JP3543457B2 - 艶消しグラビア印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

艶消しグラビア印刷用塗工紙およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はグラビア印刷用塗工紙およびその製造方法に関し、特にミッシングドットの発生が少なく、グラビア印刷適性に優れた艶消しグラビア印刷用塗工紙、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラビア印刷は、ハイライト部から中間調にかけての再現性に優れており、美麗な写真印刷ができるために広く利用されている。そして、グラビア印刷は金属ロールの凹版から直接紙面にインキを転移させる印刷方式であり、網点抜け(以下、ミッシングドットと称す)を起こすと印刷効果が阻害されるので、その点を改善する目的で通常グラビア印刷用紙には高度な平滑性と高いクッション性が要求される。
【0003】
近年、艶はないが表面が平滑で印刷した場合の印刷仕上がりが優れる艶消し塗工紙への要望が高まっており、グラビア印刷用紙においてもグラビア印刷適性に優れる艶消し塗工紙への要望が高まっている。
ところで、艶消し塗工紙は意図的に白紙光沢を低く抑えるために、光沢を高く仕上げた塗工紙に比較して、粗い顔料を多量に含有した塗工液を原紙に塗工し、軽度のキャレンダー処理を行って製品化されている。このため、通常艶消しグラビア印刷用塗工紙は平滑性が劣っており、光沢の高いグラビア印刷用塗工紙と同等のグラビア印刷適性が得られていないのが現状である。
【0004】
ミッシングドットが発生しないような良好なグラビア印刷適性を得るために、原紙に機械パルプを高率配合してクッション性を持たせたり、原紙抄造過程でサイズプレスを水塗りにして原紙を固くしないような配慮をすることが多い。さらには、塗工層の接着剤としてガラス転移温度の低い共重合体ラテックスが好ましく使用される。しかし、いずれの方法も光沢の高いグラビア印刷用塗工紙を得る場合のように、高圧でキャレンダー処理を行って平滑性を高めてグラビア印刷適性を改善することには有効であっても、塗工層の顔料に粗い顔料を用い、軽度のキャレンダー仕上げを施される艶消しグラビア印刷用塗工紙の場合には十分な効果を得ることができない。
【0005】
また、塗工層に使用する顔料については、中空の有機顔料を配合する(特開平5−125695号)、特定の嵩密度を有するカオリンと特定の軽質炭酸カルシウムを配合する方法(特開平3−40895号)等が提案されている。
しかしながら、前者の方法では、良好なグラビア印刷適性を得るためには中空の有機顔料の配合量を多くする必要があるため光沢が高くなり、艶消し塗被紙としての低白紙光沢が維持できないという難点がある。一方、後者の方法ではブレードコーターの塗工時にスタラクタイトやブリーディングと称する、所謂ブレードの先端に高濃度あるいは半固化した塗工液が堆積する問題が起こり易い。その結果、塗工面にストリークやスクラッチを誘発し、良好な塗工層表面を形成させることができなくなるという問題がある。
【0006】
一般に、グラビア印刷用塗工紙はミッシングドットが発生しないように印刷適性を重要視して、塗工液の接着剤にソールバインダータイプのラテックスを使用し、できるだけ澱粉類を使用しないようにしている。その結果、塗工層の顔料として嵩密度の低いものを用いると上記ブレード塗工適性の低下が極めて著しいといった難点がある。
【0007】
ブレード塗工におけるスタラクタイトやブリーディングの解消手段として、共重合体ラテックスをカルボキシル基等で変性したアルカリ感応型ラテックスとしてアルカリによって増粘させて塗工液の保水性を向上させたり、あるいはカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ガム類、合成保水性改良剤、増粘剤等の助剤を配合して塗工液に保水性を付与する方法等があるが、顔料として嵩密度が低いものを用いた塗工液の場合には十分な改善効果を得ることができないだけでなく、剛度(紙腰)を高めることも期待できない。
【0008】
なお、紙の剛度を改良する技術については、原紙に剛直な針葉樹のクラフトパルプ(NKP)を高率配合する方法、澱粉をサイズプレスにより原紙へ多量に塗布する方法、および塗工層に高率配合する方法、さらにはガラス転移温度の高い共重合体ラテックスを使用する等の公知の方法があるが、いずれの方法も紙の剛度を向上させることはできるが、他方平滑性やクッション性が低下し、結果としてグラビア印刷適性が低下するといった難点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記した如き実状より、本発明は、ミッシングドットの発生がないか又は軽減された、グラビア印刷適性に優れた艶消し塗工紙およびその製造方法を提供するものである。特に、塗工層に含まれる顔料の特定と塗工層表面における特定の平滑性を有する塗工層に仕上げた場合に所望の効果が得られるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる艶消しグラビア印刷用塗工紙において、原紙として、その全パルプ繊維分の15〜100重量%がLBKPのドライパルプを使用した原紙を用い、該顔料として嵩密度が0.2〜0.6g/cm3である顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、かつ塗工層表面の白紙光沢が55%以下、さらに塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフで測定した設定圧力20kgf/cm2における加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下であることを特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙、および原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性塗工液を塗工、乾燥して塗工層を設けた後、仕上げする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法において、原紙として、その全パルプ繊維分の15〜100重量%がLBKPのドライパルプを使用した原紙を用い、該顔料として、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3である顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、かつ塗工層表面の光沢度が55%以下および塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフで測定した設定圧力20kgf/cm2における加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下となるようにキャレンダー仕上げすることを特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者等はミッシングドットが効果的に解消され、かつグラビア印刷適性に優れる艶消しグラビア印刷用塗工紙、さらにその製造方法に関し、特にブレードコーターを用いて製造する時の塗工適性に優れ、しかも、キャレンダー仕上げ後の紙の剛度(紙腰)が高く、かつミッシングドットの発生が少なく、良好なグラビア印刷適性を有する艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法について鋭意研究を重ねた。
【0012】
その結果、下記の如き特定のドライパルプを配合した原紙を用い、塗工層用顔料として、特定の嵩密度を有する顔料を特定量配合せしめ、かつ塗工層表面の白紙光沢を55%以下、および塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフ(東洋精機製作所)で測定した設定圧力20kg/cm2における加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下となるように、キャレンダー処理することにより、艶消し塗工紙としての外観(低白紙光沢)とミッシングドットの発生が極めて少なく、良好なグラビア印刷適性を備えた、艶消し塗工紙が得られることを初めて見出し、遂に本発明を完成するに至ったのである。
【0013】
特に、上記特定の嵩密度を有する顔料としてカオリンを、また、接着剤として特定の重量平均分子量を有する澱粉を特定量配合することにより、良好な塗工適性、特に優れたブレードコーター塗工適性が得られ、さらに、原紙を構成する全パルプ繊維分の15〜100重量%が一旦乾燥工程を経たLBKP、所謂LBKPのドライパルプである場合に、より優れた効果を得ることができる。
【0014】
以下に、これらの各要件について、詳細に述べる。
特定の嵩密度とは、JIS−K5101(タップ法)に準拠して測定される値(単位:g/cm3 )を指す。そして、本発明ではこの値が0.2〜0.6g/cm3 である顔料を特定量使用するものである。このような顔料としては、例えば微粒軽質炭酸カルシウム、微粒軽質炭酸カルシウムの凝集体、微粒水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、焼成カオリン、各種の化学的、物理的な処理を施した構造化カオリン、無定形シリカ、アルミナ、あるいは有機系顔料の1つである尿素−ホルムアルデヒド樹脂等を例示でき、これらの少なくとも1種以上を使用できる。前記したように、塗工適性の面からカオリン系の嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 である顔料が特に好ましい。
【0015】
因みに、嵩密度が0.6g/cm3 を越えると、ブレード塗工で得られる塗工層の平滑性が劣り、軽度のキャレンダー処理により、艶消し塗被紙としての良好な外観とグラビア印刷適性を両立させ得ることが難しくなる。他方、嵩密度が0.2g/cm3 未満の場合には、塗工液粘度の上昇が著しくなり、ブレードコーターにおける塗工適性や作業性の点で難点を有するようになり、好ましくない。
【0016】
なお、前記したように上記特定の嵩密度を有する顔料がカオリンである場合に本発明の所望の効果をさらに高めることができるのでより好ましい。
かかる特定の嵩密度を有する顔料は塗工層用塗液の全顔料の10〜50重量%の範囲で調整することが必要である。因みに、10重量%未満の場合には、本発明が所望とする効果を得ることができず、他方50重量%を越えると、ブレードコーターの塗工適性が低下するために好ましくない。
【0017】
本発明において、塗工層に使用される顔料としては特定の嵩密度を有する顔料の他に、上記特定の嵩密度を有する顔料と同種であり、その嵩密度が特定条件より外れたもの、さらに塗工紙用顔料として広く用いられている重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、セリサイト等の無機顔料やポリスチレンやスチレン−アクリル共重合体樹脂等の中空あるいは非中空微粒子等種々の形状の有機顔料等を使用することができ、必要に応じてこれらの顔料を適宜組合わせて使用することができる。
【0018】
また、接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体あるいは共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体あるいは共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ感応性あるいはアルカリ非感応性の重合体ラテックス等の共重合体ラテックスを単独あるい種々組み合わせて使用することができる。さらに、酸化、エーテル化、アセチル化、カチオン化等の加工が施された澱粉系接着剤、ポリビニルアルコール、メラミン樹脂等の合成樹脂系接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の各種接着剤の一種以上を適宜選択して併用しても構わない。なお、共重合体ラテックスのTgは塗工層の平滑性やクッション性を考慮して−60〜0℃のものを使用することが好ましい。なお、接着剤の使用量は固形分対比で顔料100重量部に対し、5〜30重量部程度で調整される。
【0019】
本発明では、特に接着剤として重量平均分子量が5×104 〜26×104 の澱粉を顔料100重量部に対し、固形分対比で0.5〜10重量部使用することで、特定の嵩密度を有する顔料を含む塗工液のブレードコーター塗工適性を改善できると同時に、より平滑な塗工面を得ることができるので、より好ましい実施態様となり得る。
【0020】
ところで、従来より澱粉は接着剤としての機能、塗工液に保水性を与える機能、さらには紙製品に剛度を付与できる機能を有するものとしてグラビア印刷用塗工紙以外では、巾広く多量に用いられている。一方、グラビア印刷用塗工紙の接着剤として用いると、ミッシングドットが発生し易くグラビア印刷適性が低下し易いものである。しかしながら、上記したような特定の重量平均分子量を有する澱粉を用いると、澱粉の本来の機能である接着力、保水性および紙への剛度付与機能を維持しながら、従来のように相対的に分子量の大きい澱粉を使用した場合に比較し、グラビア印刷適性を殆ど低下させないものである。
【0021】
即ち、高分子量の澱粉の場合、その分子間に存在する水素結合の数が多いために被膜強度が向上し、接着強度や剛度の向上効果は大きいが、一方で強い被膜形成は塗工層のクッション性を低下させるために、結果的にグラビア印刷適性を低下させているものと考えられる。因みに、重量平均分子量が26×104 を越える場合には、接着強度や剛度の向上が飽和するのに対し、グラビア印刷適性が急激に低下する懸念がある。一方、重量平均分子量が5×104 未満では塗工液の保水性が低下し、ブレードコーター塗工適性が維持されなくなるおそれがあり、さらには剛度の低下も懸念される。
【0022】
ところで、澱粉の重量平均分子量の測定は、澱粉の分子量測定において重量平均分子量として規定されている一般的な高速液体クロマトグラフィー法を採用した。測定条件の詳細については実施例の評価方法で示した。
なお、ここで採用した澱粉の重量平均分子量は本発明の目的を達成する指標として優れているものである。因みに、一般に使用されているブラベンダー粘度やB型粘度では見掛け粘性の判断基準にはなるが、ブレードコーター塗工における塗工液の流動性(塗工適性)や保水性を加味した評価基準(指標)として採用するには実用性に欠けるものである。
【0023】
澱粉の重量平均分子量を調整する方法としては、例えば、過硫酸塩等による熱化学変性、α−アミラーゼ等による酵素変性、次亜塩素酸塩等による酸化変性時の薬品の添加量や反応条件(反応時間やpH調整)等によって調整ができる。また、エステル化、エーテル化、アセチル化、α化、カチオン化等の変性処理によってもその条件を適宜調整することにより、所望の澱粉を得ることができる。さらに、冷水糊化可能の形態として使用すると高濃度塗工液を得ることもできる。
【0024】
上記の澱粉の原料となるものは、例えばトウモロコシ、馬鈴薯、小麦、タピオカ等が使用される。上記に示した各種変性方法のなかでも、特に生澱粉に過硫酸アンモニウムを添加して熱化学変性した澱粉を使用すると、製紙工場で自家変性することが極めて容易であり、かつその条件を任意に選択できるので、コーター条件に最適な重量平均分子量のものを簡単に調製できるので最も好ましい方法である。この変性の場合には、pH調節剤、アルカリ剤、ゲル化防止剤、防腐剤、着色防止剤等の助剤を適宜添加することもできる。
【0025】
澱粉の配合部数は顔料100重量部当たり、0.5〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。因みに、0.5重量部未満の場合には、製品の剛度の向上が不十分となるのみならず、ブレードコーターにおける塗工適性が不十分(保水性の減少)となって平滑な塗工層が得られなくなるおそれがある。他方、10重量部を越えるとグラビア印刷適性が低下するおそれがある。
【0026】
なお、塗工液中には主成分である顔料、接着剤の他に、必要に応じて分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、滑剤、染料、pH調節剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
【0027】
原紙に塗工液を塗工する際は、良好な平滑性の塗工層を得ることができるブレードコーターを用いて塗工するのが好ましく、一層および多層の塗工層を任意に設けてよい。また、本発明において使用される塗工装置としては、例えばトレーリングブレード、フレキシブルブレード、パドルブレード、ロールアプリケーションブレード、ファウンテンアプリケーションブレード、ショートドウエルブレード、ファウンテンブレードアプリケーションブレード等のベベルタイプあるいはベントタイプ等のブレードコーター、さらに上記ブレードコーターの他にエアーナイフコーター、リップコーター、ダイスロットコーター、カーテンコーター等の一般に塗工紙製造分野で使用されている塗工装置が挙げられる。塗工方法も原紙の両面または片面に塗工される。勿論、これらの塗工装置はオンマシン仕様でも、あるいはオフマシン仕様のいずれでも良い。
【0028】
原紙への塗工量は一般に乾燥重量で片面当たり3〜50g/m2 程度であるが、得られるグラビア用印刷塗工紙の白紙品質、印刷仕上がり、あるいは印刷適性、さらには高速塗工における乾燥能力等を考慮すると5〜30g/m2 程度の範囲で調整することが望ましい。また、湿潤塗工層を乾燥する方法としては、例えば蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が適宜採用される。
【0029】
かくして得られた乾燥塗工紙は、キャレンダー仕上げが施されるが、キャレンダー装置やニップ圧、ニップ数、金属ロールの表面温度等については、特に限定されるものではない。なお、使用されるキャレンダー装置としては、例えばスーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、ソフトコンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等の一般に製紙業界で使用されているキャレンダー装置が適宜使用できる。
【0030】
本発明では、艶消し塗工紙としての特徴(外観)を得るためには白紙面光沢を55%以下にすることが必要であり、下限は特に限定するものではないが、実用的には10%以上とすることが好ましい。因みに、55%を越えると、艶消し塗被紙としての外観を得ることができず(光沢が発現される)、一方10%未満では良好な塗工層表面の平滑性を得ることが難しく、満足すべき印刷効果が得られなくなるおそれがある。
【0031】
さらに、本発明では塗工層表面の光沢度が55%以下となるように仕上げると同時に、塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフ(東洋精機製作所)で測定した設定圧力20kgf/cm2 における加圧開始後10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下になるように仕上げることが重要である。
即ち、グラビア印刷の着肉性の良し悪しは、紙がグラビア印刷に際し版胴と圧胴からなるニップ部を通過する際に受ける圧力下での平滑性が大きな影響を与えており、瞬間加圧下での平滑性が高いものほどミッシングドットの発生が少なく、グラビア印刷適性が良好である。本発明者等は、グラビア印刷適性と種々の平滑度測定法との相関性を検討した。その結果、グラビア印刷適性と最も相関性の高い平滑度測定法として、マイクロトポグラフによるRp値が上記の如き条件下で2.0μm以下となるときに極めて優れたグラビア印刷適性効果が得られることを見出したのである。
【0032】
ここに、マイクロトポグラフとは、加圧下におけるガラス面と紙の光学的接触率から、平滑性の指標となるRp値を算出するものである。
他方、製紙業界では、一般に紙の平滑度を示すのにベック平滑度計、王研式平滑度計、あるいはスムースター平滑度計等の空気漏洩量から平滑度を算出する装置が多用されている。しかしながら、グラビア印刷適性との観点から考察した場合、特定条件でのマイクロトポグラフによる値が、実際のグラビア印刷における版と紙の接触状態を最も良く再現できることを見出したのである。なお、グラビア印刷下でのニップ圧力は通常10〜20kgf/cm2 で、ニップの通過時間は1ミリ秒前後といわれており、非常に短時間の加圧下での用紙の平滑性、即ち、用紙とグラビア印刷版との接触率が重要であることが分かる。従来より、加圧下でのガラス面と紙の光学的接触率を測定する装置として、正反射平滑度計(チャップマン平滑度計ともいう)が知られている。
【0033】
この正反射平滑度計はグラビア印刷におけるニップ圧力は再現できるものの、接触率の測定値の読み取りは最も早いものでも加圧開始してから数秒かかり、実際のグラビア印刷の印圧ニップ部の通過時間に比較して長時間を要しており、実際のグラビア印刷でのニップ状態を再現するには程遠いものである。
【0034】
一方、マイクロトポグラフでは、加圧開始後1ミリ秒前後の接触率の読み取りは不可能であるが、最短で加圧開始後10ミリ秒後のガラス面と紙の光学的接触率を読み取ることが可能であり、紙とガラス面との接触率から算出される平滑性の指標となるRp値(凹部の平均深さに比例した物理量:単位μm)とミッシングドットの発生率を調べた結果、マイクロトポグラフの加圧圧力20kgf/cm2 の設定で加圧開始後10ミリ秒後のRp値がミッシングドットの発生率と最も相関性の高いことがわかった。
【0035】
即ち、マイクロトポグラフの設定圧力20kgf/cm2 における加圧開始後10ミリ秒後のRp値を2.0μm以下に仕上げることで、良好なグラビア印刷適性を得ることができ、不必要にキャレンダー処理を強くして艶消し塗被紙としての外観を低下させたり、潰しすぎて剛度を低下させることがなく、グラビア印刷適性と艶消し塗被紙としての外観、さらには剛度を効果的にバランスさせることが可能となる。因みに、本発明が所望するRp値を得る方法としては、スーパーキャレンダー等による平滑化処理条件、原紙に塗工する水性塗工液の塗被量、塗工液中に含有される嵩密度が相対的に低い(嵩密度:0.2〜0.6g/cm3 )顔料の量や種類を変更する、あるいは原紙に一旦下塗りをしたものを使用する等の諸条件を適宜組合わせて調整する方法が取られる。
【0036】
なお、Rp値の下限としては特に限定するものではないが、艶消し塗被紙の外観特性等を考慮すると、Rp値の下限値としては0.5μmである。因みに、0.5μm未満では艶消し塗工紙としての外観を損なう(光沢が出易くなる)おそれがある。
【0037】
次に、本発明で使用される原紙としては、その全パルプ繊維分の15〜100重量%がLBKPのドライパルプを使用した原紙である限り特に限定されないが、例えば原紙の米坪については30〜300g/m2程度の範囲で適宜選択される。また、原紙抄造に際し、上記LBKP以外に使用されるパルプとしては、木材や麻等の植物繊維を原料とするKP、SP等の化学パルプ、あるいはGP、TMP、CTMP、CGP、SCP等の機械パルプや高歩留パルプ、さらにはそれらの漂白パルプ、また、古紙パルプ、合成パルプ、無機質繊維等の中から適宜選択して使用される。
【0038】
抄紙方法については、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙によるもの、あるいは炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙pHが約6の弱酸性〜約9の弱アルカリ性で行う中性抄紙によるもの等の方法があり、特に限定されるものではない。また、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を適宜使用できる。
【0039】
なお、原紙に漂白化学パルプを高率配合すると、塗工紙の平滑性は良くなるが、他方クッション性に欠けるようになるため、グラビア印刷におけるミッシングドットは増加する傾向がある。このため、原紙を構成するパルプ繊維の15〜100重量%を一旦乾燥履歴を経たLBKP(晒広葉樹パルプ/ドライパルプ)を使用することで、漂白化学パルプを高率配合した場合のグラビア印刷適性の弱点を補い、本発明の効果をさらに高めることができる。因みに、ドライパルプの配合量が15重量%未満の場合には、ドライパルプの持つ効果を十分に発揮させることができなくなるおそれがある。
【0040】
本発明において、ドライパルプとはスラッシュパルプ(パルプ製造工程から直接得られる湿潤状態のパルプ)を一旦乾燥して、水分を25〜3%程度までにしたものを指す。即ち、ドライパルプは、パルプ製造工程から直接得られる湿潤状態のスラッシュパルプとは異なって、少なくとも1度は乾燥履歴を持つために、抄紙に際しドライパルプを湿潤状態に戻しても、一度も乾燥したことのないスラッシュパルプと比較した場合、パルプの膨潤性が劣る。そのために、抄紙機上でのプレスや乾燥過程を経てもパルプ繊維が潰れにくく、ドライパルプを用いて抄紙した原紙は空隙が多くクッション性に富む。その結果、ドライパルプを配合して得た原紙をグラビア印刷用塗工紙の原紙として用いると、平滑性が高くクッション性に富む塗工紙とすることができるため、良好なグラビア印刷適性を得ることができるのみならず、紙腰(剛度)の強い塗工紙が得られ易い。
【0041】
なお、抄紙に際し、紙料中にパルプとともに配合される填料としては、製紙業界で一般に使用されている填料が使用され、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、非晶質シリカ、デラミカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示される。さらに古紙やブローク等に含まれる顔料も再生使用できる。また、必要に応じてこれらの1種あるいは2種以上の填料を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0042】
なお、原紙中にはパルプ繊維や填料の他に、本発明が所望する効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力向上剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、アルミニウム、鉄、スズ、亜鉛等の多価金属化合物(例えば硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や水に易分散性のアルミナゾル等の水性アルミニウム化合物あるいは硫酸第一鉄、塩化第二鉄等)や各種サイズ剤(アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、あるいは石油樹脂系のサイズ剤やロジン系のサイズ剤等)および各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物およびこれらの誘導体あるいは変性物等の各種化合物が例示できる。さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
【0043】
かくして抄紙された原紙は必要に応じてサイズプレス処理も施される。サイズプレス液としては水、澱粉、各種化工澱粉、各種水溶性セルロース、各種ポリビニールアルコール、各種ポリアクリルアミド、ラテックス、アルキルケテンダイマー、スチレン−アクリル系、オレフィン−無水マレイン酸系、高級脂肪酸系の各種表面サイズ剤、さらにエポキシ化合物等の耐水化剤、蛍光増白剤、消泡剤、湿潤剤、帯電防止剤、各種無機顔料、各種有機顔料、染料、澱粉粒子および各種添加剤を必要に応じて添加することもできる。
【0044】
サイズプレス液の塗工方法については、例えばツーロールサイズプレス、メタリングブレード式のサイズプレス、ビルブレードサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、キャレンダーサイブプレス等の一般に使用されているサイズプレス装置やコーター等の一般に使用されている塗工装置が適宜使用され、紙の両面または片面に塗布される。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明の効果を具体的に説明する。勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部、重量%を示す。
【0046】
比較参考例
〔原紙〕
スラッシュパルプを叩解したLBKP(ユーカリ材/C.S.F 400ml)85部、スラッシュパルプを叩解したNBKP(スプルース材C.S.F 400ml)15部からなるパルプスラリー100部(固形分として)に、軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121/奥多摩工業社製)8部を添加した後に順次、硫酸アルミニウム0.5部、カチオン澱粉(商品名:アミロファックス2200/松谷化学工業社製)0.4部、アルキルケテンダイマー(商品名:サイズパインK−287/荒川化学工業社製)0.1部、アニオン性ポリアクリルアミド(商品名:アラフィクス−504/荒川化学工業社製)0.02部を添加し、紙料を調製した。このようにして得られた紙料を長網抄紙機で抄紙し、米坪47g/m2の原紙を得た。
【0047】
〔澱粉の低分子化〕
生トウモロコシ澱粉粉末(王子コンスターチ社製)100部(固形分換算/以下も同様)に、過硫酸アンモニウム0.20部、NaOH0.3部を添加し、固形分29%濃度の澱粉スラリーにした後、ジェットクッカー(商品名:TCC 12GPM型/加藤化学社製)を使用して温度を30℃から150℃に昇温し、5分間保持して澱粉を糊化低分子化処理した。このようにして得られた澱粉の重量平均分子量は5.5×104 であった。
【0048】
〔塗工液の調製および塗工、仕上げ〕
嵩密度が0.47g/cm 3の構造化カオリン(商品名:エクシロン/エンゲルハード社製)40部、嵩密度が0.73g/cm 3の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200/備北粉化工業社製)20部、嵩密度が0.85g/cm 3のカオリン(商品名:HT/エンゲルハード社製)40部、分散剤0.2部、防腐剤0.05部、消泡剤0.1部、潤滑剤0.3部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(L−1453/旭化成工業社製)5.5部(いずれも固形分換算)を混合分散した水性液中に、上記で調製した澱粉糊液2部(固形分換算)を配合し、固形分濃度が60%の塗工液を調製した。次いで、上記の如き条件で抄紙した47g/m2原紙に乾燥重量が片面当たり、15g/m2となるようにブレードコーターで両面塗工、乾燥後、スーパーキャレンダー処理を行い、マイクロトポグラフで測定した(設定圧力=20kgf/cm2,加圧開始10ミリ秒後の値)Rp値が1.1μmで、光沢度45%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0049】
比較参考例
比較参考例1の塗工液の調製において、澱粉量を2部から6部(各固形分)へ変更した以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が1.9μm、光沢度40%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0050】
比較参考例
比較参考例1の澱粉低分子化において、新たにNa2CO3を0.05部添加して、重量平均分子量が25×104の澱粉を得た。かくして得られた澱粉を比較参考例1の塗工液の調製で用いた澱粉に代えて用いた以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が1.7μm、光沢度42%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0051】
比較参考例
比較参考例1の塗工液の調製において、エクシロンに代えて嵩密度が0.54の軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121/奥多摩工業社製)を用いた以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が1.7μm、光沢度30%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0052】
比較参考例
比較参考例1の塗工液の調製において、嵩密度が0.26g/cm3の焼成カオリン(商品名:アンシレックス/エンゲルハード社製)を20部、嵩密度が0.73g/cm3の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200/備北粉化工業社製)を40部、および嵩密度が0.75g/cm3のカオリン(商品名:HT/エンゲルハード社製)を40部としたこと以外は比較参考例1と同様にしてRp値が0.7μm、光沢度40%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0053】
実施例
比較参考例1の原紙の調製において、スラッシュパルプのLBKPに代えて水分15%まで一旦乾燥したドライパルプのLBKPを使用したこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が0.9μm、光沢度45%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0054】
比較参考例6
比較参考例1の澱粉の低分子化において、熱化学変性に代えて酸化変性トウモロコシ澱粉粉末(商品名:エースA/王子コーンスターチ社製)100部に、α−アミラーゼ(商品名:スピターゼPG/長瀬産業社製)0.03部を添加し、固形分20%濃度の澱粉スラリーにして、オートクレーブを使用して、温度を30℃から120℃に30分間で昇温した後、温度120℃で20分間保持して澱粉を糊化低分子化処理して、重量平均分子量が23×104の澱粉を得た。次いで、比較参考例1において、澱粉を上記で得られた澱粉に代えたこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が1.6μm、光沢度43%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0055】
比較参考例7
比較参考例1の澱粉の低分子化処理において、過硫酸アンモニウムの添加量を0.20部から0.13部へ変更し、澱粉の重量平均分子量が30×104の澱粉を得た。次いで、比較参考例1で使用した澱粉の代わりに上記澱粉を用いたこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が1.9μm、光沢度40%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0056】
比較参考8
比較参考例1の澱粉の低分子化処理において、過硫酸アンモニウムの添加量を0.20部から0.25部へ変更し、澱粉の重量平均分子量が4×104の澱粉を得た。次いで、比較参考例1で用い澱粉の代わりに上記澱粉を用いたこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が0.9μm、光沢度48%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0057】
比較例1
比較参考例1の塗工液の調製において、澱粉量を2部から12部(各固形分)に変更したこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が3.5μm、光沢度35%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0058】
比較例2
比較参考例1の塗工液の調製において、嵩密度が0.47g/cm 3の構造化カオリン(商品名:エクシロン/エンゲルハード社製)を5部、嵩密度が0.73g/cm 3の重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200/備北粉化工業社製)を45部、嵩密度が0.75g/cm 3のカオリン(HT/エンゲルハード社製)50部用いたこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が2.2μm、光沢度41%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0059】
比較例3
比較参考例7の塗工液の調製において、澱粉量を2部から6部(いずれも固形分)へ変更したこと以外は比較参考例7と同様にして、Rp値が3.2μm、光沢度37%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0060】
比較例4
比較参考例1において、両面塗工、乾燥後のスーパーキャレンダー処理のニップ圧を下げたこと以外は比較参考例1と同様にして、Rp値が2.9μm、光沢度37%のグラビア印刷用塗工紙を得た。
【0061】
なお、各比較参考例、実施例および比較例で得られたグラビア印刷用塗工紙について、ブレードコーター塗工適性と塗工紙の品質評価を下記により行い、得られた結果を表1にまとめて示した。
【0062】
〔評価方法〕
(1)澱粉の重量平均分子量
高速液体クロマトグラフィーでカラムにTOSO−G5000PWXL+G3000PWXL(東ソー社製)を使用してプルラン換算で求めた。なお、検出器にはRIを用いた。
【0063】
(2)光沢度
JIS P8142に準拠して75°での光沢度を測定した。
【0064】
(3)ブレードコーター塗工適性
高速ブレード塗工テスト機(CLC−6000/センサー アンド シミレーション プロダクツ社製…米国)を用いて、塗工速度1200m/分、塗工量15g/m2 の設定で、スタラクタイトの発生と塗りムラ(ストリーク等)を評価した。
◎ :スタラクタイトと塗りムラがなく操業性が極めて良好であった。
○ :スタラクタイトがわずかに発生したが塗りムラがなく、操業性も良好であった。
× :スタラクタイトが少量発生し、多少の塗りムラが発生した。
【0065】
(4)塗工紙の剛度
JIS−P−8142に基いてクラーク剛度を測定した。試験幅30mmにおける紙のMD、CD方向の臨界長を測定し、それらの平均値L(cm)を求め、クラークこわさ(cm3 /100)=L3 /100で表現した。
【0066】
(5)塗工紙のグラビア印刷適性
(ミッシングドット=網点抜け率)
印刷局式グラビア印刷適性試験機(熊谷理機工業社製)を用い、印圧20kg/cm、印刷速度50m/分の条件で、ザーンカップ法で測定したインキ粘度が25秒のグラビア印刷用インキを用いて印刷した後、網点面積が20%の部分についてドットアナライザーDA−2000(KSシステムズ社)を用い、網点の欠落数を測定し、その百分率を計算した。
【0067】
(6)Rp値の測定
マイクロトポグラフ(東洋精機製作所製)を用い、設定圧力20kgf/cm2 における加圧開始10ミリ秒後の値を測定した。
【0068】
【表1】
Figure 0003543457
【0069】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明に係る艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法は、ブレードコーター塗工適性に優れ、さらに得られた艶消しグラビア印刷用塗工紙は剛度とグラビア印刷適性(ミッシングドットの発生率)のバランスがとれ、極めて品質の優れたものであった。

Claims (4)

  1. 原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる艶消しグラビア印刷用塗工紙において、原紙として、その全パルプ繊維分の15〜100重量%がLBKPのドライパルプを使用した原紙を用い、該顔料として嵩密度が0.2〜0.6g/cm3である顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、かつ塗工層表面の白紙光沢が55%以下、さらに塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフで測定した設定圧力20kgf/cm2における加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下であることを特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙。
  2. 原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性塗工液を塗工、乾燥して塗工層を設けた後、仕上げする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法において、原紙として、その全パルプ繊維分の15〜100重量%がLBKPのドライパルプを使用した原紙を用い、該顔料として、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3である顔料を全顔料に対して10〜50重量%含有せしめ、かつ塗工層表面の光沢度が55%以下および塗工層表面の平滑性としてマイクロトポグラフで測定した設定圧力20kgf/cm2における加圧開始10ミリ秒後のRp値が2.0μm以下となるようにキャレンダー仕上げすることを特徴とする艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法。
  3. 嵩密度が0.2〜0.6g/cm3である顔料がカオリンである請求項2記載の艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法。
  4. 接着剤として、重量平均分子量が5×104〜26×104の澱粉を顔料に対し0.5〜10重量%使用する請求項2または請求項3記載の艶消しグラビア印刷用塗工紙の製造方法。
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