JP2017179275A - 塗工紙用澱粉 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) 顔料塗工紙を製造するために顔料塗工層に用いられる製紙用澱粉であって、(平均二乗回転半径)/(重量平均絶対分子量)1/3が0.3nm・mol/g以下である、上記製紙用澱粉。
(2) 澱粉が焙焼デキストリンである、(1)に記載の製紙用澱粉。
(3) 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、顔料塗工層に含まれる接着剤として、(平均二乗回転半径)/(重量平均絶対分子量)1/3が0.3nm・mol/g以下である澱粉を使用した、上記塗工紙。
(4) 前記接着剤として、スチレン・ブタジエン系ラテックスと前記澱粉とを併用する、(3)に記載の塗工紙。
(5) 顔料100質量部に対して5〜50質量部の前記澱粉を使用する、(3)または(4)に記載の塗工紙。
(6) 前記顔料が炭酸カルシウムを含む、(3)〜(5)のいずれかに記載の塗工紙。
本発明においては、顔料塗工層を設けるため、主として顔料、接着剤(バインダー)、水を含む顔料塗工液を用いるが、接着剤(バインダー)として、「(平均二乗回転半径)/(重量平均絶対分子量)1/3」というパラメーターが0.3nm・mol/g以下である澱粉を使用し、このパラメーターは0.25nm・mol/g以下としてもよく、0.2nm・mol/g以下であってもよい。このパラメーターは、分子の広がり(コンフォメーション)を示す分岐度の指数であり、この指数が大きいほど分子が直鎖状で広がった構造であり、小さいほど分子が圧縮された分岐した構造である。このパラメーターが0.3nm・mol/g以下である澱粉は分岐度が高く、耐老化安定性に優れる。
K*c/R(θ)=1/Mw[1+<rg2>sin2(θ/2)・16π2/3λ2]+2A2(式1)
K*(光学パラメーター)=4π2n0 2(dn/dc)2λ0 −4NA −1
n0:溶媒の屈折率
dn/dc:屈折率の濃度増分
NA:アボガドロ数
c:サンプル濃度(g/mL)
R(θ):過剰散乱のレイリー比
Mw:重量平均絶対分子量(g/mol)
<rg2>:平均二乗回転半径(nm)
A2:第二ビリアル係数
λ0:真空中での入射光の波長
本発明においては、接着剤として、「(平均二乗回転半径)/(重量平均絶対分子量)1/3」が0.3nm・mol/g以下である澱粉を用いる。澱粉とは、アミロース、アミロペクチンからなる混合物のことをいい、一般に、その混合比は澱粉の原材料である植物によって異なる。澱粉としては、各種加工澱粉やデキストリンを好適に使用することができる。
本発明の塗工層に用いる顔料(白色顔料)は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。また、顔料の種類としては、バインダー要求量が少なく少量の接着剤で表面強度を向上できることと、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましく、また不透明度をも向上させる観点から、粒子径や形状が揃った軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。嵩高な塗工層構造は光を効率的に散乱するためである。
本発明においては、通常用いられるコーターであればいずれを用いても良い。オンマシンコーターでもオフマシンコーターでも良く、オンマシンコーターであれば、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーターなどのロールコーター、ビルブレイドコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ショートドゥエルブレードコーター、ジェットファウンテンブレードコーターなどのコーターを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコーターでは500〜1800m/分、サイズプレスコーターでは500〜2000m/分が好ましい。
本発明の塗工紙は原紙層を有する。原紙は公知の方法により製造することができ、例えば、抄紙原料(紙料)をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造することができる。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよいが、白板紙を製造する場合は多層抄き原紙を用いることが好ましい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
本発明の塗工紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層にバインダーとして、本発明の澱粉由来の高分子化合物を含有してもよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜4.0g/m2が好ましく、0.5〜2.5g/m2がより好ましい。
本発明においては、オンラインソフトカレンダー、オンラインチルドカレンダーなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは30〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
本発明においては、以上のように製造した紙を必要に応じて表面処理する。平滑化処理には、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。好ましい態様において、本発明の塗工紙は、スーパーカレンダーや高温ソフトニップカレンダー等のカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、塗工紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。本発明においては、ソフトニップカレンダー処理が好ましい。ソフトニップカレンダー処理をすることにより、白色度、不透明度共に向上する。ソフトニップカレンダー処理において、金属ロールの表面温度が20℃〜60℃の線圧は、30〜60kN/m、より好ましくは、40〜60kN/mである。また、金属ロールの表面温度が40℃〜250℃の高温ソフトニップカレンダー処理であれば、線圧は60〜400kN/m、好ましくは、100〜350kN/m、より好ましくは、150〜300kN/mである。温度を上げると、塗工紙の表面の光沢、平滑度が向上する。
[比較例2] 市販のデキストリンB(Stabilys A030、Roquette社製)
[比較例3] 市販のデキストリンC(Stabilys A023、Roquette社製)
[比較例4] 市販の酸化澱粉(SK−200、日本コーンスターチ製)
評価方法
上記のデキストリンに対し、下記の方法にて、平均二乗回転半径((<rg2>)、重量平均絶対分子量(Mw)を測定して、[平均二乗回転半径]/(重量平均絶対分子量)1/3を算出した。また、RVA粘度を下記の方法にて測定した。
(1)平均二乗回転半径<rg2>、重量平均絶対分子量Mw
焙焼デキストリンの平均二乗回転半径、重量平均絶対分子量は、下記の装置及び条件により、サイズ排除クロマトグラフィー―多角度光散乱(SEC−MALS)法により測定した。
・分離カラム:Shodex GPC KB−806M 2本、Shodex GPC KB−802 1本
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:0.1mol/L濃度のNaNO3水溶液
・移動相流速:0.5mL/min
・注入量:300μL
・検出器1:多角度光散乱検出器(Wyatt社製、DAWN HELEOSII)
・検出器2:屈折率(RI)検出器(Waters社製、2414型)
・試料:[蒸煮]100℃で20分間攪拌
[濃度]0.12w/v%
[濾過]クロマトディスク 孔径0.45μm(クラボウ製)
・データ処理:ASTRA(Wyatt社製)
(2)RVA粘度の測定
ラピッドビスコアナライザー(型式RVA-4、New Port Scientific社製)を用いた。ラピッドビスコアナライザーとは、容器に澱粉と水を装入し、撹拌しながら温度を変化させ、その間の粘度変化を測定する装置である。
<蒸煮条件>
・ 0〜 5分:5分間で98℃まで昇温
・ 5〜 9分:98℃にて保持
・ 9〜12分:3分間で50℃まで降温
・12〜16分:50℃にて保持
<粘度測定条件>
蒸煮により得た生成物を、50℃において、以下の条件でパドルを回転させ、160rpmで回転しているパドルにかかるトルクを測定し、粘度を算出する。
・測定開始後10秒:960rpm
・その後: :160rpm
Claims (6)
- 顔料塗工紙を製造するために顔料塗工層に用いられる製紙用澱粉であって、
(平均二乗回転半径)/(重量平均絶対分子量)1/3が0.3nm・mol/g以下である、上記製紙用澱粉。 - 澱粉が焙焼デキストリンである、請求項1に記載の製紙用澱粉。
- 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、
顔料塗工層に含まれる接着剤として、(平均二乗回転半径)/(重量平均絶対分子量)1/3が0.3nm・mol/g以下である澱粉を使用した、上記塗工紙。 - 前記接着剤として、スチレン・ブタジエン系ラテックスと前記澱粉とを併用する、請求項3に記載の塗工紙。
- 顔料100質量部に対して5〜50質量部の前記澱粉を使用する、請求項3または4に記載の塗工紙。
- 前記顔料が炭酸カルシウムを含む、請求項3〜5のいずれかに記載の塗工紙。
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