JP2017179680A - 塗工紙 - Google Patents
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Abstract
印刷表面強度、光沢に優れ、且つ、操業性に優れる塗工紙を提供する。
【解決手段】
顔料と接着剤とを含む塗工層を有する塗工紙において、前記接着剤中に、H−NMRで測定することによって算出される分岐度が6%以上である澱粉、好ましくは焙焼デキストリンを含有させる。接着剤として、スチレン・ブタジエン系ラテックスと前記澱粉とを併用してもよい。また、顔料100質量部に対して5〜50質量部の前記澱粉を使用することが好ましい。
【選択図】 なし
Description
(1) 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、顔料塗工層に含まれる接着剤として、下記に定義される分岐度が6%以上である澱粉を使用した、上記塗工紙。
分岐度:H−NMRで測定した4位末端のアノマー位のプロトンを分岐の末端に相当するものとして、末端以外に相当するα1−4結合のプロトン及びα1−6結合のアノマー位のプロトンに対する4位末端のアノマー位のプロトンの比率
(2) 澱粉が焙焼デキストリンである、(1)に記載の塗工紙。
(3) 前記接着剤として、スチレン・ブタジエン系ラテックスと前記澱粉とを併用する、(1)または(2)に記載の塗工紙。
(4) 顔料100質量部に対して5〜50質量部の前記澱粉を使用する、(1)〜(3)のいずれかに記載の塗工紙。
(5) 前記顔料が炭酸カルシウムを含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の塗工紙。
本発明においては、顔料塗工層を設けるため、主として顔料、接着剤(バインダー)、水を含む顔料塗工液を用いるが、接着剤(バインダー)として、分岐度が6%以上である澱粉を使用する。なお、澱粉の分岐度として、好ましくは7%以上である。本発明者らは、分子量等の他の物性よりも分岐度が印刷表面強度や光沢に相関することを見出した。本発明の澱粉は、詳細な理由は不明であるが、顔料塗工液の濃度を高くすることができ、それにより、塗工紙の印刷品質を向上させることができる。すなわち、原紙への塗料のしみこみを抑制し、有効塗工量が増えることから、光沢発現性向上、表面強度向上など、種々の塗工紙品質が向上する。
K*c/R(θ)=1/Mw[1+<rg2>sin2(θ/2)・16π2/3λ2]+2A2(式1)
K*:光学パラメーターであり、K*=4π2n0 2(dn/dc)2λ0 −4NA −1(n0:溶媒の屈折率、dn/dc:屈折率の濃度増分、NA:アボガドロ数)
c:サンプル濃度(g/mL)
R(θ):過剰散乱のレイリー比
Mw:重量平均絶対分子量(g/mol)
<rg2>:平均二乗回転半径(nm)
A2:第二ビリアル係数
λ0:真空中での入射光の波長
本発明においては、接着剤として、上記の分岐度を有する澱粉を用いる。澱粉としては、各種加工澱粉を始めとする澱粉、澱粉を加水分解して得られるデキストリンを好適に使用することができる。澱粉とは、アミロース、アミロペクチンからなる混合物のことをいい、一般に、その混合比は澱粉の原材料である植物によって異なる。
本発明の塗工層に用いる顔料(白色顔料)は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。また、顔料の種類としては、バインダー要求量が少なく少量の接着剤で表面強度を向上できることと、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましく、また不透明度をも向上させる観点から、粒子径や形状が揃った軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。嵩高な塗工層構造は光を効率的に散乱するためである。
本発明においては、通常用いられるコーターであればいずれを用いても良い。オンマシンコーターでもオフマシンコーターでも良く、オンマシンコーターであれば、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーターなどのロールコーター、ビルブレイドコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ショートドゥエルブレードコーター、ジェットファウンテンブレードコーターなどのコーターを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコーターでは500〜1800m/分、サイズプレスコーターでは500〜2000m/分が好ましい。
本発明の塗工紙は原紙層を有する。原紙は公知の方法により製造することができ、例えば、抄紙原料(紙料)をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造することができる。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよいが、白板紙を製造する場合は多層抄き原紙を用いることが好ましい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
本発明の塗工紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層にバインダーとして、本発明の澱粉由来の高分子化合物を含有してもよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜4.0g/m2が好ましく、0.5〜2.5g/m2がより好ましい。
本発明においては、オンラインソフトカレンダー、オンラインチルドカレンダーなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは30〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
本発明においては、以上のように製造した紙を必要に応じて表面処理する。平滑化処理には、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。好ましい態様において、本発明の塗工紙は、スーパーカレンダーや高温ソフトニップカレンダー等のカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、塗工紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。本発明においては、ソフトニップカレンダー処理が好ましい。ソフトニップカレンダー処理をすることにより、白色度、不透明度共に向上する。ソフトニップカレンダー処理において、金属ロールの表面温度が20℃〜60℃の線圧は、30〜60kN/m、より好ましくは、40〜60kN/mである。また、金属ロールの表面温度が40℃〜250℃の高温ソフトニップカレンダー処理であれば、線圧は60〜400kN/m、好ましくは、100〜350kN/m、より好ましくは、150〜300kN/mである。温度を上げると、塗工紙の表面の光沢、平滑度が向上する。
(1)分岐度の測定
分岐度は下記の装置及び条件により、H-NMR法により測定した。
・装置:UNITY INOVA500型(バリアン社製)
・観測周波数:499.8MHz
・溶媒:重水
・基準物質:3−(トリメチルシリル)−2,2',3,3'−テトラジュウテロプロピオン酸ナトリウム(TSP-d4)
・温度:80℃
・積算回数:256回
焙焼デキストリンの重量平均絶対分子量は、下記の装置及び条件により、サイズ排除クロマトグラフィー―多角度光散乱(SEC−MALS)法により測定した。
・分離カラム:Shodex GPC KB−806M 2本、Shodex GPC KB−802 1本
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:0.1mol/L濃度のNaNO3水溶液
・移動相流速:0.5mL/min
・注入量:300μL
・検出器1:多角度光散乱検出器(Wyatt社製、DAWN HELEOSII)
・検出器2:屈折率(RI)検出器(Waters社製、2414型)
・試料:[蒸煮]100℃で20分間攪拌
[濃度]0.12w/v%
[濾過]クロマトディスク 孔径0.45μm(クラボウ製)
・データ処理:ASTRA(Wyatt社製)
ローランド枚葉印刷機R302を用い、インキとして東洋インキ製レオエコーSOYL藍(オフ輪用低タックインキ)を用い、800sphの速度で藍ベタを印刷し、10枚印刷する間に発生した、F面及びW面のピッキングの個数を測定した。
顔料として重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−97、FMT社製)を用い、接着剤としてスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス及び分岐度が7.74%である焙焼デキストリン絶対分子量69.9×104g/mol)を配合し、固形濃度60%の塗料を調製した。重質炭酸カルシウム100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを3.2部、分岐度が7.74%である焙焼デキストリンを6.5部配合した。このように調製された塗料を坪量34g/m2の中質原紙に片面あたりの塗工量が固形分で8g/m2になるように1000m/minの塗工速度のブレードコーターで両面塗工を行った。さらにホットソフトニップカレンダーで処理温度130℃、処理速度357m/min、4ニップの条件で表面処理して塗工紙を得た。
実施例1において、接着剤としてスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス及び分岐度が5.39である酸化澱粉(商品名:M−210、敷島スターチ製、絶対分子量70.8×104g/mol)を使用した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
Claims (5)
- 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、
顔料塗工層に含まれる接着剤として、下記に定義される分岐度が6%以上である澱粉を使用した、上記塗工紙。
分岐度:H−NMRで測定した4位末端のアノマー位のプロトンを分岐の末端に相当するものとして、末端以外に相当するα1−4結合のプロトン及びα1−6結合のアノマー位のプロトンに対する4位末端のアノマー位のプロトンの比率 - 澱粉が焙焼デキストリンである、請求項1に記載の塗工紙。
- 前記接着剤として、スチレン・ブタジエン系ラテックスと前記澱粉とを併用する、請求項1または2に記載の塗工紙。
- 顔料100質量部に対して5〜50質量部の前記澱粉を使用する、請求項1〜3のいずれかに記載の塗工紙。
- 前記顔料が炭酸カルシウムを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の塗工紙。
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CN114207214A (zh) * | 2019-08-05 | 2022-03-18 | 日本制纸株式会社 | 涂布纸和其制造方法 |
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