JP5843835B2 - 印刷用紙 - Google Patents
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Description
これまで、白色度と不透明度の両立を求める場合、屈折率の高い酸化チタンを内外添する、中空プラスチックピグメントを塗工層に配合するなどして塗工層に適度なサイズの空隙を設ける、またこれらを組み合わせるなどの方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、いずれも高価な原料であり、コスト高になる問題がある。
(1)紫色顔料および/または青色顔料を含有する印刷用紙であって、印刷用紙のJIS
P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb*値が−10以上−0.5未満である、印刷用紙。
(2)原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として
60重量%以上である、(1)に記載の印刷用紙。
(3)前記顔料の含有量が0.4〜3.5mg/m2である、(1)または(2)に記載の印刷用紙。
(4)前記印刷用紙の不透明度が、90%以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷用紙。
(5)記印刷用紙の坪量が70g/m2以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の印刷用紙。
(6)原紙層が青色、紫色、または赤色染料を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の印刷用紙。
(7)前記印刷用紙が、少なくとも原紙層と顔料塗工層とを有する塗工紙である、(1)〜(6)のいずれかに記載の印刷用紙。
(8)前記顔料塗工層が、紫色顔料および青色顔料を除く顔料100重量部に対して、重質炭酸カルシウムを75重量部以上含有する、(7)に記載の印刷用紙。
本発明においては、印刷用紙に、紫色顔料および/または青色顔料を含有させる。本発明において色材とは、白色以外の有色の顔料または染料をいう。顔料とは、水や油や有機溶剤などに不溶または難溶性または分散状態で存在する白色あるいは有色の粉体であり、無機と有機のものがある。本発明においては、無機、有機いずれのものでも良い。染料とは、可視光線を選択吸収または反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により繊維や顔料等に染着するものをいい、溶媒(水や有機溶剤など)に可溶である。本発明においては、染料を併用してもよいが、耐光性に優れ、紙の経時による変色・着色を防止するという観点から紫色顔料および/または青色顔料を使用する。
本発明における紫色顔料および/または青色顔料の含有量は特に限定されないが、これらの顔料の合計が、印刷用紙1m2あたり、0.4〜3.5mgであることが好ましく、0.9mg〜3.0mgであることがより好ましい。一般に、前記量が0.4mgより少ないと、顔料による光の吸収が少ないため、不透明度に寄与する隠蔽性が不足するので好ましくない。また、一般に、前記量が3.5mgより多いと、顔料による光の吸収量が多く、不透明度向上に大きく寄与するものの、色相が0点から大きく外れ、白色とは感じられなくなるため、好ましくない。顔料の含有量は、上記範囲内で、原料あるいは原紙などの白色度により適宜調節できる。本発明において数値範囲はその端点を含む。
本発明の紫・青色顔料は、印刷用紙のいずれの層に含有されていてもよい。好ましい態様において、本発明の顔料を印刷用紙を構成する層のいずれか1層に存在させることによって、比較的簡便に印刷用紙を製造することができる。
プ等が多く含まれているので、印刷用紙の不透明度は高いが、そのままでは黄ばんだ色となってしまう。このため、本発明においては、他の層よりも原紙層に存在する紫・青色顔料の比率を高くする、あるいは原紙層にのみ紫・青色顔料を存在させることが好ましい。このようにすることで、過度の青白さを抑制でき、また機械パルプを多く含むことに起因する、黄ばんだ色を効率的に抑制することができ、高い不透明度と高い白色度を達成できるので好ましい。後述するとおり、原紙層にまたは紫・青等の染料を含有させることによっても同様の効果が得られる。
本発明の印刷用紙は公知の方法により製造することができる。例えば、本発明の印刷用塗工紙は、以下に記載する抄紙原料をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して基紙を製造することができ、次いでコーターパートにて後述する塗工液を基紙上に塗工した後、アフタードライヤーパート、カレンダーパート、リールパート、ワインダーパートなどに供して製造することができる。また、印刷用非塗工紙の場合、抄紙原料をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造し、その原紙上に水溶性高分子(バインダー)をクリア塗工して製造することができる。
本発明の印刷用紙は少なくとも原紙層を有する。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよい。本発明の原紙が多層構造を有している場合、原紙を構成する複数の層のいずれか1層以上に紫色顔料および/または青色顔料を含有させればよい。紫色顔料および/または青色顔料を原紙層に存在させるためには、紫色顔料および/または青色顔料を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
本発明においては、前記染料および/または紫・青色顔料によって、原紙の色相を、JIS P 8150の方法による紫外線を含む測定においてb*値が−10以上−0.5未満、より好ましくは−3.0以上−0.5未満に調整すると、より本発明の効果を奏しやすい。したがって、色相が上記範囲に調整された原紙とこの原紙の上に設けられた塗工層等を含む印刷用紙は、印刷用紙における紫・青色顔料の使用量を低減させても、優れた白色度、不透明度を有する。
中の顔料が配管内に残りやすくなり、操業ロスが大きくなりやすい。しかし、色相が上記範囲内の原紙を用いると、このようなことを回避できる。さらに、色相が前記範囲外の原紙を用い、主として原紙層以外の層によって所望の白色度に色相を調整する場合は、印刷用紙の青味が強くなりすぎたときに、見た目の白さの低下や白色度が低下する可能性があり調整が比較的難しいという傾向がある。しかしながら、色相が上記範囲にある原紙を用いると、このようなことを回避しやすい。
染料には直接染料、酸性染料、塩基性染料、建染染料、分散染料、反応染料などのタイプがあるが、セルロース系繊維に良く用いられる染料としては塩基性染料、直接染料、建染染料が挙げられる。塩基性染料は、イオン間のクーロン力、水素結合、ファン・デル・ワールス力などにより被染色物に結合し、直接染料は、水素結合、ファン・デル・ワールス力などで被染色物に結合する。中でも染着力が大きく、色調が鮮やかな塩基性染料が好ましい。塩基性染料としては、アゾ染料、ジフェニルおよびトリフェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料などが挙げられる。また、直接染料としては、ジトリジン、ジアニシジンからのアゾ染料などが挙げられる。建染染料としてはインジゴ・チオインジゴ系、アントラキノン系、フタロシアニン系に分類されものが挙げられる。
本発明の原紙の原料となるパルプは特に限定されない。例えば、化学パルプ、砕木パル
プ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ法により製造したものと、亜硫酸パルプ法により製造されたものがあり、本発明においてはその両方を使用することができるが、クラフト法により製造した化学パルプ(以下、本明細書において、単にクラフトパルプ、ということがある)が生産コストの面から好適である。一般に化学パルプは、その製造過程において木材由来成分のリグニンを除去していることから、パルプの白色度が高いが、その反面、製造した紙の不透明度が低くなる傾向があり、特に化学パルプを使用した低坪量の印刷用紙では不透明度を向上させることが大きな課題であったところ、本発明によれば、不透明度を向上させることができる。
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用または併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分重量%が好ましく、10〜35固形分重量%がさらに好ましい。
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
本発明の原紙の坪量は特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点からは、低いことが好ましく、具体的には60g/m2以下が好ましく、より好ましくは20〜60g/m2、更に好ましくは20〜40g/m2である。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いのに対して、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、原紙が低坪量であるほど、本発明の効果は顕著となる。また本発明により塗工紙を製造する場合は、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより、塗工工程の前に、予め平滑化しておいてもよい。
本発明の印刷用紙の原紙の紙中灰分は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上である。印刷用紙の原紙の紙中灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しない。
本発明の印刷用紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層に紫色顔料および/または青色顔料を含有させることができ、その場合、クリア塗工の塗工液中に紫色顔料および/または青色顔料を配合し、それを原紙上に塗工すればよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜1.0g/m2が好ましく、0.2〜0.8g/m2がより好ましい。
本発明の印刷用紙は、顔料塗工により顔料塗工層を設けて塗工紙とすることもできる。本発明の印刷用紙における顔料塗工層は、単層であっても多層であってもよいが、低坪量の印刷用紙を得る観点から、単層が好ましい。本発明の顔料塗工層が多層構造を有している場合、顔料塗工層を構成する複数の層のいずれか1層以上に紫色顔料および/または青色顔料を含有させればよい。紫色顔料および/または青色顔料を顔料塗工層に存在させるためには、紫色顔料および/または青色顔料を含有する塗料を用いて顔料塗工を行えばよい。本発明において塗工方法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
本発明においては、オンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどによ
り塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは20〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
本発明の印刷用塗工紙は、以上のように得られた原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を設けることができる。塗工は、原紙の表面片面でも両面でも良いが、カールしない、表裏の物性が異ならないということから、両面塗工が好ましい。
本発明の塗工層に用いる紫・青色顔料以外の顔料としては、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができる。例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。本発明においては、これらの顔料を紫・青色顔料と区別するために「白色顔料」ということがある。また、顔料の種類としては、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましい。本発明の印刷用紙が脱墨パルプを含む場合、脱墨パルプ由来の填料により不透明度が比較的高い。したがって、このような場合は白色顔料として、より高い白色度を与えられる重質炭酸カルシウムを用いることが特に好ましい。塗工液に重質炭酸カルシウムを配合する場合、その含有量は、白色顔料100重量部あたり50重量部以上が好ましく、75重量部以上がより好ましく、80重量以上がさらに好ましい。また、原紙上に均一な塗工層を形成させる観点の点から平均粒子径は、Malvern社製Mastersizer Sなどのレーザー回折式粒度分布測定機で測定した値で0.2〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
本発明で使用する接着剤(バインダー)について、特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用することができる。例えば、好ましい接着剤として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。
本発明において、塗工液の調製方法は特に限定されず、コータの種類によって適宜調整できる。ブレード方式のコータを用いる場合は、塗工液の固形分濃度は40〜70重量%が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。塗工液粘度は60rpmで測定したB型粘度が500〜2000mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明においては、通常用いられるコータであればいずれを用いても良い。オンマシンコータでもオフマシンコータでも良く、オンマシンコータであれば、サイズプレスコータ、ゲートロースコータなどのロールコータ、ビルブレイドコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのコータを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコーターでは500〜1800m/分、サイズプレスコータでは500〜3000m/分が好ましい。
本発明における塗工液の塗工量は、片面あたり固形分で2〜15g/m2が好ましく、5〜12g/m2がより好ましく、5〜10g/m2がさらに好ましい。本発明においては、塗工量が少なくても、より不透明度を向上させる効果が発揮できる。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
本発明においては、以上のように製造した紙を必要に応じて表面処理する。好ましい態様において、本発明の印刷用紙は、スーパーカレンダーや高温ソフトニップカレンダー等のカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、印刷用紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。本発明においては、ソフトニップカレンダー処理が好ましい。ソフトニップカレンダー処理をすることにより、白色度、不透明度共に向上する。ソフトニップカレンダー処理において、金属ロールの表面温度が20℃〜60℃の線圧は、30〜60kN/m、より好ましくは、40〜60kN/mである。また、金属ロールの表面温度が40℃〜250℃の高温ソフトニップカレンダー処理であれば、線圧は60〜400kN/m、好ましくは、150〜300kN/m、より好ましくは100〜350kN/mである。温度を上げると、塗工紙の表面の光沢、平滑度が向上する。
[坪量]
本発明の印刷用紙の坪量は、特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点から、70g/m2以下が好ましい。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いが、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、本発明においては、坪量が低い領域で効果を発揮しやすい。より効果が現れやすいのは、坪量が60g/m2以下の場合である。
本発明の印刷用紙の紙中灰分は、非塗工紙の場合、10重量%以上であることが好ましく、塗工紙の場合、30重量%以上であることが好ましい。印刷用紙の灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがある。
本発明の印刷用紙の色相は、JIS P 8150に規定される紫外線を含む測定においてb*値が−15以上−0.5未満であるが、b*値が−6以上−1未満であることがより好ましい。このようにb*値を比較的低くすることによって、印刷用紙の見た目の白さを増強できるとともに、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。また、同測定におけるa*値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−1以上7未満が好ましく、−1以上5未満がより好ましく、−1以上3未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
本発明の印刷用紙は、蛍光増白強度が5.5以下であっても十分な白色度を得ることができるが、白色度を向上させる観点から蛍光増白強度は1.0以上であることが好ましい。
本発明の印刷用紙の不透明度は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
以下に記載する品質評価方法で、本発明の印刷用紙の品質を評価した。
(1)色相測定方法(a*、b*):JIS P8150に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、原紙または印刷用紙のフェルト面を紫外光を含む光源にて測定した。
(2)ISO白色度測定方法:JIS P8148に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(3)不透明度測定方法:JIS P8149に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて測定した。
(4)灰分測定方法:JIS P8251に準拠して測定した。
(5)見た目の白さ:印刷用紙表面の白さを室内蛍光灯照明下で目視にて評価した。色の白さについては白色度が必ずしも人の目で見たときの白さと相関しているわけではないためである。目視の評価は4段階とした。◎:とても白い、○:白い、△:ややくすんで見える、あるいはやや黄ばんで見える、×:くすんで見える、あるいは黄ばんで見える。
(6)印刷時の裏抜け:オフセット輪転機で片面に墨ベタ印刷を施した印刷用紙を、印刷裏側から観察し、裏抜けを目視にて評価した。目視の評価は4段階とした。◎:裏の印刷部が殆ど認識できない、○:裏の印刷部が目立たない、△:印刷部がやや目立つ、×:印刷部が目立ち、裏面の画質或いは見た目を劣化させている。
[材料]
塗工液に配合した各材料は以下の通りである。
1.顔料
・微粒重質炭酸カルシウム(FMT97 ファイマテック社製 平均粒子径0.7〜1.0μm)
・微粒カオリン(ハイドラグロス CaMin社製)
2.色材
・青色顔料(EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製)
・紫色顔料(SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製)
・黒色顔料(SAブラックA035 御国色素(株)社製)
・青色染料(ブルーRHリキッド アイゼンベーシックペーパー社製)
・赤色染料(アストラフロキシンGリキッドケミラ社製)
3.接着剤
・スチレン−ブタジエン系合成高分子ラテックス
4.水溶性高分子
・尿素リン酸エステル化澱粉(日本食品化工(株)製スターコート16)
5.脱墨パルプ(DIP)
・新聞用紙および雑誌古紙を主原料として、水中に離解した後、スクリーニング工程で除塵して、フローテーターを用いて脱墨処理し、その後漂白、洗浄して製造した、白色度55%程度、白色度60%〜70%、白色度70%以上の脱墨パルプスラリーを組み合わせ、白色度66%〜73%の脱墨パルプとして用いた。
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)と脱墨パルプ(DIP)と広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を準備し、表1に記載の配合割合でパルプスラリーを調整した。このパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、メーカー;Specialty Minerals Inc.社製 )を紙中に15%となるように添加し、内添紙力剤としてカチオン性紙力増強剤(ポリアクリルアミド)を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。
顔料として、微粒重質炭酸カルシウムを75部、微粒カオリンであるハイドラグロス(CaMin社製)を25部を配合し、これらの白色顔料の合計に対して、モノマー組成が主にスチレンおよびブタジエンである合成高分子ラテックスを7部、水溶性高分子として尿素リン酸エステル化澱粉を4.5部配合し、さらに、表1に示す配合で色材を常温にて混合攪拌し、固形分濃度が67重量%の塗工液を得た。なお、色材、接着剤、水溶性高分子の配合量は、白色顔料100重量部に対する値である。
上記の紙料を用いて、抄紙速度が1100m/分にて、ツインワイヤーを有する抄紙機で抄紙して、坪量35g/m2の原紙を得た。
抄紙、塗工を連続してオンラインで行ったため、塗工速度、カレンダー速度も1100m/分であった。さらに高温ソフトニップカレンダーで2ニップ、最高処理温度200℃、最高処理線圧250kN/mの条件で表面処理して印刷用塗工紙を得た。
Claims (8)
- 紫色顔料および/または青色顔料を含有するオフセット印刷用塗工紙であって、
原紙層と顔料塗工層とを有し、
原紙層が脱墨パルプ(DIP)を含み、
JIS P 8150の方法によって測定される前記印刷用塗工紙の色相が、紫外線を含む測定においてb*値が−10以上−0.5未満であり、
前記印刷用紙の不透明度が85%以上であり、
坪量が60g/m2以下であり、
前記顔料塗工層の塗工量が片面当たり5〜15g/m 2 である、
オフセット印刷用塗工紙。 - 原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として50重量%以上である、請求項1に記載の印刷用紙。
- 前記紫色顔料および/または青色顔料の含有量が0.4〜3.5mg/m2である、請求項1または2に記載の印刷用紙。
- 前記原紙層が青色染料、紫色染料、または赤色染料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷用紙。
- 前記顔料塗工層が、紫色顔料および青色顔料を除く顔料100重量部に対して、重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムを75重量部以上含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用紙。
- 前記顔料塗工層が、紫色顔料および/または青色顔料を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷用紙。
- 前記原紙層に填料を含み、紙中填料率が1〜40固形分重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の印刷用紙。
- 前記印刷用紙の白色度が72.6%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の印刷用紙。
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