JP6152130B2 - 印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、高い白色度と高い不透明度を兼ね備えた印刷用紙に関する。
印刷用紙に求められる重要な品質の1つに、印刷が反対面から透けて見える現象、いわゆる「裏抜け」を防止することがある。中でも印刷用紙は、低坪量で軽量であり、かつ、浸透乾燥型インキを用いて熱乾燥工程を含まないコールドセット型オフセット印刷機で印刷されることが多いため、裏抜けの防止は技術的に年々困難になっている。近年、新聞印刷用紙は軽量化が進行し、現在は一部の大手ユーザーで40.5g/mの超々軽量新聞が使用されている。また、タワープレス印刷機の登場により両面カラー印刷も可能になったことから、ここ数年はカラー面の増加が急激に進み、近い将来は半分近くのページがカラー面となることも予想される。さらに、最近ではカラー化だけでなく、白色性など外観性の良さも求められている。
このような背景から、新聞印刷用紙の品質に対する要求は年々高くなっているが、特に、裏抜け防止に対する要求は高い。紙の裏抜けを改善するためにはいくつかの方法があるが、不透明度を高めることが効果的であり、一般に、比散乱係数の高い(光を通しにくい)パルプや填料を使用することが知られている。パルプにおいて、比散乱係数が高いのはメカニカルパルプであるが、最近の脱墨パルプ(DIP)の高配合化によってその配合量は減少する傾向にあり、パルプ配合から裏抜けを上昇させることは困難な状況になっている。そのため、紙の不透明度を向上させるためには、繊維分よりも紙中填料の含有率を向上させることが試みられてきた(特許文献1)。
前述した通り、裏抜け対策としては、新聞印刷用紙の紙中填料の含有率を増加させることが開示されているが、通常新聞印刷用紙の紙中填料を多く増加させていくと、紙の表面強度や引張り強さ、紙厚が低下するという問題が発生する。特に表面強度の低下は、オフセット輪転印刷時に、印刷機のブランケットに堆積する紙粉量を増加させ、文字や罫線カスレやベタ面のガサツキ(着肉不良)を引き起こす等の課題があった。また、見栄えを良くするために白色性を向上させると、白色度が高くなるにつれて透けやすくなり、不透明度が低下し裏抜けが悪化する問題があった。
特許第2889159号公報
以上のような背景を鑑みた結果、本発明の課題は、高白色、高不透明性を有する印刷用紙を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、印刷用紙を構成する成分の中に、紫、青の色を有する色材をいずれか1種類以上を含有させることにより、白色度が高く、高不透明度の印刷用紙が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
詳しくは、本発明は、紫色顔料、青色顔料、紫色染料、および青色染料から選ばれるひとつ以上を含有する印刷用紙であって、印刷用紙のJISP 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb値が−0.5以上4未満である印刷用紙に関する。
本発明によれば、高白色、高不透明性の両方の物性を有する印刷用紙を得ることができる。特に、本発明の印刷用紙は見た目の白さが強く、機器で測定する白色度よりも白さが際立って見える。さらに、インクの着肉性も優れ、印刷適性に優れている。また、原料パルプに脱墨パルプを使用しても、高白色、高不透明性の両方の物性を有する印刷用紙を得ることができる。
色相系における色材添加後の色相の変化
本発明の印刷用紙は、顔料と接着剤とを主成分とする顔料塗工層、接着剤を主成分とするクリア塗工層(以下、本明細書において、サイズプレス層ということがある)のうちいずれか1層以上を設けることができる(以下、本明細書において、顔料塗工層とクリア塗工層を併せて「塗工層」ということがある。)。印刷用紙とは、基紙(以下、本明細書において、「原紙」または「原紙層」ということがある)からなるか、または、該基紙上の片面あるいは両面に少なくとも一層の塗工層を有する印刷用紙である。
本発明によって得られる印刷用紙は、例えば、コールドオフセット印刷やヒートオフセット印刷などの平版印刷、グラビア印刷などの凹版印刷、凸版印刷などの印刷方式で印刷することができる。
色材
本発明においては、印刷用紙に、色材を含有させる。本発明において色材とは、白色以外の有色の顔料または染料をいう。顔料とは、水や油や有機溶剤などに不溶または難溶性または分散状態で存在する白色あるいは有色の粉体であり、無機と有機のものがある。本発明においては、無機、有機いずれのものでも良い。染料とは、可視光線を選択吸収または反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により繊維や顔料等に染着するものをいい、溶媒(水や有機溶剤など)に可溶である。本発明においては、原紙層については主に染料を使用し、クリア塗工層、顔料塗工層については、耐光性に優れ、紙の経時による変色・着色を防止するという観点から主に顔料を使用することが好ましい。ただし、クリア塗工の場合は有色染料の使用も好ましい。
[色材(顔料)]
本発明の顔料は、青色または紫色であるものを使用でき、青色の顔料としては、例えば、EMT−ブルーDS−18東洋インキ製造(株)社製などが挙げられ、紫色の顔料としては、例えば、SAバイオレットC12896御国色素(株)社製などが挙げられる。顔料は、青色単独、紫色単独、両者併用しても良いが、不透明度を向上するには、紫色の顔料を使用することが好ましい。また、本発明においては、必要に応じて、黒、赤、黄などの、青、紫以外の色材を添加しても良い。
青色顔料・紫色顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも使用できる。青色顔料の具体例としては、例えば、ウルトラマリン、アズライト、プロシアブルー(紺青)、群青、スマルト、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)、セルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロムブルー、コバルト・アルミ・珪素酸化物、コバルト・亜鉛・珪素酸化物、マンガンブルー、フタロシアニンが挙げられる。また、紫色顔料の具体例としては、例えば、コバルトバイオレット(砒酸コバルト、燐酸コバルト、コバルト・リチウム・燐酸化物、含水燐酸アンモニウムコバルト、ホウ酸コバルトなど)、紫群青、酸化鉄紫、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの無機顔料、インジゴイド系、キナクリドン系、オキサジン系、アントラキノン系、カルボニウム系、キサンテン系の有機顔料が挙げられる。
本発明の好ましい態様において、青・紫の顔料を一定量含有することによって色相を後述する範囲とすることにより、印刷用紙の表面色を青白くし、見た目の白さを増強すると共に、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。
本発明における青色および紫色の顔料とは、印刷用紙に含有させたときに、印刷用紙をそれぞれの色にする色材である。各々の色材を添加すると、図1に示す方向へ紙の色相を変化させることができる。図1は、L表色系をもとに、本発明の色材を含有しない紙と、含有させた後の紙の色相の変化を示したものである。色相を、a値の(+)方向を0°、(−)方向を180°b値(+)方向を90°、(−)方向を270°として表記した場合、添加前の紙を原点ゼロの位置とすると、青色の色材を添加すると、「青味」と図1に示してある210°以上280°未満の部分に添加後の紙の色相が変化し、紫色の色材を添加すると、「紫味」と図1に示してある280°以上335°未満の部分に添加後の紙の色相が変化するということを表している。
[色材(顔料)の含有量]
本発明における紫色顔料および/または青色顔料の含有量は特に限定されないが、これらの顔料の合計が、印刷用紙1mあたり、0.05〜3.5mgであることが好ましく、0.1〜2.0mgであることがより好ましい。一般に、前記量が0.5mgより少ないと、顔料による光の吸収が少ないため、不透明度に寄与する隠蔽性が不足するので好ましくない。また、一般に、前記量が3.5mgより多いと、顔料による光の吸収量が多く、不透明度向上に大きく寄与するものの、色相が0点から大きく外れ、白色とは感じられなくなるため、好ましくない。顔料の含有量は、上記範囲内で、原料あるいは原紙などの白色度により適宜調節できる。本発明において数値範囲はその端点を含む。
また、後述するとおり、本発明においては原紙中に染料を含有させて色相を調整できるが、この場合は、原紙層以外の印刷用紙の層に含有される紫・青色顔料の合計量は、0.4mg〜2.5mg/mであることが好ましく、0.5〜2.0mg/mがより好ましい。
[色材(染料)]
本発明では、青色、紫色、または赤色染料を使用できる。青色の染料としては、例えば、アイゼンベーシックバイオレット64保土谷化学工業(株)社製などが挙げられ、赤色の染料としては、例えば、アストラフロキシンGリキッドケミラ社製などが挙げられる(いずれも塩基性染料)。
染料には直接染料、酸性染料、塩基性染料、建染染料、分散染料、反応染料などのタイプがあるが、セルロース系繊維に良く用いられる染料としては塩基性染料、直接染料、建染染料が挙げられる。塩基性染料は、イオン間のクーロン力、水素結合、ファン・デル・ワールス力などにより被染色物に結合し、直接染料は、水素結合、ファン・デル・ワールス力などで被染色物に結合する。中でも染着力が大きく、色調が鮮やかな塩基性染料が好ましい。塩基性染料としては、アゾ染料、ジフェニルおよびトリフェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料などが挙げられる。また、直接染料としては、ジトリジン、ジアニシジンからのアゾ染料などが挙げられる。建染染料としてはインジゴ・チオインジゴ系、アントラキノン系、フタロシアニン系に分類されものが挙げられる。
青・紫色染料は、青・紫色顔料と同様の作用により、印刷用紙の色相を特定の範囲とし、印刷用紙の表面色の見た目の白さを増強すると共に、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止する。一方、赤色染料は、若干ではあるがb値を下げる効果がある。また青色染料だけではa値がマイナス方向にシフトする、すなわち色相が緑にシフトすることがあるので、赤色染料は、これを抑制して、a値を−3以上3以下の範囲にしやすくする。
本発明においては、青色、紫色、または赤色染料を単独で使用してもよく、これらを併用してもよい。しかしながら、不透明度を高めるという観点からは、青色染料を使用することが好ましい。また、原紙層は、必要に応じて、黒、黄などの、青、赤以外の色材を含んでいてもよい。
[色材(顔料及び染料)の含有量]
色材の合計量は、各層に含まれる青色顔料および紫色顔料、並びに青色染料及び紫色染料の量を合計して求められる。例えば、印刷用紙が、原紙層、サイズプレス層からなる場合、下式によって求められる。
[色材が含有される層]
本発明の色材は、印刷用紙のいずれの層に含有されていてもよい。好ましい態様において、本発明の色材を、印刷用紙を構成する層のいずれか1層に存在させることによって、比較的簡便に印刷用紙を製造することができる。
本発明の紫色顔料、青色顔料、紫色染料、青色染料は、原紙中に含有しても良いし、サイズプレス液中に含有しても良いし、顔料塗工層を設けた印刷用紙であれば、顔料塗工層に含有しても良い。また、原紙層および/または塗工層が2層以上の場合、いずれかの層に含有しても良いし、すべての層に含有しても良い。原紙の両面に同一の層(例えば両面に設けられた塗工層)が存在する場合、1の層に色材が存在するとは、前記の両面の塗工層が色材を含むこと、あるいは両面の塗工層のうち、1の塗工層が色材を含むことをいう。
一般に印刷用紙は、必要に応じて、澱粉やポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子バインダーの水溶液(サイズプレス液)が原紙上に塗工されてクリア(透明)塗工層が設けられる。そのため、本発明の印刷用紙には、原紙の片面または両面に、クリア塗工層と顔料塗工層のいずれかまたは両方の層を設けてよい。
したがって、一つの態様において、本発明の印刷用紙は、原紙層と顔料塗工層を有する塗工紙であり、紫色顔料、青色顔料、青色染料、紫色染料のうちいずれか1種以上が、原紙層と顔料塗工層の両方または一方に存在する。また別の態様において、本発明の印刷用紙は、原紙層とクリア塗工層を有する印刷用紙であり、紫色顔料、青色顔料、青色染料、紫色染料のうちいずれか1種以上が、原紙層とクリア塗工層の両方または一方に存在する。
不透明度および白色度は紙表層あるいは紙層内部での光の反射と紙層内における吸収により影響される。JISP 8149に定められた不透明度は同一試料において、単一シート視感反射率R0の固有視感反射率R∞に対する比率で表した値であり、塗工紙のZ軸方向(厚み方向)において色材がいずこに存在していてもほとんど影響されない。一方、JISP 8148に定められた白色度は測定される反射率に変化がないように十分な枚数を重ねた試料の反射率(固有反射率)であるため、最外層に含まれる色材により影響を受ける。このため、色材が複数の層に存在する場合、最外層である塗工層に存在する色材の比率を高くすることによって効率よく本発明の効果を得ることができる。しかしながら、最外層である塗工層に色材を多く含む場合、青白さが強くなり見た目の白さが低下する場合がある。
また、原紙に含まれる脱墨パルプの割合が高い場合は、脱墨パルプに由来する機械パルプ等が多く含まれているので、印刷用紙の不透明度は高いが、色相を調整するため、本発明においては、原紙層に紫・青色顔料および/または、青色染料、紫色染料、または赤色染料などの有色染料を含有しても良い。このようにすることで、過度の青白さを抑制でき、高い不透明度と高い白色度を達成できるので好ましい。
印刷用紙の製造
本発明の印刷用紙は公知の方法により製造することができる。例えば、本発明の印刷用紙は、以下に記載する抄紙原料をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して基紙を製造することができ、次いでコーターパートにて後述する塗工液を基紙上に塗工した後、アフタードライヤーパート、カレンダーパート、リールパート、ワインダーパートなどに供して製造することができる。また、抄紙原料をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造し、その原紙上に顔料塗工層を設けたり、水溶性高分子(バインダー)をクリア塗工して製造することができる。
[原紙]
本発明の印刷用紙は少なくとも原紙層を有する。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよい。本発明の原紙が多層構造を有している場合、原紙を構成する複数の層のいずれか1層以上に色材を含有させればよい。色材を原紙層に存在させるためには、紫色顔料および/または青色顔料または、青色染料、紫色染料、または赤色染料などの有色染料を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
本発明では、原紙に青色染料、紫色染料、または赤色染料を含有させることが好ましい。これらの染料を原紙層に存在させるためには、これらの染料を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。前述のとおり、染料は繊維や顔料等に染着するので、原紙を染色しやすい。また、染料は経時による変色を引き起こすことがあるが、最内層の原紙層に染料を含有させることで、このような変色を抑制できる。さらに、本発明において多くの脱墨パルプを用いる場合、仮に染料による変色が起こっても、見た目の白色度の低下がそれほど大きくならない。原紙層は、前記染料、紫・青色顔料のいずれかを含有してもよいし、前記染料と紫・青色顔料との双方を含有してもよい。
したがって、一つの態様において本発明の印刷用紙は、原紙層が前記染料を含み、他の層が紫・青色顔料を含む印刷用紙である。また別の態様において本発明の印刷用紙は、原紙層が前記染料と紫・青色顔料とを含み、他の層が紫・青色顔料または紫・青色染料を含む印刷用である。
本発明においては、前記染料および/または紫・青色顔料によって、原紙の色相を、JISP 8150の方法による紫外線を含む測定においてb値が−0.5以上4未満、より好ましくは−0.5以上2未満に調整すると、より本発明の効果を奏しやすい。したがって、色相が上記範囲に調整された原紙、あるいは該原紙とこの原紙の上に設けられた塗工層等を含む印刷用紙は、印刷用紙における色材の使用量を低減させても、優れた白色度、不透明度を有する。
一方、色相が上記範囲外の原紙を用いる場合、所望の白色度を得るためには、塗工層等に含まれる紫・青色顔料の量を多くする必要がある。このため、銘柄抄き変え時に塗工液中の色材が配管内に残りやすくなり、操業ロスが大きくなりやすい。しかし、色相が上記範囲内の原紙を用いると、このようなことを回避できる。さらに、色相が前記範囲外の原紙を用い、主として原紙層以外の層によって所望の白色度に色相を調整する場合は、印刷用紙の青味が強くなりすぎたときに、見た目の白さの低下や白色度が低下する可能性があり調整が比較的難しいという傾向がある。しかしながら、色相が上記範囲にある原紙を用いると、このようなことを回避しやすい。
また、原紙の色相が上記範囲内の原紙であっても、b値が比較的低めの原紙を用いると塗工層等に含まれる色材の量が少なくても所望の色相を得られるため、上記操業ロスなどがより起こりにくい。
原紙層のa値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−3以上3未満が好ましく、−2以上2未満がより好ましく、−2以上1未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
原紙中の前記染料の添加量は特に限定されないが、例えば、全パルプの風乾重量を基準として、塩基性染料は10〜200重量ppmとすることができる。
[原料パルプ]
本発明で用いるパルプは特に制限されず、一般的なパルプを用いることができ、具体的には、一般的な木材パルプに加えて、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維などを使用することができる。具体的には、機械パルプ(MP)、脱墨パルプ(DIP、古紙パルプとも呼ばれる)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、紙の抄紙原料として一般的に使用されているものを好適に使用することができ、適宜、これらの1種類または2種類以上を配合して使用される。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。
一般に古紙配合率を高くすると、インキ成分などのマイナスに帯電した微細粒子が抄紙系に多く流入するが、これらのマイナスに帯電した粒子は互いに反発し合い、同じくマイナスに帯電しているパルプ繊維とも容易に結合しないため、マイナスに帯電したコロイド粒子が抄紙系内に蓄積し、カチオン性の歩留剤の効果を著しく低下させる。この点、歩留りが低下しやすいDIPを多く配合する場合に本発明を適用すると有利である。したがって、本発明の1つの態様において、パルプ原料に占めるDIPの割合は、40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。DIPとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙、コピー紙や感熱紙、ノーカーボン紙などを含むオフィス古紙を原料とするDIPなどを好適に使用することができる。脱墨パルプの重量とは、脱墨パルプの重量と脱墨パルプに付着している分離不可能な填料等の重量との合計量である。一般に、脱墨パルプを含有する紙は白色度、不透明度が低下する傾向にあるが、前述のとおり本発明においては、色材を添加し、特定の色相とすることにより、見た目の白さや裏抜けを向上させることができる。
[填料]
本発明の紙に使用される填料は、灰分が5重量%以上となるように添加されれば特に制限はないが、例えば、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、シリカ、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン、ベントナイトなどの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料;を単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。特に、本発明においては、安価でかつ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウムを填料として使用することが好ましい。また、炭酸カルシウム−シリカ複合物(例えば、特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)などの複合填料も使用可能である。酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
特に本発明においては、紙の不透明度や白色度を比較的低コストで向上させることができるため、炭酸カルシウムを内添填料として配合することが好ましい。不透明度や白色度を高めるという観点から、本発明の紙は、顔料塗工層を設けない場合、炭酸カルシウム含量が5重量%以上であることが好ましく、6重量%以上であることがより好ましく、7重量%以上であることがさらに好ましい。顔料塗工層を設けた場合は、原紙の炭酸カルシウム含量が5重量%以上であることが好ましく、6重量%以上であることがより好ましく、7重量%以上であることがさらに好ましい。
[その他添加剤]
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。製紙用薬品は、特に制限されず、種々の薬品を単独または組み合わせて用いることができる。例えば、例えば、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、ベントナイト、シリカ、サイズ剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、嵩高剤、填料、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの製紙用薬品を用いることができる。中でも、短時間で紙料との混合ができるという本発明の効果を大きく享受できる点で、製紙用薬品として歩留剤を添加することが特に好ましい。歩留剤の他、本発明の製紙用薬品として好適に使用できるものとしては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの内添乾燥紙力増強剤;ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などの内添湿潤紙力増強剤;ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;などを挙げることができる。
[抄紙方法・抄紙機]
上記のようにして製紙用薬品を混合された紙料は、ヘッドボックスに送られ、ヘッドボックスからワイヤーに噴射されて抄紙される。本発明は、種々の抄紙機や抄紙法に適用することができる。抄紙機としては例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ギャップフォーマー抄紙機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できるが、特に地合が悪化しやすいツインワイヤー抄紙機でも、本発明の効果を有意に発揮させることができる。ツインワイヤー抄紙機としては、ギャップフォーマー、オントップフォーマーなどが挙げられる。本発明の抄紙系は、特に制限されず、中性紙でも酸性紙でもよいが、本発明の紙が炭酸カルシウムを比較的多く含有する場合、中性紙であることが好ましい。具体的には、本発明においては、紙面pHが6.0〜9.0であることが好ましく、6.8〜8.0であることがより好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
[原紙の坪量]
本発明の原紙の坪量は特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点からは、低いことが好ましく、具体的には50g/m以下が好ましく、より好ましくは30〜45g/m、更に好ましくは25〜43g/mである。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いのに対して、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、原紙が低坪量であるほど、本発明の効果は顕著となる。また本発明により塗工紙を製造する場合は、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより、塗工工程の前に、予め平滑化しておいてもよい。
さらに、本発明においては、抄造した原紙に種々の表面処理を施すことができる。表面処理としては、顔料塗工やクリア塗工などの表面塗工を施すこともできるし、カレンダー処理を施すこともできる。
本発明において、原紙表面に表面処理剤を塗工する場合、例えば、プレドライヤーとアフタードライヤーの間に設置された表面塗工装置を利用することができる。塗工装置は、一般に使用されるもの用いることができ、新聞用紙用の抄紙機ではゲートロールサイズプレスなどのフィルムトランスファー型のサイズプレスが一般的に用いられ、本発明においても好ましく用いることができる。本発明においてこのような表面塗工装置を用いてクリア塗工する場合、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの表面塗工剤を紙に塗工することができる。もちろん、本発明においては、このようなクリア塗工を施さなくてもよい。
[プレカレンダー処理]
本発明においては、オンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくこともできる。
[クリア塗工]
本発明の印刷用紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。本発明においてクリア塗工とは、例えば、サイズプレス、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレス、カーテンコータ、スプレーコータなどのコータ(塗工機)を使用して、澱粉、酸化澱粉などの各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を主成分とする塗布液(表面処理液)を原紙上に塗布(サイズプレス)することをいう。
原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層に色材を含有させることができ、その場合、クリア塗工の塗工液中に色材を配合し、それを原紙上に塗工すればよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜1.0g/mが好ましく、0.2〜0.8g/mがより好ましい。
クリア塗工する表面塗工剤の種類や組成は、特に限定はないが、表面強度の強化を目的とした水溶性高分子物質としては、生澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉などの澱粉;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール;スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用する。中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉またはヒドロキシプロピル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、紙に吸水抵抗性を付与するために、前記の水溶性高分子物質の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、アルキル(メタ)アクリレート系化合物など一般的な表面サイズ剤を併用塗布することができるが、中性抄紙の場合、サイズ剤のイオン性がカチオン性であるものを塗布することが好ましい。
水溶性高分子物質と表面サイズ剤からなる表面処理剤を塗布する場合、水溶性高分子物質と表面サイズ剤との混合比率は公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。また、水溶性高分子物質および/または表面サイズ剤の塗布量も公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。
[顔料塗工]
本発明の印刷用紙は、顔料塗工により顔料塗工層を設けることもできる。本発明の印刷用紙における顔料塗工層は、単層であっても多層であってもよい。本発明の顔料塗工層が多層構造を有している場合、顔料塗工層を構成する複数の層のいずれか1層以上に紫色顔料および/または青色顔料を含有させればよい。紫色顔料および/または青色顔料を顔料塗工層に存在させるためには、紫色顔料および/または青色顔料を含有する塗料を用いて顔料塗工を行えばよい。本発明において塗工方法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。もちろん、本発明においては、このような顔料塗工を施さなくてもよい。顔料塗工を施した場合、紙の灰分は、顔料塗工層に含まれる無機物により高くなるため、本発明のある態様において、10重量%〜50重量%程度が好ましく、20重量%〜45重量%程度がより好ましい。
本発明の印刷用紙は、以上のように得られた原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を設けることができる。塗工は、原紙の表面片面でも両面でも良いが、カールしない、表裏の物性が異ならないということから、両面塗工が好ましい。
また、顔料塗工する場合、本発明の塗工層に用いる紫・青色顔料以外の顔料としては、顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料;プラスチックピグメント等の有機顔料を適宜選択して使用できる。本発明においては、これらの顔料を紫・青色顔料と区別するために「白色顔料」ということがある。
本発明で使用する接着剤(バインダー)について、特に制限はなく、例えば、好ましい接着剤として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。
接着剤としてはスチレン・ブタジエン系ラテックス、ポリビニルアルコール等の合成接着剤;澱粉類、セルロース誘導体等を便宜選択して使用できる。顔料と接着剤の割合は公用の範囲で使用することができる。
本発明で用いる塗工液には、顔料と接着剤の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤などの各種助剤を適宜使用できる。
本発明において、塗工液の調製方法は特に限定されず、コータの種類によって適宜調整
できる。ブレード方式のコータを用いる場合は、塗工液の固形分濃度は40〜70重量%
が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。塗工液粘度は60rpmで測定し
たB型粘度が500〜2000mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明においては、通常用いられるコータであればいずれを用いても良い。オンマシンコータでもオフマシンコータでも良く、オンマシンコータであれば、サイズプレスコータ、ゲートロースコータなどのロールコータ、ブレードコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのコータを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコーターでは500〜1800m/分、サイズプレスコータでは500〜3000m/分が好ましい。
本発明における塗工液の塗工量は、片面あたり固形分で2〜15g/mが好ましく、
5〜12g/mがより好ましく、5〜10g/mがさらに好ましい。本発明において
は、塗工量が少なくても、より不透明度を向上させる効果が発揮できる。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
本発明においては、紙表面にカレンダー処理を施すこともできるが、カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定はなく、金属ロールから成る通常のカレンダーやソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公用の装置を適宜選定し、品質目標値に応じて、これらの装置の制御可能な範囲内で条件を設定すればよい。
印刷用紙
[坪量]
本発明の印刷用紙の坪量は、50g/m以下が好ましい。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いが、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、本発明においては、坪量が低い領域で効果を発揮しやすい。より効果が現れやすいのは、坪量が45g/m以下の場合である。
[灰分]
本発明の印刷用紙の灰分は10重量%以上であることが好ましい。特に、灰分が12重量%以上であることが好ましく、15重量%以上がより好ましく、18重量%以上がさらに好ましい。灰分の上限は特にないが、紙の強度や操業性を考慮すると、40重量%以下であることが好ましい。
一般に灰分は、紙に含まれる無機物の量を示すため、基本的に紙中に含まれる填料の量を反映する。紙の灰分は、紙料に添加されるフレッシュな填料に由来するものと、DIP(古紙パルプ、脱墨パルプ)などのパルプ原料によって持ち込まれるもので構成される。DIPによって持ち込まれる灰分としては、炭酸カルシウムが比較的多いが、炭酸カルシウム以外の無機成分も含まれ、炭酸カルシウムと他の無機成分との割合は、新聞古紙や雑誌古紙などの古紙の種類や回収状況などによって異なる。本発明において灰分は、JISP 8251に規定される紙および板紙の灰分試験方法に準拠し、燃焼温度を525±25℃に設定した方法で測定される。
印刷用紙の灰分が5重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがある。
[色相]
本発明の印刷用紙の色相は、JIS P8150に規定される紫外線を含む測定においてb値が−0.5以上4未満であるが、b値が−0.5以上2未満であることがより好ましい。このようにb値を比較的低くすることによって、印刷用紙の見た目の白さを増強できるとともに、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。また、同測定におけるa値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−3以上3未満が好ましく、−2以上2未満がより好ましく、−2以上1未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
[白色度]
本発明の印刷用紙の白色度は50%以上が好ましく、54%以上がより好ましい。
[密度]
本発明の印刷用紙の密度は0.70g/cm未満が好ましく、0.65g/cm未満がより好ましい。
以下に新聞印刷用紙に関する実施例および比較例をあげて本発明をより詳細に説明するが、当然ながら、本発明は実施例のみに限定されない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[品質評価方法]
以下に記載する品質評価方法で、本発明の印刷用紙の品質を評価した。
(1)色相測定方法(a*、b*):JIS P8150に準拠し、村上色彩(株)社製
色差計CMS−35SPXにて、原紙または印刷用紙のフェルト面を紫外光を含む光源にて測定した。
(2)ISO白色度測定方法:JIS P8148に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(3)不透明度測定方法:JIS P8149に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて測定した。
(4)灰分測定方法:JIS P8251に準拠して測定した。
(5)坪量:JIS P8124:1998(ISO536:1995)に従った。
(6)見た目の白さ:印刷用紙表面の白さを室内蛍光灯照明下で目視にて評価した。色の白さについては白色度が必ずしも人の目で見たときの白さと相関しているわけではないためである。目視の評価は4段階とした。◎:とても白い、○:白い、△:ややくすんで見える、あるいはやや黄ばんで見える、×:くすんで見える、あるいは黄ばんで見える。
(7)印刷時の裏抜け:オフセット輪転機で片面に墨ベタ印刷を施した印刷用紙を、印刷裏側から観察し、裏抜けを目視にて評価した。目視の評価は4段階とした。◎:裏の印刷部が殆ど認識できない、○:裏の印刷部が目立たない、△:印刷部がやや目立つ、×:印刷部が目立ち、裏面の画質或いは見た目を劣化させている。
また、本発明の印刷用紙について上記以外の品質項目も測定した。
[色材]
材料使用した色材は以下の通りである。
・青色顔料(EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製)
・紫色顔料(SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製)
・黒色顔料(SAブラックA035 御国色素(株)社製)
・青色染料(アイゼンベーシックバイオレット64 保土谷化学工業社製)
・赤色染料(アストラフロキシンGリキッド ケミラ社製)
[実施例1]
DIP(濾水度200ml)80部、TMP(濾水度100ml)15部、及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、濾水度600ml)5部を混合離解して調製したパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを灰分が15%となるように添加し、対パルプ固形分2%の硫酸バンド、表1に示す色材を添加して紙料を調製した。なお、濾水度はカナダ標準濾水度(CSF)を表す。
この紙料をモジュールジェット型ヘッドボックスに送り、ヘッドボックスからツインワイヤー型の抄紙ワイヤー上に紙料を噴射して、抄紙速度1250m/分で、坪量42g/mとなるように中性抄紙により新聞用紙原紙を製造した。
この原紙にゲートロールコーターを用いて、ヒドロキシエチル化澱粉、および表1に示す色材を含有するサイズプレス塗工液をフェルト面、ワイヤー面の両面に均等に0.5g/mずつ塗工して、高温ソフトニップカレンダーにてベック平滑度が30秒程度となるよう処理し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
[実施例2]
サイズプレス塗工液に色材として紫色顔料をヒドロキシエチル化澱粉に対し、0.03重量部添加した以外は実施例1と同様に製造し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
[比較例1]
パルプスラリーに添加する色材を表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様に製造し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
表1から明らかなように、青色、紫色顔料、青色染料、紫色染料を1種類以上含有する本発明の印刷用紙は、高い白色度と高い不透明度を併せ持ち、印刷時、特にオフセット印刷時の裏抜けが目立たず、色彩再現幅が広い、優れた新聞印刷用紙である。一方、色相が本発明の範囲を満たさない比較例は、見た目の白さ、印刷時の裏抜け等の点で本発明の実施例に劣っていた。

Claims (12)

  1. 紫色顔料、青色顔料、紫色染料、および青色染料から選ばれるひとつ以上の色材を含有する印刷用紙であって、
    印刷用紙のJIS P8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定において 値が−3以上3未満、値が−0.5以上4未満であり、
    白色度が50%以上であり、
    灰分が10重量%以上であり、
    填料として炭酸カルシウムを5重量%以上含む、
    印刷用紙。
  2. 前記印刷用紙が新聞印刷用紙である、請求項1記載の印刷用紙。
  3. 前記印刷用紙の坪量が50g/m以下である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  4. 前記原紙層が青色染料、紫色染料、または赤色染料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  5. 前記印刷用紙が少なくとも原紙層とクリア塗工層とを有する印刷用紙である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  6. 前記印刷用紙が少なくとも原紙層と顔料塗工層とを有する印刷用紙である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  7. 前記クリア塗工層または顔料塗工層に、紫色顔料および/または青色顔料を含有する、請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  8. 前記クリア塗工層に、紫色染料および/または青色染料を含有する、請求項5に記載の印刷用紙。
  9. 印刷用紙のJIS P8251の方法によって測定される紙中灰分が12重量%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  10. 印刷用紙のJIS P8251の方法によって測定される紙中灰分が40重量%以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  11. パルプ原料中のDIPの割合が40重量%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  12. 填料として炭酸カルシウムを6重量%以上含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷用紙。
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