JP2012211415A - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙および1以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、前記塗工層の少なくとも1を、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して形成する工程を含む製造方法で、不透明度が85%以上、かつJIS P 8150の方法に従い紫外線を含む測定において測定されるa*値およびb*値が、a*値:0以上7未満、b*値:−15以上−3未満である印刷用塗工紙を製造する。
【選択図】図1
Description
特に、輸送および郵送のコスト削減等の観点から注目されている低坪量の印刷用塗工紙においては、高い白色度と不透明性を両立することが極めて困難であり、特に薄物で印刷した場合の裏抜けが問題となっている。
白色度と不透明度の両立を達成するための方法として、屈折率の高い酸化チタンを内外添する、中空プラスチックピグメントを塗工層に配合するなどして塗工層に適度なサイズの空隙を設ける、またこれらを組み合わせるなどの方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらの方法に用いられる原料はいずれも高価であり、コスト高になるという問題がある。
原紙および1以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、前記塗工層の少なくとも1を、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して形成する工程を含む、不透明度が85%以上、かつ JIS P 8150の方法に従い紫外線を含む測定において測定されるa*値およびb*値が、a*値:0以上7未満、b*値:−15以上−3未満である、印刷用塗工紙の製造方法、により解決される。
本発明で製造された印刷用塗工紙は色材を含有するカーテン塗工層を備える。本発明においては、例えば、印刷用塗工紙を構成するカーテン塗工層のいずれか1層に後述する色材を存在させることができる。この場合、比較的簡便に印刷用塗工紙を製造できるという利点がある。カーテン塗工層が2層以上の場合、色材はいずれかの層に含まれていてもよいし、すべての層に含まれていてもよい。
1.製造方法
本発明の製造方法は、原紙および1以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して前記塗工層の少なくとも1を形成する工程を含む。すなわち本発明においては、1層の塗工層を有する印刷用塗工紙を製造する場合、前記塗工液を用いてカーテン塗工により当該層を形成する。また、複数層の塗工層を有する印刷用塗工紙の場合、前記塗工液を用いてカーテン塗工により1層以上を形成する。この場合、その余の層は前記色材を含まない塗工液でカーテン塗工して形成してもよく、あるいは前記色材を含むまたは含まない塗工液を用いてカーテン塗工以外の塗工方式で形成してもよい。前述のとおり、本発明においては、色材を含む塗工液でカーテン塗工して最外層を形成することが好ましいので、以下、このようなカーテン塗工により形成された最外層について詳述する。なお、紫色顔料および青色顔料以外の顔料(以下「白色顔料」ともいう)を含む塗工液で形成されたカーテン塗工層を顔料塗工層、白色顔料を含まない塗工液で形成されたカーテン塗工層をクリア塗工層ということがある。
本発明においては、特定の色材を含むカーテン塗工液を用いる。塗工液とは溶媒としての水と接着剤(バインダー)と白色顔料を含む液である。以下、カーテン塗工液の各成分について説明する。
色材とは、白色以外の有色の顔料または染料をいう。本発明では、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を用いる。顔料とは、水や油や有機溶剤などに不溶または難溶性または分散状態で存在する白色あるいは有色の粉体であり、無機顔料と有機顔料がある。本発明においては、前記色材として、無機顔料、有機顔料のいずれを用いてもよい。染料とは、可視光線を選択吸収または反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により繊維や顔料等に染着する有機色素をいう。染料は溶媒(水や有機溶剤など)に可溶である。本発明においては、染料を併用してもよい。本発明において、「青色色材および/または紫色色材を使用する」とは、青色色材と紫色色材の双方を使用する場合、あるいは青色色材と紫色色材のいずれか一方を使用する場合をいう。また、本発明において「青色色材および/または紫色色材」を「青色・紫色色材」と表記することがある。
本発明で使用する接着剤(バインダー)は特に制限されず、塗工紙に従来から用いられている接着剤を使用できる。例えば、好ましい接着剤として、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用できる。
カーテン塗工液は、重量平均分子量400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤を含むことが好ましい。以下、この粘性改良剤を「W/O型エマルション粘性改良剤」ともいう。粘性改良剤とは系の粘度を変化させるために用いる薬剤である。
W/O型エマルション粘性改良剤においては、共重合体が分散相である水相内に閉じ込められた状態で存在するため、分子鎖が広がらず分子鎖同士の絡み合いが少ない。このため、前述したような非常に高い分子量の共重合体を含んでいても、粘性改良剤自体の粘性は高すぎず、取り扱い性に優れる。しかし、W/O型エマルション粘性改良剤は、水と混合されて塗工液とされると、分散相であった水相が連続相となる転相が生じ、共重合体の分子鎖が広がって絡み合いを起こすために増粘効果を発現する。
本発明で用いる青色・紫色顔料以外の顔料(白色顔料)の種類は、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができる。例えば、微粒カオリン、2級カオリン、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー等のカオリン類、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単用または併用できる。
扁平率の数値が高いほど顔料の扁平度が高く、扁平率の数値が1に近いほど顔料が完全球体に近いことを意味する。扁平率が2.0以下の顔料を用いると塗工紙品質が良好になる理由の詳細は明らかでないが、以下のように推察される。非接触式の塗工方式であるカーテン塗工は、接触式の塗工方式と比較して、扁平な顔料を使用した場合に顔料が原紙の進行方向へ配向しづらい傾向がある。そのため、扁平な顔料を多く使用すると顔料が規則的に配向できず、塗工紙表面の平滑性が低下し、また、塗工層の空隙が多くなり、印刷時におけるインキの浸透が激しくなり、印刷光沢度が低下すると考えられる。ただし、本発明はこの考察に拘束されない。
式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である。
(5)界面活性剤
本発明で用いるカーテン塗工液は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤はカーテン膜の幅方向のプロファイルを均一にする、および塗工液の原紙への濡れ性を高める等によりカーテン塗工によるクレーターの発生を抑制する。界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が存在するが、本発明においてはアニオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤は塗工液中の白色顔料を凝集させやすくなる。また、ノニオン性界面活性剤は塗工液に十分な濡れ性を与えにくい。アニオン性界面活性剤の例には、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤が含まれる。これらの中でも、塗工液の濡れ性をより良好とできるため、スルホン酸系界面活性剤が好ましく、特にアルキルスルホコハク酸が好ましい。上記アニオン性界面活性剤の添加量は、白色顔料100重量部当たり0.05〜2重量部、より好ましくは0.2〜1重量部程度の範囲で使用される。0.05重量%より少ないと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となることがある。また前記添加量が2重量部より多いと、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が悪化することがある。上記の界面活性剤は単独で使用できるが、二種以上を併用してもよい。
本発明で用いるカーテン塗工液は、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙に配合される各種助剤を適宜使用できる。
本発明で用いるカーテン塗工液の粘度および破断時間等の特性は、塗工液の固形分濃度や前述の粘性改良剤の量によって調整できる。前者の場合、固形分濃度を高くすると塗工液中の顔料粒子やその他の配合物の間に相互作用が生じやすくなり塗工液の破断時間を長くできる。塗工液の固形分濃度が高いと塗工紙の印刷品質も向上する。後者の場合は既に説明したとおりである。
具体的に動的表面張力は、プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間(ライフタイム)を変化させながら、各ライフタイムにおける動的表面張力を測定する。このように短時間における動的表面張力を測定することで、流動または攪拌状態にある液体の濡れ性が評価できる。つまり、ライフタイムが短いほどより流動状態に近い、ごく初期の状態における動的表面張力が測定できる。本発明においては、測定精度の観点から、ライフタイムを100msとした場合における表面張力の値を動的表面張力とすることが好ましい。この動的表面張力は自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)等用いて測定することができる。
(1)カーテン塗工
本発明においてカーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、塗工液を原紙に塗布した後、ブレード等により過剰な塗工液を掻き落して所望の塗工量に仕上げるブレード塗工とは異なり、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工である。このため、前記色材を含有する嵩高い塗工層を形成でき、不透明度および白色度が極めて高い印刷用塗工紙を製造できる。また、カーテン塗工はいわゆる前計量方式であるため塗工量の制御も容易である。さらにカーテン塗工は、ブレード塗工等の接触式塗工方式とは異なり、非接触式塗工方式であるので、原紙にかかる負荷が小さく、断紙を抑制できるので、生産性にも優れる。
本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよい。本発明の原紙が多層構造を有している場合、原紙を構成する複数の層のいずれか1層以上に前記色材を含有させてもよい。色材を原紙層に存在させるためには、色材を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
本発明の原紙に用いるパルプ原料として、化学パルプを使用できる。化学パルプ以外にも、用途に応じて各種パルプを使用できる。このようなパルプの例として、脱墨パルプ(DIP)、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用できる。また、本発明において脱墨パルプを使用する場合は、上質紙を中心に選別した高白色度のパルプを配合することが好ましい。
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用できる。例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用または併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分重量%が好ましく、10〜35固形分重量%がさらに好ましい。
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いることができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
本発明の原紙の坪量は、特に限定されず、最終製品とする印刷用塗工紙の坪量により適宜選択される。70g/m2以下の坪量を有する印刷用塗工紙(以下「低坪量の印刷用塗工紙」ともいう)の場合、原紙の坪量は60g/m2以下が好ましく、より好ましくは20〜60g/m2、更に好ましくは20〜40g/m2である。一般に坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。
一方、70g/m2より高い坪量を有する印刷用塗工紙(以下「高坪量の印刷用塗工紙」の場合、原紙の坪量は、30g/m2〜200g/m2が好ましく、40g/m2〜130g/m2がより好ましい。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法は制限されない。例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いられる。
本発明で製造される印刷用塗工紙は、マット調であってもグロス調であってもよい。
(1)坪量
本発明で製造される印刷用塗工紙の坪量は特に限定されない。坪量が70g/m2以下の場合において本願の効果である高白色度、高不透明度を発揮しやすい。このように坪量が低いと、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。本発明において、より効果が現れやすいのは坪量が60g/m2以下の場合である。
本発明で製造された印刷用塗工紙の色相は、JIS P 8150に規定される紫外線を含む測定においてa*値が0以上7未満かつb*値が−15以上−3未満である。a*値が0以上5未満かつb*値が−10以上−5未満であることがより好ましく、a*値が0以上5未満かつb*値が−9以上−5未満であることがさらに好ましい。このようにb*を比較的低くすることによって、印刷用塗工紙の見た目の白さを増強できるとともに、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。
本発明で製造された印刷用塗工紙の紙中灰分は30重量%以上であることが好ましい。印刷用塗工紙の灰分が30重量%より少ないと不透明度が十分に向上しない。
本発明で製造された印刷用塗工紙は、蛍光増白強度が5.5以下であっても十分な白色度を得ることができるが、白色度を向上させる観点から蛍光増白強度は4.0以上であることが好ましい。また、本発明で製造された印刷用塗工紙の不透明度は85%以上である。
本発明においては、比較的嵩高いカーテン塗工層を形成でき、このことにより白色度および不透明度をより一層高めることができる。本発明により製造される印刷用塗工紙の密度は、1.0〜1.2g/cm3が好ましい。
[品質評価方法]
(1)坪量:JIS P8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
(2)密度:JIS P8118「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(3)色相(a*、b*):JIS P8150に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(4)ISO白色度測定方法:JIS P8148に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(5)不透明度:JIS P8149に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて測定した。
(6)見た目の白さ:印刷用塗工紙表面の白さを室内蛍光灯照明下で目視にて評価した。色の白さについては白色度が必ずしも人の目で見たときの白さと相関しているわけではないためである。目視の評価は4段階とした。◎:とても白い、○:白い、△:ややくすんで見える、あるいはやや黄ばんで見える、×:くすんで見える、あるいは黄ばんで見える。
(7)印刷時の裏抜け:オフセット輪転機で片面に墨ベタ印刷を施した印刷用塗工紙を、印刷裏側から観察し、裏抜けを目視にて評価した。目視の評価は4段階とした。◎:裏の印刷部が殆ど認識できない、○:裏の印刷部が目立たない、△:印刷部がやや目立つ、×:印刷部が目立ち、裏面の画質或いは見た目を劣化させている。
(8)破断時間:サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)を用い、1)前記粘度計の同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレート間(ギャップ1mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを400mm/秒の速度で8mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定した。
(9)動的表面張力:自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)を用いて、塗工液中に挿したプローブ(細管)から気泡を連続的に発生させたときの最大圧力(最大泡圧)を最大泡圧法により測定し、表面張力を求めた。具体的には、ライフタイム(プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間)が100msである場合の表面張力の値を動的表面張力とした。
(10)クレーター発生の程度:塩化アンモニウムを2.5重量%、イソプロピルアルコールを47.5重量%含む水溶液に塗工紙を浸し、過剰な溶液をウェスでふき取った後に自然乾燥させ、200℃に熱した乾燥機に入れて30分間燃焼させた。その後、画像解析装置により白く残った塗工層と、黒く炭化した原紙(パルプ繊維)の割合よりクレーターの発生状況を確認し、印刷用塗工紙としての品質を備えているかを判断した。評価は目視により行い、その基準は以下のとおりとした。
◎:クレーターが全くない、○:クレーターがほとんどない(1個〜2個/cm2)、△:クレーターが少ない(3〜10個/cm2)、×:クレーターが多い(11個〜100個/cm2)
(実施例1)
[紙料の調製]
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を90%、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を10%含有するパルプスラリーを調成し、填料として、軽質炭酸カルシウムを15%添加し、内填紙力剤として、カチオン性紙力増強剤を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。
酸化澱粉(日本コーンスターチ(株)製SK−20)を90℃の水で30分間蒸煮し、その後冷水で希釈し、固形分濃度が8重量%のサイズプレス液を得た。
白色顔料として、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97 ファイマテック社製、扁平率1.0)70部、微粒カオリン(CaMin社製、ハイドラグロス)30部からなる白色顔料100重量部に対し、モノマー組成が主にスチレンおよびブタジエンである合成高分子ラテックス10部、リン酸エステル化澱粉(日本食品化工(株)製、スターコート#16)2部、蛍光染料(ケミラジャパン(株)社製、BLANKOPHOR NCC LIQUID )4部、アニオン性界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol 291PG)0.2部、青色顔料(EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製)0.003部、紫色顔料(SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製)0.01部を添加し、固形分濃度68重量%の塗工液を得た。塗工液のB型粘度は1000mPa・s、動的表面張力は35mN/mであった。
上記の紙料を用いて、ツインワイヤーを有する抄紙機で抄紙して、坪量40.8g/m2の原紙を得た。
上記の原紙に対し、ゲートロールコーターにて片面あたり0.5g/m2になるように、両面にサイズプレスして乾燥し、坪量41.8g/m2の原紙を得た。
上記のサイズプレス塗布原紙に対し、上記の顔料塗工液をカーテンコーターにて片面あたり8.0g/m2塗工し、57.8g/m2の塗工紙を得た。
上記の塗工紙を、高温ソフトニップカレンダで4ニップ、最高処理温度200℃、最高処理線圧250kN/mの条件で表面処理して印刷用塗工紙を得た。印刷用塗工紙の灰分は36.9%、蛍光増白強度は4.7%であった。
実施例1において、顔料塗工液にさらに粘性改良材として、平均分子量が2000万であるポリカルボン酸系共重合体のW/Oエマルジョン(ソマール社製、ソマレックス530)を白色顔料100重量部あたり0.2部添加し、水で希釈して固形分濃度62%の塗工液とし、抄紙からカレンダー処理までの速度を1200m/minに変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液のB型粘度は1000mPa・sであった。
実施例1において、顔料塗工液に青顔料、紫顔料のいずれも添加しない以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
実施例1において、顔料塗工液に界面活性剤を添加せず、顔料塗工液を塗工する際のコーターをカーテンコーターからブレードコーターに変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の動的表面張力は55mN/mであった。
(実施例3)
実施例1において、原紙の坪量を41.1g/m2に変更し、さらに顔料塗工液の塗工量を片面あたり13.5g/m2に変更し、71.1g/m2の塗工紙を得た以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。印刷用紙の灰分は42.1%、蛍光増白強度は4.7%であった。
実施例3において、顔料塗工液にさらに粘性改良材として、平均分子量が2000万であるポリカルボン酸系共重合体のW/Oエマルジョン(ソマール社製、ソマレックス530)を白色顔料100重量部あたり0.2部添加し、水で希釈して固形分濃度62%の塗工液とし、抄紙からカレンダー処理までの速度を1200m/minに変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液のB型粘度は1000mPa・sであった。
実施例3において、顔料塗工液に青顔料、紫顔料のいずれも添加しない以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
実施例3において、顔料塗工液に界面活性剤を添加せず、顔料塗工液を塗工する際のコーターをカーテンコーターからブレードコーターに変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の動的表面張力は55mN/mであった。
一方、比較例3では、塗工液中に青顔料および紫顔料を添加せず、印刷用紙の色相が適切な範囲外であるため、実施例3に比べ白色度はやや高いが不透明度が大きく劣り、見た目の白さも低下し、かつ印刷時の裏抜けについても顕著となった。また、比較例4では、実施例3においてカーテン塗工からブレード塗工に変更したため、クレーターは発生しなかったが、塗工層の光散乱性が低下したため、不透明度、白色度ともに低下した。
Claims (8)
- 原紙および1層以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、
紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して前記塗工層の少なくとも1層を形成する工程を含む、
不透明度が85%以上、かつ JIS P 8150の方法に従い紫外線を含む測定において測定されるa*値およびb*値が、a*値:0以上7未満、b*値:−15以上−3未満である、印刷用塗工紙の製造方法。 - 前記色材を含有する層が、最外層のカーテン塗工層である、請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記最外層のカーテン塗工層が、扁平率が2.0以下の白色顔料を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記塗工液が粘性改良剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記粘性改良剤が、重量平均分子量が400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤である、請求項4に記載の製造方法。
- 前記塗工液の破断時間が200ms以上であり、かつ30℃におけるB型粘度が500〜3000mPa・sである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 前記印刷用塗工紙の坪量が70g/m2以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記原紙における原料パルプ中の化学パルプの含有量が60重量%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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- 2011-03-31 JP JP2011077797A patent/JP2012211415A/ja active Pending
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