JP2020062817A - 昇華転写用受像シート - Google Patents
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Abstract
Description
このとき、断熱層の熱伝導率を低下させることで、染料受容層表面の温度を上昇させ、発色特性を向上させることも可能ではあるが、熱伝導率のみでの発色特性の制御は難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、汎用染料を用いたメディア構成においても、十分な最大濃度が得られる昇華転写用受像シートを提供することを目的とする。
加えて、発明者が検討を加えたところ、断熱層のような薄膜状の熱伝導率測定では定常法と非定常法では測定値が異なる現象を確認しており、測定法を明記しない熱伝導率の指定は明確さに欠けると考えられる。
以上のように、本発明者らは、昇華転写用受像シートにおける染料受容層の染料分配係数と断熱層の熱伝導率をコントロールすることにより、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る昇華転写用受像シートを模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る昇華転写用受像シート1は、基材2と、基材2の一方の面上に順に積層された断熱層3及び染料受容層4と、を備える。
基材2としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。基材2としては、例えば、合成樹脂からなるフィルム、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙等の紙基材が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド等が挙げられる。紙基材としては、これらのフィルムや紙の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて複合体を基材2として用いてもよい。
基材2の厚さが上記の範囲内であれば、印刷物を形成した場合に、その印刷物に要求される弾力性、強度及び耐熱性が十分に得られる。
断熱層3は、発泡フィルムその他の多孔質層を含む断熱層であれば従来公知のものが使用できる。
断熱層が発泡フィルムで構成される場合、片面又は両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた断熱層を挙げることができる。断熱層として、発泡ポリオレフィンフィルムの片面又は両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いることが好ましい。
断熱層として用いるためには、定常法にて測定した熱伝導率が0.03W/(m・K)以上0.20W/(m・K)以下の範囲内にあることが好ましく、0.04W/(m・K)以上0.11W/(m・K)以下の範囲にあることがより好ましい。熱伝導率が高すぎると、発色性が低下し、濃色のプリントが不可能となる。熱伝導率が低すぎる場合には、低階調での発色が良すぎ、トーンジャンプ等の画質欠陥の原因となる。
なお、図1には、断熱層3が単層から構成される場合を例示したが、本実施形態の昇華転写用受像シート1はこれに限定されない。本実施形態の昇華転写用受像シート1では、断熱層3が、発泡フィルムと中空粒子や、発泡フィルムの種類、中空粒子の種類、中空粒子と樹脂の質量比が互いに異なる2層以上の層から構成されていてもよい。
バインダ樹脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル・アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等、及びこれら樹脂の混合系が挙げられるがこれらに限定されるものではない。バインダ樹脂としては、好ましくは塩化ビニル系樹脂であり、その塩ビ系樹脂の中でも、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル共重合体から選択される少なくとも1種類の塩化ビニル系樹脂であることがさらに好ましい。
ポリイソシアネートの含有量は樹脂の酸価に対し、0.3倍当量以上1.5倍当量以下であることが好ましい。0.3当量未満とした場合、十分な添加効果を得ることができない恐れが生じる。また、1.5倍当量より大きい場合、離型性は向上するものの、オーバーコート層の転写不良や濃度低下を生じる可能性が高くなる。
離型剤としては、シリコーンオイルやフッ素系添加剤、有機ワックスなどが上げられ、特にシリコーンオイルが使いやすく好ましい。
フィラーとしては、シリカ微粒子(コロイダルシリカ、フュームドシリカ等製法は問わない)アルミナ微粒子、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズなどが上げられるが、これに限定されるものではない。フィラーの粒径としては、2次粒子として2μm以下、1次粒子としては500nm以下が好ましい。
染料受容層4の厚さが0.1μm以上であれば、染料受容層4に十分な機械的強度が得られるため、画質不良が生じ難くなる。一方、染料受容層4の厚さが10μm以下であれば、クラック等の面性欠陥を防ぐことが可能となる。
また、本実施形態の昇華転写用受像シート1は、基材2と断熱層3の接着性を改善するために、基材2と断熱層3の間に接着層を設けてもよい。
また、本実施形態においては、染料受容層4を基材2の片面のみに設置した昇華転写用受像シート1を例示した。基材2における染料受容層4が設けられている面(一方の面2a)とは反対の面(他方の面)2b側に、裏面層が設けられていてもよい。
裏面層を形成する材料としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。裏面層を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド等のバインダ樹脂等が挙げられる。
また、本実施形態の昇華転写用受像シート1には、断熱層3と染料受容層4の間に、本実施形態の昇華転写用受像シート1の性能を損なわない範囲で下引き層が設けられていてもよい。
下引き層の厚さは、0.1μm以上6μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5μm以下であることがより好ましい。
下引き層に用いられる樹脂としては、従来公知のもので対応でき、例えば、ゼラチンやポリビニルアルコール、アクリル、ポリエステル、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
基材として厚さ140μmの上質紙を用いた。その基材の一方の面に、溶融押し出し法により、厚さ30μmの第1のポリエチレン樹脂層を形成した。さらに、上質紙からなる基材の他方の面に、溶融押し出し法により、厚さ40μmの第2のポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、第2のポリエチレン樹脂層の上に、エコネージュNM2(厚み40μm)をドライラミにより貼り合わせ、断熱層を形成した。
その後、断熱層3の上に、下記の組成の染料受容層塗布液aを、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより、染料受容層を形成して、実施例1の昇華転写用受像シートを得た。
「染料受容層塗布液a」
・塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂(商品名:ソルバインC(日信化学工業社製)
: 60.0質量部
・シリコーンオイル系離型剤(商品名:KF868): 0.09質量部
・メチルエチルケトン :140.0質量部
染料受容層を、染料受容層塗布液bを用いて作製する以外は、実施例1と同様にして、実施例2の昇華転写用受像シートを得た。
「染料受容層塗布液b」
・塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂(商品名:ソルバインCN(日信化学工業社製)
: 60.0質量部
・シリコーンオイル系離型剤(商品名:KF868): 0.09質量部
・メチルエチルケトン :140.0質量部
染料受容層を、染料受容層塗布液cを用いて作製する以外は、実施例1と同様にして、実施例3の昇華転写用受像シートを得た。
「染料受容層塗布液c」
・塩化ビニル・アクリル系変性樹脂(商品名:ビニブラン690(日信化学工業社製)
:60.0質量部
・イソシアネート系強化剤(商品名:DNW6000): 1.0質量部
染料受容層を、染料受容層塗布液dを用いて作製する以外は、実施例1と同様にして、実施例3の昇華転写用受像シートを得た。
「染料受容層塗布液d」
ポリエステル樹脂(商品名:エリーテルUB9900(ユニチカ社製)
: 60.0質量部
シリコーンオイル系離型剤(商品名:KF868) : 0.09質量部
メチルエチルケトン :140.0質量部
基材として厚さ140μmの上質紙を用い、その基材の一方の面に、溶融押し出し法により、厚さ30μmの第1のポリエチレン樹脂層を形成した。さらに、その上質紙からなる基材の他方の面に、溶融押し出し法により、厚さ40μmの第2のポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、第2のポリエチレン樹脂層の上に、クリスパーK2411(厚み50μm)をドライラミにより貼り合わせ、断熱層を形成した。
その後、断熱層の上に、上記組成の染料受容層塗布液aを、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより、染料受容層を形成し、実施例5の昇華転写用受像シートを得た。
染料受容層を、染料受容層塗布液eを用いて作製する以外は、実施例1と同様にして、比較例1の昇華転写用受像シートを得た。
「染料受容層塗布液e」
・CAB樹脂(商品名:CAB171−15(イーストマンコダック社製)
: 60.0質量部
・シリコーンオイル系離型剤(商品名:KF868): 0.09質量部
・メチルエチルケトン :140.0質量部
基材として厚さ140μmの上質紙を用い、その基材の一方の面に、溶融押し出し法により、厚さ30μmの第1のポリエチレン樹脂層を形成した。さらに、上質紙からなる基材の他方の面に、溶融押し出し法により、厚さ40μmの第2のポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、第2のポリエチレン樹脂層の上に、PETフィルム(厚み50μm)をドライラミにより貼り合わせ、断熱層を形成した。
その後、断熱層3の上に、上記の組成の染料受容層塗布液aを、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより、染料受容層を形成し、比較例2の昇華転写用受像シートを得た。
・断熱層熱伝導率評価
熱転写受像シートに関して、断熱層に使用した材料の熱伝導率を、メンター・グラフィックス社製 Dyn TIMを用いて定常法にて測定した。
・染料分配係数評価
受像シートと、染料にソルベントブルー63を染料対樹脂比1:1で含むテスト用熱転写記録媒体とを対向して重ね合わせ、圧力0.7MPa、温度100℃の条件で300秒加圧加熱した後、加圧加熱の前後でテスト用熱転写記録媒体の吸光度を測定した。テスト用熱転写記録媒体の最大吸収波長における加圧加熱前の吸光度をAα、加圧加熱後の吸光度をAβとして、以下の式(1)から染料移行率を算出し、これを染料分散係数とした。
染料移行率=1−Aα/Aβ ・・・(1)
基材として、厚さ4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その非易接着処理面に下記の組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。
次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記の組成の熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
・シリコーン系アクリルグラフトポリマー(商品名:US−350、東亜合成社製)
:50.0質量部
・メチルエチルケトン :50.0質量部
「熱転写層塗布液」
・C.I.ソルベントブルー63 : 5.0質量部
・ポリビニルアセタール樹脂 : 5.0質量部
・トルエン :45.0質量部
・メチルエチルケトン :45.0質量部
・印画濃度評価
・印画環境:23℃50%RH
・印加電圧:17V
・印画速度:4inch/sec
・印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
本階調評価では255階調濃度にて1.3以上であれば十分な発色特性があると判断する。
評価結果を、表1に示す。
すなわち、本発明に基づく昇華転写用受像シートは、昇華転写方式のプリンタに適用することができ、汎用染料を用いても十分な発色性を得ることが可能となることが分かる。
2・・・基材
3・・・断熱層
4・・・染料受容層
Claims (5)
- 基材の一方又は両方の面側に断熱層及び染料受容層がこの順に形成された昇華転写用受像シートであって、
上記染料受容層は、上記染料受容層を、染料にソルベントブルー63を染料対樹脂比1:1で含むテスト用熱転写記録媒体に対向して重ね合わせ、圧力0.7MPa、温度100℃の条件で300秒加圧加熱した際の、上記染料受容層への染料分配係数の値が70%以上であり、
上記断熱層は、定常法にて測定した熱伝導率が0.03W/(m・K)以上0.20W/(m・K)以下であることを特徴とする昇華転写用受像シート。 - 上記染料受容層は、離型剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の昇華転写用受像シート。
- 上記離型剤がシリコーン系であることを特徴とする請求項2に記載の昇華転写用受像シート。
- 上記染料受容層は、硬化剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の昇華転写用受像シート。
- 上記硬化剤がイソシアネート系であることを特徴とする請求項4に記載の昇華転写用受像シート。
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