JP2004091997A - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を少なくとも二層有する印刷用塗工紙において、上塗り塗工層が、顔料100重量部当たり平均粒子径が0.30μm以上0.50μm以下のカオリンを60〜100重量部含有し、塗工紙の白色度が83.0%以上、光沢度の標準偏差が0.8%以下であることを特徴とする印刷用塗工紙。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用塗工紙に関し、白紙光沢度が高く、かつ面感のよい印刷用光沢塗工紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷物のビジュアル化傾向やカラー化が進み、印刷用紙の高品質化の要求が高まってきている。特に、従来から、高級美術印刷、カタログ、パンフレット、カレンダー等においては、印刷仕上がりでの高級感を求められてきており、記録物の美観の観点から塗工紙の白さ、色相、白紙光沢度、印刷光沢度等に対して、より厳しい目が向けられており、高白色度、高白紙光沢度のものが求められている。さらに、これらの品質に加えて、見た目の表面の均一さ、所謂「面感」は、紙の品質評価の重要な要素のひとつとなってきている。
【0003】
この面感として評価されるものは、実質的には、紙表面の白さや光沢度(白紙光沢度、印刷光沢度)、それに紙の厚さなどの均一性であって、これらにバラツキがあれば、面感は低い評価が与えられる。紙の場合には、製紙工程における坪量、紙厚の変動が紙表面の不均一の原因となり、面感についての低い評価の原因となる。また、紙表面に各種の顔料を塗工したコート紙においては、塗工の目的が平滑性、白さ、光沢、不透明度等の向上にあるために、ムラの発生は、塗工目的を達成することができず、商品としては当然のことながら、品質不合格ということになる。特に、コート紙表面上に生じる「梨地ムラ」と呼ばれる微細な光沢ムラは、品質上問題となる。
【0004】
面感に影響を及ぼす要因としては、コート原紙の平滑度、吸水性、地合ムラ等や、ブレード条件、塗工量等の塗工条件、乾燥条件、塗工層表面の顔料配向ムラ等が挙げられる。例えば、省力、省スペースの観点から乾燥ゾーンの長さをできる限り短くする場合、急激な乾燥を行う必要があるが、その結果、塗工直後の塗工層において、バインダー成分(澱粉、ラテックス)のマイグレーションが大きく、原紙層への浸透が不均一になり、印刷ムラ、すなわりモットリング(単色ベタ印刷部の光沢ムラ)やトラッピングムラ(重ね刷り時の印刷ムラ)が増加する問題が生じる。また、塗工液濃度が高すぎる場合、塗工液の流動性が悪化し、スタラグマイト(ブレードの刃先に発生する乾燥した鍾乳石状の塗工液組成物の凝集物)等が発生するため、塗工液濃度をある程度低くする必要があるが、濃度が低すぎる場合にも上記のようなムラの問題が生じることが知られている。一方で、スタラグマイトが生じない領域においても、塗工液濃度が高いとブレード圧を高くする必要があるが、高いブレード加圧により塗工面は荒れやすくなる傾向にあり、光沢ムラが酷くなると言われている。
【0005】
これらの光沢ムラ、印刷ムラを改善するために、種々の検討がなされてきた。例えば、原紙あるいは塗工紙を加湿、加熱した後高温でソフトカレンダー処理する方法(特許文献1、特許文献2参照)、特定の粒子径を有するラテックス及び特定の還元末端基量、分子量を有するデンプンを使用する方法(特許文献3参照)、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化反応により製造された米粒状または紡錘状の軽質炭酸カルシウムを使用する方法(特許文献4参照)により、光沢ムラを改善することが開示されている。また、板状の形状を有するカオリンは、炭酸カルシウムに比べて顔料の配向性が高いために、配向ムラに起因する微小光沢ムラが顕著になると考えられており、炭酸カルシウムを65重量%以上配合する塗料を塗工することにより、カレンダー処理後の微小光沢ムラを低減する方法も提案されている。(特許文献5参照)。
【0006】
しかしながら、上記のような従来の方法では、高白紙光沢度で、微小光沢ムラが非常に少なく、非常に面感の優れた印刷用塗工紙を得ることは困難であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−370298号公報
【特許文献2】
特開平4−361695号公報
【特許文献3】
特開平9−77862号公報
【特許文献4】
特開平11−107193号公報
【特許文献5】
特開平9−228298号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、高白紙光沢度を有しながら、微小光沢ムラが非常に少なく、従来にない面感を有した印刷用塗工紙を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を少なくとも二層有する印刷用塗工紙において、上塗り塗工層が、顔料100重量部当たり平均粒子径が0.30μm以上0.50μm以下のカオリンを60〜100重量部含有し、印刷用塗工紙の白色度を83.0%以上、光沢度の標準偏差が0.8%以下、更には0.7%以下とすることにより、高白紙光沢度で微小光沢ムラが非常に小さい、すなわち面感が従来にないほど優れた印刷用塗工紙を得ることができ、本発明を完成するに至った。本発明で規定する光沢度測定値の標準偏差は、特開平4−124440号公報に準じて作成されたScanning Micro Glossmeter(島津製作所製)を用いて、光沢度を測定し、標準偏差を求めた値である。本装置は被測定物の表面に波長が210〜230nmの紫外線のスポットを照射し、且つこのスポットが被測定物の一定面積の表面上を規則的に移動すると共に、上記各スポットについて入射角と等しい反射角で得られた反射光を光電変換し、更に比較演算して、各スポットの光沢度を測定し、その標準偏差を算出するものである。
【0010】
本発明において、高白紙光沢度で微小光沢ムラが極めて少なく、良好な面感が得られる理由は、以下のように考えられる。
【0011】
通常、白紙光沢度の高い印刷用塗工紙は、顔料としてカオリンと炭酸カルシウムが併用される。板状の形状を有するカオリンは、カレンダーで表面仕上げされる際、配向しやすく、かつ形状が必ずしも均一でないため、部分的に不均一な配向を起こし、この配向ムラが光沢ムラになると考えられる。この配向ムラを起こしやすいカオリンと不定形状で粒子径分布がブロードな炭酸カルシウムからなる塗工層は、密度ムラ、空隙構造のムラが多く、その結果、印刷インキの浸透ムラに起因するモットリングやトラッピングムラが発生するものと考えられる。これに対して、本発明では、カオリンを高配合するにも関わらず、微小光沢ムラが小さい。この要因として、カオリンの平均粒子径が0.30μm以上0.50μm以下と非常に小さいためにアスペクト比が小さく、配合ムラが相対的に小さくなると考えられる。また、塗工紙の白色度を83.0%以上、より好ましくは83.5%以上にすることにより、微小光沢ムラが更に少なくなり、目視による面感が良好になる。これについては、塗工紙の白色度が低い場合と比較して、白色度が高い塗工紙は照明光の散乱が大きく、白紙光沢度の低い部分と高い部分の相対的な差がより小さくなり、カオリンの配向ムラが目立たなくなるものと考えられる。
【0012】
また本発明においては、上記の上塗り塗工層を、原紙上ではなく、原紙上に、下塗り塗工層を設けた上に設けることが重要である。ダブル塗工層ではなく、シングル塗工層にした場合、従来の一般的なシングルコートで用いられていた塗工層に含まれる顔料よりも小さいため、顔料粒子の原紙中への浸透が大きいことから、原紙の被覆性が低く、面感のよい塗工紙を得ることが困難である。故に本発明においては、あらかじめ原紙上に下塗り塗工層を形成し、上塗り塗工層の原紙への浸透を抑制することで、原紙の被覆性を向上することが重要である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、原紙上に顔料と接着剤を含む塗工層を少なくとも二層設けることにより、印刷用塗工紙を得るものである。
【0014】
本発明において使用する上塗り塗工層の顔料としては、顔料100重量部当たり平均粒子径が0.30μm以上0.50μm以下のカオリンを60〜100重量部、より好ましくは70〜90重量部配合することにより、高白紙光沢度で、微小光沢ムラが極めて少ない面感の非常に優れた印刷用光沢塗工紙を得ることができる。また、白色度が87%以上、好ましくは89%以上のカオリンを使用することにより、微小光沢ムラが更に少なくなり、塗工紙の白色度の白色度も向上する。上塗り塗工層のカオリンが60重量部未満の場合やカオリンの平均粒子径が0.50μmより大きい場合、白紙光沢度が低く、微小ムラが少なくなく面感も劣る。カオリンの平均粒子径が0.30μm未満の場合、塗工液の流動性が悪化し、スタラグマイト(ブレードの刃先に発生する乾燥した鍾乳石状の塗工液組成物の凝集物)が発生し塗工適性が劣る。
【0015】
本発明で用いる平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定法(マルバーン(株)製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置名:マスターサイザーS)を用いて、体積粒度分布50%点を平均粒子径として測定したものである。この平均粒子径測定法は、光透過式粒度分布測定装置(例えば、セイシン企業製SHC5000等)を用いて、重量累積分布の50%点を平均粒子径として測定した従来通常に用いられていたものに比べて、簡便に測定できることが特徴である。平均粒子径の値としては、測定原理の違いから、従来の光透過式粒度分布測定装置に比べ、多くの場合、0.1〜0.2μm程度大きな値を示すものである。
【0016】
上記規定のカオリン以外には、塗工紙用に従来から用いられている、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、プラスチックピグメント、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料等を必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。本発明においては、白色度、白紙光沢度及び塗工適性を向上するために、上塗り塗工層の炭酸カルシウムは顔料100部当り平均粒子径が0.30μm以上0.60μm以下の炭酸カルシウムを0〜40重量部含有するのが好ましい。
【0017】
また、本発明において、面感を更に向上するために、上塗り塗工層の顔料100部当りプラスチックピグメントを1〜30重量部、3〜25重量部含有することが好ましい。本発明に用いるプラスチックピグメントは、密実型、中空型、または、コア/シェル構造をもつプラスチックピグメント等を必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。
【0018】
本発明の上塗り塗工層において使用する接着剤は、塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白の蛋白質類、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの通常の塗被紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料100重量部に対して5〜50重量部、より好ましくは5〜25重量部程度の範囲で使用される。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、印刷適性向上剤など、通常の塗被紙用塗被組成物に配合される各種助剤が適宜使用される。
【0019】
また、本発明の下塗り塗工層に用いられる顔料、接着剤及び助剤は、本発明の効果を損なわない限り、上塗り塗工層に用いられるものが適宜使用される。
【0020】
本発明において原紙に配合されるパルプの種類等は特に限定されない。例えば広葉樹クラフトパルプ(以下、LBKPとする)、針葉樹クラフトパルプ(以下、NBKPとする)、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、古紙パルプ等が使用される。また、原紙に配合される填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、水和珪酸、ホワイトカーボン、酸化チタン、合成樹脂填料などの公知の填料を使用する事が出来る。填料の使用量は、パルプ重量あたり6重量%以上が好ましい。さらに必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料、染料、消泡剤などを含有しても良い。
【0021】
原紙の抄紙方法については特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙した原紙のいずれであってもよく、勿論、メカニカルパルプを含む中質原紙および回収古紙パルプを含む原紙も使用できる。更に表面強度やサイズ性の向上の目的で、原紙に水溶性高分子を主成分とする表面処理剤の塗布を行っても良い。水溶性高分子としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の、表面処理剤として通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、表面処理剤の中には、水溶性高分子の他に耐水化、表面強度向上を目的とした紙力増強剤やサイズ性付与を目的とした外添サイズ剤を添加することができる。表面処理剤は2ロールザイズプレスコーターや、ゲートロールコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、およびシムサイザーなどのフィルム転写型ロールコーター等の塗工機によって塗布する事ができる。また、本発明に使用される印刷用塗工紙原紙の坪量は、30〜200g/m2が好ましい。
【0022】
原紙上に設ける塗工層は原紙の片面あるいは両面に、少なくとも二層以上設ける。本発明においては、上塗り塗工層とは、最表層の塗工層のことであり、上塗り塗工層以外は、下塗り塗工層である。また、本発明の上塗り塗工層と下塗り塗工層の重量比は、上塗り塗工層/下塗り塗工層=0.5〜3.0が好ましい。また、本発明の塗工量は、原紙の片面あたり5〜20g/m2が好ましく、より好ましくは10〜18g/m2である。塗被組成物を原紙に塗工するための方法としては、2ロールサイズプレスコーターや、ゲートロールコーター、およびブレードメタリングサイズプレスコーター、およびロッドメタリングサイズプレスコーター、シムサイザー等のフィルム転写型ロールコーターや、フラデッドニップ/ブレードコーター、ジェットファウンテン/ブレードコーター、ショートドウェルタイムアプリケート式コーターの他、ブレードの替わりにグルーブドロッド、プレーンロッド等を用いたロッドメタリングコーターや、カーテンコーター、ダイコーター等の公知のコーターにより塗工することができる。
【0023】
また、白紙光沢、平滑性向上、及び品質向上のため、上述の方法で得られた塗工紙の表面処理を行う。表面処理の方法としては弾性ロールにコットンロールを用いたスーパーカレンダーや、弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップカレンダー等、公知の表面処理装置を用いる事が出来る。ソフトニップカレンダーは合成樹脂ロール表面の耐熱温度がコットンロールに比べて高く設定することが可能なため、高温での処理が可能である。そのため、ソフトニップカレンダーの使用は、同一の平滑性を目標とした場合、スーパーカレンダーに比べて処理線圧を低く設定でき、より低密度で平滑性の高い塗工紙が得られるため好ましい。
【0024】
本発明においては、白紙光沢度が70%以上、好ましくは75〜90%の時に微小光沢ムラを抑える効果がより顕著になるものである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。尚、特に断らない限り、例中の部、および%はそれぞれ、重量部および重量%を示す。得られた印刷用光沢塗工紙について、以下に示すような評価法に基づいて、試験を行った。
<品質評価方法>
(1)顔料の体積粒度分布測定:レーザ回折/散乱式粒度分布測定器(マルバーン(株)製、機械名:マスターサイザーS)を用いて、粒子の体積粒度分布を測定し、体積累計分布の50%点を平均粒子径として測定した。
(2)顔料のハンター白色度:分散液で供給される顔料はあらかじめ乾燥機にて水分を蒸発させた後、得られる顔料固形物を乳鉢で粗粉砕した。粉体で供給される顔料及び粗粉砕した顔料固形物は、ミル粉砕器(柴田科学器械工業(株)製、機器名;小型粉砕機SCM−40A)を用いて粉砕し、それを加圧成形して得られる顔料プレートのハンター白色度を、JIS P−8122に従い、測定した。
(3)原紙及び塗工紙の白色度:JIS P−8122に従い、測定した。
(4)坪量:JIS P 8124:1998に従った。
(5)密度:JIS P 8118:1998に従った。
(6)白紙光沢度:JIS P 8142:1998に従った。
(7)平滑度:JAPAN TAPPI No.5:王研式平滑度試験機で測定した。
(8)光沢度の標準偏差(微小光沢ムラ):特開平4−124440号公報に準じて作成されたScanning Micro Glossmeter(島津製作所製)を用いて、光沢度を測定し、標準偏差を求めた値である。測定条件は、波長220nm、スポット径0.4mm、入射角75度として、CD方向(試料長さ102mm中の156点照射測定)の5箇所を測定し、標準偏差を求めた。本発明においては、光沢度の標準偏差の数値が0.8%以下、特に0.7%以下の時が、微小光沢ムラが非常に少なく、面感に優れる。
[実施例1]
化学パルプ100%からなる白色度86.0%、坪量92g/m2の原紙に、下塗り塗工液の顔料として、平均粒子径が1.38μm、白色度が95.6%の重質炭酸カルシウムを90重量部および平均粒子径が1.61μm、白色度が81.1%のカオリンを10重量部、接着剤として酸化澱粉を10重量部とスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを5重量部、及びポリアクリル酸ソーダ系分散剤を0.4重量部とを含有する下塗り塗工液をブレードコータにより塗工速度700m/分で片面約8g/m2両面塗工、乾燥した後、上塗り塗工液の顔料として、平均粒子径が0.49μm、白色度が94.6%の重質炭酸カルシウムAを20重量部及び平均粒子径が0.38μm、白色度が90.6%のカオリンAを70重量部、プラスチックピグメント(Rohm & Haas Company社製、HP−1055、中空球形型、平均粒径約1.0μm、空隙率55%)を10重量部、接着剤として酸化澱粉を4重量部とスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを12重量部、及びポリアクリル酸ソーダ系分散剤を0.4重量部とを含有する上塗り塗工液をブレードコータにより塗工速度1100m/分で片面約10g/m2両面塗工、乾燥した後、スーパーカレンダー処理仕上げをして印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムAを10重量部に、カオリンを85重量部に、プラスチックピグメントを5重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムを平均粒子径が0.59μm、白色度が93.4%の重質炭酸カルシウムB20重量部に、カオリンを平均粒子径が0.48μm、白色度が90.3%のカオリンB70重量部に、プラスチックピグメントを10重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムを平均粒子径が0.59μm、白色度が93.4%の重質炭酸カルシウムB20重量部に、カオリンを平均粒子径が0.32μm、白色度が90.0%のカオリンC80重量部に、プラスチックピグメントを5重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムを平均粒子径が0.64μm、白色度が94.5%の重質炭酸カルシウムC20重量部に、カオリンを平均粒子径が0.38μm、白色度が90.6%のカオリンA70重量部に、プラスチックピグメントを10重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムを平均粒子径が0.49μm、白色度が94.6%の重質炭酸カルシウムA20重量部に、カオリンを平均粒子径が0.32μm、白色度が90.0%のカオリンC80重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムを平均粒子径が0.49μm、白色度が94.6%の重質炭酸カルシウムA30重量部に、カオリンを平均粒子径が0.59μm、白色度が90.4%のカオリンD60重量部に、プラスチックピグメントを10重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
上塗り塗工液の重質炭酸カルシウムを平均粒子径が0.49μm、白色度が94.6%の重質炭酸カルシウムA40重量部に、カオリンを平均粒子径が0.38μm、白色度が90.6%のカオリンA50重量部に、プラスチックピグメントを20重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
上塗り塗工液のカオリンを平均粒子径が0.38μm、白色度が86.1%のカオリンE95重量部に、プラスチックピグメントを5重量部にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
【0026】
表1に結果を示した。
【0027】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1〜5は、白紙光沢度及び白色度が高く、かつ微小光沢ムラの小さい印刷用光沢塗工紙が得られた。比較例1は、白紙光沢度、微小光沢ムラに劣る。比較例2は、微小光沢ムラに劣る。比較例3は、微小光沢ムラ、白色度に劣る。
【0028】
【発明の効果】
本発明の課題は、白紙光沢度及び白色度が高く、かつ微小光沢度ムラが小さく、従来にない面感を有する印刷用光沢塗工紙を得ることができた。
Claims (3)
- 原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を少なくとも二層有する印刷用塗工紙において、上塗り塗工層が、顔料100重量部当たり平均粒子径が0.30μm以上0.50μm以下のカオリンを60〜100重量部含有し、塗工紙の白色度が83.0%以上、光沢度の標準偏差が0.8%以下であることを特徴とする印刷用塗工紙。
- 光沢度の標準偏差を波長210〜230nmの紫外線照射により求めることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙。
- 原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工層を二層有する印刷用塗工紙において、上塗り塗工層が、顔料100部当り平均粒子径が0.30μm以上0.60μm以下の炭酸カルシウムを0〜40重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。
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