JPH09188998A - 艶消しグラビア印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

艶消しグラビア印刷用塗工紙およびその製造方法

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JPH09188998A
JPH09188998A JP34384095A JP34384095A JPH09188998A JP H09188998 A JPH09188998 A JP H09188998A JP 34384095 A JP34384095 A JP 34384095A JP 34384095 A JP34384095 A JP 34384095A JP H09188998 A JPH09188998 A JP H09188998A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ブレードコーター適性に優れ、かつミッシング
ドット(網点の欠損)が効果的に軽減され、グラビア印
刷適性に優れた艶消しグラビア印刷用塗工紙、およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】顔料として嵩密度が0.2〜0.6g/c
3 である顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有
せしめ、かつ塗工層表面の白紙光沢が55%以下、さら
に塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフで測定
した設定圧力20kgf/cm2 における加圧開始10
ミリ秒後のRp値が2.0μm以下である艶消しグラビ
ア印刷用塗工紙、および原紙上に顔料と接着剤を主成分
とする水性塗工液を塗工、乾燥して塗工層を設けた後、
仕上げする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法であ
り、該顔料として、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3
である顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有せし
め、かつ塗工層表面の光沢度が55%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグラビア印刷用塗工
紙およびその製造方法に関し、特にミッシングドットの
発生が少なく、グラビア印刷適性に優れた艶消しグラビ
ア印刷用塗工紙、およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】グラビア印刷は、ハイライト部から中間
調にかけての再現性に優れており、美麗な写真印刷がで
きるために広く利用されている。そして、グラビア印刷
は金属ロールの凹版から直接紙面にインキを転移させる
印刷方式であり、網点抜け(以下、ミッシングドットと
称す)を起こすと印刷効果が阻害されるので、その点を
改善する目的で通常グラビア印刷用紙には高度な平滑性
と高いクッション性が要求される。
【0003】近年、艶はないが表面が平滑で印刷した場
合の印刷仕上がりが優れる艶消し塗工紙への要望が高ま
っており、グラビア印刷用紙においてもグラビア印刷適
性に優れる艶消し塗工紙への要望が高まっている。とこ
ろで、艶消し塗工紙は意図的に白紙光沢を低く抑えるた
めに、光沢を高く仕上げた塗工紙に比較して、粗い顔料
を多量に含有した塗工液を原紙に塗工し、軽度のキャレ
ンダー処理を行って製品化されている。このため、通常
艶消しグラビア印刷用塗工紙は平滑性が劣っており、光
沢の高いグラビア印刷用塗工紙と同等のグラビア印刷適
性が得られていないのが現状である。
【0004】ミッシングドットが発生しないような良好
なグラビア印刷適性を得るために、原紙に機械パルプを
高率配合してクッション性を持たせたり、原紙抄造過程
でサイズプレスを水塗りにして原紙を固くしないような
配慮をすることが多い。さらには、塗工層の接着剤とし
てガラス転移温度の低い共重合体ラテックスが好ましく
使用される。しかし、いずれの方法も光沢の高いグラビ
ア印刷用塗工紙を得る場合のように、高圧でキャレンダ
ー処理を行って平滑性を高めてグラビア印刷適性を改善
することには有効であっても、塗工層の顔料に粗い顔料
を用い、軽度のキャレンダー仕上げを施される艶消しグ
ラビア印刷用塗工紙の場合には十分な効果を得ることが
できない。
【0005】また、塗工層に使用する顔料については、
中空の有機顔料を配合する(特開平5−125695
号)、特定の嵩密度を有するカオリンと特定の軽質炭酸
カルシウムを配合する方法(特開平3−40895号)
等が提案されている。しかしながら、前者の方法では、
良好なグラビア印刷適性を得るためには中空の有機顔料
の配合量を多くする必要があるため光沢が高くなり、艶
消し塗被紙としての低白紙光沢が維持できないという難
点がある。一方、後者の方法ではブレードコーターの塗
工時にスタラクタイトやブリーディングと称する、所謂
ブレードの先端に高濃度あるいは半固化した塗工液が堆
積する問題が起こり易い。その結果、塗工面にストリー
クやスクラッチを誘発し、良好な塗工層表面を形成させ
ることができなくなるという問題がある。
【0006】一般に、グラビア印刷用塗工紙はミッシン
グドットが発生しないように印刷適性を重要視して、塗
工液の接着剤にソールバインダータイプのラテックスを
使用し、できるだけ澱粉類を使用しないようにしてい
る。その結果、塗工層の顔料として嵩密度の低いものを
用いると上記ブレード塗工適性の低下が極めて著しいと
いった難点がある。
【0007】ブレード塗工におけるスタラクタイトやブ
リーディングの解消手段として、共重合体ラテックスを
カルボキシル基等で変性したアルカリ感応型ラテックス
としてアルカリによって増粘させて塗工液の保水性を向
上させたり、あるいはカルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸ソーダ、ガム類、合成保水性改良剤、増粘剤等
の助剤を配合して塗工液に保水性を付与する方法等があ
るが、顔料として嵩密度が低いものを用いた塗工液の場
合には十分な改善効果を得ることができないだけでな
く、剛度(紙腰)を高めることも期待できない。
【0008】なお、紙の剛度を改良する技術について
は、原紙に剛直な針葉樹のクラフトパルプ(NKP)を
高率配合する方法、澱粉をサイズプレスにより原紙へ多
量に塗布する方法、および塗工層に高率配合する方法、
さらにはガラス転移温度の高い共重合体ラテックスを使
用する等の公知の方法があるが、いずれの方法も紙の剛
度を向上させることはできるが、他方平滑性やクッショ
ン性が低下し、結果としてグラビア印刷適性が低下する
といった難点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した如き実状よ
り、本発明は、ミッシングドットの発生がないか又は軽
減された、グラビア印刷適性に優れた艶消し塗工紙およ
びその製造方法を提供するものである。特に、塗工層に
含まれる顔料の特定と塗工層表面における特定の平滑性
を有する塗工層に仕上げた場合に所望の効果が得られる
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、原紙上に顔料
と接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる艶消しグラ
ビア印刷用塗工紙において、該顔料として嵩密度が0.
2〜0.6g/cm3である顔料を全顔料に対して10
〜50重量%含有せしめ、かつ塗工層表面の白紙光沢が
55%以下、さらに塗工層表面の平滑性としてマイクロ
トポグラフで測定した設定圧力20kgf/cm2 にお
ける加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下で
あることを特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙、お
よび原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性塗工液を
塗工、乾燥して塗工層を設けた後、仕上げする艶消しグ
ラビア印刷用塗工紙の製造方法において、該顔料とし
て、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 である顔料を全
顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、かつ塗工層
表面の光沢度が55%以下および塗工層表面の平滑性と
してマイクロトポグラフで測定した設定圧力20kgf
/cm2 における加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.
0μm以下となるようにキャレンダー仕上げすることを
特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者等はミッシングドットが
効果的に解消され、かつグラビア印刷適性に優れる艶消
しグラビア印刷用塗工紙、さらにその製造方法に関し、
特にブレードコーターを用いて製造する時の塗工適性に
優れ、しかも、キャレンダー仕上げ後の紙の剛度(紙
腰)が高く、かつミッシングドットの発生が少なく、良
好なグラビア印刷適性を有する艶消しグラビア印刷用塗
工紙の製造方法について鋭意研究を重ねた。
【0012】その結果、塗工層用顔料として、特定の嵩
密度を有する顔料を特定量配合せしめ、かつ塗工層表面
の白紙光沢を55%以下、および塗工層表面の平滑性と
してマイクロトポグラフ(東洋精機製作所)で測定した
設定圧力20kg/cm2 における加圧開始10ミリ秒
後のRp値が2.0μm以下となるように、キャレンダ
ー処理することにより、艶消し塗工紙としての外観(低
白紙光沢)とミッシングドットの発生が極めて少なく、
良好なグラビア印刷適性を備えた、艶消し塗工紙が得ら
れることを初めて見出し、遂に本発明を完成するに至っ
たのである。
【0013】特に、上記特定の嵩密度を有する顔料とし
てカオリンを、また、接着剤として特定の重量平均分子
量を有する澱粉を特定量配合することにより、良好な塗
工適性、特に優れたブレードコーター塗工適性が得ら
れ、さらに、原紙を構成する全パルプ繊維分の15〜1
00重量%が一旦乾燥工程を経たLBKP、所謂LBK
Pのドライパルプである場合に、より優れた効果を得る
ことができる。
【0014】以下に、これらの各要件について、詳細に
述べる。特定の嵩密度とは、JIS−K5101(タッ
プ法)に準拠して測定される値(単位:g/cm3 )を
指す。そして、本発明ではこの値が0.2〜0.6g/
cm3 である顔料を特定量使用するものである。このよ
うな顔料としては、例えば微粒軽質炭酸カルシウム、微
粒軽質炭酸カルシウムの凝集体、微粒水酸化アルミニウ
ム、炭酸マグネシウム、焼成カオリン、各種の化学的、
物理的な処理を施した構造化カオリン、無定形シリカ、
アルミナ、あるいは有機系顔料の1つである尿素−ホル
ムアルデヒド樹脂等を例示でき、これらの少なくとも1
種以上を使用できる。前記したように、塗工適性の面か
らカオリン系の嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 であ
る顔料が特に好ましい。
【0015】因みに、嵩密度が0.6g/cm3 を越え
ると、ブレード塗工で得られる塗工層の平滑性が劣り、
軽度のキャレンダー処理により、艶消し塗被紙としての
良好な外観とグラビア印刷適性を両立させ得ることが難
しくなる。他方、嵩密度が0.2g/cm3 未満の場合
には、塗工液粘度の上昇が著しくなり、ブレードコータ
ーにおける塗工適性や作業性の点で難点を有するように
なり、好ましくない。
【0016】なお、前記したように上記特定の嵩密度を
有する顔料がカオリンである場合に本発明の所望の効果
をさらに高めることができるのでより好ましい。かかる
特定の嵩密度を有する顔料は塗工層用塗液の全顔料の1
0〜50重量%の範囲で調整することが必要である。因
みに、10重量%未満の場合には、本発明が所望とする
効果を得ることができず、他方50重量%を越えると、
ブレードコーターの塗工適性が低下するために好ましく
ない。
【0017】本発明において、塗工層に使用される顔料
としては特定の嵩密度を有する顔料の他に、上記特定の
嵩密度を有する顔料と同種であり、その嵩密度が特定条
件より外れたもの、さらに塗工紙用顔料として広く用い
られている重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、
サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウ
ム、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、セリ
サイト等の無機顔料やポリスチレンやスチレン−アクリ
ル共重合体樹脂等の中空あるいは非中空微粒子等種々の
形状の有機顔料等を使用することができ、必要に応じて
これらの顔料を適宜組合わせて使用することができる。
【0018】また、接着剤としては、スチレン−ブタジ
エン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、ア
クリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル
の重合体あるいは共重合体等のアクリル系重合体ラテッ
クス、エチレン−酢酸ビニル系共重合体等のビニル系重
合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体あるいは
共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単
量体で変性したアルカリ感応性あるいはアルカリ非感応
性の重合体ラテックス等の共重合体ラテックスを単独あ
るい種々組み合わせて使用することができる。さらに、
酸化、エーテル化、アセチル化、カチオン化等の加工が
施された澱粉系接着剤、ポリビニルアルコール、メラミ
ン樹脂等の合成樹脂系接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合
成蛋白等の蛋白質、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の各種
接着剤の一種以上を適宜選択して併用しても構わない。
なお、共重合体ラテックスのTgは塗工層の平滑性やク
ッション性を考慮して−60〜0℃のものを使用するこ
とが好ましい。なお、接着剤の使用量は固形分対比で顔
料100重量部に対し、5〜30重量部程度で調整され
る。
【0019】本発明では、特に接着剤として重量平均分
子量が5×104 〜26×104 の澱粉を顔料100重
量部に対し、固形分対比で0.5〜10重量部使用する
ことで、特定の嵩密度を有する顔料を含む塗工液のブレ
ードコーター塗工適性を改善できると同時に、より平滑
な塗工面を得ることができるので、より好ましい実施態
様となり得る。
【0020】ところで、従来より澱粉は接着剤としての
機能、塗工液に保水性を与える機能、さらには紙製品に
剛度を付与できる機能を有するものとしてグラビア印刷
用塗工紙以外では、巾広く多量に用いられている。一
方、グラビア印刷用塗工紙の接着剤として用いると、ミ
ッシングドットが発生し易くグラビア印刷適性が低下し
易いものである。しかしながら、上記したような特定の
重量平均分子量を有する澱粉を用いると、澱粉の本来の
機能である接着力、保水性および紙への剛度付与機能を
維持しながら、従来のように相対的に分子量の大きい澱
粉を使用した場合に比較し、グラビア印刷適性を殆ど低
下させないものである。
【0021】即ち、高分子量の澱粉の場合、その分子間
に存在する水素結合の数が多いために被膜強度が向上
し、接着強度や剛度の向上効果は大きいが、一方で強い
被膜形成は塗工層のクッション性を低下させるために、
結果的にグラビア印刷適性を低下させているものと考え
られる。因みに、重量平均分子量が26×104 を越え
る場合には、接着強度や剛度の向上が飽和するのに対
し、グラビア印刷適性が急激に低下する懸念がある。一
方、重量平均分子量が5×104 未満では塗工液の保水
性が低下し、ブレードコーター塗工適性が維持されなく
なるおそれがあり、さらには剛度の低下も懸念される。
【0022】ところで、澱粉の重量平均分子量の測定
は、澱粉の分子量測定において重量平均分子量として規
定されている一般的な高速液体クロマトグラフィー法を
採用した。測定条件の詳細については実施例の評価方法
で示した。なお、ここで採用した澱粉の重量平均分子量
は本発明の目的を達成する指標として優れているもので
ある。因みに、一般に使用されているブラベンダー粘度
やB型粘度では見掛け粘性の判断基準にはなるが、ブレ
ードコーター塗工における塗工液の流動性(塗工適性)
や保水性を加味した評価基準(指標)として採用するに
は実用性に欠けるものである。
【0023】澱粉の重量平均分子量を調整する方法とし
ては、例えば、過硫酸塩等による熱化学変性、α−アミ
ラーゼ等による酵素変性、次亜塩素酸塩等による酸化変
性時の薬品の添加量や反応条件(反応時間やpH調整)
等によって調整ができる。また、エステル化、エーテル
化、アセチル化、α化、カチオン化等の変性処理によっ
てもその条件を適宜調整することにより、所望の澱粉を
得ることができる。さらに、冷水糊化可能の形態として
使用すると高濃度塗工液を得ることもできる。
【0024】上記の澱粉の原料となるものは、例えばト
ウモロコシ、馬鈴薯、小麦、タピオカ等が使用される。
上記に示した各種変性方法のなかでも、特に生澱粉に過
硫酸アンモニウムを添加して熱化学変性した澱粉を使用
すると、製紙工場で自家変性することが極めて容易であ
り、かつその条件を任意に選択できるので、コーター条
件に最適な重量平均分子量のものを簡単に調製できるの
で最も好ましい方法である。この変性の場合には、pH
調節剤、アルカリ剤、ゲル化防止剤、防腐剤、着色防止
剤等の助剤を適宜添加することもできる。
【0025】澱粉の配合部数は顔料100重量部当た
り、0.5〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重
量部である。因みに、0.5重量部未満の場合には、製
品の剛度の向上が不十分となるのみならず、ブレードコ
ーターにおける塗工適性が不十分(保水性の減少)とな
って平滑な塗工層が得られなくなるおそれがある。他
方、10重量部を越えるとグラビア印刷適性が低下する
おそれがある。
【0026】なお、塗工液中には主成分である顔料、接
着剤の他に、必要に応じて分散剤、増粘剤、保水剤、消
泡剤、耐水化剤、滑剤、染料、pH調節剤等の各種助剤
を適宜配合することができる。
【0027】原紙に塗工液を塗工する際は、良好な平滑
性の塗工層を得ることができるブレードコーターを用い
て塗工するのが好ましく、一層および多層の塗工層を任
意に設けてよい。また、本発明において使用される塗工
装置としては、例えばトレーリングブレード、フレキシ
ブルブレード、パドルブレード、ロールアプリケーショ
ンブレード、ファウンテンアプリケーションブレード、
ショートドウエルブレード、ファウンテンブレードアプ
リケーションブレード等のベベルタイプあるいはベント
タイプ等のブレードコーター、さらに上記ブレードコー
ターの他にエアーナイフコーター、リップコーター、ダ
イスロットコーター、カーテンコーター等の一般に塗工
紙製造分野で使用されている塗工装置が挙げられる。塗
工方法も原紙の両面または片面に塗工される。勿論、こ
れらの塗工装置はオンマシン仕様でも、あるいはオフマ
シン仕様のいずれでも良い。
【0028】原紙への塗工量は一般に乾燥重量で片面当
たり3〜50g/m2 程度であるが、得られるグラビア
用印刷塗工紙の白紙品質、印刷仕上がり、あるいは印刷
適性、さらには高速塗工における乾燥能力等を考慮する
と5〜30g/m2 程度の範囲で調整することが望まし
い。また、湿潤塗工層を乾燥する方法としては、例えば
蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外
線ヒーター乾燥等の各種方式が適宜採用される。
【0029】かくして得られた乾燥塗工紙は、キャレン
ダー仕上げが施されるが、キャレンダー装置やニップ
圧、ニップ数、金属ロールの表面温度等については、特
に限定されるものではない。なお、使用されるキャレン
ダー装置としては、例えばスーパーキャレンダー、ソフ
トキャレンダー、グロスキャレンダー、ソフトコンパク
トキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マット
キャレンダー等の一般に製紙業界で使用されているキャ
レンダー装置が適宜使用できる。
【0030】本発明では、艶消し塗工紙としての特徴
(外観)を得るためには白紙面光沢を55%以下にする
ことが必要であり、下限は特に限定するものではない
が、実用的には10%以上とすることが好ましい。因み
に、55%を越えると、艶消し塗被紙としての外観を得
ることができず(光沢が発現される)、一方10%未満
では良好な塗工層表面の平滑性を得ることが難しく、満
足すべき印刷効果が得られなくなるおそれがある。
【0031】さらに、本発明では塗工層表面の光沢度が
55%以下となるように仕上げると同時に、塗工層表面
の平滑性としてマイクロトポグラフ(東洋精機製作所)
で測定した設定圧力20kgf/cm2 における加圧開
始後10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下になるよう
に仕上げることが重要である。即ち、グラビア印刷の着
肉性の良し悪しは、紙がグラビア印刷に際し版胴と圧胴
からなるニップ部を通過する際に受ける圧力下での平滑
性が大きな影響を与えており、瞬間加圧下での平滑性が
高いものほどミッシングドットの発生が少なく、グラビ
ア印刷適性が良好である。本発明者等は、グラビア印刷
適性と種々の平滑度測定法との相関性を検討した。その
結果、グラビア印刷適性と最も相関性の高い平滑度測定
法として、マイクロトポグラフによるRp値が上記の如
き条件下で2.0μm以下となるときに極めて優れたグ
ラビア印刷適性効果が得られることを見出したのであ
る。
【0032】ここに、マイクロトポグラフとは、加圧下
におけるガラス面と紙の光学的接触率から、平滑性の指
標となるRp値を算出するものである。他方、製紙業界
では、一般に紙の平滑度を示すのにベック平滑度計、王
研式平滑度計、あるいはスムースター平滑度計等の空気
漏洩量から平滑度を算出する装置が多用されている。し
かしながら、グラビア印刷適性との観点から考察した場
合、特定条件でのマイクロトポグラフによる値が、実際
のグラビア印刷における版と紙の接触状態を最も良く再
現できることを見出したのである。なお、グラビア印刷
下でのニップ圧力は通常10〜20kgf/cm2 で、
ニップの通過時間は1ミリ秒前後といわれており、非常
に短時間の加圧下での用紙の平滑性、即ち、用紙とグラ
ビア印刷版との接触率が重要であることが分かる。従来
より、加圧下でのガラス面と紙の光学的接触率を測定す
る装置として、正反射平滑度計(チャップマン平滑度計
ともいう)が知られている。
【0033】この正反射平滑度計はグラビア印刷におけ
るニップ圧力は再現できるものの、接触率の測定値の読
み取りは最も早いものでも加圧開始してから数秒かか
り、実際のグラビア印刷の印圧ニップ部の通過時間に比
較して長時間を要しており、実際のグラビア印刷でのニ
ップ状態を再現するには程遠いものである。
【0034】一方、マイクロトポグラフでは、加圧開始
後1ミリ秒前後の接触率の読み取りは不可能であるが、
最短で加圧開始後10ミリ秒後のガラス面と紙の光学的
接触率を読み取ることが可能であり、紙とガラス面との
接触率から算出される平滑性の指標となるRp値(凹部
の平均深さに比例した物理量:単位μm)とミッシング
ドットの発生率を調べた結果、マイクロトポグラフの加
圧圧力20kgf/cm2 の設定で加圧開始後10ミリ
秒後のRp値がミッシングドットの発生率と最も相関性
の高いことがわかった。
【0035】即ち、マイクロトポグラフの設定圧力20
kgf/cm2 における加圧開始後10ミリ秒後のRp
値を2.0μm以下に仕上げることで、良好なグラビア
印刷適性を得ることができ、不必要にキャレンダー処理
を強くして艶消し塗被紙としての外観を低下させたり、
潰しすぎて剛度を低下させることがなく、グラビア印刷
適性と艶消し塗被紙としての外観、さらには剛度を効果
的にバランスさせることが可能となる。因みに、本発明
が所望するRp値を得る方法としては、スーパーキャレ
ンダー等による平滑化処理条件、原紙に塗工する水性塗
工液の塗被量、塗工液中に含有される嵩密度が相対的に
低い(嵩密度:0.2〜0.6g/cm 3 )顔料の量や
種類を変更する、あるいは原紙に一旦下塗りをしたもの
を使用する等の諸条件を適宜組合わせて調整する方法が
取られる。
【0036】なお、Rp値の下限としては特に限定する
ものではないが、艶消し塗被紙の外観特性等を考慮する
と、Rp値の下限値としては0.5μmである。因み
に、0.5μm未満では艶消し塗工紙としての外観を損
なう(光沢が出易くなる)おそれがある。
【0037】次に、本発明で使用される原紙としては特
に限定されないが、例えば原紙の米坪については30〜
300g/m2 程度の範囲で適宜選択される。また、原
紙抄造に際し、使用されるパルプとしては、木材や麻等
の植物繊維を原料とするKP、SP等の化学パルプ、あ
るいはGP、TMP、CTMP、CGP、SCP等の機
械パルプや高歩留パルプ、さらにはそれらの漂白パル
プ、また、古紙パルプ、合成パルプ、無機質繊維等の中
から適宜選択して使用される。
【0038】抄紙方法については、例えば抄紙pHが
4.5付近である酸性抄紙によるもの、あるいは炭酸カ
ルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙p
Hが約6の弱酸性〜約9の弱アルカリ性で行う中性抄紙
によるもの等の方法があり、特に限定されるものではな
い。また、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙
機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を適宜使用できる。
【0039】なお、原紙に漂白化学パルプを高率配合す
ると、塗工紙の平滑性は良くなるが、他方クッション性
に欠けるようになるため、グラビア印刷におけるミッシ
ングドットは増加する傾向がある。このため、原紙を構
成するパルプ繊維の15〜100重量%を一旦乾燥履歴
を経たLBKP(晒広葉樹パルプ/ドライパルプ)を使
用することで、漂白化学パルプを高率配合した場合のグ
ラビア印刷適性の弱点を補い、本発明の効果をさらに高
めることができる。因みに、ドライパルプの配合量が1
5重量%未満の場合には、ドライパルプの持つ効果を十
分に発揮させることができなくなるおそれがある。
【0040】本発明において、ドライパルプとはスラッ
シュパルプ(パルプ製造工程から直接得られる湿潤状態
のパルプ)を一旦乾燥して、水分を25〜3%程度まで
にしたものを指す。即ち、ドライパルプは、パルプ製造
工程から直接得られる湿潤状態のスラッシュパルプとは
異なって、少なくとも1度は乾燥履歴を持つために、抄
紙に際しドライパルプを湿潤状態に戻しても、一度も乾
燥したことのないスラッシュパルプと比較した場合、パ
ルプの膨潤性が劣る。そのために、抄紙機上でのプレス
や乾燥過程を経てもパルプ繊維が潰れにくく、ドライパ
ルプを用いて抄紙した原紙は空隙が多くクッション性に
富む。その結果、ドライパルプを配合して得た原紙をグ
ラビア印刷用塗工紙の原紙として用いると、平滑性が高
くクッション性に富む塗工紙とすることができるため、
良好なグラビア印刷適性を得ることができるのみなら
ず、紙腰(剛度)の強い塗工紙が得られ易い。
【0041】なお、抄紙に際し、紙料中にパルプととも
に配合される填料としては、製紙業界で一般に使用され
ている填料が使用され、例えば重質炭酸カルシウム、軽
質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、
カオリン、クレー、焼成カオリン、非晶質シリカ、デラ
ミカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料やポリスチレン樹
脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等
の有機顔料等が例示される。さらに古紙やブローク等に
含まれる顔料も再生使用できる。また、必要に応じてこ
れらの1種あるいは2種以上の填料を適宜組み合わせて
使用することも可能である。
【0042】なお、原紙中にはパルプ繊維や填料の他
に、本発明が所望する効果を損なわない範囲で、従来か
ら使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙
力向上剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤が必要に応
じて適宜選択して使用される。例えば、アルミニウム、
鉄、スズ、亜鉛等の多価金属化合物(例えば硫酸バン
ド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化
アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基
性アルミニウム化合物や水に易分散性のアルミナゾル等
の水性アルミニウム化合物あるいは硫酸第一鉄、塩化第
二鉄等)や各種サイズ剤(アルキルケテンダイマー系、
アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高
級脂肪酸系、あるいは石油樹脂系のサイズ剤やロジン系
のサイズ剤等)および各種澱粉類、ポリアクリルアミ
ド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリエチレンイ
ミン、ポリアミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、
ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリ
マー粒子分散物およびこれらの誘導体あるいは変性物等
の各種化合物が例示できる。さらに、染料、蛍光増白
剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スラ
イムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を用途に応じて
適宜添加することもできる。
【0043】かくして抄紙された原紙は必要に応じてサ
イズプレス処理も施される。サイズプレス液としては
水、澱粉、各種化工澱粉、各種水溶性セルロース、各種
ポリビニールアルコール、各種ポリアクリルアミド、ラ
テックス、アルキルケテンダイマー、スチレン−アクリ
ル系、オレフィン−無水マレイン酸系、高級脂肪酸系の
各種表面サイズ剤、さらにエポキシ化合物等の耐水化
剤、蛍光増白剤、消泡剤、湿潤剤、帯電防止剤、各種無
機顔料、各種有機顔料、染料、澱粉粒子および各種添加
剤を必要に応じて添加することもできる。
【0044】サイズプレス液の塗工方法については、例
えばツーロールサイズプレス、メタリングブレード式の
サイズプレス、ビルブレードサイズプレス、ゲートロー
ルサイズプレス、キャレンダーサイブプレス等の一般に
使用されているサイズプレス装置やコーター等の一般に
使用されている塗工装置が適宜使用され、紙の両面また
は片面に塗布される。
【0045】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明の効果を具体
的に説明する。勿論、本発明はそれらに限定されるもの
ではない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部、
重量%を示す。
【0046】実施例1 〔原紙〕スラッシュパルプを叩解したLBKP(ユーカ
リ材/C.S.F 400ml)85部、スラッシュパルプを
叩解したNBKP(スプルース材C.S.F 400ml)1
5部からなるパルプスラリー100部(固形分として)
に、軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−1
21/奥多摩工業社製)8部を添加した後に順次、硫酸
アルミニウム0.5部、カチオン澱粉(商品名:アミロ
ファックス2200/松谷化学工業社製)0.4部、ア
ルキルケテンダイマー(商品名:サイズパインK−28
7/荒川化学工業社製)0.1部、アニオン性ポリアク
リルアミド(商品名:アラフィクス−504/荒川化学
工業社製)0.02部を添加し、紙料を調製した。この
ようにして得られた紙料を長網抄紙機で抄紙し、米坪4
7g/m2 の原紙を得た。
【0047】〔澱粉の低分子化〕生トウモロコシ澱粉粉
末(王子コンスターチ社製)100部(固形分換算/以
下も同様)に、過硫酸アンモニウム0.20部、NaO
H0.3部を添加し、固形分29%濃度の澱粉スラリー
にした後、ジェットクッカー(商品名:TCC12GP
M型/加藤化学社製)を使用して温度を30℃から15
0℃に昇温し、5分間保持して澱粉を糊化低分子化処理
した。このようにして得られた澱粉の重量平均分子量は
5.5×104 であった。
【0048】〔塗工液の調製および塗工、仕上げ〕嵩密
度が0.47g/m3 の構造化カオリン(商品名:エク
シロン/エンゲルハード社製)40部、嵩密度が0.7
3g/m3 の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2
200/備北粉化工業社製)20部、嵩密度が0.85
g/m3 のカオリン(商品名:HT/エンゲルハード社
製)40部、分散剤0.2部、防腐剤0.05部、消泡
剤0.1部、潤滑剤0.3部、スチレン−ブタジエン共
重合体ラテックス(L−1453/旭化成工業社製)
5.5部(いずれも固形分換算)を混合分散した水性液
中に、上記で調製した澱粉糊液2部(固形分換算)を配
合し、固形分濃度が60%の塗工液を調製した。次い
で、上記の如き条件で抄紙した47g/m2 原紙に乾燥
重量が片面当たり、15g/m2 となるようにブレード
コーターで両面塗工、乾燥後、スーパーキャレンダー処
理を行い、マイクロトポグラフで測定した(設定圧力=
20kgf/cm2 ,加圧開始10ミリ秒後の値)Rp
値が1.1μmで、光沢度45%のグラビア印刷用塗工
紙を得た。
【0049】実施例2 実施例1の塗工液の調製において、澱粉量を2部から6
部(各固形分)へ変更した以外は実施例1と同様にし
て、Rp値が1.9μm、光沢度40%のグラビア印刷
用塗工紙を得た。
【0050】実施例3 実施例1の澱粉低分子化において、新たにNa2 CO3
を0.05部添加して、重量平均分子量が25×104
の澱粉を得た。かくして得られた澱粉を実施例1の塗工
液の調製で用いた澱粉に代えて用いた以外は実施例1と
同様にして、Rp値が1.7μm、光沢度42%のグラ
ビア印刷用塗工紙を得た。
【0051】実施例4 実施例1の塗工液の調製において、エクシロンに代えて
嵩密度が0.54の軽質炭酸カルシウム(商品名:TP
−121/奥多摩工業社製)を用いた以外は実施例1と
同様にして、Rp値が1.7μm、光沢度30%のグラ
ビア印刷用塗工紙を得た。
【0052】実施例5 実施例1の塗工液の調製において、嵩密度が0.26g
/cm3 の焼成カオリン(商品名:アンシレックス/エ
ンゲルハード社製)を20部、嵩密度が0.73g/c
3 の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200
/備北粉化工業社製)を40部、および嵩密度が0.7
5g/cm3 のカオリン(商品名:HT/エンゲルハー
ド社製)を40部としたこと以外は実施例1と同様にし
てRp値が0.7μm、光沢度40%のグラビア印刷用
塗工紙を得た。
【0053】実施例6 実施例1の原紙の調製において、スラッシュパルプのL
BKPに代えて水分15%まで一旦乾燥したドライパル
プのLBKPを使用したこと以外は実施例1と同様にし
て、Rp値が0.9μm、光沢度45%のグラビア印刷
用塗工紙を得た。
【0054】実施例7 実施例1の澱粉の低分子化において、熱化学変性に代え
て酸化変性トウモロコシ澱粉粉末(商品名:エースA/
王子コーンスターチ社製)100部に、α−アミラーゼ
(商品名:スピターゼPG/長瀬産業社製)0.03部
を添加し、固形分20%濃度の澱粉スラリーにして、オ
ートクレーブを使用して、温度を30℃から120℃に
30分間で昇温した後、温度120℃で20分間保持し
て澱粉を糊化低分子化処理して、重量平均分子量が23
×104 の澱粉を得た。次いで、実施例1において、澱
粉を上記で得られた澱粉に代えたこと以外は実施例1と
同様にして、Rp値が1.6μm、光沢度43%のグラ
ビア印刷用塗工紙を得た。
【0055】実施例8 実施例1の澱粉の低分子化処理において、過硫酸アンモ
ニウムの添加量を0.20部から0.13部へ変更し、
澱粉の重量平均分子量が30×104 の澱粉を得た。次
いで、実施例1で使用した澱粉の代わりに上記澱粉を用
いたこと以外は実施例1と同様にして、Rp値が1.9
μm、光沢度40%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0056】実施例9 実施例1の澱粉の低分子化処理において、過硫酸アンモ
ニウムの添加量を0.20部から0.25部へ変更し、
澱粉の重量平均分子量が4×104 の澱粉を得た。次い
で、実施例1で用いて澱粉の代わりに上記澱粉を用いた
こと以外は実施例1と同様にして、Rp値が0.9μ
m、光沢度48%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0057】比較例1 実施例1の塗工液の調製において、澱粉量を2部から1
2部(各固形分)に変更したこと以外は実施例1と同様
にして、Rp値が3.5μm、光沢度35%のグラビア
印刷用塗工紙を得た。
【0058】比較例2 実施例1の塗工液の調製において、嵩密度が0.47g
/m3 の構造化カオリン(商品名:エクシロン/エンゲ
ルハード社製)を5部、嵩密度が0.73g/m3 の重
質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200/備北粉
化工業社製)を45部、嵩密度が0.75g/m3 のカ
オリン(HT/エンゲルハード社製)50部用いたこと
以外は実施例1と同様にして、Rp値が2.2μm、光
沢度41%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0059】比較例3 実施例8の塗工液の調製において、澱粉量を2部から6
部(いずれも固形分)へ変更したこと以外は実施例8と
同様にして、Rp値が3.2μm、光沢度37%のグラ
ビア印刷用塗工紙を得た。
【0060】比較例4 実施例1において、両面塗工、乾燥後のスーパーキャレ
ンダー処理のニップ圧を下げたこと以外は実施例1と同
様にして、Rp値が2.9μm、光沢度37%のグラビ
ア印刷用塗工紙を得た。
【0061】なお、各実施例および比較例で得られたグ
ラビア印刷用塗工紙について、ブレードコーター塗工適
性と塗工紙の品質評価を下記により行い、得られた結果
を表1にまとめて示した。
【0062】〔評価方法〕 (1)澱粉の重量平均分子量 高速液体クロマトグラフィーでカラムにTOSO−G5
000PWXL+G3000PWXL(東ソー社製)を
使用してプルラン換算で求めた。なお、検出器にはRI
を用いた。
【0063】(2)光沢度 JIS P8142に準拠して75°での光沢度を測定
した。
【0064】(3)ブレードコーター塗工適性 高速ブレード塗工テスト機(CLC−6000/センサ
ー アンド シミレーション プロダクツ社製…米国)
を用いて、塗工速度1200m/分、塗工量15g/m
2 の設定で、スタラクタイトの発生と塗りムラ(ストリ
ーク等)を評価した。 ◎ :スタラクタイトと塗りムラがなく操業性が極めて
良好であった。 ○ :スタラクタイトがわずかに発生したが塗りムラが
なく、操業性も良好であった。 × :スタラクタイトが少量発生し、多少の塗りムラが
発生した。
【0065】(4)塗工紙の剛度 JIS−P−8142に基いてクラーク剛度を測定し
た。試験幅30mmにおける紙のMD、CD方向の臨界
長を測定し、それらの平均値L(cm)を求め、クラー
クこわさ(cm3 /100)=L3 /100で表現し
た。
【0066】(5)塗工紙のグラビア印刷適性 (ミッシングドット=網点抜け率)印刷局式グラビア印
刷適性試験機(熊谷理機工業社製)を用い、印圧20k
g/cm、印刷速度50m/分の条件で、ザーンカップ
法で測定したインキ粘度が25秒のグラビア印刷用イン
キを用いて印刷した後、網点面積が20%の部分につい
てドットアナライザーDA−2000(KSシステムズ
社)を用い、網点の欠落数を測定し、その百分率を計算
した。
【0067】(6)Rp値の測定 マイクロトポグラフ(東洋精機製作所製)を用い、設定
圧力20kgf/cm 2 における加圧開始10ミリ秒後
の値を測定した。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】表1から明らかなように、本発明に係る
艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法は、ブレードコ
ーター塗工適性に優れ、さらに得られた艶消しグラビア
印刷用塗工紙は剛度とグラビア印刷適性(ミッシングド
ットの発生率)のバランスがとれ、極めて品質の優れた
ものであった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工
    層を設けてなる艶消しグラビア印刷用塗工紙において、
    該顔料として嵩密度が0.2〜0.6g/cm 3 である
    顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、か
    つ塗工層表面の白紙光沢が55%以下、さらに塗工層表
    面の平滑性としてマイクロトポグラフで測定した設定圧
    力20kgf/cm2 における加圧開始10ミリ秒後の
    Rp値が2.0μm以下であることを特徴とする艶消し
    グラビア印刷用塗工紙。
  2. 【請求項2】原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性
    塗工液を塗工、乾燥して塗工層を設けた後、仕上げする
    艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法において、該顔
    料として、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 である顔
    料を全顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、かつ
    塗工層表面の光沢度が55%以下および塗工層表面の平
    滑性としてマイクロトポグラフで測定した設定圧力20
    kgf/cm2 における加圧開始10ミリ秒後のRp値
    が2.0μm以下となるようにキャレンダー仕上げする
    ことを特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方
    法。
  3. 【請求項3】嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 である
    顔料がカオリンである請求項2記載の艶消しグラビア印
    刷用塗工紙の製造方法。
  4. 【請求項4】接着剤として、重量平均分子量が5×10
    4 〜26×104 の澱粉を顔料に対し0.5〜10重量
    %使用する請求項2または請求項3記載の艶消しグラビ
    ア印刷用塗工紙の製造方法。
  5. 【請求項5】原紙として、その全パルプ繊維分の15〜
    100重量%がLBKPのドライパルプを使用した原紙
    を用いる請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の艶
    消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010037693A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 Daio Paper Corp 軽量塗工紙
JP2014208936A (ja) * 2013-03-29 2014-11-06 日本製紙株式会社 塗工紙

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