JP2023181605A - 転写捺染用紙 - Google Patents

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Atsushi Nakamura
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Abstract

【課題】被印刷物に形成された図柄に対して耐不鮮明性を有する転写捺染用紙を提供する。【解決手段】課題は、紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がポリビニルアルコール類を含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する転写捺染用紙によって達成される。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維材料等の被印刷物へ図柄を形成する昇華型捺染インク等の捺染インクを用いる転写捺染法において、図柄を転写するために使用する紙基材の転写捺染用紙に関する。
転写捺染法に使用する転写捺染用紙は、既に存在する。例えば、基材上に昇華型捺染インク受容層が形成されてなり、前記昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有したインク受容層塗料からなり、前記微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子であって、0.4μm以上2.3μm以下の範囲にメジアン径d50を有し及びアスペクト比が5以上であり、前記微細粒子Bは、シリカ粒子であり、前記微細粒子Aと前記微細粒子Bとの割合(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85~90/10であり、前記水溶性樹脂はカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、前記インク受容層塗料中、前記カルボキシメチルセルロースナトリウムが前記微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10質量部以上80質量部以下の割合で含有されており、前記インク受容層塗料の塗工量(乾燥)は3g/m以上13g/m以下であり、JIS P8117:2009に準拠した透気度測定法による透気度が100秒以上10000秒以下であることを特徴とする、昇華型インクジェット転写捺染用紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されるが如くの昇華型インクジェット転写捺染用紙では、転写捺染時におけるインクの裏抜けを抑制でき、シート形状で使用した場合にもシワが入り難い。
特開2018-030342号公報
上記特許文献1では、特許文献1に記載の効果が顕著に現れる基材として、転写捺染紙の裏面からの加熱によって捺染インクが昇華し易い多孔質の材料とあり、具体的には木材パルプを主成分とする紙、不織布及び布帛等を例示する。通常、転写捺染法では、転写捺染紙の表面と被印刷物とを密着させて、密着状態において転写捺染紙の裏面から加熱して転写捺染紙の表面に形成された図柄を被印刷物へと転写する。
一方、木材パルプを主成分とする紙、すなわち、紙基材では、転写捺染時の加熱によって熱膨張及び加熱による脱湿によって収縮が同時に起こる。転写捺染時の熱膨張及び収縮は、被印刷物に転写される図柄を、特に図柄の輪郭を不鮮明にする。
上記を鑑みて本発明の目的は、耐不鮮明性を有する転写捺染用紙を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、本発明の目的は、以下により達成される。
[1]紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がポリビルアルコール類を含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する転写捺染用紙。
また、いくつかの実施態様において、本発明の目的は以下により達成される。
[2]前記平板状無機微粒子がカオリンである上記[1]に記載の転写捺染用紙。
本発明により、耐不鮮明性を有する転写捺染用紙を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「転写捺染用紙」とは、転写する図柄が印刷される前の白紙状態にある用紙を指す。「転写捺染紙」とは、転写捺染用紙に対して転写する図柄が印刷された状態にある用紙を指す。
転写捺染用紙は、紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有する。
紙基材は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)等の化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)等の機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)等の古紙パルプから選ばれる一種又は二種以上のパルプを分散したスラリーに、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ及び各種カオリン等から選ばれる填料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤、紙力剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤並びに耐水化剤等の各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造して得られる抄造紙から成る。さらに紙基材には、前記抄造紙にカレンダー処理を施したカレンダー処理紙、澱粉、ポリビニルアルコール及びスチレンアクリル系樹脂等の表面サイズ剤で表面処理を施した普通紙、並びにカレンダー処理及び表面処理を施した普通紙が含まれる。
抄造は、紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、従来公知の抄紙機を用いて行われる。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、及びヤンキー抄紙機等を挙げることができる。
カレンダー処理は、従来公知のカレンダー処理装置を用いて行われる。カレンダー処理装置の例としては、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、及びマルチニップカレンダー等を挙げることができる。
表面処理は、例えば、浸漬装置、噴霧装置、サイズプレス装置、カーテンコーター及びブレードコーター等の塗工装置、並びにグラビア印刷及びインクジェット印刷等の印刷装置を用いて行われる。
紙基材は、ポリビニルアルコール類を含有する。紙基材は、ポリビニルアルコール類を含有することによって、転写捺染時における加熱による熱膨張及び加熱によって生じる脱湿による収縮を抑えることができる。結果、転写捺染用紙は、耐不鮮明性を有することができる。ポリビニルアルコール類は、ポリビニルアルコール鎖の軸方向及び側鎖方向ともに100℃以上の熱安定性を有する。なおかつ、ポリビニルアルコール類は、水酸基によって吸湿性を有する。本発明者らは、ポリビニルアルコール類の当該二つの特性と下記の平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する最外塗工層との相乗効果から上記効果を発現できると推察する。
紙基材へのポリビニルアルコール類の含有方法は、紙料に配合する方法、及びサイズプレス液に配合して紙基材をサイズプレス処理する方法を含め表面処理液に配合して紙基材を表面処理する方法等を挙げることができる。いくつかの実施態様において、紙基材へのポリビニルアルコール類の含有方法は、紙料に配合する方法である。この理由は、本発明の効果が顕著に認められるからである。
ポリビニルアルコール類とは、未変性のポリビニルアルコール及び各種変性のポリビニルアルコールを含む総称を指す。ポリビニルアルコール類は、従来公知の未変性ポリビニルアルコール及び各種変性ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコール類の例としては、各種ケン化度及び各種平均重合度のポリビニルアルコール、並びにシリル基、カルボキシ基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入した変性ポリビニルアルコール、並びにエチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的又はブロック的に導入した変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。いくつかの実施態様において、ポリビニルアルコール類は、各種ケン化度及び各種平均重合度のポリビニルアルコール並びに変性ポリビニルアルコールから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
いくつかの実施態様において、紙基材中におけるポリビニルアルコール類の含有量は、紙基材中のパルプ1000質量部に対して1質量部以上50質量部以下である。この理由は、転写捺染用紙の耐不鮮明性が良化するからである。なお、ポリビニルアルコール類は、紙基材中の含有量が過剰になると転写捺染時において紙基材からの空気抜けが悪化して、被印刷物に形成された図柄に欠点を生む場合がある。
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、紙基材の厚さが60μm以上110μm以下である。この理由は、転写捺染時の捺染インクの裏抜け、被印刷物に形成される図柄の色濃度ムラ及び/又は斑点カブリが抑えられるからである。紙基材の厚さは、転写捺染用紙において測定される値である。ここで、色濃度ムラとは、転写捺染紙から被印刷物へ捺染インクの転写に差が生じて、被印刷物に形成される本来均一な色である図柄において色濃度が不均一になる現象である。また、斑点カブリとは、捺染インクが転写捺染時において転写捺染紙と被印刷物との接面に対して垂直方向に移動するところ、一部の捺染インクが前記垂直方向ではなく斜め方向に移動して、本来存在しない箇所に斑点を生じる現象である。
紙基材の厚さは、抄紙工程のワイヤーパートに供給する紙料の濃度及び供給量、抄紙工程のプレスパートの条件、並びにカレンダー処理条件等によって調整することができる。
転写捺染用紙は、上記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層を有し、上記紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する。
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は最外塗工層を含め塗工層が1層である。この理由は、転写捺染用紙の製造コストが有利になるからである。また、いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、最外塗工層を含め塗工層が紙基材の両面に有する。この理由は、表裏に関係なく使用できるために取り扱い性に優れるからである。また、いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、本発明に係る最外塗工層が紙基材の片面にのみ有する場合、例えば紙のカールを防止する目的又は捺染インクの裏抜けを抑制する目的で、本発明に係る最外塗工層を有しない側の紙基材に対して従来公知のバックコート層を有する。
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は最外塗工層を含め塗工層が2層以上である。紙基材と最外塗工層との間に位置する塗工層は、塗工紙分野で従来公知の樹脂を含有する層又は従来公知の顔料及びバインダーを含有する層であって、特に限定されない。少なくとも一つの実施態様において、転写捺染用紙は最外塗工層を含め塗工層が2層であり、紙基材と最外塗工層との間に位置する塗工層が紙基材の目止め効果を有する目止め層である。
平板状無機微粒子は、カオリン及び平板状のクレー等の塗工紙分野で従来公知である平板状の無機顔料である。いくつかの実施態様において、平板状無機微粒子は、アスペクト比が5以上及びメジアン径D50が5μm以下である。少なくとも一つの実施態様において、平板状無機微粒子は、アスペクト比が5以上及びメジアン径D50が0.4μm以上3μm以下である。これらの理由は、被印刷物に形成される図柄の色濃度ムラ及び/又は斑点カブリが抑えられるからである。メジアン径は、微粒子の試料をメタノール溶液に添加して超音波分散器で3分間分散させた分散液について、コールターカウンター法の粒度分布測定器によって50μmのアパチャーを用いて測定した体積基準の平均粒子径から得られる粒度分布から求められる値である。
平板状無機微粒子は、例えば、フィロケイ酸塩化合物を挙げることができる。フィロケイ酸塩化合物の例としては、一級カオリン、デラミネーティッドカオリン及び焼成カオリン等のカオリン、平板状のクレー、平板状のタルク、雲母族、脆雲母族、パイロフィライト、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、並びにモンモリロナイト等を挙げることができる。雲母族の例としては、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト及びブリトル雲母等を挙げることができる。
また、平板状無機微粒子は、例えば、膨潤性無機層状化合物を挙げることができる。膨潤性無機層状化合物の例としては、グラファイト、リン酸ジルコニウム系化合物等、カルコゲニド、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物、合成マイカ及び合成スメクタイト等を挙げることができる。
最外塗工層が含有する平板状無機微粒子は、平板状微粒子の形状の影響から、紙基材に並行する型で平板状無機微粒子の平面部が並ぶ。この状態は、加熱による最外塗工層の熱膨張及び収縮がし難くなる。本発明者らは、上記した紙基材と、前記特徴を有する平板状無機微粒子及び下記するカルボキシメチルセルロースを含有する最外塗工層との相乗効果から本発明に係る効果を発現できると推察する。
いくつかの実施態様において、平板状無機微粒子は一級カオリン、デラミネーティッドカオリン及び焼成カオリン等のカオリンである。この理由は、上記紙基材及び最外塗工層の下記カルボキシメチルセルロースとの相乗効果によって、耐不鮮明性を良化するからである。カオリンは、加熱に起因する吸着水の脱湿による収縮が100℃以上であるという。よって、通常の転写捺染時における加熱に起因する吸着水の脱湿による収縮が抑えられる。結果、転写捺染用紙は、耐不鮮明性を有することができる。
カオリンは、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト等の天然に産出されたカオリン原鉱を、工業的に精製及び加工したものであって、粉砕、洗浄、除鉄、及び分級等の工程を経て製造されるものである。また、カオリンには、アスペクト比を向上させるためにせん断力をかけて薄板状としたデラミネーティッドカオリン、粒度分布がシャープになるよう調整したエンジニアードカオリン、凝集性を高めた焼成カオリンといった加工性の高いものも含まれる。
最外塗工層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、平板状無機微粒子に加えて従来公知の無機顔料及び/又は有機顔料を含有することができる。無機顔料は、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、非平板状のクレー、非平板状のタルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物(擬ベーマイト等)、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト等を挙げることができる。有機顔料は、例えば、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂及びメラミン樹脂等を挙げることができる。
カルボキシメチルセルロースは、上記紙基材及び最外塗工層において平板状無機微粒子と併用との相乗効果によって転写捺染用紙の耐不鮮明性を発現することができる。カルボキシメチルセルロースは、分子中にカルボキシ基を有するために、熱によってカルボキシメチルセルロースのカルボキシ基とカルボキシメチルセルロースの水酸基とが反応することができる。従って、カルボキシメチルセルロースは熱によって強度が増す。本発明者らは、上記した紙基材と、上記した平板状無機微粒子と前記特徴を有するカルボキシメチルセルロースとを含有する最外塗工層との相乗効果から本発明に係る効果を発現できると推察する。
また、カルボキシメチルセルロースの分子量及びエーテル化度は、これら発現に影響を与える場合があり、所定の重合度及びエーテル化度に最適化することが好ましい。
カルボキシメチルセルロースは、セルロースエーテルの一種であり、従来公知のものであって特に限定されない。カルボキシメチルセルロースにはカリウム及びナトリウム等のアルカリ金属塩が含まれる。カルボキシメチルセルロースは、例えば、パルプを原料としてモノクロル酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを反応させて得ることができる(直接法)。また、直接法以外にアルセル法及び溶媒法によって得ることができる。カルボキシメチルセルロースは、使用するパルプの性状及び製造方法により様々な分子量又は重合度のものが製造可能である。一般的に、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩として工業的に生産及び販売される。市販のカルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースカリウム又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである場合が多い。慣用的には、カリウム又はナトリウムの記載は省略する。少なくとも一つの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。この理由は、カルボキシメチルセルロースナトリウムが商業的に入手し易いからである。カルボキシメチルセルロースは、例えば、シグマアルドリッチ社、ダイセルミライズ社、第一工業製薬社、CPKelco社、日本製紙社、三晶社及びAshland社等から市販される。
いくつかの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、重量平均分子量が6500以上40000以下である。この理由は、カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量が6500以上40000以下であると、最外塗工層を得るための最外塗工層塗工液の粘度が適当であって皮膜性に優れた最外塗工層を得ることができ、結果、耐不鮮明性が良化するからである。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により得られるポリエチレングリコール換算の値である。
また、いくつかの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、エーテル化度が0.6以上1.27以下である。この理由は、最外塗工層の被印刷物に対する密着性を良化することができ、結果、耐不鮮明性が良化するからである。エーテル化度は、セルロースを構成するグルコース環上にある3つの水酸基のうちカルボキシメチル基で置換された水酸基の数(平均値)を指す。
少なくとも一つの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、重量平均分子量が6500以上40000以下及びエーテル化度が0.6以上1.27以下である。この理由は、転写捺染用紙の耐斑点カブリ性が良化するからである。
いくつかの実施態様において、最外塗工層におけるカルボキシメチルセルロースの含有量は、最外塗工層中の平板状無機微粒子を含め無機顔料100質量部に対して10質量部以上80質量部以下である。この理由は、最外塗工層の皮膜性及び密着性が最適化されて、耐不鮮明性が良化するからである。
最外塗工層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、カルボキシメチルセルロース以外に従来公知のバインダーを含有することができる。従来公知のバインダーは、例えば、各種ケン化度及び重合度のポリビニルアルコール及び各種変性ポリビニルアルコール、澱粉、加工澱粉及び変性澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロースを除くヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム及びアルブミン等の天然由来の樹脂又はその誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、アクリレートブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合系樹脂並びにこれらの各種共重合系樹脂のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール、並びにアルキッド系樹脂等を挙げることができる。
最外塗工層は、必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、分散剤、定着剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤及び防バイ剤等を挙げることができる。
また、最外塗工層は、転写捺染法で従来公知の各種助剤を含有することができる。助剤は、塗工層塗工液の各種物性を最適化する、又は昇華型捺染インク等の捺染インクが含む色材の染着性を向上させるため等の目的で使用する材料である。助剤は、例えば、各種界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、pH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、脱気剤及び還元防止剤等を挙げることができる。
最外塗工層を含む塗工層は、上記紙基材又は塗工層に対して、従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工層塗工液又は最外塗工層塗工液を塗工及び乾燥する方法によって得ることができる。従来公知の塗工装置の例としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。従来公知の乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
塗工層塗工液又は最外塗工層塗工液を塗工及び乾燥後に、各塗工層には、カレンダー処理を施すことができる。
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、紙基材の片面において、最外塗工層を含めて1層又は2層以上である塗工層の総厚さが4μm以上17μm以下である。この理由は、転写捺染時の被印刷物に形成される図柄の色濃度ムラ及び/又は斑点カブリが抑えられるからである。捺染インクは、塗工層の厚さが減ると転写捺染用紙の深部まで浸透し易くなるため、深部まで浸透した捺染インクは、色濃度ムラ及び斑点カブリの発生に影響する。捺染インクは、塗工層の厚さが増すと転写距離が長くなるため、斑点カブリの発生に影響する。塗工層の厚さは、転写捺染用紙において測定される値である。
塗工層の総厚さは、塗工量及び/又はカレンダー処理によって調整することができる。
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、紙基材の片面において、最外塗工層を含む塗工層の総塗工量が乾燥固形分で4g/m以上18g/m以下である。この理由は、最外塗工層が被印刷物に対する密着性が良化するからである。
紙基材及び塗工層の厚さは、転写捺染用紙の任意の10点箇所における電子顕微鏡を用いた拡大断面画像から測定した数値の平均値を求め、平均値から小数点以下を四捨五入した値である。
転写捺染紙は、転写捺染用紙の最外塗工層を有する面側に、捺染インクを備える従来公知の各種印刷方式を用いて図柄を印刷することによって得ることができる。転写捺染用紙に図柄を印刷する各種印刷方式は特に限定されない。印刷方式は、例えば、グラビア印刷方式、インクジェット印刷方式、電子写真印刷方式及びスクリーン印刷方式等を挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、転写捺染用紙に図柄を印刷する印刷方式はインクジェット印刷方式である。少なくとも一つの実施態様において、転写捺染法の捺染インクは昇華型捺染インクである。
転写捺染法は、転写捺染用紙に図柄を印刷して転写捺染紙を得る工程と、転写捺染紙の図柄を印刷した面と被印刷物とを対向して密着させる工程と、転写捺染紙を被印刷物から剥離する工程とを有する方法である。密着させる工程には、必要に応じて、加熱又は加熱加圧が含まれる。密着させる工程における加熱及び加圧のそれぞれの条件は、転写捺染法で従来公知の条件である。密着させる工程は、例えば、プレス機、加熱ロール又は加熱ドラム等により転写捺染紙を被印刷物に密着させ加熱又は加熱加圧する方法を挙げることができる。
被印刷物は、繊維材料であって、特に限定されない。繊維材料は、天然繊維材料及び合成繊維材料のいずれでも構わない。天然繊維材料は、例えば、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料等を挙げることができる。合成繊維材料は、例えば、ポリアミド繊維(ナイロン)、ビニロン、ポリエスエル、ポリアクリル等を挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、昇華型捺染インクを用いる場合、好適な繊維材料はポリエステルである。また、必要に応じて、染着促進に効果のある薬剤等で被印刷物を前処理してよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の付与量は乾燥固形分量を表す。
(紙基材)
CSF濾水度420mlのLBKP700質量部及びCSF濾水度480mlのNBKP300質量部を水に分散したパルプスラリーに、填料としてアラゴナイト型結晶の軽質炭酸カルシウム70質量部、カチオン化澱粉10質量部、硫酸アルミニウム9質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤1質量部、及びポリビニルアルコール類を添加した紙料を用いて、長網抄紙機で抄造して抄造紙を得た。ポリビニルアルコールの質量部は表1に記載する。得た抄造紙の両面に対してサイズプレスを用いて、酸化澱粉を片面あたりの塗工量が1g/mになるように塗工して、さらにマシンカレンダー処理を施して紙基材を作製した。
紙基材の厚さは、長網抄紙機の抄紙工程のワイヤーパートに供給する紙料の濃度及び供給量、長網抄紙機の抄紙工程のプレスパートの条件、並びにカレンダー処理条件によって調整した。
使用したポリビニルアルコール類は、以下である。
PVA-A:日本酢ビ・ポバール社、J-ポバール(登録商標)JF-04
PVA-B:日本酢ビ・ポバール社、J-ポバールJP-04
PVA-C:日本酢ビ・ポバール社、J-ポバールJT-05
PVA-D:クラレ社、クラレポバール(登録商標)25-88KL
表1に記載の「Et-酢ビ」は、エチレン酢酸ビニル共重合体であって、ジャパンコーティングレジン社、リカボンド(登録商標)BEF9857を用いた。
(最外塗工層)
最外塗工層を形成するための最外塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
無機微粒子 種類は表1に記載/100質量部
分散剤(ポリアクリル酸塩系) 0.8質量部
バインダー 種類は表1に記載/50質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度30質量%に調整した。
使用した無機微粒子は以下である。
無機微粒子A:カオリン(平板状、アスペクト比=8、D50=1.8μm)
無機微粒子B:クレー(平板状、アスペクト比=5、D50=0.7μm)
無機微粒子C:シリカ(球状、D50=1.9μm)
無機微粒子D:軽質炭酸カルシウム(柱状、D50=1.5μm)
使用したバインダーは以下である。CMCはカルボキシメチルセルロースを指す。
バインダーA:CMC(重量平均分子量13000、エーテル化度0.8)
バインダーB:α-グルコースの重合体(重量平均分子量4000)
(転写捺染用紙)
最外塗工層塗工液を、紙基材の片面上に対して塗工量13g/mになるようにエアナイフコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、条件を調整しながらスーパーカレンダー処理を施して転写捺染用紙を得た。
最終的に得られた転写捺染用紙における紙基材の厚さ及び最外塗工層を含む塗工層の総厚さは、それぞれ80μm及び11μmとした。
(転写捺染紙)
転写捺染用紙に、昇華型捺染インクを使用したインクジェットプリンター(JV2-130II、ミマキエンジニアリング社製)を用いて、昇華型捺染インク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)による評価用図柄を印刷し、転写捺染紙(ロール紙)を得た。
(捺染)
評価用図柄を印刷した転写捺染紙(ロール紙)を所定の大きさに断裁し、シート状の評価用図柄を有する転写捺染紙を準備した。評価用図柄が印刷された前記転写捺染紙と被印刷物(ポリエステル布)とを重ね合わせ、熱転写用プレス機(HARIRON社、マークプレスPREX-CL)を用い、200℃、60秒間加熱加圧し、被印刷物を捺染した。
(耐不鮮明性)
裁断した50枚の図柄を印刷して転写捺染紙を使用して上記熱転写用プレス機を用いた転写捺染を行い、50枚の図柄が形成された被印刷物を作製した。得られた被印刷物について、図柄の色境界部分及び図柄の輪郭部分を観察した。観察結果から耐不鮮明性を下記の基準により評価した。本発明において、転写捺染用紙は評価がA又はBであれば耐不鮮明性を有するものとする。
X:色境界部分及び図柄の輪郭部分が、明瞭又は概ね明瞭である。
Y:色境界部分及び図柄の輪郭部分が、僅かに明瞭さに欠く箇所が部分的
に存在するものの、全体として実用可能である。
Z:色境界部分及び図柄の輪郭部分が、明瞭さに欠く箇所が部分的又は全体的
に存在し、全体として実用に適さない。
評価した結果から、X乃至Zに該当する被印刷物の件数を求め、下記の基準により判定した。本発明において、転写捺染用紙は評価がA又はBであれば耐不鮮明性を有するものとする。
A:Zの件数が2件未満である。Xの件数が30件以上。
B:Zの件数が2件未満である。Xの件数が30件未満。
C:Zの件数が2件以上6件未満である。
D:Zの件数が6件以上である。
評価結果を表1に記載する。
表1の評価結果から、本発明に該当する実施例1~9は、耐不鮮明性を有する転写捺染用紙であると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1~5は、本発明に係る効果を満足しない転写捺染用紙であると分かる。
実施例3と実施例9との対比から、転写捺染用紙は、最外塗工層の平板状無機微粒子がカオリンであると耐不鮮明性が良化すると分かる。

Claims (2)

  1. 紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がポリビルアルコール類を含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する転写捺染用紙。
  2. 前記平板状無機微粒子がカオリンである請求項1に記載の転写捺染用紙。
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