JP7051757B2 - 転写用紙 - Google Patents

転写用紙 Download PDF

Info

Publication number
JP7051757B2
JP7051757B2 JP2019120635A JP2019120635A JP7051757B2 JP 7051757 B2 JP7051757 B2 JP 7051757B2 JP 2019120635 A JP2019120635 A JP 2019120635A JP 2019120635 A JP2019120635 A JP 2019120635A JP 7051757 B2 JP7051757 B2 JP 7051757B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particle size
transfer paper
resin
paper
cloth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019120635A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020041248A (ja
Inventor
真一郎 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to US16/558,813 priority Critical patent/US11313076B2/en
Priority to EP19195156.5A priority patent/EP3620573B1/en
Priority to TW108132263A priority patent/TWI698565B/zh
Publication of JP2020041248A publication Critical patent/JP2020041248A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7051757B2 publication Critical patent/JP7051757B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring (AREA)
  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、布帛へ図柄を転写するための転写用紙に関し、一つの実施態様として、酸性染料を含む酸性インクで印刷された図柄をナイロン布に転写するために用いる転写用紙に関する。
精細な捺染図柄の表現と卓越した均染性及び柔軟な繊維の風合を再現性良く得る捺染用紙において、捺染用紙に染料を含むインクで図柄を印刷して捺染紙を得て、繊維又は皮革材料に捺染紙を密着して加熱及び加圧することによって染料を転写し、繊維材料又は皮革材料に捺染紙が貼付けた状態で染料の固着処理を実施する転写捺染法に用いる捺染用紙であって、水溶性合成系バインダーに対する天然系糊剤の配合割合が固形分換算で5%~0%の範囲に配合され、更に各種助剤が配合された親水性混合物を原紙に塗布、噴霧或いは浸漬後、乾燥することによって紙に吸収或いは積層されたインク受容層兼接着層を有する捺染用紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-102283号公報
一般的なナイロン布は、耐熱性が80℃~140℃といわれ、約70℃あたりから熱変形する場合がある。そのために、特許文献1に開示されるような繊維材料に転写紙を密着して加熱及び加圧することによって染料を転写し、繊維材料に転写紙が貼り付けた状態で染料のスチーミング処理を実施する転写捺染法では、繊維材料がナイロンであると不具合を生じることがある。
転写紙をナイロン布に貼り付けた状態でスチーミング処理を行うと、ナイロン布の熱に対する寸法安定性及び転写紙の水分に対する寸法安定性によって、貼り付けた状態に部分的剥離、部分的凹凸発生及び部分的皺発生といった操業の問題を有する。結果として得られたナイロン布は、部分的な画質の低下を有することになる。現状では、この問題に対して、スチーミング処理のオペレーターの技術又は図柄を部分的な範囲に設計などで対応することになる。また、特許文献1に開示されるようなインク受容層兼接着層は、加熱及び加圧することによって繊維に強く接着できる接着剤層であるから、繊維材料に転写紙を密着して加熱及び加圧した後かつスチーミング処理前では繊維材料から転写紙を、生産性に適するように剥離できないという問題を有する。剥離できた場合であっても、ナイロン布に形成された図柄が欠落、色ムラ発生及び発色低下などの不具合を有することがある。
上記を鑑みて本発明の目的は、布帛、特に実施態様としてナイロン布に図柄を形成することができ、密着させて加熱及び加圧した後かつスチーミング処理前に、操業の問題を回避するべく転写紙をナイロン布から剥離することができ、並びにナイロン布に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下など不具合の発生を抑制できる転写用紙を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明の目的は、以下により達成される。
[1]染料インクで図柄を印刷して得た転写紙と布帛とを密着させて加熱及び加圧することによって染料を転写紙から布帛へ転写させ、転写後、布帛から転写紙を剥離してから布帛をスチーミング処理する転写捺染法に用いる、図柄を印刷する前の転写用紙であって、原紙の片面に1層又は2層以上の非水系樹脂層を有する基材と、前記非水系樹脂層上に1層又は2層以上の塗工層とを有し、基材を基準として最外に位置する最外塗工層が、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を少なくとも含有し、前記アクリル樹脂のガラス転移点(Tg)が0℃以上45℃以下かつ最低成膜温度(MFT)が0℃以上50℃以下である転写用紙。
本発明により、転写用紙は、布帛に図柄を形成することができ、密着させて加熱及び加圧した後かつスチーミング処理前で転写紙を布帛から剥離することができ、並びに布帛に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下など不具合の発生を抑制できる。
[2]少なくとも一つの実施形態においては、前記白色顔料の少なくとも一種に非晶質シリカを含み、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準である前記非晶質シリカの平均粒子径が27μm以上40μm以下である前記[1]に記載の転写用紙である。
本実施により、布帛からの剥離が良化することができる。
[3]少なくとも一つの実施形態においては、前記非晶質シリカが、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度20体積%の粒子径D20とレーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度80体積%の粒子径D80との比(D80/D20)が2.9以上4.5以下である前記[2]に記載の転写用紙である。
本実施により、布帛に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下などの発生の抑制を良化、及び/又は布帛からの剥離が良化することができる。
少なくとも一つの実施態様としては、染料インクが酸性染料を含む酸性インクであって、布帛がナイロン布である転写捺染法に用いる転写用紙である。
本発明により、布帛に図柄を形成することができ、密着させて加熱及び加圧した後かつスチーミング処理前で転写紙を布帛から剥離することができ、並びに布帛に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下など不具合の発生を抑制できる転写用紙を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、「転写用紙」とは、転写する図柄が印刷される前の白紙状態にある用紙をいう。「転写紙」とは、転写用紙に対して転写する図柄が印刷された状態にある用紙をいう。
また本発明において、「塗工層を有する」とは、転写用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に、基材と区別できる明確な層を有する用紙を指す。例えば、樹脂成分やポリマー成分を塗工し、塗工された前記成分が少量であって基材に吸収され、結果として、転写用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に基材と区別できる明確な層を有しない場合、「塗工層を有する」に該当しない。
転写用紙は、原紙の片面に1層又は2層以上の非水系樹脂層を有する基材と、前記非水系樹脂層上に1層又は2層以上の塗工層を有する。塗工層中、基材を基準として最も外側に位置する塗工層を最外塗工層という。塗工層が1層の場合は該塗工層が最外塗工層になる。最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を少なくとも含有する。塗工層が2層以上である場合において、基材と最外塗工層との間に存在する塗工層は、塗工紙分野で従来公知の塗工層であって、白色顔料の有無及び種類並びに樹脂の有無及び種類について特に限定されない。また、基材と最外塗工層との間に存在する塗工層は、塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。
転写用紙の製造コストの観点から、塗工層は1層が好ましい。また、塗工層は、基材の非水系樹脂層側の面に設ける。転写用紙は、基材の裏面、すなわち原紙の非水系樹脂層を有する面の反対側に従来公知のバックコート層を有してよい。
塗工層の塗工量は特に限定されない。転写用紙の製造コスト及び取り扱い易さの観点から、塗工量は、片面あたり乾燥固形分量で5g/m以上70g/m以下が好ましい。塗工量の上限は30g/m以下がより好ましい。さらに、製造コストを削減する観点及び転写紙と布帛との密着時における塗工層の欠落を防止する観点から、塗工量は、片面あたり10g/m以上30g/m以下が最も好ましい。塗工量は、片面あたり塗工層が複数存在する場合、それら合計の値である。
原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選ばれる少なくとも一種のパルプに、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン及び焼成カオリンなどの各種填料、さらに、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤、紙力剤などの各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造した抄造紙である。さらに原紙には、抄造紙にカレンダー処理、澱粉やポリビニルアルコール等で表面サイズ処理、あるいは表面処理等を施した上質紙が含まれる。さらに原紙には、表面サイズ処理や表面処理を施した後にカレンダー処理した上質紙が含まれる。
抄造は、紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、従来公知の抄紙機を用いて行われる。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を挙げることができる。
原紙の坪量は特に限定されない。用紙の取り扱い易さの観点から、原紙の坪量は10g/m以上100g/m以下が好ましく、30g/m以上100g/m以下がさらに好ましい。
紙料中には、その他の添加剤としてバインダー、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などから選ばれる一種又は二種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。
基材は、前記原紙の片面に非水系樹脂層を設けることによって得ることができる。非水系樹脂層は、転写紙と布帛との剥離を支援する機能及び染料インクの原紙への浸透を防止する機能を有するものである。塗工層と布帛とが剥離困難に陥ると、非水系樹脂層と塗工層とが剥離することによって、塗工層の全部又は一部が布帛に付着した状態を含み、布帛が転写紙から上手く剥離できる。布帛から転写紙を剥離してから布帛をスチーミング処理する転写捺染法であれば、操業の問題を回避できる。さらに、染料インクで転写用紙に図柄を印刷する場合、非水系樹脂層が染料の原紙までの到達を防止することによって、形成された図柄に欠点、色ムラ及び発色低下を、より抑制できる。
非水系樹脂層は、非水系樹脂によって形成される水に不溶性の層である。非水系樹脂層を形成する非水系樹脂の一種は、水以外の溶媒が媒体になる樹脂である。水以外の溶媒が媒体になる樹脂は、溶剤系タイプの樹脂を挙げることができる。また非水系樹脂層を形成する非水系樹脂の一種は、無溶剤系タイプの樹脂である。また非水系樹脂層を形成する非水系樹脂の一種は、エマルション系タイプの樹脂である。非水系樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂又は電子線で硬化する樹脂等である。非水系樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック、それらの混合物、エチレンとのランダム共重合体及びブロック共重合体等のポリプロピレン;その他に、ポリメチルペンテン、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。非水系樹脂には、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上を使用できる。
基材に非水系樹脂層を設ける方法は特に限定されない。無溶剤系タイプの樹脂であれば例えば、一般の溶融押し出しダイ、Tダイ、多層同時押し出しダイ等の従来公知のラミネーター装置を用いる方法、溶剤系タイプの樹脂であれば例えば、溶剤を媒体に非水系樹脂を溶解した非水系樹脂層塗工液を塗工及び乾燥する方法、並びにエマルション系タイプの樹脂であれば例えば、水を媒体に非水系樹脂のエマルションを含む非水系樹脂層塗工液を塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。非水系樹脂層塗工液を塗工及び乾燥する方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を挙げることができる。
原紙の片面に、非水系樹脂層は1層又は2層以上である。製造コストの観点から、非水系樹脂層は1層が好ましい。非水系樹脂層は、厚さが10μm以上が好ましく、15μm以上が好ましい。この理由は、原紙に対して十分な被覆性を有して非水系樹脂層の上記機能がより良化するからである。また、非水系樹脂層の厚さは、上限が30μm以下が好ましい。この理由は、30μmで上記機能が飽和して材料コストがかかるからである。
なお、非水系樹脂層が1層では当該層の厚さを示し、非水系樹脂層が2層以上ではこれら層の合計厚さを示す。
塗工層は、基材又は下位の塗工層に対して塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって設けることができる。
塗工層を設ける方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を挙げることができる。
また、塗工層は、塗工及び乾燥後にカレンダー処理を施すことができる。
最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を少なくとも含有する。最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を最外塗工層の塗工層塗工液に配合することによって、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を含有することができる。
水溶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸とポリオールとから重縮合反応して得られる樹脂であって、構成成分として多価カルボン酸とポリオールとが樹脂の60質量%以上を占めるものをいう。
多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸などを挙げることができ、これらから成る群から一種又は二種以上を選択して用いることが好ましい。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどを挙げることができ、これらから成る群から一種又は二種以上を選択して用いることが好ましい。また、水溶性ポリエステル樹脂は、水溶性を高めるためにカルボキシル基やスルホン酸基等の親水性基を有する成分を共重合させることができる。水溶性ポリエステル樹脂は、互応化学工業社、高松油脂社及びユニチカ社などから市販されており、これらの市販品を本発明に用いることができる。なお、「水溶性」とは、最終的に20℃の水に1質量%以上溶解することができることを指す。
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂は、カルボキシル基が導入されてカルボン酸変性されたポリビニルアルコール部位を有するものである。
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂としては、ポリビニルアルコールとビニルカルボン酸化合物とのグラフト共重合又はブロック共重合により得られるもの、ビニルエステル化合物とビニルカルボン酸化合物とを共重合した後、ケン化することにより得られるもの、及びポリビニルアルコールにカルボキシル化剤を反応させて得られるものなどを挙げることができる。前記ビニルカルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、(無水)イタコン酸、及び(無水)トリメリット酸などのカルボキシル基又はその無水物含有化合物を挙げることができる。前記ビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、及びピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。前記カルボキシル化剤としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水グルタル酸、水添フタル酸無水物、及びナフタレンジカルボン酸無水物などを挙げることができる。カルボン酸変性ポリビニルアルコールは、日本合成化学工業社、日本酢ビ・ポバール社及びクラレ社などから市販されており、これら市販品を本発明に用いることができる。
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂の数平均重合度及びケン化度は特に限定されない。カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂のケン化度については、85mol%以上90mol%以下である部分ケン化度が好ましい。この理由は、布帛からの剥離が良化する又は布帛に形成された図柄に欠落、色ムラ発生及び発色低下などの不具合がより抑制できるからである。
アクリル樹脂は、アクリル酸及びそのエステルなどの誘導体、並びにメタクリル酸及びそのエステルなどの誘導体を主体とする重合体又は共重合体の総称である。主体とは、アクリル酸及びそのエステルなどの誘導体、並びにメタクリル酸及びそのエステルなどの誘導体が樹脂全体の51質量%以上を占めることを指す。アクリル酸エステルは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸2-ジメチルアミノエチル及びアクリル酸2-ヒドロキシエチルなどを挙げることができる。また、メタクリル酸エステルは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸2-ヒドロキシエチルなどを挙げることができる。本発明では、アクリロニトリル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどの共重合体もアクリル樹脂に含める。
アクリル樹脂は、東亞合成社、日本触媒社、ジャパンコーティングレジン社、出光興産社及び三菱ケミカル社などから市販されており、これら市販品を本発明に用いることができる。
アクリル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が0℃以上45℃以下である。また、アクリル樹脂は、最低成膜温度(MFT)が0℃以上50℃以下である。アクリル樹脂が、これら物性値範囲を満たさない場合、生産性に適した布帛からの剥離が、又は布帛に形成された図柄に欠落、色ムラ発生及び発色低下などの不具合を抑制ができない。
アクリル樹脂のTgの設定は、下記のFox式に従い、各アクリル樹脂等の単量体の質量比率を設定することにより行うことができる。
<Fox式>
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
式中、Tgはアクリル樹脂のガラス転移点を表す。Tg1、Tg2、…、Tgmは各単量体の単重合体のガラス転移点を表す。また、W1、W2、…、Wmは各単量体の質量比率を表す。前記Fox式における各単量体のガラス転移点は、例えば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley-Interscience、1989)記載の値を用いればよい。
MFTとは熱可塑性樹脂粒子が結合して成膜するのに最低必要な温度を意味する。このMFTは、室井宗一著「高分子ラテックスの化学」(高分子刊行会、1987年出版)等に記載されているように温度勾配板法により測定することができる。
澱粉類は、グルコースがグリコシド結合によって重合した多糖類及びグルコースがグリコシド結合によって重合した多糖類においてグルコースが有する水酸基を種々置換基によって変性した多糖類である。澱粉類の例としては、澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉、ジアルデヒド澱粉、燐酸エステル化澱粉及び尿素燐酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉並びにヒドロキシブチル化澱粉などを挙げることができる。
最外塗工層において、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類の含有量は、乾燥固形分量でカルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、水溶性ポリエステル樹脂が25質量部以上75質量部以下、アクリル樹脂が25質量部以上75質量部以下、澱粉類が100質量部以上200質量部以下であることが好ましい。
最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類以外に、塗工紙分野で従来公知のバインダーを含有することができる。バインダーは、例えば、水溶性合成樹脂、水分散性合成樹脂、天然成分に由来する樹脂及びそれらの物理的もしくは化学的に変性して得られる樹脂などである。バインダーの具体例としては、ポリビニルアルコール樹脂及びカルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂を除くそれらの各種変性誘導体、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレンブタジエン系共重合体樹脂、水溶性ポリエステル樹脂を除くポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、タンパク質、カゼイン、ゼラチン、エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム及びアカシアアラビアガムなどのガム類、セルロース並びにカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースの変性誘導体、並びにアルギン酸ナトリウムなど澱粉類以外の多糖類を挙げることができる。
最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類の合計が最外塗工層中のバインダーに対して85質量%以上を占めることが好ましい。
白色顔料は、塗工紙分野で従来公知の白色顔料である。白色顔料は、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、各種カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの無機白色顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン-アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機白色顔料を挙げることができる。
最外塗工層中の白色顔料は、少なくとも一種に非晶質シリカを含むことが好ましい。非晶質シリカは、製造法によって湿式法シリカと気相法シリカとに大別することができる。さらに湿式法シリカは、製造方法によって、沈降法シリカとゲル法シリカとに分類できる。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過・水洗・乾燥・粉砕・分級の工程を経て製造される。沈降法シリカは、例えば、東ソー・シリカ社からニップシール(登録商標)、オリエンタル シリカズ コーポレーション(OSC)社からファインシール(登録商標)、トクシール(登録商標)、水澤化学工業社からミズカシル(登録商標)、豊田化工社からシリカゲルとして市販される。ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。微小粒子は、熟成中に溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、ゲル法シリカは、明確な一次粒子が消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゲル法シリカは、例えば、東ソー・シリカ社からニップゲル(登録商標)、グレースジャパン社からサイロイド(登録商標)、サイロジェット(登録商標)として市販される。気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られている。四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独又は四塩化ケイ素と併用して使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル社からアエロジル(登録商標)、トクヤマ社からレオロシール(登録商標)として市販される。非晶質シリカは、沈降法シリカがより好ましい。
少なくとも一つの実施形態において、非晶質シリカは、粒子径が10μm以上の比較的大きい粒子を含む。この理由は、転写紙と布帛との密着及び剥離が良化するからである。好ましくは、非晶質シリカが、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準である平均粒子径が6.6μm以上41μm以下である。より好ましくは、同体積基準である平均粒子径が19μm以上41μm以下である。さらに好ましくは、同体積基準である平均粒子径が27μm以上40μm以下である。最も好ましくは、同体積基準である平均粒子径が27μm以上37μm以下である。これにより、布帛からの剥離が良化することができる。
少なくとも一つの実施形態において、非晶質シリカは、粒度分布に適度な拡がりを有する。すなわち、非晶質シリカは、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる、横軸が粒子径及び縦軸が粒子数の頻度とした体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度20体積%の粒子径D20とレーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度80体積%の粒子径D80との比(D80/D20)が2.5以上5.5以下である。好ましくは、比(D80/D20)が2.9以上4.5以下である。より好ましくは、比(D80/D20)が3.2以上4.3以下である。これにより、布帛に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下などの発生の抑制を良化、及び/又は布帛からの剥離が良化することができる
レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準である平均粒子径、並びにレーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる、横軸が粒子径及び縦軸が粒子数の頻度とした体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度20体積%の粒子径D20及び累積頻度80体積%の粒子径D80は、例えば、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器Microtrac MT3000IIを用いて測定し、算出することができる。
前記平均粒子径及び/又は前記比(D80/D20)を満足する非晶質シリカは、例えば、比較的大きい粒子を有する非晶質シリカを粉砕と整粒とによって得ることができる。また、該非晶質シリカは、相対的に小さい平均粒子径を有する非晶質シリカと相対的に大きい平均粒子径を有する非晶質シリカとを混合することによって得ることができる。あるいは、該非晶質シリカは、前記平均粒子径及び/又は前記比(D80/D20)を満足する市販品を用いることができる。
最外塗工層において、白色顔料の含有量は、乾燥固形分量でカルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、15質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、Tg0℃以上45℃以下かつMFT0℃以上50℃以下のアクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を含有することによって、布帛に対するある程度の剥離能力を有しながら、布帛に対する密着が良く、並びに染料インクに対して印刷時の受容及び転写時の放出に良く、結果として、布帛に形成された図柄に欠点、色ムラ及び発色低下を抑制できる。
最外塗工層は、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、澱粉類、及び白色顔料以外に、必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、分散剤、定着剤、カチオン化剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤等を挙げることができる。
また、最外塗工層は、転写捺染法で従来公知の各種助剤を含有することができる。助剤は、最外塗工層塗工液の各種物性を最適化する、あるいは布帛への染着性を向上させるため等に加えられるものである。助剤は、例えば、各種界面活性剤、pH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、脱気剤及び還元防止剤等を挙げることができる。
本発明の転写用紙は、実施態様として、酸性染料を含む酸性インクで図柄を印刷して転写紙とし、前記転写紙とナイロン布とを密着させて加熱及び加圧することによって酸性染料を転写紙からナイロン布へ転写させ、転写後、ナイロン布から転写紙を剥離してからナイロン布をスチーミング処理する転写捺染法に用いる。
酸性インクは、色材として酸性染料を含むインクを指す。酸性インクは、水及びアルコールなどの各種溶媒に色材である酸性染料を加えて調製することができる。インクには、必要に応じて従来公知の、分散剤、樹脂、浸透剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、酸化防止剤及び還元剤などの各種助剤を含有することができる。また、酸性インクは市販されており、入手することができる。
酸性染料は、色材としてカラーインデックスインターナショナルなどのデータベースに「C.I.Acid」として登録されているものである。分子中に官能基として-SONa又は-COOHを有する。酸性染料には、モノアゾ系酸性染料、ジスアゾ系酸性染料、オキサジン系酸性染料、アミノケトン系酸性染料、キサンテン系酸性染料、キノリン系酸性染料、トリフェニルメタン系酸性染料及びアントラキノン系酸性染料などがある。酸性染料としては、例えば、C.I.Acid Yellow 1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、40:1、42、44、49、59、59:1、61、65、72、73、79、99、104、110、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、219:1、220、230、232、235、241、242、246などのイエロー系の染料;C.I.Acid Orange 3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168などのオレンジ系の染料;C.I.Acid Brown 2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413などのブラウン系の染料;C.I.Acid Red 1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、97:1、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415などのレッド系の染料;C.I.Acid Violet 17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126などのバイオレット系の染料;C.I.Acid Blue 1、7、9、15、23、25、40、61:1、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、127:1、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、277:1、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350などのブルー系の染料;C.I.Acid Green 9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109などのグリーン系の染料;C.I.Acid Black 1、2、3、24、24:1、26、31、50、52、52:1、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222などのブラック系の染料など、各種色の染料を挙げることができる。
転写紙は、転写用紙に図柄を染料インクで印刷して得ることができる。印刷は、転写用紙の最外塗工層を有する側に行う。印刷する方法は、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式及びインクジェット印刷方式などを挙げることができる。図柄を印刷する方法は、画質及び使用するインクの自由度が比較的高いことから、インクジェット印刷方式が好ましい。
転写紙と布帛とを密着させて加熱及び加圧は、図柄を印刷した転写紙の印刷面と布帛の捺染する面とを対向させて密着させ、密着状態で加熱及び加圧することである。密着させて加熱及び加圧の条件は、転写捺染法で従来公知の条件である。密着させて加熱及び加圧する方法は、例えば、プレス機、ヒートロール及び加熱ドラムなどを用いて転写紙を布帛に密着させて加熱及び加圧する方法を挙げることができる。
布帛から転写紙の剥離は、密着状態の布帛と転写紙とから、物理的に転写紙を布帛から剥離することである。剥離する方法は、従来公知の方法であって、特に限定されない。例えば、転写紙と布帛とが密着した状態にあるロール状の転写紙及び布帛を、各々個別にロールに巻き取る方法によって剥離する方法を挙げることができる。
スチーミング処理は、転写紙から布帛に転写した染料を固着させる処理である。スチーミング処理は、湿式固着処理とも称され、捺染分野で従来公知の処理である。スチーミング処理は、代表的に、常圧スチーミング法、HTスチーミング法及びHPスチーミング法がある。一般的に、常圧スチーミング法では100℃前後、15~30分の湿熱処理、HTスチーミング法では150~180℃、5~10分間の湿熱処理、HPスチーミング法では120~135℃、20~40分間の湿熱処理によって染料の繊維への固着を行う。なお、スチーミング処理後には布帛を水洗することが好ましい。
布帛を構成する繊維は、天然繊維、合成繊維及びそれらの複合繊維のいずれでも構わない。天然繊維の例としては、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維を挙げることができる。合成繊維の例としては、ポリアミド(ナイロン)、ビニロン、ポリエスエル、ポリアクリル等を挙げることができる。少なくとも一つの実施形態として、布帛は、ナイロン布である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
<原紙>
濾水度380mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウム10質量部、両性澱粉1.2質量部、硫酸バンド0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤0.1質量部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で両面に、酸化澱粉を片面あたり1.5g/m付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量50g/mの原紙を作製した。
<基材1>
上記原紙の片面に、高密度ポリエチレンを溶融押し出しダイを用いて厚さ15μmになるように非水系樹脂層を設け、非水系樹脂層を有する基材1を得た。
<基材2>
上記原紙を基材2とした。
<塗工層塗工液>
水を媒体として、下記の配合で塗工層塗工液を調製した。最終的に、塗工層塗工液の濃度は15質量%とした。
水溶性ポリエステル樹脂 部数は表1及び表2に記載
ポリビニルアルコール樹脂 種類及び部数は表1及び表2に記載
アクリル樹脂 種類及び部数は表1及び表2に記載
澱粉類 部数は表1及び表2に記載
非晶質シリカ 種類及び部数は表1及び表2に記載
硫酸アンモニウム 38質量部
尿素 150質量部
非イオン性界面活性剤 50質量部
消泡剤 15質量部
表1及び表2において、各材料に下記のものを用いた。なお、プラスコート(登録商標)、ゴーセネックス(登録商標)、モビニール(登録商標)、ペノン(登録商標)、トクシール(登録商標)、ファインシール(登録商標)である。
水溶性ポリエステル樹脂:互応化学工業社 プラスコートRZ-142
ポリビニルアルコール樹脂A:クラレ社 クラレポバールKL506
カルボン酸変性 ケン化度74~80mol%
ポリビニルアルコール樹脂B:クラレ社 クラレポバールKL318
カルボン酸変性 ケン化度85~90mol%
ポリビニルアルコール樹脂C:クラレ社 クラレポバールKL118
カルボン酸変性 ケン化度95~99mol%
ポリビニルアルコール樹脂D:日本合成化学社 ゴーセネックスT-350
カルボン酸変性 ケン化度93~95mol%
ポリビニルアルコール樹脂E:クラレ社 クラレポバール22-88
ケン化度87~89mol%
アクリル樹脂A:ジャパンコーティングレジン社 モビニール731A
Tg=0℃/MFT=0℃
アクリル樹脂B:ジャパンコーティングレジン社 モビニール727
Tg=5℃/MFT=25℃
アクリル樹脂C:ジャパンコーティングレジン社 モビニール6520
Tg=41℃/MFT=50℃
アクリル樹脂D:ジャパンコーティングレジン社 モビニール718A
Tg=-6℃/MFT=0℃
アクリル樹脂E:ジャパンコーティングレジン社 モビニール742A
Tg=45℃/MFT=53℃
澱粉類:ヒドロキシアルキル化澱粉、日澱化學社 ペノンJE-66
非晶質シリカA:OSC社 トクシールGU-N
平均粒子径17.8μm
非晶質シリカB:OSC社 トクシールNP
平均粒子径10.3μm
非晶質シリカC:OSC社 ファインシールX60
平均粒子径6.6μm
非晶質シリカD:水澤化学工業社 ミズカシルP78F
平均粒子径19μm
非晶質シリカE:豊田化工社 シリカゲルA白200アンダー
平均粒子径47μm
Figure 0007051757000001
Figure 0007051757000002
<転写用紙>
塗工層塗工液を、基材の片面上にエアナイフコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥し、当該塗工層を最外塗工層として、最終的にロール状の転写用紙を作製した。塗工量は20g/mとした。基材1では、非水系樹脂層を有する側に塗工及び乾燥した。
<転写紙>
ロール状の転写用紙に、酸性染料を含む酸性インクをセットしたインクジェットプリンター(VJ-1628TD、武藤工業社製)を用いて、転写用紙の最外塗工層を有する側に酸性インク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)で評価用図柄を印刷し、最終的にロール状の転写紙を得た。酸性染料を含む酸性インクには、紀和化学工業社製EAインクを用いた。
<転写捺染>
布帛として前処理をしていないナイロン布を用いた。転写紙の印刷面とナイロン布の捺染する面とを対向させて搬送し、加熱ドラムを備えるロールニップ方式で密着させて加熱及び加圧した。加熱及び加圧の条件は、温度120℃、線圧70kg/cm、時間0.5秒とした。
<転写紙の剥離>
転写紙が貼り付けた状態にあるナイロン布を、転写紙とナイロン布とを個別にロールに巻き取る方法によって、転写紙をナイロン布から引き剥がした。
<剥離の評価>
転写紙をナイロン布から剥離する様子を目視にて観察し、下記の基準により官能評価した。結果を表1及び表2に記載する。本発明において、評価A~Cであれば、転写紙は、ナイロン布から剥離することができるものとする。
A:スムーズに剥離ができる。
B:上記Aよりも強く引っ張って剥離できる。
C:上記Bよりも速度を落として剥離できる。
D:上記Cよりもさらに低速度で、ゆっくりしか剥離できない。
生産性の観点から好ましくない。
E:転写紙が破損し、剥離が困難である。
<ナイロン布のスチーミング処理>
転写紙を剥離したロール状のナイロン布を、アンワインダーからワインダーへ搬送し、その間に常圧スチーミング法によって100~105℃、20~30分間の湿熱処理を行った。
<水洗>
スチーミング後、得られたナイロン布に対して水洗、[常温水洗]→[50℃水洗]→「常温水洗]の手順で行った。
<図柄の評価>
ナイロン布に形成された図柄に関して、欠落、色ムラ及び発色低下の観点から、下記の基準で官能評価した。結果を表1及び表2に記載する。本発明において評価がA~Cであれば、転写用紙は、ナイロン布に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下など不具合の発生を抑制できるものとする。
A:欠落、色ムラ及び発色低下が認められず、良好。
B:欠落、色ムラ及び/又は発色低下が若干認められるが、概ね良好。
C:上記Bより劣り、欠落、色ムラ及び/又は発色低下が認められ、実用上の下限。
D:上記Cより劣り、欠落、色ムラ及び/又は発色低下が認められ、不良。
表1及び表2から、本発明に該当する実施例1~23は、スチーミング処理前に転写紙がナイロン布から剥離することができ、ナイロン布に形成された図柄に欠落、色ムラ及び発色低下など不具合の発生が抑制できることが分かる。本発明の構成を満足しない比較例1~9は、本発明に係るこれら効果を同時に満足することができないことが分かる。
表2から、白色顔料の少なくとも一種が非晶質シリカであって、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準である非晶質シリカの平均粒子径が27μm以上40μm以下であることが、好ましいと分かる。
また表2から、非晶質シリカが、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度20体積%の粒子径D20とレーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度80体積%の粒子径D80との比(D80/D20)が2.9以上4.5以下であることが、好ましいと分かる。

Claims (3)

  1. 染料インクで図柄を印刷して得た転写紙と布帛とを密着させて加熱及び加圧することによって染料を転写紙から布帛へ転写させ、転写後、布帛から転写紙を剥離してから布帛をスチーミング処理する転写捺染法に用いる、図柄を印刷する前の転写用紙であって、原紙の片面に1層又は2層以上の非水系樹脂層を有する基材と、前記非水系樹脂層上に1層又は2層以上の塗工層とを有し、基材を基準として最外に位置する最外塗工層が、水溶性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂及び澱粉類、並びに白色顔料を少なくとも含有し、前記アクリル樹脂のガラス転移点(Tg)が0℃以上45℃以下かつ最低成膜温度(MFT)が0℃以上50℃以下である転写用紙。
  2. 前記白色顔料の少なくとも一種に非晶質シリカを含み、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準である前記非晶質シリカの平均粒子径が27μm以上40μm以下である請求項1に記載の転写用紙。
  3. 前記非晶質シリカが、レーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度20体積%の粒子径D20とレーザー回折・散乱式粒度分布測定で求められる体積基準の粒度分布曲線において、粒子径がゼロを起点とする累積頻度80体積%の粒子径D80との比(D80/D20)が2.9以上4.5以下である請求項2に記載の転写用紙。
JP2019120635A 2018-09-10 2019-06-28 転写用紙 Active JP7051757B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/558,813 US11313076B2 (en) 2018-09-10 2019-09-03 Transfer paper
EP19195156.5A EP3620573B1 (en) 2018-09-10 2019-09-03 Transfer paper
TW108132263A TWI698565B (zh) 2018-09-10 2019-09-06 轉印用紙

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018169096 2018-09-10
JP2018169096 2018-09-10

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020041248A JP2020041248A (ja) 2020-03-19
JP7051757B2 true JP7051757B2 (ja) 2022-04-11

Family

ID=69797925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019120635A Active JP7051757B2 (ja) 2018-09-10 2019-06-28 転写用紙

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7051757B2 (ja)
TW (1) TWI698565B (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001315440A (ja) 2000-05-12 2001-11-13 Ricoh Co Ltd 熱転写記録媒体
WO2007111302A1 (ja) 2006-03-28 2007-10-04 Art Inc. 乾式転写捺染用転写紙及びそれを用いた乾式転写捺染法
JP2008274516A (ja) 2007-03-30 2008-11-13 Art:Kk 分散染料による合成繊維材料の乾式転写捺染法並びに転写紙
JP2017196748A (ja) 2016-04-25 2017-11-02 三菱製紙株式会社 転写用紙
JP2018111286A (ja) 2017-01-13 2018-07-19 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49117789A (ja) * 1973-03-20 1974-11-11
JP2854776B2 (ja) * 1993-03-18 1999-02-03 鐘紡株式会社 転写紙を用いた捺染法
GB9614494D0 (en) * 1996-07-10 1996-09-04 Cookson Matthey Ceramics Plc Improvements in printing
US9399362B1 (en) * 2015-03-31 2016-07-26 Vivid Transfers, LLC Method of selectively transferring an image and heat-transfer assembly
JP5970588B1 (ja) * 2015-06-15 2016-08-17 株式会社 Smi 水性染料系印刷インキ、並びに、この水性染料系印刷インキを用いる印刷方法及び捺染法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001315440A (ja) 2000-05-12 2001-11-13 Ricoh Co Ltd 熱転写記録媒体
WO2007111302A1 (ja) 2006-03-28 2007-10-04 Art Inc. 乾式転写捺染用転写紙及びそれを用いた乾式転写捺染法
JP2008274516A (ja) 2007-03-30 2008-11-13 Art:Kk 分散染料による合成繊維材料の乾式転写捺染法並びに転写紙
JP2017196748A (ja) 2016-04-25 2017-11-02 三菱製紙株式会社 転写用紙
JP2018111286A (ja) 2017-01-13 2018-07-19 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート

Also Published As

Publication number Publication date
TW202020265A (zh) 2020-06-01
JP2020041248A (ja) 2020-03-19
TWI698565B (zh) 2020-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107435275B (zh) 一种热升华数码转印纸及生产方法
JP2016159483A (ja) 昇華型インクジェット捺染転写紙
JP7051757B2 (ja) 転写用紙
US11104173B2 (en) Transfer paper
JP7328186B2 (ja) 転写捺染用紙
TWI732456B (zh) 轉印用紙及轉移印花法
US11313076B2 (en) Transfer paper
JP7296872B2 (ja) 転写用紙
JP6514670B2 (ja) 転写用紙
JP6829040B2 (ja) 転写用紙
WO2020195284A1 (ja) 転写用紙及び転写捺染法
JP6488259B2 (ja) 転写用紙
JP6845820B2 (ja) 転写用紙
JP6514674B2 (ja) 転写用紙
JP2018202780A (ja) 転写用紙
JP2018058337A (ja) 転写用紙
JP6514667B2 (ja) 転写用紙
JP2018059252A (ja) 転写用紙
JP6463301B2 (ja) 転写用紙
WO2021085058A1 (ja) 転写捺染用紙及び転写捺染法
JP6514669B2 (ja) 転写用紙
JP2023176092A (ja) 転写捺染用紙
WO2022054435A1 (ja) 転写用紙及び転写捺染法
JP2022046414A (ja) 転写用紙及び転写捺染法
JP2022131435A (ja) 転写用紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220330

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7051757

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150