JP2014208936A - 塗工紙 - Google Patents
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Abstract
Description
K*c/R(θ)=1/MwP(θ)+2A2c (式1)
(ここで、R(θ)は過剰散乱のレイリー比である。K*=4π2n0 2(dn/dc)2λ0 −4NA −1であり、n0は溶媒の屈折率、NAはアボガドロ数、dn/dcは特異的屈折率増加分、λ0は真空中での入射光の波長である。cは溶液中の高分子濃度(g/mL)である。A2は第二ビリアル係数である。Mwは重量平均絶対分子量(g/mol)である。P(θ)は粒子散乱因子でP(θ)=Rg/R0であり、Rgは干渉のある場合の散乱強度、R0は干渉のない場合の散乱強度である。)
本発明においては、顔料塗工層を設けるため、主として顔料、接着剤(バインダー)、水を含む顔料塗工液を用いるが、接着剤(バインダー)として、下記の式1によって規定される重量平均絶対分子量(Mw)が1×105〜3.4×105g/molである澱粉を使用する。本発明の澱粉は、蒸煮後の一定時間における粘度が特に低いため、顔料塗工液に配合してもその粘度を大幅に増大させることがなく、顔料塗工液の濃度を高くすることができ、それにより、塗工紙の印刷品質を向上させることができる。すなわち、原紙への塗料のしみこみを抑制し、有効塗工量が増えることから、光沢発現性向上、表面強度向上など、種々の塗工紙品質が向上する。
K*c/R(θ)=1/MwP(θ)+2A2c (式1)
(ここで、R(θ)は過剰散乱のレイリー比である。K*=4π2n0 2(dn/dc)2λ0 −4NA −1であり、n0は溶媒の屈折率、NAはアボガドロ数、dn/dcは特異的屈折率増加分、λ0は真空中での入射光の波長である。cは溶液中の高分子濃度(g/mL)である。A2は第二ビリアル係数である。Mwは重量平均絶対分子量(g/mol)である。P(θ)は粒子散乱因子でP(θ)=Rg/R0であり、Rgは干渉のある場合の散乱強度、R0は干渉のない場合の散乱強度である。)
加水分解と再結合の程度により重量平均絶対分子量は異なり、一般に重量平均絶対分子量が大きいほど印刷表面強度は高くなるが、塗工時の操業性は悪くなることが考えられる。そのため、印刷表面強度と塗工時の操業性を両立するためには適正な重量平均絶対分子量を持つ焙焼デキストリンを用いる必要がある。
本発明の塗工層に用いる顔料(白色顔料)は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。また、顔料の種類としては、バインダー要求量が少なく少量の接着剤で表面強度を向上できることと、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましく、また不透明度をも向上させる観点から、粒子径や形状が揃った軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。嵩高な塗工層構造は光を効率的に散乱するためである。
本発明においては、通常用いられるコーターであればいずれを用いても良い。オンマシンコーターでもオフマシンコーターでも良く、オンマシンコーターであれば、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーターなどのロールコーター、ビルブレイドコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ショートドゥエルブレードコーター、ジェットファウンテンブレードコーターなどのコーターを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコーターでは500〜1800m/分、サイズプレスコーターでは500〜2000m/分が好ましい。
本発明の塗工紙は原紙層を有する。原紙は公知の方法により製造することができ、例えば、抄紙原料(紙料)をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造することができる。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよいが、白板紙を製造する場合は多層抄き原紙を用いることが好ましい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
本発明の原紙に用いるパルプ原料としては、化学パルプを使用することができる。化学パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を好適に使用することができる。化学パルプ以外にも、用途に応じて各種パルプを使用することができ、例えば、脱墨パルプ(DIP)、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用又は併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分質量%が好ましく、10〜35固形分質量%がさらに好ましい。
本発明の塗工紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層にバインダーとして、本発明の澱粉由来の高分子化合物を含有してもよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜4.0g/m2が好ましく、0.5〜2.5g/m2がより好ましい。
本発明においては、オンラインソフトカレンダー、オンラインチルドカレンダーなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは30〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
本発明においては、以上のように製造した紙を必要に応じて表面処理する。平滑化処理には、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。好ましい態様において、本発明の塗工紙は、スーパーカレンダーや高温ソフトニップカレンダー等のカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、塗工紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。本発明においては、ソフトニップカレンダー処理が好ましい。ソフトニップカレンダー処理をすることにより、白色度、不透明度共に向上する。ソフトニップカレンダー処理において、金属ロールの表面温度が20℃〜60℃の線圧は、30〜60kN/m、より好ましくは、40〜60kN/mである。また、金属ロールの表面温度が40℃〜250℃の高温ソフトニップカレンダー処理であれば、線圧は60〜400kN/m、好ましくは、150〜300kN/m、より好ましくは100〜350kN/mである。温度を上げると、塗工紙の表面の光沢、平滑度が向上する。
[品質の評価方法]
(1)重量平均絶対分子量(Mw)の測定
焙焼デキストリンの重量平均絶対分子量は、下記の装置及び条件により、サイズ排除クロマトグラフィー―多角度光散乱(SEC−MALS)法により測定した。
・分離カラム:Shodex GPC KB−806M 2本、Shodex GPC
KB−802 1本
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:0.1mol/L濃度のNaNO3水溶液
・移動相流速:0.5mL/min
・注入量:300μL
・検出器1:多角度光散乱検出器(Wyatt社製、「DAWN HELEOSII」)
・検出器2:屈折率(RI)検出器(Waters社製、「2414型」)
・試料:[蒸煮]100℃で20分間攪拌
[濃度]0.12w/v%
[濾過]クロマトディスク 孔径0.45μm(クラボウ製)
・データ処理:ASTRA(Wyatt社製)
(2)RI印刷ウェットピック評価
RI−1型印刷機(旭製作所)を用い、試験片を水が塗布されたモルトンロールに通した後、5秒程度放置し、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製:レオックスY)を使用し、インキ量0.5cc一定で片面印刷し、ピッキングの程度を目視で相対評価した。ピッキングが殆ど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。(3)RI印刷ドライピック評価
RI−I型印刷機(旭製作所製)を用い、印刷用インキ(東洋インキ製:ハイユニティM)を使用して印刷後、ゴムロールについて印刷跡を転写紙に手動で転写してピッキングの程度を目視で相対評価した。ピッキングが殆ど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。
(4)塗工時の操業性
塗工時の操業性を塗工時におけるブレードの磨耗のし易さの点から評価した。塗工液の粘度が低く磨耗し難いものを○、やや磨耗し易いものを△、粘度が高く磨耗がし易いものを×とした。
(5)焙焼デキストリン溶解時の操業性
焙焼デキストリン溶解時の操業性を、焙焼デキストリンを40%スラリーにした際の攪拌性と搬送性の点から評価した。粘度が低く、攪拌及び搬送性が良いものを○、やや悪いものを△、悪いものを×とした。
重質炭酸カルシウムとしてFMT−97(FMT社製)100部に、全顔料に対して接着剤としてスチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを1.5部、重量平均絶対分子量が1.2×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部配合して固形濃度67%で塗料を調製した。かくして調製された塗料を坪量34g/m2の中質原紙に片面あたりの塗工量が固形分で8g/m2になるように1000m/minの塗工速度のブレードコーターで両面塗工を行った。さらにホットソフトニップカレンダーで処理温度130℃、処理速度357m/min、4ニップの条件で表面処理して塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が1.42×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用とした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が1.84×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が3.30×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が6.4×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が8.2×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が3.46×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤として重量平均絶対分子量が4.29×105g/molの焙焼デキストリンを5.8部使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
Claims (4)
- 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、前記塗工層中の接着剤として、式1によって規定される重量平均絶対分子量(Mw)が1×105〜3.4×105g/molである澱粉を含有する塗工紙。
K*c/R(θ)=1/MwP(θ)+2A2c (式1)
(ここで、R(θ)は過剰散乱のレイリー比である。K*=4π2n0 2(dn/dc)2λ0 −4NA −1であり、n0は溶媒の屈折率、NAはアボガドロ数、dn/dcは特異的屈折率増加分、λ0は真空中での入射光の波長である。cは溶液中の高分子濃度(g/mL)である。A2は第二ビリアル係数である。Mwは重量平均絶対分子量(g/mol)である。P(θ)は粒子散乱因子でP(θ)=Rg/R0であり、Rgは干渉のある場合の散乱強度、R0は干渉のない場合の散乱強度である。) - 澱粉が焙焼デキストリンである請求項1記載の塗工紙。
- 式1によって規定される重量平均絶対分子量(Mw)が1×105〜3.4×105g/molである澱粉。
K*c/R(θ)=1/MwP(θ)+2A2c (式1)
(ここで、R(θ)は過剰散乱のレイリー比である。K*=4π2n0 2(dn/dc)2λ0 −4NA −1であり、n0は溶媒の屈折率、NAはアボガドロ数、dn/dcは特異的屈折率増加分、λ0は真空中での入射光の波長である。cは溶液中の高分子濃度(g/mL)である。A2は第二ビリアル係数である。Mwは重量平均絶対分子量(g/mol)である。P(θ)は粒子散乱因子でP(θ)=Rg/R0であり、Rgは干渉のある場合の散乱強度、R0は干渉のない場合の散乱強度である。) - 澱粉が焙焼デキストリンである請求項3記載の澱粉。
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