の混合量が多すぎる場合、熱転写受像シート1の染料受容層6表面の波長550nmにおける5°反射率が低くなりすぎるためである。また、白色顔料の混合量が多すぎる場合、熱転写受像シート1の染料受容層6表面の波長550nmにおける5°反射率が高くなりすぎるためである。
2.熱転写受像シートの製造方法
以下、図2(a)から図2(d)を参照して、熱転写受像シート1の製造方法について説明する。図2(a)から図2(d)は、本発明の一実施形態に係る熱転写受像シート1の製造工程を示す製造工程断面図である。
本発明の一実施形態に係る熱転写受像シート1の製造方法は、基材2の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層3、多孔質フィルム層4、下引き層5、染料受容層6をこの順で有してなる熱転写受像シート1の製造方法であって、基材2と多孔質フィルム層4とを、ポリオレフィン樹脂層3を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせる貼り合わせ工程と、下引き層5を形成する下引き層形成工程と、染料受容層6を形成する染料受容層形成工程とを備え、多孔質フィルム層4の下引き層5に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が0.8μm以下であり、染料受容層6の表面の波長550nmにおける5°反射率が1%以上8%以下となるように、ポリオレフィン樹脂層3、多孔質フィルム層4、下引き層5及び染料受容層6を形成する。これにより、低コスト且つ画質に優れた熱転写受像シートを製造することができる。
[貼り合わせ工程]
図2(a)に示すように、基材2と多孔質フィルム層4とが、ポリオレフィン樹脂層3を介して貼り合わされる。基材2と多孔質フィルム層4とは、ポリオレフィン樹脂層3を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わされる。具体的には、溶融したポリオレフィン樹脂がフィルム状に押出されるとともに、溶融したポリオレフィン樹脂を介して多孔質フィルム層4が供給され、冷却ロールにて冷却されることにより、ポリオレフィン樹脂が固化してポリオレフィン樹脂層3が形成される。
冷却ロールとしては、鏡面ロール又はセミマットロール等が用いられる。冷却ロールの多孔質フィルム層4と対向する表面の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。また、押出サンドイッチラミネーション時におけるニップ圧を3kg重/cm以上50kg重/cm以下、好ましくは4kg重/cm以上50kg重/cm以下に調整する。さらに、貼り合せ工程において、固化後のポリオレフィン樹脂層3の厚さを均一且つ8μm以上80μm以下、好ましくは10μm以上60μm以下に調整する。これにより、多孔質フィルム層4の下引き層5に対向する面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μm以下とすることができる。
[下引き層形成工程]
図2(b)に示すように下引き層形成工程において、バインダ樹脂、白色顔料を含む下引き層塗布液5aを作製し、多孔質フィルム層4の表面に下引き層塗布液5aを塗布・乾燥する。これにより、図2(c)に示すように下引き層5が形成される。
[染料受容層形成工程]
図2(c)に示すように染料受容層形成工程において、バインダ樹脂、離型剤を含む染色受容層塗布液6aを作製し、下引き層5上に染色受容層塗布液6aを塗布・乾燥する。これにより、図2(d)に示すように染料受容層6が形成される。なお、染色受容層塗布液6aは、多孔質フィルム層4上に塗工された乾燥前の下引き層塗布液5a上に塗布してもよい。
このとき、下引き層塗布液及び染色受容層塗布液には、一般の塗被紙製造において使用される濡れ剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種補助剤が適宜添加される。また、下引き層塗付液及び染色受容層塗布液は、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート、ダイコート等の公知のウェットコーティング法によって、多孔質フィルム層4、下引き層5又は多孔質フィルム層4上に塗工された乾燥前の下引き層塗布液の表面にそれぞれ塗布される。
また、下引き層塗布液及び染色受容層塗布液の塗布時には、下引き層塗布液及び染色受容層塗布液を各層毎、あるいは2層以上を同時に塗工、乾燥してもよい。
以上により、基材2の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層3、多孔質フィルム層4、下引き層5及び染料受容層6をこの順で有してなる熱転写受像シート1が形成される。
上述した熱転写受像シートについて、具体的な実施例及び比較例を用いて説明する。
以下に、各実施例及び各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材として、両面にコロナ処理を施した厚さ約149μmの上質紙(しらおい 坪量127.9g/m 日本製紙製)からなる紙基材を使用し、紙基材の一方の面に溶融押し出し法により、厚さ30μmの背面押出樹脂層を形成した。背面押出樹脂層の形成には、低密度ポリエチレン樹脂(LC600A 日本ポリエチレン製)を用いた。
次に、紙基材の背面押出樹脂層形成面とは反対側の面と、厚さ30μmの発泡ポリプロピレンフィルム(エコネージュNW−2 三井化学東セロ株式会社製)の一方の面とを、溶融した低密度ポリエチレン樹脂(LC600A 日本ポリエチレン株式会社製)を用いた押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせた。このとき、低密度ポリエチレンの塗布厚さ(すなわち、ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が8μmとなるように調整した。また、押出サンドイッチラミネーション時に用いる冷却ロールには、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.2μmの鏡面ロールを用いた。また、冷却ロール周面におけるニップ圧を3kg重/cmとした。
紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を以下の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
<表面粗さ評価方法>
接触式表面粗さ計(Wyko NT3300 Bruker社製)
測定範囲 1mm×1mm
測定ピッチ X方向0.1μm、Y方向20μm
発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面に、以下の下引き層塗布液−1を、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布、乾燥することで、下引き層を形成した。更に、下引き層の表面に、以下の染料受容層塗布液を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥することで、染料受容層を形成し、実施例1の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−1>
ポリオレフィン樹脂 7.5部
(ユニストールP501 三井化学株式会社製)
酸化チタン 7.5部
(RDO SACHTLEBEN社製)
メチルエチルケトン(MEK) 42.5部
トルエン 42.5部
<染料受容層塗布液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 19.5部
(ソルバインC、日信化学工業株式会社製)
アミノ変性シリコーン 0.5部
(KF−393、信越化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
(実施例2)
押出サンドイッチラミネーション時に低密度ポリエチレンの厚さ(ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が15μmとなるように調整した。また、冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が1.0μmの鏡面ロールを用い、ニップ圧を3kg重/cmとした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
(実施例3)
押出サンドイッチラミネーション時に低密度ポリエチレンの厚さ(ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が8μmとなるように調整した。また、冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が1.0μmの鏡面ロールを用い、ニップ圧を15kg重/cmとした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
(実施例4)
押出サンドイッチラミネーション時に低密度ポリエチレンの厚さ(ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が15μmとなるように調整した。また、冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が0.2μmの鏡面ロールを用い、ニップ圧を3kg重/cmとした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.4μmであった。
(実施例5)
押出サンドイッチラミネーション時に低密度ポリエチレンの厚さ(ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が8μmとなるように調整した。また、冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が0.2μmの鏡面ロールを用い、ニップ圧を15kg重/cmとした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.4μmであった。
(実施例6)
押出サンドイッチラミネーション時に低密度ポリエチレンの厚さ(ポリオレフィン樹脂層の厚さ)が15μmとなるように調整した。また、冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が1.0μmの鏡面ロールを用い、ニップ圧を15kg重/cmとした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.4μmであった。
(実施例7)
下引き層を以下の組成の下引き層塗布液−2を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
<下引き層塗布液−2>
ポリオレフィン樹脂 5.0部
(ユニストールP501 三井化学株式会社製)
酸化チタン 10.0部
(RDO SACHTLEBEN社製)
MEK 42.5部
トルエン 42.5部
(実施例8)
下引き層を以下の組成の下引き層塗布液−3を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
<下引き層塗布液−3>
ポリオレフィン樹脂 10.0部
(ユニストールP501 三井化学株式会社製)
酸化チタン 5.0部
(RDO SACHTLEBEN社製)
MEK 42.5部
トルエン 42.5部
(比較例1)
押出サンドイッチラミネーション時の冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が1.4μmのセミマットロールを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、1.2μmであった。
(比較例2)
下引き層を以下の組成の下引き層塗布液−4を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
<下引き層塗布液−4>
ポリオレフィン樹脂 3.0部
(ユニストールP501 三井化学株式会社製)

酸化チタン 12.0部
(RDO SACHTLEBEN社製)
MEK 42.5部
トルエン 42.5部
(比較例3)
下引き層を以下の組成の下引き層塗布液−5を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
<下引き層塗布液−5>
ポリオレフィン樹脂 12.0部
(ユニストールP501 三井化学株式会社製)
酸化チタン 3.0部
(RDO SACHTLEBEN社製)
MEK 42.5部
トルエン 42.5部
(比較例4)
押出サンドイッチラミネーション時の冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が1.4μmのセミマットロールを用いた以外は、比較例2と同様にして比較例4の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、1.2μmであった。
(比較例5)
押出サンドイッチラミネーション時の冷却ロールとして表面の算術平均粗さ(Ra)が1.4μmのセミマットロールを用いた以外は、比較例3と同様にして比較例5の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの紙基材側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、1.2μmであった。
(比較例6)
紙基材の背面押出樹脂層形成面とは反対側の面と、厚さ30μmの発泡ポリプロピレンフィルム(エコネージュNW−2 三井化学東セロ製)の一方の面とを、以下の組成のドライラミネート用接着剤層塗布液にて貼り合わせた。このとき、接着剤層の乾燥後の厚さが4μmとなるように調整した。これ以外は実施例1と同様にして、下引き層及び染料受容層を形成した後、反応を促進し完了させるためのエージング工程を経て、比較例6の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの接着剤層側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、1.5μmであった。
<ドライラミネート用接着剤層塗布液>
ポリエステル系樹脂 45.0部
(タケラックA606 武田薬品工業株式会社製)
イソシアネート系硬化剤 5.0部
(タケネートA12 武田薬品工業株式会社製)
酢酸エチル 50.0部
(比較例7)
接着剤層の乾燥後の厚さを15μmとなるように調整した以外は、比較例6と同様にして、比較例7の熱転写受像シートを得た。紙基材に発泡ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、発泡ポリプロピレンフィルムの接着剤層側とは反対側の表面の算術平均粗さ(SRa)を実施例1と同様の装置・条件にて測定したところ、0.8μmであった。
[熱転写記録媒体の作製]
基材として、厚さ4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。この基材の非易接着処理面に、以下の組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥して耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、以下の組成の熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液>
シリコーン系アクリルグラフトポリマー 50.0部
(東亞合成株式会社US−350)
メチルエチルケトン 50.0部
<熱転写層塗布液>
C.I.ソルベントブルー36 2.5部
C.I.ソルベントブルー63 2.5部
ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
以下、実施例1〜8及び比較例1〜7の熱転写受像シートのそれぞれを評価する。
[反射率評価]
実施例1〜8、比較例1〜7の熱転写受像シートの、染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率を、以下の装置・条件にて測定した。
分光光度計:U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)
波長:550nm
角度:5°
[印画評価]
熱転写記録媒体を使用し、解像度が300×300DPIの、評価用サーマルプリンタにて実施例1〜8、比較例1〜7の熱転写受像シートに対して風景画の印画を行い、画質の評価を行った。
画質は、以下の基準で評価した。
◎:熱転写受像シート表面に凹凸がなく、画質に非常に優れている
○:熱転写受像シート表面に凹凸がなく、画質
に優れている
×:熱転写受像シート表面の凹凸が少し目立ち、画像にムラが発生し、実用上問題がある
××:熱転写受像シート表面の凹凸がかなり目立ち、画像にムラが多数発生し、実用上問題がある
[コスト判断基準]
実施例1〜8、比較例1〜7の熱転写受像シートの製造コストは、以下の基準で評価した。
○:材料費及び製造コストの観点において、従来より低コストで製造することができる
×:材料費及び製造コストの観点において、従来より低コストで製造することができない
Figure 2016182683

表1に示す結果から分かるように、実施例1〜8の熱転写受像シートは、基材と多孔質フィルム層とを、ポリオレフィン樹脂層を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わされており、多孔質フィルム層の下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)を0.8μm以下に調整し、且つ染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率を1%以上8%以下の範囲に調整することで、低コスト且つ画質に優れた熱転写受像シートを作製することができ、本発明による効果が確認できた。
中でも、実施例4〜6の熱転写受像シートは、押出サンドイッチラミネーション時の冷却ロール表面の算術平均粗さ(Ra)、ポリオレフィン樹脂層の厚さ、ニップ圧の条件を2つ以上満たしている。これにより、実施例4〜6の熱転写受像シートは、多孔質フィルム層を貼り合わせた後の多孔質フィルム層の下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が実施例1〜3、7〜8と比較して更に小さくなる。したがって、実施例4〜6の熱転写受像シートは、より低コスト且つ画質に非常に優れた熱転写受像シートを作製でき、本発明による効果が確認できた。
これに対して比較例1の熱転写受像シートは、発泡ポリプロピレンフィルムの下引き層と対向する面の算術平均粗さ(SRa)が1.2μmとなり、優れた画質とはならなかった。
比較例2,3の熱転写受像シートは、染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率が1%以上8%以下の範囲外であり、優れた画質とはならなかった。
比較例4,5の熱転写受像シートは、発泡ポリプロピレンフィルムの下引き層と対向する面の算術平均粗さ(SRa)が1.2μmとなり、かつ染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率が1%以上8%以下の範囲外であったため、画像にムラが多数発生する結果となった。
比較例6の熱転写受像シートは、紙基材と発泡ポリプロピレンフィルムとを、ドライラミネート用接着剤にて貼り合わせて形成したものである。このとき、接着剤層の乾燥後の厚さを4μmとしている。この場合、発泡ポリプロピレンフィルムの下引き層と対向する面の算術平均粗さ(SRa)が1.5μmとなり、画質に優れた熱転写受像シートを得ることができなかった。また、下引き層及び染料受容層を形成後に、反応を促進し完了させるためのエージング工程を設けたため、製造コストを押し上げる結果となり、低コストで製造することができなかった。
比較例7の熱転写受像シートは、比較例6と同様にドライラミネート用接着剤にて貼り合わせ形成したものであり、接着剤層の乾燥後の厚さを比較例6の接着剤層よりも厚い15μmとしている。このため、発泡ポリプロピレンフィルムの下引き層と対向する面の算術平均粗さ(SRa)が0.8μmとなり、画質に優れた熱転写受像シートを得ることができた。しかしながら、比較例6と同様にエージング工程を設けたことと、接着剤層の厚さを大きくしたために低コストで製造することができないばかりか、残留溶剤が多量に残り、ブロッキングや異臭がする結果となってしまった。
以上から、基材の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層、多孔質フィルム層、下引き層及び染料受容層をこの順で有してなる熱転写受像シートであって、基材と多孔質フィルム層とが、ポリオレフィン樹脂層を介して押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わされており、多孔質フィルム層の下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が0.8μm以下であり、且つ前記染料受容層表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下である熱転写受像シートは、低コストにて製造でき、画質に優れることが分かった。
また、このような熱転写受像シートは、基材と多孔質フィルム層とを、ポリオレフィン樹脂層を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせる貼り合わせ工程と、下引き層を形成する下引き層形成工程と、染料受容層を形成する染料受容層形成工程とを備えている。そして、貼り合わせ工程において、押出サンドイッチラミネーション時に用いる冷却ロールの表面の算術平均粗さ(Ra)を1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下とするか、ポリオレフィン樹脂層の厚さを均一且つ8μm以上80μm以下、好ましくは10μm以上60μm以下に調整するか、又は押出サンドイッチラミネーション時におけるニップ圧を3kg重/cm以上50kg重/cm以下、好ましくは4kg重/cm以上50kg重/cm以下に調整することにより得ることができる。
本発明に基づき得られる熱転写受像シートは、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラーで形成できる。このため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
1 熱転写受像シート
2 基材
3 ポリオレフィン樹脂層
4 多孔質フィルム層
5 下引き層
6 染料受容層

Claims (5)

  1. 基材の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層、多孔質フィルム層、下引き層及び染料受容層をこの順で有してなる熱転写受像シートであって、
    前記基材と前記多孔質フィルム層とが、前記ポリオレフィン樹脂層を介して押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わされており、
    前記多孔質フィルム層の前記下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)は0.8μm以下であり、且つ前記染料受容層の表面の波長550nmにおける5°反射率は1%以上8%以下である
    熱転写受像シート。
  2. 基材の一方の面上に、ポリオレフィン樹脂層、多孔質フィルム層、下引き層及び染料受容層をこの順で有してなる熱転写受像シートの製造方法であって、
    前記基材と前記多孔質フィルム層とを、前記ポリオレフィン樹脂層を介した押出サンドイッチラミネーションにて貼り合わせる貼り合わせ工程と、
    前記下引き層を形成する下引き層形成工程と、
    前記染料受容層を形成する染料受容層形成工程と
    を備え、
    前記多孔質フィルム層の前記下引き層に対向する面の算術平均粗さ(SRa)が0.8μm以下であり、前記染料受容層の表面の波長550nmにおける5°反射率が1%以上8%以下となるように、前記ポリオレフィン樹脂層、前記多孔質フィルム層、前記下引き層及び前記染料受容層を形成する
    熱転写受像シートの製造方法。
  3. 前記貼り合わせ工程において、前記押出サンドイッチラミネーション時に用いる冷却ロールの表面の算術平均粗さ(Ra)を0.8μm以下とする
    請求項2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  4. 前記貼り合わせ工程において、前記ポリオレフィン樹脂層の厚さを均一且つ10μm以上60μm以下とする
    請求項2又は3に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  5. 前記貼り合わせ工程において、前記押出サンドイッチラミネーション時におけるニップ圧を4kg重/cm以上50kg重/cm以下に調整する
    請求項2から4のいずれか一項に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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