JP3846014B2 - 熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写受像シート(以下、受像シートと記す)の製造方法に関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は、マークや図柄などの、印刷を施された表面及び/又は裏面を有する受像シートを製造する場合に、特にカールを防止及至僅少化することができる印刷が施された受像シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱転写方式のカラーハードコピー、特に昇華型熱転写プリンターの開発が進んでいる。昇華型熱転写プリンターでは、3色(イエロー、マゼンタ、シアン)、或いは4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の昇華性染料層を含むインクシートを、順番に受像シートに重ね、これをサーマルヘッドにより加熱し、それぞれの色の染料を、その転写量を制御しながら受像シートに転写することにより、濃度階調性に優れたフルカラー画像の転写形成が可能になっている。このような熱転写プリンターは、テレビ画像やビデオカメラで撮影した画像を、例えば、葉書タイプの受像シートや、ステッカータイプの受像シートにプリントする等の用途において、ゲームセンター等のアミューズメント施設をはじめ、一般家庭でも急速に普及している。
【0003】
一般に受像シートの表面あるいは裏面には、それぞれの用途に応じて、検知マーク、ロゴマーク、あるいは図柄などの印刷が施されている。
例えば、前述のようなプリンターは、複数枚の定型サイズにカットされた受像シートをトレー内に装着し、トレーからプリンター内に給紙する機構を有している。受像シートには、プリンター純正紙であるか否か、且つ純正紙であっても、プリンター装着時にその表裏が逆になっていないかを判別するため、裏面上に検知マークが印刷されていることが一般的である。
【0004】
熱転写プリンターにおいて、良好なプリント印画を得るために、例えば一軸ないし二軸延伸フィルムや多層構造フィルム(合成紙)などのシート上に、染料染着性樹脂を主成分として含む受像層を形成した受像シートが用いられている。上記の様な受像シートは、厚さが均一で、柔軟であり、しかもセルロース繊維からなる紙に比べて熱伝導度が低いなどの利点があり、このため、均一で濃度の高い転写画像が得られるという長所がある。しかし、合成紙などを支持体として用いた受像シートに熱転写記録を施すと、熱によりフィルムに残存している延伸応力が開放されて、熱収縮し、その結果受像シートにカールやシワを発生して、プリンター中をスムースに走行することが困難となり、また得られるプリントの商品価値を著しく低下させる等の欠点があった。
【0005】
受像シートのシート状基材に由来する上記問題点を解消するために、紙などのように熱収縮性の小さな芯材の両面に、上記の一軸ないし二軸延伸フィルムを積層結着して、基材表裏のフィルムのテンションをバランスさせることにより、基材に起因するカールをコントロールする方法が試みられている(特開平3−234588号公報)。
【0006】
しかしながら、従来の印刷が施された受像シートの製造には、受像層を形成する前の積層基材の表面又は裏面に印刷したり、あるいは受像シートを作成した後に印刷が行われていたため、印刷後の乾燥工程における加熱により、受像シートに予測できないようなカールが生ずる傾向があった。このようなカールを除去することは困難であり、商品としての外観が劣るだけでなく、プリンターで記録する際に、受像シートの紙詰まりなどのトラブルの原因となっており、このため、印刷が施された受像シートにおけるカール問題の解決が強く要望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面や裏面にマークや図柄などの印刷が施された受像シートを製造するに際し、カールの発生を容易にコントロールすることが可能な受像シートの製造方法を提供しようとするものであり、特に印刷に伴うカールの発生がなく、従って記録走行性が良好で、かつ画質の優れた記録画像を形成することができる熱転写受像シートの製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱転写受像シートの製造方法(1)は、芯材層と、その表面上に積層された表面側フィルム層と、この表面側フィルム層上に形成され、染料染着性材料を含む受像層とを有し、印刷を施された熱転写受像シートを製造するに際し、
前記芯材層の裏面上に予め印刷を施し、前記表面側フィルムの表面上に、受像層を形成し、この受像層担持表面側フィルムの裏面と、前記芯材層の表面とを積層一体化する、
ことを特徴とするものである。
また、本発明の熱転写受像シートの製造方法(2)は中芯基材層と、その裏面上に積層された裏面側フィルム層とを含む芯材層と、前記中芯基材層の表面上に積層された表面側フィルム層と、この表面側フィルム層の表面上に形成され、染料染着性材料を含む受像層とを有し、印刷を施された熱転写受像シートを製造するに際し、
前記裏面側フィルム層の裏面上に予め印刷を施し、
前記表面側フィルム層の表面上に前記受像層を形成し、この受像層担持表面側フィルム層の裏面と前記中芯基材層の表面との積層、及び前記中芯基材層の裏面と、前記裏面側フィルム層の表面との積層を任意の順序で、又は同時に行ってこれらを一体化することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
例えば、図1に示すように、本発明の受像シート製造方法(1)により得られる受像シート1は、芯材層4上に積層された表面側フィルム層3と、この表面側フィルム層3上に形成された受像層2とからなるものである、図1において芯材層4の裏面にコーク等の印刷画像5が印刷されている。芯材層4は多層積層基材でもよく、式は単一層体であってもよい。例えば図2に示すように、芯材層4は、中芯基材層6と裏面側フィルム層7とが積層されているものであってもよい。さらに必要に応じて、裏面側フィルム層7の裏面には印刷を施す前又は後に裏面塗工層(図示されていない)が設けられていてもよい。
【0011】
本発明方法(1)において、印刷後の積層法においては、表面側フィルム層3(印刷なし)の表面上に受像層2を形成し、この積層体の表面側フィルム層3の裏面に、芯材層4(印刷ずみ)の表面を積層し一体化して、印刷が施された受像シート1を作製する。
【0012】
図2に示されているように本発明の受像シートの製造方法(2)において、芯材層4は、中芯基材層6と裏面側フィルム層7との積層体であり、この芯材層4と、表面側フィルム層3とから支持体1aが形成される。
本発明方法(2)において、上記成分層を積層一体化する前に、裏面側フィルム層7の裏面上にマーク、図柄など所望の印刷5が施される。
【0014】
本発明方法(2)においては、前記印刷工程の後に、表面側フィルム層3の表面上に、受像層2が形成され、この受像層2担持表面側フィルム層3の裏面と中芯基材層6の表面、並びに中芯基材層6の裏面と裏面側フィルム層7の表面とを、任意の順序で、又は同時に積層して一体化する。
【0015】
前記のような方法において、成分層の積層前に、所定の層に予め印刷を施しておくことにより、受像シートのカール発生を極めて容易にコントロールすることが可能となり、外観が良好で、かつプリンター内での記録走行性に優れた受像シートが得られる。従来一般に行われているように、成分層を積層して得られるシート状支持体に印刷を施した場合には、印刷インキの乾燥工程における加熱により発生した各層間の歪みによりカールが発生し、このカールを矯正するには、さらに矯正工程が必要となり、しかもその矯正効果には限界がある。
本発明の方法により、印刷工程において表面側フィルム層、あるいは裏面側フィルム層又は芯材層に熱収縮等が生じたとしても、その後の各成分層の貼合・積層工程、並びに受像層、裏面塗工層を形成する工程中に容易に矯正される。また印刷工程と受像層の形成とが別々に行われるため、受像層表面の均一性も保たれ、記録画質の優れた受像シートが得られる。さらに付随的に、例えば裏面側印刷の場合には、製造中における受像層側への印刷インキの転写も防止される。
【0016】
本発明の印刷が施された熱転写受像シート製造方法は、受像シートの裏面に、例えば検知マークやロゴマーク、図柄等の印刷を施す際に利用される。その印刷方式については、特に制限はなく任意の方式を選択することができる。例えば、凸版印刷をはじめ、凹版(グラビア)印刷、平版印刷、オフセット印刷等が挙げられ、印刷後に十分な加熱乾燥を必要とする印刷方式において、本発明方法のカール防止効果が顕著である。
印刷に用いられるインキについても特に限定はなく、例えば、染料、顔料等の色料、植物油、鉱物油、溶剤、天然樹脂、合成樹脂、ワックス等からなるビヒクル(展色料)や、インキの流動性、乾燥性、色調、光沢等を調節する補助剤等から構成される一般的インキを用いることができる。また、インキの色についても、例えばインキの基本色を構成する墨、藍、紅、黄等の中から、目的に応じて適宜選択され、単独又は複数併用して用いられる。
【0017】
本発明に用いられるシート状支持体を形成する芯材層としては、上質紙、コート紙、アート紙等の紙基材、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を紙基材にラミネートしたラミネート紙、ポリエチレンフタレート等のポリエステルからなるフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン)フィルム等のプラスチックフィルムや、或いはポリオレフィン樹脂と無機顔料を主成分とし、2軸延伸により形成された多数のボイドを有する多層構造のフィルム等を例示することができる。
【0018】
さらに、前記シート状支持体を単体で使用するだけでなく、前記シート支持体の二種以上をドライラミネート法、ウエットラミネート法、溶融ラミネート法等の公知の方法により、貼り合わて多層構造シートにしたものも支持体として使用でき、その組み合わせに限定はない。一般にドライラミネート法が好ましく行われ、その際に用いられる接着剤としては、ポリエーテル系、ポリエステル系などの高分子樹脂成分に、ポリイソシアネート系、エポキシ系等の硬化剤を配合したものが挙げられる。また、中芯基材層と表及び裏面側フィルム層との積層においても、同様な方法でラミネートすることが可能である。
【0019】
本発明においてシート状支持体を形成する芯材層としては、木材パルプを主成分とする天然パルプからなる紙基材が好ましく用いられる。このような紙基材は、適当な断熱性、及びクッション性を有し、かつコスト的にも有利なものである。紙基材としては、カレンダー処理を施して高平滑化したものが好ましく用いられ、必要に応じて顔料を含有する塗工層を有していてもよい。例えば、紙基材として上質紙、コート紙、アート紙、片艶紙、含浸紙、板紙、ラミネート紙等を用いることができる。
【0020】
前記の紙基材としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、広葉樹・針葉樹混合パルプ等の木材パルプ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ等のように通常使用されているパルプからなる原紙が使用できる。原紙としては、カレンダー処理等により表面平滑性を改善したものが好ましく、その坪量は、50〜250g/m2 であることが好ましい。
さらに紙基材の裏面側、もしくは両表面は耐水性、熱可塑性樹脂で被覆されていてもよく(所謂ラミネート紙)、このような耐水性熱可塑性樹脂として、例えば、ポリオレフィン樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂は、エチレン、及びα−オレフィン類、例えばプロピレンなどの単独重合体、及び前記オレフィンの少なくとも2種の共重合体から選ばれ、これら各種重合体は単一種で用いられてもよく、式はその2種以上を併用してもよい。
【0021】
また原紙は、通常の紙用各種添加剤、例えば乾燥紙力増強剤(カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド等)、サイズ剤(脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン、カチオン化サイズ剤、反応性サイズ剤等)、填料(クレー、カオリン、チタン等)、湿潤紙力増強剤(メラミン樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等)、定着剤(硫酸アルミニウム、カチオン化デンプン等)、PH調節剤(苛性ソーダ、炭酸ソーダ等)などの1種以上を含んでもいてもよい。また原紙は水溶性高分子添加剤、サイズ剤、無機電解質、吸湿性物質、顔料、染料、PH調節剤などの1種以上を含む処理液でタブサイズ、又はサイズプレスされたものであってもよい。
【0022】
本発明方法において、芯材層上に積層される表面側フィルム層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリアミド類、ポリ塩化ビニル、及びポリスチレンなどの1種以上を主成分とするフィルム基材が使用される。好ましくは、熱可塑性樹脂を主成分とする多層構造延伸フィルムからなる合成紙が用いられる。多層構造延伸フィルムは、表面層、中芯層の他に、裏面層等を含むことができる。
【0023】
合成紙の一例としては、無機微粉末を15〜45重量%含有するポリオレフィン二軸延伸フィルムを中芯層とし、この中芯層の表面に無機微粉末を0〜10重量%含有するポリオレフィンの二軸延伸フィルムを最外表面層として0.3〜1.5μmの厚みで設けた複層構造の合成樹脂フィルム、が挙げられる。さらに、中芯層の裏面側には、二軸延伸ポリオレフィンフィルム層が積層されていてもよい。
この多層樹脂延伸フィルムよりなる合成紙は、中芯層用組成物をシート状に押出し、このシートの片面又は両表面の表面層組成物を積層した多層樹脂シートをポリオレフィンの融点より低い温度で同時に、又は逐次に縦方向及び横方向にそれぞれ4〜12倍延伸することにより中芯層に多数のミクロボイドが生成し、圧縮性が良好で、表面層及び裏面層が平坦な延伸フィルムが得られる。
【0024】
表面側フィルム層全体の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、例えば合成紙の場合には、表面層、裏面層と中芯層の各層の厚さは、表面層と裏面層の合計の厚さが多層構造樹脂フィルムの全厚みの10〜40%で、中芯層の厚さが90〜60%であることが好ましい。表面層及び裏面層の厚さが厚すぎると中芯層の圧縮特性を十分に活用することができず、またそれが薄すぎると表面平滑性が低下し、ヘッドと受像シートとの密着性が不安定となる傾向がある。
【0025】
芯材層と表面側フィルム層との積層体からなるシート状支持体の厚さは、20〜300μmの範囲にあることが好ましい。支持体の厚さが20μm未満であると、得られる受像シートの機械的強度が不十分となるばかりでなく、その硬さや、変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生ずる受像シートのカール発生の防止が不十分になるという不都合を生ずることがある。またその厚さが300μmを越えると、得られる受像シートの厚さが過大になることがある。所定容積のプリンターにおいては、受像シート収容可能容積に限度があり、受像シートの厚さの増大は、当然プリンターに内蔵される受像シートの収容枚数の低下を招く。この場合、所定枚数の受像シートを収容しようとすれば、プリンターの容積を大きくしなければならず、この場合、プリンターのコンパクト化が困難となる。
【0026】
本発明方法においては、芯材層が複数の成分層から構成されていてもよく、例えば中芯基材層の裏面に裏面側フィルム層が積層された構成を有していてもよい。裏面側フィルム層としては、前述の表面側フィルム層と同様なフィルム基材が用いられる。
【0027】
本発明の受像シートにおいて、シート状支持体の表面上に設けられる受像層は、インクリボンから転写される昇華性染料を染着、固着し得る染着性樹脂を主成分として形成される。このような染着性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びアセテートブチレート樹脂などのセルロース誘導体等を用いることができる。
受像層の塗工量は、1〜20g/m2 の範囲内で調節され、好ましくは3〜10g/m2 である。受像層の塗工量が1g/m2 未満では、受像層が支持体表面を完全に覆うことができず、このため、熱転写される画像の画質の低下を招いたり、受像シートとインクリボンが付着してしまい、いわゆる融着が発生することがある。一方、受像層の塗工量が20g/m2 を越えると、画像受容効果が飽和して不経済であるばかりでなく、受像層の強度が不十分になり、受像層の厚みが過大となるため支持体の断熱効果が十分に発揮されず、画像濃度が低下することがある。
【0028】
本発明方法により得られる受像シートの受像層には、サーマルヘッドの加熱による受像層とインクリボンとの融着を防ぐ目的で、樹脂用架橋剤、滑剤、剥離剤等の融着防止剤が添加されてもよい。また、必要に応じ、その他の添加剤、例えば有色顔料、有色染料、蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤等を添加してもよい。融着防止剤としてはアクリルシリコン系樹脂等、架橋剤としてはイソシアネート系化合物およびエポキシ系化合物等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、フェニルサリシレート系およびシアノアクリレート系化合物等が用いられる。これら受像層に添加される成分は架橋剤を介して架橋反応を起こすものが望ましい。これらの添加剤は、受像層の主成分と混合して塗工されてもよいし、別の塗工層として受像層の上、もしくは下に塗工されていてもよい。
【0029】
本発明方法により得られる受像シートにおいて、走行性向上、静電気の防止、受容シート相互の擦れによる受像層の損傷防止、さらにはプリントした受像シートを重ね置きしたとき、受像層から、それに接触、隣接する受像シート裏面への染料の移行の防止などを目的として、受像シートの裏面側(受像層に対し反対側)に、裏面塗工層が形成されていてもよい。この裏面塗工層には、接着剤として有効な樹脂が含まれ、且つ、この樹脂は、受像シートの走行性、受像層面の傷つき防止の為にも有効なものである。このような接着剤樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等、並びにこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。
【0030】
また、裏面塗工層には、静電気の帯電による給紙、走行トラブル等を抑制する目的で、帯電防止剤が含まれていてもよい。帯電防止剤としては、市販のアニオン性、ノニオン性、カチオン性等の帯電防止剤が使用でき、また二酸化チタン又は酸化亜鉛のような無機酸化物の微粉末を不純物と混合して焼成して、電子伝導性を高めた無機微粉末も使用することができる。中でもカチオン系ポリマーを用いることが望ましく、ポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体、及びカチオン澱粉等が好ましく用いられる。
【0031】
さらに裏面塗工層には、必要に応じて、接着剤、滑剤、顔料、消泡剤、分散剤、樹脂の架橋剤、有色染料等を適宜選択して含有させてもよい。裏面塗工層の塗工量には特に制限はないが、0.3〜20g/m2 であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/m2 の範囲内に調節される。裏面塗工量の塗工量が少なすぎると当該塗工層に期待される効果が発揮されず、また多すぎても、その効果が飽和してしまい、コストを上昇させるので実用的でない。
【0032】
また、プリンター内を受像シートが走行するとき、静電気による走行トラブルの発生を防ぐため、受像シートの受像層面上、あるいは受像層とシート状支持体の間に、裏面塗工層とは別の帯電防止剤層を塗布してもよい。
【0033】
本発明方法において、受像シートの受像層、裏面塗工層、及びその他の塗工層は、各層用塗工液を、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター等の既知のコーターで塗工し、乾燥して形成することができる。
【0034】
【実施例】
本発明を下記実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。尚、下記実施例において、特に断らない限り、「%」及び「部」は全て「重量%」、及び「重量部」を示す。
【0035】
実施例1
[表面側フィルム上における受容層の形成]
無機顔料を含むポリオレフィンを主成分として含み、2軸延伸された厚さ60μmの多層構造フィルム(商標:ユポFPG60、王子油化合成紙製、80℃,24時間の熱処理ずみ)からなる表面側フィルムの表面上に、下記組成の塗料−1を固形分塗工量が8g/m2 となるようにグラビアコーターにより塗工、乾燥して受像層を形成した。
[裏面側フィルムへの印刷]
無機顔料を含むポリオレフィンを主成分として含み2軸延伸された厚さ60μmの多層構造フィルム(商標:ユポFPG60、王子油化合成紙製、熱処理なし)からなる裏面側フィルムの裏面上に、グラビア印刷機を使用して、印刷速度60m/min 、乾燥温度130の条件で、ロゴマークの印刷を行ない、印刷ずみ裏面側フィルムを作製した。
〔受像シートの作製〕
上記、受容層を設けた表面側フィルム、及び印刷を施した裏面側フィルムを、受像層表面、及び印刷面がそれぞれ外側になるようにして、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる中芯基材の表裏面上に、ポリエステル系接着剤を用いる、ドライラミネート法により貼り合わせて受像シートを作製した。
【0036】
【0037】
実施例2
実施例1と同様にして、但し、中芯基材として厚さ80μmのコート紙(商標:OKコート、王子製紙製)を用いて、受像シートを作製した。
【0038】
実施例3
厚さ100μmの上質紙の表面上に高密度ポリエチレンを320℃の温度で30μmの厚さに押し出してラミネートし、これを温度20℃のクーリングロールに押しつけて冷却固着して、コート層を形成してラミネート紙を作製した。このラミネート紙層のコート層上に下記組成の塗料−2を、固形分塗工量が2g/m2 となるように塗工、乾燥して裏面塗工層を形成し、芯材層を作製した。この芯材層の裏面塗工層上に実施例1と同様にして印刷を施した。芯材層の非ラミネート面上に、実施例1と同様の受像層付き表面側フィルムを、その受像層が外側になるようにして、ポリエステル系接着剤を使用してドライラミネート法により貼り合わせて受像シートを作製した。
【0039】
【0040】
比較例1
[シート状支持体の形成]
無機顔料を含むポリオレフィンを主成分として含み2軸延伸された厚さ60μmの多層構造フィルム(商標:ユポFPG60、王子油化合成紙製)の熱処理品(80℃,24時間)及び未熱処理品を用意し、50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる中芯基材の表裏両面に、前記熱処理品を表面側に、前記未処理品を裏面側に、ポリエステル系接着剤を用い、ドライラミネート法で貼り合わせてシート状支持体を作製した。この支持体の表面上に、実施例1と同様にして受像層を形成して受像シートを作製した。
[受像シートへの印刷]
次に、上記受像シートの裏面側(未熱処理フィルムの裏面)に、実施例1と同様な方法で印刷を施した。
【0041】
比較例2
比較例1と同様にして、但し、中芯基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの代わりに、厚さ80μmのコート紙(商標:OKコート、王子製紙製)を用いて、受像シートを作製して、印刷を施した。
【0042】
テスト及び評価
上記各実施例および比較例で得られた受像シートについて、下記の方法によるテストを行った。得られた結果を表1に示す。
〔カール評価〕
得られた受像シートをA5サイズに断裁し、水平な机上に受像層面を上にして載置し、20℃、65%RHの環境下で24時間放置したときのカールを測定した。カールの程度は、凹面側を上にして放置したときの4隅の持ち上がり高さを測定しそれらの平均値(mm)で表した。受像層側が凹形状になる場合は(+)、凸の形状になる場合は(−)とした。一般にカール量が大きくなるとプリンター中で走行トラブルを起こしやすくなるため、商品価値が低下する。
【0043】
〔画像の均一性〕
厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に昇華性染料をバインダーとともに含むインク層を設けたイエロー、マゼンタ、シアンの3色それぞれのインクシートを受像シートの受像層に接触させ、市販熱転写ビデオプリンター(商標:VY−50、日立製作所製)を用いて、サーマルヘッドで段階的に加熱することにより所定の画像を受像層上に熱転写させる方法により、上記各色の中間調の単色および色重ねの画像をプリントした。この受像シート上に転写された記録画像について、マクベス反射濃度計RD−914(:商標)を用いて、印加エネルギー別に反射濃度を測定し、光学濃度(黒)が1.0に相当する階調部分の記録画像の均一性について、(1)濃淡ムラの有無、および(2)白抜けの有無などについて目視観察した。
上記、評価結果が特に優秀なものを5、良好なものを4、普通のものを3、少し欠陥のあるものを2、欠陥の著しいものを1とした。
【0044】
〔搬送性評価〕
受像シートの記録時の搬送性については、前記熱転写ビデオプリンターを用いて100枚連続印画し、搬送トラブルがなく実用に適しているものを(○)、搬送トラブルがあり実用に適さない場合を(×)と表示した。
上記テストの結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明方法により、裏面に、マークや図柄などの印刷を施した受像シートを製造する場合に、特にカールを容易にコントロールして、記録走行性が良好で、かつ画質の優れた受像シートを提供することが可能になり、産業界に寄与するところは大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による受像シートの製造方法(1)の工程説明図。
【図2】 図2は、本発明による受像シートの製造方法(2)の工程説明図。
【符号の説明】
1…印刷つき受像シート
2…受像層
3…表面側フィルム層
4…芯材層
5…印刷画像
6…中芯基材層
7…裏面側フィルム層
1a…支持体
Claims (2)
- 芯材層と、その表面上に積層された表面側フィルム層と、この表面側フィルム層上に形成され、染料染着性材料を含む受像層とを有し、印刷を施された熱転写受像シートを製造するに際し、
前記芯材層の裏面上に予め印刷を施し、
前記表面側フィルムの表面上に、受像層を形成し、この受像層担持表面側フィルムの裏面と、前記芯材層の表面とを積層一体化する、
ことを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。 - 中芯基材層と、その裏面上に積層された裏面側フィルム層とを含む芯材層と、前記中芯基材層の表面上に積層された表面側フィルム層と、この表面側フィルム層の表面上に形成され、染料染着性材料を含む受像層とを有し、印刷を施された熱転写受像シートを製造するに際し、
前記裏面側フィルム層の裏面上に予め印刷を施し、
前記表面側フィルム層の表面上に前記受像層を形成し、この受像層担持表面側フィルム層の裏面と前記中芯基材層の表面との積層、及び前記中芯基材層の裏面と、前記裏面側フィルム層の表面との積層を任意の順序で、又は同時に行ってこれらを一体化することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。
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JP05709498A JP3846014B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | 熱転写受像シートの製造方法 |
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