JP2018058337A - 転写用紙 - Google Patents
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例えば、優れたインク乾燥性と裏抜け防止性を有するとともに、転写による画像再現性や転写効率の点でも良好な特性を有する昇華捺染型転写紙として、基材上に昇華捺染インク受容層を有する昇華捺染型転写紙であって、前記昇華捺染インク受容層は、主成分として水溶性樹脂と微細粒子が分散されてなるとともに、ノニオン性界面活性剤が含有され、前記昇華捺染インク受容層表面が凹凸を形成してなることを特徴とする昇華捺染型転写紙が公知である(例えば、特許文献3参照)。
また、インクジェット印刷の際に昇華型捺染インクの吸収・乾燥性に優れ、優れた画像再現性及び裏抜け防止性を有し、被転写物への転写捺染の際に転写効率にも優れた昇華型インクジェット捺染転写紙として、基材上に昇華型捺染インク受容層が形成され、基材は10秒コッブ吸水度が5〜20g/m2で、昇華型捺染インク受容層は水溶性樹脂と微細粒子とを含有したインク受容層塗料からなり、水溶性樹脂は少なくともカルボキシメチルセルロースで、インク受容層塗料中にカルボキシメチルセルロースが微細粒子100質量部に対して100〜400質量部含有されており、微細粒子は少なくとも平板結晶構造を有する無機微粒子で、無機微粒子はメジアン径d50が0.4〜2.3μm、アスペクト比が5〜30で、インク受容層塗料の塗工量は3〜13g/m2で、ピンホール発現数の平均が5個以下である昇華型インクジェット捺染転写紙が公知である(例えば、特許文献4参照)。
またリリースまたはバリヤ層が設けられ、最高100ml/minの多孔度を持つ、インクジェット印刷に適した転写紙が公知である(例えば、特許文献5参照)。
転写用紙は、被印刷物に形成された図柄の画質が劣化しないよう鮮鋭な画像を有する転写紙になるために昇華型捺染インクに対する受容性を向上する必要がある。さらに、転写用紙は、鮮鋭な画像を有する転写紙から、被印刷物に形成される図柄の画質を劣化させない必要がある。
(1)被印刷物において画像の劣化が抑制できること(耐画像劣化性)
(2)被印刷物においてカブリの発生が抑制できること(耐カブリ性)
(3)転写紙において裏抜けが抑制されていること(耐裏抜け性)
(4)転写紙においてインクが滲み出さないように吸収できること(インク吸収性)
[1]原紙と、前記原紙の少なくとも片面上に1層以上の塗工層とを有し、原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が顔料、バインダーおよびアセチレングリコール誘導体を少なくとも含有し、前記顔料の少なくとも1種が、平均長径/平均短径が2.0以上7.0以下の一次粒子が長径方向の一方の端部で放射状に凝集してなる平均二次粒子径2μm以上6μm以下の軽質炭酸カルシウムであり、前記軽質炭酸カルシウムが最外塗工層中の顔料100質量部に対して80質量部以上である、昇華型捺染インクを用いる転写捺染法に使用される転写用紙。
[2]最外塗工層を設けた側を測定して得られるISO5636−3に準拠して求められる透気度が100ml/min超320ml/min以下である前記[1]に記載の転写用紙。
本発明において、「転写用紙」とは、転写する図柄が印刷される前の白紙状態にある用紙をいう。「転写紙」とは、転写用紙に対して転写する図柄が印刷された状態にある用紙をいう。
製造コストの点から、塗工層は1層が好ましい。また塗工層は、原紙の片面上または両面上に有してよい。転写用紙は、本発明に係る最外塗工層が原紙の片面上に有する場合、原紙の裏面に従来公知のバックコート層を有してよい。
原紙上に塗工層を設ける方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置および乾燥装置を用いて塗工および乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
最外塗工層中、顔料とバインダーとの含有質量比は、顔料:バインダー=50:50〜80:20が好ましい。
最外塗工層中のアセチレングリコール誘導体の含有量は、顔料およびバインダーの合計100質量部に対して、0.1質量部以上0.5質量部以下が好ましい。
毬栗状軽質炭酸カルシウムはアラゴナイト系結晶が好ましい。この理由は、インク吸収性または耐カブリ性が良化するからである。
また、最外塗工層は、転写捺染法で従来公知の各種助剤を含有することができる。助剤は、最外塗工層塗工液の各種物性を最適化する、あるいは転写される昇華型捺染インクの染着性を向上させるため等に加えられるものである。助剤は、例えば、各種界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、pH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、脱気剤および還元防止剤等を挙げることができる。
なお本発明において、本発明に用いるポリアクリル酸アンモニウム塩の含有量は、バインダーの含有量に含めない。
ポリアクリル酸塩は、ポリアクリル酸アンモニウムが好ましい。この理由は、耐画像劣化性が良化するからである。
塗工紙の透気度は、塗工紙分野で公知の物性値であり、塗工層の顔料の大きさおよび形状、顔料の含有量、並びにバインダーの種類および含有量などによって調整できる。特に効果的な調整方法は、塗工層の塗工量またはカレンダー処理有無およびその条件によって調整する方法である。カレンダーロールの温度、カレンダーニップ圧、およびカレンダーニップ時間などカレンダー条件を制御することで意図した透気度を得ることができる。
本発明の転写用紙は、前記の一般的な塗工紙と同様に透気度を調整できる。
転写用紙に図柄を印刷する各種印刷方法は、従来公知の印刷方法であって、特に限定されない。印刷方法は、例えば、グラビア印刷方式、インクジェット印刷方式、電子写真印刷方式およびスクリーン印刷方式などを挙げることができる。中でも、画質の高精細化および装置の小型化の点でインクジェット印刷方式が好ましい。
昇華型捺染インクを用いる転写捺染法において、被印刷物は、合成繊維材料が好ましい。天然繊維材料では前処理が必要な場合が多い。
濾水度380mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウム10質量部、両性澱粉1.2質量部、硫酸バンド0.8質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤0.1質量部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で両面に、酸化澱粉を片面あたり1.5g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量62g/m2の原紙を作製した。
最外塗工層塗工液は、表1に記載の材料を用いて水に混合および分散して調製した。
最外塗工層塗工液中の各材料の配合量も表1に記載した。
実施例1の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパール(登録商標)TP−1
21SA
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=4.0
平均二次粒子径=3.5μm、毬栗状
実施例2の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−221BM
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=3.0
平均二次粒子径=4.0μm、毬栗状
実施例3の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−121S
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=4.0
平均二次粒子径=4.3μm、毬栗状
実施例4の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−121MS
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=3.0
平均二次粒子径=2.3μm、毬栗状
実施例5の軽質炭酸カルシウム :白石カルシウム社製 Tunex(登録商標)−E
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=3.0
平均二次粒子径=5.6μm、毬栗状
実施例6の軽質炭酸カルシウム :白石カルシウム社製 カルライト(登録商標)SA
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=6.5
平均二次粒子径=3.3μm、毬栗状
実施例7の軽質炭酸カルシウム :白石カルシウム社製 カルライトKT
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=6.7
平均二次粒子径=2.6μm、毬栗状
実施例8の軽質炭酸カルシウム :白石カルシウム社製 カルライトSA
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=6.5
平均二次粒子径=3.3μm、毬栗状
実施例8のカオリン :ヒューバー社製 HG90
平均粒子径=0.19μm
実施例9の軽質炭酸カルシウム :白石カルシウム社製 カルライトSA
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=6.5
平均二次粒子径=3.3μm、毬栗状
実施例9のカオリン :ヒューバー社製 HG90
平均粒子径=0.19μm
実施例10の軽質炭酸カルシウム:白石カルシウム社製 カルライトSA
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=6.5
平均二次粒子径=3.3μm、毬栗状
実施例10のシリカ :オリエンタルシリカ社製 ファインシール(登録商
標)X−37
平均粒子径=2.6μm
実施例11〜28の軽質炭酸カルシウム:実施例6と同じ
比較例1の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−221GS
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=1.8
平均二次粒子径=0.81μm、毬栗状
比較例2の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−123FS
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=7.2
平均二次粒子径=3.8μm、毬栗状
比較例3の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−221F
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=2.0
平均二次粒子非形成
比較例4の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−121SA
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=4.0
平均二次粒子径=3.5μm、毬栗状
比較例5の軽質炭酸カルシウム :奥多摩工業社製 タマパールTP−121SA
カルサイト系結晶
平均長径/平均短径=4.0
平均二次粒子径=3.5μm、毬栗状
比較例6の軽質炭酸カルシウム :白石工業社製 白艶華(登録商標)PZ
カルサイト結晶系
平均二次粒子径=3.3μm、立方体状
比較例7の軽質炭酸カルシウム :白石カルシウム社製 カルライトSA
アラゴナイト系結晶
平均長径/平均短径=6.5
平均二次粒子径=3.3μm、毬栗状
比較例7のカオリン :ヒューバー社製 HG90
アセチレングリコール誘導体A :日信化学工業社製 Surfynol 104E
(一般式(1)の構造)
アセチレングリコール誘導体B :日信化学工業社製 Olfine E1010
(一般式(2)の構造)
アセチレンアルコール :日信化学工業社製 Olfine B
転写用紙を以下の手順にて作製した。
原紙上に、最外塗工層塗工液をエアナイフコーターにて片面に塗工し、熱風乾燥機で乾燥させた後、カレンダー処理をして転写用紙を得た。転写用紙の透気度は、塗工量および/またはカレンダー処理条件によって調整した。塗工量は表1に記載した。
得られた転写用紙に、昇華型捺染インクを使用したインクジェットプリンター(JV2−130II、ミマキエンジニアリング社製)を用いて、昇華型捺染インク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)による評価用図柄を印刷し、転写紙(ロール紙)を得た。
上記のように得られた転写紙において、転写紙の裏面からの画像視認の程度から、耐裏抜け性を下記の基準により官能評価した。本発明において、転写用紙は、評価がAまたはBであれば耐裏抜け性を有するものとする。
A:裏抜けがほとんど認められない、良好なレベル。
B:裏抜けがわずかに認められるが、その後の転写に実用上問題ないレベル。
C:裏抜けが認められ、その後の転写に実用上問題となるレベル。
上記のように得られた転写紙を23±1℃、50±2%RHに5時間放置後、ロール紙の巻き芯近傍の印刷物に対して各色輪郭部および抜き文字部を下記の基準により官能評価した。本発明において、転写用紙は、評価AまたはBであればインク吸収性を有するものとする。
A:顕微鏡観察(×25)で各色輪郭部や抜き文字に、滲みが認められない。
B:顕微鏡観察(×25)で各色輪郭部や抜き文字に、僅かに滲みが認められる。
目視観察では認められ難く、実使用上は問題ない。
C:顕微鏡観察(×25)で各色輪郭部や抜き文字に、滲みが認められる。
目視観察でも僅かに認められ、実使用上は問題となる。
D:目視観察で各色輪郭部や抜き文字に、滲みが認められる。
被印刷物として巻き物のポリエステル布を用いた。得られたロール紙状の転写紙とポリエステル布とを密着させ、加熱および加圧機(200℃、0.5MPa、2.5m/min、ローラー型、ローラーとの接触時間30秒)を用いて、染料をポリエステル布へ転写した。その後転写紙をポリエステル布から剥離して、図柄が形成されたポリエステル布を得た。
図柄が形成されたポリエステル布に対して、図柄の鮮鋭性の点から、耐画像劣化性を下記の基準により画質を官能評価した。本発明において、転写用紙は、評価がAまたはBであれば耐画像劣化性が良好であるものとする。
A:良好なレベル。
B:画質の劣化がほとんど認められず、概ね良好なレベル。
C:画質の劣化が認められるが、実用上問題のないレベル。
D:実用上不可になる画像の劣化が認められるレベル。
耐カブリ性は、被印刷物上の斑点汚れの有無を拡大鏡および目視で確認し、下記の基準によって官能評価した。本発明において、転写用紙は、評価AまたはBであれば耐カブリ性が良好であるものとする。
A:拡大鏡にて、斑点汚れが認められず、良好なレベル。
B:目視では、斑点汚れが認められず、概ね良好なレベル。
C:目視にて、不具合にならない斑点汚れが認められるものの実用下限レベル。
D:目視にて、不具合になる斑点汚れが認められ、実用不可のレベル。
主に実施例6、12〜14および17と実施例15、16および18との対比、並びに実施例19、20、22〜24、27および28と実施例21、25および26との対比から、転写用紙は、透気度100ml/min超320ml/min以下が好ましいと分かる。
Claims (2)
- 原紙と、前記原紙の少なくとも片面上に1層以上の塗工層とを有し、原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が顔料、バインダーおよびアセチレングリコール誘導体を少なくとも含有し、前記顔料の少なくとも1種が、平均長径/平均短径が2.0以上7.0以下の一次粒子が長径方向の一方の端部で放射状に凝集してなる平均二次粒子径2μm以上6μm以下の軽質炭酸カルシウムであり、前記軽質炭酸カルシウムが最外塗工層中の顔料100質量部に対して80質量部以上である、昇華型捺染インクを用いる転写捺染法に使用される転写用紙。
- 最外塗工層を設けた側を測定して得られるISO5636−3に準拠して求められる透気度が100ml/min超320ml/min以下である請求項1に記載の転写用紙。
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