JP2006225815A - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】印刷用塗工紙であって、全顔料100重量部に対して、TAPPI白色度が90%以上であり、平均粒子径が0.5〜2.0μmであり、かつ2μm以下のものが98%以上の粒子径分布を有するカオリンが20〜30重量部、(1)製紙スラッジを、断面積710mm2以下、長さ30mm以下の形状に成形する成形工程、(2)成形して得た成形物を低酸素条件下で600℃未満の温度で間接加熱し炭化する工程、(3)炭化して得た炭化物を燃焼温度600〜800℃で燃焼する燃焼工程、及び(4)燃焼して得た燃焼灰を平均粒子径が0.1〜10μmとなるように粉砕する粉砕工程により製造された再生顔料が1〜10重量部、並びに平均粒子径が0.5〜1.5μmの中空有機顔料が1〜10重量部配合する。
【選択図】図1
Description
従来から、高級美術印刷、カタログ、パンフレット、カレンダー等においては、印刷仕上がりでの高級感が求められてきており、記録物の美観の観点から、塗工紙の白さ、色相、白紙光沢度、印刷光沢度等に対してより厳しい目が向けられており、特に高白色度、高白紙光沢度のものが求められている。さらに、これらの品質に加えて、色調及び画線部の再現性、高光沢が求められている。この再現性についても、紙表面の白さや光沢度(白紙光沢度、印刷光沢度)が最も厳密に評価される。
高い光沢度をもつ塗工紙を製造する場合には、前記方法を組み合わせて実施するか、又は各々の方法を改良するのが一般的であるが、高い光沢度と印刷適性とを両立させることは難しく、そのため、従来より、顔料及び接着剤の種類及び配合、塗料の塗布量、平滑化処理の程度等を組み合わせることにより印刷適性が良好な高光沢紙を得る方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
一方、環境保護及びゼロエミッションの進展により、製紙工程で従来より系外に排出されていた、いわゆる製紙スラッジから無機物を回収し、再生填料として使用する試みが行われており、塗工紙に多く利用される再生填料の利用技術の開発も要望されている。
本発明の印刷用塗工紙は、原紙の少なくとも一方の面に、ブレードコーターにより1000m/分以上の塗工速度で顔料及び接着剤を主成分とする塗工液が塗工された塗工層を設け、該塗工層の表面を熱カレンダーにて平坦化処理してなる印刷用塗工紙であって、
前記顔料として、全顔料100重量部に対して、TAPPI白色度が90%以上であり、平均粒子径が0.5〜2.0μmであり、かつ2μm以下のものが98%以上の粒子径分布を有するカオリンが20〜30重量部、(1)製紙スラッジを、断面積710mm2以下、長さ30mm以下の形状に成形する成形工程、(2)成形して得た成形物を低酸素条件下で600℃未満の温度で間接加熱し炭化する工程、(3)炭化して得た炭化物を燃焼温度600〜800℃で燃焼する燃焼工程、及び(4)燃焼して得た燃焼灰を平均粒子径が0.1〜10μmとなるように粉砕する粉砕工程により製造された再生顔料が1〜10重量部、並びに平均粒子径が0.5〜1.5μmの中空有機顔料が1〜10重量部配合されていることを特徴としている。
かかる構成の印刷用塗工紙とすることにより、高い白色度及び光沢度、並びに良好な印刷適性を達成することができる。
で示される6個のスルホン酸基を有するスチルベン誘導体を0.2〜1.5重量部、及び重合度が300〜2000であるカルボン酸基を有するポリビニルアルコール(PVA)を0.2〜2.0重量部含むことが好ましい。
塗工液中にスチルベン誘導体及びポリビニルアルコールを含ませることにより、さらに高い白色度及び良好な印刷適性が得られる。
スチルベン誘導体が0.2重量部未満であると白色度が低下する傾向があり、1.5重量部より多くしても白色度の増大に対する寄与は少なくコストアップとなる。また、PVAの重合度が300未満であると、ガラス転移点が低くなりすぎバインダーとしての効果が期待できなくなる。一方、2000を超えるとガラス転移点が高くなり、ブロッキングの問題は低くなるが粘度が高くなり、操業性の悪化が生じ、好ましくない。
この場合、幅方向の温度分布にバラツキがなくなって紙幅方向で平滑性が均等となり、さらにISO白色度が80%以上であるから、印刷適性、特に印字の鮮明性がより一層向上する。そして、75°鏡面光沢度が58%以上であるから、印刷光沢度が向上する。
ロール表面温度を130℃以上にすることにより平滑性がさらに向上し、印刷適性が高まる。
本発明の印刷用塗工紙では、原紙の少なくとも一方の面に、ブレードコーターにより1000m/分以上の塗工温度で顔料及び接着剤を主成分とする塗工液を塗工している。ブレードコーターを用いることにより、1000m/分以上の高速塗工が容易になるとともに、高濃度又は高密度の塗料であっても効率よくかつ高精度に塗工することができる。ブレードコーターとしては、パドル型ブレードコーター、インバーテッド型ブレードコーター、チップ式(ベベル式)ブレードコーター、ベルト式ブレードコーター等を用いることができる。
カオリンのTAPPI白色度を90%以上、平均粒子径を0.5〜2.0μm、かつ粒子径分布を2μm以下のものが98%以上とすることにより、高い白色度、白紙光沢性、印字光沢性、印刷適性が良好となる。カオリンの配合量が20重量部未満であると、塗工層の光沢ムラが生じ易くなり、一方、30重量部を超えると塗工層強度の低下、粉落ちの問題、インキ汚れの発生、インキの発色性の低下が生じ易くなるために好ましくない。カオリンの好ましい配合量は、20〜30重量部である。
前記工程により製造された再生顔料を使用すると、得られる紙の白色度及び平滑性が高く、その抄造に際して抄紙ワイヤー等の磨耗を生じさせることもない。再生顔料の配合量は、全顔料100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。1重量部未満であると、本発明の目的の一つである、産業廃棄物発生の抑制効果があまりにも少なく、かえって操業性の悪化に繋がる問題が生じ、一方、10重量部を超えると再生填料に含有される残カーボンによる白色度の低下が生じるために好ましくない。
炭化工程は低酸素条件、好ましくは無酸素条件で行われる。成形物の自己発熱を利用するため、酸素存在下で行う燃焼に比べて必要な燃料が少なく、内部まで急速かつ確実に熱が伝わる。加熱温度は600℃未満、好ましくは500℃未満であり、均一な燃焼により、硬度及び白色度が均一になる。
燃焼工程は、燃焼温度600〜800℃、好ましくは650〜750℃で行われる。燃焼温度を600℃未満にすると、燃焼が不完全となり白色度の低下をもたらすおそれがある。一方、800℃を超えると燃焼過多となり硬度が高くなるおそれがある。燃焼時間は特に限定されないが、通常2〜4時間、好ましくは2.5〜3.5時間である。
粉砕工程は、平均粒子径が0.1〜10μmとなればどのような粉砕方式でもよいが、段階的に粒度調整を行うことが均一な粒度分布を有する再生填料を得やすいので粗粉砕を乾式粉砕で、粒度調整を湿式粉砕で行うことが好ましい。平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μmである。平均粒子径が0.1μm未満であると、粒度調整に相応の時間とエネルギーが必要であり、抄紙段階における再生填料の歩留りが悪化する。一方、10μmを超えると抄紙段階でのワイヤー磨耗、ロール類の摩滅、製紙後のカッター加工における刃の磨耗が生じるため好ましくない。
中空有機顔料の例としては、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等を挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
塗工層に平均粒子径が0.5〜1.5μmの中空有機顔料を1〜10重量部配合することにより、印刷インクの受理性が向上し、印刷適性が良くなる。これは、塗工層中に柔らかく、クッション性の高い中空有機顔料が配合されることで塗工層表面のクッション性が向上すること、及び中空有機顔料とインクとの親和性がよいことによると考えられる。平均粒子径が0.5μm未満であると塗工層の透気性が低下するおそれがあり、一方、1.5μmを超えるとストリーク等の操業性が著しく低下するので好ましくない。また、中空有機顔料の配合量が1重量部未満であると中空有機顔料の効果が期待できないうえ、ひいては塗工層の光沢ムラが生じる原因になる。一方、10重量部を超えると、塗工層の強度が低下し、印刷時にブランケットの汚れを発生させることがあるので好ましくない。中空有機顔料のより好ましい配合量は1〜4重量部である。
で示される6個のスルホン酸基を有するスチルベン誘導体を0.2〜1.5重量部、及びカルボン酸基を有しかつ重合度が300〜2000であるポリビニルアルコール(PVA)を0.2〜2.0重量部配合した塗工液も用いられる。
前記式(1)中のA、B、C、D、E及びFは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アミノ基又は置換アミノ基である。アルキル基として、メチル基、エチル基等を、アルコキシ基として、メトキシ基等を、置換アルコキシ基として、2−ヒドロキシエトキシ基等を、置換アミノ基として、フェニルアミノ基、スルホニルフェニルアミノ基、2,4−ジスルホニルフェニルアミノ基、2,5−ジスルホニルフェニルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ基、2−メトキシエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ基等を用いることができる。
スチルベン誘導体の配合量が0.2重量部未満であると白色度が低下する傾向があり、1.5重量部より多くしても白色度の増大に対する寄与は少なく、スチルベン誘導体を用いる分だけコストアップとなる。
PVAの重合度は300〜2000、好ましくは500〜1500、より好ましくは800〜1200である。重合度が低すぎると画像及び塗工層の堅牢性が低下する傾向があり、高すぎると塗工液の粘度が増加する傾向があり、1000m/分以上の高速塗工に適さなくなる場合があるので好ましくない。
また、PVAの配合量は、全顔料100重量部に対して0.2〜2.0重量部である。PVAの配合量が0.2重量部未満であると塗工層の堅牢性が低下する傾向があり、一方、2.0重量部より多いと塗工液の粘度が増加する傾向があり好ましくない。
接着剤の使用量は、全顔料100重量部に対して8〜16重量部、好ましくは9〜12重量部である。接着剤の使用量が8重量部未満であると塗工層の強度が低く印刷適性、罫割れ、搬送時の塗工層が剥がれる問題があり、一方、16重量部を超えると光沢性やブロッキングの問題が生じるため好ましくない。
また、本発明の塗工液における固形分の濃度(重量%)は、55〜70%とするのが好ましい。固形分濃度が低すぎると印刷光沢の低下、インキ乾燥性の悪化が問題となり、高すぎると操業安定性が低下し、塗料調整が困難なので好ましくない。
なお、用いることができる機械パルプの種類は特に限定されるものではなく、PGW(プレッシャーライズドグランドウッドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、GP(グランドパルプ)、RGP(リファイナグランドパルプ)等を適宜用いることができる。
図1に示されるソフトカレンダー装置10はその一例であり、前述したような内部誘導加熱装置及び外部誘導加熱装置を具備している。図1に示されるように、各金属ロール1は、電磁誘導作用により金属ロール1自体を誘導発熱させることができる外部誘導加熱装置3を備えている。図2は、この外部誘導加熱装置3近傍の拡大図であり、ワークコイル4に直流電源(インバータ)5からの交流電源(例えば、3〜20kHzの高周波)を流して磁界(図2において矢印で示す)を発生させ、金属ロール1にシェル6の表面部に渦電流を生成させ自己発電させるものである。ワークコイル4におけるシェル6との対向面はシェル6の外周面に沿った曲面とされ、シェル6とワークコイル4とは、2〜20mm程度離間している。この離間距離は、好ましくは2〜5mmとするのがよい。前述したように、外部誘導加熱装置3をロール幅方向で分割して設けたり、又は外部誘導加熱装置3のワークコイル4をロール幅方向に分割した構成とすることにより、ロール幅方向における温度分布を制御することが可能となる。
全ての実施例及び比較例(以下、全ての例ともいう)は、ワイヤーパート、プレスパート、(プレ)ドライヤパート、コータパート、(アフター)ドライヤパート、カレンダーパート、リールパート、ワインダーパートを順に含んだ製紙工程により製造されたものである。これらのうちカレンダーパートにおいては、図1及び図2に示されるような、2ロール1ニップの段が2段構成されるとともに、2つの金属ロール1のそれぞれに外部誘導加熱装置3及び内部誘導加熱装置7を備えたタンデムタイプのソフトカレンダー装置10をオンマシンで用い、塗工面が金属ロールと対面するように通紙した。このとき、ロール幅方向の温度分布ができるだけ一定になるように制御しながら通紙した。また、コータパートでは、チップ式(ベベル式)のブレードコーターを用いて、1000m/分の塗工速度で塗工を行った。なお、塗工量は固形量で16g/m2とした。
実施例及び比較例の仕様及び評価結果を表1に示す。各表に記載された点以外は、全ての例における仕様は同一としている。
PVAとしては、重合度が1200でありケン化度が99である日本合成化学工業(株)製のT−HS−1(商品名)を用いた。表中の「PVA配合量」は、塗工液中における全顔料100重量部に対する配合量(重量部)を示す。
表中の「ロール表面温度」とは、ソフトカレンダー装置における2つの金属ロールの表面温度である。
〔ISO白色度〕
得られた紙について、ISO3688−1977「パルプの拡散照明方式による白色度(ISO白色度)の測定法」に基づいて測定した。
〔75°鏡面光沢度〕
得られた紙について、JIS P 8142に基づいて測定した。
〔印刷適性〕
得られた紙について、オフセット輪転印刷機にて、印刷時の用紙の走行性、網点の再現性を目視にて評価した。その結果、網点再現性が良好なものを○、それよりも劣るが実用上支障がないものを△、網点の欠落が多く、印刷再現性が劣るものを×とした。
〔環境保護寄与〕
産業廃棄物として従来破棄されていたフロス等の廃棄物の有効利用される本発明の度合いに応じて、最も利用率が高いものを◎、高いものを○、従来と同等のものを△、廃棄物量の増加が推測されるものを×とした。
〔製造コスト〕
本発明に基づく実施例において、最も廉価に製造できる実施例を◎、従来より廉価になるものを○、従来と同等なものを△、コストアップに繋がるものを×とした。
2 弾性ロール
3 外部誘導加熱装置
7 内部誘導加熱装置
10 ソフトカレンダー装置
Claims (4)
- 原紙の少なくとも一方の面に、ブレードコーターにより1000m/分以上の塗工速度で顔料及び接着剤を主成分とする塗工液が塗工された塗工層を設け、該塗工層の表面を熱カレンダーにて平坦化処理してなる印刷用塗工紙であって、
前記顔料として、全顔料100重量部に対して、TAPPI白色度が90%以上であり、平均粒子径が0.5〜2.0μmであり、かつ2μm以下のものが98%以上の粒子径分布を有するカオリンが20〜30重量部、(1)製紙スラッジを、断面積710mm2以下、長さ30mm以下の形状に成形する成形工程、(2)成形して得た成形物を低酸素条件下で600℃未満の温度で間接加熱し炭化する工程、(3)炭化して得た炭化物を燃焼温度600〜800℃で燃焼する燃焼工程、及び(4)燃焼して得た燃焼灰を平均粒子径が0.1〜10μmとなるように粉砕する粉砕工程により製造された再生顔料が1〜10重量部、並びに平均粒子径が0.5〜1.5μmの中空有機顔料が1〜10重量部配合されていることを特徴とする印刷用塗工紙。 - 前記熱カレンダーが、加熱手段を備えた金属ロールと弾性ロールとで構成されるソフトカレンダーであり、前記金属ロールには幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置が装備され、塗工層記録面を平坦化処理し、ISO白色度を80%以上、75°鏡面光沢度を58%以上に調整してなる請求項1又は2に記載の印刷用塗工紙。
- 金属ロールの近傍にロール幅方向に分割制御可能な外部電磁誘導作用による外部加熱装置及び/又は幅方向に冷却制御可能なクーリング設備が装備され、130℃以上のロール表面温度にて印刷用塗工紙の塗工層記録面を平坦化処理してなる請求項3に記載の印刷用塗工紙。
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