JP2008238513A - 感熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents

感熱転写受像シートおよびその製造方法 Download PDF

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一彰 小熊
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Abstract

【課題】熱転写時のインクしわや印画ズレが起こらず、印画中のインクとの密着不良に起因する搬送性不良が発生しない感熱転写受像シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の片面上に少なくとも中空粒子を含有する断熱層と、ポリマーラテックスを含有する受容層をこの順に積層した感熱転写受像シートであって、250℃、50MPa、1秒の条件で処理した前後のステンレスと該受像シートサンプルとの静止摩擦係数の差の絶対値が0.05以下である、感熱転写受像シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱転写受像シートに関し、高速印画時においても熱転写時のインクしわや、印画ズレが起こらず、インクとの密着不良に起因する搬送性不良が発生しない感熱転写受像シートに関する。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。しかも、銀塩写真に比べて、ドライであること、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単である等の利点を持っている。
この染料拡散転写記録方式では、色素を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の色素を受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
この方式の受像シートは、転写された色素を転着するための受容層が支持体上に形成されており、また一般に、受像シートと転写シートとの密着性を高めるために、支持体と受容層との間に、例えば樹脂と発泡剤からなる発泡層や中空ポリマーを含む多孔質層などのクッション性の高い層が形成されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、中空粒子含有断熱層と、ラテックス含有受容層を同時重層塗布した受像シートが開示されている。しかし水系溶媒を用いた重層塗布を行った後、急激な乾燥を行うと、中空粒子含有断熱層と、ラテックス含有受容層の熱収縮率が異なる為、表面がひび割れてしまう問題があった。そこで、ガラス転移温度(Tg)未満の温度にて乾燥することが知られているが、ガラス転移温度(Tg)未満で乾燥を行った場合、印画前後(加熱処理前後)で受像シートの静止摩擦係数に大きな差が出てしまい、例えばコントラストの高い画像を印画する際、印画中に受像シートの同一画像中で静止摩擦係数が変化することに起因するインクしわ、印画ズレが起き、あるいは印画中に、インクとの密着不良に起因する搬送性不良が発生するという問題があった。
特開2006−68918号公報 「情報記録(ハードコピー)とその材料の新展開」,(株)東レリサーチセンター発行,1993年,p.241−285 「プリンター材料の開発」,(株)シーエムシー発行,1995年,p.180
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の熱転写受像シートが有する前述の問題点を解消し、高速印画時においても熱転写時のインクしわや印画ズレが起こらず、印画中のインクとの密着不良に起因する搬送性不良が発生しない感熱転写受像シートおよびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者等は鋭意検討を行った結果、以下の手段で上記課題が解決できることを見出した。
(1)基材の片面上に少なくとも中空粒子を含有する断熱層と、ポリマーラテックスを含有する受容層をこの順に積層した感熱転写受像シートであって、250℃、50MPa、1秒の条件で処理した前後のステンレスと該受像シートサンプルとの静止摩擦係数の差の絶対値が0.05以下であることを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)前記ラテックスのガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記ラテックスのガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(4)支持体上の少なくとも1層の構成層中に界面活性剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記断熱層および受容層の少なくとも1層に水溶性ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)前記受容層に、実質的に造膜助剤を含有しないことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(7)前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(8)前記受容層のポリマーラテックスが該層中で造膜していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(9)塗布、乾燥後に造膜処理で造膜されたことを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(10)前記造膜処理が、塗布および乾燥後の塗布膜中の水分が5%以下となった時点で造膜処理されたことを特徴とする(9)に記載の感熱転写受像シート。
(11)前記造膜処理が、加熱処理であることを特徴とする(9)または(10)に記載の感熱転写受像シート。
(12)前記造膜処理が、常圧でかつ80℃以下であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(13)前記造膜処理が、湿度が90%以上であることを特徴とする(12)に記載の感熱転写受像シート。
(14)前記断熱層および受容層のうち互いに隣接する少なくとも2層が、同時重層塗布で形成されたものであることを特徴とする(1)〜(13)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(15)前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法であって、前記断熱層および受容層のうち互いに隣接する少なくとも2層が、同時重層塗布することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
(16)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法であって、前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上である塗布液を使用することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
(17)前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上である塗布液を使用することを特徴とする(15)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(18)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法であって、塗布、乾燥後に造膜処理で造膜することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
(19)前記造膜処理が、塗布および乾燥後の塗布膜中の水分が5%以下となった時点で造膜処理することを特徴とする(18)に記載の感熱転写受像シート。
(20)前記造膜処理が、加熱処理であることを特徴とする(18)または(19)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(21)前記造膜処理が、常圧でかつ80℃以下であることを特徴とする(18)〜(20)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(22)前記造膜処理が、湿度が90%以上であることを特徴とする(21)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(23)前記断熱層および受容層のうち互いに隣接する少なくとも2層が、同時重層塗布することを特徴とする(18)〜(22)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(24)前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上である塗布液を使用することを特徴とする(18)〜(23)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
本発明により、高速印画時においても熱転写時のインクしわや、印画ズレが起こらず、印画中のインクとの密着不良に起因する搬送性不良が発生しない感熱転写受像シートおびその製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
従来技術として、ポリマーラテックスを用いた感熱転写受像シートの塗布において、均一な状態の受容層を得るために、最低造膜温度以上での乾燥が行うことが知られている。しかし、従来の乾燥条件では条件が過酷である為、塗布層のひび割れが起きてしまう場合があり、その一方でガラス転移温度(Tg)が高いポリマーラテックスを用いた際には、造膜進行が不十分となる場合がある。また、造膜が十分に進行したと考えられる場合であっても、実際に印画を行った際に、例えばコントラストの高い画像を印画した場合には、熱転写時のインクしわ、色ズレ、或いは印画中のインクとの密着不良に起因する搬送性不良が発生することがあった。本発明者等は、この原因を鋭意解析検討を行った結果、これらはいずれも、造膜進行が不十分であり、さらには印画中に同一画像中で静止摩擦係数の不均一が発生することによることを突き止めた。
本発明では、250℃、50MPa、1秒の条件で処理した前後のステンレスと該受像シートサンプルとの静止摩擦係数の差の絶対値が0.05以下であり、この値を超えると本発明の効果が効果的に奏すことができない。なお、静止摩擦係数は一般に知られている方法で容易に測定できる。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の染料受容層(受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。また、受容層と断熱層との間あるいは、基材と断熱層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層などの下地層が形成されていてもよい。
受容層および断熱層は同時重層塗布により形成されることが好ましい。また、下地層を含む場合は、受容層、下地層および断熱層を同時重層塗布により形成することができる。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。支持体の裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
(受容層)
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明の受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有することが好ましく、水溶性ポリマーを含有していても良い。
<ポリマーラテックス>
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64-538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。
分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
ポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明のポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、0℃〜100℃が好ましく、20℃〜90℃がより好ましく、40℃〜80℃がさらに好ましく、60℃〜80℃が最も好ましい。
本発明のポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリオレフィン類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜500000がよい。分子量が小さすぎるものはラテックスを含有する層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラテックスも好ましく使用される。
本発明に使用するポリマーラテックスの合成に用いるモノマーとしては、特に制限はなく、通常のラジカル重合又はイオン重合法で重合可能なものでは、下記に示すモノマー群(a)〜(j)を好適に用いることができる。これらモノマーを独立かつ自由に組み合わせて選択し、ポリマーラテックスを合成することができる。
−モノマー群(a)〜(j)−
(a) 共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b) オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
(c) α,β−不飽和カルボン酸エステル類:アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等)、置換アルキルアクリレート(例えば、2−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート等)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等)、置換アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシプロピレンの付加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、4−オキシスルホブチルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等)、不飽和ジカルボン酸の誘導体(例えば、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル等)、多官能エステル類(例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート等)。
(d) α,β−不飽和カルボン酸のアミド類:例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、メチレンビスアクリルアミド、ジメタクリロイルピペラジン等。
(e) 不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f) スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g) ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h) ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i) α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j) その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
本発明で使用できるポリマーラテックスは市販もされており、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、ダイセル化学工業(株)製セビアンA-4635,4718,4601、日本ゼオン(株)製Nipol Lx811、814、821、820、855(P-17:Tg36℃)、857x2(P-18:Tg43℃)、大日本インキ化学(株)製Voncoat R3370(P-19:Tg25℃)、4280(P-20:Tg15℃)、日本純薬(株)製ジュリマーET-410(P-21:Tg44℃)、JSR(株)製AE116(P-22:Tg50℃)、AE119(P-23:Tg55℃)、AE121(P-24:Tg58℃)、AE125(P-25:Tg60℃)、AE134(P-26:Tg48℃)、AE137(P-27:Tg48℃)、AE140(P-28:Tg53℃)、AE173(P-29:Tg60℃)、東亞合成(株)製アロンA-104(P-30:Tg45℃)、高松油脂(株)製NS-600X、NS-620X、日信化学工業(株)製ビニブラン2580、2583、2641、2770、2770H、2635、2886、5202C、2706などが挙げられる(いずれも商品名)。
ポリエステル類の例としては、大日本インキ化学(株)製FINETEX ES650、611、675、850、イーストマンケミカル製WD-size、WMS、高松油脂(株)製A-110、A-115GE、A-120、A-121、A-124GP、A-124S、A-160P、A-210、A-215GE、A-510、A-513E、A-515GE、A-520、A-610、A-613、A-615GE、A-620、WAC-10、WAC-15、WAC-17XC、WAC-20、S-110、S-110EA、S-111SL、S-120、S-140、S-140A、S-250、S-252G、S-250S、S-320、S-680、DNS-63P、NS-122L、NS-122LX、NS-244LX、NS-140L、NS-141LX、NS-282LX、東亞合成(株)製アロンメルトPES-1000シリーズ、PES-2000シリーズ、東洋紡(株)製バイロナールMD-1100、MD-1200、MD-1220、MD-1245、MD-1250、MD-1335、MD-1400、MD-1480、MD-1500、MD-1930、MD-1985、住友精化(株)製セポルジョンESなどが挙げられる(いずれも商品名)。
ポリウレタン類の例としては、大日本インキ化学(株)製HYDRAN AP10、AP20、AP30、AP40、101H、Vondic 1320NS、1610NS、大日精化(株)製D-1000、D-2000、D-6000、D-4000、D-9000、高松油脂(株)製NS-155X、NS-310A、NS-310X、NS-311X、第一工業製薬(株)製エラストロンなどが挙げられる(いずれも商品名)。
ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、LX410、LX430、LX435、LX110、LX415A、L
X438C、2507H、LX303A、LX407BPシリーズ、V1004、MH5055(以上日本ゼオン(株)製)などが挙げられる(いずれも商品名)。
ポリ塩化ビニル類の例としては、日本ゼオン(株)製G351、G576、日信化学工業(株)製ビニブラン240、270、277、375、386、609、550、601、602、630、660、671、683、680、680S、681N、685R、277、380、381、410、430、432、860、863、865、867、900、900GT、938、950などが挙げられる(いずれも商品名)。ポリ塩化ビニリデン類の例としては、旭化成工業(株)製L502、L513、大日本インキ化学(株)製D-5071など挙げられる(いずれも商品名)。ポリオレフィン類の例としては、三井石油化学(株)製ケミパールS120、SA100、V300(P-40:Tg80℃)、大日本インキ化学(株)製Voncoat 2830、2210、2960、住友精化(株)製ザイクセン、セポルジョンG、共重合ナイロン類の例としては、住友精化(株)製セポルジョンPA、などが挙げられる(いずれも商品名)。
ポリ酢酸ビニル類の例としては、日信化学工業(株)製ビニブラン1080、1082、1085W、1108W、1108S、1563M、1566、1570、1588C、A22J7-F2、1128C、1137、1138、A20J2、A23J1、A23J1、A23K1、A23P2E、A68J1N、1086A、1086、1086D、1108S、1187、1241LT、1580N、1083、1571、1572、1581、4465、4466、4468W、4468S、4470、4485LL、4495LL、1023、1042、1060、1060S、1080M、1084W、1084S、1096、1570K、1050、1050S、3290、1017AD、1002、1006、1008、1107L、1225、1245L、GV-6170、GV-6181、4468W、4468Sなどが挙げられる(いずれも商品名)。
これらのポリマーラテックスのうち、ポリ塩化ビニル系ポリマーラテックスが好ましく、塩化ビニルと、アクリル酸エステル、酢酸ビニルまたはエチレンのいずれかから選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合体がより好ましく、塩化ビニルと、アクリル酸エステルまたは酢酸ビニルの共重合体がより好ましく、塩化ビニルとアクリル酸エステルの共重合体が最も好ましい。
なお、塩化ビニルから得られる繰り返し単位は50質量%以上が好ましい。
上記もしくは前述のポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
本発明では受容層を水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類を用いることができる。
<水溶性ポリマー>
受容層は水溶性ポリマーを含有することが好ましい。ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。また、ポリマーラテックスは、ポリマー微粒子が分散媒体で分散されたものであり、本発明に用いられる水溶性ポリマーとは異なる。
本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
本発明において、水溶性ポリマーを前記ポリマーラテックスと区別するためにバインダーと標記することもある。
本発明に用いることのできる水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製Supercolなど)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製Purity-21など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製National 78-1898など)など、微生物系多糖類としては、キサンタンガム(Kelco製Keltrol Tなど)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製Nadex360など)など、動物系天然高分子としては、ゼラチン(Croda製Crodyne B419など)、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製Cromoist CSなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。セルロース系としては、エチルセルロース(I.C.I.製Cellofas WLDなど)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製CMCなど)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製HECなど)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製Klucelなど)、メチルセルロース(Henkel製Viscontranなど)、ニトロセルロース(Hercules製Isopropyl Wetなど)、カチオン化セルロース(Croda製Crodacel QMなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。デンプン系としては、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical製National 78-1898など)、アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製Keltoneなど)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製Hi-care1000など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製Hyalureなど)が挙げられる(いずれも商品名)。
本発明においてはゼラチンが好ましい態様の一つである。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
本発明に用いることのできる水溶性ポリマーのうち、合成高分子について詳しく説明する。
アクリル系としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩またはその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、アクリル酸又はその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドまたはその共重合体、ポリアミジンまたはその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、などである。
本発明に用いることのできる水溶性合成高分子のうちポリビニルアルコール類が好ましい。ポリビニルアルコールとしては、公知の完全けん化物、あるいは部分けん化物を用いることができる。
また、変性ポリビニルアルコールも用いることができる。変性ポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。カチオン、アニオン、−SH化合物、アルキルチオ化合物、シラノールによる変性がある。
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献、長野浩一ら共著,「ポバール」,高分子刊行会発行,144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面状を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
本発明においては、水溶性ポリマーがポリビニルアルコール類、ゼラチンが好ましく、ゼラチンが最も好ましい。
受容層における水溶性ポリマーの添加量は、当該受容層全体の1〜25質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明に用いられるポリマーラテックスは、水溶性ポリマーと併用することが好ましい。併用することのできるポリマーとしては、上記記載のものが好ましく用いられ、特にゼラチンが好ましい。
本発明に用いられるポリマーラテックスは、その塗布液における溶媒として、水系溶媒を用いることができるが、水混和性の有機溶媒を併用してもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系のものを挙げることができる。これら有機溶媒の添加量は、溶媒の40%以下、より好ましくは25%以下である。
(硬膜剤)
本発明においては、硬膜剤を使用することが好ましい。受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
本発明においてさらに好ましい硬膜剤は下記一般式(B)または(C)で表される化合物である。
一般式(B)
(CH2=CH−SO2)n−L
一般式(C)
(X−CH2−CH2−SO2)n−L
一般式(B)、(C)中でXはハロゲン原子を表し、Lはn価の有機連結基を表す。一般式(B)または(C)で表される化合物が低分子化合物である場合、nは1ないし4の整数を表す。高分子化合物である場合、Lはポリマー鎖を含む有機連結基であり、このときnは10〜1000の範囲である。
一般式(B)、(C)中で、Xは好ましくは塩素原子または臭素原子で、臭素原子がより好ましい。nは1ないし4の整数であるが、好ましくは2ないし4の整数、より好ましくは2ないし3の整数、最も好ましくは2である。
Lはn価の有機基を表し、好ましくは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはヘテロ環基であり、これらの基がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルホンアミド結合、ウレア結合、ウレタン結合等でさらに連結していてもよい。また、これらの基は置換基を有していてもよく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびアシルオキシ基が好ましい。
ビニルスルホン系硬膜剤の具体的な例として下記(VS−1)〜(VS−27)を挙げるが、本発明においては、これらに限定されない。
Figure 2008238513
Figure 2008238513
Figure 2008238513
Figure 2008238513
これらの硬膜剤は、米国特許第4,173,481号明細書等の記載の方法を参照して得ることができる。
また、クロロトリアジン系硬膜剤としては、少なくとも1個のクロル原子が、2位、4位または6位に置換した1,3,5−トリアジン化合物が好ましい。
塩素原子は、2位、4位または6位に、2個または3個置換したものもがより好ましい。2位、4位または6位に、少なくとも1個の塩素原子が置換して、残りの位置に、塩素原子以外の基が置換してもよく、これらの基としては、水素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルオキシもしくはアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
クロロトリアジン系硬膜剤の具体的な例は、4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンもしくはこのNa塩、2−クロロ−4,6−ジフェノキシトリアジン、2−クロロ−4,6−ビス〔2,4,6−トリメチルフェノキシ〕トリアジン、2−クロロ−4,6−ジグリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(n−ブトキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−クロロエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ブロモエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,6−キシレノキシ)−1,3,5−トリアジン等であるが、本発明においてこれらに限定されない。
このような化合物は、塩化シアヌル(すなわち2,4,6−トリクロロトリアジン)を、複素環上の置換基に対応するヒドロキシ化合物、チオ化合物またはアミノ化合物等と反応させることによって容易に製造できる。
これらの硬膜剤は、水溶性ポリマー1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。
<ワックス>
また、受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することが好ましい。離型剤にはシリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物、石油系ワックスなど、種々のものが用いられるが、石油ワックスを用いるのが好ましい。いわゆる石油ワックスは、石油精製において減圧蒸留留出油から結晶性の良い炭化水素を分離精製して製造される。石油ワックスはJIS K 2235によって、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの3種に大別される。同様に生成されるマイクロクリスタリンワックスが分子量範囲が500〜800で炭素数が30〜60程度、大きい主鎖に側鎖をもつ分岐炭化水素(イソパラフィン)や、環状炭化水素(シクロパラフィン)が主成分であるのに対し、パラフィンワックスは分子量範囲が300〜550と狭く、直鎖状炭化水素が主成分で炭素数は大体20〜40の範囲にある。
パラフィンワックスの例としては市販品として、日本精蝋(株)製パラフィンワックス115、120、125、130、135、140、145、150、155、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、SP−0165、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、EMW−0001、EMW−0003(いずれも商品名)等が挙げられる。
なお、本発明においてはパラフィンワックス分散物のベースワックスの融点(融解温度)は、60℃以上100℃未満(好ましくは70℃以上100℃未満)が好ましく、JIS K2235−5.3.2による測定により決められる。ワックスは水分散物が好ましく、更に微粒子化したものがより好ましい。水分散の方法、および微粒子化させる方法は、「改定 ワックスの性質と応用」(幸書房、1989年)に記載の方法で達成される。
ワックスの添加量は、受容層全固形量の0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、1.5質量%〜15質量%が更に好ましい。
また、該パラフィンワックス分散物は、他のどのようなワックスをも補助的に併用して使用することができる。
<界面活性剤>
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記の有機中空ポリマーを含有する層中に界面活性剤を含有することが特に好ましい。界面活性剤の添加量は、有機中空ポリマーに対して0.1〜50質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.2〜2質量%であることが特に好ましい。また、受容層中や他の層に添加することも好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系など種々の界面活性剤が知られているが、本発明で使用する界面活性剤は、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤を含有しない場合でも塗布は可能であるが、塗布液の表面張力が高いために塗布面状が不均一となり、ムラとなる場合がある。界面活性剤を塗布液に含有させることで表面張力を下げ、塗布時のムラを無くし、塗布面状を均一とし、安定的に塗布することができる。
本発明においては、フッ素系界面活性剤を使用することが好ましい。
本発明に好ましく用いられるフッ素系界面活性剤について説明する。
フッ素系界面活性剤はどのようなものでも構わないが、好ましくは下記一般式(a1)もしくは後述するフッ素系界面活性剤(B)である。
最初に、一般式(a1)で表されるフッ素系界面活性剤を説明する。
Figure 2008238513
上記一般式(a1)中、Rは置換または無置換のアルキル基を表す。Rで表される置換または無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。
前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。
Rは、置換基としてフッ素を有さない方が好ましく、無置換アルキル基がより好ましい。Rは、炭素数が2以上であるのが好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましい。
afはパーフルオロアルキレン基を表す。ここで、パーフルオロアルキレン基とは、アルキレン基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Rafは、炭素数が10以下であるのが好ましく、8以下であるのがより好ましい。最も好ましくは炭素数4のパーフルオロアルキレン基である。
Wは水素原子またはフッ素原子を表すが、フッ素原子であることが好ましい。
aは、置換もしくは無置換のアルキレン基または置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、あるいはこれらを組み合わせてできる2価基を表す。置換基はRで挙げたものが好ましい。Laは、炭素数が4以下であるのが好ましく、また、無置換アルキレンである
のが好ましい。
本発明に係わるフッ素化合物が、Rafの炭素数が異なる化合物の混合物であるときは、Rafの炭素数が4である化合物(C4体)の割合が多い方が好ましい。C4体の混合物中の割合は好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
一般に、炭素数6以上のRafを有する化合物が多く含まれると、水に対する溶解性が悪くなるため、炭素数6以上の成分は少ないほうが好ましい。また、炭素数3以下の成分が含まれると、静的表面表力を下げる効果がC4体に比べて小さくなるため、炭素数3以下の成分は少ないほうが好ましい。
AおよびBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。
ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。
これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであり、一般式(a1)で表されるフッ素系界面活性剤の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。
R、LaおよびRafの炭素数の合計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能または塗布均一性の両立の観点で優れている。
bは、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はRで挙げたものが好ましい。Lbがアルキレン基である場合、炭素数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく、メチレン基であるのがより好ましい。
bは、単結合であるのが最も好ましい。
上記一般式(a1)は、上記のそれぞれの好ましい態様を組み合わせることがより好ましい。
一般式(a1)で表される化合物は、さらに下記一般式(a2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008238513
上記一般式(a2)中、R1は総炭素数6以上の置換または無置換のアルキル基を表す
。但し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基になることはない。
1で表される置換または無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。
前記置換基としては、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が挙げられる。
1で表される置換または無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜24であるのが好ましい。炭素数6〜24の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
また、置換基の炭素も含めた総炭素数が6〜24の置換アルキル基の好ましい。例としては、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等を挙げることができる。
1で表される置換または無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜18であるのがより好ましい。炭素数6〜18の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
また、置換基の炭素数を含む総炭素数が6〜18の置換アルキル基の好ましい例としては、フェネチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。
中でも、R1としては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基であるのがさらに好ましく、炭素数8〜16の直鎖、環状または分岐の無置換アルキル基であるのが特に好ましい。
前記一般式(a2)中、Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を表す。
ここで、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキル基中のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。 Rfで表されるパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、トリデカフルオロ−n−ヘキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
中でも、炭素数2〜4のパーフルオロアルキル基(例えば、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等)が好ましく、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が特に好ましい。
前記一般式(a2)中、nは1以上の整数を表す。好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは1または2である。
また、nとRfの組合せとして、n=1の場合にはRfがヘプタフルオロ−n−プロピル基またはノナフルオロ−n−ブチル基、n=2の場合にはRfがノナフルオロ−n−ブチル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(a2)中、X1およびX2は、一方が水素原子を、もう一方がSO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。
ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
前記一般式(a1)で表されるフッ素系界面活性剤の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
尚、以下では便宜上、BがSO3Mであり、Aが水素原子である例示化合物を示すが、下記の例示化合物においてBが水素原子であり、AがSO3Mであってもよく、それらの化合物も本発明のフッ素系界面活性剤の具体例として挙げられる。
下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限り、アルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖構造を有する基を意味する。さらに、構造表記中の略号のうち、2EHは2−エチルヘキシル基を表し、2BOは2−ブチルオクチル基を表す。
Figure 2008238513
Figure 2008238513
前記一般式(a1)で表されるフッ素系界面活性剤は、一般的なエステル化反応およびスルホン化反応を組み合わせて容易に合成することができる。
次に本発明において好ましく使用されるフッ素系界面活性剤(B)を説明する。
フッ素系界面活性剤(B)とは、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が11以下のフッ化アルキル基を2つ以上有しかつアニオン性またはノニオン性の親水性基の少なくとも一方を有する化合物である。フッ素系界面活性剤(B)は、上記フッ化アルキル基2つ以上と、アニオン性親水基またはノニオン性親水基の少なくともいずれかを有していれば、その他の構造は特に制限されない。
本発明の上記フッ化アルキル基はフッ素原子数が11以下であるが、好ましくは3〜9の範囲で、より好ましくは5〜9の範囲である。また、炭素原子数は2以上であるが、好ましくは2〜16、より好ましくは4〜12の範囲である。
本発明において、上記フッ化アルキル基は好ましくは下記一般式(c)で表される基である。
一般式(c)
−L−Raf−W
一般式(c)において、Laは、置換もしくは無置換のアルキレン基または置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、あるいはこれらを組み合わせてできる2価基を表す。前記の置換基としては、どのような基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基が好ましい。
aは、炭素数が8以下であるのが好ましく、4以下がより好ましい。また、無置換アルキレン基であるのが好ましい。Rafは炭素数1〜5パーフルオロアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基、最も好ましくは炭素数4のパーフルオロアルキレン基である。ここでパーフルオロアルキレン基とはアルキレン基のすべての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキレン基を言う。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Wは水素原子、フッ素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはフッ素原子である。本発明に係わるフッ素化合物が、Rafの炭素数が異なる化合物の混合物であるときは、Rafの炭素数が4である化合物(C4体)の割合が多い方が好ましい。
該C4体の混合物中の割合は好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。一般に、炭素数6以上のRafを有する化合物が多く含まれると、水に対する溶解性が悪くなるため、炭素数6以上の成分は少ないほうが好ましい。また、炭素数3以下の成分が含まれると、静的表面表力を下げる効果がC4体に比べて小さくなるため、炭素数3以下の成分は少ないほうが好ましい。
本発明で好ましく用いられるフッ化アルキル基の具体例としては、−C25基、−C37基、−C49基、−C511基、−CH2−C49基、−C48−H基、−C24−C49基、−C48−C49基、−C612−C49基、−C816−C49基、−C48−C25基、−C48−C37基、−C48−C511基、−C816−C25基、−C24−C48−H基、−C48−C48−H基、−C612−C48−H基、−C612−C24−H基、−C816−C24−H基、−C612−C48−CH3基、−C24−C37基、−C24−C511基、−C48−CF(CF32基、−CH2CF3基−C48−CH(C252基、−C48−CH(CF32基、−C48−C(CF33基が挙げられるが、本発明で採用しうるフッ化アルキル基はこれらに限定されるものではない。
アニオン性の親水基とはpKaが7以下の酸性基およびそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を言う。具体的には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホン酸基、カルバモイルスルファモイル基、スルファモイルスルファモイル基、アシルスルファモイル基およびこれらの塩類などが挙げられる。このうち、好ましくはスルホ基、カルボキシル基、ホスホン酸基およびその塩類で、より好ましくはスルホ基およびその塩類である。塩類を形成するカチオン種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルピリジニウムなどが挙げられるが、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。
ノニオン性の親水基の具体例としては水酸基、ポリアルキレンオキシ基が挙げられ、ポリアルキレンオキシ基が好ましい。
ポリアルキレンオキシ基と上記のアニオン性親水基を同一分子内に同時に有していてもよく、本発明においては好ましい構造である。また、アニオン性の化合物とノニオン性の化合物を併用するのも効果的な使い方で特に好ましい。
本発明においてより好ましいフッ素系界面活性剤(B)は下記一般式(b1)で表される。
Figure 2008238513
上記一般式(b1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素原子数が2以上でフッ素原子数が11以下のフッ化アルキル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子または置換または無置換のアルキル基を表す。
1およびR2で表されるフッ化アルキル基の具体例は前述の基が挙げられ、好ましい構造も同様に前述の一般式(c)で表される構造である。また、その中での好ましい構造も前述のフッ化アルキル基の記載と同様である。
3およびR4で表される置換または無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。
AおよびBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであり、前記一般式(c)の基の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。R1、R2、R3およびR4の炭素数の合計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能または塗布均一性の両立の観点で優れている。
bは、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はR3およびR4の説明で挙げたものが好ましい。Lbがアルキレン基である場合、炭素数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく、メチレン基であるのがより好ましい。Lbは、単結合であるのが最も好ましい。
上記一般式(b1)は、上記のそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。
一般式(b1)で表される化合物は、さらに下記一般式(b2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008238513
上記一般式(b2)中、R1およびR2はそれぞれ独立に前記一般式(c)で表されるフッ化アルキル基を表す。R1およびR2で表されるフッ化アルキル基の具体例は前述の基があげられ、好ましい構造も同様に前述の一般式(c)の説明で記載した好ましい構造と同じである。
上記一般式(b2)中、XはSO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
フッ素系界面活性剤(B)の具体例を以下に例示するが、本発明は、以下の具体例によってなんら制限されるものではない。下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルオロアルキル基は直鎖の構造を有する基を意味する。
Figure 2008238513
Figure 2008238513
前記一般式(b1)または(b2)で表されるフッ素化合物は、一般的なエステル化反応およびスルホン化反応を組み合わせて容易に合成することができる。これらのフッ素系界面活性剤は、感熱転写受像シートを構成している層(特に、受容層、断熱層、保護層、下塗り層、バック層など)を形成するための塗布組成物に好ましく用いられるが、本発明においては、特に受容層で使用することが好ましい。
<マット剤>
本発明において、離型性付与のためにマット剤を添加するのが好ましい。マット剤は感熱転写受像シートの最外表面層若しくは最外表面層として機能する層、または外表面に近い層に含有されるのが好ましい。最外表面層は必要に応じて2層にすることもできる。最も好ましいのは、最外層である受容層に添加する場合である。マット剤は、画像形成層面の最外層及びバック面の最外層いずれにも添加することが可能であり、両層に添加することもできる。特に、支持体に対し、すべり剤を含有する面側にマット剤を含有させることが好ましい。
マット剤は、予めバインダーによって分散し、マット剤粒子分散物として使用することが好ましい。
マット剤は、一般に水に不溶性の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であっても良いし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であっても良い。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤など、銀塩感材業界で良く知られたものを用いることができる。
画像プリント時、受容層表面の温度は高温になるため、マット剤は耐熱性を有することが好ましい。
特に、熱分解温度が200℃以上のポリマーであることが好ましい。より好ましくは、熱分解温度が240℃以上のポリマーである。
また、画像プリント時、熱だけでなく圧力も受容層表面にかかるため、マット剤は硬いものが好ましい。
以下に本発明において好ましく使用されるマット剤の例を示すが、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
M−1:ポリエチレン粒子、比重0.90(フロービーズLE−1080、住友精化(株)製)
M−2:ポリエチレン粒子、比重0.93(フロービーズEA−209、住友精化(株)製)
M−3:ポリエチレン粒子、比重0.96(フロービーズHE−3040、住友精化(株)製)
M−4:シリコーン粒子、比重0.97
M−5シリコーン粒子、比重1.00(E701、東レダウシリコーン(株)製)
M−6:シリコーン粒子、比重1.03
M−7ポリスチレン粒子、比重1.05(SB−6、積水化成品工業(株)製)
M−8:ポリ(St/MAA=97/3)共重合体粒子、比重1.05
M−9:ポリ(St/MAA=90/10)共重合体粒子、比重1.06
M−10:ポリ(St/MMA/MAA=50/40/10)共重合体粒子、比重1.09
M−11:架橋ポリエチレン粒子、比重0.92
M−12:架橋ポリエチレン粒子、比重0.95
M−13:架橋ポリエチレン粒子、比重0.98
M−14:架橋シリコーン粒子、比重0.99
M−15:架橋シリコーン粒子、比重1.02
M−16:架橋シリコーン粒子、比重1.04
M−17:ポリ(St/DVB=90/10)粒子、比重1.06(SX−713、綜研化学(株)製)
M−18:ポリ(St/DVB=80/20)粒子、比重1.06(SX−713、綜研化学(株)製)
M−19:ポリ(St/DVB=70/30)粒子、比重1.07(SX−713、綜研化学(株)製)
M−20:ポリ(St/MAA/DVB=87/3/10)共重合体粒子、比重1.06(SX−713A、綜研化学(株)製)
M−21:ポリ(St/MAA/DVB=80/10/10)共重合体粒子、比重1.07(SX−713B、綜研化学(株)製)
M−22:ポリ(St/MMA/MAA/DVB=40/40/10/10)共重合体粒子、比重1.10
M−23:メラミン-シリカ樹脂、比重1.65(オプトビーズ500s、日産化学工業(株)製)
M−24:メラミン-シリカ樹脂、比重1.65(オプトビーズ2000M、日産化学工業(株)製)
M−25:メラミン-シリカ樹脂、比重1.65(オプトビーズ3500M、日産化学工業(株)製)
M−26:メラミン-シリカ樹脂、比重1.65(オプトビーズ6500s、日産化学工業(株)製)
M−27:メラミン-シリカ樹脂、比重1.65(オプトビーズ10500s、日産化学工業(株)製)
M−28:架橋PMMA粒子(MXシリーズ、綜研化学(株)製)
M−29:架橋PMMA粒子(MRシリーズ、綜研化学(株)製)
画像形成層面側の最外層及び最外層隣接層に含有されるマット剤は、予めバインダーによって分散して、マット剤粒子分散物として使用されるが、その分散方法は、(a)マット剤となるべきポリマーを溶液(例えば低沸点の有機溶媒に溶解)として、水性媒体中で乳化分散させてポリマーの液滴を得て、乳化物から低沸点有機溶媒を除去することにより、マット剤の分散物を調製する方法、(b)予めマット剤となるべきポリマーなどの微粒子を用意しておき、水性媒体中でダマの発生がないように分散物を調製する方法の2通りの方法がある。本発明においては、環境に配慮し低沸点の有機溶媒を環境に排出しない(b)の方法が好ましい。
本発明におけるマット粒子分散物は、界面活性剤を含有すると分散状態が安定するため、界面活性剤を添加することが好ましい。
本発明の態様としては、実質的に造膜助剤を含有しないことが好ましい。造膜助剤は一時可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)に記載されている。造膜助剤の例として以下のものが挙げられる。
Z−1:ベンジルアルコール類
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート類
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール類
Z−4:ジエチレングリコール類
これらの造膜助剤を添加すると、画像のにじみが見られ、実用上好ましくない場合がある。ラテックスの分散過程などで、上記化合物が使用される場合があるが、塗布膜中の上記溶剤類の含有量が固形分で1%以下であれば、性能上問題がなく、実質的に含まれないとみなすことができる。
受容層の塗布量は、0.5〜10g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。また、必要に応じて受容層を2層以上に分割して設けることもでき、この場合も、受容層の総膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
(断熱層)
断熱層(多孔質層)は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。
本発明の受像シートにおいて、断熱層は中空粒子を含有する。
本発明における中空粒子とは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空粒子としたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中空粒子は、中空率が20〜70%程度のものが好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。前記1)の具体例としてはローアンドハース社製ローペイク1055、大日本インキ社製ボンコートPP−1000、JSR社製SX866(B)、日本ゼオン社製ニッポールMH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。前記2)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30、F−50(いずれも商品名)などが挙げられる。前記3)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30E、日本フェライト社製エクスパンセル461DE、551DE、551DE20(いずれも商品名)が挙げられる。断熱層に用いられる中空粒子は上記の1)に分類されるものが好ましく、またラテックス化されていてもよく、本発明においてはラテックス化されたものが特に好ましい。
中空粒子を含む断熱層中にはバインダー樹脂として水分散型樹脂または水溶解型樹脂をバインダーとして含有することが好ましい。本発明で使用されるバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セルロース誘導体、カゼイン、デンプン、ゼラチンなどの公知の樹脂を用いることができる。このうち、ポリビニルアルコールとゼラチンが好ましく、特にゼラチンが好ましい。
またこれらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
断熱層における中空粒子の固形分含有量は、バインダー樹脂の固形分含有量を100質量部としたとき5〜2000質量部の間であることが好ましい。また、中空粒子の固形分の塗工液に対して占める質量比は、1〜70質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。中空粒子の比率が少なすぎると十分な断熱性を得ることができず、中空粒子の比率が多すぎると中空粒子同士の結着力が低下し、処理中に粉落ち、または膜はがれなどの問題を生じる。
中空粒子の粒子サイズは0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。また、中空粒子のガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
断熱層には、水溶性ポリマーを含むことが好ましい。断熱層の水溶性ポリマーの塗工液に占める量は0.5〜14質量%が好ましく、1〜6質量%が特に好ましい。また、断熱層における前記中空粒子の塗布量は1〜100g/m2が好ましく、5〜20g/m2がより好ましい。
中空粒子を含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
(下地層)
受容層と断熱層との間、あるいは基材と断熱層の間には下地層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
(支持体)
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。本発明においては、ラミネート紙が好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂には、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
前記支持体の厚みとしては、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜260μmがより好ましく、75μm〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
(カール調整層)
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
(筆記層・帯電調整層)
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
(造膜処理)
本発明において、感熱転写受像シートは塗布および乾燥後、造膜処理することが好ましい。造膜処理の手段としては、加熱処理することが好ましい。このとき、常圧で行うことが好ましく、加熱温度は、最低造膜温度以上であることが好ましい。その際の塗布膜中の水分含量は塗布膜の固形分量に対して5%以下が好ましい。5%以上では乾燥が不十分である。なお、水分含量が0.1%未満では塗布膜がひび割れてしまう場合がある。
本発明においては、加熱温度は80℃以下(好ましくは70〜80℃)が好ましく、塗布膜中の水分含量80℃で造膜処理を行う場合、湿度を90%以上とすることが好ましい。湿度をコントロールせずに80℃で乾燥を行うと、塗布膜中の水分が蒸発してしまい、収縮率の差に起因するひび割れが起きる場合がある。
このようなことから、本発明においては上記好ましい温度にて、湿度を90%以上とすることで、塗布膜中の水分の蒸発を防ぐことができ、造膜進行を促進することができ、好ましい。
造膜の進行は、静止摩擦係数を測定することで確認できる。造膜が不十分である場合、膜中のラテックスや離型剤等の素材が水分散粒子として層内に混合された状態となっており、離型剤が表面に局在化していないため十分に離型性が発揮できないと考えられる。造膜が進むにつれ、塗布膜の均一化が進み、離型剤が表面にブリードアウトしてくることで、静止摩擦係数の変化が観察されると考えられる。
(製造方法)
以下、本発明の熱転写受像シートの製造方法について説明する。
本発明の感熱転写受像シートは、少なくとも1層の受容層、中間層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することで形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の明細書または公報やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁、「LIQUID FILM COATING」,CHAPMAN&HALL社,1997年,401〜536頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、隣接する少なくとも2層、なかでも少なくとも1層の断熱層と少なくとも1層の断熱層のうちの隣接する少なくとも2層を同時重層塗布することが、本発明の目的とする効果を効果的に奏するのに好ましい。しかも同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に画像欠陥を大幅に減少させることができる。
本発明においては複数の層は樹脂を主成分として構成される。各層を形成するための塗布液は水分散ラテックスであることが好ましい。各層の塗布液に占めるラテックス状態の樹脂の固形分質量は5〜80%の範囲が好ましく20〜60%の範囲が特に好ましい。上記水分散ラテックスに含まれる樹脂の平均粒子サイズは5μm以下であり1μm以下が特に好ましい。上記水分散ラテックスは必要に応じて界面活性剤、分散剤、バインダー樹脂など公知の添加剤を含むことができる。本発明では米国特許第2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させる事が好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げることが好ましい場合もある。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
また、本発明においては、塗布液の粘度を5cp以上にすることが好ましい。これ以下の粘度の塗布液を用いて塗布した場合、塗布面の均一性および平滑性が保てなくなる場合がある。特に、同時重層塗布を行う際に極めて効果的である。
熱転写画像形成の際に、上述した本発明の感熱転写受像シートと併せて使用される感熱転写シート(インクシート)は支持体上に拡散転写染料を含む色素層を設けたものであり、任意のインクシートを使用することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例
(インクシートの作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
実施例1
(感熱転写受像シートの作成)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この支持体に下層から順に下塗層、断熱層、受容層の構成の多層構成塗布物Aを作成した。これらの各層はスライドコーターを用いて同時重層塗布し、130℃1分で乾燥を行った。
各塗工液の組成と塗布量を以下に示す。湿度を記載していない箇所に関しては温度のみを管理し、湿度は成り行きとした。
(乳化物の作成)
乳化分散物Aを以下の手順で調製した。化合物EB−9を高沸点溶媒(Solv−5)42g及び酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aの調製を行った。
Figure 2008238513
多層構成塗布物A
下塗層塗工液1
(組成)
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(日本エイアンドエル(株)社製、商品名、SR103)
ポリビニルアルコール(PVA)8.7%水溶液 40質量部
40℃での塗布液粘度 50cp
乾燥膜厚 7μm
断熱層塗工液1
(組成)
中空ポリマーラテックス 56質量部
(日本ゼオン(株)製、商品名、MH5055)
16%ゼラチン水溶液 38質量部
水 6質量部
40℃での塗布液粘度 45cp
乾燥膜厚 10μm
受容層用塗工液1
(組成)
ポリエステル系ポリマーラテックス 75質量部
(東洋紡(株)社製、商品名、MD−1200 Tg67℃)
マイクロクリスタリンワックス 6質量部
(EMUSTAR−042X、商品名、日本精蝋(株))
乳化物A 4質量部
水 20質量部
マット剤10%水溶液(M−25) 1質量部
フッ素化合物1%水溶液(BSF−1) 4質量部
40℃での塗布液粘度 7cp
乾燥膜厚 5μm
乾燥後、塗布面状を目視確認したところ、ひび割れていた。
多層構成塗布物B
多層構成塗布物Aの受容層塗工液1を下記受容層塗工液2とした以外は、多層構成塗布物Aと同条件として、以下の多層構成塗布物を作成した。
受容層用塗工液2
(組成)
塩化ビニル系ポリマーラテックス 47質量部
(日信化学(株)社製、商品名、ビニブラン609 Tg43℃)
マイクロクリスタリンワックス 6質量部
(EMUSTAR−042X、商品名、日本精蝋(株))
乳化物A 4質量部
水 20質量部
マット剤10%水溶液(M−25) 1質量部
フッ素化合物1%水溶液(BSF−1) 4質量部
40℃での塗布液粘度 7cp
乾燥膜厚 5μm
乾燥後、塗布面状を目視確認したところ、ひび割れていた。
多層構成塗布物C
多層構成塗布物Bと層構成、塗布液は同じものを用い、乾燥条件を以下の条件とした。
25℃5分乾燥後、塗布面状を目視確認したところ、良好な面状であった。
多層構成塗布物D
多層構成塗布物Cにおいて、乾燥・造膜条件を以下の条件として連続的に処理を行った以外は多層構成塗布物Cと同条件とした。
(乾燥条件)
130℃ 20秒
(造膜条件)
80℃100% 5分
130℃ 1分
130℃20秒で乾燥後、塗布膜中の含水量は4%であった。
また、塗布後の塗布面状を目視確認したところ、ひび割れておらず良好であった。
多層構成塗布物E
多層構成塗布物Dにおいて、受容層塗工液を以下のものとした以外は、多層構成塗布物Dと同条件で多層構成塗布物Eを作成した。
受容層用塗工液3
(組成)
塩化ビニル系ポリマーラテックス 60質量部
(日信化学(株)社製、商品名、ビニブラン900 Tg73℃)
マイクロクリスタリンワックス 6質量部
(EMUSTAR−042X、商品名、日本精蝋(株))
乳化物A 4質量部
水 20質量部
マット剤10%水溶液(M−25) 1質量部
フッ素化合物1%水溶液(BSF−1) 4質量部
40℃での塗布液粘度 7cp
乾燥膜厚 5μm
130℃20秒で乾燥後、塗布膜中の含水量は4%であった。
また、塗布後の塗布面状を目視確認したところ、ひび割れておらず良好であった。
多層構成塗布物F
多層構成塗布物Cを用い、熱カレンダー処理を行った。処理条件は温度240℃、線圧75kg/cmであった。面状を目視確認したところ、ひび割れておらず良好であった。
多層構成塗布物G
多層構成塗布物Cを塗布直後、ロール状に巻取り、80℃48時間経時させた。面状を目視確認したところ、ひび割れておらず良好であった。
HEIDON-10 静摩擦係数測定機と、それに付属しているステンレス製の摩擦測定器具を用いて、上記多層構成塗布物を、塗布層の最表面温度が250℃、熱印加時の圧力50MPa、熱および圧力をかける時間1秒の条件で処理した前後のサンプルとの静止摩擦係数を測定し、静止摩擦係数の差の絶対値を求めた。次にこれらの多層構成塗布物を用いてプリントを行った。プリンタとして、富士フイルム株式会社製ASK2000を用い、プリント画像には、コントラストの高い一般風景画像を30枚連続で出力し、インクしわ、印画ズレ、搬送性の評価を行った。
Figure 2008238513
この結果、本発明の受像シートはいずれも優れていることがわかった。
本発明により、高速印画時においても熱転写時のインクしわや、色ズレが起こらず、インクとの密着不良に起因する搬送性不良が低減される感熱転写受像シートおよびその製造方法が得られた。

Claims (24)

  1. 基材の片面上に少なくとも中空粒子を含有する断熱層と、ポリマーラテックスを含有する受容層をこの順に積層した感熱転写受像シートであって、250℃、50MPa、1秒の条件で処理した前後のステンレスと該受像シートサンプルとの静止摩擦係数の差の絶対値が0.05以下であることを特徴とする感熱転写受像シート。
  2. 前記ラテックスのガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
  3. 前記ラテックスのガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
  4. 支持体上の少なくとも1層の構成層中に界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  5. 前記断熱層および受容層の少なくとも1層に水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  6. 前記受容層に、実質的に造膜助剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  7. 前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  8. 前記受容層のポリマーラテックスが該層中で造膜していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  9. 塗布、乾燥後に造膜処理で造膜されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  10. 前記造膜処理が、塗布および乾燥後の塗布膜中の水分が5%以下となった時点で造膜処理されたことを特徴とする請求項9に記載の感熱転写受像シート。
  11. 前記造膜処理が、加熱処理であることを特徴とする請求項9または10に記載の感熱転写受像シート。
  12. 前記造膜処理が、常圧でかつ80℃以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  13. 前記造膜処理が、湿度が90%以上であることを特徴とする請求項12に記載の感熱転写受像シート。
  14. 前記断熱層および受容層のうち互いに隣接する少なくとも2層が、同時重層塗布で形成されたものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法であって、前記断熱層および受容層のうち互いに隣接する少なくとも2層が、同時重層塗布することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法であって、前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上である塗布液を使用することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
  17. 前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上である塗布液を使用することを特徴とする請求項15に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
  18. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法であって、塗布、乾燥後に造膜処理で造膜することを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
  19. 前記造膜処理が、塗布および乾燥後の塗布膜中の水分が5%以下となった時点で造膜処理することを特徴とする請求項18に記載の感熱転写受像シート。
  20. 前記造膜処理が、加熱処理であることを特徴とする請求項18または19に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
  21. 前記造膜処理が、常圧でかつ80℃以下であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
  22. 前記造膜処理が、湿度が90%以上であることを特徴とする請求項21に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
  23. 前記断熱層および受容層のうち互いに隣接する少なくとも2層が、同時重層塗布することを特徴とする請求項18〜22のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
  24. 前記構成層の少なくとも1層を形成する塗布液の40℃での粘度が5cp以上である塗布液を使用することを特徴とする請求項18〜23のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014065245A (ja) * 2012-09-26 2014-04-17 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート
JP2018111286A (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート

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